JP2675216B2 - ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィルム - Google Patents

ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィルム

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JP2675216B2 JP3311444A JP31144491A JP2675216B2 JP 2675216 B2 JP2675216 B2 JP 2675216B2 JP 3311444 A JP3311444 A JP 3311444A JP 31144491 A JP31144491 A JP 31144491A JP 2675216 B2 JP2675216 B2 JP 2675216B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二軸配向ポリエチレン―
2,6―ナフタレートフィルムに関し、更に詳しくは走
行性に優れ、長時間記録可能で且つ、高密度記録の磁気
記録媒体、特に8ミリビデオテープ、デジタル・オーデ
ィオテープ(DAT)、デジタル・コンパクト・カセッ
トテープ(DCC)、フロッピーディスクなどのベース
フィルムとして有用な二軸配向ポリエチレン―2,6―
ナフタレートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
フィルムは磁気テープのベースフィルムとして広く用い
られている。近年、磁気テープは小型化および高音質、
高画質化のために益々高密度記録化が要求され、また8
ミリビデオに代表されるようにテープの薄手化が要求さ
れている。このため、磁気テープの磁性層側の表面はま
すます平滑であることが要求されかつ厚さも薄いものが
要求される。これに伴ないベースフィルムも薄手化と平
坦かつ走行性の優れたものが求められる。特に薄手化の
ためにはバックコートなしでも走行性の優れたベースフ
ィルムが求められている。しかし、従来の家庭用VTR
の磁気テープに供されているポリエステルフィルムでは
表面が粗く、上述の要求特性を満足して実用に供しうる
ものは見出されない。そこで、高密度記録用には、表面
粗さを非常に低下させたものとする必要があるが、一般
に表面粗さを減少させると、フィルム面間の滑り性が悪
くなり、またフィルム間に存在する空気の逃げが悪くな
り、フィルムをロール上に巻き上げることが非常に難し
くなる。また、その難しさは、フィルムが薄くなればな
るほど著しくなる。さらにフィルムが薄くなるほど高い
ヤング率が要求される。一方高いヤング率のものほど、
一般的には熱収縮率が大きく、磁気テープとした後の寸
法安定性が劣るばかりでなく、磁性層を塗布して表面を
平滑処理したあとの熱処理工程での裏移り現象(ロール
状に巻かれた磁気テープを熱硬化させる熱処理工程にお
いて、仕上げられた磁性面とベースフィルム面が相対し
て巻き締まるため、仕上げられた磁性面が粗化する現
象)が大きくなり、電磁変換特性を悪化する。従来この
ような高密度記録用テープに供されるポリエステルフィ
ルムの要求を充分満足するものは見出せなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
欠点を解消し、高密度磁気記録用テープとしたときの電
磁変換特性がよく、しかもロール状に巻き上げるのに容
易で、かつ走行性の優れた二軸配向ポリエチレン―2,
6―ナフタレートフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次の構成からなる。
【0005】フィルム表面に形成された突起物の突起の
高さ〔h(単位nm)〕の個数が下記の(1)式
【0006】
【数2】
【0007】で示される範囲にあり、フィルムの表面粗
さRaが40nm以下であり、縦方向のヤング率(EM
)が650kg/mm2 以上、横方向のヤング率(ET
)が600kg/mm2 以上であり、そして70℃で1
時間無荷重で熱処理したときの縦方向の熱収縮率が0.
08%以下である二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフ
タレートフィルム。
【0008】本発明においてフィルムを構成するポリエ
チレン―2,6―ナフタレートは、ナフタレンジカルボ
ン酸を主たる酸成分とするが、小量の他のジカルボン酸
成分を共重合してもよく、またエチレングリコールを主
たるグリコール成分とするが、小量の他のグリコール成
分を共重合していてもよいポリマーである。ナフタレン
ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、例えばテレ
フタル酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸などの芳香族ジカル
ボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸、1,3―アダマンタンジカルボン酸など
の脂環族ジカルボン酸をあげることができる。またエチ
レングリコール以外のグリコール成分としては、例えば
1,3―プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、
1,6ーヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,4―シクロヘキサンジメタノール、p―キシリレン
グリコールなどをあげることができる。また、ポリマー
中に安定剤、着色剤等の添加剤を配合したものでもよ
い。 このようなポリエチレン―2,6―ナフタレート
は通常溶融重合法によって公知の方法で製造される。こ
の際、触媒等の添加剤は必要に応じて任意に使用するこ
とができる。
【0009】ポリエチレン―2,6―ナフタレートの固
有粘度は0.45〜0.90の範囲にあることが好まし
い。
【0010】ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィ
ルムの表面に形成された突起物の突起高さとその数は、
特定の範囲にあるものが磁気テープとしたときの走行
性、巻き特性、電磁特性において総合的に優れることが
明らかになった。すなわち、フィルム表面の突起物の突
起高さ〔h(単位nm)〕の個数が下記(1)式
【0011】
【数3】 で示される範囲にあり、好ましくは下記(2)式
【0012】
【数4】 で示される範囲にあり、さらに好ましくは下記(3)式
【0013】
【数5】 で示される範囲にあり、とくに好ましくは下記(4)式
【0014】
【数6】 の範囲にあるフイルムは、その取扱い性が良好で、また
磁気テープとしたときの走行性と電磁特性が総合的に優
れることが明らかになった。
【0015】突起物の突起高さ〔h(単位nm)〕が1
≦h<50である個数が30000個/mm2 を越える
ものは、磁気テープとするときのカレンダー処理時にロ
ールによるフィルムの削れを生ずる。突起物の突起高さ
が50≦h<100である個数が3500個/mm2
越えるものは、カレンダー処理時にフィルムの削れを生
じるとともに磁気テープとしたときの走行性と電磁変換
特性がともに劣る。100≦h<200である個数が1
000個/mm2 を越えるものは、テープ走行性は良好
であるが電磁変換特性が悪化する。200≦hである個
数が200個/mm2 を越えるものは、テープ走行性は
良好であるが粗大突起の存在頻度が増えるため電磁変換
特性が悪化するとともに、ドロップアウトが発生する。
1≦n<50である個数が3000個/mm2 より少な
く、また、50≦h<100である個数が10個/mm
2 より少ないと、摩擦係数が大きくなりフィルムの取扱
性及びロール上に巻き上げることが非常に難しくなる。
さらにテープとしたときの走行性も不良となる。ここで
突起高さがh<1である突起物の個数は特に限定されな
い。
【0016】このようなフィルム表面特性を有するフィ
ルムを得るには、例えば、ポリエチレン―2,6―ナフ
タレートに数種類の粒度分布の異なる不活性な固体微粒
子を添加することが好ましい。不活性固体微粒子として
は、好ましくは(1)二酸化ケイ素(水和物、ケイソウ
土、ケイ砂、石英等を含む);(2)アルミナ;(3)
SiO2 成分を30重量%以上含有するケイ酸塩(例え
ば非晶質あるいは結晶質の粘土鉱物、アルミノシリケー
ト(焼成物や水和物を含む)、温石綿、ジルコン、フラ
イアッシュ等);(4)Mg、Zn、Zr、及びTiの
酸化物;(5)Ca,及びBaの硫化物;(6)Li、
Na、及びCaのリン酸塩(1水素塩や2水素塩を含
む);(7)Li、Na、及びKの安息香酸塩;(8)
Ca、Ba、Zn、及びMnのテレフタル酸塩;(9)
Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Pb、Sr、Mn、F
e、Co、及びNiのチタン酸塩;(10)Ba、及び
Pbのクロム酸塩;(11)炭素(例えばカーボンブラ
ック、グラファイト等);(12)ガラス(例えばガラ
ス粉、ガラスビーズ等);(13)Ca、及びMgの炭
酸塩;(14)ホタル石及び(15)ZnSが例示され
る。更に好ましくは、二酸化ケイ素、無水ケイ酸、含水
ケイ酸、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム(焼成
物、水和物等を含む)、燐酸1リチウム、燐酸3リチウ
ム、燐酸ナトリウム、燐酸カルシウム、硫酸バリウム、
酸化チタン、安息香酸リチウム、これらの化合物の複塩
(水和物を含む)、ガラス粉、粘土(カオリン、ベント
ナイト、白土等を含む)、タルク、ケイソウ土、炭酸カ
ルシウム等が例示される。特に好ましくは、二酸化ケイ
素、酸化チタン、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0017】かかる不活性固体微粒子の添加時期は、ポ
リエチレン―2,6―ナフタレートの重合前でもよく、
重合反応中でもよく、また重合終了後ペレタイズする時
に押出機中で混練させてもよく、さらにまたシート状に
溶融押出しする際に添加し、押出機中で分散して押出し
てもよいが、重合前に添加するのが分散性の点から好ま
しい。もっとも、本発明のフィルム表面特性を有するフ
ィルムを得る手段としてはポリエチレン―2,6―ナフ
タレートに不活性固体微粒子を添加する方法だけに限定
されず、重合時にリン成分若しくは必要なその他の添加
物を加えて粒子源を生成させフィルム中に存在せしめる
方法、更には、重合時にリン成分を加えて重合したもの
と、不活性固体微粒子を加えて重合を行ったものと両者
をブレンドする方法なども好ましく用いることができ
る。
【0018】本発明においてフィルム表面粗さ(Ra)
は40nmであることが必要である。好ましくは30n
m以下であり、さらに好ましくは20nm以下である。
Raが40nmより大きくなると、ベースフィルムの粗
れた表面が磁性層まで影響して該磁性層を粗化させてし
まうため、高密度記録用の磁気テープとして必要な電磁
変換特性が低下するとともにドロップアウトが発生す
る。また、またRaの下限は特に限定されないが10n
mより小さくなると、テープとしたときに易滑性のバッ
クコートなしでは走行性を悪化させるため、10nm以
上が好ましい。
【0019】本発明のポリエチレン―2,6―ナフタレ
ートフィルムは、さらに、縦方向のヤング率(EM )が
650kg/mm2 以上、横方向のヤング率(ET )が6
00kg/mm2 以上であることが必要である。特にベー
スフィルムの厚みが12μm以下で、かつテープの厚み
が16μm以下の高密度、長時間録画用磁気テープの場
合には、縦方向が650kg/mm2 より低く、横方向が
600kg/mm2 より低いヤング率ではテープの走行中
にテープエッジが折れ曲がったり、テープが伸びてしま
う場合がある。またヤング率が低いとビデオ回転ヘッド
のテープの押しつけが弱くなり、電磁変換特性が悪化す
る。
【0020】かかるヤング率を有するポリエチレン―
2,6―ナフタレートフィルムは、公知の方法を用いて
製造することができる。例えば、ポリエチレン―2,6
―ナフタレートフィルムを溶融押出し、好ましくは融点
(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度で溶融押出
し、冷却固化して未延伸フィルムを得、該未延伸フィル
ムを一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)
〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエチレン
―2,6―ナフタレートのガラス転移温度)で所定倍率
に延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向(一段目延伸
が縦方向の場合には、二段目延伸は横方向となる)にT
g〜(Tg+70)℃の温度で所定の倍率に延伸し、更
に熱処理する方法を用いて製造することができる。その
際、延伸倍率、延伸温度、熱処理温度条件等は上記フィ
ルムの特性から選択、決定される。面積倍率は、9〜2
2倍、さらに12〜22倍にするのが好ましい。熱固定
温度は190〜250℃の範囲から、また処理時間は1
〜60秒の範囲から決めるとよい。
【0021】かかる逐次二軸延伸法のほかに、同時に二
軸延伸法を用いることができる。また逐次二軸延伸法に
おいて縦方向・横方向の延伸回数は1回に限られるもの
ではなく、軸,横延伸を数回の延伸処理により行うこと
ができ、その回数に限定されるものではない。例えばさ
らに機械特性を上げたい場合には、熱固定処理前の上記
二軸延伸フィルムについて、熱固定温度を(Tg+2
0)℃〜(Tg+70)℃として熱固定し、更にこの熱
固定温度より10〜40℃高い温度で縦または横方向に
延伸し、続いて更にこの温度より20〜50℃高い温度
で更に縦または横方向に延伸し、縦方向の場合総合延伸
倍率を5.0〜6.9倍、横方向の場合総合延伸倍率を
5.0〜6.9倍とすることができる。
【0022】本発明においてポリエチレン―2,6―ナ
フタレートフィルムは、さらにまた、70℃で無荷重下
で1時間熱処理したときに生ずる縦方向の熱収縮率が
0.08%以下であることが必要である。好ましい熱収
縮率は0.04%以下である。この熱収縮率が0.08
%より大きいと、テープにしたあとも熱的非可逆変化が
生じ、またVTRで記録と再生の温度が異なると画面に
スキュー歪を生じる。また熱収縮率が大きいと、磁性層
表面へのベースフィルム面の裏移り効果が生じ、磁性層
表面の表面粗さが粗くなってしまう。
【0023】70℃、1時間の熱収縮率を下げる手段と
しては、延伸後の熱処理温度を上げることが一般的であ
るが、あまり上げすぎると機械的特性が悪化する結果と
なり、また磁気テープ加工工程中でのすりキズ発生が多
くなり、その削れ粉が磁気テープの磁性層表面に付着し
て、ドロップアウトの原因となる。この熱収縮率を満足
させる手段としては速度差を持った2つのロール間にフ
ィルムを通し、ポリエチレン―2,6―ナフタレートの
ガラス転移温度(Tg)以上の温度をかけて弛緩処理を
する方法があるが、これに限定されるものではない。
【0024】本発明のポリエチレン―2,6―ナフタレ
ートフィルムは、その厚さに特に制限はないが、75μ
m以下のものが好ましい。さらに磁性層の強度向上によ
るベースフィルムの薄膜化に対応し、62μm以下のも
のが好ましく、さらに50μm以下のものが好ましい。
さらにハードの小型化及び長時間記録用記録媒体の薄膜
化要求に対応し、ベースフィルムの厚さが25μm以下
のものが好ましく、さらに12μm以下の厚さのものが
好ましく、特に2〜12μmの厚さの範囲のものが好ま
しく用いられる。
【0025】本発明の二軸配向ポリエチレン―2,6―
ナフタレートフィルムを用いて磁気記録テープを作成す
ると、テープ走行性に優れ、またテープとビデオデッキ
中のヘッドとの押付け圧力が増すために高密度磁気記録
に必要な電磁変換特性が得られる。さらにビデオデッキ
走行中に生ずるテープエッジの折れやテープの伸び等の
異常が少なく、かつ熱的安定性が良いのでスキュー歪が
少ない。従って、本発明の二軸配向ポリエチレン―2,
6―ナフタレートフィルムは高密度磁気記録テテープ、
特に8ミリビデオテープ、デジタル・オーディオテープ
(DAT)、デジタル・コンパクト・カセットテープ
(DCC)、フロッピーディスクなどのベースフィルム
として有用である。
【0026】
【実施例】以下、実施例に掲げて本発明を更に説明す
る。
【0027】なお、本発明における種々の物性値及び特
性は以下の如くして測定したものであり、かつ定義され
る。
【0028】(1)表面突起数 WYKO社製非接触三次元粗さ計(TOPO―3D)を
用いて測定倍率40倍、測定面積242μm×239μ
m(0.058mm2 )の条件にて測定を行う。突起解
析によりフィルム表面平均粗さからの表面突起の高さと
突起個数のヒストグラム図を得、該ヒストグラム図から
特定の突起高さ範囲毎の個数を読み取り、同一フィルム
表面上5回測定した突起数を積算し、単位面積(1mm
2 )あたりの突起数に換算する。
【0029】(2)ヤング率 フィルムを試料巾10mm、長さ15mmに切り、チャック
間100mmにして引張速度10mm/分、チャート速度5
00mm/分にインストロンタイプの万能引張試験装置に
て引張った。得られた荷重―伸び曲線の立上り部の接線
よりヤング率を計算した。
【0030】(3)フィルム表面粗さ(Ra) 小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(サーフコーダ
30C)を用いて針の半径2μm、触針圧30mgの条件
下にチャート(フィルム表面粗さ曲線)をかかせた。フ
ィルム表面粗さ曲線から、その中心線の方向に測定長さ
Lの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸
とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY=f
(x)で表わしたとき、次の式(数7)で与えられるR
a(μm)をフィルム表面粗さとして定義する。
【0031】
【数7】 本発明では、測定長を1.25mmとし、カットオフ値を
0.08mmとして、5回測定した平均値をRaとした。
【0032】(4)電磁変換特性 シバソク(株)製ノイズメーターを使用し、ビデオ用磁
気テープのS/N比を測定した。また表1に示す比較例
3のテープに対するS/N比の差を求めた。また使用し
たVTRはソニー(株)製EV−S700である。
【0033】(5)磁気テープの走行耐久性 ソニー(株)製EV−S700で走行開始、停止を繰り
返しながら100時間走行させ、走行状態を調べるとと
もに出力測定を行った。このときの磁気テープの走行耐
久性を下記ように判定した。 <3段階判定> ○ テープの端が折れたり、ワカメ状にならない。ま
た、削れがなく白粉付着がない。 △ 若干、テープの端の折れやワカメが発生したり、小
量の白粉付着が見られる。 × テープの折れやワカメの発生が著しい。また、テー
プ削れが著しく白粉が多量に発生する。
【0034】(6)熱収縮率 70℃に設定されたオーブンの中にあらかじめ正確な長
さを測定した長さ約30cm、巾1cmのフィルムを無荷重
で入れ、1時間熱処理し、その後オーブンよりサンプル
を取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読みと
った。熱処理前の長さ(L0 )と熱処理による寸法変化
量(ΔL)より、次式(数8)で熱収縮率を求めた。
【0035】
【数8】
【0036】(7)スキュー スキュー特性は常温(20℃)常湿下で録画したビデオ
テープを70℃で1時間熱処理した後、再び常温常湿下
で再生し、ヘッド切換点におけるズレ量を読み取った。
【0037】(8)巻き上がり良品率 フィルムを500mm巾で4000m、ロール状に100
本巻き取ったときに得られる良品数を百分率で示した。
このとき良品とは、次のものをいう。 フィルムが円筒状に巻き上げられており、角ばった
り、たれさがったりしていない。 フィルムロールにしわの発生がない。
【0038】
【実施例1】平均粒径0.1μmのシリカ粒子を0.3
重量%、平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子を
0.2重量%含有した固有粘度0.62dl/g(オルソ
クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した
値)のポリエチレン―2,6―ナフタレートを170℃
で乾燥した後300℃で溶融押出し、60℃に保持した
キャスティングドラム上で急冷固化せしめて180μm
の厚みの未延伸フィルムを得た。
【0039】この未延伸フィルムを速度差をもった2つ
のロール間で125℃の温度で縦方向に4.85倍延伸
し、さらにテンターによって横方向に5.15倍延伸
し、その後215℃で10秒間熱処理をした。さらに1
10℃に加熱されたオーブンにより浮遊熱処理を実施
し、これにより0.3%弛緩処理した。
【0040】このようにして厚み7μmの二軸配向ポリ
エチレン―2,6―ナフタレートフィルムを巻取った。
【0041】一方、下記に示す組成物をボールミルに入
れ、16時間混練、分散した後、イソシアネート化合物
(バイエル社製のデスモジュールL)5重量部を加え、
1時間高速剪断分散して磁性塗料とした。 磁性塗料の組成 針状Fe粒子 100重量部 塩化ビニル―酢酸ビニル共重合体 (積水化学製のエスレック7A)15重量部 熱可塑性ポリウレタン樹脂 5重量部 酸化クロム 5重量部 カーボンブラック 5重量部 レシチン 2重量部 脂肪酸エステル 1重量部 トルエン 50重量部 メチルエチルケトン 50重量部 シクロヘキサノン 50重量部 この磁性塗料を上述の二軸配向ポリエチレン―2,6―
ナフタレートフィルムの片面に、塗布厚3μmとなるよ
うに塗布し、ついで2500ガウスの直流磁場中で配向
処理を行ない、100℃で加熱乾燥後、スーパーカレン
ダー処理(線圧200kg/cm、温度80度)を行ない、
巻き取った。この巻き取ったロールを55℃のオーブン
中に3日間放置した。
【0042】さらに下記組成のバックコート層塗料を厚
さ1μmに塗布し、乾燥させ、さらに8mm幅に裁断し、
磁気テープを得た。 バックコート層塗料の組成 カーボンブラック 100重量部 熱可塑性ポリウレタン樹脂 60重量部 イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロ
ネートL) 18重量部 シリコーンオイル 0.5重量部 メチルエチルケトン 250重量部 トルエン 50重量部 得られたフィルム及びテープの特性を表1に示す。この
表から明らかなように巻き上り良品率もよく、電磁変換
特性、走行耐久性、スキューも良好であった。
【0043】
【実施例2】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに、平均粒径0.2μmのアルミナ粒子を0.2重量
%、平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒子を0.0
1重量%添加した以外は実施例1と同様にして未延伸フ
ィルムを得、該未延伸フィルムを縦方向に130℃で
2.3倍延伸し、次いで横方向に130℃で4.0倍延
伸し、引き続いて160℃で中間熱処理した。このフィ
ルムをさらに縦方向に170℃で2.4倍、横方向に
1.5倍延伸し、215℃で熱処理した。このようにし
て7μm厚みの二軸配向フィルムを得た。
【0044】以下、実施例1と同様にしてテープを得
た。この結果を表1に示す。実施例1と同様に良好な結
果が得られた。
【0045】
【実施例3】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに平均粒径0.9μmのカオリン粒子を0.45重量
%添加した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルム
を得、該未延伸フィルムを縦方向に130℃で2.3倍
延伸し、次いで横方向に130℃で4.0倍延伸し、引
き続いて160℃で中間熱処理した。このフィルムをさ
らに縦方向に170℃で2.0倍、横方向に2.0倍延
伸し、215℃で熱処理した。このようにして7μm厚
みの二軸配向フィルムを得た。
【0046】以下、実施例1と同様にしてテープを得
た。この結果を表1に示す。実施例1と同様に良好な結
果が得られた。
【0047】
【実施例4】ジメチルナフタレートとエチレングリコー
ルの混合物に、エステル交換触媒として酢酸マンガン
を、更にエチレングリコールに溶解した酢酸リチウム及
び酢酸カルシウム、及びエチレングリコールに均一分散
させた平均粒径0.3μmの単分散球状シリカ0.05
重量%(対ポリエチレン―2,6―ナフタレート)添加
し、該エステル交換反応が終了後、常法により重縮合反
応させて固有粘度(オルソクロロフェノール,25℃)
0.62dl/gのポリエチレン―2,6―ナフタレート
を得た。このポリエチレン―2,6―ナフタレートは球
状シリカ以外にLi,Ca,P元素を含む平均粒径0.
6μmの内部析出粒子0.05重量%を含んでいる。以
下実施例1と同様にして未延伸フィルムを得、ついで実
施例2と同様にして7μm厚みの二軸配向フイルムを得
た。
【0048】以下、実施例1と同様にしてテープを得
た。この結果を表1に示す。実施例1と同様に良好な結
果が得られた。
【0049】
【比較例1】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに平均粒径0.3μmの酸化ケイ素を0.2重量%、
平均粒径1.2μmの炭酸カルシウムを0.05重量%
添加した以外は実施例1と同様にしてフィルム及びテー
プを得た。その結果を表1に示す。ベースフィルム表面
に低突起・高突起とも多数散在するため、テープの電磁
変換特性は実施例1に比べるとかなり悪く、また削れに
よる白粉発生が著しく走行耐久性もかなり悪い。
【0050】
【比較例2】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに、平均粒径1.2μmのカオリンを0.6重量%単
体添加した以外は実施例1と同様にして未延伸フィルム
及びテープを得た。ベースフィルムの表面粗さ(Ra)
が非常に大きく、磁性面も粗れているため電磁変換特性
は実施例1に比べるとかなり悪く、削れ、白粉発生も見
られ走行耐久性も劣る。
【0051】
【比較例3】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに、平均粒径0.1μmの酸化珪素粒子を0.3重量
%、平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒子を0.1
重量%添加した以外は実施例1と同様にして未延伸フィ
ルムを得、該未延伸フィルムを縦方向に3.7倍、横方
向に4.0倍延伸し(延伸温度は縦、横とも実施例1と
同じ)てフィルム及びテープを得た。その結果を表1に
示す。ヤング率が低いために走行耐久性は不良であっ
た。また、電磁変換特性もテープの腰が弱いために良く
なかった。
【0052】
【比較例4】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに、平均粒径0.1μmの酸化珪素粒子を0.3重量
%、平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒子を0.0
5重量%添加し、実施例1と同様にして未延伸フィルム
を得、以後実施例1における弛緩処理を省略した以外は
実施例1と同様の方法で、フィルム及びテープを得た。
その結果を表1に示す。熱収縮率が高いためにスキュー
が大きく、また裏移り効果のために磁性層表面を粗化
し、電磁変換特性はやや不良であった。
【0053】
【比較例5】実施例1における不活性固体微粒子の代わ
りに平均粒径0.1μmの酸化ケイ素を0.3重量%使
用した以外は実施例1と同様にして厚み7μmの二軸配
向フィルムを得たが、ベースフィルムの滑り不良のため
巻取り不可となり、磁気テープとすることができなかっ
た。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、走行耐久性、電磁変換
特性、スキュー歪、巻き特性等が総合的に優れ、高密度
電磁記録媒体、特に8ミリビデオテープ、デジタル・オ
ーディオテープ(DAT)、デジタル・コンパクト・カ
セットテープ(DCC)、フロッピーディスクなどのベ
ースフィルムとして有用なポリエチレン―2,6―ナフ
タレートフィルムを提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 佐伯 靖浩 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社 相模原研究センター内 (56)参考文献 特開 昭62−143938(JP,A) 特開 昭62−135339(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルム表面に形成された突起物の突起の
    高さ〔h(単位nm)〕の個数が下記の(1)式 【数1】 で示される範囲にあり、フィルムの表面粗さRaが40
    nm以下であり、縦方向のヤング率(EM )が650kg
    /mm2 以上、横方向のヤング率(ET )が600kg/
    mm2 以上であり、そして70℃で1時間無荷重で熱処
    理したときの縦方向の熱収縮率が0.08%以下である
    二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレートフィル
    ム。
  2. 【請求項2】フィルムの厚みが75μm以下である請求
    項1記載の二軸配向ポリエチレン―2,6―ナフタレー
    トフィルム。
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