JPH07224108A - 熱可塑性樹脂の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂の製造方法

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JPH07224108A
JPH07224108A JP1833694A JP1833694A JPH07224108A JP H07224108 A JPH07224108 A JP H07224108A JP 1833694 A JP1833694 A JP 1833694A JP 1833694 A JP1833694 A JP 1833694A JP H07224108 A JPH07224108 A JP H07224108A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 色調に優れた熱可塑性樹脂の製造方法に関す
る。 【構成】 乳化重合法によって得られた重合体のラテッ
クスを凝固処理して重合体粒子を分離し、その分離液を
凝固処理の水相として再使用する方法において、凝固処
理の工程で特定量の還元剤を添加することを特徴とする
熱可塑性樹脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性樹脂の製造方法
に関し、更に詳しくは、乳化重合法により得られた重合
体のラテックスから、重合体を回収する方法に特徴のあ
る熱可塑性樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合体を製造する方法の一つとして乳化
重合法があるが、この方法で得られる重合体は乳濁状態
すなわちラテックスの状態を呈する。得られた重合体の
用途が塗料、接着剤等である場合には、ラテックス状態
を呈するものがそのまま使用されるが、その他の用途に
供する場合にはラテックス状態から重合体を凝固させて
回収し、洗浄、乾燥し、粉末状とする工程が必要とな
る。
【0003】一般的にラテックスから重合体を回収する
ためには、まず重合体のラテックスと乳化剤を失活させ
る凝固剤とを接触させるいわゆる凝固処理を行うことに
より、重合体のラテックスを凝集させ、重合体粒子を得
る。続いて、得られた重合体粒子は、多量の水あるいは
酸性、アルカリ性に調製した水で洗浄する洗浄工程、水
分を分離する脱水工程、乾燥工程等の一連の工程を経て
乾燥した粉体として回収される。
【0004】これらの工程については工程の合理化、省
エネルギーの観点から数多くの研究が行われている。例
えば、重合体粒子を分離して得られた分離液は温度が高
く、更に分離液中には凝固剤が残存しており、また分離
の際に目洩れした重合体微粒子が含まれているので、熱
エネルギー及び水の節約、重合体粒子回収率の向上など
のためにこの分離液を凝固処理の水相として再使用する
ことが検討され、実施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、分離液
を繰り返し再使用していると、分離液中に何らかの着色
成分が生成し、得られる重合体粉末が黄変するなどの問
題が生じ、最終的に得られる熱可塑性樹脂の品質上大き
な問題となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決すべく鋭意検討した結果、凝固処理の工程
で特定の化合物を添加することによって上記のような問
題を解決でき、色調に優れ、かつ優れた物性を有する重
合体が得られるとの知見を得、これに基づいて本発明を
完成した。
【0007】即ち本発明は、乳化重合法によって得られ
た重合体のラテックスを、凝固剤を溶解した水相と接触
させることにより凝固処理し、凝固した重合体粒子を分
離するとともに分離液を前記凝固処理の水相として再使
用する方法において、凝固処理の工程で、乳化重合反応
に使用した重合開始剤100重量部に対して10重量部
〜1000重量部の還元剤を添加することを特徴とする
熱可塑性樹脂の製造方法に存する。
【0008】
【発明の具体的説明】本発明に係る方法は、重合体を乳
化重合法によって製造する際に適用される。 <重合体>本発明に係る方法によって製造できる重合体
とは、通常、スチレン系重合体、塩化ビニル系重合体等
の熱可塑性樹脂である。
【0009】スチレン系重合体を構成する化合物として
は、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、ジエ
ン化合物、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸
アルキルエステルが挙げられ、これらから選ばれる少な
くとも一種の単位を80重量%以上含むことが好まし
い。芳香族ビニル化合物としては、スチレンならびに側
鎖及び/又は核置換スチレン等が挙げられる。核置換ス
チレンの置換基としては、低級アルキル基、低級アルコ
キシ基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子が挙げら
れ、核置換スチレンの具体例としては、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、核ハロゲン化スチレン、α−、または
β−ビニルナフタレンなどが挙げられる。
【0010】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニ
トリルなどが挙げられる。ジエン化合物としては、ブタ
ジエン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、シクロペ
ンタジエン等の共役ジエン単量体、2,5−ノルボルナ
ジエン、1,4−シクロヘキサジエン、4−エチリデン
ノルボルネンなどの非共役ジエン単量体などが挙げられ
る。
【0011】メタクリル酸アルキルエステルとしては、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸シクロヘキシルなどが挙げられ、またアクリル酸アル
キルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘ
キシルなどが挙げられる。また、80重量%以上の前記
構成単位と共に多官能性単量体等を20重量%以下の範
囲で含んでいてもよい。多官能性単量体としては、メタ
クリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチル
などの他、エチレングリコールジメタクリレート、ジビ
ニルベンゼン、1、4−ブチレングリコールジアクリレ
ート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレー
ト、ケイヒ酸アリル、ソルビン酸アリル、トリメット酸
トリアリル、フマール酸ジアリルなどが挙げられる。
【0012】スチレン系重合体の具体例としては、ポリ
スチレン、アクリロニトリルースチレン共重合体、アク
リロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、スチレン
−メチルメタクリレート共重合体、ABS樹脂、AAS
樹脂等が挙げられる。なお、ここで述べるABS樹脂と
は、ポリブタジエン、スチレンーブタジエン共重合体等
のジエン系ゴムラテックスの存在下にアクリロニトリル
ースチレン、アクリロニトリルーメチルメタクリレート
ースチレン、アクリロニトリルースチレンーαーメチル
スチレン等の単量体混合物を乳化重合して得られる重合
体であり、AAS樹脂とは、ジエン系ゴムに代えて、ポ
リブチルアクリレート、ブチルアクリレートーエチルア
クリレート共重合体等のアクリルゴムを用いて得られる
重合体である。
【0013】塩化ビニル系重合体を構成する化合物とし
ては、塩化ビニルを主成分とし、これと共重合可能な他
の単量体との共重合体が挙げられる。塩化ビニルと共重
合可能な単量体としては、塩化ビニリデン、酢酸ビニ
ル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキ
ルエステルが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステ
ル及びアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、
前記した通りである。 <乳化重合法>本発明においては、前記構成単位を重合
させる方法は乳化重合法による。
【0014】乳化重合法による反応は、重合体製造用単
量体を選び、重合開始剤の存在下で行う。使用し得る開
始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等
の水溶性無機過酸化物を含有する触媒が挙げられ、これ
ら重合開始剤の使用量は重合する単量体の種類によって
変わるが、通常、単量体(混合物)100重量部に対し
て0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部
の範囲で選ばれる。
【0015】乳化重合法による反応は、乳化剤を使用す
る。本発明で用いられる乳化剤としては、アニオン型界
面活性剤が好ましく、具体的にはカルボン酸、硫酸エス
テル、スルホン酸等の金属塩であって水溶性のものが挙
げられる。カルボン酸の例としては、高級脂肪酸、樹脂
酸などであり、高級脂肪酸の具体例としては、炭素数8
〜20の長鎖アルキル又はアルケニル脂肪酸が好まし
く、その例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリ
ル酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
樹脂酸としてはデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエ
チン酸などが挙げられる。
【0016】硫酸エステルの例としては、炭素数10〜
20の高級アルコール硫酸エステル、高級アルキルエー
テル硫酸エステル、アルキルフェニルエーテル硫酸エス
テル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン等が挙げられ
る。スルホン酸の例としては、アルキルベンゼンスルホ
ン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェ
ニルエーテルジスルホン酸、αーオレフィンスルホン酸
等が挙げられる。
【0017】上記化合物は金属塩である必要があり、塩
を構成する金属としてはアルカリ金属が好ましく、具体
的には、カリウム、ナトリウム、リチウム等が挙げられ
る。乳化剤として特に好ましいものは、不均化ロジン酸
ナトリウム又はカリウム塩、牛脂肪酸ナトリウム又はカ
リウム塩、パルミチン酸カリウム、ラウリン酸カリウ
ム、ラウリル硫酸エステルのナトリウム塩、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク
酸ナトリウム等である。
【0018】これら乳化剤は、単量体の種類、乳化剤の
種類によって変わるが、通常単量体(混合物)100重
量部に対して0.4〜5重量部、好ましくは0.5〜4重
量部の範囲で選ばれる。乳化剤の量があまり少なすぎる
と重合安定性が悪くなり、あまり多すぎると凝固処理工
程での凝固性が悪くなり、また洗浄工程における排水の
泡立ちが悪くなる。
【0019】乳化重合法による反応は、連鎖移動剤の存
在下で行うことができる。用いられる連鎖移動剤として
は特に制限はないが、具体例としてn−オクチルメルカ
プタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメル
カプタン、テルピノレン、α−メチルスチレンリニアダ
イマ等が挙げられる。これら連鎖移動剤は、通常、単量
体(混合物)100重量部に対して0.1〜5重量部、
好ましくは0.5〜3重量部使用する。また、これらは
全量を一時に重合系に導入してもよく、段階的に導入し
てもよい。
【0020】乳化重合法における反応時の固形分濃度
は、50重量%以下が好ましい。50重量%を越える
と、反応生成物中への凝固物の発生や反応容器(缶)壁
面、攪拌翼、バッフル等への付着物(スケール)が多く
なり好ましくない。この固形分濃度は、凝固処理の際、
その装置に適合した適当な濃度に調整してもよい。乳化
重合法における反応温度は、使用する単量体の種類、重
合開始剤の種類等によって変わるが、通常は50〜90
℃の範囲で選ばれる。90℃を越える場合には一気に反
応が起こり、反応生成物中への凝固物の発生や反応容器
(缶)等への付着物(スケール)が多くなり、重合率の
低下及び最終製品の品質低下の原因になるので好ましく
ない。なお、重合反応中に重合系の温度は経時的に変化
させてもよい。
【0021】<凝固処理>本発明では、乳化重合法で得
られた重合体のラテックスを凝固剤を溶解した水相と接
触させることにより凝固処理を行い、ラテックス中の乳
化剤を失活させる。ここで使用する凝固剤は、乳化重合
工程で使用した乳化剤の種類に応じて選ばれるが、通
常、水溶性無機塩、無機酸及び有機酸から選ばれる少な
くとも一種が用いられる。
【0022】水溶性無機塩としては、例えば、塩化カル
シウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミ
ニウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸ア
ルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、
硫酸アルミニウムナトリウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等が
挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝
酸、燐酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢
酸が挙げられる。
【0023】これらは、単独で用いても、数種類を併用
してもよい。好ましい凝固剤は、重合体の色調に影響を
与えず、成形時に使用する金型等の腐食に影響を与える
ことの少ない水溶性無機塩であり、なかでも硫酸マグネ
シウムが特に好ましい。凝固剤の添加量は重合体のラテ
ックス中の乳化剤を失活するに十分な量が必要であり、
前記乳化剤の種類、添加量に応じて選択すればよいが、
具体的には、ラテックスの固形分に対して0.1〜30
重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲で選ばれる。
添加量が少なすぎると重合体が充分に回収出来ない場合
があり、また、多すぎると費用が嵩み、回収された重合
体中に残存する量も多くなり、いずれも好ましくない。
【0024】凝固処理は、個別に調製した重合体のラテ
ックスと凝固剤水溶液を連続的に接触させてもよいし、
バッチ式に行ってもよい。凝固処理における重合体のラ
テックスと凝固剤とを接触させる温度は、特に限定はな
いが、温度が低すぎると回収される重合体の粒子径が著
しく小さくなるため、その後の固液分離の工程において
濾布の目詰まりを起こしたり、乾燥工程において粉末が
飛散して収率が低下したりする。また、温度が高すぎる
と、得られる重合体の色調が悪くなったり、重合体を混
練する際の混練効果が低下したりするので好ましくな
い。具体的には、重合体がスチレン系重合体の場合に
は、30℃〜145℃の範囲で選ぶのが好ましく、また
この温度範囲で経時的に昇温してもよい。
【0025】重合体のラテックスに凝固剤を接触させる
と、通常、短時間で重合体粒子が析出し、同時に重合体
粒子間の凝集が起こる。凝集が進行し、粒径が大きくな
ると重合体粒子間に前述の重合助剤、凝固剤、それらの
反応生成物などの各種化合物が抱き込まれ、洗浄しても
重合体粒子に抱き込まれた化合物を分離することは困難
になる。他方、短時間で次工程に送られ、粒径が小さい
ままであったり、未凝固のラテックスが残存している
と、収率、取扱い性、輸送性、乾燥性等において問題が
生じ、いずれも好ましくない。そのため、凝固処理は凝
固剤を添加した後2〜20分間攪拌を継続し、適切な凝
集を生じさせるのが好ましい。
【0026】本発明では、前記凝固処理により凝固した
重合体粒子を水相から分離し、その分離液を未凝固ラテ
ックスを凝固処理する際の水相として再使用する。分離
液中には、余剰の凝固剤、分離の際目洩れした粒子径の
小さい重合体などが含まれており、水温もそれほど低下
していない。よって、分離液を再使用することにより、
重合体の回収率を向上させ、水を効率的に使用し、かつ
熱効率も向上させることができる。
【0027】凝固液から分離された重合体粒子は、水あ
るいは酸性、アルカリ性に調製した水で洗浄する洗浄工
程、水分を分離する脱水工程において固液分離される。
この際得られた分離液もそのまま又は前記分離液に混合
して再使用することができる。分離液を未凝固ラテック
スを凝固処理する際の水相として再使用する場合には、
凝固剤を追加するのが好ましい。この際追加する凝固剤
の量は経験的に決めることができる。また、分離液を再
使用する際に温度が若干低下している場合には所望の温
度加熱して使用するのが好ましい。
【0028】重合体粒子を分離する方法は従来から知ら
れている方法によってよく、例えば、重力濾過法、真空
濾過法、遠心分離法、加圧濾過法等が挙げられる。粒度
分布等の粉体特性、最終的に得られる熱可塑性樹脂の物
性を改良することを目的として、凝固の際又は凝固後も
しくは水洗時に、酸、塩基、その他金属塩等を添加する
こともできる。 <還元剤>本発明では、前記凝固処理の工程に還元剤を
添加する。凝固処理の工程で還元剤を添加することによ
って最終的に色調に優れた熱可塑性樹脂が得られる。こ
れは、還元剤が再使用する水相に含まれる重合体の着色
の原因となる成分に何らかの影響を及ぼすためであると
思われる。
【0029】還元剤は、例えば、凝固剤水溶液と接触さ
せる前の重合体のラテックスに添加してもよいし、凝固
剤水溶液と接触させて固液分離する前の水相、又は再使
用する分離液に添加してもよい。また還元剤は1回添加
しても、数回に分けて添加してもよい。本発明で使用さ
れる還元剤は、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシ
レート、ブドウ糖、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、エチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチ
ルアニリン、ナフテン酸コバルト、スルフィン酸、メル
カプタン等である。その中でも、取扱いが容易で、効果
が高いナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、
ブトウ糖等が好ましい。還元剤は通常水溶液として添加
され、その添加量は、乳化重合に使用した重合開始剤1
00重量部に対して、10重量部〜1000重量部、好
ましくは50重量部〜500重量部である。添加量が少
なすぎると効果が十分に発現されず、あまり多すぎると
費用が嵩み、回収される重合体中に残存する量も多くな
り好ましくない。
【0030】還元剤の水溶液の温度は特に制限はない
が、重合体ラテックスに添加する際、乳化重合反応終了
時の温度から、常温に下がるまでの間に添加するのが生
産性の面から見て好ましい。分離して得られた重合体粒
子は通常の方法で洗浄、乾燥し重合体粉末を得る。こう
して得られた重合体粉末には、必要に応じて、安定剤、
滑剤、補強剤、充填剤、難燃剤、着色剤、顔料などの通
常の添加剤を配合して実用に供することができる。また
その後、バンバリーミキサーによりペレット化した後、
用途に応じて射出成形法などの通常の成形技術によって
成形品とされる。
【0031】
【実施例】下記の実施例及び比較例は、本発明をさらに
具体的に説明するためのものであり、本発明はその要旨
を越えない限り、以下の記載例に限定されるものではな
い。なお、以下の例において、「部」とは重量部を意味
する。以下の各実施例及び比較例において、熱可塑性樹
脂の物性は、次の方法によって測定した。
【0032】(1)引っ張り強度 JIS K7113に準拠して測定した。単位:Kg/cm2 (2)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠して測定した。単位:Kg-cm/
cm (3)色調 JIS K7103に準拠し、黄色度YIをスガ試験機
社製SMカラーコンピューター、SM−4−CHにて測
定した。 (4)ラッテックスの重量平均粒子径 米国コールター社製「ナノサイザー」によって測定し
た。単位:μm
【0033】<重合体ラテックスの製造例> 重合体ラテックス(A) (1)ゴム質重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置及び原料、助剤仕込み装置を備
えた容量5LのSUS製オートクレーブに、脱イオン水
150部、高級脂肪酸石鹸(炭素数18を主成分とする
脂肪酸のナトリウム塩)4.0部、水酸化ナトリウム0.
075部を仕込み、窒素置換後68℃に昇温した。1,
3−ブタジエン(以下BDという)90部、スチレン
(以下Stという)10部とt-ドデシルメルカプタン
(以下TDMという)0.3部よりなる単量体混合物の
うち20%を仕込んだ後、過硫酸カリウム0.15部を添
加した。約数分で発熱が起こり、重合の開始が確認され
た。過硫酸カリウムを添加後、1時間後から単量体混合
物の80%の連続仕込みを開始、6時間の時点で終了し
た。単量体混合物添加終了後、温度を80℃まで上げ、
さらに1時間重合反応を行った。得られたゴム状重合体
はラテックス状を呈し、固形分濃度39.5%、平均粒
径0.08μmであった。
【0034】(2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置、及び各原料、助剤仕込装置を
備えた容量5Lの反応器に上記共役ジエン系ゴムラテッ
クス(以下SBRという)を無水酢酸を用いて0.25
に粒径肥大したものを、固形分として100部、及び脱
イオン水347部(ラテックス中の水分を含む)を仕込
み、80℃に昇温した。80℃に達した時点で、脱イオ
ン水20部に溶解した過硫酸カリウム0.22部を仕込
むと同時に、St70部、アクリロニトリル(以下AN
という)30部、TDM1.0部、及び不均化ロジン酸カ
リウム石鹸1.8部、水酸化カリウム0.37部、脱イオ
ン水35部を2時間30分かけて添加した。添加開始後
30分後より、2時間かけて脱イオン水40部に溶解し
た過硫酸カリウム0.60部を添加した。添加終了後、
さらに30分間反応を続け、冷却後、老化防止剤5部を
添加して反応を終了した。
【0035】重合体ラテックス(B) (1)ゴム質重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置等を備えた容量5Lガラス製フ
ラスコに水151部、高級脂肪酸石鹸(炭素数18を主
成分とする脂肪酸のナトリウム塩)2部、炭酸水素ナト
リウム1部を仕込み、窒素気流下75℃に昇温した。過
硫酸カリウム0.135部を添加した後、5分して、アク
リル酸ブチルエステル(BA)100部よりなる単量体
のうち4部を仕込んだ。約数分で発熱が起こり、重合の
開始が確認された。最初の単量体の仕込後20分で、残
りの単量体の連続添加を開始、3時間20分の時点でそ
の添加を終了した。この途中2時間の時点で脂肪酸石鹸
1部を加え、2時間30分の時点で過硫酸カリウム0.0
15部を加えた。単量体混合物添加終了後80℃へ昇温
し、さらに1時間同一温度にて重合を進めた。固形分濃
度39.5重量%、平均粒径0.08μmであった。
【0036】(2)グラフト共重合体の製造 攪拌装置、加熱冷却装置及び各原料、助剤仕込装置を備
えた容量5Lの反応器に、上記ゴム状重合体ラテックス
を固形分として100部、炭酸水素ナトリウム1部及び
脱イオン水402部(ラテックスの水分含む)を仕込
み、70℃に昇温した。70℃に達した時点で、St1
54部、AN66部、TDM0.44部及び過硫酸カリ
ウム1.1部、不均化ロジン酸カリウム石鹸4.0部、
脱イオン水88部を3時間30分かけて添加した。添加
終了後、さらに30分間反応を続け、冷却後、老化防止
剤5部を添加して反応を終了した。
【0037】実施例1 90℃に加熱した4重量%の硫酸マグネシウム水溶液
(凝固液)を準備した。この凝固液1500部に、ラテ
ックスの固形分100部に対してナトリウムホルムアル
デヒドスルホキシレート(SFS)の2重量%水溶液を
固形分換算で0.485部(使用した過硫酸カリウムに
対し100部)を添加した重合体ラテックス(A)(固
形分として100部)を加えて、攪拌しながら凝固させ
た。凝固液に重合体ラテックス(A)の添加終了後、更
に5分間攪拌を継続した。凝固した重合体粒子を濾過し
て分離し、分離液(a)を得た。
【0038】分離液(a)に硫酸マグネシウムを最先の
凝固液の濃度になるように追加添加し、90℃に昇温し
て上記凝固液と同様に1500部調製し、これに未凝固
の重合体ラテックス(A)の固形分100重量部に対し
て、上と同様にSFSの2重量%水溶液を固形分換算で
0.485部添加した重合体ラテックス(A)固形分と
して100部)を加えて攪拌しながら凝固させた。分離
液(a)に重合体ラテックス(A)の添加終了後更に5
分間攪拌を継続した。凝固した重合体粒子を濾過して分
離し、分離液(b)を得た。
【0039】分離液(b)にも分離液(a)への添加に
おけると同様の手順で未凝固重合体ラテックス(A)を
加えて凝固させ、分離液(c)を得た。このように分離
液の再使用操作を10回繰り返して得られた重合体粒子
を水洗、乾燥して白色粉末状重合体を得た。得られた重
合体粉末に、希釈用AS樹脂(モンサント化成(株)製
SAN−L)を表1に記載した割合で混合し、バンバリ
ーミキサーにて混練、ペレット化した。このペレットを
用い射出成形機によって色調測定用、及び物性測定用の
テストピースを成形し、前記した方法によって物性を評
価した。結果を表1に示す。
【0040】実施例2〜5 実施例1において示した、重合体ラテックス、還元剤の
種類、その添加量を表1に記載したとおりに変更した他
は同例におけると同様の手順で凝固処理を行い、得られ
た重合体につき同例におけると同様に、色調、物性を評
価した。結果を表1に示す。 比較例1,2 実施例1において示した、重合体ラテックス、還元剤の
種類、量を表2に記載したとおりに変更した他は同例に
おけると同様の手順で行い、色調、物性を測定した。結
果を表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表1及び表2より、以下のことが明かとな
る。凝固処理の工程で特定量の還元剤を添加した実施例
においては、成形品の色調に優れている。還元剤を添加
しなかった比較例においては成形品の色調が悪い。
【0044】
【発明の効果】本発明方法は、次のような特別に有利な
効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。 1.本発明方法によるときは、熱エネルギー及び水の節
約、重合体粒子回収率の向上をはかることができる。 2.本発明方法によるときは、色調に優れた熱可塑性樹
脂を製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳化重合法によって得られた重合体のラテ
    ックスを、凝固剤を溶解した水相と接触させることによ
    り凝固処理し、凝固した重合体粒子を分離するとともに
    分離液を前記凝固処理の水相として再使用する方法にお
    いて、凝固処理の工程で、乳化重合反応に使用した重合
    開始剤100重量部に対して10重量部〜1000重量
    部の還元剤を添加することを特徴とする熱可塑性樹脂の
    製造方法。
  2. 【請求項2】重合体が、芳香族ビニル化合物、シアン化
    ビニル化合物、ジエン化合物、メタクリル酸アルキルエ
    ステル、アクリル酸アルキルエステルから選ばれる少な
    くとも一種の単位を80重量%以上含むことを特徴とす
    る、請求項1に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】還元剤がナトリウムホルムアルデヒドスル
    ホキシレート、ブドウ糖、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水
    素ナトリウム、エチルアミン、トリエタノールアミン、
    ジメチルアニリン、ナフテン酸コバルト、スルフィン
    酸、メルカプタンから選ばれた少なくとも一種の化合物
    であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹
    脂の製造方法。
  4. 【請求項4】凝固処理する際に用いる凝固剤が、水溶性
    無機塩、無機酸、有機酸から選ばれる少なくとも一種で
    あることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂
    の製造方法。
  5. 【請求項5】重合開始剤が水溶性無機酸化物を含有する
    触媒であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑
    性樹脂の製造方法。
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CN112876586A (zh) * 2021-01-18 2021-06-01 万华化学(四川)有限公司 一种abs接枝胶乳的凝聚方法
WO2022159042A1 (en) * 2021-01-22 2022-07-28 National Science And Technology Development Agency Method for preparation of natural rubber with constant viscosity using aldehyde compounds

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