JPH0782353A - 環状エステル共重合体の製造方法 - Google Patents

環状エステル共重合体の製造方法

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JPH0782353A
JPH0782353A JP23314393A JP23314393A JPH0782353A JP H0782353 A JPH0782353 A JP H0782353A JP 23314393 A JP23314393 A JP 23314393A JP 23314393 A JP23314393 A JP 23314393A JP H0782353 A JPH0782353 A JP H0782353A
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JP
Japan
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cyclic ester
ester copolymer
lactide
carbolactone
lactone
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Application number
JP23314393A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ebato
博 江波戸
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A)ラクトンおよび/またはラクタイド
と、(B)カーボラクトン、とを(C)エステル化触媒
の存在下に、開環共重合させることを特徴とする環状エ
ステル共重合体の製造方法。 【効果】 本発明は、生分解性、高い耐熱性、熱可塑
性、透明性を有し、成形用樹脂、インキ用樹脂、塗料用
樹脂、シート・フィルム用材料、紙へのラミネーション
材として使用できる、優れた環状エステル共重合体の製
造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラクトン、ラクタイド等
の環状エステルと、芳香族ラクトンであるカーボラクト
ンとの共重合体である環状エステル共重合体の製造方法
に関するものである。
【0002】本発明によって得られる環状エステル共重
合体は、生分解性、熱可塑的性質、および透明性、高い
耐熱特性を有し、成形用樹脂、インキ用樹脂、塗料用樹
脂、フィルム用材料、紙へのラミネーション材として使
用できる。
【0003】
【従来の技術】生分解性を持つ分子内ラクトンおよびラ
クタイド系重合体については、古くから知られていた。
分子内ラクトンを開環重合した場合、得られた樹脂は、
一般に白色で、良い生分解性を持つ、低融点の樹脂であ
る。またラクタイドに代表される分子間環状エステル類
を開環重合した場合は、一般に透明性を有する、高い融
点を持つ樹脂が得られる。
【0004】ポリラクタイドを得る為には、乳酸を環状
二量化したラクタイドを得て、更にラクタイドを開環付
加重合して合成する方法が一般的であり、それらの製法
は、既に、INDUSTRIAL AND ENGIN
EERINGCHEMISTRY,Vol.36,22
3(1944)等に詳細に掲載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリラクタイドは、透
明性と高い融点及びガラス転移温度を持った優れた樹脂
であるが、高温にさらされると、熱分解してラクタイド
を生じ、分子量が著しく低下したり、着色したりする欠
点を有する。この為、成形加工工程から出る廃ポリマー
の再利用が難しく、製造過程での歩留まりが悪く、更に
は、この廃棄ポリマーの処理や、処理に伴うコスト上昇
の問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の問
題に対し、ポリラクタイド及び/又はポリラクトンの生
分解性、熱可塑性は維持して、高温下での耐熱性を向上
させる目的で、鋭意検討した結果、ポリラクタイドおよ
びポリラクトンを開環したヒドロキシカルボン酸成分中
に、更に芳香族ヒドロキシカルボン酸成分を含有させる
ことにより、製造した環状エステル共重合体は、製造工
程、成形加工工程での、高温工程に際しても、熱分解を
抑制し得ることを見い出し、本発明を完成するに到っ
た。
【0007】即ち、本発明は、(A)ラクトンおよび/
またはラクタイドと、(B)カーボラクトン、とを
(C)エステル化触媒の存在下に、開環共重合させるこ
とを特徴とする環状エステル共重合体の製造方法であ
る。更に、本発明は、(A)ラクトンおよび/またはラ
クタイド99〜50重量部に、(B)カーボラクトン1
〜50重量部、を加えて開環共重合を行う環状エステル
共重合体の製造方法、(A)ラクトンおよび/またはラ
クタイドの融点以上の反応温度で、開環共重合させるこ
とを特徴とする環状エステル共重合体の製造方法、
【0008】これらの開環共重合を常圧以下で、行うこ
とを特徴とする環状エステル共重合体の製造方法、並び
に(A)ラクトンおよび/またはラクタイドと、(B)
カーボラクトンとを、溶媒の存在下に、開環共重合させ
ることを特徴とする環状エステル共重合体の製造方法を
含むものである。
【0009】更に本発明は、(B)カーボラクトンとし
て、2種以上のカーボラクトンを用いることを特徴とす
る環状エステル共重合体の製造方法、またこの(B)カ
ーボラクトンが、フタライド、クマリンおよびジヒドロ
クマリンからなる群から選ばれる1種以上のカーボラク
トンである環状エステル共重合体の製造方法、生成した
環状エステル共重合体中の残留ラクトン、ラクタイドお
よびカーボラクトンの残留量を、1重量%以下にするこ
とを特徴とする環状エステル共重合体の製造方法をも含
むものである。
【0010】次に製造方法の詳細について具体的に説明
する。本発明で言う(A)ラクトンおよび/またはラク
タイドのラクトンとは、分子内環状エステル化によって
生成したラクトン環を有するものを言い、例えば、ε−
カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ウンデカラ
クトン等が挙げられる。またラクタイドとは、2分子間
環状エステル化によって生成した環状エステルを言い、
具体的には、乳酸の環状二量体化したラクタイド(ジラ
クタイド)、グリコール酸の環状二量化したグリコライ
ド等のヒドロキシ酸の環状二量化物を言う。
【0011】本発明での製造方法においては、(A)ラ
クトンおよびラクタイドと、(B)カーボラクトンの重
量比(A)/(B)が、1以上、即ち、(A)ラクトン
およびラクタイド99〜50重量部に、(B)カーボラ
クトン1〜50重量部を加えて開環共重合を行うことが
好ましい。
【0012】なかでも、(A)ラクトンおよびラクタイ
ドと、(B)カーボラクトンの重量比(A)/(B)
が、70/30以上の場合、得られる環状エステル共重
合体は高い強度を有し好ましい。即ち、(B)カーボラ
クトン1〜30重量部を(A)ラクトンおよびラクタイ
ド99〜70重量部に加えて開環共重合を行うことが好
ましい。
【0013】より高温で使用可能な樹脂を製造するため
には、使用する(A)ラクトンおよびラクタイドはジラ
クタイドが好ましい。ジラクタイドを、(A)ラクトン
およびラクタイド中90モル%以上含むものは、室温以
上のガラス転移温度と150℃以上の融点を有する環状
エステル共重合体を得ることができ、に好ましい。
【0014】ジラクタイド(単にラクタイドと呼称する
ことがある。)は、乳酸が2分子間環状エステル化した
化合物であり、ジラクタイドには、2つのL−乳酸から
なるL−ラクタイド、2つのD−乳酸からなるD−ラク
タイド、L−乳酸とD−乳酸からなるMESO−ラクタ
イドが存在する。L−ラクタイド、またはD−ラクタイ
ドの一方のみを含む環状エステル共重合体は結晶化し、
高融点が得られる。
【0015】またL−ラクタイドとD−ラクタイドの両
者を含む環状エステル共重合体は、より透明性の良い環
状エステル共重合体が得られる。本発明の環状エステル
共重合体はこれら3種のラクタイドを組み合わせること
によって好ましい環状エステル共重合体の樹脂特性を実
現できる。
【0016】なかでも、L−ラクタイドを総ラクタイド
中75%以上含むものが、140℃以上の融点、かつ4
0℃以上の高いガラス転移点を発現するために好まし
く、更に、L−ラクタイドを総ラクタイド中90%以上
含むものは、160℃以上の高融点の環状エステル共重
合体を得る為に、好ましく用いられる。
【0017】本発明で言うカーボラクトンとは、縮合環
の一部の環が、ラクトン環になっているラクトンを意味
し、本発明で用いることのできるカーボラクトンは、特
にその種類は問わないが、例えば、フタライド、、アル
キルフタライド、アルコキシフタライド、2(3H)−
ベンゾフラノン、クマリン、ジヒドロクマリン、
【0018】イソクマリン、1−オキサアセナフタレン
−2−オン、1,10:9,8−フェナンスレンビスカ
ーボラクトン、トリサリチライド、ヘキササリチリド及
び、これらの誘導体が挙げられる。なかでも、フタライ
ド、クマリンは反応が速く、しかも透明性に優れた環状
エステル共重合体が得られるので好ましい。
【0019】本発明で使用する(C)エステル化触媒と
しては、通常一般のポリエステル製造に使用できる触媒
は特に問題なく使用できる。例えば、錫、亜鉛、鉛、チ
タン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属
およびその誘導体が挙げられる。これらの誘導体として
は、金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が
好ましい。
【0020】具体的には、オクタン酸錫、塩化錫、酢酸
亜鉛、ステアリン酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、
塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸
化ジルコニウムが適している。環境等に与える影響を考
えると、オクタン酸錫、塩化錫、酢酸亜鉛、ステアリン
酸亜鉛、塩化亜鉛が適しており、特に酢酸亜鉛、ステア
リン酸亜鉛、塩化亜鉛はラクトンおよびラクタイドを使
用した環状エステル共重合体を得るために好ましい。
【0021】(C)エステル化触媒の量は、(A)ラク
トンおよび/またはラクタイドと、(B)カーボラクト
ンの合計の重量に対して、0.01〜0.1重量%が好
ましい。反応速度が十分に速く、得られた環状エステル
共重合体の着色を少なくするためには、特に0.02〜
0.08重量%が好ましい。
【0022】本発明の環状エステル共重合体を製造する
際、(A)ラクトンおよびラクタイドを、二種以上使用
して環状エステル共重合体を製造することができる。ラ
クトンおよびラクタイドの組み合わせは特に問わない
が、ジラクタイドを主成分にし、グリコライド、δ−バ
レロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ウンデカラク
トン等を加えた環状エステル共重合体は高い透明性を有
し、好ましい。ラクタイドを主成分とした場合、特に可
塑化を目的としてラクトン類を加える場合、ラクタイド
に対し1〜20重量%加えることが好ましい。
【0023】本発明の環状エステル共重合体は、通常の
反応釜を使用して製造することも可能であるが、高分子
量化に伴う高粘度化の為に、通常の反応槽を使用した共
重合反応では混合攪拌が妨げられ、局部加熱による部分
変質が起こり易い。反応槽からの生成物の抜き出しの際
も、器壁或いは攪拌翼へ生成物が付着して、収率の低下
を招く。
【0024】一般に、樹脂粘度が1万ポイズを越えるよ
うな高粘度領域では、重合熱はもとより、攪拌剪断応力
により発生する攪拌熱の発生が激しく、動的攪拌ではそ
の攪拌部に於ける局所的発熱が著しくなる為、剪断応力
が小さく、しかも均一に作用するスタティック・ミキサ
ーの使用が好ましい。
【0025】またスタティック・ミキサーは、通常管状
であり、複数のスタティック・ミキサーを線状に連結
し、不活性ガス雰囲気下で原料仕込み口から原料を連続
的に供給し、反応物がスタティック・ミキサー内を連続
的に移動することにより、反応を連続的に、しかも外部
大気に全く触れることなく、原料仕込みから、反応、脱
輝、ポリマーのペレット化までを行なうことが出来る。
【0026】ここで言うスタティック・ミキサーとは、
攪拌機を有する混合装置に対して、可動部分の無い、即
ち攪拌機のない静的混合装置のことであり、具体的に
は、管内に固定された可動部分の無いミキシング・エレ
メントにより、流れを分割し、かつ流れ方向を転換また
は反転させ、流れを縦方向、横方向に分割・転換・反転
を繰り返す事により溶液を混合する混合装置を言う。
【0027】スタティック・ミキサーの種類によって
は、管外周部に熱交換の為のジャケットが備えられてい
るものもあり、またミキシング・エレメント自体に熱媒
体を通す熱交換の為のチューブが備えられているものも
ある。
【0028】スタティック・ミキサーを備えた反応装置
のみで全ての重合反応を行なうこともできるが、スタテ
ィック・ミキサーはポリマーが高粘度化する反応後半
に、特にその攪拌効果を顕著に発揮する為、反応初期に
おけるポリマー粘度の比較的低い段階では、通常の攪拌
器を有する反応槽において反応させ、後半のポリマーが
高粘度化する工程をスタティック・ミキサーを備えた反
応装置で行うこともできる為、攪拌式反応槽と、これに
連結したスタティック・ミキサーを備えた連続反応装置
も用いる事が出来る。
【0029】本発明の方法による環状エステル共重合体
を製造するには、例えば、(A)ラクトンおよびラクタ
イドと、(B)カーボラクトンを溶融、または溶媒によ
って混合後、触媒を添加する。反応温度としては、
(A)ラクトンおよびラクタイドあるいは(B)カーボ
ラクトンの融点のいずれか低い方以上であることが、反
応系を均質にできるため適当である。具体的には、反応
温度はラクトンおよびラクタイドの融点である100℃
〜180℃の温度であることが、得られた環状エステル
共重合体の着色を防ぐ上から好ましい。
【0030】(A)ラクトンおよび/またはラクタイ
ド、(B)カーボラクトン、および得られた環状エステ
ル共重合体は、溶媒に溶解し易く、溶媒を使用して共重
合反応を行うことができる。また、得られた環状エステ
ル共重合体は、融点が高く、かつ溶融粘度が高い為に、
通常の攪拌反応に困難さがあるが、溶媒を加えることに
よって容易に反応を行うことができる。
【0031】特に溶媒の使用によって、反応系の粘度は
下がり、攪拌・混合が容易になる。また、攪拌・混合が
容易なために温度コントロールが容易で反応装置中で温
度が均質であり、着色等がより少ない環状エステル共重
合体が得られる。本発明に使用可能な溶媒としては、反
応物と副反応を生じず、原料および生成物に対する溶解
性に優れるものであれば、特に制約はないが、例えば、
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シク
ロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、イソプロピルエーテルが好ましく用いられる。
【0032】溶媒を使用した反応を行う場合は、無溶媒
系の反応に比べ、反応速度はやや遅くなる。これを改良
する目的で反応温度は、無溶媒系に比べてやや高めの、
165〜195℃で行うことが好ましい。水分が反応系
に入り込むと重合反応を阻害するために、溶媒は無水系
の溶媒で、かつ反応雰囲気は乾燥した不活性ガスがよ
い。即ち、不活性ガス雰囲気下、またはバブリング状態
で反応を行う。同時に原料となる(A)ラクトンおよび
ラクタイド、(B)カーボラクトンは水分を除去し、乾
燥させておく必要がある。
【0033】重合後期に、残留したラクトンおよびラク
タイド、カーボラクトン、溶媒および臭気を持った物質
を取り除く目的で、減圧下に脱揮を行うことが好まし
い。この脱揮工程によって残留モノマー量を減少するこ
とが出来、得られた環状エステル共重合体の保存安定性
を、著しく増すことが出来る。環状エステル共重合体を
シート状にした場合、水分の付着等による重合成分の加
水分解や、熱による融着を防止できる。これらの目的の
為に、本発明の環状エステル共重合体中の残留ラクトン
/ラクタイドおよびカーボラクトンを1重量%以下にす
ることが望ましい。
【0034】脱揮の方法としては、共重合後に減圧下、
加熱しながら取り出しを行う方法が好ましい。この場
合、取り出した環状エステル共重合体の分子量を低下さ
せない目的で、脱揮時間は2〜30分、温度は145〜
230℃、減圧度は0.1〜50Torrで行うことが
好ましい。
【0035】他の脱揮の方法としては、重合終了後に環
状エステル共重合体をペレット化、または粉砕し、減圧
下、加熱しながら取り出しを行うこともできる。この場
合も、取り出した環状エステル共重合体の分子量を低下
させない目的で、脱揮時間は10〜400分、温度は6
0〜200℃、減圧度は0.1〜50Torrで行うこ
とが好ましい。
【0036】これらの方法によって、一般に共重合反応
後、2.5%程度残留しているラクトン/ラクタイドお
よびカーボラクトンを1%以下に減少させることができ
る。この他の残留モノマーを減少させる方法としては、
重合終了後に環状エステル共重合体を溶媒に溶解し、貧
溶媒に加えることによって、重合体を得る再沈澱法があ
る。
【0037】環状エステル共重合体を溶解する溶媒とし
ては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレ
ン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メ
チルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロ
ピルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化
炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロ
ベンゼン、クロロナフタレン等とこれらの混合溶媒が溶
解性が良く好ましく、
【0038】貧溶媒としては水、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、
ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ジエシルエーテ
ル等とこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0039】再沈澱は、共重合体を、溶媒に室温で、ま
たは加熱しながら、2〜20重量%の濃度で溶解させた
後、攪拌しながら2〜15倍量の貧溶媒中に徐々に加
え、10〜180分間静置して、沈澱を生成させ、取り
出しを行い、沈澱を減圧下、加熱状態下に残留した溶媒
を取り除く。この方法によっても、残留モノマー量を1
%以下に減少させることができる。
【0040】本発明の環状エステル共重合体は、単独で
十分可塑化作用があり、成形性を有するが、可塑剤とし
て、ポリエステル、エポキシ誘導体、フタル酸エステ
ル、ポリエーテル等を重合後、または成形時に添加する
ことによって、更に良好な熱可塑性を付与できる。具体
的には、アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリ
エステル、脂肪酸のエポキシ誘導体、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジオクチル、
【0041】フタル酸ジフェニル、フタル酸ジシクロヘ
キシル、ポリエチレングリコール等が好ましく用いられ
る。これらの可塑剤の添加量は、特に限定されるもので
はないが、環状エステル共重合体の重量に対して1〜3
0%の量で添加することが好ましい。
【0042】また、本発明の環状エステル共重合体に、
燐酸エステル、イソシアネート、カルボジイミド等を、
安定剤として添加し、成形時の熱的安定性を向上させる
ことができる。これらの安定剤の添加量は、特に限定さ
れるものではないが、通常、環状エステル共重合体の重
量に対して、1〜10%の範囲で添加することが好まし
い。
【0043】本発明によって得られる環状エステル共重
合体は、生分解性、熱可塑的性質、および透明性、高い
耐熱特性を有し、射出成形用樹脂、成形用樹脂、インキ
用樹脂、塗料用樹脂、シート・フィルム用材料、紙への
ラミネーション材として使用できる利点に加え、成形、
加工時に発生する廃ポリマーを、融解することによっ
て、再利用することができる為、生産効率、産業廃棄物
量の減量の面から、特に有用である。
【0044】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明を
更に具体的に説明する。なお、例中の部および%は、特
に記載のない限り全て重量基準である。
【0045】〔実施例1〕クマリン10部に、L−ラク
タイド90部を加えて、不活性ガスで雰囲気を置換し、
エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加え
た。160℃で、8時間反応を行い、生成した環状エス
テル共重合体をサンプリングした。得られた環状エステ
ル共重合体はわずかに黄色を帯びた透明な樹脂であっ
た。
【0046】ゲルパーミエイションクロマトグラフィー
(以下GPCと略す。)の結果から分子量274,40
0を持った環状エステル共重合体が確認された。ラクタ
イドモノマーは3.8%が残留した。この環状エステル
共重合体の示差熱量分析(以下DSCと略す。)を行っ
た結果、ガラス転移点は34.7℃、融点は163.1
℃であった。
【0047】重合後、引き続いて155℃、5〜10T
orrの減圧下で、残留したラクタイドを脱揮しながら
取り出しを行った。この脱揮後の環状エステル共重合体
はGPCの結果から、分子量259,000であった。
ラクタイドモノマーは1.0%が残留した。
【0048】この環状エステル共重合体を、厚さ200
μmのシートとしてセイコー電子社製固体粘弾性測定装
置DMS200で、引っ張り粘弾性を測定した結果、3
5,000kg/cm2 (23℃、50%相対湿度)で
あった。残留ラクタイドを除いた環状エステル共重合体
により、10cmX10cm、厚さ100μmのシート
を作成し、海水中、35℃に浸漬し、生分解試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0049】
【0050】また、環状エステル共重合体について、再
沈澱による精製を行い、残留したラクタイド、カーボラ
クトンを除いた後、核磁気共鳴スペクトル(以下H−N
MRと略す。)による構造解析を行った。結果の主要部
を以下に示す。
【0051】H−NMRスペクトル(CD3Cl溶液、
単位:ppm);1.59(乳酸成分中のメチル基の水
素に基づく吸収)、3.48(フェニル環のα位のメチ
レン基の水素に基づく吸収)、5.20(乳酸成分中の
メチン基の水素に基づく吸収)、7.47〜7.90
(フェニル環の水素に基づく吸収)
【0052】〔実施例2〕クマリン5部に、L−ラクタ
イド86部と、D−ラクタイド9部、溶媒としてよく脱
水したトルエン20部、を加えて、不活性ガスで雰囲気
を置換し、エステル化触媒としてオクタン酸錫0.02
部を、加え、165℃で8時間反応を行った。得られた
環状エステル共重合体は無色透明な樹脂であった。
【0053】環状エステル共重合体に基づく高分子量の
GPCのピークは、単一で、分子量184,000の単
一の環状エステル共重合体が生成していた。ラクタイド
モノマーは、3.7%が残留した。ガラス転移点は4
3.1℃、融点は142.3℃であった。
【0054】H−NMRスペクトルによる構造解析を行
った。結果の主要部を以下に示す。 H−NMRスペクトル(CD3Cl溶液、単位:pp
m) 1.57(乳酸成分中のメチル基の水素に基づく吸
収)、5.16(乳酸成分中のメチン基の水素に基づく
吸収)、6.43〜6.45(フェニル環のβ位のビニ
ル基の水素に基づく吸収)、7.34〜7.57(フェ
ニル環の水素に基づく吸収)、7.72〜7.76(フ
ェニル環のα位のビニル基の水素に基づく吸収)
【0055】また合成した環状エステル共重合体を、再
沈澱法によって、残留したラクタイドを除いた。この残
留ラクタイドを除いた環状エステル共重合体を用いて、
実施例1と同様に、生分解試験と熱分解試験を行った。
【0056】
【0057】熱分解試験は製造した樹脂をガラス管に入
れ、210℃の窒素雰囲気下で15分間の熱分解試験を
行った。分子量の変化を測定し、結果を表3に示す。
【0058】〔実施例3〕フタライド25部に、L−ラ
クタイド72部と、D−ラクタイド3部を加えて、不活
性ガスで雰囲気を置換し、エステル化触媒としてオクタ
ン酸錫を0.02部加えて8時間、160℃で反応を行
った。得られた環状エステル共重合体は無色透明な樹脂
であった。
【0059】GPCの結果から分子量137,300の
環状エステル共重合体が確認された。ラクタイドモノマ
ーは8.0%が残留した。この環状エステル共重合体の
DSCを行った結果、ガラス転移点は58.5℃、融点
は126.2℃であった。
【0060】H−NMRスペクトルを測定したところ、
実施例1と同様の結果が得られた。得られた環状エステ
ル共重合体を、実施例1と同様に10cmX10cm、
厚さ100μmのシートとし、海水中、35℃に浸漬
し、生分解試験を行った。結果を表3に示す。
【0061】
【0062】〔実施例4〕クマリン10部に、ε−カプ
ロラクトン90部を加えて、不活性ガスで雰囲気を置換
し、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.02部加
えた。8時間、155℃で反応を行い、生成した環状エ
ステル共重合体を取り出した。GPCの結果から、分子
量92,300の環状エステル共重合体が確認された。
この環状エステル共重合体のDSCを行った結果、ガラ
ス転移点は室温以下、融点は57.2℃であった。
【0063】〔実施例5〕クマリン10部、フタライド
5部、δ−ウンデカラクトン10部、L−ラクタイド6
7部、D−ラクタイド8部を加えて、不活性ガスで雰囲
気を置換し、エステル化触媒としてオクタン酸錫を0.
02部加えて8時間、160℃で反応を行った。得られ
た環状エステル共重合体は無色透明な樹脂であった。
【0064】分子量105,900の環状エステル共重
合体が確認された。環状エステル共重合体に基づく高分
子量のGPCのピークは、単一で、単一の環状エステル
共重合体が生成していた。ラクタイドモノマーは16.
9%が残留した。ガラス転移点は48.3℃、融点は1
31.0℃であった。
【0065】〔実施例6〕本実施例では、実施例1と同
様な反応を、内径1/2インチ、長さ60cmのスタテ
ィック・ミキサー(ノリタケ製ケニックス式スタティッ
クミキサー、ミキシングエレメント24個内臓)を、そ
れぞれ4基直列に連結し、更に、内径3/4インチ、長
さ50cmのスタティック・ミキサー(ノリタケ製、ミ
キシングエレメント15個内蔵)を4基直列に連結した
連続重合装置により行った。触媒は触媒供給ポンプによ
り、主原料供給ポンプの直前で内径1/4インチ、長さ
15.5cmのスタティックミキサー(ノリタケ製、ミ
キシングエレメント12個内臓)により主原料と混合さ
れる。
【0066】クマリン10部に、L−ラクタイド90部
の比率で主原料溶液を窒素ガス雰囲気下の原料供給槽で
調整し、触媒としてオクタン酸錫を主原料溶液100部
に対し0.02部の割合で触媒供給ポンプで加え、以下
の条件で連続重合を行った。
【0067】主原料供給流量 : 250ml/時間 触媒供給流量 : 0.5ml/時間 反応温度 : 160℃
【0068】重合後、引き続いて155℃、5〜10T
orrの減圧下で、残留したラクタイドを脱揮しながら
取り出し、ペレット化を行った。このペレット中にラク
タイドモノマーは1.0%が残留し、GPCの結果から
分子量255,000の環状エステル共重合体が確認さ
れた。DSCを行った結果、実施例1と同様のガラス転
移点34℃、融点163℃の結果が得られた。
【0069】〔比較例〕再沈澱法によって残留したラク
タイドを除いたポリラクタイドを、ガラス管に入れ、実
施例2と同様に210℃の窒素雰囲気下で、15分の熱
分解試験を行った。分子量の変化を測定した。結果を表
4に示す。
【0070】
【0071】
【発明の効果】本発明は、生分解性、高い耐熱性、熱可
塑性、透明性を有し、成形用樹脂、インキ用樹脂、塗料
用樹脂、シート・フィルム用材料、紙へのラミネーショ
ン材として使用できる、優れた環状エステル共重合体の
製造方法を提供できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ラクトンおよび/またはラクタイ
    ドと、(B)カーボラクトン、とを(C)エステル化触
    媒の存在下に、開環共重合させることを特徴とする環状
    エステル共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 (A)ラクトンおよび/またはラクタイ
    ド99〜50重量部に、(B)カーボラクトン1〜50
    重量部、を加えて開環共重合を行う請求項1記載の環状
    エステル共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 (A)ラクトンおよび/またはラクタイ
    ドの融点以上の反応温度で、開環共重合させることを特
    徴とする請求項1または2記載の環状エステル共重合体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 常圧以下で、開環共重合させることを特
    徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の環状エ
    ステル共重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 (A)ラクトンおよび/またはラクタイ
    ドと、(B)カーボラクトンとを、溶媒の存在下に、開
    環共重合させる請求項1〜3のいずれか1つに記載の環
    状エステル共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 (B)カーボラクトンとして、2種以上
    のカーボラクトンを用いる請求項1〜5のいずれか1つ
    に記載の環状エステル共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 (B)カーボラクトンが、フタライド、
    クマリンおよびジヒドロクマリンからなる群から選ばれ
    る1種以上のカーボラクトンである請求項1〜6のいず
    れか1つに記載の環状エステル共重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 環状エステル共重合体中の残留ラクト
    ン、ラクタイドおよびカーボラクトンの残留量を、1重
    量%以下にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1つに記載の環状エステル共重合体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019044184A (ja) * 2017-09-04 2019-03-22 三洋化成工業株式会社 環状ポリエステル組成物及びその製造方法

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JP2019044184A (ja) * 2017-09-04 2019-03-22 三洋化成工業株式会社 環状ポリエステル組成物及びその製造方法

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