JPH07216131A - 熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルム

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JPH07216131A
JPH07216131A JP1386694A JP1386694A JPH07216131A JP H07216131 A JPH07216131 A JP H07216131A JP 1386694 A JP1386694 A JP 1386694A JP 1386694 A JP1386694 A JP 1386694A JP H07216131 A JPH07216131 A JP H07216131A
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JP
Japan
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composite oxide
particles
thermoplastic resin
resin film
film
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JP1386694A
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English (en)
Inventor
Juji Konagaya
重次 小長谷
Yasuhiro Nishino
泰弘 西野
Hideto Ohashi
英人 大橋
Katsuhiko Nose
克彦 野瀬
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱可塑性樹脂中に、異なった2種類以上の塩
化物の混合物を酸素および水素の存在下で燃焼する方法
により得られる、平均一次粒径が0.01μm以上0.
1μm未満、比表面積が20〜150m2 /gである複
合酸化物粒子(A)を100ppm 以上20000ppm 以
下、および平均粒径0.1μm以上の無機微粒子および
/または有機微粒子(B)を100ppm 以上10000
ppm 以下含有することを特徴とする熱可塑性樹脂フィル
ム。 【効果】 本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、分散性に
優れた複合酸化物粒子を添加するので、熱可塑性樹脂と
の親和性に優れ、スリット性が損なわれない。従って、
本発明のフィルムをベースフィルムとして、磁気テープ
を調製した場合、得られたテープは、プラスチック製の
カセットピンに対する耐スクラッチ性、および高速デユ
プリケーター走行系での金属製のガイドピンに対する耐
スクラッチ性が大幅に改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂フィルム
に関する。さらに詳しくは、特に磁気テープ用フィルム
のベースフィルムとして好適に適用しうる熱可塑性樹脂
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】熱可塑性
樹脂、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、
ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタ
レートは優れた物理的、化学的特性を有し、工業用フィ
ルム、農業用フィルム、包装用フィルム、磁気テープ用
フィルムなど種々の用途に利用されている。これらの熱
可塑性樹脂フィルムには、易滑性、耐ブロッキング性な
どの改善を目的として、一般的に滑剤粒子と呼ばれる酸
化ケイ素(SiO2 )、炭酸カルシウム(CaCO3
などの無機化合物粒子または有機化合物微粒子が添加さ
れている。
【0003】近年、特に磁気テープ用ベースフィルム
は、優れた耐スクラッチ性(耐擦傷性)をもつことが要
求されてきている。スクラッチとは、磁気テープが接触
する部分につけられる擦傷(例えば高速スプリンターに
よるダビング時の金属製ガイドピンまたはプラスチック
製のカセットピンによるテープの擦傷)や、テープデッ
キ内の走行系で発生した摩耗粉によりつけられる擦傷の
ことである。耐スクラッチ性が悪いベースフィルムから
磁気テープを製造すると、その製造工程において摩耗に
より発生した粉末で製造装置内部が汚染され、得られる
磁気テープにドロップアウトが発生する。
【0004】このように耐スクラッチ性の改善は、磁気
テープの品質向上につながり、非常に重要な課題であ
る。さらに磁気テープ用ベースフィルムばかりでなく、
包装用および工業用・農業用フィルムにおいても同様
に、耐スクラッチ性の向上はフィルムの品位向上につな
がる非常に重要な課題である。
【0005】耐スクラッチ性を改善する方法として、ベ
ースフィルム内に滑剤として、ある特定硬度を有する不
活性微粒子(例えばモース硬度6以上の不活性微粒
子)、または特定の結晶型を有するアルミナ微粒子(例
えばδ−アルミナまたはγ−アルミナ)を添加する方法
が知られている(例えば特開平1−311131号公
報、同3−6238号公報、同3−6239号公報およ
び特公平4−40375号公報)。
【0006】しかしこれらの方法では、プラスチック製
のカセットピンに対するフィルムの耐スクラッチ性は向
上するが、高速ダビング時の金属製のカセットピンに対
する耐スクラッチ性は充分ではなかった。すなわち、耐
スクラッチ性を改善するために、不活性粒子を使用する
こと、あるいは上記特定のタイプの結晶型を有するアル
ミナを使用することはさほど重要ではないことが判明し
た。
【0007】これを改良する方法として、比表面積40
〜100m2 /g、2次粒子径0.05μm以上0.3
μm以下のアルミナ/酸化チタン/シリカを成分とした
複合酸化物粒子を用いる方法が開示されている(特開平
5−170943号公報)。すなわち、上記酸化物粒子
を用いて所望の耐スクラッチ性をフィルムに付与する場
合、該粒子の高分散性が耐スクラッチ性改善のキーポイ
ントであることが判明した。言い換えれば、たとえ粒子
の表面積が充分であっても、分散性が充分でなかった
ら、所望の耐スクラッチ性を付与できないばかりでな
く、粗大粒子による2次スクラッチの増大、すなわちド
ロップアウトの増大を招く結果ともなる。
【0008】従って磁気テープ用のベースフィルムを初
めとする熱可塑性樹脂フィルムに、優れた耐スクラッチ
性を付与することができれば、テープの品質向上が促進
でき、工業的に非常に有用となる。このようなフィルム
が求められていた。
【0009】本発明は上記の問題点を解決しようとする
ものであり、その目的は熱可塑性樹脂フィルムに優れた
耐スクラッチ性を付与することであり、その結果、高品
位の工業用、農業用、包装用フィルム、表面の傷の発生
などが少ない磁気テープのベースフィルムの原料となる
熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱可塑性
樹脂フィルムに含有される滑剤または充填剤(フィラ
ー)に関して上記問題に対する対策を鋭意検討した結
果、本発明に至った。
【0011】すなわち本発明は、熱可塑性樹脂中に、異
なった2種類以上の金属塩化物の混合物を酸素および水
素の存在下で燃焼する方法により得られる、平均一次粒
径が0.01μm以上0.1μm未満、比表面積が20
〜150m2 /gである複合酸化物粒子(A)を100
ppm 以上20000ppm 以下、および平均粒径0.1μ
m以上の無機微粒子および/または有機微粒子(B)を
100ppm 以上10000ppm 以下含有することを特徴
とする熱可塑性樹脂フィルムに関する。
【0012】本発明の好適な一実施態様においては、熱
可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリスチレ
ンからなる群から選ばれる少なくとも1種含む。
【0013】本発明の好適な一実施態様においては、複
合酸化物(A)が、Al、B、P、Si、Ge、Ti、
Zr、WおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも
2種類の金属元素を含有するものである。
【0014】本発明の好適な一実施態様においては、微
粒子(B)が、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フッ化
カルシウム、タルク、カオリン、酸化チタン、酸化珪
素、アルミナ、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル
酸エステルおよび架橋ポリアクリル酸エステルからなる
群から選ばれる少なくとも1種類を含むものである。
【0015】本発明の好適な一実施態様においては、複
合酸化物粒子(A)が、0.001重量%以上0.5重
量%以下の塩素イオンを含有する。
【0016】本発明の好適な一実施態様においては、複
合酸化物粒子(A)の10重量%水分散体がpH3.5
以上5.5以下を示す.
【0017】本発明の好適な一実施態様においては、複
合酸化物(A)が、20モル%以上90モル%以下のA
lを構成成分とする。
【0018】本発明の好適な一実施態様においては、複
合酸化物粒子(A)が、主としてAlおよびSiからな
る複合酸化物、AlおよびTiからなる複合酸化物、A
lおよびZrからなる複合酸化物、AlおよびFeから
なる複合酸化物、TiおよびSiからなる複合酸化物、
Al、SiおよびTiからなる複合酸化物、Al、Ti
およびZrからなる複合酸化物、Al、SiおよびZr
からなる複合酸化物、Al、SiおよびFeからなる複
合酸化物、およびAl、TiおよびFeからなる複合酸
化物から少なくとも一種類選ばれる。
【0019】本発明の好適な一実施態様においては、複
合酸化物(A)が、Al(アルミニウム)、Si(ケイ
素)およびO(酸素)を主構成元素とする、実質的に非
晶性の化合物で構成され、かつ該化合物のAlのAlと
Siの合計に対するモル比〔Al/(Al+Si)モル
比〕が0.3以上0.9以下である。
【0020】次に本発明を詳しく説明する。本発明の熱
可塑性樹脂フィルムの原料である熱可塑性樹脂として、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポ
リエステル、ポリカーボネート、ポリスチレンなどが挙
げられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ナイロンおよ
びポリエステルが好ましい。
【0021】ナイロンは、アミド基(−NHCOー)と
アルキレン基(−Cn 2n−)からなる線状高分子で、
6ナイロン、66ナイロン、11ナイロン、12ナイロ
ンなどが挙げられる。
【0022】ポリエステルには脂肪族ポリエステル、芳
香族ポリエステルがあり、その種類について特に制限は
ない。なかでも、力学的物性、耐熱性の面から、芳香族
ジカルボン酸を主とする酸成分と少なくとも一種のグリ
コール成分からなり、その構成単位の95モル%以上が
エチレンテレフタレート単位(テレフタル酸およびエチ
レングリコールから構成される)および/またはエチレ
ンナフタレート単位(2,6−ナフタレンジカルボン酸
およびエチレングリコールから構成される)であること
が好ましい。
【0023】テレフタル酸および2,6−ナフタレンジ
カルボン酸以外の他の酸成分として、イソフタル酸、p
−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4−ジカルボキシ
ルフェニール、4,4−ジカルボキシルベンゾフェノ
ン、ビス(4−カルボキシルフェニール)エタン、アジ
ピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などのジカ
ルボン酸成分、およびp−オキシ安息香酸などのオキシ
カルボン酸が挙げられる。
【0024】エチレングリコール以外のグリコール成分
としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが
挙げられる。
【0025】このほか少量のアミド結合、ウレタン結
合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有する化
合物を含んでいてもよい。
【0026】本発明において用いられる複合酸化物粒子
(A)は、異なった2種類以上の金属塩化物の混合物
を、水素および酸素の存在下で燃焼する燃焼法により得
られるものである。好ましくは共有結合性のAlC
3 、SiCl4 、TiCl4 、ZrCl4およびFe
Cl4 から選ばれる2種類以上の塩化物の混合ガスの燃
焼法によって得られるものである。
【0027】本発明に用いられる複合酸化物粒子(A)
は、さらに塩素イオンを粒子(A)中に0.001重量
%以上かつ0.5重量%以下含有するのが好ましい。塩
素イオンが含まれることによって、複合酸化物粒子
(A)の比表面積が100m2 を越える超微粒子であっ
ても、熱可塑性樹脂中で該複合酸化物粒子は良好に分散
でき、その結果、熱可塑性樹脂フィルムの高速デュプリ
ケーター時の優れた耐摩耗性、耐スクラッチ性および耐
削れ性を確保できる。塩素イオン含量が0.001重量
%未満の場合には、該複合酸化物粒子のグリコール成分
中または熱可塑性樹脂中での良好な分散性が得られず、
得られる熱可塑性樹脂フィルムの耐摩耗性および耐スク
ラッチ性などに悪影響を与える場合がある。また、0.
5重量%を越える場合には、熱可塑性樹脂重合時および
製膜時において、熱可塑性樹脂の熱分解による劣化が目
だち、好ましくない。さらに好ましい塩素イオン含有量
は、0.001重量%以上0.3重量%以下である。
【0028】複合酸化物粒子(A)の熱可塑性樹脂中で
の分散性は、該粒子(A)の10重量%水分散系におけ
るpHに関係する。すなわち、該粒子(A)の10重量
%水分散体がpH3.5以上5.5以下を示す時が最も
良好である.上記出発原料、燃焼条件および精製条件を
適宜選択することにより、所望の割合で塩素含有量およ
びpHを示す複合酸化物が得られる。
【0029】本発明で使用される複合酸化物粒子(A)
は、該複合酸化物粒子に含まれる各金属成分単独の酸化
物(例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化鉄)の混合物とはその構造
がかなり異なる。すなわち、該複合酸化物は、異種元素
が酸素で結合された構造(例えば、Al−O−Siな
ど)で表される結合を主構成成分として有する。本明細
書においては、このような複合酸化物をEx y /Fm
n (式中、Eは2元複合酸化物に含まれる二種類の金
属の一方を示し、Fはもう一方を示す)、例えばAl−
O−Siで表される結合を主構成成分とする複合酸化物
をAl2 3 /SiO2 と表す。
【0030】このような複合酸化物としては、SiO2
/ZrO2 、SiO2 /Fe2 3、TiO2 /Fe2
3 、Al2 3 /SiO2 、Al2 3 /TiO2
Al 2 3 /ZrO2 、Al2 3 /Fe2 3 などの
2元複合酸化物、Al2 3/SiO2 /Fe2 3
Al2 3 /SiO2 /TiO2 、Al2 3 /TiO
2 /ZrO2 、Al2 3 /SiO2 /ZrO2 などの
3元複合酸化物、およびそれ以上の多元系の複合酸化物
が挙げられる。これらの複合酸化物のうち、Alを一構
成金属として含有するAl2 3 /SiO2 、Al2
3 /TiO2 、Al2 3 /ZrO2 などの2元複合酸
化物、およびAl2 3 /SiO2 /TiO2 、Al2
3 /TiO2 /ZrO2 、Al2 3 /SiO2 /Z
rO2 などの3元複合酸化物、およびTiO2 /SiO
2 の2元複合酸化物が耐スクラッチ性の改善効果が大き
いため好ましい。さらにこのなかでも、2元系のAl2
3 /SiO2 が耐スクラッチ性の改善効果が著しく大
きいため、特に好ましい。
【0031】2元複合酸化物Ex y /Fm n で、実
質的に非晶性のものにおいて、該複合酸化物中のEのE
とFの合計に対するモル比〔E/(E+F)モル比〕
(以下、E含有率という)が、0.3以上0.9以下の
ものが好ましい。なかでも、Al、SiおよびOを主構
成元素とする、実質的に非晶性の複合酸化物であって、
Al含有率〔Al/(Al+Si)モル比〕が、0.3
以上0.9以下のものが好ましい。又、2元系の複合酸
化物は、一次粒子径の揃った複合酸化物が得られ、耐ス
クラッチ性および耐削れ性の改善の面で好ましい。
【0032】複合酸化物粒子(A)は、Alを20モル
%以上90モル%以下含んでいるのが好ましい。
【0033】複合酸化物粒子(A)は、金属種および金
属成分の比によるが、各金属単独の酸化物の構造的特徴
(例えば、結晶形態)が極めて小さい、非晶性の酸化物
がほとんどである。ここで「非晶性」とは、複合酸化物
粒子のX線回折において、2θ=10度から45度の範
囲に現れるブロードなピークの面積(Pam)と、2θ=
65度から70度の範囲に現れるシャープなピークの面
積(Pcr)とから以下の式により得られる面積比によっ
て示されるものであり(図1を参照)、その値が0.7
以上である時「非晶性である」という。上記面積を算出
する際には、図1に示すように、各ピークに対して基線
を設定し、ピークと基線との間の面積をそれぞれPamお
よびPcrとする。 非晶性度=Pam/(Pcr+Pam)。
【0034】複合酸化物粒子(A)は、いかなる形状の
粒子でも用いることが可能である。また、上記複合酸化
物中に、製造過程で混入する、副生成物である複合酸化
物の構成金属単一の酸化物、例えばAl2 3 、SiO
2 、B2 3 、TiO2 、ZrO2 、WO3 、Fe2
3 などが含まれても、それらの平均一次粒子径が0.1
μm未満であるならば、問題はない。これらの結晶形態
は特に限定しない。
【0035】複合酸化物粒子(A)の平均一次粒子径
は、0.01μm以上0.1μm未満であり、耐擦傷性
の効果の点から、0.01μm以上0.03μm以下が
好ましい。複合酸化物粒子(A)の平均一次粒子径が、
0.1μm以上の場合には、熱可塑性樹脂中での2次凝
集体の径が大きくなり、粗大突起が発生し、これは、磁
気テープに使用した場合、ドロップアウトの原因となり
好ましくない。また、さらには粗大粒子が多くなると、
得られるフィルムは、切断しにくくなる、換言するとス
リット性が悪くなる(以下、切断のし易さのことを「ス
リット性」という)。一方、複合酸化物粒子(A)の平
均一次粒子径が、0.01μm未満の場合には、熱可塑
性樹脂重合時に複合酸化物粒子の凝集が激しくなり、得
られるフィルムに粗大突起が生じる。このようなフィル
ムを磁気テープに応用すると、粗大突起によりテープ面
に傷が生じたり、あるいはドロップアウトが起こる。
【0036】ここで、平均一次粒子径とは、凝集してい
ない最小単位の形での材料の平均粒子径であり、その粒
子が凝集して形成する二次凝集体の粒子径を意味するも
のではない。一次粒子の平均粒子径は電子顕微鏡で観察
される粒子の直径の算術平均である。複合酸化物粒子
(A)の粒径分布は、耐スクラッチ性の効果の点から、
単分散に近い方が好ましい。
【0037】本発明に用いられる複合酸化物粒子(A)
は、実質的には非多孔性であり、比表面積は20m2
g以上150m2 /g以下である。耐スクラッチ性効果
の付与、2次スクラッチの抑制の観点から、該比表面積
は101m2 /g以上130m2 /g以下が特に好まし
い.
【0038】本発明の熱可塑性樹脂フィルム中の上記複
合酸化物粒子(A)の含有量は、100ppm以上20
000ppm以下であることが必要であり、1000p
pm以上5000ppm以下が好ましい。上記複合酸化
物粒子(A)の含有量が100ppm未満の場合には、
熱可塑性樹脂フィルムに充分な耐スクラッチ性を付与で
きない。また、上記複合酸化物粒子(A)の含有量が2
0000ppmを越える場合には、フィルムを走行させ
た時にフィルム中に含まれている複合酸化物粒子が脱落
する割合が多く、脱落した粒子が熱可塑性樹脂フィルム
より高硬度であるために、フィルム表面を傷つける。さ
らに熱可塑性樹脂フィルムの耐熱性も低下する。得られ
るフィルムを多層に積層して用いる場合には、上記含有
量は最外層における含有量を意味し、多層全体における
含有量を意味しない。
【0039】上記複合酸化物粒子(A)は、その表面が
各種の表面処理剤により変性されていてもよい。凝集を
できるだけ抑制する目的、もしくはグリコール成分また
は熱可塑性樹脂との親和性を向上させる目的で使用され
る表面処理剤としては、リン酸およびその誘導体(例え
ば、リン酸エステル、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸
のアンモニウム塩など)、ポリアクリル酸のアンモニウ
ム塩、ポリメタクリル酸のアンモニウム塩、アルカリ金
属水酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリン
グ剤などが挙げられ、水酸化ナトリウムが特に好まし
い。上記の表面処理剤は、一般に、上記複合酸化物粒子
(A)に対して5重量%以下の量で使用される。
【0040】本発明の無機微粒子および/または有機微
粒子(B)は、炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸バ
リウム(BaSO4 )、フッ化カルシウム(Ca
2 )、タルク、カオリン、酸化チタン、酸化珪素(S
iO2 )、アルミナ(Al2 3 )などの不活性無機化
合物粒子、架橋ポリスチレン、架橋ポリメタクリル酸エ
ステル、架橋ポリアクリル酸エステルなどの有機化合物
粒子などが挙げられる。走行性の面から、SiO2 (粒
子形が球状であるSiO2 )、あるいはCaCO3 粒子
が好ましい。耐スクラッチ性の面からはカオリンが特に
好ましい。削れ性の更なる改良には、0.4μm以上の
粒径を有するCaCO3 またはSiO2の使用が好まし
い。この場合に0.8μm以下の無機粒子と0.8μm
以上の無機粒子とを併用することが耐スクラッチ性の改
善に好ましく、また耐スクラッチ性の更なる改善には比
較的硬度の低い、すなわち架橋密度の低い球状の有機粒
子を併用することが好ましい.
【0041】無機微粒子および/または有機微粒子
(B)の平均粒径は、0.1μm以上である。
【0042】無機および/または有機微粒子(B)の形
状には特に制限はなく、また無機粒子の結晶構造にも特
別の制限はない。例えば、上記CaCO3 粒子は、その
結晶構造により三方または六方晶系に分類されるカルサ
イト、斜方晶系に分類されるアラゴナイト、六方または
擬六方晶系に分類されるバテライトの3つの結晶型に分
類されるが、いかなる結晶型でもよく、その形状も、碁
石状、ラグビーボール状、板状、連球状、立方体状、紡
錘状、柱状、針状、球形、卵形など任意に選択できる。
耐スリット性および高速走行時の耐削れ性の改善の面か
らは碁石状、板状のCaCO3 が好ましく、カルサイト
型の板状CaCO3 が特に好ましい.
【0043】上記カオリン粒子は、天然カオリン、合成
カオリン、焼性、未焼性を問わずいかなるタイプでもよ
く、またその形状も、板状、柱状、球形、紡錘状、卵形
など任意に選択できる。
【0044】熱可塑性樹脂フィルム中の無機微粒子およ
び/または有機微粒子(B)の含有率は、500ppm
以上10000ppm以下であり、好ましくは1500
ppm以上7000ppm以下である。無機微粒子およ
び/または有機微粒子(B)の含有量が500ppm未
満の場合には、得られる熱可塑性樹脂フィルムが充分な
滑り性を有しない。また、無機微粒子および/または有
機微粒子(B)の含有量が10000ppmを越える場
合には、該微粒子(B)によりフィルムの表面に粗大突
起が生じるため、フィルムの耐摩耗性が低下する。得ら
れるフィルムを多層に積層して用いる場合には、上記含
有量は最外層における含有量を意味し、多層全体におけ
る含有量を意味しない。
【0045】本発明の熱可塑性樹脂フィルムには、さら
なる耐スクラッチ性の改良を目的として、平均一次粒子
径が0.1μm未満の超微粒子を加えることも可能であ
る。該超微粒子として、例えば、Al2 3 、Si
2 、TiO2 、ZrO2 、Fe 2 3 などが挙げられ
る。これらは一種または混合物として使用される。ここ
で加えられるアルミナとしては、ジブサイト、バイヤラ
イト、ノルトストランダイト、ベーマイト、ダイアスボ
ア、トーダイトなどの結晶性アルミナ水和物、無定型ゲ
ル、ベーマイトゲル、バイヤライトゲルなどの非晶性ア
ルミナ水和物、およびρ、η、γ、χ、κ、δ、θ型な
どの中間活性アルミナまたはα型アルミナが挙げられる
が、中でもδ型またはγ型の中間活性アルミナが好まし
い。
【0046】これらの超微粒子の含有量は、本発明の複
合酸化物粒子(A)との合計量が20000ppm以下
となるような量であることが好ましい。粒子(A)と該
微粒子との合計が20000ppmを越える場合には、
該フィルムを走行させた時に、フィルム中の複合酸化物
粒子(A)の脱落する割合が多く、脱落した粒子(A)
は熱可塑性樹脂フィルムより高硬度であるためにフィル
ム表面を傷つける。さらに、高濃度の超微粒子の触媒活
性により、熱可塑性樹脂フィルムの耐熱性が低下する。
得られるフィルムを多層に積層して用いる場合には、上
記含有量は最外層における含有量を意味し、多層全体に
おける含有量を意味しない。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂フィルムには、複合
酸化物粒子(A)および微粒子(B)の分散性を改善す
る目的で、水酸化ナトリウム、水酸化リチュウムなどの
アルカリ金属の水酸化物または塩および/または酢酸マ
グネシウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩
と、リン酸、リン酸アルキルエステル、またはこれらの
誘導体などを添加することが可能である。ポリエステル
フィルムの場合、水酸化ナトリウム、酢酸マグネシウム
およびリン酸またはリン酸トリメチルエステルの併用系
が、フィルム中での複合酸化物の凝集抑制が良好な点か
ら好ましい.
【0048】熱可塑性樹脂がポリエステルの場合、式、
【0049】
【数1】
【0050】で表される上記添加物(分散剤)のモル比
は、0.4以上1.0以下であることが好ましい。上記
モル比が0.4未満または1.0を越える場合には、添
加された複合酸化物粒子(A)および無機微粒子および
/または有機微粒子(B)、特に炭酸カルシウムなどの
不活性無機化合物粒子の凝集が起こり易くなるため、ポ
リエステル樹脂内に粗大粒子が発生し、従って、このよ
うなポリエステル樹脂を用いた磁気テープは、ドロップ
アウトを起こし易くなる。
【0051】上記複合酸化物粒子(A)および微粒子
(B)の熱可塑性樹脂との混合方法は、熱可塑性樹脂重
合反応系中に該複合酸化物粒子(A)、微粒子(B)を
添加し重合を完結させる方法や、溶融熱可塑性樹脂中に
該複合酸化物粒子(A)、微粒子(B)を添加して混練
する方法などがあり、どちらの方法も採用することがで
きる。通常は、前者の方法が複合酸化物粒子(A)、微
粒子(B)の熱可塑性樹脂内への分散性の面から好まし
い。この場合、複合酸化物粒子(A)は、通常不活性有
機溶媒成分(ポリエステルの場合にはグリコール成分)
に前記分散剤と共に加えて、スラリーとして反応系中へ
添加される。添加時期は、熱可塑性樹脂の種類、使用す
る複合酸化物粒子(A)および微粒子(B)の種類、粒
子径、塩素イオン濃度、さらにスラリー濃度、スラリー
の温度などに依存するが、通常、熱可塑性樹脂の重合反
応開始前またはオリゴマー生成段階が好ましい。スラリ
ーを反応系へ添加する時、該スラリーを前記不活性有機
溶媒の沸点まで加熱することが、熱可塑性樹脂中での該
粒子の分散性の向上の点で好ましい。
【0052】本発明の熱可塑性樹脂フィルムを製造する
方法は、任意の方法が採用され、特に制限されるもので
はないが、例えば以下の2軸延伸フィルムの製造方法が
ある。まず上記複合酸化物粒子(A)と、フィルム表面
に突起を形成させるなどの理由により、上記不活性無機
または有機化合物粒子を添加して調製した熱可塑性樹脂
フィルムを、常法により、縦および横方向に2軸延伸す
る。延伸順序は縦横、横縦、同時2軸いずれの方法をと
ってもよい。あるいは、横延伸と縦延伸および同時2軸
延伸を適宜組み合わせた3段階以上の延伸を行ってもよ
い。熱可塑性樹脂フィルムを2軸延伸した後、通常テン
ターで熱処理を行う。たとえばポリエチレンテレフタレ
ートフィルムの熱処理は、190〜230℃で2〜10
秒間行うのが好適であり、熱処理と同時に横方向または
縦横両方向に2〜30%の再延伸を行うことが好まし
い。熱処理後には、横方向および縦方向に緩和処理を行
ってもよい。横方向への緩和は、130〜170℃のテ
ンター中で行うのが好ましい。縦方向への緩和は、80
〜150℃の温度の加熱ロール上で行うことが好まし
い。本発明により得られる熱可塑性樹脂フィルムを少な
くとも一層、最外層に用いることにより得られる多層フ
ィルムもまた有用である。
【0053】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、平均一
次粒子径が0.01μm以上0.1μm未満で、比表面
積が20−150m2 /gの分散性に優れた複合酸化物
粒子を含んでいるので、熱可塑性樹脂との親和性に優
れ、スリット性が損なわれない。これをベースフィルム
として磁気テープを調製した場合、このテープのプラス
チック製のカセットピンに対する耐スクラッチ性、およ
び高速デユプリケーター走行系での金属製のガイドピン
に対する耐スクラッチ性が大幅に改善される。
【0054】
【実施例】次に実施例および比較例を用いて本発明を更
に詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるもので
はない。以下に実施例および比較例で得られたフィルム
の物性および特性の測定方法を示す。
【0055】(1)粒子の平均一次粒子径 日立製作所(株)製の透過型電子顕微鏡を用いて、10
万倍の倍率で粒子を観察し、その写真から粒子の直径を
測定する。粒子500個の測定値の平均値を、平均一次
粒径とした。
【0056】(2)比表面積 JIS K−1474に記載されたBET法により、各
複合酸化物粒子の比表面積を測定した。
【0057】(3)複合酸化物粒子中の塩素量 所定量の複合酸化物粒子を、純水中に一日、室温下で浸
漬した後、0.1μmフィルターにてロ過する。得られ
たロ液中のClイオンを、イオンクロマトグラフィー
(横河・北辰電気(株)製IC−100)にて定量す
る。
【0058】(4)複合酸化物粒子のpH測定 25℃の純水100ml中に10gの複合酸化物粒子を
添加し、10分間撹拌し、得られた分散液を、標準液で
調整されたpHメーター(HORIBA pHメーター
F−14)にて測定する。
【0059】(5)Al/Si系複合酸化物粒子の非晶
性 理学電気(株)製の高強力X線回折装置で反射法を用い
て複合酸化物粒子の非晶性を判定する。 測定条件:ニッケルフィルターしたCu−Kα線 測定角度2θ=10〜90度 45kV、150mA スキャン速度=2度/分 非晶性度は、SiO2 /Al2 3 を成分とした複合酸
化物粒子のX線回折において、2θ=10度から45度
の範囲に現れるブロードなピークの面積(Pam)と、2
θ=65度から70度の範囲に現れるシャープなピーク
の面積(Pcr)とから以下の式により算出する(図1を
参照)。面積を算出するには、図1に示すように各ピー
クに対して基線を設定し、ピークと基線との間の面積を
それぞれPamおよびPcrとする。 非晶性度=Pam/(Pcr+Pam)。
【0060】(6)フィルムの平均表面粗さ サーフコム300A型表面粗さ計(東京精密製)を用
い、針径1μm、加重0.07g、測定基準長0.8m
m、カットオフ0.08mmの条件でフィルム表面を測
定したときの中心線平均粗さ(Ra:μm)で表示す
る。
【0061】(7)フィルムの滑り性(摩擦係数) ASTM D−1894−63に準拠し、スレッド式ス
トリップテスターを用い、23℃、65RH%の環境条
件下で2枚のフィルム間の静摩擦係数を測定する。
【0062】(8)スリット性 2軸延伸フィルムをスリッターを用いて1/2インチ幅
にスリットする。この時、スリット箇所を観察し、ひげ
や粉の発生具合から次のようにランク付けをする。 1・・・ひげや粉の発生がない。 2・・・少量のひげや粉の発生が認められる。 3・・・多量のひげや粉の発生が認められる。
【0063】(9)金属ピンに対するフィルムの耐スク
ラッチ性 幅10mmに裁断した熱可塑性樹脂フィルムを、Fe−
Cr製ピンに張力100g、巻き付け角45度、走行速
度300m/分で1回摩擦させつつ走行させる。次い
で、実態顕微鏡写真で傷の量を目視判定し、以下のよう
にランク分けした 。 1・・・傷がまったく認められない。 2・・・かすかに傷が認められるが極めて微量である。 3・・・小量の傷が認められる。 4・・・多量の傷が認められる。
【0064】(10)プラスチックピンに対するフィル
ムの耐スクラッチ性 幅10mmに裁断した熱可塑性樹脂フィルムを、プラス
チック製ピンに張力100g、巻き付け角90度、走行
速度150m/分で1回摩擦させつつ走行させる。次い
で、その摩擦面にアルミニウム蒸着を施し、該アルミニ
ウム蒸着面を実態顕微鏡写真で傷の量を目視判定し、以
下のようにランク分けした。 1・・・傷がまったく認められない。 2・・・かすかに傷が認められるが極めて微量である。 3・・・小量の傷が認められる。 4・・・多量の傷が認められる。 得られた熱可塑性樹脂フィルムがランク1および2であ
れば、実用上差し支えない。
【0065】実施例1 二元複合酸化物粒子の調整 AlCl3 およびSiCl4 を出発原料とし、水素およ
び酸素の気相下で燃焼させ、Al2 3 /SiO2 で表
される2元複合酸化物粒子を得た。得られた粒子の平均
一次粒子径は0.02μm、比表面積は90m2 /g、
Clイオン含有量は0.3重量%、非晶性度は0.9
6、10%水溶液中のpHは4.0、Al/(Al+S
i)モル比は0.58であった。なお表1中では、2元
複合酸化物に含まれる金属またはケイ素のうちの一方を
「E」で表し、もう一方を「F」で表し、Al/(Al
+Si)のモル比は、「E/(E+F)」の欄に示す。
得られた複合酸化物粒子をエチレングリコール中で湿式
粉砕処理し、平均粒子径0.06μmの20重量%スラ
リーを得た。
【0066】ポリエステル組成物aの調製 テレフタル酸100重量部、エチレングリコール70.
7重量部、三酸化アンチモン0.0697重量部、トリ
エチルアミン0.271重量部および酢酸マグネシウム
0.0931重量部を、250℃、2.5kg/cm2
の圧力下でエステル化反応を行った。エステル化終了
後、反応溶液にトリメチルホスフェート0.0327重
量部を加えて常圧下、260℃で撹拌した。30分後、
生成したオリゴマーに対して上記複合酸化物粒子濃度が
2重量%になるように、前記粒子スラリーを所定量加
え、さらに30分撹拌した。その後真空下で重縮合反応
を行い、極限粘度η=0.60のポリエチレンテレフタ
レート組成物aを得た。
【0067】ポリエステル組成物bの調製 Al2 3 /SiO2 複合酸化物粒子の代わりに、平均
粒子径0.45μmの炭酸カルシウム(無機化合物粒
子)を用いたこと以外はポリエステル組成物aの調製と
同様に重合を行い、炭酸カルシウム濃度2重量%、極限
粘度η=0.62のポリエチレンテレフタレート組成物
bを得た。
【0068】ポリエステル組成物cの調製 上記ポリエステル組成物aの製造において、上記複合酸
化物粒子の代わりに平均粒子径1.0μmの架橋ポリス
チレン微粒子を用いたこと以外はポリエステル組成物a
の調製と同様に重合を行い、ポリスチレン濃度2重量
%、極限粘度η=0.61のポリエチレンテレフタレー
ト組成物cを得た。
【0069】ポリエステル組成物dの調製 Al2 3 /SiO2 複合酸化物粒子の20重量%スラ
リーを添加しなかったこと以外はポリエステル組成物a
の調製と同様に重合を行い、極限粘度η=0.62のポ
リエチレンテレフタレート組成物dを得た。
【0070】得られたポリエステル組成物a、b、cお
よびdを所定の重量比で混合し、該混合物の上記複合酸
化物粒子のE/(E+F)モル比、複合酸化物粒子の含
有量、炭酸カルシウムの含有量および架橋ポリスチレン
粒子の含有量が、それぞれ表1に示した値の混合物を得
た。該混合物を乾燥した後、280℃で溶融し、30℃
の冷却ドラム上にキャスティングすることにより、厚さ
220μmの未延伸フィルムを得た。次いでこのフィル
ムを75℃に加熱したロール、および表面温度600℃
の赤外線ヒーター(フィルムから20mm離れた位置に
設置)を用いて加熱した後、低速ロールと高速ロールと
の間で縦方向に3.3倍延伸した。更にこのフィルムを
テンター中で100℃で横方向に4.4倍延伸した。テ
ンター中では、横延伸に引き続いて熱処理・再横延伸お
よび横方向への緩和を行った。次いで120℃に加熱し
たロールにフィルムを接触させ、加熱ロールとその前後
のロールとの間の張力をコントロールすることによって
縦方向への緩和を行い、厚さ15μmの熱可塑性樹脂フ
ィルムを得た。このようにして得られたフィルムの特性
を表1に示す。
【0071】実施例2〜5 熱可塑性樹脂組成物の種類および複合酸化物粒子、微粒
子の種類、各々の平均粒子径、および各々の含有量を表
1に示すようにして、所定の製膜条件で熱可塑性樹脂フ
ィルムを得た。表1に熱可塑性樹脂フィルムの特性を示
す。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂フィルムは、分散
性に優れた複合酸化物粒子を添加するので、熱可塑性樹
脂との親和性に優れ、スリット性が損なわれない。従っ
て、本発明のフィルムをベースフィルムとして、磁気テ
ープを調製した場合、得られたテープは、プラスチック
製のカセットピンに対する耐スクラッチ性、および高速
デユプリケーター走行系での金属製のガイドピンに対す
る耐スクラッチ性が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】粒子の非晶性度の計算に用いられるピーク面積
が表される粒子のX線回析図である。
フロントページの続き (72)発明者 野瀬 克彦 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂中に、異なった2種類以上
    の塩化物の混合物を酸素および水素の存在下で燃焼する
    方法により得られる、平均一次粒径が0.01μm以上
    0.1μm未満、比表面積が20m2 /g以上150m
    2 /g以下である複合酸化物粒子(A)を100ppm 以
    上20000ppm 以下、および平均粒径0.1μm以上
    の無機微粒子および/または有機微粒子(B)を100
    ppm 以上10000ppm 以下含有することを特徴とする
    熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプ
    ロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート
    およびポリスチレンからなる群から選ばれる少なくとも
    1種類からなる請求項1記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 複合酸化物粒子(A)が、Al、Si、
    Ge、Ti、Zr、WおよびFeからなる群から選ばれ
    る少なくとも2種類の金属元素を含むことを特徴とする
    請求項1または2記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 微粒子(B)が、炭酸カルシウム、硫酸
    バリウム、フッ化カルシウム、タルク、カオリン、酸化
    チタン、酸化珪素、アルミナ、架橋ポリスチレン、架橋
    ポリメタクリル酸エステルおよび架橋ポリアクリル酸エ
    ステルからなる群から選ばれる少なくとも1種類を含む
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の熱可塑性
    樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 複合酸化物粒子(A)が、0.001重
    量%以上0.5重量%以下の塩素イオンを含有すること
    を特徴とする請求項1、2、3または4記載の熱可塑性
    樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 複合酸化物粒子(A)が、20モル%以
    上90モル%以下のAlを構成成分とすることを特徴と
    する請求項3記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】 複合酸化物粒子(A)が、主としてAl
    およびSiからなる複合酸化物、AlおよびTiからな
    る複合酸化物、AlおよびZrからなる複合酸化物、A
    lおよびFeからなる複合酸化物、TiおよびSiから
    なる複合酸化物、Al、SiおよびTiからなる複合酸
    化物、Al、TiおよびZrからなる複合酸化物、A
    l、SiおよびZrからなる複合酸化物、Al、Siお
    よびFeからなる複合酸化物、およびAl、Tiおよび
    Feからなる複合酸化物からなる群から選ばれる少なく
    とも一種であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑
    性樹脂フィルム。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015147881A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 住友化学株式会社 液晶ポリエステル組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015147881A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 住友化学株式会社 液晶ポリエステル組成物

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