JPH0518327B2 - - Google Patents

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JPH0518327B2
JPH0518327B2 JP62006251A JP625187A JPH0518327B2 JP H0518327 B2 JPH0518327 B2 JP H0518327B2 JP 62006251 A JP62006251 A JP 62006251A JP 625187 A JP625187 A JP 625187A JP H0518327 B2 JPH0518327 B2 JP H0518327B2
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film
particle size
particles
fine particles
silicone resin
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Hisashi Hamano
Norihiro Nomi
Kinji Hasegawa
Hideo Kato
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Teijin Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は二軸配向ポリエステルフイルムに関
し、更に詳しくはシリコン樹脂微粒子を含有し、
平坦で滑り性及び耐削れ性に優れた二軸配向ポリ
エステルフイルムに関する。 〔従来技術〕 ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリ
エステルは、その優れた物理的および化学的特性
の故に、磁気テープ用、写真用、コンデンサー
用、包装用などのフイルムとして広く用いられて
いる。これらフイルムにおいては、その滑り性お
よび耐削れ性はフイルムに製造工程および各用途
における加工工程の作業性の良否、さらにはその
製品品質の良否を左右する大きな要因となつてい
る。特にポリエステルフイルム表面に磁性層塗布
時におけるコーテイングロールとフイルム表面と
の摩擦および摩耗が極めて激しく、フイルム表面
へのしわおよび擦り傷が発生しやすい。また磁性
層塗布後のフイルムをスリツトしてオーデイオ、
ビデオまたはコンピユーター用テープ等に加工し
た後でも、リールやカセツト等からの引き出し、
巻き上げその他の操作の際に、多くのガイド部、
再生ヘツド等との間で摩耗が著しく生じ、擦り
傷、歪の発生、さらにはポリエステルフイルム表
面の削れ等による白粉状物質を析出させる結果、
磁気記録信号の欠落、即ちドロツプアウトの大き
な原因となることが多い。 一般にフイルムの滑り性および耐削れ性の改良
には、フイルム表面に凹凸を付与することにより
ガイドロール等との間の接触面積を減少せしめる
方法が採用されており、大別して(i)フイルム原料
に用いる高分子の触媒残渣から不活性の粒子を析
出せしめる方法と、(ii)不活性の無機粒子を添加せ
しめる方法が用いられている。これら原料高分子
中の微粒子は、その大きさが大きい程、滑り性の
改良効果が大であるのが一般的であるが、磁気テ
ープ、特にビデオ用のごとき精密用途には、その
粒子が大きいこと自体がドロツプアウト等の欠点
発生の原因ともなり得るため、フイルム表面の凹
凸は出来るだけ微細ある必要があり、相反する特
性を同時に満足すべき要求がなされているのが現
状である。 従来、フイルムの易滑性を向上させる方法とし
て、フイルム基質であるポリエステルに酸化ケイ
素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、ク
レイ、焼性カオリン等の無機質粒子を添加する方
法(例えば特開昭54−57562号公報参照)又はポ
リエステルを製造する重合系内で、カルシウム、
リチウムあるいはリンを含む微粒子を析出せしめ
る方法が提案されている(特公昭52−32914号公
報参照)。フイルム化した際、ポリエステルに不
活性の上記微粒子はフイルム表面に突起を生成
し、この突起はフイルムの滑り性を向上させる。 しかしながら、微粒子による突起によつて、フ
イルムの滑り性を改善する方法は、突起が一方で
はフイルム表面の平坦性を阻害することとなる本
質的な問題点を孕んでいる。 これらの相反する平坦性と易滑性とを解決せん
とする試みとして、比較的大粒径の微粒子と比較
的小粒径の微粒子との複合微粒子系を利用する手
段が提案されている。 米国特許第3821156号明細書は0.5〜30μmの炭
酸カルシウム微粒子0.02〜0.1重量%と0.01〜1.0μ
mのシリカ又は水和アルミナシリケート0.01〜
0.5重量%との組合せを開示している。 米国特許3884870号明細書は約0.5〜30μmの炭
酸カルシウム、焼成ケイ酸アルミニウム、水和ケ
イ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸
カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、アルミ
ナ、硫酸バリウム、マイカ、ケイソウ土等の不活
性微粒子約0.002〜0.018重量%を、約0.01〜約
1.0μmのシリカ、炭酸カルシウム、焼成ケイ酸カ
ルシウム、水和ケイ酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸マグネシウ
ム、ケイソウ土等の不活性微粒子約0.3〜2.5重量
%との併用を開示している。 米国特許第3980611号明細書は粒径1.0μm以下、
1〜2.5μmおよび2.5μm以上の3種の粒径グリー
ドのリン酸カルシウム微粒子を組合せて全量
5000ppm以下でポリエステルに添加することを開
示している。 特公昭55−41648号公報(特開昭53−71154号公
報)は1.2〜2.5μmの微粒子0.22〜1.0重量%と1.8
〜10μmの微粒子0.003〜0.25重量%との組合せで
あつて、該微粒子が周期律表の第,および
族の元素の酸化物又は無機塩であることを提案し
ている。 特公昭55−40929号公報(特開昭52−11908号公
報)は、3〜6μmの不活性無機微粒子0.01〜0.08
重量%と1〜2.5μmの不活性無機微粒子0.08〜0.3
重量%との組合せであつて、粒径の異なるこれら
の微粒子の全量が0.1〜0.4重量%であり且つ小さ
い粒径の微粒子に対する大きい粒径の微粒子の割
合が0.1〜0.7である混合粒子を開示している。 特開昭52−78953号公報は10〜1000mμの不活
性粒子0.01〜0.5重量%と0.5〜15μmの炭酸カルシ
ウム0.11〜0.5重量%と含有する二軸配向ポリエ
ステルフイルムを開示している。特開昭52−
78953号公報には、10〜1000mμの不活性粒子と
して炭酸カルシウム以外の種々の無機質物質が一
般記載の中に列記されている。しかしながら、こ
の公報には通常10〜1000mμの微粒子として入手
できるシリカあるいはクレーを無機質物質として
用いた具体例が開示されているにすぎない。 〔発発の目的〕 本発明の目的は表面平坦性、易滑性及び耐削れ
性に極めて優れた二軸配向ポリエステルフイルム
を提供することにある。 本発明の他の目的は、フイルム表面にシリコン
樹脂微粒子に由来する多数の微細な突起を有し且
つ表面平坦性、易滑性及び耐削れ性に極めて優れ
た二軸配向ポリエステルフイルムを提供すること
にある。 本発明のさらに他の目的および利点は以下の説
明から明らかとなろう。 〔発明の構成・効果〕 本発明によれば、本発明の上記目的及び利点
は、第1に、 () 芳香族ポリエステル及び () (a) 下記式(A) RxSiO2−x/2 …(A) ここで、Rは炭素数1〜7の炭化水素基で
あり、そしてxは1〜1.2の数である。 で表わされる組成を有し、 (b) 下記式(B) f=v/D3 …(B) ここで、vは粒子の平均体積(μm3)であ
りそしてDは粒子の平均最大粒径(μm)で
ある。 で定義される体積形状係数(f)が0.4より大き
くそしてπ/6以下であり、そして (c) 0.01〜4μmの平均粒径を有する、 シリコン樹脂微粒子0.005〜1.0重量%(芳
香族ポリエステルに対し)から成る緊密な混
合物から形成された二軸配向ポリエステルフ
イルムによつて達成される。 添付図はフイルムの摩擦係数(μk)を測定す
る装置の概略図である。 本発明における芳香族ポリエステルとは芳香族
ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコ
ールを主たるグリコール成分とするポリエステル
である。かかるポリエステルは実質的に線状であ
り、そしてフイルム形成性特に溶融成形によるフ
イルム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸と
は、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフエノキシエタンジカルボ
ン酸、ジフエニルジカルボン酸、ジフエニルエー
テルジカルボン酸、ジフエニルスルホンジカルボ
ン酸、ジフエニルケトンジカルボン酸、アンスラ
センジカルボン酸等である。脂肪族グリコールと
は、例えばエチレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、
デカメチレングリコール等の如き炭素数2〜10の
ポリメチレングリコールあるいはシクロヘキサン
ジメタノールの如き脂環族ジオール等である。 本発明において、ポリエステルとしては例えば
アルキレンテレフタレート及び/又はアルキレン
ナフタレートを主たる構成成分とするものが好ま
しく用いられる。 かかるポリエステルのうちでも、例えばポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
トはもちろんのこと、例えば全ジカルボン酸成分
の80モル%以上がテレフタル酸及び/又はナフタ
レンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80
モル%以上がエチレングリコールである共重合体
が特に好ましい。 その際、全酸成分の20モル%以下のジカルボン
酸は上記芳香族ジカルボン酸であることができ、
また例えばアジピン酸、セバチン酸等の如き脂肪
族ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,4−ジカ
ルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等であること
ができる。また、全グリコール成分の20モル%以
下はエチレングリコール以外の上記グリコールで
あることができ、あるいは例えばハイドロキノ
ン、レゾルシン、2,2′−ビス(4−ヒドロキシ
フエニル)プロパン等の如き芳香族ジオール;
1,4−ジヒドロキシメチルベンゼンの如き芳香
族を含む脂肪族ジオール;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等の如きポリアルキレングリコー
ル(ポリオキシアルキレングリコール)等である
こともできる。 また、本発明で用いられる芳香族ポリエステル
には、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オ
キシ酸;ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族
オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分
を、カルボン酸成分およびオキシジカルボン酸成
分の総量に対し20モル%以下含有するものも包含
される。さらに、本発明における芳香族ポリエス
テルには実質的に線状である範囲の量、例えば全
酸成分に対し2モル%以下の量で、3官能以上の
ポリカルボン酸又はポリヒドロキシ化合物、例え
ばトリメリツト酸、ペンタエリスリトール等を共
重合したものをも包含される。 上記芳香族ポリエステルは、それ自体公知であ
り、且つそれ自体公知の方法で製造することがで
きる。 上記芳香族ポリエステルとしては、o−クロロ
フエノール中の溶液として35℃で測定して求めた
固有粘度が約0.4〜約1.0のものが好ましい。 本発明の二軸配向ポリエステルフイルムはその
フイルム表面の平坦性を定義するRaの後記説明
から明らかなとおり、フイルム表面に多数の微細
な突起を有している。 それらの多数の微細な突起は本発明によれば芳
香族ポリエステル中に分散して含有される多数の
実質的に不活性な固体微粒子に由来する。 本発明において、シリコン樹脂微粒子()
は、下記式(A) RxSiO2−x/2 …(A) ここで、Rは炭素数1〜7の炭化水素基であり
そしてxは1〜1.2の数である で表わされる組成を有する。 上記式(A)におけるRは炭素数1〜7の炭化水素
基であり、例えば炭素数1〜7のアルキル基、フ
エニル基あるいはトリル基が好ましい。炭素数1
〜7のアルキル基は直鎖状であつても分岐鎖状で
あつてもよく、例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチ
ル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル
等をあげることがきる。 これらのうち、Rとしてはメチルおよびフエニ
ルが好ましく、就中メチルが特に好ましい。 上記式(A)におけるxは1〜1.2の数ある。上記
式(A)においてxが1であるとき、上記式(A)は、下
記式(A)−1 RSiO1.5 …(A)−1 ここで、Rの定義は上記に同じである。 で表わすことができる。 上記式(A)−1の組成は、シリコン樹脂の三次
元重合体鎖構造における下記構造部分; に由来するものである。 また、上記式(A)においてxが1.2であるとき、
上記式(A)は下記式(A)−2 R1.2SiO1.4 …(A)−2 ここで、Rの定義は上記に同じある。 で表わすことができる。 上記式(A)−2の組成は、上記(A)−1の構造
0.8モルと下記式(A)′ R2SiO …(A)′ ここで、Rの定義は上記に同じある で表わされる構造0.2モルとから成ると理解する
ことができる。 上記式(A)′は、シリコン樹脂の三次元重合体鎖
における下記構造部分; に由来する。 以上の説明から理解されるように、本発明の上
記式(A)の組成は、例えば上記式(A)−1の構造の
みから実質的になるか、あるいは上記式(A)−1
の構造と上記式(A)−2の構造が適当な割合でラ
ンダムに結合した状態で共存する構造かむ成るこ
とがわかる。 本発明のシリコン樹脂粒子は、好ましくは上記
式(A)において、xが1〜1.1の間の値を有する。 また、本発明のシリコン樹脂粒子()は、下
記式(B) f=V/D3 …(B) ここで、Vは粒子1ケ当りの平均体積(μm3
でありそしてDは粒子の平均最大粒径(μm)で
ある で定義される体積形状係数(f)が0.4より大きくそ
してπ/6以下であるものである。 上記定義において、Dの粒子の平均最大粒径は
粒子を横切る任意の直線が粒子の周囲と交叉する
2点間の距離のうち最大の長さを持つ距離を云う
ものと理解すべきである。 本発明のシリコン樹脂粒子の好ましいfの値は
0.44〜π/6であり、より好ましいfの値は0.48
〜π/6である。fの値がπ/6である粒子は真
球である。下限よりも小さいf値を持つシリコン
樹脂粒子の使用ではフイルム表面諸特性の制御が
極めて困難となる。 本発明で用いられるシリコン樹脂粒子は、さら
に、0.01〜4μmの平均粒径を有している。平均粒
径が0.01μmよりも小さい粒子を使用した場合に
は、滑り性や耐削れ性の向上効果が不充分であ
り、一方平均粒径が4μmより大きい粒子を使用
した場合には平面平坦性の十分でないフイルムし
か得られない。 平均粒径は好ましくは0.05〜3μmの値にある。 ここに言う平均粒径とは、ストークスの式に基
づいて算出された等価球径粒度分布の積算50%点
における径であると理解される。 本発明で用いられるシリコン樹脂粒子は、例え
ば、下記式 RSi(OR′)3 ここで、Rは炭素数1〜7の炭化水素基であり
そしてR′は低級アルキル基である。 で表わされるトリアルコキシシランまたはこの部
分加水分解縮合物を、アンモニアあるいはメチル
アミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン等の
如きアミンの存在下、撹拌下に、加水分解および
縮合せしめることによつて製造できる。上記出発
原料を使用する上記方法によれば、上記式(A)−
1で表わされる組成を持つシリコン樹脂粒子を製
造することができる。 また、上記方法において、例えば下記式 R2Si(OR′)2 ここで、RおよびR′の定義は上記に同じであ
る で表わされるジアルコキシシランを上記トリアル
コキシシランと一緒に併用し、上記方法に従え
ば、上記式(A)−2で表わされる組成を持つシリ
コン樹脂粒子を製造することができる。 本発明で用いられるシリコン樹脂粒子は、下記
式 γ=D25/D75 ここで、γは粒径比であり、D25は微粒子の積
算重量が全体の重量の25%であるときの粒径であ
り、そしてD75は微粒子の積算重量が全体の重量
の75%であるときの粒径である、但し積算重量の
割合は大きい粒径の方から測定するものとする。 で表わされる粒径比(γ)が好ましくは1〜1.4
の範囲にあるものである。この粒径比は更に好ま
しくは1〜1.3の範囲にあり、特に好ましくは1
〜1.15の範囲にある。 本発明のフイルムを形成する芳香族ポリエステ
ル()とシリコン樹脂微粒子()との緊密な
混合物は、該微粒子()を0.005〜1.0重量%
(芳香族ポリエステルに対し)を含有している。
該微粒子()の量が0.005重量%未満では、フ
イルムの滑り性や耐削れ性の向上効果が不充分で
あり、一方1.0重量%を超えるとフイルムの平坦
性が低下する。 該微粒子()の量は0.01〜0.5重量%(芳香
族ポリエステルに対し)が好ましい。 本発明で使用される上記シリコン樹脂微粒子
は、上記の如く、ポリエステルフイルムに表面平
坦性、滑り性および耐削れ性を付与する。特に、
優れた耐削れ性を与える理由として、本発明者の
研究によれば、該シリコン樹脂微粒子がそれが混
合されている芳香族ポリエステルと非常に親和性
が大きいことによることが明らかとされた。 すなわち、該シリコン樹脂微粒子を含有する本
発明のフイルムの表面をイオンエツチングしてフ
イルム中のシリコン樹脂微粒子を暴露させ、走査
型電子顕微鏡にて表面を観察すると、シリコン樹
脂微粒子の周囲表面が芳香族ポリエステル基質と
実質的に接触している状態、換言すれば該周囲表
面と芳香族ポリエステル基質との間にボイドが殆
んどあるいは全く看られない状態が観察されるの
である。 本発明のフイルムは、上記のようにして、走査
型電子顕微鏡にて、40個の微粒子周辺を観察する
と、その16個(40%)以上が上記ボイドを有さな
いものが実質的に全てを占め、20個(50%)以上
が上記ボイドを有さないものはその大部分であ
り、さらに24個(60%)以上が上記ボイドを有さ
ないものは主たる割合を占める。 また、本発明のフイルムの上記シリコン樹脂微
粒子が芳香族ポリエステル基質と大きい親和性を
有することを、別の尺度である後に定義するボイ
ド比(粒子の長径対ボイドの長径の比)で評価す
ると、本発明のフイルムはボイド比が1.0〜1.1で
あるものが実質的に全てであり、1.0〜1.08であ
るものはその大部分であり、さらに1.0〜1.05で
あるものはその主たる部分を占めることが明らか
となつた。 ボイドが少なく、そしてボイド比が1.0に近い
本発明の二軸配向ポリエステルフイルムは特に耐
削れ性に優れている。特に、高倍率に延伸され、
ヤング率が高められた高強力ポリエステルフイル
ムについてもボイドが殆んどないものがある。こ
のことはシリコン樹脂微粒子とポリエステルの接
着が優れていることを表わしている。 一般的にポリエステルと不活性粒子(滑剤)と
は親和性がない。このため溶融製膜したポリエス
テル未延伸フイルムを二軸延伸すると、該微粒子
とポリエステルの境界に剥離が生じ、該微粒子の
周りにボイドが形成されるのが普通である。この
ボイドは、微粒子が大きいほど、形状が板状から
粒状もしくは塊状に近づくほど、また微粒子が単
一粒子で変形しにくいほど、そしてまた未延伸フ
イルムを延伸する際に延伸面積倍率が大きいほ
ど、また低温で行うほど大きくなる傾向がある。
このボイドは、大きくなればなる程突起の形状が
ゆるやかな形となるので摩擦係数を高くすること
となり、それと共に繰り返し使用時に生じた二軸
配向ポリエステルフイルムのボイドの脱落を起
し、耐久性を低下させる、また削れ粉発生の原因
となつている。 このように従来の無機不活性滑剤の場合には、
該滑剤周辺のボイド量は、かなり大きく、高強力
ポリエステルフイルムにおいてはこのボイドは更
に大きくなり、その結果磁気テープのカレンダー
工程等、加工工程で耐削れ性が劣るのが常であ
る。 本発明で用いられる上記シリコン樹脂微粒子は
上記の如く芳香族ポリエステル基質との親和性が
大きく、このため粒子周辺にボイドが発生する頻
度が少ない。そのため、粒子が大きくなるにつれ
て一般に大きくなるボイドを発生する頻度を、上
記シリコン樹脂微粒子を使用する場合には小さく
抑えることができるため、本発明によれば比較的
大粒子としてシリコン樹脂微粒子を用い、それと
一緒にボイドの発生する割合が少ない比較的小粒
子を併用して、2種類の粒子を用いる利点を有し
つつ、走行性、耐摩耗性、耐疲労性、電気絶縁性
および透明性等に優れたフイルムを提供しうるこ
とが明らかとなつた。 すなわち、かかる二軸配向ポリエステルフイル
ムは、 () 芳香族ポリエステル () (a) 上記式(A)で表わされる組成を有し、 (b) 上記(B)で定義される体積形状係数(f)が0.4
より大きくπ/6以下であり、そして (c) 0.3〜4μmの平均粒径を有する、シリコン
樹脂微粒子0.005〜1重量%(芳香族ポリエ
ステルに対し)及び () 0.01〜1μmの平均粒径を有しそして該平
均粒径が上記シリコン樹脂微粒子の平均粒径よ
りも小さい不活性微粒子0.005〜1重量%(芳
香族ポリエステルに対し)から成る緊密な混合
物から形成された二軸配向フイルムである。 芳香族ポリエステル()とシリコン樹脂微粒
子()について前述したとおりである。ただ、
シリコン樹脂微粒子としては、この場合、平均粒
径0.3〜4μmの比較的大きい粒子が使用される。 平均粒径がシリコン樹脂微粒子のそれよりも小
さい不活性微粒子()としては、芳香族ポリエ
ステルに不活性で不溶性でありそして常温で固体
のものが使用される。これらは外部添加粒子でも
内部生成粒子でもよい。また、例えば有機酸の金
属塩でもよく、また無機物でもよい。好ましい不
活性粒子(A)としては、炭酸カルシウム、二酸
化ケイ素(水和物、ケイ藻土、ケイ砂、石英等を
含む)、アルミナ、SiO2分を30重量%以上含
有するケイ酸塩(例えば非晶質或は結晶質の粘土
鉱物、アルミノシリケート化合物(焼成物や水和
物を含む)、温石綿、ジルコン、フライアツシユ
等)、Mg,Zn,Zr及びTiの酸化物、Ca及び
Baの硫酸塩、Li,Na及びCaのリン酸塩(1水
素塩や2水素塩を含む)、Li,Na及びKの安息
香酸塩、Ca,Ba,Zn及びMnのテレフタル酸
塩、Mg,Ca,Ba,Zn,Cd,Pb,Sr,Mn,
Fe,Co及びNiのチタン酸塩、Ba及びPbのク
ロム酸塩、炭素(例えばカーボンブラツク、グ
ラフアイト等)、ガラス(例えばガラス粉、ガ
ラスビーズ等)、MgCO3,ホタル石、及び〓
ZnSが例示される。特に好ましいものとして、無
水ケイ酸、含水ケイ酸、酸化アルミニウム、ケイ
酸アルミニウム(焼成物、水和物等を含む)、燐
酸1リチウム、燐酸3リチウム、燐酸ナトリウ
ム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、安息香酸リチウム、これらの化合物の複塩
(水和物を含む)、ガラス粉、粘土(カオリン、ベ
ントナイト、白土等を含む)、タルク、ケイ藻土
等が例示される。かかる不活性微粒子()の中
でも特に外部添加粒子が好ましい。 シリコン樹脂微粒子()は0.3〜4μmの平均
粒径を有している。好ましくは0.3〜2μm、特に
好ましくは0.5〜1.5μmの平均粒径を有している。 また、不活性粒子()は0.01〜1μmの平均粒
径を有するが上記シリコン樹脂微粒子()の平
均粒径よりも小さい平均粒径のものとして、併用
される。 不活性微粒子()は好ましくは0.05〜0.8μm
の平均粒径、より好ましくは0.1〜0.5μmの平均
粒径を有している。 不活性微粒子()の含有量は芳香族ポリエス
テルに対し0.005〜1重量%であるが、0.01〜1
重量%、更には0.01〜0.5重量%、特に0.05〜0.3
重量%が好ましい。一方シリコン樹脂微粒子
()の含有量は芳香族ポリエステルに対し0.005
〜1重量%であるが、0.01〜1重量%、更には
0.04〜0.5、特に0.1〜0.5重量%が好ましい。 不活性微粒子()或はシリコン樹脂微粒子
()の含有量が少なすぎると、大小2種の粒子
を用いる相乗効果が得られず、走行性、耐摩耗
性、耐疲労性、つぶれ性、端面揃い性等の特性が
低下するので好ましくない。一方不活性粒子
()の含有量が多すぎると、ポリマー中の小さ
い粒子に起因するボイドの発生する頻度が多くな
る傾向になり、耐摩耗性、耐疲労性、つぶれ性、
絶縁電圧、透明性等が低下する。 またシリコン樹脂微粒子()の含有量が多す
ぎると、フイルム表面が粗れすぎ、例えば磁気テ
ープにおける電磁変換特性が低下するので、好ま
しくない。 本発明の二軸配向フイルムを製造する際に、シ
リコン樹脂微粒子あるいはそれと不活性微粒子を
芳香族ポリエステルと緊密に混合するにはこれら
の微粒子を、芳香族ポリエステルの重合前又は重
合中に重合釜中で、重合終了後ペレタイズすると
き押出機中で、あるいはシート状に溶融押出しす
る際押出機中で、該芳香族ポリエステルと十分に
混練すればよい。 本発明のポリエステルフイルムは、例えば、融
点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で芳
香族ポリエステルを溶融押して固有粘度0.35〜
0.9dl/gの未延伸フイルムを得、該未延伸フイ
ルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg−
10)−(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:芳香族ポ
リエステルのガラス転移温度)で2.5〜5.0倍の倍
率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(一
段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方
向となる)にTg(℃)〜(Tg+70)℃の温度で
2.5〜5.0倍の倍率で延伸することで製造できる。
この場合、面積延伸倍率は9〜22倍、更には12〜
22倍にするのが好ましい。延伸手段は同時二軸延
伸、逐次二軸延伸のいずれでも良い。 更に、二軸配向フイルムは、(Tg+70)℃〜
Tm(℃)の温度で熱固定することができる。例
えばポリエチレンテレフタレートフイルムについ
ては190〜230℃で熱固定することが好ましい。熱
固定時間は例えば1〜60秒である。 ポリエステルフイルムの厚みは、1〜100μm、
更には1〜50μm、特に1〜25μmが好ましい。 本発明のポリエステルフイルムは、走行時の摩
擦係数が小さく、操作性が大変良好である。また
このフイルムを磁気テープのベースとして用いる
と、磁気記録再生装置(ハードウエア)の走行部
分との接触摩擦によるベースフイルムの削れが極
めて少なく、耐久性が良好である。 更に、本発明の二軸配向ポリエステルフイルム
はフイルム形成時において巻き性が良好であり、
かつ巻き皺が発生しにくく、その上スリツト段階
において寸法安定的にシヤープに切断されるとい
う長所がある。 以上のフイルム製品としての長所と、フイルム
形成時の長所との組合せによつて、本発明のフイ
ルムは特に、高級グレードの磁気用途分野のベー
スフイルムとして極めて有用であり、またその製
造も容易で安定に生産できる利点を持つ。本発明
のポリエステルフイルムは高級グレードの磁気記
録媒体例えばマイクロ記録材、コンパクト化ある
いは高密度化したフロツピーデイスク製品、オー
デイオ及びビデオ等の長時間録画用の超薄物、高
霧度記録磁気フイルム、高品質画像記録再生用の
磁気記録フイルム例えばメタルや蒸着磁気記録材
等のベースフイルムとして好適である。 それ故、本発明によれば、上記本発明の二軸配
向ポリエステルフイルムの片側又は両面に磁性層
を設けた磁気記録媒体が同様に提供される。 磁性層および磁性層をベースフイルム上に設け
る方法はそれ自体公知であり、本発明においても
公知の磁性層およびそれを設ける方法を採用する
ことができる。 例えば磁性層をベースフイルム上に磁性塗料を
塗布する方法によつて設ける場合には、磁性層に
用いられる強磁性粉体としてはγ−Fe2O3,Co含
有のγ−Fe3O4,Co含有のFe3O4,CrO2,バリウ
ムフエライト等、公知の強磁性体が使用できる。 磁性粉体と共に使用されるバインダーとして
は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型
樹脂又はこれらの混合物である。これらの樹脂と
しては例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
ポリウレタンエラストマー等があげられる。 磁性塗料は、さらに研磨剤(例えばα−Al2O3
等)、導電剤(例えばカーボンブラツク等)、分散
剤(例えばレシチン等)、潤滑剤(例えばn−ブ
チルステアレート、レシチン酸等)、硬化剤(例
えばエポキシ樹脂等)及び溶媒(例えばメチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン
等)等を含有することができる。 磁性層を、ベースフイルム上に金属薄膜を形成
させる方法によつて設ける場合には、それ自体公
知の真空蒸着法、スパツタ法、イオンプレーテイ
ング法、C.V.D.(Chemical Vapour Depsition)
法、無電解メツキ法等の方法を採用することがで
きる。金属としては鉄、コバルト、ニツケル、お
よびそれらの合金(例えばCo−Ni−P合金、Co
−Ni−Fe合金、Co−Cr合金、Co−Ni合金等が
あげられる。 本発明の二軸配向ポリエステルは、上述の磁気
記録媒体の他に種々の用途に用いることができ
る。例えば、コンデンサー用、包装用、蒸着用等
の用途に有用である。 なお、本発明における種々の物性値および特性
は以下の如くして測定されたものであり且つ定義
される。 (1) 粒子の平均粒径(DP) 島津製作所製CP−50型セントリフエグルパー
テイクル サイズ アナライザー(Centrifugal
Particle Size Analyser)を用いて測定した。得
られた遠心沈降曲線を基に算出した各粒径の粒子
とその存在量との積算曲線から、50マスパーセン
トに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均
粒径とした(Book「粒度測定技術」日刊工業新聞
社発行、1975年、頁242〜247参照)。 (2) 粒子の粒度分布比(γ) 粒子の平均粒径の測定において得られた遠心沈
降曲線を基に、各粒径の粒子とその存在量との積
算曲線を算出して描き、粒径の大きい方から積算
した粒子の積算重量が25マスパーセントに相当す
る粒径(D25)と、粒子の積算重量が75マスパー
セントに相当する粒径(D75)を読みとり、前者
の値を後者の値で除し(D25/D75)各々の粒子
の粒度分布比(γ)を算出する。 (3) フイルムの走行摩擦係数(μk) 添付図に示した装置を用いて下記のようにして
測定した。添付図中、1は巻出しリール、2はテ
ンシヨンコントローラ、3,5,6,8,9およ
び11はフリーローラー、4はテンシヨン検出機
(入口)、7はステンレス鋼SUS304製の固定棒
(外径5mmφ)、10はテンシヨン検出機(出口)、
12はガイドローラー、13は巻取りリールをそ
れぞれ示す。 温度20℃、湿度60%の環境で、巾1/2インチに
栽断したフイルムを、7の固定棒(表面粗さ0.3μ
m)に角度θ=152/181πラジアン(152゜)で接触さ せて毎分200cmの速さで移動(摩擦)させる。入
口テンシヨンT1が35gとなるようにテンシヨン
コントローラー2を調整した時の出口テンシヨン
(T2:g)をフイルムが90m走行したのちに出口
テンシヨン検出機で検出し、次式で走行摩擦係数
μkを算出する。 μk=2.303/θlogT2/T1=0.868logT2/35 (4) フイルム表面の平坦性 CLA(Center Line Averag・中心線平均粗さ)
JIS B 0601に準じて測定した。東京精密社(株)製
の触針式表面粗さ計(SURFCOM3B)を用い
て、針の半径2μ、荷重0.07gの条件下にチヤート
(フイルム表面粗さ曲線)をかかせた。フイルム
表面粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さL
の部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線を
X軸とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線
Y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられ
る値(Ra:μm)をフイルム表面の平坦性とし
て定義する。 Ra=1/L∫L p|f(x)|dx 本発明では、基準長を0.25mmとして8個測定
し、値の大きい方から3個除いた5個の平均値と
してRaを表わした。 (5) 削れ性 ベースフイルムの走行面の削れ性を5段のミニ
スーパーカレンダーを使用して評価した。カレン
ダーはナイロンロールとスチールロールの5段カ
レンダーであり、処理温度は80℃、フイルムにか
かる線圧は200Kg/cm、フイルムスピードは50
m/分で走行フイルムは全長2000m走行させた時
点でカレンダーのトツプローラーに付着する汚れ
でベースフイルムの削れ性を評価した。 <5段階判定> ◎ ナイロンロールの汚れ全くなし 〇 ナイロンロールの汚れほとんどなし Δ ナイロンロールが少し汚れる × ナイロンロールが非常に汚れる ×× ナイロンロールがひどく汚れる (6) ボイド比 試料フイルム小片を走査型電子顕微鏡用試料台
に固定し、日本電子(株)製スパツタリング装置
(JFC−1100型イオンスパツタ−リング装置)を
用いて、フイルム表面を下記条件にてイオンエツ
チング処理を施した。ベルジヤー内に上記試料台
を設置し、約10-3Torrの真空状態まで真空度を
上げ電圧0.25kV、電流12.5mAにて約10分間イオ
ンエツチングを実施した。更に同装置にてフイル
ム表面に金スパツターを施し、約200Å程度の金
属膜層を形成し走査型電子顕微鏡1万〜3万倍に
て測定を行つた。尚、ボイドは粒径0.3μm以上の
滑剤についてのみ測定を行つた。 (7) ヘーズ(曇り度) JIS−K674に準じ、日本精密光学社製、積分球
式HTRメーターによりフイルムのヘーズを求め
た。 (8) 固有粘度〔η〕 O−クロロフエノールを溶媒として用い、25℃
で測定した値、単位は100c.c./gである。 (9) 体積形状係数(f) 走査型電子顕微鏡により粒子の写真を例えば
5000倍で10視野撮影し、例えば画像解析処理装置
ルーゼツクス500(日本レギユレーター製)を用
い、最大径の平均値を各視野毎に測定し、更に、
10視野の平均値を求め、Dとした。 測定法の上記(1)項で求めた、粒子の平均粒径d
より、粒子の平均体積(V=π/6d3)を求め、形 状係数fを次式により算出した。 f=V/D3 式中、Vは粒子の平均体積(μm3)、Dは粒子
の平均最大粒径(μm)を表わす。 〔実施例〕 以下、実施例を掲げて本発明を更に説明する。 比較例 1 ジメチルテレフタレートとエチレングリコール
を、酢酸マンガン(エステル交換触媒)、三酸化
アンチモン(重合触媒)、亜燐酸(安定剤)およ
び平均粒径1.2μm、体積形状係数0.06のカオリン
(滑剤)の存在下、常法により重合し、固有粘度
0.62のポリエチレンテレフタレートを得た。 このポリエチレンテレフタレート(以下PET
と略称)のペレツトを、170℃、3時間乾燥後、
押出機ホツパーに供給し、溶融温度280〜300℃で
溶融し、この溶融ポリマーを1mmのスリツト状ダ
イを通して、表面仕上げ0.3S程度、表面温度20℃
の回転冷却ドラム上に押出し、200μmの未延伸
フイルムを得た。 このようにして得られた未延伸フイルムを75℃
にて予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上
方より900℃の表面温度のIRヒーター1本にて加
熱し、低,高速ロール表面速度差により3.5倍に
縦延伸し、急冷し、続いてステンターに供給して
105℃にて横方向に3.7倍に延伸した。得られた二
軸延伸フイルムを205℃の温度で5秒間熱固定し、
厚み15μmの熱固定二軸延伸フイルムを得た。 得られたフイルムはボイド比1.7であり、且つ
カレンダーでは白粉が付着し、不満足なものであ
つた。このフイルムの特性は第1表に示す。 比較例 2 カオリンの代りに平均粒径0.8μm、体積形状係
数0.24の炭酸カルシウムを用いる以外は比較例1
と同様にして、ポリエチレンテレフタレートのペ
レツトを得た。 このペレツトを用いて、比較例1と同様にして
厚み15μmの二軸延伸フイルムを得た。このフイ
ルムはボイド比2.5であり、走行性は良いものの、
カレンダー工程にて白粉が発生した。このフイル
ムの特性を第1表に示す。 実施例1〜5及び比較例3,4 カオリンの代りに第1表に示す平均粒径を有
し、体積形状係数が0.52〜0.48であり且つ粒度分
布比(γ)が1.1〜2.0のシリコン樹脂微粒子(組
成:CH3SiO1.5)を用いる以外は比較例1と同様
に行つてポリエチレンテレフタレートのペレツト
を得た。 このペレツトを用いる以外は比較例1と同様に
行つて、厚み15μmの熱固定二軸配向フイルムを
得た。このフイルムの特性を第1表に示す。本実
施例で得たフイルムはいずれも優れた品質のもの
であつた。
【表】
【表】 比較例 5 ジメチルテレフタレートとエチレングリコール
を、酢酸マンガン(エステル交換触媒)、三酸化
アンチモン(重合触媒)、亜燐酸(安定剤)並び
に平均粒径1.2μm、比表面積20m2/gおよび体積
形状係数0.06のカオリン(滑剤)の存在下、常法
により重合し、固有粘度0.62のポリエチレンテレ
フタレート(PET)を得た。 このPETのペレツトから比較例1の方法と全
く同様にして、厚み15μmの熱固定二軸配向フイ
ルムを得た。 得られたフイルムを用いて磁気テープを作つ
た。その際、カレンダー処理で白粉が付着し、更
にテープ評価ではドロツプアウトも多く、不満足
なものであつた。このフイルムの特性を第2表に
示す。 比較例 6 カオリンの代りに平均粒径0.8μmおよび体積形
状係数0.45の炭酸カルシウムを用いる以外は比較
例5と同様にして、ポリエチレンテレフタレート
のペレツトを得た。 このペレツトを用いて、更に縦方向の延伸倍率
を4.0倍、横方向の延伸倍率を3.5倍とする以外は
比較例5と同様にして厚み15μmの二軸配向フイ
ルムを得たこのフイルムを用いて磁気テープを作
つた。得られたテープは走行性は良いものの、カ
願ンダー工程にて白粉が発生した。このフイルム
の特性を第2表に示す。 実施例 6 カオリンの代りに平均粒径2μmおよび体積形
状係数0.50のシリコン樹脂微粒子(組成:
CH3SiO1.5)を用いる以外は比較例5と同様に行
つてポリエチレンテレフタレートのペレツトを得
た。該ペレツトを用いる以外は比較例5と同様に
行つて、厚み15μmの熱固定二軸配向フイルムを
得た。このフイルムの特性を第2表に示す。 実施例 7 実施例6における縦延伸を70℃での4.0倍延伸
に変更し、かつ横延伸を105℃での3.5倍延に変更
する以外は、実施例6と同様に行つて二軸配向フ
イルムを得た。このフイルムの特性を第2表に示
す。 実施例 8 実施例6で得られた未延伸フイルムを、縦方向
に2.0倍延伸し、次いで105℃で横方向に3.5倍延
伸し、更に熱固定を実施し、そして該フイルムを
再び150℃に加熱して縦方向に2.5倍延伸し、その
後205℃で再度10秒間熱固定を実施して二軸配向
フイルムを得た。このフイルム特性を第2表に示
す。 実施例6〜8のフイルムには、滑剤周辺のボイ
ドがほとんど認められず、且つカレンダー等によ
つても白粉の発生もなく、従つてテープとして走
行させてもドロツプアウトを減少せしめ走行特性
を著るしく向上せしめるものであることがわかつ
た。 比較例 7〜9 比較例6における未延伸フイルムを、実施例7
と同様に延伸、熱固定して二軸配向フイルムを得
(比較例7)、また実施例7と同様に延伸、熱固定
して二軸配向フイルムを得(比較例8)、また炭
酸カルシウムの代りに平均粒径0.4μmの酸化チタ
ンを用いる(但し、量を0.5重量%とする)以外
は比較例7と同様に行つて二軸配向フイルムを得
た(比較例8)。これらフイルム特性を第2表に
示す。
【表】 実施例9,10及び比較例10,11 第3表に示す添加粒子を含有するポリエチレン
−2,6−ナフタレート(固有粘度0.60)のペレ
ツトを、170℃、3時間乾燥後、押出機ホツパー
に供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、この溶
融ポリマーを1mmのスリツト状ダイを通して表面
仕上げ0.3S程度、表面温度20℃の回転冷却ドラム
上に押出し、200μmの未延伸フイルムを得た。 この未延伸フイルムを第3表に示す条件で比較
例5と同じ手順にて延伸し、熱固定した。得られ
た二軸配向ポリエステルフイルムの特性を第3表
に示す。
【表】
【表】 比較例 12〜16 ジメチルテレフタレートとエチレングリコール
を、酢酸マンガン(エステル交換触媒)、三酸化
アンチモン(重合触媒)、亜燐酸(安定剤)およ
び第4表に示す滑剤粒子の存在下、エステル交換
および重縮合を行ない、固有粘度(〔η〕)0.65の
ポリエチレンテレフタレートを得た。 なお、上記滑剤はエチレングリコールに添加
し、超音波分散処理して得られたグリコール分散
液として添加した。 このポリエチレンテレフタレートのペレツトを
170℃で乾燥し、280℃で溶融押出し、40℃に保持
したキヤステイングドラム上で急冷固化せしめて
厚さ200μmの未延伸フイルムを得た。 このようにして得られた未延伸フイルムを75℃
にて予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上
方より900℃の表面温度のIRヒーター1本にて加
熱して3.6倍に延伸し、急冷し、続いてステンタ
ーに供給し105℃にて横方向に3.7倍に延伸した。
得られた二軸延伸フイルムを205℃の温度で5秒
間熱固定し、厚み15μmの熱固定二軸配向フイル
ムを得た。 このフイルムの特性を第4表に示す。
【表】
【表】 比街例12のものはカレンダーでは白粉が付着
し、不満足なものである。 比較例13のものは表面粗さ、削れ性は一応満足
出来るものの、繰返し走行による摩擦係数が上
り、走行抵抗が高く、このままではビデオ用ベー
スとして使用に耐えるものではない。 比較例14のものは、比較例13のものが走行性で
不充分であつた為に表面平坦性を犠性にして粒径
の大なる平均粒径0.8μmの大なる炭酸カルシウム
をカオリンとともに添加することにより走行性の
改良を計つたものであるが、大粒径の炭酸カルシ
ウムはボイドも大きく、カレンダーによる削れが
はげしく、磁性材料りベースフイルムとしてまた
コンデンサー用としても最良のものではない。 比較例15,16のものは、走行性不充分、あるい
は削れ性の点で満足できるものではない。 実施例 11〜14 滑剤として第5表に示すものを用いる以外は比
較例12〜16と同様に行なつてポリエチレンテレフ
タレートを得、更に該ポリエチレンテレフタレー
トを用いて比較例12〜16と同様にして熱固定の二
軸配向フイルムを得た。 このフイルムの特性を第5表に示す。 このフイルムには、大粒子としてシリコン樹脂
粒子(組成:CH3SiO1.5)が用いられているので
大粒子に起因するボイドの発生が抑えられてお
り、そのため加工工程、テープの走行径路で削れ
粉を発生することが皆無となり、例えば磁気テー
プベースとして極めて、良好に使用される。
【表】 【図面の簡単な説明】
添付図はフイルムの摩擦係数(μk)を測定す
る装置の概略図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 () 芳香族ポリエステル及び () (a) 下記式(A) RxSiO2−x/2 …(A) ここで、Rは炭素数1〜7の炭化水素基であ
    り、そしてxは1〜1.2の数である で表わされる組成を有し、 (b) 下記式(B) f=v/D3 …(B) ここで、vは粒子1個当りの平均体積(μm3
    でありそしてDは粒子の平均最大粒径(μm)で
    ある で定義される体積形状係数(f)が0.4より大きくそ
    してπ/6以下であり、そして (c) 0.01〜4μmの平均粒径を有する シリコン樹脂微粒子0.005〜1.0重量%(芳
    香族ポリエステルに対し)から成る緊密な混
    合物から形成された二軸配向ポリエステルフ
    イルム。 2 芳香族ポリエステルが芳香族ジカルボン酸を
    主たる酸成分としそして脂肪族グリコールを主た
    るグリコール成分として成る特許請求の範囲第1
    項記載のフイルム。 3 上記式(A)において、Rが炭素数1〜7の直鎖
    状もしくは分岐鎖状のアルキル基、フエニル基又
    はトリル基である特許請求の範囲第1項記載のフ
    イルム。 4 上記式(A)において、xが1〜1.1の数である
    特許請求の範囲第1項記載のフイルム。 5 体積形状係数(f)が0.44〜π/6の間にある特
    許請求の範囲第1項記載のフイルム。 6 平均粒径が0.05〜3μmの間にある特許請求の
    範囲第1項記載のフイルム。 7 シリコン樹脂微粒子の量が0.01〜0.5重量%
    (芳香族ポリエステルに対し)である特許請求の
    範囲第1項記載のフイルム。 8 上記シリコン樹脂微粒子が下記式(C) γ=D25/D75 …(C) ここで、D25は粒子の積算重量が25%のときの
    平均粒径(μm)でありそしてD75は粒子の積算
    重量が75%のときの平均粒径(μm)である で定義される粒度分布比(γ)として1〜1.4の
    間の値を有する特許請求の範囲第1項記載のフイ
    ルム。 9 フイルム表面をイオンエツチングした後電子
    顕微鏡観察したとき、シリコン樹脂微粒子の周囲
    表面が芳香族ポリエステル基質と実質的に接触し
    ている特許請求の範囲第1項記載のフイルム。 10 () 芳香族ポリエステル、 () (a) 下記式(A) RxSiO2−x/2 …(A) ここで、Rは炭素数1〜7の炭化水素基であ
    り、そしてxは1〜1.2の数である で表わされる組成を有し、 (b) 下記式(B) f=v/D3 …(B) ここで、vは粒子1個当りの平均体積(μm3
    でありそしてDは粒子の平均最大粒径(μm)で
    ある で定義される体積形状係数(f)が0.4より大きく
    π/6以下であり、そして (c) 0.3〜4μmの平均粒径を有する シリコン樹脂微粒子0.005〜1重量%(芳
    香族ポリエステルに対し)及び () 0.01〜1μmの平均粒径を有しそして該平
    均粒径が上記シリコン樹脂微粒子の平均粒径よ
    りも小さい不活性微粒子0.005〜1重量%(芳
    香族ポリエステルに対し)から成る緊密な混合
    物から形成された二軸配向ポリエステルフイル
    ム。
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JPS63191838A (ja) 1988-08-09

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