JPH05230237A - 2軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

2軸配向ポリエステルフィルム

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JPH05230237A
JPH05230237A JP3813092A JP3813092A JPH05230237A JP H05230237 A JPH05230237 A JP H05230237A JP 3813092 A JP3813092 A JP 3813092A JP 3813092 A JP3813092 A JP 3813092A JP H05230237 A JPH05230237 A JP H05230237A
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JP
Japan
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film
inorganic compound
polyester film
biaxially oriented
inert inorganic
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JP3813092A
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English (en)
Inventor
Juji Konagaya
重次 小長谷
Yasuhiro Nishino
泰弘 西野
Toshiaki Doi
俊明 土井
Hideto Ohashi
英人 大橋
Yasushi Sasaki
靖 佐々木
Yutaka Baba
豊 馬場
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Nippon Magphane KK
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Nippon Magphane KK
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 耐摩耗性に優れ、カレンダ加工工程における
フィルムの摩耗粉の発生がなく、フィルムをスリットす
る際のバリ、ヒゲおよび粉の発生がなく、スクラッチ性
に優れた2軸配向ポリエステルフィルムを提供する。 【構成】 芳香族ジカルボン酸を主とする酸成分と、少
なくとも一種のグリコール成分からなるポリエステルフ
ィルムで、平均粒径0.01〜0.5μm、モース硬度
5以上の不活性無機化合物微粒子(A)を100〜10
000ppmの範囲で、平均粒径0.1〜2.0μm、
モース硬度2.5以上5未満の不活性無機化合物微粒子
(B)を500〜20000ppmの範囲で、平均粒径
が0.1〜5.0μm、モース硬度2.5未満である不
活性無機化合物微粒子(C)を500〜20000pp
mの範囲で含有する。フィルムの密度ρは1.388g
/cm3以上であり、150℃でのフィルム縦方向と横
方向の熱収縮率の和Yが4.5%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2軸配向ポリエステル
フィルムに関し、より詳しくは磁気テープ用ベースフィ
ルムとして好適な2軸配向ポリエステルフィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレートは優れた物理的、化学的特性を有し、さらにポ
リエステルに滑剤粒子と呼ばれる無機化合物または有機
化合物の微粒子が添加された2軸配向ポリエステルフィ
ルムは、磁気テープ用フィルムとして広く一般的に使用
されている。
【0003】最近では、磁気テープ製造工程の高速化に
伴い、磁気テープ製造工程中のカレンダ加工工程におけ
る耐摩耗性に一層優れたフィルムが求められている。カ
レンダ加工工程とは、磁性層組成物をポリエステルフィ
ルム上に塗布・乾燥することにより磁性層を形成した
後、この磁性層表面を平滑化する工程である。このカレ
ンダ加工工程では、極めて高圧力が加わるカレンダロー
ル間をこのフィルムが通過するため、主として滑剤によ
って形成されたフィルム表面の突起が削り落とされて摩
耗粉が発生する。このような摩耗粉がカレンダーロール
表面に付着すると、フィルムの磁性層表面が粗くなり、
結果として得られる磁気テープの電気的特性の低下を招
く。また、耐摩耗性が悪いフィルムは磁気テープとして
使用した場合、テープデッキ内の走行系においても摩耗
粉が発生し、その結果、磁気テープの電気特性の低下や
ドロップアウトを招く。
【0004】また、最近、磁気テープ用ベースフィルム
には、耐摩耗性に加えて耐スクラッチ性の要求が高まっ
ている。スクラッチとは、磁気テープが接触する部分に
つけられる擦り傷(例えば高速ダビング時のカセットピ
ンによるテープの擦傷)や、テープデッキ内の走行系で
発生した摩耗粉によりつけられる擦傷のことである。こ
のような耐スクラッチ性が悪い磁気テープは、その製造
工程内が汚染されたり、ドロップアウトの増加を引き起
こす。
【0005】上記の耐摩耗性及び耐スクラッチ性の改善
は磁気テープの品質向上につながり非常に重要なことで
ある。
【0006】耐摩耗性を改善する方法としては、例え
ば、特開昭60−195727号公報にベースフィルム
の結晶化度を小さくする方法が記載されている。
【0007】しかしこの方法では、磁性層塗布後のフィ
ルムを所定幅にスリットして磁気テープに加工する際、
フィルム切断面からの、いわゆる、バリやヒゲの発生が
著しくなり、かつ粉が生じるため、得られる磁気テープ
にドロップアウトが増加するという問題がある。
【0008】また、耐摩耗性及び耐スクラッチ性を改良
する方法としては、例えば、特開平1−311131号
公報に、ポリエステルフィルム内に滑剤としてある特定
の微粒子、例えば、モース硬度6以上の不活性微粒子を
添加する方法が記載されている。
【0009】しかしこの方法では、フィルムの耐スクラ
ッチ性は向上するが、フィルムの耐摩耗性が充分でな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点を
解決しようとするもので、その目的は、耐摩耗性に優
れ、それゆえ、カレンダ加工工程におけるフィルムの摩
耗粉の発生がなく、フィルムをスリットする際のバリ、
ヒゲおよび粉の発生がなく、かつスクラッチ性に優れた
2軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の2軸配向ポリエ
ステルフィルムは、芳香族ジカルボン酸を主とする酸成
分と、少なくとも一種のグリコール成分からなるポリエ
ステルフィルムであって、前記ポリエステルフィルム
が、平均粒径が0.01〜0.5μmで、かつモース硬
度が5以上である不活性無機化合物微粒子(A)を10
0〜10000ppmの範囲で、平均粒径が0.1〜
2.0μmで、かつモース硬度が2.5以上5未満であ
る不活性無機化合物微粒子(B)を500〜20000
ppmの範囲で、かつ平均粒径が0.1〜5.0μmで
モース硬度が2.5未満である不活性無機化合物微粒子
(C)を500〜20000ppmの範囲で含有し、か
つ前記ポリエステルフィルムの密度ρが1.388g/
cm3以上であり、150℃でのフィルム縦方向の熱収
縮率と横方向の熱収縮率の和Yが4.5%以上であり、
かつフィルム縦方向のF5値と横方向のF5値の和X(単
位kg/mm2)およびYが式Iを満足することを特徴
とし、そのことにより上記課題を達成することができ
る。
【0012】 Y2+3.2Y≧19.2X−393.6 (I) 好適な実施態様においては、前記2軸配向ポリエステル
フィルムの105℃でのフィルム横方向の熱収縮率が
0.5%未満であり、かつ前記2軸配向ポリエステルフ
ィルムの70℃でのフィルム縦方向の熱収縮速度が毎時
0.03%/時未満であることを特徴とし、そのことに
より上記課題を達成することができる。
【0013】好適な実施態様においては、前記不活性無
機化合物微粒子(A)、(B)、(C)が、それぞれ、
アルミナ、シリカ、炭酸カルシウムおよびカオリンから
なる群より選択される無機粒子であることを特徴とし、
そのことにより上記課題を達成することができる。
【0014】次に本発明を詳しく説明する。
【0015】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは
ポリエステルを主成分とする。このポリエステルは、芳
香族ジカルボン酸を主とする酸成分と、少なくとも一種
のグリコール成分からなるが、その構成単位の95モル
%以上がエチレンテレフタレートであることが好まし
い。
【0016】テレフタル酸以外の他の酸成分としては、
イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジカルボキシフ
ェニール、4,4−ジカルボキシルベンソフェノン、ビ
ス(4−カルボキシフェニール)エタン、アジピン酸、
セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シク
ロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等のジカルボン酸が
挙げられる。またエチレングリコール以外のグリコール
成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチ
レンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリール等
が挙げられる。またp−オキシ安息香酸などのオキシカ
ルボン酸成分等も使用することができる。このほか共重
合成分として少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテ
ル結合、カーボネート結合等含有する化合物を含んでい
てもよい。
【0017】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに
含有される、モース硬度が5以上である不活性無機化合
物微粒子(A)としては、二酸化チタン(TiO2)、
二三酸化鉄(Fe34)、二酸化硅素(シリカ、SiO
2)、炭化硅素(SiC)、アルミナ(Al23)が挙
げられる。中でもポリエステルとの親和性に富むアルミ
ナまたはシリカが耐摩耗性および耐スクラッチ性の点か
ら最も好ましい。また、それらの複合酸化物、例えばS
iO2−TiO2、SiO2−Al23、TiO2−Al2
3等も用いることも可能である。
【0018】上記アルミナ粒子とは、ジブサイト、バイ
ヤライト、ノルトスランダイト、ベーマイト、ダイアス
ボア、トーダイトなどの結晶性アルミナ水和物;、無定
型ゲル、ベーマイトゲル、バイヤライトゲル、などの非
晶性アルミナ水和物;ρ、η、γ、χ、κ、δ、θ型な
どの中間活性アルミナまたは及びα型アルミナを意味す
るが、中でもδ型またはγ型の中間活性型アルミナが好
ましい。
【0019】上記シリカ粒子は、いかなる形態のもので
も用いることが可能であるが、耐スクラッチ性の点から
は球状のシリカが好ましい。
【0020】上記不活性無機化合物粒子(A)の平均粒
子径は0.01〜1.0μmであることが必要であり、
好ましくは0.01〜0.5μmである。上記不活性無
機化合物粒子(A)の平均粒子径が1.0μmを超える
場合、得られるフィルムに粗大突起が発生し、このよう
なフィルムを磁気テープに用いると、粗大突起がテープ
面の傷の発生を助長したり、ドロップアウトの原因とな
る。逆に、上記不活性無機化合物粒子(A)の平均粒子
径が0.01μm未満の場合、ポリエステル中で不活性
無機化合物粒子(A)の一部が凝縮し、このようなフィ
ルムを磁気テープに用いると、凝集した粒子がドロップ
アウトの原因となる。
【0021】上記不活性無機化合物粒子(A)の粒径分
布は、フィルムの破れや磁気テープに用いた場合のドロ
ップアウトを防止するために、シャープでありかつ10
μ以上の粒子を含有しないことが好ましく、2μ以上の
粒子の体積含有率が5%以下であることが特に好まし
い。
【0022】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム中
の上記不活性無機化合物粒子(A)の含有量は、100
〜10000ppmであることが必要があり、好ましく
は1500〜7000ppmである。上記不活性無機化
合物粒子(A)の含有量が10000ppmを超える場
合、上記不活性無機化合物粒子(A)が高硬度であるた
めに、逆にフィルム表面に傷を発生する。さらにポリエ
ステルフィルムの耐熱性も低下する。また、上記不活性
無機化合物粒子(A)の含有量が100ppm未満の場
合、得られるポリエステルフィルムが充分な耐擦傷性を
有しない。
【0023】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに
含有される、モース硬度が2.5以上5未満である不活
性無機化合物微粒子(B)としては、炭酸カルシウム
(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、フッ化カ
ルシウム(CaF2)等が挙げられ、中でも走行性の面
からは炭酸カルシウム(CaSO3)が最も好ましい。
【0024】上記炭酸カルシウム粒子は、その結晶構造
により三方または六方晶系に分類されるカルサイト、斜
方晶系に分類されるアラゴナイト、六方または擬六方晶
系に分類されるバテライトの3つの結晶型に分類される
が、いかなる結晶型でもよく、またその形状も、連鎖錠
粒子や立方体、紡錘状、柱状あるいは針状、球形、卵
型、等任意に選択できる。
【0025】不活性無機化合物粒子(B)の平均粒子径
は、0.1〜5.0μmであることが必要であり、好ま
しくは0.2〜2.0μmであり、さらに好ましくは
0.25〜1μmである。不活性無機化合物粒子(B)
の平均粒子径が5.0μmを超える場合、得られるフィ
ルムの表面に粗大突起を生じ、このようなフィルムを磁
気テープに用いるとドロップアウトの原因となる。逆
に、不活性無機化合物粒子(B)の平均粒子径が0.1
μm未満の場合、ポリエステル中で不活性無機化合物粒
子(B)の一部が凝縮し、このようなフィルムを磁気テ
ープに用いると、凝集した粒子がドロップアウトの原因
となる。
【0026】上記不活性無機化合物粒子(B)の粒径分
布は、フィルムの破れや磁気テープに用いた場合のドロ
ップアウトを防止するために、シャープでありかつ10
μ以上の粒子を含有しないことが好ましく、5μ以上の
粒子の体積含有率が5%以下であることが特に好まし
い。
【0027】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム中
の上記不活性無機化合物粒子(B)の含有量は、500
〜20000ppmであることが必要があり、好ましく
は500〜7000ppmである。上記不活性無機化合
物粒子(B)の含有量が20000ppmを超える場
合、フィルムの表面に粗大突起が生じるためフィルムの
耐摩耗性が低下する。上記不活性無機化合物粒子(B)
の含有量が500ppm未満の場合、得られるポリエス
テルフィルムが充分な滑り性を有しない。
【0028】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに
含有される、モース2.5未満の不活性無機化合物粒子
(C)としては、タルク、カオリン等が挙げられ、中で
も耐スクラッチ性の面からはカオリンが特に好ましい。
上記カオリン粒子は、天然カオリン、合成カオリン、焼
性、未焼性を問わずいかなるタイプでもよく、またその
形状も、板状、柱状、球形、紡錘状、卵型等任意に選択
できる。
【0029】上記不活性無機化合物粒子(C)の平均粒
子径は0.1〜5.0μmであることが必要であり、好
ましくは0.2〜2.0μmで、さらに好ましくは0.
25〜1μmある。上記不活性無機化合物粒子(C)の
平均粒子径が5.0μmを超える場合、得られるフィル
ムの表面に粗大突起を生じ、このようなフィルムを磁気
テープに用いると、ドロップアウトの原因となる。逆
に、上記不活性無機化合物粒子(C)の平均粒子径が
0.1μm未満の場合、ポリエステル中で不活性無機化
合物粒子(C)の一部が凝縮し、このようなフィルムを
磁気テープに用いると、凝集した粒子がドロップアウト
の原因となる。
【0030】上記不活性無機化合物粒子(C)の粒径分
布は、フィルムの破れや磁気テープに用いた場合のドロ
ップアウトを防止するために、シャープでありかつ10
μ以上の粒子を含有しないことが好ましく、5μ以上の
粒子の体積含有率が5%以下であることが特に好まし
い。
【0031】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム中
の上記不活性無機化合物粒子(C)の含有量は、500
〜20000ppmであることが必要があり、好ましく
は1500〜7000ppmである。上記不活性無機化
合物粒子(C)の含有量が20000ppmを超える場
合、フィルムの表面に粗大突起が生じるためフィルムの
耐摩耗性が低下する。上記不活性無機化合物粒子(C)
の含有量が500ppm未満の場合、得られるポリエス
テルフィルムが充分な滑り性を有しない。
【0032】上記不活性無機化合物粒子(A)、(B)
および(C)の平均粒子径とは、ストークスの式に基づ
いて算出された等価球粒度分布の積算50%点における
点における径をさす。
【0033】上記不活性無機化合物粒子(A)、(B)
または(C)は、その表面が各種の表面処理剤により変
性されていてもよい。例えば、エチレングリコールやポ
リエステルとの親和性を向上させる目的で使用される表
面処理剤は、代表的なものにポリアクリル酸、ポリメタ
クリル酸等のアンモニウム塩、アルカリ金属塩、シラン
カップリング剤、チタンカップリング剤等がある。上記
の表面処理剤は、一般に不活性無機化合物粒子に対して
5重量%以下の量が使用される。
【0034】上記不活性無機化合物粒子のポリエステル
内への導入方法は、ポリエステル重縮合反応系中に不活
性無機化合物粒子を添加し重縮合を完結せしめる方法
と、溶融ポリエステル中に不活性無機化合物粒子を添加
して混練りする方法があり、どちらの方法も採用するこ
とができるが、通常は、前者の方法が不活性無機化合物
粒子のポリエステル内への分散性の面から好ましい。
【0035】この場合、不活性無機化合物粒子は、通常
エチレングリコールスラリーとして反応系中へ添加され
るが、その添加時期は、使用する不活性無機化合物粒子
に依存するが、重縮合反応開始前が好ましい。
【0036】上記不活性無機化合物粒子をポリエステル
中に含有させる方法としては、不活性無機化合物粒子
(A)、(B)、(C)含有ポリエステルを独立的に製
造し、各ポリエステルを所定量混合する方法、不活性無
機化合物粒子(A)、(B)および(C)の中で2種類
の不活性無機化合物粒子を含有する、例えば不活性無機
化合物粒子(A)と(B)、または不活性無機化合物粒
子(B)と(C)、または不活性無機化合物粒子(C)
と(A)を含有するポリエステルを製造し、所定量混合
する方法、不活性無機化合物粒子(A)、(B)および
(C)を含有するポリエステルを製造する方法がある。
【0037】特にアルミナ超微粒子、炭酸カルシウム等
を含んだポリエステルを製造する場合には、不活性無機
化合物粒子の分散性および得られるフィルムの静電密着
性改善等の目的でアルカリ金属塩またはアルカリ土類金
属塩と、燐酸、燐酸アルキルエステル、またはそれらの
誘導体等を添加する。この場合、アルカリ金属塩または
ルカリ土類金属塩と、燐酸、燐酸アルキルエステル、ま
たはそれらの誘導体等の添加したモル比(燐酸またはそ
の誘導体/((アルカリ金属)/2+(アルカリ土類金
属))は0.5〜0.9であることが好ましい。上記の
モル比が0.5未満または0.9を超える場合、添加さ
れたアルミナ超微粒子及び炭酸カルシウムの凝集が起こ
り易くなりるため、ポリエステル内に粗大粒子が発生
し、従って、このようなポリエステルを用いた磁気テー
プは、ドロップアウト原因となりやすい。
【0038】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム
は、その密度が1.388g/cm3以上であることが
必要であり、1.390g/cm3以上であることが良
好なスリット性を得る上で好ましい。密度が1.388
g/cm3未満の場合、得られるフィルムの結晶化度が
小さくなるため、フィルムのスリット工程において、バ
リ・ヒゲが発生して、その結果、ドロップアウトが発生
する。
【0039】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム
は、150℃でのフィルム縦方向の熱収縮率と横方向の
熱収縮率の和Yが4.5%以上であり、かつフィルムの
縦方向F5値と横方向のF5値の和X(単位Kg/m
2)およびYが式Iを満足する。
【0040】 Y2+3.2Y≧19.2X−393.6 (I) ここで、F5値とは、フィルムを5%伸長するのに要す
る応力をいう。一般に、F5値と熱収縮率との間には相
関があり、F5値が大きくなると熱収縮率も増加する傾
向にある。しかし、それは必ずしも一対一に対応するも
のではなく、フィルムの製造方法によっては上記関係を
満足させることが可能である。本発明の2軸配向ポリエ
ステルフィルムが上記の関係を満足する場合、フィルム
の耐摩耗性が良好となるので、カレンダ加工工程でのフ
ィルムの摩耗粉の発生を防止することができる。150
℃でのフィルム縦方向の熱収縮率と横方向の熱収縮率の
和Yが4.5%未満の場合、たとえフィルムの縦方向F
5値と横方向のF5値の和Xとの関係を満足しても、耐摩
耗性に優れたフィルムを得ることができない。ここで1
50℃におけるフィルム縦方向の熱収縮率と横方向の熱
収縮率は、縦方向に大きくても横方向に大きくても縦横
に同程度であってもよく、その和Yが上記の関係を満足
する場合のみフィルムの耐摩耗性が良好となる。逆に、
一方向にのみ大きな熱収縮率を有しても、Yが上記の関
係を満足していない場合には、フィルムの耐摩耗性が改
善されない。フィルムの縦方向のF5値および横方向の
5値は、磁気テープの種類に応じて設定すればよく、
特に限定しないが、フィルムの縦方向のF5値および横
方向のF5値が小さすぎると磁気テープのヘッドタッチ
が不良となるので、フィルムの縦方向のF5値および横
方向のF5値がいずれも10.5kg/mm2以上である
ことが特に好ましい。しかし、フィルムの縦方向のF5
値および横方向のF5値が大きすぎる場合には、未延伸
フィルムを延伸した時に、ポリエステルに添加されてい
る不活性無機化合物粒子とポリエステルとの界面にボイ
ドが発生し、その結果、得られるフィルムの耐摩耗性が
悪くなって、フィルムのカレンダ加工工程でフィルムの
摩耗粉が発生する。従って、フィルムの縦方向のF5
および横方向のF5値の和は30kg/mm2以下である
ことが好ましい。本発明の2軸配向ポリエステルフィル
ムは、105℃でのフィルム横方向の熱収縮率が0.5
%未満であることが好ましい。105℃での横方向の熱
収縮率が0.5%以上の場合、フィルムの製造工程での
フィルムの幅方向への熱収縮が著しくなり、生産性が悪
くなる傾向にあるからである。一般に、150℃での熱
収縮率を大きくすると、105℃での熱収縮率も大きく
なる傾向にあるが、フィルムの製造方法を適当に選べ
ば、150℃での熱収縮率を大きくしても、105℃の
みの熱収縮率を小さくすることが可能である。
【0041】本発明の2軸配向ポリエステルフィルム
は、70℃でのフィルム縦方向の熱収縮速度が毎時0.
03%未満であることが好ましい。70℃でのフィルム
縦方向の熱収縮速度が毎時0.03%以上の場合、フィ
ルムを磁気テープ用として用いると、磁気テープのスキ
ュー特性が悪化する傾向にある。
【0042】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムを
製造する方法は、任意の方法が採用され、特に制限され
るものではないが、例えば以下の製造方法がある。まず
フィルム表面に突起を形成させるための上記不活性無機
化合物粒子を添加したポリエステルフィルムを、常法に
より、縦および横方向に2軸延伸する。延伸順序は縦
横、横縦、同時2軸いずれの方法をとってもよい。ま
た、横延伸と縦延伸及び同時2軸延伸を適宜組み合わせ
た3段階以上の延伸を行ってもよい。
【0043】ポリエステルフィルムを2軸延伸した後、
テンター中で熱処理を行う。1.388以上の密度のポ
リエステルフィルムを得るためには、熱処理は190〜
230℃で2〜10秒間行うのが好適である。また、1
50℃におけるフィルム縦方向の熱収縮率と横方向の熱
収縮率の和が4.5%以上とするためには、熱処理と同
時に横方向または縦横両方向に2〜30%の再延伸を行
うことが好ましい。
【0044】熱処理後には、横方向および縦方向に緩和
処理を行ってもよい。横方向への緩和はテンター中で行
うのが好ましい。フィルムの150℃での熱収縮率を大
きく保ちながら105℃での熱収縮率を小さくするため
には、緩和温度を130〜170℃とすることが有効で
ある。また緩和率は、所望の熱収縮率を得るために0.
2〜10%の範囲で適宜調節すればよい。一方、縦方向
への緩和は、テンター中で横方向への緩和と同時に行っ
てもよいが、加熱ロール上での緩和が好ましい。縦方向
への緩和は、70℃での熱収縮速度を小さくするために
は、80〜150℃の温度で行うことが好ましく、緩和
率は加熱ロールと前後のロール間でのテンションコント
ロールによって適宜調節すればよい。
【0045】
【作用】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムは、滑
剤としてモース硬度が異なった3種類以上の不活性無機
化合物微粒子を含有するため、耐擦傷性(耐スクラッチ
性)が優れる。そしてその密度が1.388であるた
め、スリット加工工程でのヒゲ、バリおよび粉の発生が
ない。そして150℃におけるフィルム縦方向の熱収縮
率と横方向の熱収縮率の和Yが4.5%以上で、フィル
ム縦方向のF5値と横方向のF5値の和X、およびYが式
Iを満足するため、耐摩耗性に優れ、それゆえカレンダ
加工工程における摩耗粉の発生がない。さらにXの範囲
はYの値に依存するので、Yの値を特定することによ
り、本発明のポリエステルフィルムは種々のF5が要求
される磁気テープ用に対応することができる。
【0046】なお、Yの値はポリエステル分子の緊張度
を示す尺度であり、ポリエステル分子の緊張度が大きく
なると、ポリエステルフィルムの脆性が小さくなり、逆
にポリエステル分子の緊張度が小さくなると、ポリエス
テルフィルムの脆性が大きくなる。従って、Yの値を大
きくすることにより、本発明の2軸配向ポリエステルフ
ィルムの脆性が小さくなって耐摩耗性が良好となると考
えられる。
【0047】
【実施例】次に実施例及び比較例を用いて本発明を更に
詳細に説明するが、以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0048】以下に実施例及び比較例で得られたフィル
ムの測定方法を示す。
【0049】(1)不活性無機化合物微粒子の平均粒径 島津製作所(株)製延伸沈降式粒度分布測定器(SA−
CP−2またはCP−3)で得た等価球状分布における
積算50%の点の値を平均粒径とした。
【0050】(2)フィルムの平均表面粗さ サーフコム300A型表面粗さ計(東京精密製)を用
い、針径1μm、加重0.07g、測定基準長0.8m
m、カットオフ0.08mmの条件で測定した時の中心
線平均粗さ(Ra:μm)で表示した。
【0051】(3)フィルムの滑り性 ASTM D−1894−63に準拠し、スレッド式ス
トリップテスターを用い、23℃、65RH%の環境条
件下でフィルム/フィルム間の静摩擦係数を測定した。
【0052】(4)フィルム熱収縮率 フィルムを縦方向および横方向、それぞれ幅10mm長
さ100mmの短冊状切り出して試験片とし、この試験
片を150℃および105℃に保持されたギアオーブン
中に無緊張状態で放置して、30分後に取り出して処理
前後の試験片の長さから算出した。
【0053】(5)フイルムのF5値 熱収縮率の測定に用いた試験片と同様の試験片を、
(株)オリエンテック製テンシロンを用いて、100%
/分の変形速度下で引っ張り、5%伸長時の応力を求め
た。
【0054】(6)フィルムの70℃における熱収縮速
度 フィルム縦方向に幅4mm長さ50mmに切り出し、こ
の試験片を真空理工(株)製TM−3000型熱試験機
を用いて、定加重(9.4g)下で70℃の熱変形曲線
を測定し、試験片の雰囲気70℃に達した後(約30分
を要する)、1時間にわたって生じた収縮量をもって熱
収縮速度とした。
【0055】(7)フィルムのカレンダ加工工程におけ
る耐摩耗性 30cm幅のポリエステルフィルムを、4段のスーパー
カレンダ(線圧力300kg/cm、走行速度300m
/分)で40,000m処理し、弾性ロールに付着した
樹脂粉末量を目視観察して以下のランク付けを行った。 1・・・樹脂粉末粉がまったく認められない 2・・・かすかに樹脂粉末粉が認められるが極めて微量
である 3・・・少量の樹脂粉末粉が認められる 4・・・多量の樹脂粉末粉が認められる 得られたポリエステルフィルムがランク1または2であ
れば実用上差し支えない。
【0056】(8)フィルムの耐スクラッチ性 幅10mmに裁断したポリエステルフィルムをプラスチ
ック製ピンに張力100g、巻き付け角90度、走行速
度150m/分で1回摩擦させつつ走行させる。次い
で、その摩擦面にアルミニウム蒸着を施し、その実態顕
微鏡写真で傷の量を目視判定し、以下のようにランク分
けした。 1・・・傷がまったく認められない 2・・・かすかに傷が認められるがきわめて微量である 3・・・少量の傷が認められる 4・・・多量の傷が認められる 得られたポリエステルフィルムがランク1および2であ
れば、実用上差し支えない。
【0057】実施例1 <ポリエステルAの調整>平均粒径0.5μmの炭酸カ
ルシウム粒子1.48重量部、エチレングリコール1
4.8重量部および、0.1Mのトリポリリン酸ナトリ
ウム0.00296重量部を混合し、ホモジナイザーで
攪拌処理し16.3重量部のスラリーを得た。
【0058】他方、テレフタル酸100重量部、エチレ
ングリコール70.7重量部、三酸化アンチモン0.0
697重量部、トリエチレンアミン0.271重量部お
よび酢酸マグネシウム0.0931重量部を加え、25
0℃、2.5Kg/cm2の圧力下でエステル化を行っ
た。
【0059】エステル化終了後、この溶液にトリメチル
ホスフェート0.0327重量部を加えて常圧下260
℃で攪拌を行った。30分後、前記スラリー11.0重
量部を加えてさらに30分攪拌を行った。その後、真空
下で重縮合反応を行い、極限粘度η=0.62のポリエ
チレンテレフタレートを得た(ポリエステルA)。
【0060】<ポリエステルBの調製>上記ポリエステ
ルAの製造において、炭酸カルシウムの代わりに平均粒
径の0.4μmのカオリンを添加すること以外は同様に
して、極限粘度η=0.62のポリエチレンテレフタレ
ートを得た(ポリエステルB)。
【0061】<ポリエステルCの調製>上記ポリエステ
ルAの製造において、炭酸カルシウムの代わりに平均粒
径0.08μmのγ型酸化アルミニウムを添加すること
以外は同様にして、極限粘度η=0.60のポリエチレ
ンテレフタエートを得た(ポリエステルC)。
【0062】上記の不活性無機化合物粒子が表1に示し
た濃度になるように、得られた上記ポリエステルA、ポ
リエステルBおよびポリエステルCを所定の重量比で混
合、乾燥した後、280℃で溶融し、30℃の冷却ドラ
ム上にキャスティングすることにより厚さ220μmの
未延伸フィルムを得た。次いでこのフィルムを75℃に
加熱したロール、および表面温度600℃の赤外線ヒー
ター(フィルムから20mm離れた位置に設置)を用い
て加熱した後、低速ロールと高速ロールとの間で縦方向
に3.3倍延伸した。更にこのフィルムをテンター中で
100℃で横方向に4.4倍延伸した。テンター中で
は、横延伸に引き続いて熱処理・再横延伸および横方向
への緩和を行った。熱処理および緩和条件は表1に示
す。次いで20℃に加熱したロールにフィルムを接触さ
せ、加熱ロールとその前後のロールとの間の張力をコン
トロールすることによって縦方向への緩和を行い、厚さ
15μmの2軸配向ポリエステルフィルムを得た。この
ようにして得られたフィルムの特性を表にまとめた。
【0063】実施例2〜8および比較例1〜3 不活性無機化合物粒子の種類、平均粒径、添加量を表1
に示すように、実施例1と同様にして2軸配向ポリエス
テルフィルムを得た。
【0064】実施例1〜8および比較例1〜3で得られ
た2軸配向ポリエステルフィルムについてその特性を評
価した。その結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】表1から明らかなように、実施例1〜8で
得られた2軸配向ポリエステルフィルムは、カレンダ加
工工程における耐摩耗性および耐スクラッチ性に優れて
いることがわかる。
【0067】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、耐摩耗性に優れ、それゆえ、カレンダ加工工程にお
けるフィルムの摩耗粉の発生がなく、フィルムをスリッ
トする際のバリ、ヒゲおよび粉の発生がなく、かつスク
ラッチ性に優れた2軸配向ポリエステルフィルムを提供
することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】本発明の2軸配向ポリエステルフィルムに
含有される、モース硬度が2.5以上5未満である不活
性無機化合物微粒子(B)としては、炭酸カルシウム
(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、フッ化カ
ルシウム(CaF2)等が挙げられ、中でも走行性の面
からは炭酸カルシウム(CaCO3)が最も好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 LBQ 8933−4J G11B 5/704 7215−5D // B29K 67:00 4F 105:16 4F B29L 7:00 4F C08L 67:02 (72)発明者 西野 泰弘 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内 (72)発明者 土井 俊明 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内 (72)発明者 大橋 英人 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内 (72)発明者 佐々木 靖 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内 (72)発明者 馬場 豊 福井県敦賀市東洋町10番24号 東洋紡績株 式会社総合研究所敦賀分室内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジカルボン酸を主とする酸成分と、
    少なくとも一種のグリコール成分からなるポリエステル
    フィルムであって、 該ポリエステルフィルムが、平均粒径が0.01〜0.
    5μmで、かつモース硬度が5以上である不活性無機化
    合物微粒子(A)を100〜10000ppmの範囲
    で、平均粒径が0.1〜2.0μmで、かつモース硬度
    が2.5以上5未満である不活性無機化合物微粒子
    (B)を500〜20000ppmの範囲で、かつ平均
    粒径が0.1〜5.0μmでモース硬度が2.5未満で
    ある不活性無機化合物微粒子(C)を500〜2000
    0ppmの範囲で含有し、かつ該ポリエステルフィルム
    の密度ρが1.388g/cm3以上であり、150℃
    でのフィルム縦方向の熱収縮率と横方向の熱収縮率の和
    Yが4.5%以上であり、かつフィルム縦方向のF5
    と横方向のF5値の和X(単位kg/mm2)およびYが
    式Iを満足する、2軸配向ポリエステルフィルム。 Y2+3.2Y≧19.2X−393.6 (I)
  2. 【請求項2】前記2軸配向ポリエステルフィルムの10
    5℃でのフィルム横方向の熱収縮率が0.5%未満であ
    り、かつ前記2軸配向ポリエステルフィルムの70℃で
    のフィルム縦方向の熱収縮速度が毎時0.03%/時未
    満である、請求項1に記載の2軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
  3. 【請求項3】前記不活性無機化合物微粒子(A)、
    (B)、(C)が、それぞれ、アルミナ、シリカ、炭酸
    カルシウムおよびカオリンからなる群より選択される無
    機粒子である、請求項1または2に記載の2軸配向ポリ
    エステルフィルム。
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