JPH07216072A - ポリエーテルエステルブロック共重合体 - Google Patents

ポリエーテルエステルブロック共重合体

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JPH07216072A
JPH07216072A JP2732394A JP2732394A JPH07216072A JP H07216072 A JPH07216072 A JP H07216072A JP 2732394 A JP2732394 A JP 2732394A JP 2732394 A JP2732394 A JP 2732394A JP H07216072 A JPH07216072 A JP H07216072A
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temperature
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polyether ester
glycol
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性、耐油性、成形性、低温性能に優れ、温
度変化に伴う曲げ弾性率および表面硬度の変化が小さい
ポリエーテルエステルブロック共重合体を提供する。 【構成】芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性
誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘
導体と、ポリオキシアルキレングリコールとを共重合し
てなるものであって、粘弾性挙動におけるβ分散のta
nδが極大となる温度T(β)と、損失正接(tan
δ)の極大値と25℃での損失正接の値との差を特定
し、さらにメルトフローレートも特定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾性挙動の温度による
変化が少ないゴム状弾性を有するポリエーテルエステル
ブロック共重合体に関し、より詳しくは、耐熱性、成形
性、低温弾性回復性、低温c−set(Compression se
t:圧縮永久歪み)性、および低温制振性等の低温物性に
格段に優れ、かつ−50〜100℃での温度変化に伴
う、曲げ弾性率および表面硬度の変化が少ないポリエー
テルエステルブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来技術】主としてポリブチレンテレフタレートをハ
ードセグメントとし、ポリオキシアルキレングリコール
をソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロッ
ク共重合体において、ソフトセグメントの割合が多いも
のは、ゴム状弾性を有するポリエステルエラストマーと
して、電気・電子部品、自動車部品、繊維、フィルム等
に用途を拡大しつつあり、熱可塑性エラストマ−の中で
も市場の伸びが大きいものである。また、ハードセグメ
ントの割合が多いものは、高剛性と耐衝撃性のバランス
に優れた軟質エンジニアリング樹脂として、自動車部
品、ギア、ホ−ス等の工業部品、電気・電子部品等に広
く使われている。
【0003】通常、ポリエーテルエステルブロック共重
合体のソフトセグメントとしてポリ(テトラメチレンオ
キシ)グリコールが広く使用されているが、ポリエーテ
ルエステルブロック共重合体中のポリ(テトラメチレン
オキシ)グリコール成分が低温度領域において固化し、
低温度領域においてゴム特性、弾性回復性(残留歪が小
さい性質)、耐衝撃性等の物性が不十分となるため、低
温下で使用される部品等の材料としては適当でないとい
う問題点がある。
【0004】このような問題点を解決して、ポリエーテ
ルエステルブロック共重合体を低温下で使用される部品
等の材料として使用できるようにするために、ポリ(テ
トラメチレンオキシ)グリコールをソフトセグメントと
したポリエーテルエステルブロック共重合体に、低温性
能の良いスチレン系ジエン型ブロック共重合体をブレン
ドする方法(特開昭50−82162号公報)、水添ジ
エン系共重合体(含スチレン系飽和型熱可塑性エラスト
マー)をブレンドする方法(特開平3−43433号公
報、特開平4−108838号公報、特開平4−323
250号公報)等が既に公開されている。また、ポリエ
ーテルグリコールの結晶化を防ぐ目的で、側鎖にアルキ
ル基のついたポリエーテル、例えばポリ(2−メチル−
1,3−プロピレンオキシ)グリコールをソフトセグメ
ントに用いたポリエステルエラストマーも公知である
(特公平3−80170号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術のうち、低温特性の良い共重合体をブレンドする
方法では、軟質性が付与されて低温性能等が改善される
が、同時に、ポリエステルエラストマーが本来有する優
れた物性(良成形性・耐油・耐摩耗・機械強度等)が失
われるため、反対に用途が限定されてしまうことにな
る。
【0006】また、ソフトセグメントとして側鎖にアル
キル基のついたポリエーテルグリコールを使用する方法
では、前記ユニットを分子鎖中に比較的多く備えていな
いと低温性能を良くする効果が小さいことや、前記ユニ
ットを分子鎖中に多く備えることによりソフトセグメン
トの分子間凝集力が低下して耐摩耗性が失われること、
また、側鎖が増えるとガラス転移温度が上昇し、低温性
能が逆に悪化する場合があること等の問題があるため、
これらの方法は、工業的には殆ど利用されていないのが
現状である。
【0007】さらに、一般的に、熱可塑性エラストマー
は成形性やリサイクル性が良いことが特徴であるが、ポ
リエーテルエステルエラストマーには、良好な成形性や
リサイクル性を持ちながら単独で低温性能にも優れるも
のは少ないため、通常は、他の熱可塑性樹脂等とブレン
ドして用いられる。その結果、ポリエステルエラストマ
ーが本来有する優れた物性が失われるため、ポリエーテ
ルエステルエラストマーの用途は限定される。
【0008】本発明は、このような従来技術が有する未
解決の問題点を解決するためのものであり、ポリエステ
ルエラストマーが本来有する良成形性、耐熱性、耐油性
等を保持しながら、低温下における弾性回復性(残留歪
が小さい性質)、低温制振性等が格段に優れ、かつ−5
0℃から100℃での温度変化に伴う、曲げ弾性率およ
び表面硬度の変化の少ないポリエーテルエステルブロッ
ク共重合体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】通常のポリエーテルエス
テルブロック共重合体には、粘弾性挙動として特徴的
に、0℃以上の温度でハードセグメントの運動に起因す
るα分散が、−100℃以上0℃以下の温度でソフトセ
グメントの運動に起因するβ分散が、−100℃前後の
温度で、ハードセグメント非晶部内の短鎖グリコールユ
ニットのトランス/ゴ−シュコンフォメ−ションに結合
したカルボニル基の運動に基づくγ分散がそれぞれ見ら
れることが分かっている(Journalof App
liedPolymer Science、21、54
3ー554(1977)参照)が、本発明者等は、この
うちのソフトセグメントの運動に起因するβ分散に着目
して、その損失正接(tanδ)が極大となる温度T
(β)、および損失正接の極大値δ2 と25℃での損失
正接値δ1 との差を限定することにより、ポリエーテル
エステルブロック共重合体の低温弾性が改善されるする
ものであることを見いだして本発明を完成させた。
【0010】すなわち、上記目的を達成するために、本
発明のポリエーテルエステルブロック共重合体は、
(a)芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体からなるジカルボン酸成分と、(b)脂肪族ジオー
ルまたはそのエステル形成性誘導体からなる短鎖ジオー
ル成分と、(c)数平均分子量が400〜6000でで
あるポリオキシアルキレングリコールからなる長鎖ジオ
ール成分とを共重合して得られるポリエーテルエステル
ブロック共重合体であって、粘弾性挙動に関する下記
(1)式および(2)式を満足し、かつ直径2.090
mm長さ8mmのオリフィスにより230℃、2.16
kg荷重で測定されたメルトフローレート(MFR)が
0.1〜30g/10min.であることを特徴とする
ものである。
【0011】T(β)≦−25℃ ……(1) (δ2 −δ1 )≧0.18 ……(2) (但し、(1)式におけるT(β)は、ソフトセグメン
トの運動に起因するβ分散における損失正接(tan
δ)が極大となる温度を示し、(2)式におけるδ2
前記損失正接の極大値を、δ1 は25℃での損失正接の
値をそれぞれ示す。)なお、損失正接(tanδ)は動
的弾性率(G”)に対する損失弾性率(G’)の割合を
示すものであり、δは、粘弾性体に振動ひずみ(正弦波
的に振動するひずみ)を与えたときの応答応力とひずみ
との位相差を示すものである。
【0012】本発明においてジカルボン酸成分をなす芳
香族ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体とし
ては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジ
カルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル
酸、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられ
る。
【0013】また、ジカルボン酸成分には、前記芳香族
ジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体の他に、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、シュ
ウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマ
−酸等の、脂環式または脂肪族のジカルボン酸、および
これらのエステル形成性誘導体を含有していても良い。
【0014】さらに、ジカルボン酸成分は、単独で、も
しくは2種以上組み合わせて使用しても構わない。好適
には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,
6−ジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導
体が用いられる。本発明において短鎖ジオール成分をな
す脂肪族ジオールおよびそのエステル形成性誘導体とし
ては、通常、分子量が300以下のジオールが用いられ
る。
【0015】このようなジオールとしては、例えば、エ
チレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,
4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキ
サメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカ
メチレングリコール、およびこれらのエステル形成性誘
導体が挙げられる。また、1,3−シクロヘキサンジメ
タノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリ
シクロデカンジメタノール等の脂環式ジオール、及びこ
れらのエステル形成性誘導体、キシリレングリコール、
ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4(2
−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4
−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサ
ン等、およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられ
る。
【0016】長鎖ジオール成分は単独で、もしくは2種
以上組み合わせて使用しても良く、好適にはエチレング
リコール、1,4−ブタンジオール及びこれらのエステ
ル形成性誘導体が挙げられる。上記の芳香族ジカルボン
酸またはこれらのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオ
ールまたはこれらのエステル形成性誘導体との組合せに
より、ポリエーテルエステルブロック共重合体のハード
セグメント、すなわち、短鎖ポリエステルが構成される
が、好ましい組合せは、テレフタル酸もしくはテレフタ
ル酸ジエステルとエチレングリコールもしくは1,4−
ブタンジオールとの組合せ(この組合せでポリエチレン
テレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートが
構成される。)、またはナフタレン−2,6−ジカルボ
ン酸もしくはナフタレン−2,6−ジカルボン酸エステ
ルとエチレングリコールもしくは1,4−ブタンジオー
ルとの組合せ(この組合せでポリエチレンナフタレート
もしくはポリブチレンナフタレートが構成される。)で
ある。
【0017】さらに好ましくは、ポリブチレンテレフタ
レートがハードセグメントとして使用されることが良
い。この理由は、ポリブチレンテレフタレートは結晶化
速度が大きく成形性が優れること、得られるポリエーテ
ルエステルブロック共重合体に、ゴム弾性、機械的性
質、耐熱性、耐化学薬品性、耐衝撃性等の物性がバラン
スよく備わっていること等による。
【0018】なお、本発明のポリエーテルエステルブロ
ック共重合体においてハードセグメントをなす、芳香族
ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体と、
脂肪族ジオールまたはこれらのエステル形成性誘導体と
の組合せに、他のジカルボン酸またはそのエステル形成
性誘導体を15モルパーセント以内で、および他の短鎖
ジオールまたはそのエステル形成性誘導体を15モルパ
ーセント以内で加えてもよい。
【0019】本発明における長鎖ジオール成分なすポリ
オキシアルキレングリコールは、本発明のポリエーテル
エステルブロック共重合体においてソフトセグメント、
すなわち長鎖ポリエステルを構成するものであるが、そ
の具体例としては、ポリ(エチレンオキシ)グリコー
ル、ポリ(プロピレンオキシ)グリコール、ポリ(テト
ラメチレンオキシ)グリコール、ポリ(1,2−プロピ
レンオキシ)グリコール、エチレンオキシドとプロピレ
ンオキシドのブロック又はランダム共重合体、エチレン
オキシドとTHFのブロック又はランダム共重合体、T
HFと3−メチルTHFのランダム共重合体、ポリ(2
−メチル−1,3−プロピレンオキシ)グリコール、ポ
リ(プロピレンオキシ)ジイミドジ酸等が挙げられる。
【0020】これらは、単独で、または二種類以上組み
合わせて使用できるが、前記ジカルボン酸と短鎖ジオー
ル成分とともに共重合して最終的に得られるポリエーテ
ルエステル共重合体の粘弾性特性が、前述の(1)式
(2)式を満たすものとなるように選択される。このよ
うなポリオキシアルキレングリコールとしては、特に、
ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、またはテト
ラメチレンオキシド構造単位を主成分とするポリオキシ
アルキレングリコール共重合体が好ましい。
【0021】テトラメチレンオキシド構造単位を主成分
とするポリオキシアルキレングリコール共重合体の具体
例としては、下記(3)式で示されるテトラメチレンオ
キシド構造単位(以下「T」と略す)と、下記(4)式
で示されるネオペンチレンオキシド構造単位(以下
「N」と略す)とで構成され、Nの比率が5〜50モル
パーセントであり、両末端がアルコール性水酸基である
ものと、
【0022】
【化1】
【0023】
【化2】
【0024】Tと下記(5)式で示される(2−メチ
ル)テトラメチレンオキシド構造単位(以下「MT」と
略す)とで構成され、MTの比率が10〜70モルパー
セントであるものとが挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】また、本発明における長鎖ジオール成分を
なすポリオキシアルキレングリコールとしては、数平均
分子量が400〜6000のものが使用される。この数
平均分子量が400未満になると、重合する最終ポリエ
ーテルエステルブロック共重合体のハード/ソフト比に
もよるが、通常は短鎖ポリエステル(ハードセグメン
ト)の平均連鎖長が小さくなり、融点降下が激しくなっ
て耐熱性に劣るため、ポリエーテルエステルブロック共
重合体、特にポリエーテルエステルエラストマ−として
そのまま材料に使用する場合には好ましくない。また、
6000を越えると、単位重量当りのポリエーテルグリ
コール中の末端基濃度が低くなり、重合しにくくなるの
で好ましくない。この重合しやすさと融点のバランスを
考慮すると数平均分子量は800〜4000が好まし
く、1000〜2500がさらに好ましい。
【0027】この数平均分子量はGPC法等の種々の方
法によって測定されるが、本発明における数平均分子量
の前記範囲は、末端を無水酢酸でアセチル化し、未反応
の無水酢酸を酢酸に分解後、アルカリで逆滴定(末端基
滴定法)することにより水酸基価を算出する方法で求め
られた値で設定されている。特に、本発明の長鎖ジオー
ル成分に使用されるポリオキシアルキレングリコールと
して好ましいポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール
については、数平均分子量(Mn)が1800を越えた
場合、分子量分布(Mv /Mn)によっては結晶化が起
こって低温性能に好ましくない結果を与える。したがっ
て、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコールを長鎖ジ
オール成分とする場合には、分子量分布(Mv /Mn)
の値が1.6以下と小さいものを用いるほうが好まし
い。更に好ましくは1.5以下とする。
【0028】なお、前記分子量分布(Mv /Mn)は、
末端水酸基価より求めた数平均分子量(Mn)の、下記
(6)式で規定される粘度平均分子量(Mv )に対する
比で示される値である。 Mv =antilog(0.493logη+3.064
6)……(6) (但し、前記(6)式におけるηは、40℃における溶
融粘度をポアズで示したものである。)本発明の長鎖ジ
オール成分として好ましい、テトラメチレンオキシド構
造単位を主成分とするポリオキシアルキレングリコール
共重合体は、3,3−DMOとテトラヒドロフラン(T
HF)とのカチオン共重合、3,3−DMOとNPGと
THFとのカチオン三元共重合、THFと3ーメチルT
HFとのカチオン重合、またはネオペンチルグリコール
とテトラヒドロフランとを原料として、アルコール性水
酸基の存在下で活性を示す触媒の存在下、純テトラメチ
レングリコールの解重合が進行する反応条件下において
製造することができる。
【0029】一方、本発明のポリエーテルエステルブロ
ック共重合体の粘弾性特性は、下記(1)式および
(2)式を満足するものである。 T(β)≦−25℃ ……(1) (δ2 −δ1 )≧0.18 ……(2) (但し、(1)式におけるT(β)は、ソフトセグメン
トの運動に起因するβ分散における損失正接(tan
δ)が極大となる温度を示し、(2)式におけるδ2
前記損失正接の極大値を、δ1 は25℃での損失正接の
値をそれぞれ示す。)前記温度T(β)が−25℃より
高温になると、ソフトセグメントのガラス転移温度(T
g)が高くなり、特に低温でのゴム弾性に劣るので好ま
しくない。また、(δ2 −δ1 )が0.18より小さく
なると、0℃以下の弾性回復性や、−50℃〜100℃
での温度変化に伴う曲げ弾性率および表面硬度の変化が
著しくなり用途が制限される為に好ましくない。(δ2
−δ1 )のより好ましい値は0.2以上である。
【0030】また、本発明のポリエーテルエステルブロ
ック共重合体は、直径2.090mm長さ8mmのオリ
フィスにより230℃、2.16kg荷重で測定された
メルトフローレート(MFR)が0.1〜30g/10
min.のものである。なお、前記メルトフローレート
(MFR)測定条件を、以下においては必要に応じて
「L条件」と称する。
【0031】ポリエーテルエステルエラストマ−のL条
件でのMFRが30以下であると、物性、特に機械強度
・耐屈曲疲労性が良くなり、前記MFRが30を越える
と分子量が十分に大きくなっていないため、特に、機械
物性(破断強度、破断伸び等)やc−set等に劣るこ
とになって、用途が制限される。また、MFRが小さい
ほどこれらの物性は良好となるが、0.1未満となるほ
ど小さいと、溶融粘度が上がりすぎてリアクタ−から払
い出しが出来にくく、かつ成形性・加工性に困難が生じ
るため現実的ではない。物性とリアクタ−からの払い出
し易さとのバランスを考慮すれば、より好ましいMFR
はL条件で5〜25g/10min.である。
【0032】本発明のポリエーテルエステルブロック共
重合体は、公知の方法で合成することができる。例え
ば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステルと、過剰
量の低分子量グリコールと、ポリエーテルグリコールと
を触媒の存在下でエステル交換反応させ、続いて得られ
る反応生成物を減圧下重縮合する方法、あるいはジカル
ボン酸とグリコールとポリエーテルグリコールとを触媒
の存在下でエステル化反応させ、ついで得られる生成物
を減圧下で重縮合する方法、また予め短鎖ポリエステル
(例えばポリブチレンテレフタレート)を作っておき、
これに他のジカルボン酸やジオールもしくはポリオキシ
アルキレングリコールを加えたり、もしくは他の共重合
ポリエステルを添加してエステル交換によりランダム化
させる方法など何れの方法も採用される。
【0033】エステル交換反応またはエステル化反応と
重縮合反応とに共通の触媒としては、テトラ(イソプロ
ポキシ)チタネート、テトラ(n−ブトキシ)チタネー
トに代表されるテトラアルキルチタネート、これらテト
ラアルキルチタネートとアルキレングリコールとの反応
生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分解物、
チタニウムヘキサアルコキサイドの金属塩、チタンのカ
ルボン酸塩、チタニル化合物等のTi系触媒が好ましい
他、モノn−ブチルモノヒドロキシスズオキサイド、モ
ノn−ブチルスズトリアセテート、モノn−ブチルスズ
モノオクチレート、モノn−ブチルスズモノアセテート
等のモノアルキルスズ化合物、ジn−ブチルスズオキサ
イド、ジn−ブチルスズジアセテート、ジフェニルスズ
オキサイド、ジフェニルスズジアセテート、ジn−ブチ
ルスズジオクチレート等のジアルキル(またはジアリー
ル)スズ化合物等が挙げられる。この他、Mg、Pb、
Zr、Zn、Sb等の金属、金属酸化物、金属塩触媒も
有用である。
【0034】これらの触媒は単独で、あるいは2種以上
組み合わせて使用しても良い。特に、単独で使用する場
合にはテトラアルキルチタネートまたは三酸化アンチモ
ンが好適であり、組み合わせて使う場合にはテトラアル
キルチタネートと酢酸マグネシウムとの組合せが好適で
ある。エステル化反応またはエステル交換反応および重
縮合用の触媒添加量は、生成ポリマ−に対して0.00
5〜0.5重量パーセントであることが好ましく、特
に、0.03〜0.2重量パーセントであることが好ま
しい。これらの触媒は、エステル交換またはエステル化
反応開始時に添加し、重縮合反応時には、再び添加して
もしなくても良い。
【0035】また、本発明のポリエーテルエステルブロ
ック共重合体には、ジカルボン酸やポリオキシアルキレ
ングリコールの一部として、ポリカルボン酸や多官能ヒ
ドロキシ化合物、オキシ酸等が共重合されていても良
い。特に、多官能成分は、高粘度化成分として有効に作
用するため共重合されていることが好ましいが、得られ
るポリエーテルエステルブロック共重合体の3モルパー
セント以下の割合で存在させる。このような多官能成分
として用いることができるものには、トリメリット酸、
トリメシン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、グリセリン、ペ
ンタエリスリトール、およびそれらのエステル、酸無水
物等を挙げることができる。
【0036】本発明のポリエーテルエステルブロック共
重合体を製造する際には、重合中または重合後の任意の
時期に酸化防止剤を加えることができるが、特に、ポリ
オキシアルキレングリコールが高温に曝される時点、例
えば重縮合反応に入る時点で、重縮合反応を阻害せず触
媒の機能を損なわない酸化防止剤を加えることにより、
ポリオキシアルキレングリコールの酸化劣化を防止する
ことが望ましい。
【0037】このような酸化防止剤としては、燐酸、亜
燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステ
ルや、次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニル
ホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネー
ト、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、
ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化
合物、フェノール系誘導体(特にヒンダ−ドフェノール
化合物)、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプト
ベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプ
ロピオン酸エステル等のイオウを含む化合物、スズマレ
ート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物を用
いることができる。これらは単独で用いても2種以上組
み合わせて用いても構わない。
【0038】このような酸化防止剤の添加量は、ポリエ
ーテルエステルエラストマー100重量部に対し、0.
01〜2重量部であることが望ましい。また、必要に応
じ、前記と同様な方法で紫外線吸収剤や光安定剤を加え
てもよい。そして、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダ−ドアミン化合物のようなラ
ジカル捕捉型光安定剤が好適に用いられる。
【0039】さらに、得られたポリエーテルエステルブ
ロック共重合体に対し、粘弾性特性が前記(1)式およ
び(2)式を満たす範囲であれば、必要に応じ、更なる
前記酸化防止剤や、カオリン、シリカ、マイカ、二酸化
チタン、アルミナ、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、
クレー、カオリン、ケイソウ土、アスベスト、硫酸バリ
ウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸
マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラ
ス繊維、炭素繊維等の充填剤や補強材、ステアリン酸亜
鉛やステアリン酸ビスアマイドのような滑剤ないしは離
型剤、着色のためのカーボンブラック、群青、チタンホ
ワイト、亜鉛華、べんがら、紺青、アゾ顔料、ニトロ顔
料、レーキ顔料、フタロシアニン顔料等の染顔料、オク
タブロモジフェニル、テトラブロモビスフェノールポリ
カーボネート等の難燃化剤、ヒンダードアミン系光安定
剤、紫外線吸収剤、発泡剤、エポキシ化合物やイソシア
ネート化合物等の増粘剤、シリコーンオイルやシリコー
ン樹脂等、公知の各種添加剤を用いることができる。
【0040】さらにまた、本発明のポリエーテルエステ
ルブロック共重合体は、必要に応じて他の樹脂やエラス
トマ−とブレンドすることも可能である。ブレンド可能
なエラストマ−としては、非ハロゲンジエン系ゴム、非
ハロゲンジエン系ゴムの水添物、アクリルゴム、エピク
ロルヒドリンゴム、オレフィン系ゴム、ハロゲン系ゴ
ム、シリコ−ンゴム等が挙げられる。
【0041】上記非ハロゲン系ゴムとしては、例えば、
天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエン共
重合体ゴム、スチレンブタジエンブロック共重合体ゴ
ム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエン
共重合体ゴム、アクリル酸エステルブタジエン共重合体
ゴム等を挙げることができる。上記非ハロゲンジエン系
ゴムの水添物としては、例えば、水素化ポリブタジエ
ン、水素化ポリイソプレン、水素化スチレンブタジエン
ブロック共重合体ゴム、水素化スチレンブタジエンラン
ダム共重合体ゴム、水素化アクリル酸エステルブタジエ
ン共重合体ゴム、水素化アクリルニトリルブタジエン共
重合体ゴム等を挙げることができる。
【0042】本発明のポリエーテルエステルブロック共
重合体と上記の各エラストマ−とのブレンドを得るため
には、単純に混合するだけではなく、より高い性能を出
すために動的加硫を施すことが好ましい。本発明のポリ
エーテルエステルブロック共重合体と上記の各エラスト
マ−とのブレンドに、必要に応じて可塑剤を添加しても
よい。この場合の可塑剤の例としては、ジオクチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブ
チルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレ
ート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル
類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシ
ルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、ト
リス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジクロロプ
ロピルホスフェート等の燐酸エステル類、トリメリット
酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステ
ル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトー
ルエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペ
ート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオクチル
アゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘ
キシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等の脂
肪酸エステル類、ピロメリット酸オクチルエステル等の
ピロメリット酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ
化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエ
ポキシ系可塑剤、アジピン酸エーテルエステル、ポリエ
ーテル等のポリエーテル系可塑剤等が挙げられる。これ
ら可塑剤は、本発明のブロック共重合体の好ましい性質
を損なわない限り、単独、あるいは二種類以上組み合わ
せて使用することもできる。
【0043】
【作用】本発明のポリエーテルエステルブロック共重合
体は、粘弾性挙動に関する下記(1)式および(2)式
を満足するものであるため、低温弾性回復性、低温制振
性等の低温物性に格段に優れ、かつ−50〜100℃で
の温度変化に伴う、曲げ弾性率および表面硬度の変化が
少ないものとなる。
【0044】T(β)≦−25℃ ……(1) (δ2 −δ1 )≧0.18 ……(2) (但し、(1)式におけるT(β)は、ソフトセグメン
トの運動に起因するβ分散における損失正接(tan
δ)が極大となる温度を示し、(2)式におけるδ2
前記損失正接の極大値を、δ1 は25℃での損失正接の
値をそれぞれ示す。)また、直径2.090mm長さ8
mmのオリフィスにより230℃、2.1kg荷重で測
定されたメルトフローレート(MFR)が0.1〜30
g/10min.であるため、機械強度、成形性、耐熱
性等のポリエーテルエステルブロック共重合体が本来有
する特長が保持される。
【0045】その理由は、ソフトセグメントの結晶性に
よるものか、あるいはハードセグメントとソフトセグメ
ントとのミクロ相分離状態の変化によるものなのか、明
かではない。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。 <評価方法>はじめに、本実施例で得られた各ポリエー
テルエステルブロック共重合体の物性評価項目と、その
評価方法について以下に説明する。 《メルトフローレート(MFR)》各ポリエーテルエス
テルブロック共重合体のペレット約5gを、真空乾燥器
にて70℃で約12時間真空乾燥させた後、直ちに、直
径2.090mm長さ8mmのオリフィスにより、荷重
2.16kg、測定温度230℃のL条件でメルトフロ
ーレートを測定した。 《融点》ポリエーテルエステルブロック共重合体約10
mgを、SEIKO電子工業社製の示差熱量計(DSC
−200)にかけ、昇温速度10℃/min、窒素雰囲
気下(10cc/min)の条件で、標準物質との温度
差ΔTの変化を調べて、得られた温度−温度差(ΔT)
曲線から吸熱ピ−クのトップの温度を融点とした。 《破断強度(Tb)、破断伸び(El)》JIS K6
301に従って、長さ20mm×幅3mm×厚さ2mm
の射出成形試験片を用い、25℃で、ヘッドスピ−ド2
0mm/minの条件で引張試験を行うことにより測定
した。 《表面硬度》ショアD硬度を−25℃と25℃とで測定
した。 《残留歪》長さ20mm×幅3mm×厚さ2mmの射出
成形試験片を用い、ヘッドスピ−ド20mm/min.
で−25℃にて300%まで伸長し、同温度で応力が0
になるまで緩和し、その時の残留伸度を測定して計算し
た。 《曲げ弾性率》JIS K7203に従って、長さ12
5mm×幅12.5mm×厚さ3mmの射出成形試験片
を用い、曲げ速度2mm/min.の条件で、−50
℃、−25℃、0℃、100℃の各温度において曲げ弾
性率を測定した。 《粘弾性挙動》長さ17.7mm×幅12.5mm×厚
さ3mmの射出成形試験片を、真空乾燥器にて70℃で
約46時間真空乾燥させたものを、粘弾性スペクトロメ
−タ−(DMA)により、共鳴周波数モ−ドにて以下の
表1の条件で評価した。
【0047】
【表1】
【0048】なお、ポリオキシアルキレングリコールと
しては、以下に示す三種類を使用した。 (a)ネオペンチルグリコール共重合ポリ(テトラメチ
レンオキシ)グリコール(TとNとの共重合体で両末端
がアルコール性水酸基であるもの) :旭化成工業(株)製、Mn=1825、Mv /Mn=
1.75、 N含率=10.8モルパーセント (b)ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール :旭化成工業(株)製、Mn=1815、Mv /Mn=
1.45 (c)ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール :保土ヶ谷化学(株)製、PTG−1800、Mn=1
828、 Mv /Mn=2.11 <実施例1>15リットルの三菱重工業(株)製リアク
ター(VCR)に、ジメチルテレフタレート(三菱化成
(株)製、以下同じ)1520g、1,4−ブタンジオ
ール(和光純薬製試薬特級、以下同じ)1062g、
(b)のポリオキシアルキレングリコール(ポリ(テト
ラメチレンオキシ)グリコール)3201g、イルガノ
ックス1010(チバガイギ−製)15gを仕込み、窒
素置換後、窒素雰囲気下で200℃まで昇温した。次い
でテトライソプロポキシチタネート(東京化成製試薬1
級、以下同じ)を1.5g添加した。そして、200℃
に30分間保持した後に230℃まで昇温し、回転数1
50rpmで撹拌しながら2時間かけてエステル交換反
応を行った。留出してきたメタノール量は理論量の95
%であった。ついで温度を250℃にし、回転数50r
pmで撹拌しながら30分かけて0.5mmHgまで減
圧し、その後約3時間かけて、トルク上昇が起こらなく
なるまで縮合反応を行った。
【0049】リアクタ−の内容物を下部より抜き出した
ところ、ポリエーテルエステルブロック共重合体が透明
な粘ちょう重合体として得られた。これを押出機により
ストランド状に押し出し、冷却後に切断することでペレ
ットに形成した。このペレットを用いて前記方法により
MFRを測定したところ、このポリエーテルエステルブ
ロック共重合体のMFRは12であり、 1H−NMRか
ら求めたソフト量は62.0wt%であった。また、前
述の方法により融点を測定したところ185℃であっ
た。
【0050】そして、得られたブロック共重合体のペレ
ットにより、融点(この場合185℃)よりも30℃高
い温度で、各評価試験用の試験片を射出成形により作製
し、前述の方法に従って各種物性試験を行った。測定し
た粘弾性挙動及び諸物性の結果を下記の表2に示す。ま
た、得られたDMAチャートを図1に示す。 <実施例2>仕込のジメチルテレフタレートを1370
g、1,4−ブタンジオールを951g、ポリオキシア
ルキレングリコールを上記(a)原料とし、これを34
50g用いた以外は実施例1と同様にして、エステル交
換反応と縮合反応を行った。なお、トルク上昇が起こら
なくなるまでに要した縮合反応時間は約4時間であっ
た。
【0051】得られたブロック共重合体のMFRは15
であり、 1H−NMRから求めたソフト量は71.1w
t%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果を
下記の表2に示す。また、得られたDMAチャートを図
2に示す。 <実施例3>仕込のジメチルテレフタレートを2072
g、1,4−ブタンジオールを1442g、ポリオキシ
アルキレングリコールを上記(a)原料とし、これを2
650gにした以外は実施例1と同様にして、エステル
交換反応と縮合反応を行った。なお、トルク上昇が起こ
らなくなるまで要した縮合反応時間は約3時間であっ
た。
【0052】得られたブロック共重合体のMFRは18
であり、 1H−NMRから求めたソフト量は53.1w
t%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果を
下記の表2に示す。また、得られたDMAチャートを図
3に示す。 <実施例4>仕込のポリオキシアルキレングリコールを
上記(a)原料にした以外は実施例1と同様にして、エ
ステル交換反応と縮合反応を行った。トルク上昇が起こ
らなくなるまで要した縮合反応時間は3時間15分であ
った。
【0053】得られたブロック共重合体のMFRは1
2.5であり、 1H−NMRから求めたソフト量は6
2.5wt%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性
の結果を下記の表2に示す。また、得られたDMAチャ
ートを図4に示す。 <実施例5>仕込のポリオキシアルキレングリコールを
上記(b)原料にした以外は実施例2と同様にして、エ
ステル交換反応と縮合反応を行った。トルク上昇が起こ
らなくなるまで要した縮合反応時間は約3時間30分で
あった。
【0054】得られたブロック共重合体のMFRは7.
5であり、 1H−NMRから求めたソフト量は71.5
wt%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果
を下記の表2に示す。また、得られたDMAチャートを
図5に示す。 <比較例1>仕込量をそれぞれ、ジメチルテレフタレー
ト2470g,1,4−ブタンジオール1718g、上
記(b)のポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール2
200gとした以外は実施例1と同様にして、エステル
交換反応と縮合反応を行った。トルク上昇が起こらなく
なるまで要した縮合反応時間は約2時間30分であっ
た。
【0055】得られたブロック共重合体のMFRは2.
5であり、 1H−NMRから求めたソフト量は43.0
wt%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果
を下記の表2に示す。また、得られたDMAチャートを
図6に示す。 <比較例2>ポリオキシアルキレングリコールとして上
記(b)原料を使用した以外は実施例3と同様にして、
エステル交換反応と縮合反応を行った。トルク上昇が起
こらなくなるまで要した縮合反応時間は約2時間30分
であった。
【0056】得られたブロック共重合体のMFRは1
0.5であり、 1H−NMRから求めたソフト量は5
3.0wt%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性
の結果を下記の表2に示す。また、得られたDMAチャ
ートを図7に示す。 <比較例3>ポリオキシアルキレングリコールとして上
記(c)を使用した以外は実施例2と同様にして、エス
テル交換反応と縮合反応を行った。トルク上昇が起こら
なくなるまで要した縮合反応時間は約2時間30分であ
った。
【0057】得られたブロック共重合体のMFRは7.
5であり、 1H−NMRから求めたソフト量は70.5
wt%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果
を下記の表2に示す。また、得られたDMAチャートを
図8に示す。 <比較例4>ポリオキシアルキレングリコールとして上
記(a)を使用した以外は比較例1と同様にして、エス
テル交換反応と縮合反応を行った。トルク上昇が起こら
なくなるまで要した縮合反応時間は約3時間15分であ
った。
【0058】得られたブロック共重合体のMFRは15
であり、 1H−NMRから求めたソフト量は43.4w
t%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果を
下記の表2に示す。また、得られたDMAチャートを図
9に示す。 <比較例5>実施例2の縮合反応において、反応開始後
3時間でリアクターからブロック共重合体の一部を取り
出し、同じ条件でMFRを測定したところ39であり、
1H−NMRから求めたソフト量は実施例2と同じく7
1.1wt%であった。測定した粘弾性挙動及び諸物性
の結果を下記の表2に示す。また、得られたDMAチャ
ートは、図2に示す実施例2と全く同じであった。 <比較例6>GE(ゼネラルエレクトリック)社製のポ
リエーテルエステルブロック共重合体、ロモド(登録商
標)B0220について 1H−NMRを測定したとこ
ろ、ソフトセグメントはポリ(オキシプロピレングリコ
ール)ジイミドジ酸であり、ソフト量は43.0wt%
であった。このブロック共重合体について、実施例1と
同様にして測定した粘弾性挙動及び諸物性の結果を下記
の表2に示す。また、得られたDMAチャートを図10
に示す。 <比較例7>東洋紡(株)製のポリエーテルエステルブ
ロック共重合体、ヘルプレン(登録商標)P−40Bに
ついて 1H−NMRを測定したところ、ソフトセグメン
トはポリ(オキシテトラメチレングリコール)であり、
ソフト量は69.1wt%であった。このブロック共重
合体について、実施例1と同様にして測定した粘弾性挙
動及び諸物性の結果を下記の表2に示す。また、得られ
たDMAチャートを図11に示す。 <比較例8>東レ・デュポン(株)製のポリエーテルエ
ステルブロック共重合体、ハイトレル(登録商標)47
67について 1H−NMRを測定したところ、ソフトセ
グメントはポリ(オキシテトラメチレングリコール)で
あり、ソフト量は46.4wt%であった。このブロッ
ク共重合体について、実施例1と同様にして測定した粘
弾性挙動及び諸物性の結果を下記の表2に示す。また、
得られたDMAチャートを図12に示す。
【0059】
【表2】
【0060】表2の結果から分かるように、実施例1〜
実施例5のポリエーテルエステルブロック共重合体につ
いては、粘弾性挙動に関する前記(1)式および(2)
式を満足しているため、比較例1〜比較例4,比較例6
〜8と比較して、温度が−50℃から100℃に変化し
たときの曲げ弾性率の変化が著しく小さい。また、実施
例1〜実施例5については、−25℃における残留歪も
比較例1〜比較例4,比較例6〜8と比較して小さく、
ショアD硬度の温度変化による変化量も同様に小さい。
なお、比較例5に関しては、L条件で測定されたメルト
フローレートの値が本発明の範囲外であるため、破断強
度(Tb)および破断伸び(El)が他と比べて著しく
小さく、機械強度に劣るものであることが分かる。
【0061】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のポリ
エーテルエステルブロック共重合体は、従来のポリエー
テルエステルブロック共重合体の優れた物性を保持しな
がら、従来のものに比べて、低温弾性回復性、低温制振
性等の低温性能に格段に優れ、かつ−50〜100℃で
の温度変化に伴う、曲げ弾性率および表面硬度の変化が
少ないため、特に今まで使用範囲が限られていたポリエ
ーテルエステルブロック共重合体の用途範囲を大幅に広
げることができる。
【0062】したがって、本発明のポリエーテルエステ
ルブロック共重合体は、広い温度領域でゴム状物性が要
求される用途、例えば自動車部品(エンジン周り、エア
バックカバ−、シフトレバ−ブ−ツ等)、また、低温領
域でゴム弾性が必要である用途、例えば冷凍ベルト、冷
凍パッキング、冷凍チュ−ブ、低温下で用いる制振材料
等として、シリコ−ンゴム、NBR、水添NBR、アク
リルゴム等の架橋ゴム代替用途に応用することができる
ため、本発明は産業界に寄与するところ大であると言え
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図2】実施例2のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図3】実施例3のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図4】実施例4のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図5】実施例5のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図6】比較例1のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図7】比較例2のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図8】比較例3のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図9】比較例4のポリエーテルエステルブロック共重
合体のDMAチャート(tanδの温度変化)を示すグ
ラフである。
【図10】比較例6のポリエーテルエステルブロック共
重合体(ロモドB0220)のDMAチャート(tan
δの温度変化)を示すグラフである。
【図11】比較例7のポリエーテルエステルブロック共
重合体(パルプレンP40B)のDMAチャート(ta
nδの温度変化)を示すグラフである。
【図12】比較例8のポリエーテルエステルブロック共
重合体(ハイトレル4767)のDMAチャート(ta
nδの温度変化)を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)芳香族ジカルボン酸またはそのエ
    ステル形成性誘導体からなるジカルボン酸成分と、
    (b)脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体
    からなる短鎖ジオール成分と、(c)数平均分子量が4
    00〜6000でであるポリオキシアルキレングリコー
    ルからなる長鎖ジオール成分とを共重合して得られるポ
    リエーテルエステルブロック共重合体であって、粘弾性
    挙動に関する下記(1)式および(2)式を満足し、か
    つ直径2.090mm長さ8mmのオリフィスにより2
    30℃、2.16kg荷重で測定されたメルトフローレ
    ート(MFR)が0.1〜30g/10min.である
    ことを特徴とするポリエーテルエステルブロック共重合
    体。 T(β)≦−25℃ ……(1) (δ2 −δ1 )≧0.18 ……(2) (但し、(1)式におけるT(β)は、ソフトセグメン
    トの運動に起因するβ分散における損失正接(tan
    δ)が極大となる温度を示し、(2)式におけるδ2
    前記損失正接の極大値を、δ1 は25℃での損失正接の
    値をそれぞれ示す。)
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Cited By (6)

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