JPH0721442B2 - 電子顕微鏡検体調整法及び電子顕微鏡検体調整器具 - Google Patents

電子顕微鏡検体調整法及び電子顕微鏡検体調整器具

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JPH0721442B2
JPH0721442B2 JP1074245A JP7424589A JPH0721442B2 JP H0721442 B2 JPH0721442 B2 JP H0721442B2 JP 1074245 A JP1074245 A JP 1074245A JP 7424589 A JP7424589 A JP 7424589A JP H0721442 B2 JPH0721442 B2 JP H0721442B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抗原抗体反応を利用した、ウイルス学や免疫
学並びに細胞工学等のバイオテクノロジーの技法に関す
るものである。
〔従来技術と発明が解決しようとする課題〕
近年、後天性免疫不全症候群、成人T細胞白血病、非A
非Bウイルス性肝炎等の輸血による感染が問題とされお
り、これら感染症の早期診断法が世界的規模で開発され
ている。従来、感染症の診断は、主に抗体検査によって
行われていた。その理由は感染直後ではウイルス粒子の
数がきわめて少なく、この少ないウイルスを直接検出で
きる方法が無かったからである。
例えば、ウイルスを直接検出する方法として、従来より
血球凝集法等が知られている。しかしながら、この方法
では検出感度が不足するため、ウイルスを培養して1千
万個以上に増殖する必要があった。
またウイルスの存在確認のための形態観察が、電子顕微
鏡を用いて行われている。この観察によればウイルス群
を判定することができる。新しいウイルスを発見した場
合も最終的には電子顕微鏡下でのウイルスの確認が不可
欠である。しかしながら、ウイルスは大きさが20〜200n
m程度であるため、超高倍率でなければ観察できない。
このため電子顕微鏡で観察する領域は、μm台の極めて
狭い範囲となり、ウイルスが高濃度に存在していなけれ
ば観察は困難を極めることとなる。このような理由か
ら、従来は1ml当たりウイルス粒子が一億ないし十億個
無ければ電子顕微鏡観察は事実上不可能であった。
従ってウイルスを直接検出には、まずウイルスを培養す
る技術を確立しなければならなかった。しかしウイルス
培養に際しては、ウイルス毎に宿主が異なるため培養に
適した感受性細胞を見つける必要があった。しかもその
感受性細胞の検索に当たっては、動物の細胞を使って人
に感染するウイルスを培養することは出来ないため、困
難を極めている。このような事情のため、人に感染する
ウイルス学の研究は動物の場合に比べると非常に遅れて
いる。例えば、ウイルス性肝炎は感染力が強いため、現
在、医療従事者が患者から感染する事故が多発し、社会
問題となっている。しかし、非A非Bのウイルス性肝炎
については、以前から予想されているにも関わらず、ウ
イルスの存在が確認されていないため、的確な治療法が
無い状態である。
また癌は最初1つの細胞が癌化し、長い年月を経て発症
にいたる。現在の診断法は内視鏡、CT、病理検査等ほと
んどが医師の目で行われている。そのため、癌と診断さ
れた時点では、目で診断できない癌が方々に転移してい
て手術しても再発することが多い。転移の無い時期に細
胞レベルで診断できれば再発はなくなり、手術無しに免
疫療法だけで癌を治癒させることも可能になるので、現
在、腫瘍マーカ等の癌免疫診断法が研究開発されている
が、実用されているものは少ない。
このような問題に対処するため本発明者らは、ウイルス
抗原や細胞を極めて高い感度で検出できるレーザ磁気免
疫測定法等の研究を行い、その成果を先に特願昭61−22
4567,61−252427,61−254164,61−22063,62−152791,62
−152792,62−184902,62−264319,62−267481,63−6050
として特許出願している。これらの新しい免疫測定法は
抗原抗体反応の有無の検出にレーザ光を利用し、標識材
料として磁性微粒子を用いる点に特徴があり、ピコグラ
ムの超微量検出が出来る。
ところがウイルスなどの検体を直接電子顕微鏡で観察す
る技術については、検体を濃縮・精製する方法の技術革
新が今日までなく、従来の遠心沈降法に頼らざるを得な
いのが現状である。そのため、検体調整に多くの労力が
かかり、極めて効率が悪かった。そこで本発明者らは、
磁性微粒子をウイルス、癌細胞あるいはリンパ球などの
検体に標識することによってウイルスや細胞を捕捉・分
離する方法を研究し、その成果を先に特願昭63−10291
6,63−102919として特許出願している。これらの方法に
よれば効率的にウイルスや細胞を捕集したり分離するこ
とが出来る。
また細胞融合技術によって得たハイブリドーマ細胞のス
クリーニングの際に、磁性微粒子を目的のモノクローナ
ル抗体を生産するハイブリドーマに標識し、これを外部
磁力によって選択的に回収する新しいスクリーニング方
法についても特許出願中である。
しかしながら捕集した検体を電子顕微鏡でより効率よく
観察するためには、一層の技術革新が望まれていた。そ
こで本発明者らは、1ml中100個程度の希薄なインフルエ
ンザウイルスを電子顕微鏡観察する方法を確立し、先に
特願昭63−272106「電子顕微鏡検体調整法及び電子顕微
鏡検体調整器具」として特許出願している。この特許
は、磁気標識したウイルスを傾斜磁界中で濃縮し、一旦
毛細管中に回収した後、磁界を作用させながら電子顕微
鏡観察用メッシュ表面上に誘導・固着する方法で、従来
法に比べて10万倍程度検出感度を向上できる。しかしな
がら、この方法では検体調整が少し煩雑である不満があ
った。
また本発明に関連した特許として、最近、本発明者らは
「磁性微粒子を免疫反応の標識に用いる検体調整法及び
調整器具」に関する特許発明を出願中である。この特許
は、希薄なウイルスの電子顕微鏡観察のための検体調整
にも極めて有効な方法であって、ウイルスの精製・回収
機構を具備しているから、電子顕微鏡による観察を妨害
する各種タンパク質等の混雑物を効率的に除去すること
が出来る。しかしながらこの調整法でも、回収したウイ
ルス等の検体を例えば上述の特願昭63−272106で提案し
た器具を用いて電子顕微鏡観察用メッシュ表面上に誘導
・固着する必要があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、検出感
度が高く、検出調整がより簡単な電子顕微鏡検体調整法
及び電子顕微鏡検体調整器具を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の電子顕微鏡検体調整法では、検体に磁気標識す
る第1の工程と、前記第1工程で磁気標識された検体を
含む検体浮遊液に傾斜磁界を作用させて検体を局部濃縮
する第2の工程とを少なくとも含む電子顕微鏡検体調整
法において、前記第2の工程で検体を液面またはその近
傍に濃縮し、この局部濃縮点に電子顕微鏡観察用メッシ
ュ(以下、メッシュと略称する)を挿入して、検体をメ
ッシュ上に回収することによって前記目的を達成した。
本発明の第1工程は、例えば、抗原抗体反応で磁性体標
識抗体を検体に結合することによって行うことができ
る。磁性体標識抗体に用いる磁性体粒子としては、マグ
ネタイトのような鉄系酸化物、遷移金属あるいは希土類
元素からなる強磁性体が好ましく用いられる。
また本発明の調整法において、前記メッシュの裏面側か
らメッシュの位置で磁界が最も強くなるような傾斜磁界
を検体浮遊液に作用させることにより、磁気標識された
検体をメッシュに誘導し固着することが望ましい。
検体をメッシュ上に回収する際には、検体浮遊液の収容
された容器の方を動かしても良いが、メッシュ側を動か
しても良い。このようにしてメッシュ上に磁気吸引によ
って直接固着された検体を更に精製する必要がある場合
は、磁界を作用させた状態で、洗浄液を注入した容器に
メッシュを浸した後引き上げるといった操作を繰り返す
と良い。洗浄操作をこのように行えば、磁気標識された
検体をメッシュに固着したままで、磁気吸引されない不
純物を除去することが出来る。
このように濃縮・精製された検体は、必要に応じて電子
顕微鏡観察が容易なように染色される。この染色操作
は、検体が固着されたメッシュに磁界を作用させた状態
で、該メッシュをリンタングステン酸等の染色液が注入
された容器に一定時間浸し、引き上げことにより行うこ
とが望ましい。
このようにして検体調整を完了したメッシュは、電子顕
微鏡観察に供される。
前述の電子顕微鏡検体調整法を実施するには、傾斜磁界
を発生させる傾斜磁界発生機構と、メッシュを前記傾斜
磁界が集中する位置に保持する電子顕微鏡観察用メッシ
ュ保持部品(以下メッシュ保持部品と略称する)と、該
メッシュ保持部品を容器水面に誘導する機構とを少なく
とも具備する電子顕微鏡検体調整器具を用いると良い。
この調整器具を構成する傾斜磁界発生装置としては、例
えば、先に本発明者らが提案した特願昭63−272106に記
載した装置、すなわち、検体容器が電磁石の上方に置か
れ、検体容器の水面の真上にメッシュの直径程度の先端
径をもつ鉛筆状の磁極片が電磁石と対向して鉛直状に配
置された装置を利用できる。電磁石から放射された磁束
は鉛筆状磁極片に集中するから、該磁極片直下で磁界が
最も高くなる。
前記メッシュ保持部品としては、非磁性体からなり前記
鉛筆状磁極片の先端に装着されるように構成されたメッ
シュ搭載台などが好適に用いられる。このメッシュ搭載
台にメッシュを搭載する方法としては、パラフィルム等
の両面粘着性フィルムを搭載台に貼付し、この粘着性フ
ィルムにメッシュを貼着する方法などがある。
〔作用〕
本発明の電子顕微鏡検体調整法によれば、磁気標識され
た検体の浮遊液に傾斜磁界が印加されると、磁気標識さ
れた検体のみが磁界の最大点に誘導されて集まる。
検体浮遊液中には目的物体よりも目的物体以外に異物と
しての生物体が非常に多く含まれているのが生物体は外
部磁力には反応しないから、磁気標識された検体のみが
局部濃縮点に誘導される。
この局部濃縮点は、検体浮遊液の液面またはその近傍に
設定されているので、異物や沈澱した細胞の混入を避け
ることができ、目的物体以外の異物混入をより減少させ
ることができる。この結果、検体は精製されたのと同一
状態となる。
このように磁気標識された検体が局部濃縮された箇所に
電子顕微鏡観察用メッシュを挿入すると、メッシュ表面
に磁気標識された検体が付着するので、精製された検体
が多量にメッシュ上に回収固定される。
このように回収された磁気標識検体の磁性微粒子は生物
体よりも密度が高いから、電子顕微鏡視野では黒色に見
え、その存在を極めて容易に確認できる。
加えて本発明の電子顕微鏡検体調整法では、傾斜磁界を
作用させて磁気標識された検体を局部濃縮した所にメッ
シュを挿入して検体をメッシュ上に回収するので、この
回収操作に連続して検体をさらに精製したり染色する場
合、これらの操作をメッシュに傾斜磁界を印加した状態
で行うことが容易にできる。このように検体を回収した
メッシュに傾斜磁界を印加しておくと、回収された検体
が精製時あるいは染色時に失われるのを防止でき、検出
感度をより一層向上できる。
すなわち従来はホルムバール等の支持膜が張られた銅メ
ッシュ上に検体濃縮液を滴下して余剰分を濾紙で吸い取
ってメッシュに検体を付着し、ついでメッシュに染色液
を滴下して検体を染色し、その後再び染色液を濾紙で吸
い取り自然乾燥して電子顕微鏡観察に供するのが一般で
あった。このため濾紙により検体の大部分が吸い取られ
てしまっていた。(前述のように、ウイルス粒子を観察
するために必要な実用上のウイルス濃度1ml当たり1億
個以上であることの理由の1つは、上記操作でごく一部
の検体しかメッシュ上に留まらないことにもある。) 本発明の調整法に従えば、上述の検体回収後もメッシュ
に磁界を作用させて検体がメッシュ上に磁気吸引された
状態にしておくことが容易であるから、この状態で精製
・染色操作を行い、余分な洗浄液や染色液を除去する際
の検体の損失を防止することができる。このような精製
・染色操作を採用すると、検出感度をさらに向上でき、
例えばウイルス粒子観察の場合1ml当たり数十個程度の
希薄な検体でも検出可能となる。
〔実施例〕
以下に図面を参照して本発明をより具体的に詳述する
が、以下に示すものは本発明の一実施例に過ぎず、本発
明の範囲を何等制限するものではない。
(実施例1) 第1図は本発明に従う電子顕微鏡検体調整法の一実施例
を示す工程図である。この検体調整法は、検体を磁気標
識する第1工程1、磁気標識された該検体をメッシュ上
に傾斜磁界中で誘導・固着する第2工程2、傾斜磁界中
でネガティブ染色する第3工程3からなる方法である。
本実施例に用いた検体は、A型インフルエンザウイルス
(A/石川/7/82(H3N2))であって、1ml当たり百万個の
ウイルスが存在することが血球凝集反応、及び血球計算
板から確かめられている。
本実施例の第1工程を説明する。検体を磁気標識する第
1工程1では、まず前記ウイルスに対するウサギ高度免
疫血清を精製して得られたIgG抗体をデキストランでコ
ートした平均粒径10nmのマグネタイトからなる磁性微粒
子に共有結合して、磁性体標識抗体を得た。次に該磁性
体標識抗体10μlと献体1mlとを35℃、2.5時間のインキ
ュベートの条件下で反応させて検体を磁気標識した 次に第2工程2を説明する。第2工程2は3つのサブ工
程2a,2b,2cからなっている。第1のサブ工程2aは傾斜磁
界中で検体を局部濃縮する工程、第2のサブ工程2bは局
部濃縮点にメッシュを接触する工程、第3のサブ工程2c
は磁界を作用させた状態でメッシュを液面から離脱する
工程である。
第2図はこの第2工程2で用いられた電子顕微鏡検体調
整器具の構成を示す概略図であって、図中符号26は電磁
石、10は容器、11は容器支持台、12は容器案内面であ
る。容器10は容器支持台11に設けられた容器案内面12に
セットされ、高さ調節ステージ16に取り付けられてい
る。容器支持台11は高さ調節ステージ16によって、任意
の高さに調節可能である。
また第2図中符号13は磁極片25を保持する継鉄A、14は
継鉄Bである。継鉄A13は継鉄クランプねじ15によって
継鉄Bと連結されており、任意の方向に固定できるよう
になっている。第3図に示すように、磁極片25の先端は
磁界が過度に集中しないように切断されており、その先
端面の直径は2mmである。電磁石26からでた磁束は、容
器10を貫通した後、磁極片25で集束され、継鉄A13と継
鉄B14を通って再び電磁石26に戻るように磁気回路が形
成される。この実施例1で用いた調整器具では、電磁石
26と磁極片25の距離が11mmのとき、電磁石26に1Aの電流
を流すと磁極片25直下0.5mmの位置での磁界が8kGであっ
た。
第3図はメッシュ搭載台の部分を示す概略図であって、
磁極片25の先端部には、メッシュ搭載台23が取り付けら
れている。メッシュ搭載台23はプラスチック製であって
止めネジ24によって磁極片25にクランプされている。こ
のメッシュ搭載台23には、直径約3mmの銅製メッシュ21
が粘着フィルム(パラフィルム)22によって粘着されて
いる。磁極片25の先端面とメッシュ21の距離はできる限
り接近していることが強い磁界を発生させるのに有利で
あるから、本実施例ではその距離を1mmに設定した。
さて、このメッシュ搭載台23にメッシュ21を粘着させた
後、メッシュ搭載台23を磁極片25に取り付けてから第2
工程2が開始される。上述した第1のサブ工程2aは、次
の通り行われた。まずPBS−Tweenからなる洗浄液を予め
容器10に1ml入れておき、ここに前記第1工程1で磁気
標識された検体を含む液25μlを注入して検体浮遊液と
した。そして次に電磁石26に電流を流して傾斜磁界を発
生させ、磁極片25の真下の液面に磁気標識された検体を
局部濃縮した。第2のサブ工程2bでは、高さ調節ステー
ジ16を操作して容器10を上方に移動させることにより前
記メッシュ21を液面に接触させた。この操作によって磁
気標識された検体は該メッシュ21の背面の磁極片25に磁
気吸引され、メッシュ21上に自然に誘導・固着される。
次に、第3のサブ工程2cでは、電磁石26を励磁したまま
で、前記高さ調節ステージ16を下げることによりメッシ
ュ搭載台23を液面から離脱させた。以上の操作によって
磁気標識された検体がメッシュ21上に回収される。
第3工程3は、次の3つのサブ工程3a,3b,3cからなる工
程ある。この第3工程3を開始するに際しては、まずpH
7の1%リンタングステン酸からなるネガティブ染色液
を前記容器10の別のウエルに入れて、容器案内面12に沿
って、該染色液を前記メッシュ搭載台23の真下の位置に
移動した。ついで第1のサブ工程3aでは、電磁石26を励
磁したままで、高さ調節ステージ16によって容器10を上
方に移動させ前記メッシュ21を液面に接触させた。つい
で一定時間後、本実施例1では30秒後に、前記高さ調節
ステージ16を下げメッシュ搭載台23を液面から離脱させ
る第2のサブ工程3bを行った。この後第3のサブ工程3c
で余分の該染色液を吸い取り自然乾燥して、検体の染色
を完了した。
以上説明した電子顕微鏡検体調整法を上述のインフルエ
ンザウイルスに適用して検出限界を調べた。インフルエ
ンザウイルスをPBS溶液で10倍段階希釈をしていき、ウ
イルスの電子顕微鏡観察限界を調べたところ、ウイルス
濃度千個/ml程度でも倍率5万倍の電子顕微鏡視野で非
常に簡単にウイルスの検索ができた。
比較のために磁気標識しない従来の方法で電子顕微鏡観
察したところ、希釈されていないものでもウイルス粒子
の存在を確認できなかった。
なお、上記の説明では検体容器10を上下方向に移動する
方法を説明したが、メッシュ搭載台23を取り付けた磁極
片25を上下方向に移動しても同様の結果が得られる。
(実施例2) 実施例1で説明した検体を磁気標識する第1工程の前
に、ウイルスを凝集させる工程を実施した。即ち、実施
例1で用いた検体1mlに、同じく実施例1で用いたIgG抗
体を20μl加え、35℃,2.5時間、引続き4℃一晩のイン
キュベーションによって、該ウイルス同士を凝集させ
た。この工程の後、実施例1とほぼ同じ工程の検体調整
を行った。実施例1と異なるところは、検体を磁気標識
する磁性体標識抗体として、デキストランコート磁性微
粒子にプロテインAを結合させたものを用いた点のみで
ある。プロテインAはIgG抗体のみに結合するから、前
記IgG抗体によって凝集した該ウイルスが磁気標識され
ることになる。このように、予めウイルス同士を凝集さ
せる前処理を施すことによって電子顕微鏡の観察がいっ
そう容易になり、ウイルス濃度100個/ml程度でも簡単に
検索できた。
本実施例2のように予め検体を凝集させ電子顕微鏡の観
察を容易にする方法は、従来から免疫電子顕微鏡調整法
として公知であるが、検体を磁気標識する方法は本発明
が初めてであり、従来の免疫電子顕微鏡調整法よりも検
出感度が5桁以上改善された。
なお前記実施例では本発明をウイルスの電子顕微鏡観察
に適用した例を示したが、本発明は癌細胞、リンパ球等
の各種細胞の観察にも適用できることは勿論である。
また本発明は、メッシュ上に検体をネガティブ染色する
方法のみならず、検体を樹脂に埋め込み薄切片を透過電
子顕微鏡で観察する方法にも適用できる。すなわち従来
薄切片を作成する場合、検体を遠心沈降する操作を繰り
返しながら、検体を固定、脱水、埋め込みの過程を進め
る方法が取られていたが、本発明の検体調整法を適用す
れば、遠心沈降する代わりに、傾斜磁界中で検体を局所
に誘導、保持できるから、検体の固定、アルコールによ
る脱水が容易に行え、また埋め込みの際にも検体を局所
に集中できるから、ミクロトームで切断するのが容易に
なる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明の電子顕微鏡検体調整法で
は、傾斜磁界を印加して検体浮遊液の液面またはその近
傍に検体を濃縮し、この局部濃縮点にメッシュを挿入し
て検体を回収するので、異物が非常に多く目的物質であ
る検体が微量しか含まれていないような検体浮遊液から
も、精製されたのと同一の状態の検体をメッシュに効率
良く回収できる。従って本発明の電子顕微鏡検体調整法
によれば、電子顕微鏡による検出感度を飛躍的に向上で
きる。しかも本発明の調整法は、操作が極めて簡略なの
で、一連の検体調整工程のより一層の効率化を実現でき
る。
またメッシュの裏面側からメッシュの位置で磁界が最も
強くなるような傾斜磁界を検体浮遊液に作用させて、磁
気標識された検体をメッシュに誘導し固着すると、調整
操作を円滑に行うことができる。
そして傾斜磁界を発生させる傾斜磁界発生機構と、メッ
シュを傾斜磁界が集中する位置に保持するメッシュ保持
部品と、該メッシュ保持部品を容器水面に誘導する機構
とを少なくとも具備する電子顕微鏡検体調整器具を用い
ることによって、本発明の検体調整法を効率良く行うこ
とができる。
以上説明したように本発明によれば、培養不能な未知の
ウイルスを微量でも直接検出することが可能になり、ウ
イルス学に貢献するところ大である。例えば、非A非B
型肝炎ウイルスの発見に寄与できる。また癌細胞等の細
胞レベルの早期診断にも有効であり、癌から遊離して血
液等の体液中に転移しつつある極微量の癌細胞の観察が
可能となる。このように、ウイルスや癌細胞、さらには
エイズやEBウイルスに感染したリンパ球やモノクローナ
ル抗体を産出するハイブリドーマ等の各種細胞の観察な
どを行う、医学・医療の分野、分子生物学等の理学分
野、細胞工学・遺伝子工学等のバイオテクノロジー分野
等で本発明が果たす効果は計り知れない。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1の電子顕微鏡検体調整法の工程図、第
2図は実施例1で用いた電子顕微鏡検体調整器具の構成
を示す概略図、第3図は同電子顕微鏡検体調整器具のメ
ッシュ搭載台の部分を示す概略図である。 10……容器、11……容器支持台、12……容器案内面、13
……継鉄A、14……継鉄B、15……継鉄クランプねじ、
16……高さ調節ステージ、17……台。21……メッシュ
(電子顕微鏡観察用メッシュ)、22……粘着フィルム、
23……メッシュ搭載台、24……止めネジ、25……磁極
片、26……電磁石。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】検体に磁気標識する第1の工程と、前記第
    1工程で磁気標識された検体を含む検体浮遊液に傾斜磁
    界を作用させて検体を局部濃縮する第2の工程とを少な
    くとも含む電子顕微鏡検体調整法において、 前記第2の工程で検体を液面または液面近傍に濃縮し、
    この局部濃縮点に電子顕微鏡観察用メッシュを挿入し
    て、検体を電子顕微鏡観察用メッシュ上に回収すること
    を特徴とする電子顕微鏡検体調整法。
  2. 【請求項2】電子顕微鏡観察用メッシュの裏面側から該
    電子顕微鏡観察用メッシュの位置で磁界が最も強くなる
    ような傾斜磁界を検体浮遊液に作用させて、磁気標識さ
    れた検体を電子顕微鏡観察用メッシュに誘導し固着する
    ことを特徴とする請求項1記載の電子顕微鏡検体調整
    法。
  3. 【請求項3】傾斜磁界を発生させる傾斜磁界発生機構
    と、電子顕微鏡観察用メッシュを傾斜磁界が集中する位
    置に保持する電子顕微鏡観察用メッシュ保持部品と、該
    電子顕微鏡観察用メッシュ保持部品を容器水面に誘導す
    る機構とを少なくとも具備する電子顕微鏡検体調整器
    具。
JP1074245A 1988-04-26 1989-03-27 電子顕微鏡検体調整法及び電子顕微鏡検体調整器具 Expired - Fee Related JPH0721442B2 (ja)

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