JP3418231B2 - ポリエーテルエステルブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ポリエーテルエステルブロック共重合体及びその製造方法

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JP3418231B2 JP30406593A JP30406593A JP3418231B2 JP 3418231 B2 JP3418231 B2 JP 3418231B2 JP 30406593 A JP30406593 A JP 30406593A JP 30406593 A JP30406593 A JP 30406593A JP 3418231 B2 JP3418231 B2 JP 3418231B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低温特性、耐屈曲性、耐
摩耗性及び弾性回復性の優れたゴム状弾性を有する新規
なポリエーテルエステルブロック共重合体及びその製造
方法に関する。更に詳しくは芳香族ジカルボン酸及びそ
のエステル形成性誘導体であるジカルボン酸成分と、脂
肪族ジオール及びそのエステル形成性誘導体である短鎖
ジオール成分及び特殊な構造を有するポリエーテルグリ
コールとを共重合してなる高分子量の新規なポリエーテ
ルエステルブロック共重合体及び特殊な構造を有する反
応器を用いて高分子量のポリエーテルエステルブロック
共重合体を効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】主としてポリブチレンテレフタレートを
ハードセグメントとし、ポリエーテルグリコールをソフ
トセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重
合体はソフトセグメントの多い領域ではゴム状弾性を有
するポリエステルエラストマーとして、電気・電子部
品、自動車部品、繊維、フィルム等に用途を拡大しつつ
あり、熱可塑性エラストマーの中でも市場の伸びも大き
い。また、ハードセグメントの多い領域では高剛性と耐
衝撃性のバランスに優れた軟質エンジニアリング樹脂と
して自動車部品、ギア、ホース等の工業部品、電気・電
子部品等に広く使われている。通常、ポリエーテルエス
テルブロック共重合体のソフトセグメントとしてポリ
(テトラメチレンオキシ)グリコールが広く使用されて
いるが、その分子量や分子量分布によってポリエーテル
エステルブロック共重合体中のポリ(テトラメチレンオ
キシ)グリコール成分がその線状構造に由来して低温度
領域において結晶化を起こし、使用条件によっては低温
特性、耐屈曲性、耐摩耗性、弾性回復性(残留歪)、耐
衝撃性等の物性が不十分となる。
【0003】この問題を解決するために原料のポリ(テ
トラメチレンオキシ)グリコールの分子量分布(Mv/
Mn)を狭く(Mv/Mn≦1.60)し、数平均分子
量(Mn)を比較的小さくする試みがなされている(特
公平3−40732号公報)。またポリエーテルグリコ
ールの結晶化を防ぐ目的で側鎖にアルキル基のついたポ
リエーテル、例えばポリ(2−メチル−1,3−プロピ
レンオキシ)グリコールをソフトに使用する発明等(特
公平3−80170号公報)が公知である。
【0004】しかしながらポリ(テトラメチレンオキ
シ)グリコールの分子量分布(Mv/Mn)を狭くして
も、使用できるMnは限られており、特に融点を高く設
定したいときは耐熱性と低温特性、耐屈曲性、耐摩耗性
及び弾性回復性等との物性バランスに劣る欠点を有す
る。また、ソフトセグメントとして側鎖にアルキル基の
ついたポリエーテルグリコールを使用する場合は側鎖に
アルキル基のついたポリオキシアルキレンユニットを分
子鎖中に比較的多く有さないと効果が発現しないこと、
ポリオキシアルキレンユニット中に3級炭素を有すると
ラジカルの攻撃を受け易く、耐候性に劣ること、また原
料の環状エーテル(例えばメチルテトラヒドロフラン、
メチルオキセタン)が高価であることなどから工業的に
は殆ど利用されていないのが現状である。
【0005】そこで、このような問題を解決すべく鋭意
検討の結果、ソフトセグメント成分としてのポリエーテ
ルグリコールを下記に示すネオペンチレンオキシド構造
単位(以下Nと略す)とテトラメチレンオキシド構造単
位(以下Tと略す)よりなり、Nの比率が5〜100モ
ル%であるポリエーテルであって、両末端がアルコール
性水酸基であり、数平均分子量が400〜6000であ
るポリエーテルグリコールを使用することによって上記
問題点が解決し得ることを見出し、既に特許出願してい
る(特願平4−238701号、特願平4−23870
6号)。このようなポリエステルエラストマーは既存の
ヘリカルリボン翼、シャフトレスリボン翼、二重螺旋
翼、錨翼等の高粘度用高分子の撹拌に適した形状の撹拌
翼を具備したリアクターのいずれでも生産することがで
きる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ポ
リエーテルグリコールを好ましい製造態様で製造したも
のは特にNのモル含率が比較的小さい場合でも、分子末
端にNの構造が存在する割合が仕込組成比から予想され
る割合に比べて高いことが1H−NMRによる末端構造
解析より明らかになっている。従って末端のNの構造の
立体障害のためかあるいは該ポリエーテルグリコールと
ハードセグメントを構成するポリエステルオリゴマーと
の相溶性が悪化するためか理由は明らかではないが、ポ
リエーテルエステルブロック共重合体にする場合、縮合
反応が通常のポリエーテルグリコールを用いる場合と比
較して遅く、前記のリアクターで重合度を充分に上げる
ことが困難であり、そのため、機械強度や耐屈曲疲労性
等に劣るという欠点があった。
【0007】そこで、分子量を従来の装置で充分に上げ
るために比較的長時間・高温で運転するか、撹拌回転数
を速くすることによって脱気効率を高める、あるいはリ
アクター体積に対して重合スケールを極端に小さくする
ことで自由表面積を稼ぎ、所望の重合度にする試みを行
った。しかしながらただでさえポリエーテルエステルブ
ロック共重合体の重合は高温、高真空が必要であるの
に、長時間・高温の重合は着色、異臭の原因になり、品
質の低下につながるばかりか、かえってソフトセグメン
トの分解が起こって逆に分子量が上がらない。また撹拌
回転数を速くすると撹拌動力に負荷がかかり、撹拌器の
故障・破損等にもつながり、経済的でなく、このため重
合度の高い共重合体が実質的に得られなかった。また高
速撹拌を行うと抜き出し時(通常不活性ガスで加圧抜き
出し)に溶融ポリエーテルエステルブロック共重合体に
気泡が入り、場合によってはストランドカッティングで
きない問題もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は
(a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び
そのエステル形成性誘導体であるジカルボン酸成分と、
(b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及びそのエス
テル形成性誘導体である短鎖ジオール成分と、(c)長
鎖ジオール成分が下記に示すネオペンチレンオキシド構
造単位(以下Nと略す)とテトラメチレンオキシド構造
単位(以下Tと略す)よりなり、
【0009】
【化2】
【0010】Nの比率が5〜100モル%であるポリエ
ーテルであって、両末端がアルコール性水酸基であり、
数平均分子量が400〜6000であるポリエーテルグ
リコールとを共重合してなるポリエーテルエステルブロ
ック共重合体であって、前記ポリエーテルグリコール単
位が5〜90重量%共重合され、230℃、2.16k
g荷重におけるMFRが0.1〜30g/10min.
であることを特徴とするポリエーテルエステルブロック
共重合体及び前記(a),(b),(c)の各成分を側
面に沿って逆円錐型リボン翼で構成された撹拌機を有す
る構造のリアクターを用いて重合させることを特徴とす
るポリエーテルエステルブロック共重合体の製造方法で
ある。特に好ましいポリエーテルエステルブロック共重
合体の態様として、(c)の長鎖ジオール成分中のNが
長鎖ジオールの末端でない場合は、Nを挾んで隣接する
構造単位がTであり、Nが末端にある場合には、水酸基
で結合していて、その水酸基の反対側でNに隣接する構
造単位がTである構造を有し、かつNが5〜50モル%
のポリエーテルグリコールであることがあげられる。
【0011】本発明で用いる(a)成分の芳香族ジカル
ボン酸及びそのエステル形成性誘導体としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレ
ン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカ
ルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフ
ェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸
及びこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。ま
た(a)成分には脂環式または脂肪族のジカルボン酸及
びこれらのエステル形成性誘導体を(a)成分と置換し
ても良く、これに1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ド
デカンジ酸、ダイマー酸等が挙げられる。これら置換に
用いることのできる脂環式または脂肪族のジカルボン酸
及びこれらのエステル形成性誘導体の量は、(a)成分
のジカルボン酸成分の全量の30モルパーセント以下が
好ましく、更に好ましくは10%以下である。
【0012】本発明においては、(a)成分は単独、も
しくは2種以上組み合わせて使用しても構わない。好適
にはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6
−ジカルボン酸及びこれらのエステル形成性誘導体が用
いられる。また、本発明で用いる(b)成分である脂肪
族ジオール及びそのエステル形成性誘導体としては通
常、分子量が300以下のジオールが用いられる。例え
ばエチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、
1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、
ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
デカメチレングリコール及びこれらのエステル形成性誘
導体が挙げられる。また、1,3−シクロヘキサンジメ
タノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリ
シクロデカンジメタノール等の脂環式ジオール、及びこ
れらのエステル形成性誘導体、キシリレングリコール、
ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−
(2−ヒドロキシ)フェニル〕スルホン、1,1−ビス
〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕シクロヘ
キサン等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げら
れる。本発明において、(b)成分は単独、もしくは2
種以上組み合わせて使用しても良く、好適にはエチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール及びこれらのエス
テル形成性誘導体が挙げられる。
【0013】上記の芳香族ジカルボン酸及びこれらのエ
ステル形成性誘導体と脂肪族ジオール及びこれらのエス
テル形成性誘導体との組合せによりポリエーテルエステ
ルブロック共重合体のハードセグメント即ち短鎖ポリエ
ステルが構成されるが、好ましい組合せはテレフタル酸
またはテレフタル酸ジエステルとエチレングリコールも
しくは1,4−ブタンジオールとの組合せ(ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)また
は、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはナフタレ
ン−2,6−ジルカルボン酸ジエステルとエチレングリ
コールもしくは1,4−ブタンジオールとの組合せ(ポ
リエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート)
である。さらに好ましくはポリブチレンテレフタレート
がハードセグメントに使用されることが良い。この理由
はポリブチレンテレフタレートは結晶化速度が大きく成
型性が優れること、ポリエーテルエステルブロック共重
合体にした場合もゴム弾性、機械的性質、耐熱性、耐化
学薬品性、耐衝撃性等の物性バランスがよく備わってい
ること等による。この組合せに他のジカルボン酸及びそ
のエステル形成性誘導体を15モル%以内、または他の
ジオール及びそのエステル形成性誘導体を15モル%以
内加えて使用することもできる。
【0014】本発明のソフトセグメント即ち、長鎖ポリ
エステルを構成するポリエーテルグリコールはNとTよ
りなり、Nの比率が5〜100モル%であるポリエーテ
ルであって、両末端がアルコール性水酸基であり、数平
均分子量が400〜6000であるポリエーテルグリコ
ールである。好適には上記ポリエーテルグリコールはそ
の末端にないNについては、Nを挾んで隣接する構造単
位が必ずTであり、Nが末端にある場合には、末端にあ
ってアルコール性水酸基に結合されているNについて
は、アルコール性水酸基の反対側でNに隣接する構造単
位が必ずTである構造を有し、かつNが5〜50モル%
のポリエーテルグリコールである。このことは実質的に
NN連鎖がないことを意味する。
【0015】本発明に使われるポリエーテルグリコール
は3,3−ジメチルオキセタン(3,3−DMO)の単
独カチオン重合、3,3−DMOとネオペンチルグリコ
ール(NPG)とのカチオン共重合、3,3−DMOと
テトラヒドロフラン(THF)のカチオン共重合、3,
3−DMOとNPGとTHFのカチオン三元共重合また
はネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランを原料
として、アルコール性水酸基の存在下で活性を示す触媒
の存在下、純テトラメチレングリコールの解重合が進行
する反応条件下において製造することができる。
【0016】本発明のポリエーテルエステルブロック共
重合体の製造に用いられる好ましいポリエーテルグリコ
ールは特願平4−238701号及び特願平4−238
706号に詳述してあるようにNを挾んで隣接する構造
単位が必ずTであるか、Nが末端にある場合には片方が
アルコール性水酸基であるのでNの含率は50モル%以
下になる。このポリエーテルグリコール中のNが5モル
%に満たない共重合組成ではこれをポリエーテルエステ
ルブロック共重合体にした場合、特に低温性能に満足な
物性が得られない場合があるため好ましくない。ポリエ
ーテルエステルブロック共重合体にした場合、長鎖ポリ
エステル、すなわちソフトセグメントの含量が比較的少
ない場合(10〜50wt%)には、ポリエーテルグリ
コール中のNの含率が15〜50モル%程度と多いこと
が性能発現上、好ましい。一方、ソフトセグメントの含
量が比較的多い場合(50〜90wt%)には、Nの含
率が5〜15モル%程度と少なくても十分低温性能等の
物性が良好である。本発明に用いられる好ましいポリエ
ーテルグリコールの製造方法は、アルコール性水酸基の
存在化で活性を示す触媒の存在下、多量のネオペンチル
グリコールを仕込み、純テトラメチレングリコールの解
重合が進む高い温度と、低いTHF濃度、即ち高いポリ
マー濃度での反応条件で行われる。
【0017】アルコール性水酸基の存在下で活性を示す
触媒としては、特開昭60−20366号公報にヘテロ
ポリ酸が、特開昭61−120830号公報にヘテロポ
リ酸の塩が記述されているがこれらを用いることができ
る。この際、触媒に対する水またはジオールのモル比が
10以下であるという要件は本発明のポリエーテルグリ
コールを与える反応条件では不要である。なお、アルコ
ール性水酸基の存在下で活性を示す触媒は特にヘテロポ
リ酸に限定されるものではなく、ベンゼンスルホン酸、
トルエンスルホン酸なども用いられる。
【0018】本発明に使用される好ましいポリエーテル
グリコールを与える特殊な反応条件方法においてネオペ
ンチルグリコールの共重合比率を高めることができる理
由は、触媒に対するジオールのモル比が30であっても
重合を進めることができるので多量のネオペンチルグリ
コールを仕込むことができることによる。また、THF
のみが連なるポリマー分子鎖の形成が純ポリ(テトラメ
チレンオキシ)グリコールの解重合条件で重合を進める
ために抑制されている。本発明に使用される好ましいポ
リエーテルグリコールにおいてネオペンチルグリコール
の共重合比率が50モル%以下であるのは、NとNが直
接連結する構造が13C−NMRの解析から無いことが証
明でき、従ってネオペンチルグリコールの共重合比率が
50%を越えることがない。なお、Nが50モル%以上
にするには、出発原料としてネオペンチルグリコールを
環化した3,3−ジメチルオキセタンを用いればよい。
【0019】本発明のポリエーテルグリコールを好まし
く製造する必要要件をまとめると3要件あり、第一にア
ルコール性水酸基の存在下で活性を示す触媒、例えばヘ
テロポリ酸やスルフォン酸などを用いること、第二に共
重合グリコールとして解重合の伝播を阻止するジオー
ル、即ちNPGを使用すること、第三に共重合比率が高
くなる重縮合を主反応とするために、純PTMGの解重
合が進む温度、ポリマー濃度で反応を進めること、以上
である。この重縮合反応を好ましい速度で進めるため、
反応温度は70℃以上、好ましくは75℃以上の条件を
採ることとなる。例えば実施例2にある重合温度88
℃、ポリマー濃度75%という条件はその1例である。
ここでは純テトラメチレングリコールの解重合が激しく
進行する反応条件において、重合反応の促進、充分高い
共重合比率という効果を、より大きく発揮している。但
し反応温度を上げすぎると反応液や触媒の着色が強くな
り好ましくない。例えば燐タングステン酸を触媒として
用いた場合、通常110℃を超えると着色がひどくな
る。
【0020】先に本発明で使用する触媒をあげたがこれ
らのうち、好ましい触媒としては、市販されており、高
温度における安定性が良く、反応活性も高い、燐タング
ステン酸を挙げることができる。そして、燐タングステ
ン酸などのヘテロポリ酸を触媒として使用する場合、反
応が進むに従い反応液は触媒濃度が高い触媒層と、触媒
を1%以下の低濃度に含む液層とに分離し、2層の分散
状態で反応が行われるようになる。反応終了時に撹拌を
止めて静置すれば、重い触媒層は下に、軽い液層は上に
分かれる。上の液層を取り出し、THF、オリゴマー、
溶存触媒を除去して目的であるポリマーを得る。下に残
された触媒層に新しくNPG、THFを供給し、新しい
バッチの反応を開始する。この様にして、触媒を繰り返
し使用しながら本発明を実施することができる。また、
スルフォン酸を触媒として使用する場合、ナフィオンの
ように、反応液に溶解しない触媒が、触媒の分離が簡単
で好ましい。触媒である燐タングステン酸、あるいはス
ルフォン酸の使用量に対しNPGの仕込量は、触媒1当
量に対し2〜10モルのNPGを仕込むのが適当であ
る。NPGの量が少ないと反応終了時に採取すべきポリ
マー量が少なくなるし、NPGの量が多いと重縮合反応
が遅くポリマーの重合度が上昇するのに長時間を要する
ようになる。
【0021】重縮合によって生成する水は、反応系の気
相水分として取り出し、除くことができる。気相の組成
は大部分THFであり、気相水分は0.4〜2.0wt
%含まれているのが通常である。従って、水分を除去す
る際にTHFも共に取り出すことになり新しいTHFを
その分多く補給する必要がある。この様に反応系の気相
を取り出す必要があるため、反応液は沸騰温度である。
沸騰温度、即ち反応温度を所定にコントロールするには
THFの濃度をコントロールするのが容易な方法であ
る。具体的な操作として液温を所定に保つようにTHF
の補給速度をコントロールすることにすれば、気相水分
と共に取り出されたTHF、反応の進行に伴う組成変化
及び重合によるTHFの消費、これら全ての変化に対応
できる基準操作をTHFに関して定め得たことになる。
反応液にあるTHF濃度は、反応圧力と反応温度、即ち
沸騰圧力、温度で変わる。従って、THF濃度は反応温
度を与件として反応圧力によってコントロールできる。
反応液にある水濃度は、反応系の気相の水濃度と動的平
衡にある。従って反応液にある水濃度は、反応系の気相
の水濃度によってコントロールできる。
【0022】本発明に使用されるポリエーテルグリコー
ルの数平均分子量は400〜6000のものが使用され
る。400未満になると重合する最終ポリエーテルエス
テルのハード/ソフト比にもよるが通常は短鎖ポリエス
テル(ハードセグメント)の平均連鎖長が小さくなり、
融点降下が激しくなって耐熱性に劣るため、ポリエーテ
ルエステルブロック共重合体、特にポリエーテルエステ
ルエラストマーとしてそのまま材料に使用する場合には
好ましくない。また、6000を越えると、単位重量当
りのポリエーテルグリコール中の末端基濃度が低くな
り、重合しにくくなるので好ましくない。この重合しや
すさと融点のバランスを考慮すると数平均分子量は80
0〜4000が好ましく、1000〜2500がさらに
好ましい。この数平均分子量はGPC法等の種々の方法
によって測定されるが、本発明では、末端を無水酢酸で
アセチル化させ、未反応の無水酢酸を酢酸に分解後、ア
ルカリで逆滴定(末端基滴定法)することで水酸基価を
求める。
【0023】このポリエーテルエステルブロック共重合
体全体に占める全ポリエーテルグリコールユニット(ソ
フトセグメント)の量は5〜90重量%で、この値はポ
リエーテルエステルブロック共重合体を用いた目的とす
る最終成型品の要求物性による。この場合のポリエーテ
ルグリコールユニットの量とはソフトセグメントの重量
比のことであって仕込のポリエーテルグリコールの全モ
ノマー中に占める重量比のことではない。一般にポリエ
ーテルエステルブロック共重合体のハードセグメントは
短鎖エステルであり、ソフトセグメントは長鎖エステル
からなるが、ポリエーテル部分の末端はジカルボン酸成
分とエステル結合にて連結し、ハードセグメントと連な
っている。ポリエーテル部分の片末端のエステル結合を
構成するユニットも含めたものを便宜上ソフトセグメン
トとした。このハード/ソフトセグメントの比率は1
−NMRにて正確に定量することが可能である。正確な
定義ではないが、ソフトセグメントの比率が35〜90
重量%ではエラストマー、5〜35重量%では軟質樹脂
として使用される。ソフトセグメントの量が5重量%よ
り小さいと軟質性に劣り、エラストマーあるいは軟質樹
脂としての満足のいく物性は期待できない。また、この
量が90重量%を越えると軟質性は相当付与されるが、
同時にハードセグメントの平均連鎖長が短くなり、物理
的架橋点であるハードブロックが外力に対して抵抗でき
ずに機械強度が著しく低下してもはやエラストマー材料
としては用途がなくなってしまう。また融点も相当低下
するため、耐熱性にも劣り、好ましくない。より好まし
いソフトセグメントの量は25〜75重量%である。ポ
リエーテルエステルブロック共重合体がさらに他のポリ
エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂
等の改質剤として使用される場合は50重量%以上のソ
フトセグメント成分が含まれるポリエーテルエステルブ
ロック共重合体(エラストマー)を好適に使用すること
ができる。
【0024】前記(a)〜(c)成分を重合してなるポ
リエーテルエステルブロック共重合体は公知の方法で合
成できる。例えばジカルボン酸の低級アルコールジエス
テル、過剰量の低分子量グリコールおよびポリエーテル
グリコールを触媒の存在下エステル交換反応させ、続い
て得られる反応生成物を減圧下重縮合する方法、あるい
はジカルボン酸とグリコール及びポリエーテルグリコー
ルを触媒の存在下エステル化反応させ、ついで得られる
生成物を減圧下、重縮合する方法、また予め短鎖ポリエ
ステル(例えばポリブチレンテレフタレート)を作って
おき、これに他のジカルボン酸やジオールもしくはポリ
エーテルグリコールを加えたり、もしくは他の共重合ポ
リエステルを添加してエステル交換によりランダム化さ
せる方法など何れの方法をとっても良い。
【0025】エステル交換反応またはエステル化反応と
重縮合反応に共通の触媒としては、通常のものが用いら
れる。例えば、テトラ(イソプロポキシ)チタネート、
テトラ(n−ブトキシ)チタネートに代表されるテトラ
アルキルチタネート、これらテトラアルキルチタネート
とアルキレングリコールとの反応生成物、テトラアルキ
ルチタネートの部分加水分解物、チタニウムヘキサアル
コキサイドの金属塩、チタンのカルボン酸塩、チタニル
化合物等のTi系触媒が好ましい他、モノ−n−ブチル
モノヒドロキシスズオキサイド、モノ−n−ブチルスズ
トリアセテート、モノ−n−ブチルスズモノオクチレー
ト、モノ−n−ブチルスズモノアセテート等のモノアル
キルスズ化合物、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジ−
n−ブチルスズジアセテート、ジフェニルスズオキサイ
ド、ジフェニルスズジアセテート、ジ−n−ブチルスズ
オクチレート等のジアルキル(またはジアリール)スズ
化合物等が挙げられる。この他Mg,Pb,Zr,Zn
等の金属、金属酸化物、金属塩触媒が有用である。これ
らの触媒は単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用
しても良い。特に単独で使用する場合にはテトラアルキ
ルチタネート、または三酸化アンチモンが組合せて使う
場合はテトラアルキルチタネートと酢酸マグネシウムと
の組合せが好適である。
【0026】エステル化あるいは重縮合触媒の添加量は
生成ポリマーに対して0.005〜0.5重量%が好ま
しく、特に0.03〜0.2重量%が好ましい。これら
触媒はエステル交換またはエステル化反応開始時に添加
した後、重縮合反応時に再び添加してもしなくても良
い。また、ジカルボン酸やグリコールの一部としてポリ
カルボン酸や他官能ヒドロキシ化合物、オキシ酸等が共
重合されていても良い。多官能成分は高粘度化成分とし
て有効に作用し、その共重合し得る範囲は3モル%以下
である。かかる他官能成分として用いることができるも
のにはトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ブタンテトラカ
ルボン酸、グリセリン、ペンタエリスリトールおよびそ
れらのエステル、酸無水物等を挙げることができる。
【0027】またさらに必要に応じて本発明に用いられ
るポリエーテルグリコールをそれ以外のポリエーテルグ
リコールで一部置換しても良い。かかる置換に用いられ
るポリエーテルグリコールとしてポリ(エチレンオキ
シ)グリコール、ポリ(プロピレンオキシ)グリコー
ル、ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコール、ポリ−
(1,2−プロピレンオキシ)グリコール、エチレンオ
キシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共
重合体、THFと3−メチルTHFのランダム共重合
体、エチレンオキシドとTHFのブロック又はランダム
共重合体、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンオキ
シ)グリコール、ポリ(プロピレンオキシ)ジイミドジ
酸等が挙げられる。これら置換に用いられるポリエーテ
ルグリコールの好ましい数平均分子量は400〜600
0であり、特に1000〜3000が好適である。
【0028】好ましい置換ポリエーテルグリコールとし
てはポリ(テトラメチレンオキシ)グリコールが挙げら
れる。ポリ(テトラメチレンオキシ)グリコールを置換
に用いた場合、数平均分子量(Mn)が1800を越え
ると分子量分布〔Mv/Mn:Mnは末端水酸基価より
求めた数平均分子量、Mvは式Mv=antilog
(0.493 logη+3.0646)で規定される
粘度平均分子量である。但しηは40℃の温度における
溶融粘度をポアズで示したもの〕によっては結晶化が起
こって低温性能に好ましくない結果を与える場合があ
る。この分子量分布(Mv/Mn)の値が1.6以下と
狭いものを用いるほうが好ましい。さらに好ましくは
1.5以下である。しかし好適には置換のポリエーテル
グリコールは本発明に用いられるポリエーテルグリコー
ルの90重量%以下の範囲で用いられる。この値が90
重量%を越えると本発明に用いられるポリエーテルグリ
コール中のネオペンチルオキシドユニットの含量にもよ
るが一般的に耐水性や低温性能等の物性に満足な結果が
得られない場合があるので用途に応じた選定が必要であ
る。このように重合したポリエーテルエステルエラスト
マーの重合度は一般には相対溶液粘度(ηrel)や固
有粘度(〔η〕)、メルトフローレート(MFR)にて
表現されるが、本発明では、MFRにて表現される。
【0029】本発明ではMFRが0.1〜30g/10
min.(荷重2.16kg、230℃:以下L条件)
という高分子量のポリエーテルエステルブロック共重合
体が得られる。MFRが30以下のポリエーテルエステ
ルエラストマーが物性、特に機械強度・耐屈曲疲労性に
良い影響を与える。MFRが30を越えると分子量が十
分上がっていないため特に機械物性(破断強度、破断伸
び等)や耐屈曲摩耗性、c−set等に劣るため、用途
が制限される。また、MFRが0.1より小さいとこれ
ら物性は良好となるが、溶融粘度が上がりすぎてリアク
ターから払い出しができにくく、現実的ではない。機械
物性とリアクターからの払い出し易さとのバランスを考
慮すれば、より好ましいMFRはL条件で5〜25g/
10min.である。
【0030】酸化防止剤はポリエーテルエステルブロッ
ク共重合体の製造中または製造後の任意の時期に加える
ことができるが、特にポリエーテルグリコールが高温に
曝されると、例えば重縮合反応に入る時点でポリエーテ
ルグリコールの酸化劣化を防止するため、重縮合反応を
阻害せず、また溶媒の機能を損なわない酸化防止剤を加
えることが望ましい。
【0031】これらの酸化防止剤としては燐酸、亜鉛酸
の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや
次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフ
ィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジ
アルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアル
キルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物、
フェノール系誘導体特にヒンダードフェノール化合物、
チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミ
ダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸
エステル等のイオウを含む化合物、スズマレート、ジブ
チルスズモノオキシド等のスズ系化合物を用いられる。
これらは単独で用いても2種以上組み合わせて用いても
構わない。これら安定剤の添加量はポリエーテルエステ
ルエラストマー100重量部に対し、0.01〜2重量
部が望ましい。また必要に応じ、同様な方法で紫外線吸
収剤・光安定剤を加えてもよい。これらの紫外線吸収剤
としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化合
物等が挙げられる。光安定剤としてはヒンダードアミン
化合物のようなラジカル捕捉型光安定剤が好適に用いら
れる。
【0032】最終的には得られたポリエーテルエステル
ブロック共重合体に対し必要に応じて更に酸化防止剤や
カオリン、シリカ、マイカ、二酸化チタン、アルミナ、
炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、
ケイソウ土、アスベスト、硫酸バリウム、硫酸アルミニ
ウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫
化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等
の充填剤や補強材、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸ビ
スアマイドのような滑剤ないしは離型剤、着色のための
カーボンブラック、群青、チタンホワイト、亜鉛華、べ
んがら、紺青、アゾ顔料、ニトロ顔料、レーキ顔料、フ
タロシアニン顔料等の染顔料、オクタブロモジフェニ
ル、テトラブロモビスフェノールポリカーボネート等の
難燃化剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収
剤、発泡剤、エポキシ化合物やイソシアネート化合物等
の増粘剤、カルボジイミド化合物、ポリカルボジイミド
等の末端封止剤、シリコーンオイルやシリコーン樹脂
等、公知の各種添加剤を用いることができる。
【0033】さらに必要に応じて他の樹脂やエラストマ
ーとブレンドも可能である。かかるエラストマーとして
は非ハロゲンジエン系ゴム、非ハロゲンジエン系ゴムの
水添物、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、オレ
フィン系ゴム。ハロゲン系ゴム、シリコーンゴム等が挙
げられる。上記非ハロゲン系ゴムとしては例えば天然ゴ
ム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエン共重合体
ゴム、スチレンブタジエンブロック共重合体ゴム、ポリ
ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合体
ゴム、アクリル酸エステルブタジエン共重合体ゴム等を
挙げることができる。上記非ハロゲンジエン系ゴムの水
添物としては例えば水素化ポリブタジエン、水素化ポリ
イソプレン、水素化スチレンブタジエンブロック共重合
体ゴム、水素化スチレンブタジエンランダム共重合体ゴ
ム、水素化アクリル酸エステルブタジエン共重合体ゴ
ム、水素化アクリルニトリルブタジエン共重合体ゴム等
を挙げることができる。この際、上記の他のエラストマ
ーとポリエーテルエステルブロック共重合体とは単純ブ
レンドするだけではなく、より高い性能を出すために、
動的加硫を施すことが好ましい。
【0034】ポリエーテルエステルブロック共重合体と
上記他のエラストマーとのブレンド物には必要に応じて
可塑剤を添加してもよい。可塑剤の例としてジオクチル
フタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレー
ト、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシル
フタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エス
テル類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフ
ェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘ
キシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェー
ト、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−ジク
ロロプロピルホスフェート等の燐酸エステル類、トリメ
リット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシル
エステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリス
リトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチル
アジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジオ
クチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エ
チルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート
等の脂肪酸エステル類、ピロメリット酸オクチルエステ
ル等のピロメリット酸エステル、エポキシ化大豆油、エ
ポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル
等のエポキシ系可塑剤、アジピン酸エーテルエステル、
ポリエーテル等のポリエーテル系可塑剤等が挙げられ
る。これら可塑剤は単独、あるいは2種以上組み合わせ
て使用することもできる。本発明のポリエーテルエステ
ルブロック共重合体を得る方法を実施するに当っては、
エステル交換反応(またはエステル化反応)と縮合反応
とを同一のリアクターで行っても、また別々のリアクタ
ーで行ってもよい。
【0035】エステル交換反応(またはエステル化反
応)等、常圧で行う反応の生成物は粘度が低いので、通
常の重合に用いられるリアクターでも構わないが、縮合
反応用リアクターまたは同一のリアクターで全ての反応
を行う場合は真空まで減圧可能で300rpm程度の回
転能力を有する側面に沿って逆円錐型リボン翼で構成さ
れる撹拌機を有する構造のリアクターが用いられる。ま
た、その際にはリボン翼式回転翼等の低粘度用高速撹拌
翼を併設させて、エステル交換反応等の低粘度溶液の撹
拌に使い分けても構わない。壁面に沿って逆円錐リボン
翼で構成される撹拌機を有する構造のリアクターとし
て、例えばVCR(Vertical Cone Re
actor)の名称で三菱重工業(株)より市販されて
いるリアクターが挙げられる。このVCRの1例の一部
切欠した斜視図を図5に示す。図5から判るように、該
VCRにおいては、反応器の壁面に沿ってリボン形状翼
2を備えた撹拌器が設置されており、原料は供給口1よ
り導入され、反応液は壁面に沿って下方へ移動すると共
に中央部を下から上方へ移動する。従って壁面での物質
の滞留がなくて熱移動係数が高く、かつ物質移動がスム
ーズであり、その結果、着色の少ない高重合度の生成物
が得られる。このリアクターにはデッドボリュームが殆
どなく、かつリアクター下部の内壁が傾斜しているため
払い出し時に高粘度のポリマーでも滞留物が殆ど残らな
い。
【0036】本発明のポリエーテルエステルブロック共
重合体の製造反応工程としては、先ずエステル交換反応
工程で原料仕込、昇温、撹拌開始、触媒添加、エステル
交換反応の順に行い、ついで触媒、酸化防止剤等を添加
して昇温、減圧下で重縮合反応を行う。本発明のポリエ
ーテルエステルブロック共重合体は必要に応じて、ペレ
ット加工等の後処理がなされる。本発明の反応条件は全
ての工程を側面に沿って逆円錐型リボン翼で構成される
撹拌機を有する構造のリアクターにて行う場合、エステ
ル交換反応工程において、反応温度は150〜300
℃、好ましくは180〜230℃、反応時間は1〜7時
間であり、好ましくは1〜3時間である。撹拌翼の回転
数は50〜300rpm、好ましくは100〜250r
pmである。原材料の仕込量はリアクターの体積にもよ
るが、最終ポリマーの体積が図5の逆円錐部分と同レベ
ル程度になるように選択してから仕込むと効率の良い撹
拌が得られる。その際、リアクターの中は窒素等の不活
性ガスで置換・シールしておく必要がある。更に縮合反
応工程においては反応温度は200〜300℃、好まし
くは230〜270℃で反応時間は1〜6時間で4時間
を越えないようにすることが好ましい。撹拌回転数が速
い方が重合度(撹拌トルクにて検知)の上昇は速いが、
正確に撹拌トルクをモニターすることが困難となるので
撹拌機の回転数は10〜150rpm、好ましくは15
〜50rpmに設定される。重合が進行するにつれ、粘
度が上昇するので順次、撹拌回転数を落していくことが
望ましい。
【0037】反応温度は高すぎると生成物の熱劣化を招
く恐れがあり、又逆に低すぎると重縮合反応が充分に進
行せず、目的とするポリエーテルエステルブロック共重
合体が得られない。反応時間についても、同様に長すぎ
ると生成物の熱劣化を招き、短すぎると重縮合が充分に
進まない。撹拌翼の回転数は反応物の粘度及び量を考慮
して撹拌効率を設定したもので15rpm以下では撹拌
効率が低下して得られるポリエーテルエステルブロック
共重合体の物性が低下し、逆に150rpm以上では負
荷がかかりすぎ、実用性に乏しくなる。重縮合反応は5
torr以下、好ましくは1torr以下で行う必要が
ある。側面に沿って逆円錐型リボン翼で構成される撹拌
機を有する構造のリアクターにて得られた該ポリエーテ
ルエステルブロック共重合体の分子量を必要に応じて更
にアップさせたい場合には更に連続的に脱気押出しでき
る装置を該逆円錐型リボン翼式リアクターの下部に設置
し、組み合わせて使用することも可能である。このよう
な装置は脱気室が上下に併設された一対のシャフトの最
外縁に実質的に沿った長い双胴型ケースから構成され、
かつ各シャフトに互いに対向する側面を摺動可能な咬合
させた多数対の凸レンズ型撹拌体を配設した構造のもの
が好適に用いられる。
【0038】このような構造のものとしては、例えばK
RC−VP(Vertical Polymeriza
tion)の名称で栗本鉄工所(株)より市販されてい
る。図6(A)及び(B)にそれぞれ該KRC−VPの
1例の一部切欠した横断面図及び縦断面図を示す。この
工程においては反応温度は200〜300℃、好ましく
は230〜270℃であり、真空度は10torr以
下、好ましくは5torr以下、さらに好ましくは1t
orr以下である。滞留時間は1分〜2時間、好ましく
は10分〜1時間である。このような横型の押出機タイ
プのリアクターの代わりにあるいはこれに連続して通常
知られている固相重合装置を組み合わせても構わない。
【0039】このようにして本発明では芳香族ジカルボ
ン酸及びそのエステル形成性誘導体であるジカルボン酸
成分と、脂肪族ジオール及びそのエステル形成性誘導体
である短鎖ジオール成分とポリ(テトラメチレンオキ
シ)グリコールに比べて反応性の乏しい、NとTよりな
り、両末端がアルコール性水酸基であるポリエーテルで
あって、Nの含率が5〜100モル%で数平均分子量が
400〜6000であるポリエーテルグリコールとを共
重合してなり、MFR(L条件)が0.1〜30g/1
0min.である高分子量のポリエーテルエステルブロ
ック共重合体を比較的短時間の反応で効率よく得ること
ができるので熱による着色、異臭等の劣化も起こらず品
質の極めて良好なポリエーテルエステルブロック共重合
体を効率よく製造することが可能となった。
【0040】側面に沿って逆円錐型リボン翼で構成され
る撹拌機を有する構造のリアクターの抜き出し弁3(図
5)には紡口を設けたダイを取り付けることでストラン
ドを引くことができる。通常は不活性ガスにて加圧抜出
が可能であるが必要に応じて抜き出しの際にはギアポン
プを経由しても良く、吐出弁と抜き出しスクリューとを
一体化した抜き出し装置を設け、該抜き出し装置を所定
の速さに制御する可変速モーターを具備した装置を取り
付けても良い。これら抜出装置は加熱しておく必要があ
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明に使用されるポリエーテルエス
テルブロック共重合体の製造例、比較参考例及び実施
例、比較例において測定した評価項目について以下に説
明する。メルトフローレート(MFR)はポリエーテル
エステルブロック共重合体のペレット約5gを真空乾燥
器にて70℃で約12時間乾燥させ、直ちに、荷重2.
16kg、測定装置230℃のL条件にて測定した。融
点はSEIKO電子工業社製示差熱量計(DSC−20
0)を用い、ポリエーテルエステルブロック共重合体約
10mgを用い、昇温速度10℃/min、窒素雰囲気
下(10cc/min)にての、吸熱ピークのトップの
温度とした。破断強度(Tb)及び破断伸び(E1)は
JIS K6301に従って、長さ20mm×幅3mm
×厚み2mmの射出成形試験片を用い、25℃でヘッド
スピード20mm/minにて、測定した。
【0042】熱重量分析はSEIKO電子工業社製示差
熱重量分析計(DTA/TG−100)を用い、ポリエ
ーテルエステルブロック共重合体約10mgを、昇温速
度10℃/min、窒素雰囲気下(10cc/min)
にて室温から600℃まで熱重量変化を測定した。色は
目視した。臭気はテトラヒドロフラン臭の有無の確認を
した。硬度はショアD硬度で測定した。残留歪は長さ2
0mm×幅3mm×厚み2mmの試験片を用い、ヘッド
スピード20mm/min.で−25℃にて300%ま
で伸長し、同温度で応力が0になるまで緩和し、その時
の残留伸度を測定して計算した。捻り弾性率はClas
h Berg試験機を用い、−50〜10℃まで測定し
た。−50℃における弾性率を示す。耐屈曲疲労性は長
さ150mm×幅25mm×厚み5mmの試験片を用
い、常温・50%歪で5回/秒の速さにて10万回屈曲
させ、2mm穴の広がりを測定した。得られたポリエー
テルエステルブロック共重合体のキャラクタリゼーショ
ン及びハード/ソフト含率は1Hまたは13C−NMRに
て行った。溶媒は重クロロホルム/トリフルオロ酢酸
(TFA)=2/1(体積比)混合溶媒を用いた。測定
条件を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】(製造例1)分留塔、コンデンサー、還流
バルブ等一式よりなる分留装置とアンカー羽根を有する
電磁撹拌機とTHF供給口を備えたステンレス板の蓋
と、熱媒の循環するジャケット付きの200リットルス
テンレス釜が組合わさる反応器に18kgのネオペンチ
ルグリコールと15kgのTHFを仕込み、撹拌し均一
に溶解してからも撹拌しつつ15kgの燐タングステン
酸6水和物を仕込む。循環する熱媒の温度を95℃一定
とし、反応液の温度が85℃に達した時を反応開始時間
とし、以降THFを供給により反応液の温度を85℃に
コントロールする。反応開始20分後、分留登頂温度を
約63℃に設定し、含水THFを留出し始める。このま
ま10時間反応を続け、反応の途中から触媒層が分離し
始め、触媒層は液滴の分散状態に変化し粘度が増してい
く。反応終了時、撹拌を止め、15分経過後、上の液層
47.7kgを取り出す。約301の触媒層が残る。取
り出しに液層47.7kgを分析した結果、ポリマー7
0wt%、触媒を灰分として0.3wt%含んでいた。
ポリマー、即ちネオペンチルグリコール共重合のポリ
(テトラメチレンオキシ)グリコールの水酸基価を定量
し、これより数平均分子量を求めると1873であり、
1H−NMRより求めたNの共重合比率は38%であっ
た。
【0045】(製造例2)製造例1に記述した反応器
に、6.75kgのネオペンチルグリコールと19.5
kgのTHFを仕込み、撹拌し均一に溶解してからも撹
拌しつつ45kgの燐タングステン酸6水和物を仕込
む。循環する熱媒の温度を80℃一定とし、反応液の温
度が71℃に達した時を反応開始時間とし、以降THF
の供給により反応液の温度を71℃にコントロールす
る。
【0046】反応時間40分後、分留塔下部温度を約6
9.5℃に設定し、含水THFを留出し始める。この分
留塔下部の含水THFは0.8%前後の水を含んでい
た。かくして24時間反応を続行する。反応の途中から
触媒層が分離し始め、液滴の分散状態に変化し、粘度が
増していく。反応終了時に撹拌を止め、20分経過後、
上の液層83.3kgを取り出す。約301の触媒層が
残る。取り出した液層83.3kgを分析した結果、ポ
リマーを45wt%、触媒を灰分として0.4wt%含
んでいた。ポリマー即ちネオペンチルグリコール共重合
のポリ(テトラメチレンオキシ)グリコールの水酸基価
を定量し、これより数平均分子量を求めると1733で
あり、1H−NMRよりNの共重合比率は11モル%で
あった。実施例の前に本発明に使用するポリエーテルグ
リコールが通常ポリエステルエラストマーに使用される
ほぼ同一分子量のポリエーテルグリコールと較べて重縮
合しにくいことを以下の比較参考例において示す。
【0047】(比較参考例)アンカー翼型電磁誘導撹拌
機を備えた11のステンレス製オートクレーブにジメチ
ルテレフタレート(和光純薬試薬1級)133gと1,
4−ブタンジオール(和光純薬試薬1級)148g、ポ
リ(テトラメチレンオキシ)グリコール(旭化成製Mn
=1855)112g、イルガノックス1010(チバ
ガイギー社製)1.0g、触媒としてテトライソプロポ
キシチタネート0.1gを仕込み、撹拌回転数100r
pmにおいて3時間200〜230℃でエステル交換反
応を行った後、更に触媒を0.1g加え、250℃に昇
温後、0.5mmHgの真空下において3時間縮合反応
を行った。MFRは10であった。1H−NMRから求
めたソフト量は42.5wt%であった。次に同じリア
クターで製造例2で得られたポリエーテルグリコール
(Mn=1873、ネオペンチレンオキシユニット含量
38mol%)113gをポリ(テトラメチレンオキ
シ)グリコールの代わりに用いた以外は全く同様な手法
でポリエーテルエステルブロック共重合体を得た。MF
Rを測定すると42であった。1H−NMRから求めた
ソフト量は43.0wt%であった。
【0048】また、図7には3時間後サンプリングのポ
リエーテルエステルブロック共重合体の窒素気流中で測
定した熱重量変化(DTA/TG)を示す。これより比
較参考例で重合した両ポリエステルエラストマーの熱安
定性は全く変わらないことが判った。以上の結果から通
常のリアクターにおいて同一条件下でポリエーテルエス
テルブロック共重合体の重合を行うと本発明に用いられ
るポリエーテルグリコールは通常の一般的なポリエーテ
ルグリコール〔例えばポリ(テトラメチレンオキシ)グ
リコール〕よりも反応性が悪いことが分かる。
【0049】
【実施例】15リットルの三菱重工業(株)製VCRに
ジメチルテレフタレート〔三菱化成(株)製、以下同
じ〕2470g、1,4−ブタンジオール(和光純薬製
試薬特急、以下同じ)718g、製造例1で調製したポ
リエーテルグリコール2200g、イルガノックス10
10(チバガイギー製)15gを仕込み、窒素置換後、
窒素雰囲気下で200℃まで昇温した。次いでテトライ
ソプロポキシチタネート(東京化成製試薬1級、以下同
じ)を1.5g添加した。同温度で30分間ホールドさ
せた後に230℃に昇温させ、撹拌回転数150rpm
にて2時間エステル交換反応を行った。留出してきたメ
タノール量は理論量の95%であった。ついで温度を2
50℃にて、50rpmの撹拌回転数にて30分かけて
0.5mmHgまで減圧し、その後約3時間、トルク上
昇が起こらなくなるまで縮合反応を行った。リアクター
下部より抜き出しを行ったところ透明な粘稠重合体が得
られた。ペレットとして得られたポリエーテルエステル
ブロック共重合体のMFRは15であり、1H−NMR
から求めたソフト量は43.4wt%であった。得られ
たブロック共重合体は融点(この場合207℃)よりも
30℃高い温度で射出成形し、各種物性試験に供した。
測定した諸物性を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】実施例2 実施例1で仕込のジメチルテレフタレートを1370
g、1,4−ブタンジオールを951g、製造例1で得
られたポリエーテルグリコールを3450g用いた以外
は同様に行った。トルク上昇が起こらなくなるまで要し
た縮合反応時間は約4時間であった。得られたブロック
共重合体のMFRは15であり、1H−NMRから求め
たソフト量は71.1wt%であった。測定結果を表2
に示す。
【0052】実施例3 ポリエーテルグリコールを製造例2で得られたものを用
いた以外は実施例1と同様に行った。トルク上昇が起こ
らなくなるまで要した縮合反応時間は約2時間30分で
あった。得られたブロック共重合体のMFRは15であ
り、1H−NMRから求めたソフト量は42.5wt%
であった。測定結果を表2に示す。また、このブロック
共重合体の1H及び13C−NMRスペクトルをそれぞれ
図1及び図2に示す。各シグナルの帰属を以下に示す。
【0053】
【化3】
【0054】
【化4】
【0055】実施例4 仕込のジメチルテレフタレートを2072g、1,4−
ブタンジオールを1442g、ポリエーテルグリコール
を2650gにした以外は実施例3と同様に行った。得
られたブロック共重合体のMFRは18であり、1H−
NMRから求めたソフト量は53.1wt%であった。
トルク上昇が起こらなくなるまで要した縮合反応時間は
約3時間であった。測定結果を表2に示す。 実施例5 仕込のジメチルテレフタレートを1521g、1,4−
ブタンジオールを1059g、ポリエーテルグリコール
を3201gにした以外は実施例3と同様に行った。ト
ルク上昇が起こらなくなるまで要した縮合反応時間は3
時間15分であった。得られたブロック共重合体のMF
Rは12.5であり、1H−NMRから求めたソフト量
は62.5wt%であった。測定結果を表2に示す。ま
たこのブロック共重合体の1H及び13C−NMRスペク
トルをそれぞれ図3及び図4に示す。各シグナルの帰属
は実施例3の場合と同じである。
【0056】比較例1 錨翼型撹拌機を備えた通常の円柱状の15リットルのス
テンレス製のリアクターに実施例3と全く同様な仕込組
成でエステル交換反応まで行った。留出してきたメタノ
ール量は理論量の95%であった。ついで温度を250
℃にし、50rpmの撹拌回転数にて30分かけて0.
5mmHgまで減圧し、その後約5時間、トルク上昇が
起こらなくなるまで縮合反応を行った。リアクター下部
より抜き出しを行ったところ透明な粘稠重合体が得られ
た。トルク上昇が起こらなくなるまで要した縮合反応時
間は6時間15分であった。得られたブロック共重合体
のMFRは32であり、1H−NMRから求めたソフト
量は43.2wt%であった。測定結果を表2に示す。
【0057】比較例2 ヘリカルリボン翼型撹拌機を備えた通常の円柱状の70
リットルのステンレス製のリアクターにジメチテレフタ
レート13.3kg、1,4−ブタンジオールを12.
4kg、製造例1で調製したポリエーテルグリコール1
1.2kg、イルガノックス1010を0.1kgを仕
込み、窒素置換後、窒素雰囲気下で200℃まで昇温し
た。次いでテトライソプロポキシチタネートを10g添
加した。同温度で30分間ホールドさせた後に230℃
に昇温させ、撹拌回転数50rpmにて3時間エステル
交換反応を行った。留出してきたメタノール量は理論量
の98%であった。次いで温度を250℃とし、40r
pmの撹拌回転数にて1時間かけて0.5mmHgまで
減圧し、その後撹拌回転数を15rpmに落して約6時
間縮合反応を行った。リアクター下部より抜き出しを行
ったところ透明な粘稠重合体が得られた。ペレットとし
て得られたブロック共重合体のMFRは38であり、1
H−NMRから求めたソフト量は43.9wt%であっ
た。測定結果を表1に示す。
【0058】比較例3 比較例2のリアクターにジメチルテレフタレート(三菱
化成製、以下同じ)1.53kg、1,4−ブタンジオ
ール(和光純薬製試験特級、以下同じ)8.02kg、
製造例2で調製したポリエーテルグリコール10.27
kg、イルガノックス1010(チバガイギー製)15
gを仕込んだ以外は比較例2と同様に行った。次いで温
度を250℃にし、50rpmの撹拌回転数にて30分
かけて0.5mmHgまで減圧し、その後約10時間、
トルク上昇が起こらなくなるまで縮合反応を行った。リ
アクター下部より抜き出しを行ったところ透明な粘稠重
合体が得られた、ペレットとして得られたブロック共重
合体のMFRは100以上あり、1H−NMRから求め
たソフト量は71.5wt%であった。物性の測定結果
を表2に示す。
【0059】比較例4 ポリエーテルグリコールをポリ(テトラメチレンオキ
シ)グリコール(旭化成製Mn=1855)にし、その
量を3250gとした以外は実施例5と同様にして行っ
た。トルク上昇が起こらなくなるまでに要した縮合反応
時間は3時間であった。得られたブロック共重合体のM
FRは2.5であり、1H−NMRから求めたソフト量
は65.2wt%であった。物性の測定結果を表2に示
す。
【0060】
【発明の効果】本発明のポリエーテルエステルブロック
共重合体は、従来のこの種のポリエーテルエステルブロ
ック共重合体に比べ低温で硬化しないので室温における
同一硬度で比較した場合、低温特性、弾性回復性等の優
れたゴム状弾性体となる。しかもソフトセグメントに3
級炭素を有さないので耐候性にも優れる。また、本発明
の装置を用いることによって比較的短時間で品質が良く
(色調・臭気)、かつ高分子量のブロック共重合体が重
合でき、さらに払い出しも容易となった。従って従来品
のポリエーテルエステルブロック共重合体に比べ、前記
物性が格段に優れ、かつ低温特性、耐屈曲疲労性、品質
(色・臭気)の優れた共重合体が効率よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で得られたブロック共重合体の1H−
NMRスペクトル図である。
【図2】実施例3で得られたブロック共重合体の13C−
NMRスペクトル図である。
【図3】実施例5で得られたブロック共重合体の1H−
NMRスペクトル図である。
【図4】実施例5で得られたブロック共重合体の13C−
NMRスペクトル図である。
【図5】本発明に使用されるVCRの一部切欠した斜視
図である。
【図6】(A)本発明に使用されるVCRに接続可能な
KRC−VPの横断面図である。 (B)図6(A)の縦断面図である。
【図7】比較参考例での示差熱重量分析計(DTA/T
G)である。図中の実線1は本発明で製造したもの、一
点鎖線2が通常のポリ(テトラメチレンオキシ)グリコ
ールをソフトセグメントとするポリエステルエラストマ
ーのものである。
【符号の説明】
1 原料投入口であり通常はボールバルブがつながって
いる 2 VCRの撹拌翼(ダブルヘリカルリボン翼)である 3 ポリマー払い出し口である 4 双胴型ケース 5 ポリマー投入口 6 真空計に連結された留出口 7 ポリマー吐出口 8,8’ 凸レンズ型撹拌体 9,9’ シャフト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−32775(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08G 65/00 - 65/48

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジ
    カルボン酸及びそのエステル形成性誘導体であるジカル
    ボン酸成分と、 (b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及びそのエス
    テル形成性誘導体である短鎖ジオール成分と、 (c)長鎖ジオール成分が下記に示すネオペンチレンオ
    キシド構造単位(以下Nと略す)(化1)とテトラメチ
    レンオキシド構造単位(以下Tと略す)(化2)よりな
    り、Nの比率が5〜100モル%であるポリエーテルで
    あって、両末端がアルコール性水酸基であり、数平均分
    子量が400〜6000であるポリエーテルグリコール
    とを共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重
    合体であって、前記ポリエーテルグリコール単位が5〜
    90重量%共重合され、230℃、2.16kg荷重に
    おけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜30g
    /10min.であることを特徴とするポリエーテルエ
    ステルブロック共重合体。 【化1】
  2. 【請求項2】 (c)の長鎖ジオール成分中のNが長鎖
    ジオールの末端でない場合は、Nを挾んで隣接する構造
    単位がTであり、Nが末端にある場合には、水酸基が結
    合していて、その水酸基の反対側でNに隣接する構造単
    位がTである構造を有し、かつNが5〜50モル%のポ
    リエーテルグリコールであることを特徴とする請求項1
    記載のポリエーテルエステルブロック共重合体。
  3. 【請求項3】 前記(a),(b),(c)の各成分を
    側面に沿って逆円錐型リボン翼で構成された撹拌機を有
    する構造のリアクターを用いて重合させることを特徴と
    する請求項1記載のポリエーテルエステルブロック共重
    合体の製造方法。
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