JPH06240009A - 粉粒状重合体の製造方法 - Google Patents

粉粒状重合体の製造方法

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JPH06240009A
JPH06240009A JP2691393A JP2691393A JPH06240009A JP H06240009 A JPH06240009 A JP H06240009A JP 2691393 A JP2691393 A JP 2691393A JP 2691393 A JP2691393 A JP 2691393A JP H06240009 A JPH06240009 A JP H06240009A
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昌樹 杉原
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒径分布がシャープで且つ熱安定性に優れた
粉粒状重合体を得る。 【構成】 特定の界面活性剤を特定量含有する重合体ラ
テックスを凝析する際、まずラテックス中の重合体を酸
を用いて特定量凝析させ、次にさらに酸を添加して特定
のpH値で凝析を完結させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粒径分布がシャープで且
つ熱安定性に優れた粉粒状重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、重合体ラテックスから粉粒状
重合体を回収する際に、得られる粉粒状重合体の粉体特
性を改良する方法は種々検討されており、例えば特開昭
60−217224号公報には重合体ラテックスを特定
の凝析剤濃度で凝析させる方法が開示されており、また
特開昭59−91100号公報には凝固剤の添加を2段
階以上で行う方法が開示されている。しかし、特定の凝
析剤濃度で凝析させる方法は、ラテックス中に存在する
界面活性剤の種類・量等により全く凝析が起こらない場
合や、粉体特性の改良された粉粒状重合体が得られない
場合があり、さらに凝析を完結させるために追加する酸
が製品粉体の熱安定性に悪影響を及ぼし、これを解決す
るために固化前にアルカリ性物質で凝析スラリーを中和
する操作を行っているが、工程が複雑になってしまうと
いう欠点を有している。また、凝固剤の添加を2段階以
上で行う方法に関しても酸に対して不安定な界面活性剤
のみを含有するラテックスを凝固する場合、たとえ析出
量やpHを制御しても局部的に凝析が完結して、良好な
粉粒状重合体が得られないという欠点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点を解決することを目的として鋭意検討した結果、硫
酸エステル系及び/又はスルホン酸系アニオン界面活性
剤を特定量含有する重合体ラテックスを凝析する際、ま
ずラテックス中の重合体を特定量凝析させ、酸に対して
安定な界面活性剤による乳化状態保持作用と酸の乳化状
態破壊作用を調節させて、次にさらに酸を添加して特定
のpH値で凝析を完結させることにより、粒径分布がシ
ャープで且つ熱安定性に優れた粉粒状重合体を提供する
ことができることを見い出し本発明に到達した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、重合体100
重量部に対し硫酸エステル系及び/又はスルホン酸系ア
ニオン界面活性剤を0.05〜0.15重量部含有する
ラテックス中の重合体を、酸を用いて40〜80重量%
凝析させた後、さらに酸を添加してpH2.0以上で凝
析を完結させることを特徴とする粉粒状重合体の製造方
法に関する。
【0005】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
で用いられる重合体ラテックスとしては、ホモ重合体、
共重合体及びグラフト共重合体があげられ、ホモ重合体
及び共重合体のラテックスとしては、ジクロロスチレ
ン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化
合物、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチ
ルアクリレート等のアルキルアクリレート、アルキルメ
タクリレート、さらにはアクリル酸、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル等のビニル化合物、ブタジエ
ン、クロロプレン、イソプレン等の共役ジオレフィンと
その置換生成物、エチレングリコール等の単量体からな
るホモ重合体、共重合体又はそれら重合体のラテックス
混合物があげられる。
【0006】またグラフト共重合体ラテックスは弾性幹
重合体に硬質重合体を形成しうる単量体又は単量体混合
物をグラフトしたものである。グラフト共重合体ラテッ
クスを構成する弾性幹重合体としてはブタジエン、イソ
プレン、クロロプレン等のジエン系重合体、ブチルアク
リレート、オクチルアクリレート等のアルキル基の炭素
数が4〜10のアクリル酸エステル系重合体、ジメチル
シロキサン重合体及びそれらと共重合可能な単量体との
共重合体が挙げられる。共重合可能な単量体としてはス
チレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタ
クリル酸アルキルエステル、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート等のアルキルの炭素数が1〜3のアクリ
ル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等のビニルシアン化合物等があげられる。
【0007】硬質重合体を形成する単量体としては、ス
チレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート及びブチ
ルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシア
ン化合物、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニ
ル等があげられる。これらの単量体は単独あるいは2種
以上を用いて使用される。
【0008】また本発明を実施するにあたり、上記重合
体ラテックス中に、重合体100重量部に対して硫酸エ
ステル系及び/又はスルホン酸系アニオン界面活性剤が
0.05〜0.15重量部存在することが必要である。
【0009】該界面活性剤のうち硫酸エステル系アニオ
ン界面活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸エス
テル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等
があげられ、スルホン酸系アニオン界面活性剤として
は、例えばアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフ
ェニルエーテルスルホン酸塩等があげられる。該界面活
性剤は重合前、重合中、重合後いずれの時期に添加され
てもかまわない。
【0010】上記界面活性剤は重合体100重量部に対
して0.05〜0.15重量部含有されるが、該界面活
性剤の含有量が0.05重量部未満であると酸による乳
化状態破壊作用に対し界面活性剤による乳化状態保持作
用が弱くなりすぎて凝析粒子の析出状態を安定に制御す
ることが困難になり粒径分布のシャープな粉粒状重合体
を得ることが困難になり好ましくない。一方、0.15
重量部を超えると界面活性剤による乳化状態保持作用が
強くなりすぎて多量の酸を用いないと凝析しなくなり、
この場合得られる製品粉体の熱安定性が悪化するため好
ましくない。
【0011】本発明の乳化重合方法は通常行われている
方法でよく、開始剤及びその他の重合助剤等に関しては
特に制限はなく、通常使用されているものでよい。本発
明で使用する凝析剤としては、例えば塩酸、硫酸、リン
酸等の無機酸、ギ酸、酢酸等の有機酸が該当し、これら
を単独又は混合して用いられる。
【0012】本発明では第1段目の凝析として、ラテッ
クス中の重合体を40〜80重量%凝析させる必要があ
る。ここで凝析した重合体量は、凝析スラリーを東洋濾
紙No.131(JIS P3801の第3種)で濾過
し、濾液中の重合体濃度を測定して得られた未凝析重合
体量より換算した。凝析した重合体量が40重量%未満
では凝析完結時に多くの重合体ラテックスが乳化状態破
壊作用が強い状態で凝析してしまい、粒径分布のシャー
プな粉粒状重合体を得ることが困難になり好ましくな
い。また、80重量%を超える場合は乳化状態破壊作用
が強すぎるために、粒径分布のシャープな粉粒状重合体
を得ることが難しい。
【0013】ここで第1段目の凝析時のpHが下記の条
件になるようにラテックスに添加することが好ましい。
【0014】
【数2】
【0015】(式中Xは重合体100重量部に対する硫
酸エステル系及び/又はスルホン酸系アニオン界面活性
剤の重量部数) pHが右辺の値を超えるときは、酸による乳化状態破壊
作用に対し界面活性剤による乳化状態保持作用が強くな
りすぎて、全く凝析しなかったり、凝析するまでに長時
間を要したりするため好ましくない。
【0016】また、第2段目の凝析では凝析粒子を完全
に析出させた後のスラリーのpHを2.0以上にするこ
とが好ましい。凝析スラリーのpHが2.0未満の場合
は製品粉体の熱安定性が悪化するため好ましくない。
【0017】得られる凝析粒子の保形力が弱く、壊れや
すい場合は、50〜100℃に加熱処理することが好ま
しい。以後水洗、脱水、乾燥工程を経て粉粒状重合体と
して回収される。
【0018】本発明の実施に使用される代表的な装置を
図1を参照しながら説明する。重合体ラテックスは定量
ポンプ(1)から、酸は定量ポンプ(2)から第1槽
(4)に送られる。重合体の回収率を高めるために追加
する酸は定量ポンプ(3)から第2槽(5)に送られ
る。スラリーを第3槽(6)で熱処理した後、図示して
いないがさらに水洗、脱水、乾燥し、粉粒状重合体を得
る。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。なお、実施例は図1に示す装置を用
いて行なった。
【0020】〔実施例1〕スチレン・ブタジエン弾性幹
重合体70重量部にスチレン15重量部、メチルメタク
リレート13.2重量部、エチルアクリレート1.8重
量部を重合させグラフト共重合体ラテックス(固形分3
6%)を得た。得られたラテックスの平均粒径は0.1
μm、pHは8.0でありラテックス中に存在する界面
活性剤の種類及び量は表1のとおりである。
【0021】上記ラテックスと表1に示す種類の酸を、
第1槽のpH及び凝析した重合体量(%)が表1に示す
値になるように供給した。第2槽に表1に示す種類の酸
をpHが表1に示す値になるように供給した。さらに第
3槽で表1に示す温度で凝析スラリーを熱処理した。第
3槽から排出されたスラリーを水洗、脱水、乾燥し、粉
粒状重合体を得た。
【0022】得られた粉粒状重合体の諸性質を以下に示
す方法により測定した。これらの測定方法は以下の実施
例及び比較例で共通して使用した。評価結果を表1に示
す。粒子の均整度:粒子の均整度Nは、下記式で表し
た。
【0023】N=D75/D25 (式中D75は積算重量分布曲線の75%にある粒子径
(μm)又はD25は粒子群の積算重量分布曲線の25%
にある粒子径(μm)を表わす。) 熱安定性:乾燥粉を120℃一定に保たれているギアオ
ーブンの中にいれて熱着色の状態の経時変化を目視評価
した。着色の状態を下記の3段階に分けて評価した。
【0024】○ ほとんど着色しない △ 黄色に着色する × 茶色に焦げる 〔実施例2、3〕ラテックス中に存在する界面活性剤の
種類と、第1槽のpH及び凝析した重合体量、第2槽の
pHを表1に示すように変えた他は実施例1と同様にし
て粉粒状重合体を得た。評価結果を表1に示す。
【0025】〔実施例4〕ラテックス中に存在する界面
活性剤の種類と、第1槽のpH及び凝析した重合体量を
表1に示すように変えた他は実施例1と同様にして粉粒
状重合体を得た。評価結果を表1に示す。
【0026】〔実施例5〕ラテックス中に存在する界面
活性剤の量と、第1槽のpH及び凝析した重合体量、第
2槽のpHを表1に示すように変えた他は実施例1と同
様にして粉粒状重合体を得た。評価結果を表1に示す。
【0027】〔実施例6〕ラテックス中に存在する界面
活性剤の種類及び量と、第1槽のpH及び凝析した重合
体量、第2槽のpHを表1に示すように変えた他は実施
例1と同様にして粉粒状重合体を得た。評価結果を表1
に示す。
【0028】
【表1】
【0029】〔比較例1〕第1槽のpHを表2に示すよ
うに変え、第1槽で凝析が完結していたため第2槽に酸
を供給しなかった他は実施例1と同様にして粉粒状重合
体を得た。評価結果を表2に示す。
【0030】〔比較例2〕第1槽のpH及び凝析した重
合体量を表2に示すように変えた他は実施例1と同様に
して粉粒状重合体を得た。評価結果を表2に示す。
【0031】〔比較例3、4〕第2槽のpHを表2に示
すように変えた他は実施例1と同様にして粉粒状重合体
を得た。評価結果を表2に示す。
【0032】〔比較例5、6〕ラテックス中に存在する
界面活性剤の量と、第1槽のpH及び凝析した重合体
量、第2槽のpHを表2に示すように変えた他は実施例
1と同様にして粉粒状重合体を得た。評価結果を表2に
示す。
【0033】
【表2】
【0034】〔実施例7〕メチルメタクリレート85%
とブチルアクリレート15%を乳化重合させ共重合体ラ
テックス(固形分28%)を得た。得られたラテックス
の平均粒径は0.105μm、pHは8.0であり、ラ
テックス中に存在する界面活性剤の種類及び量は表3に
示すとおりである。
【0035】上記ラテックスと表3に示す種類の酸を、
第1槽のpH及び凝析した重合体量が表3に示す値にな
るように供給した。第2槽に表3に示す種類の酸をpH
が表3に示す値になるように供給した。第3槽では表3
に示す温度で凝析スラリーを熱処理した。第3槽から排
出されたスラリーを水洗、脱水、乾燥し、粉粒状重合体
を得た。評価結果を表3に示す。
【0036】〔実施例8〕ラテックス中に存在する界面
活性剤の量と、第1槽のpH及び凝析した重合体量、第
2槽のpHを表3に示すように変えた他は実施例7と同
様にして粉粒状重合体を得た。評価結果を表3に示す。
【0037】〔比較例7、8〕ラテックス中に存在する
界面活性剤の量と、第1槽のpH及び凝析した重合体
量、第2槽のpHを表3に示すように変えた他は実施例
7と同様にして粉粒状重合体を得た。評価結果を表3に
示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定量の界面活
性剤を含有する重合体ラテックスを第1段目の凝析時の
析出量を制御することにより、微粉が少なく、粒径分布
のシャープな粉粒状重合体を容易に得ることができ、第
2段目の凝析時のpHを2.0以上とすることで製品粉
体の熱安定性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される装置例である.
【符号の説明】
1、2、3 定量ポンプ 4 第1槽 5 第2槽 6 第3槽
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【数1】 (式中Xは重合体100重量部に対する硫酸エステル系
及びスルホン酸系アニオン界面活性剤の重量部数)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 渉 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体100重量部に対し硫酸エステル
    系及び/又はスルホン酸系アニオン界面活性剤を0.0
    5〜0.15重量部含有するラテックス中の重合体を、
    酸を用いて40〜80重量%凝析させた後、さらに酸を
    添加してpH2.0以上で凝析を完結させることを特徴
    とする粉粒状重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 1段目の凝析を下記pH範囲で行うこと
    を特徴とする請求項1記載の粉粒状重合体の製造方法。 【数1】 (式中Xは重合体100重量部に対する硫酸エステル系
    及び/又はスルホン酸系アニオン界面活性剤の重量部
    数)
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