JP3254881B2 - ポリエステル組成物 - Google Patents

ポリエステル組成物

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JP3254881B2 JP03725094A JP3725094A JP3254881B2 JP 3254881 B2 JP3254881 B2 JP 3254881B2 JP 03725094 A JP03725094 A JP 03725094A JP 3725094 A JP3725094 A JP 3725094A JP 3254881 B2 JP3254881 B2 JP 3254881B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル組成物に
関する。さらに詳しくは、耐摩耗性および耐スクラッチ
性(傷が付きにくい性質のことをいう)に優れたフィル
ムを得るのに適したポリエステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレートは優れた力学特性、化学特性
を有しており、フィルム、繊維などの成形品として広く
用いられている。しかしながら、ポリエステルは成形品
に加工する際に、滑り性不足のため生産性が低下すると
いう問題があった。このような問題を改善する方法とし
て、従来よりポリエステル中に粒子を分散せしめ、成形
品の表面に凹凸を付与する方法が行われている。例え
ば、特開昭52−86471号公報では比表面積の規定
された無機粒子、特開昭59−171623号公報では
0.1〜1μmの球形のコロイダルシリカを用いる方法
が提案されている。これらの方法は滑り性の問題解決に
は有効であるが、成形品とした場合には耐摩耗性、耐ス
クラッチ性を満足すべきレベルとすることができない。
【0003】成形品、例えば磁気テープ用フィルムの耐
摩耗性が低い場合、磁気テープの製造工程中にフィルム
の摩耗粉が発生しやすくなり、磁性層を塗布する工程で
塗布抜けが生じ、その結果、磁気記録の抜け(ドロップ
・アウト)などを引き起こす。また、磁気テープを使用
する際は多くの場合、記録、再生機器などと接触しなが
ら走行させるため、接触時に生じる摩耗粉が磁性体上に
付着し、記録、再生時に磁気記録の抜け(ドロップ・ア
ウト)を生じる。そして成形品、例えば磁気テープ用フ
ィルムの耐スクラッチ性が低い場合、磁気テープの製造
工程中で異物が発生し、容易にフィルム表面上に傷を作
り、その結果、磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)な
どを引き起こしたり、磁気テープ高速走行時にフィルム
表面に容易に傷を作る。すなわち、磁気テープ用フィル
ムは、磁気テープ製造工程中においてもまた磁気テープ
として使用する場合においても、滑り性とともに耐摩耗
性、耐スクラッチ性を有することが必要である。
【0004】従来からこれらの問題を解決すべく、粒子
を添加する方法(外粒法)や触媒残査により粒子を析出
させる方法(内粒法)などの検討がなされており、例え
ば、前者では特開昭62−172031号公報(シリコ
ーン粒子)、特開平2−129230号公報(デルタ型
酸化アルミニウム粒子)など、さらには、静電キャスト
性などを付加させた、特開昭62−187724号公報
(マグネシウム化合物など)、特開平2−79524号
公報(マグネシウム化合物、マンガン化合物など)、特
開平4−359048号公報(マグネシウム化合物、リ
ン化合物、粒子)などがある。また、後者については特
開昭34−5144号公報(アルカリ金属塩)や特開昭
40−3291号公報(テレフタル酸塩)、特開昭48
−61556号公報(リチウム元素を含有)、特開昭5
1−112860号公報(リチウム元素、カルシウム元
素、リン元素を含有)などが提案されているがいまだ耐
摩耗性、耐スクラッチ性の改良効果は不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記し
た従来技術の欠点を解消することにあり、特定量の、ア
ルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合
物をポリエステルに配合せしめてフィルムを形成するこ
とにより、滑り性、耐摩耗性および耐スクラッチ性に優
れているフィルムを得ることができる組成物を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、下記一般式(I)を満足する量のアルカリ金属化合
物、アルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一
種の化合物、およびリン化合物を含有してなり、かつ、
平均粒径が0.005μm以上0.3μm未満の粒子
(A)を0.01〜10重量%含有してなるポリエステ
ル組成物により達成される。 5≦M/P≦500 ・・・・(I) ただし、式(I)において M:ポリエステル106g当りに含有されるアルカリ金
属化合物、アルカリ土類金属化合物の総モル数。 P:ポリエステル106g当りに含有されるリン化合物
の総モル数。
【0007】本発明におけるポリエステルは、フィルム
を成形しうるものならどのようなものでもよく、例えば
ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレ
フタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフ
ェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなど
が好ましく挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート
あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレートが特に好ましい。
【0008】これらのポリエステルには、共重合成分と
してアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル
酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカルボ
ン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレング
リコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリ
コールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキ
シ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエステ
ル形成性誘導体などが共重合されていてもよい。
【0009】本発明におけるアルカリ金属化合物とは、
とくに限定されないが、酢酸塩であることが好ましく、
特に酢酸リチウム、酢酸カリウムなどが好ましい。ま
た、エステル交換触媒として用いても構わない。このよ
うなアルカリ金属化合物の添加量としては、少なすぎる
と、エステル交換触媒として、あるいは、耐スクラッチ
性などにおいて、十分な効果が得られず、多すぎると、
透明性、耐熱性などが低下したりするので、1×10-8
〜1×10-3mol/gであることが特に好ましい。こ
のようなアルカリ金属化合物の添加時期としては、エス
テル交換反応開始直後から重合反応開始直前、または、
エステル化反応が実質的に終了後から重合反応開始直前
までの任意の時期に添加することが好ましく、添加方法
としては、エチレングリコール溶液、またはエチレング
リコールスラリーとして添加することが好ましい。これ
らのアルカリ金属化合物は、二回以上に分割して添加し
ても、二種以上のアルカリ金属化合物を併用しても用い
ても構わない。
【0010】本発明におけるアルカリ土類金属化合物と
は、とくに限定されないが、中でも、カルシウム、マグ
ネシウムなどの酢酸塩、酸化物が好ましく、特にマグネ
シウム化合物であることが好ましい。マグネシウム化合
物としては、とくに限定されないが、蟻酸マグネシウ
ム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、安
息香酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酒石酸マ
グネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、
などが挙げられる。中でも、酢酸マグネシウム、酸化マ
グネシウムが好ましい。これらのマグネシウム化合物の
添加量としては、少なすぎると耐スクラッチ性において
十分な効果が得られないことがあり、多すぎると透明
性、耐熱性などが低下したりするので、1×10-7〜1
×10-2モル/g、さらには1×10-6〜1×10-3
ル/g、とくに5×10-5〜5×10-3モル/gである
ことが好ましい。このようなマグネシウム化合物の添加
時期としては、エステル交換反応開始直後から、重縮合
反応開始直前までの任意の時期に添加することが好まし
く、添加方法としては、エチレングリコール溶液、また
はエチレングリコールスラリーとして添加することが好
ましい。これらのマグネシウム化合物は、二回以上に分
割して添加したり、二種以上のマグネシウム化合物を併
用して用いても構わない。
【0011】また、これらのアルカリ土類金属化合物を
エステル交換触媒として用いても構わないが、その場
合、酢酸塩であることが好ましい。このようなアルカリ
土類金属化合物の添加量としては、少なすぎると、エス
テル交換触媒として、あるいは、耐スクラッチ性などに
おいて、十分な効果が得られず、多すぎると、透明性、
耐熱性などが低下したりするので、1×10-7〜1×1
-2mol/gであることが特に好ましい。このような
アルカリ土類金属化合物の添加時期としては、エステル
交換反応開始直後から重合反応開始直前、または、エス
テル化反応が実質的に終了後から重合反応開始直前まで
の任意の時期に添加することが好ましく、添加方法とし
ては、エチレングリコール溶液、またはエチレングリコ
ールスラリーとして添加することが好ましい。これらの
アルカリ土類金属化合物は、二回以上に分割して添加し
ても、二種以上のアルカリ土類金属化合物を併用しても
用いても構わない。
【0012】本発明におけるリン化合物とは、特に限定
されないが、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、それらの
低級アルキルエステル、フェニルエステルなどが好まし
い。このようなリン化合物の添加量としては、少なすぎ
ると、耐スクラッチ性などにおいて、十分な効果が得ら
れず、多すぎると、透明性などが低下したりするので、
1×10-8〜2×10-3mol/gであることが特に好
ましい。またこれらのリン化合物の添加時期としては、
エステル交換反応が実質的に終了してから、重合反応開
始直前までの間に添加することが好ましく、添加方法と
しては、エチレングリコール溶液、またはエチレングリ
コールスラリーとして添加することが好ましい。これら
のリン化合物は、二回以上に分割添加しても、二種以上
のリン化合物を併用して用いても構わない。
【0013】本発明におけるアルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物、およびリン化合物の添加比として
は、 5≦M/P≦500 ・・・・(I) ただし、式(I)において M:ポリエステル106 g当りに含有されるアルカリ金
属化合物、およびアルカリ土類金属化合物の総モル数。 P:ポリエステル106 g当りに含有されるリン化合物
の総モル数。 であることが必要であり、さらには10≦M/P≦30
0、とくに30≦M/P≦200であることが好まし
い。
【0014】また、本発明の効果を妨げない範囲におい
て、成型性、透明性、静電キャスト性などの機能性向上
のために、他の化合物を添加しても構わない。本発明に
おけるポリエステル組成物は、粒子を含有していること
が好ましい。
【0015】本発明における粒子(A)は、平均粒径
0.005以上0.3μm未満、さらには0.01〜
0.3μm未満、特に0.05〜0.2μmであること
が好ましい。
【0016】また、粒子(A)のポリマに対する含有量
は、0.01〜10重量%、さらには、0.1〜5重量
%であることが好ましい。含有量が0.01重量%未満
である場合、耐摩耗性、耐スクラッチ性が十分に発現し
ない場合があり、10重量%を越えて含有する場合に
は、粒子同士の凝集が生じ、粗大粒子がフィルムの表面
粗さを著しく低下させることがある。
【0017】本発明における粒子(A)の比表面積は、
10m2 /g以上であることが好ましく、さらには、3
0m2 /g以上、特に100m2 /g以上であることが
好ましい。
【0018】本発明における粒子(A)の種類は特に限
定されない。すなわち、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、酸化アルミニウム、カオリナイト、タル
ク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、
硫化亜鉛などの無機粒子や、ジビニルベンゼン重合体、
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチルビニルベ
ンゼン−ジビニルベンゼン共重合体などの有機高分子粒
子を挙げることができる。これらの粒子の中でも、酸化
ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チ
タンが好ましい。
【0019】酸化ジルコニウムは、例えばオキシ塩化ジ
ルコニウムから水酸化ジルコニウムを経て焼成して得る
方法や塩化ジルコニウムを気相火炎加水分解して得る方
法があり、また焼成温度などの条件により、非晶質のも
のから単斜晶、正方晶、立方晶あるいはそれらの混合し
たものなど種々の結晶系のものが得られる。特に水酸化
ジルコニウムを焼成して得られる単斜晶が50重量%以
上含まれる酸化ジルコニウムが好ましい。
【0020】また、酸化アルミニウムは、例えば塩化ア
ルミニウムに水素、酸素を吹き込んで気相中で加水分解
するとδ型酸化アルミニウムが、同じく塩化アルミニウ
ムに水蒸気を吹き込んで気相中で加水分解すると非晶質
酸化アルミニウムが、みょうばんの熱分解では、γ型酸
化アルミニウムが、みょうばんを炭酸塩中和後熱分解す
るとθ型やγ型、δ型酸化アルミニウムが得られ、アル
ミニウムアルコキシドを加水分解して得られたベーマイ
トを焼成するとθ型やγ型酸化アルミニウムが得られ、
また、アルミニウム金属ペレットを水中で火花放電させ
ることで得られたギブサイトを焼成することにより、η
型やθ型、γ型酸化アルミニウムを合成することが可能
である。
【0021】また、このようにして合成した活性アルミ
ナを1300℃以上の高温で焼成するといずれもα型酸
化アルミニウムを得ることができる。なお、α型酸化ア
ルミニウムはこのような方法のみならず、通常のバイヤ
ー法と呼ばれる方法によっても合成することができる。
主としてこのような結晶構造の決定は、これらの合成方
法の選択と焼成温度、時間などに左右される。
【0022】本発明における粒子(A)としては、上記
した各種の酸化アルミニウムの中から選ばれた一種また
は二種以上の結晶構造を持つ酸化アルミニウム粒子が好
ましい。
【0023】さらに、酸化ケイ素は、例えばハロゲン化
ケイ素を高温気相加水分解(火炎加水分解法)する乾式
法、ケイ酸ナトリウムを硫酸で直接分解する水ガラス法
や、シリコンアルコキシドを加水分解するアルコキシド
法などによって製造される。本発明における粒子(B)
は、平均粒径0.3以上2.5μm以下、さらには0.
3〜1.5μm、特に0.4〜1.0μmであることが
好ましい。
【0024】本発明における粒子(B)の含有量は0.
005〜10重量%、さらには0.05〜5重量%が好
ましい。含有量が0.005重量%未満であると、耐摩
耗性、耐スクラッチ性、表面易滑性が十分に発現しない
場合があり、10重量%を越えて含有する場合には、粒
子同士の凝集が生じ、粗大粒子がフィルムの表面粗さを
著しく低下させることがある。
【0025】本発明における粒子(B)の種類は特に限
定されない。すなわち、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、酸化アルミニウム、カオリナイト、タル
ク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、
硫化亜鉛などの無機粒子や、ジビニルベンゼン重合体、
エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体などの有機高分子粒
子を挙げることができる。 これらの粒子の中でも、特
に炭酸カルシウム、カオリナイト、タルク、ジビニルベ
ンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、
エチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体など
が好ましい。
【0026】また、このような粒子(A)、および粒子
(B)は、本発明の効果を妨げない範囲において、表面
活性剤、カップリング剤、リン化合物などで表面処理さ
れていても構わない。
【0027】本発明における粒子(A)、または粒子
(B)のポリエステルへの配合にあたっては、重合反応
系に直接添加する方法以外にも、例えば粒子を溶融状態
のポリエステルへ練り込む方法などでも可能である。前
者の重合反応系に添加する際の添加時期は任意である
が、エステル交換反応前から重縮合反応の減圧開始前ま
での間が好ましい。後者の練り込みの場合は、粒子を乾
燥してポリエステルに練り込む方法でもスラリー状態で
減圧しながら直接練り込む方法でも構わない。また、粒
子(A)、粒子(B)の両方を、同一のポリエステル
ヘ、該方法によって配合しても構わない。このようにし
て得られたポリエステル組成物は、目的に応じて、希釈
用ポリエステルなどのポリエステル組成物とブレンドし
て用いても構わない。
【0028】本発明のポリエステル組成物は、例えば次
のような方法によってフィルムに成形することができ
る。重合反応で得られたポリエステル組成物のペレット
を十分乾燥した後、ただちに押出機に供給する。このペ
レットを260〜350℃で溶融し、ダイよりシート状
に押出し、キャスティングロール上で冷却、固化させて
未延伸フィルムを得る。次に、この未延伸フィルムを二
軸延伸するのが好ましい。延伸方法としては、逐次二軸
延伸法、同時二軸延伸法、あるいはこのように二軸に延
伸したフィルムを再度延伸する方法などを用いてもよ
い。ポリエステルの組成によるが、磁気記録媒体用フィ
ルムとして十分な弾性率を得るには最終的な延伸面積倍
率(縦倍率×横倍率)を6以上とすることが好ましい。
また、フィルムの熱収縮率を小さく保つため150〜2
60℃の温度範囲で0.1〜60秒程度の熱処理を行う
ことが好ましい。
【0029】本発明におけるポリエステル組成物は、一
般成型品、繊維等特に用途は限定されないが、特にフィ
ルムに用いることが好ましい。
【0030】本発明のポリエステル組成物から得られる
フィルムは単層フィルムとして、また積層フィルムとし
てでも用いられる。積層フィルムの場合、少なくとも一
層を構成するフィルムとして本発明のフィルムを用いる
と、フィルム表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性が良好と
なるので好ましい。さらには、耐スクラッチ性、ダビン
グ性の点から、粒子(A)を有するフィルムが、積層フ
ィルムの最外層の1つであることが好ましい。フィルム
の積層方法としては、溶融共押出しなど公知の方法を用
いることができる。
【0031】粒子(A)、粒子(B)は同じ層に含有さ
れていてもよいし、また、異なる層に含有されていても
よいが、耐スクラッチ性、ダビング性の点から特に好ま
しいのは、粒子(A)、粒子(B)が少なくとも片面側
の同じ最表層に含有され、そのフィルム厚さtと、粒子
(B)の粒径dとの関係が、0.2d≦t≦10d,好
ましくは0.5d≦t≦5d,さらに好ましくは0.5
d≦t≦3dの場合、または、粒子(B)を含有するフ
ィルム層の厚さtと、粒子(B)の粒径dとの関係が、
0.2d≦t≦10d,好ましくは0.5d≦t≦5
d,さらに好ましくは0.5d≦t≦3dであって、か
つ、その外側に、粒子(A)を含有する層が最外層とし
て存在し、その最外層の厚さが0.005〜1μm、好
ましくは0.01〜0.5,さらに好ましくは0.02
〜0.3の場合である。
【0032】また単膜の場合と同様に、フィルムとした
時の滑り性を得るために、別の粒子を添加してもよい。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳細に説明する。 (A)粒子特性 (1)平均粒径 粒子をポリエステルに配合し、0.2μm厚みの超薄切
片にカッティング後、透過型電子顕微鏡で観察し、凝集
状態の二次粒子1,000個の数基準の円相当平均径
(μm)で評価した。
【0034】(2)粒子の比表面積 B.E.T.法にしたがって測定した。
【0035】(B)ポリマ中の金属濃度 FLX(蛍光X線分析法)、および原子吸光分光分析法
にて測定を行った。
【0036】(C)フィルム特性 (1)表面粗さRa(μm) JIS B−0601に準じサーフコム表面粗さ計を用
い、針径2μm、荷重70mg、測定基準長0.25m
m、カットオフ0.08mm条件下で測定した中心線平
均粗さを採用した。
【0037】(2)耐摩耗性 フィルムを細幅にスリットしたテープ状ロールを、ステ
ンレス鋼SUS−304製ガイドロールに一定張力で高
速、長時間擦り付け、ガイドロール表面に発生する白粉
量によって次のようにランク付けした。 A級……白粉発生まったくなし B級……白粉発生少量あり C級……白粉発生やや多量あり D級……白粉発生多量あり
【0038】(3)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のを、テープ走行性試験機を使用してガイドピン(表面
粗さ:Raで0.1μm)上で走行させる。(走行速度
1,000m/分、走行回数15パス、巻き付け角60
°、走行張力65g)。この時、フィルムに入った傷を
顕微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あた
り2本未満はA級、2本以上3本未満はB級、3本以上
10本未満はC級、10本以上はD級とした。
【0039】実施例1 平均粒径0.15μmの酸化ジルコニウム粒子(粒子
(A))を10重量部、エチレングリコール90重量部
を混合して常温下2時間ディゾルバーで撹拌処理し、酸
化ジルコニウム粒子のエチレングリコールスラリー
(A)を得た。平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒
子(粒子(B))を10重量部、エチレングリコール9
0重量部を常温下2時間ディゾルバーで撹拌処理し炭酸
カルシウム粒子のエチレングリコールスラリー(B)を
得た。酸化マグネシウムを10重量部、エチレングリコ
ール90重量部を混合して常温下2時間ディゾルバーで
撹拌処理し、酸化マグネシウムのエチレングリコールス
ラリー(C)を得た。他方、ジメチルテレフタレート、
エレチングリコールに、触媒として酢酸マグネシウムを
加えてエステル交換反応を行った後、反応生成物に先に
調製したスラリー(A)、スラリー(B)、スラリー
(C)、触媒の三酸化アンチモン、および耐熱安定剤と
してトリメチルホスフェートを加え重縮合反応を行い、
ポリエチレンテレフタレートを得た。このとき、ポリマ
−中の金属原子の含有量は、マグネシウム原子=1.3
×10-4mol/g、カルシウム原子=3×10-5mo
l/g、リン原子=1.8×10-6mol/g、M/P
=88.9であった。透過型電子顕微鏡による酸化ジル
コニウム粒子の平均粒径は0.15μm、炭酸カルシウ
ム粒子の平均粒径は、0.6μmであった。
【0040】このポリエチレンテレフタレート組成物を
290℃で溶融、押出しし、その後、90℃で縦横それ
ぞれ3倍延伸し、さらにその後、220℃で15秒間熱
処理し、厚さ15μmのポリエチレンテレフタレート二
軸延伸フィルムを得た。このフィルムを評価したとこ
ろ、Ra=0.021μm、耐摩耗性評価A級、耐スク
ラッチ性A級であり、耐摩耗性および耐スクラッチ性が
非常に優れたフィルムであった。
【0041】実施例2〜4 ポリエチレンテレフタレート組成物中の粒子の粒子種、
平均粒径、添加量、アルカリ金属化合物、アルカリ土類
金属化合物、およびリン化合物の添加量、および種類な
どを変更し、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエス
テルフィルム得た。これらのフィルムの評価結果を表1
に示した。これらのフィルムが良好な耐摩耗性および耐
スクラッチ性を有していることがわかる。
【0042】実施例5 粒子(A)を添加しない以外は、全く実施例1と同様に
してポリエチレンテレフタレート組成物(X)を得た。
粒子(B)を添加しない以外は、全く実施例1と同様に
してポリエチレンテレフタレート組成物(Y)を得た。
この(Y)を(X)の上に溶融共押出しして積層未延伸
フィルムを得た。この時の押出し温度は290℃とし
た。その後、90℃で縦横にそれぞれ3倍延伸し、さら
にその後、220℃で20秒間熱処理し、積層二軸延伸
フィルムを得た。
【0043】(X)、(Y)各層の厚みは、それぞれ8
μm、0.5μmであった。このフィルムを評価したと
ころ、表1に示すようにRa=0.023μm、耐摩耗
性評価A級、耐スクラッチ性評価A級であり、耐摩耗性
および耐スクラッチ性に非常に優れたフィルムであっ
た。
【0044】比較例1〜2 粒子種、平均粒径、粒子含有量、アルカリ金属化合物、
アルカリ土類金属化合物、およびリン化合物の添加量、
および種類を変更し、実施例1と同様の方法で二軸延伸
ポリエステルフィルムを得た。これらのフィルムの評価
結果を表2に示した。これらのフィルムは、耐摩耗性、
耐スクラッチ性をともに満足できるフィルムではなかっ
た。
【0045】
【表1】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物は、特にフ
ィルムとした場合、耐摩耗性,耐スクラッチ性に優れ磁
気記録媒体用途などに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 67/00 - 67/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)を満足する量のアルカ
    リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物から選ばれた少
    なくとも一種の化合物、およびリン化合物を含有してな
    り、かつ、平均粒径が0.005μm以上0.3μm未
    満の粒子(A)を0.01〜10重量%含有してなる
    リエステル組成物。 5≦M/P≦500 ・・・・(I) ただし、式(I)において M:ポリエステル106g当りに含有されるアルカリ金
    属化合物、アルカリ土類金属化合物の総モル数。 P:ポリエステル106g当りに含有されるリン化合物
    の総モル数。
  2. 【請求項2】 マグネシウム化合物をポリエステルに対
    して1×10-7〜1×10-2モル/g含有してなる請求
    項1記載のポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】 平均粒径が0.3μm以上2.5μm以
    下の粒子(B)を0.005〜10重量%含有する請求
    項1または2記載のポリエステル組成物。
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