JPH07217640A - ボールジョイントの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボールジョイントの製造方法に関し、ボス加
工およびダスト溝加工を廃止することで、コストを低減
することを目的とする。 【構成】 軸部に連続する頭部にソケット孔を形成した
ソケットと、開口部が形成された大径の円筒部と大径の
円筒部の外周部に形成された段部と収納部が形成された
小径の円筒部を有するプラグを準備する第１工程（ａ）
と、ソケットのソケット孔にプラグの小径の円筒部を圧
入して段部とソケットの頭部の間にダスト溝を形成する
第２工程（ｂ）と、プラグの収納孔からボールスタッド
の球部をベアリングで包着して挿入しベアリングの底部
にエンドカバーを介在させた後にプラグの小径の円筒部
の端部をエンドカバー側およびソケット側にカシメ加工
する第３工程（ｃ）よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車などのステアリ
ングリンケージやサスペンションなどに使用されるボー
ルジョイントの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のボールジョイントの製造方法を、
図９に基づいて説明する。図９において、１はボールジ
ョイントソケットであり、ボールジョイントソケット１
は機械加工によりボス部２が形成される。ボス部２の外
周部には機械加工により、ダストカバー３が装着される
ダスト溝４が形成される。

【０００３】また、ボールジョイントソケット１のボス
部２にはボールスタッド５の軸部６が挿入される開口部
７と、ベアリング８とボールスタッド５の球部９が収納
される収納孔１０が形成される。次に、ベアリング８に
ボールスタッド５の球部９を嵌め入れた状態でこれらを
ボールジョイントソケット１のボス部２の収納孔１０に
圧入する。

【０００４】その後、ベアリング８の底部にエンドカバ
ー１１を介在してボールジョイントソケット１の底縁部
１２をカシメ加工する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のボールジョイントの製造方法にあっては、ボ
ールジョイントソケットを形成するのにボス加工および
ダスト溝加工という機械加工が必要であるため、コスト
が高くなるという問題点があった。本発明は、このよう
な従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ボス加
工およびダスト溝加工を廃止することで、コストを低減
することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、図１に示すように、軸部に連続する頭部
にソケット孔を形成したソケットと、ボールスタッドの
軸部が挿入される開口部が形成された大径の円筒部と該
大径の円筒部の外周部に形成された段部とベアリングお
よびボールスタッドの球部を収納する収納部が形成され
た小径の円筒部を有するプラグを準備する第１工程
（ａ）と、前記ソケットのソケット孔に前記プラグの小
径の円筒部を圧入して前記段部と前記ソケットの頭部の
間にダスト溝を形成する第２工程（ｂ）と、前記プラグ
の収納孔からボールスタッドの球部をベアリングで包着
して挿入しベアリングの底部にエンドカバーを介在させ
た後に前記プラグの小径の円筒部の端部をエンドカバー
側および前記ソケット側にカシメ加工する第３工程
（ｃ）よりなることを特徴とする。

【０００７】また、本発明は、前記ソケットのソケット
孔に前記プラグの小径の円筒部を圧入する前に、前記ソ
ケット孔の内径面および前記プラグの小径の円筒部の外
周面にセレーション加工を施すことを特徴とする。

【０００８】

【作用】本発明によれば、軸部に連続する頭部にソケッ
ト孔を形成したソケットと、開口部が形成された大径の
円筒部と大径の円筒部の外周部に形成された段部と収納
部が形成された小径の円筒部を有するプラグを準備し、
ソケットのソケット孔にプラグの小径の円筒部を圧入し
て段部とソケットの頭部の間にダスト溝を形成し、プラ
グの収納孔からボールスタッドの球部をベアリングで包
着して挿入しベアリングの底部にエンドカバーを介在さ
せた後にプラグの小径の円筒部の端部をエンドカバー側
およびソケット側にカシメ加工するようにしたため、従
来のように、ボス加工およびダスト溝加工という機械加
工が不要となり、コストを低減することができる。

【０００９】また、ソケットのソケット孔にプラグの小
径の円筒部を圧入する前に、ソケット孔の内径面および
プラグの小径の円筒部の外周面にセレーション加工する
ようにしたため、圧入性を向上させることができ、ま
た、回転止めとすることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図２〜図８は本発明の一実施例を示す図である。
まず、ボールジョイントを製造する第１工程では、図２
に示すようなソケットと図４に示すようなプラグを準備
する。

【００１１】図２において、２１はソケットであり、ソ
ケット２１は軸部２２と軸部２２に連続して形成された
頭部２３を有する。頭部２３にはプラグが挿入されるソ
ケット孔２４が形成される。ソケット孔２４の内径面は
ストレート面またはテーパ面とする。軸部２２と頭部２
３の間には上部側に略凹部２５が形成され、下部側に湾
曲部２６が形成されている。

【００１２】頭部２３のソケット孔２４は、図３に示す
ように、圧入性を向上させ、また、回転止めのためにセ
レーション加工が施される。セレーション加工により、
ソケット孔２４の内径面には凹凸部２７が形成される。
図４において、２８はプラグであり、このプラグ２８は
ソケット２１のソケット孔２４に圧入される。プラグ２
８は収納部２９が形成された小径の円筒部３０を有す
る。収納部２９にはベアリングとボールスタッドの球部
が球部をベアリングで包着した状態で収納される。

【００１３】小径の円筒部３０に連続して大径の円筒部
３１が一体に形成され、大径の円筒部３１には開口部３
２が形成されている。開口部３２にはボールスタッドの
軸部が挿入される。大径の円筒部３１の外周部には周方
向に突出部３３が一体で形成され、突出部３３の上部に
は段部３４が形成される。図５に示すように、小径の円
筒部３０の外周面には圧入性の向上および回転止めのた
めにセレーション加工が施される。セレーション加工に
より、小径の円筒部３０の外周には凹凸部３５が形成さ
れる。

【００１４】次に、図６に示すように、第２工程では、
ソケット２１にプラグ２８を圧入する。図６において、
ソケット２１の頭部２３のソケット孔２４にはプラグ２
８の小径の円筒部３０が圧入される。ソケット２１のソ
ケット孔２４の内径面にはセレーション加工が施され、
また、プラグ２８の小径の円筒部３０の外周面にはセレ
ーション加工がそれぞれ施されているので、ソケット２
１にプラグ２８を圧入するとき、圧入性を向上させるこ
とができ、また、回転止めとすることができる。

【００１５】プラグ２８の段部３４とソケット２１の頭
部２３の間にはダストカバーが装着されるダスト溝３６
が形成される。すなわち、ダスト溝加工を施すことな
く、ソケット２１のソケット孔２４にプラグ２８の小径
の円筒部３０を圧入するだけで、ダスト溝３６が形成さ
れる。次に、図７に示すように、第３工程では、ベアリ
ング３７にボールスタッド３８の球部３９を包着した状
態でプラグ２８の収納孔２９にベアリング３７と球部３
９を収納し、エンドカバー４０を介在した後にプラグ２
８の小径の円筒部３０の端部４１をエンドカバー４０側
およびソケット２１側にカシメ加工を施す。

【００１６】すなわち、まず、ベアリング３７にボール
スタッド３８の球部３９を嵌め入れた状態でこれらをプ
ラグ２８の収納孔２９に圧入する。ボールスタッド３８
の軸部４２は、プラグ２８の開口部３２から突出する。
次に、ベアリング３７の底部にエンドカバー４０を介在
させる。次に、プラグ２８の小径の円筒部３０の端部４
１をエンドカバー４０側およびソケット２１側にカシメ
加工を施す。

【００１７】カシメ加工は、図８に示すように、プラグ
２８の小径の円筒部３０の端部４１をつぶして断面が半
円形状となるようにして、内径端部４３がエンドカバー
４０側に張り出し、外径端部４４がソケット２１の頭部
２３側に張り出すように行う。このカシメ加工により、
エンドカバー４０の収納孔２９からの抜け止めを行うと
ともに、プラグ２１のソケット孔２４からの抜け止めを
行うことができる。従来のボールジョイントソケットの
ボス加工およびダスト溝加工を廃止することができるの
で、コストを低減することができる。すなわち、ソケッ
ト２１とプラグ２８の二つの部材でボス部とダスト溝３
６を形成するようにしたため、ボス加工とダスト溝加工
という従来の機械加工が不要となり、コストを低減する
ことができる。

【００１８】また、ソケット２１のソケット孔２４の内
径面およびプラグ２８の小径の円筒部３０の外周面にセ
レーション加工を施すようにしたため、圧入性を向上さ
せることができ、また回転止めとすることができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、ソケット孔を有するソケットと、収納孔が形成され
た大径の円筒部と該大径の円筒部の外周に形成された段
部と開口部が形成された小径の円筒部を有するプラグを
準備し、ソケットのソケット孔にプラグの小径の円筒部
を圧入して段部とソケットによりダスト溝を形成し、ベ
アリングとボールスタッドの球部を収納し、エンドカバ
ーをベアリングの底部に介在した後にエンドカバー側お
よびソケット側に小径の円筒部の端部をカシメ加工を行
ったため、ボス加工およびダスト溝加工を廃止すること
ができ、コストを低減することができる。

【００２０】また、ソケットのソケット孔の内径面およ
びプラグの小径の円筒部の外周面にセレーション加工を
施したため、圧入性を向上させることができ、また、回
転止めとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理説明図

【図２】ソケットを示す図

【図３】ソケットのセレーション加工の説明図

【図４】プラグの断面図

【図５】プラグのセレーション加工の説明図

【図６】第２工程の説明図

【図７】第３工程の説明図

【図８】カシメ加工の要部説明図

【図９】従来例を示す図

【符号の説明】

２１：ソケット ２２，４２：軸部 ２３：頭部 ２４：ソケット孔 ２５：略凹部 ２６：湾曲部 ２７，３５：凹凸部 ２８：プラグ ２９：収納孔 ３０：小径の円筒部 ３１：大径の円筒部 ３２：開口部 ３３：突出部 ３４：段部 ３６：ダスト溝 ３７：ベアリング ３８：ボールスタッド ３９：球部 ４０：エンドカバー ４１：端部 ４３：内径端部 ４４：外径端部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸部に連続する頭部にソケット孔を形成し
   たソケットと、ボールスタッドの軸部が挿入される開口
   部が形成された大径の円筒部と該大径の円筒部の外周部
   に形成された段部とベアリングおよびボールスタッドの
   球部を収納する収納部が形成された小径の円筒部を有す
   るプラグを準備する第１工程と、 前記ソケットのソケット孔に前記プラグの小径の円筒部
   を圧入して前記段部と前記ソケットの頭部の間にダスト
   溝を形成する第２工程と、 前記プラグの収納孔からボールスタッドの球部をベアリ
   ングで包着して挿入しベアリングの底部にエンドカバー
   を介在させた後に前記プラグの小径の円筒部の端部をエ
   ンドカバー側および前記ソケット側にカシメ加工する第
   ３工程よりなることを特徴とするボールジョイントの製
   造方法。
2. 【請求項２】前記ソケットのソケット孔に前記プラグの
   小径の円筒部を圧入する前に、前記ソケット孔の内径面
   および前記プラグの小径の円筒部の外周面にセレーショ
   ン加工を施すことを特徴とする請求項１のボールジョイ
   ントの製造方法。