JPH07211987A - 半導体発光素子の量子井戸構造 - Google Patents

半導体発光素子の量子井戸構造

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JPH07211987A
JPH07211987A JP665694A JP665694A JPH07211987A JP H07211987 A JPH07211987 A JP H07211987A JP 665694 A JP665694 A JP 665694A JP 665694 A JP665694 A JP 665694A JP H07211987 A JPH07211987 A JP H07211987A
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quantum well
well layer
width
light emitting
semiconductor light
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JP665694A
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Yasuhiro Matsui
康浩 松井
Hideaki Horikawa
英明 堀川
Keisuke Shinozaki
啓助 篠崎
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 量子井戸層の幅を広げた場合でもバンド混合
効果を抑制することにより価電子帯頂上の有効質量を低
減できる半導体発光素子の量子井戸構造の提供。 【構成】 障壁層10に挟まれた第1量子井戸層12中
に、この第1量子井戸層12のポテンシャルよりも低い
ポテンシャルを有する第2量子井戸層14を介在させて
いる。そして、第2量子井戸層14の幅を2〜3nmと
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体発光素子にお
ける量子井戸構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の量子井戸構造を有する半導体発光
素子において、量子井戸層の価電子帯頂上の有効質量が
小さい程フェルミレベルの上昇が早くなり、その結果、
半導体発光素子の特性が向上することが知られている。
価電子帯頂上の有効質量は、通常、価電子帯の基底準位
の重い正孔の有効質量に相当する。
【0003】ところで、重い正孔の基底準位に他のエネ
ルギー準位が接近すると、バンド混合効果が生じて価電
子帯頂上の有効質量が増大してしまう。バンド混合効果
は、軽い正孔の基底準位と重い正孔の基底準位とのエネ
ルギー差が小さくなる場合、または、重い正孔の基底準
位と重い正孔の高次準位とのエネルギー差が小さくなる
場合に生じる。
【0004】そこで、軽い正孔の基底準位と重い正孔の
基底準位とのエネルギーの差を増大させて、これら両基
底準位のバンド混合効果を抑制する手法として、量子井
戸層に圧縮歪みを印加する手法が知られている。
【0005】また、重い正孔の基底準位と重い正孔の高
次準位とのエネルギー差を増大させて、これら基底・高
次両準位のバンド混合効果を抑制する手法として、量子
井戸層の幅および深さを制御する手法が知られている。
この手法によれば、量子井戸層の幅を狭くすることによ
り、バンド混合効果を抑制することができる。
【0006】従って、量子井戸層の幅を狭くした場合に
は、軽い正孔と重い正孔の基底準位のバンド混合効果お
よび重い正孔の基底・高次準位のバンド混合効果の両方
を抑制することができる。このため、価電子帯頂上の有
効質量を低減することができるので、半導体発光素子の
特性を向上させることができる。
【0007】尚、エネルギーバンドの計算については、
例えば、文献1「IEEE.J.Q.E.vol.QE
−16.(1980)pp.170−186」に量子井
戸構造の光学特性の理論計算、文献2:「Appl.P
hys.Lett.60(15),13 April
1992.pp.1842−1844」に歪み量子井戸
構造の場合の理論計算、また、文献3:「Phys.R
ev.B,Vol.43,Num.17,1991.p
p.14 099−14 106」にk−p摂動法を用
いた量子井戸構造の場合の価電子帯電子のバンド構造計
算の手法がそれぞれ記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
量子井戸構造においては、量子井戸層へのキャリアの注
入効率を向上させるため、あるいは所望の発振波長を得
るために、量子井戸層の幅を広げることが必要な場合が
ある。従来の技術では、量子井戸層の幅を広げた場合、
重い正孔の基底準位と高次準位とのエネルギー差を増大
させることができない。このため、量子井戸層の幅を広
げた場合には、バンド混合効果を抑制することができ
ず、その結果、半導体発光素子の特性が劣化するという
問題点があった。
【0009】従って、量子井戸層の幅を広げた場合で
も、バンド混合効果を抑制することにより価電子帯頂上
の有効質量を低減できる、半導体発光素子の量子井戸構
造の実現が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明の半導体発光素
子の量子井戸構造によれば、障壁層に挟まれた第1量子
井戸層中に、この第1量子井戸層のポテンシャルよりも
低いポテンシャルを有する第2量子井戸層を介在させて
いる。そして、この第2量子井戸層の幅さが、2〜3n
mであることを特徴とする。
【0011】また、好ましくは、第1および第2量子井
戸層を合わせた幅LZ に対して、第2量子井戸層の幅d
Lが、下記の(1)式を満足する値の上下15%の範囲
であることが望ましい。
【0012】 dL=1.0+0.2LZ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0013】
【作用】この発明の半導体発光素子の量子井戸構造によ
れば、第1量子井戸層と、この第1量子井戸層よりも深
いポテンシャルの第2量子井戸とからなる2段階の階段
型のポテンシャルを有する量子井戸構造を具えている。
そして、第2量子井戸の幅dLを2〜3nmの範囲とす
ることによって、実施例の欄で図4を参照して後述する
ように、軽い正孔の基底準位と重い正孔の基底準位のエ
ネルギー差を増大させるだけでなく、重い正孔の基底準
位と高次準位とのエネルギー差も同時に増大させること
ができる。このため、バンド混合効果を抑制することに
より、価電子帯頂上の有効質量を低減することができ
る。その結果、フェルミレベルの上昇速度が速くなるた
めに、半導体発光素子の特性を向上させることができ、
例えば、発振閾値の低減および微分利得の増大を図るこ
とができる。
【0014】また、実施例の欄で図5を参照して後述す
るように、第1量子井戸層の幅LZに対して、第2量子
井戸層の幅dLが下記の(1)式を満たす場合に、基底
準位と高次準位とのエネルギー差をほぼ極大にすること
ができる。さらに、この極大となるdLの値の前後15
%の場合も極大値と同様にこのエネルギー差を増大させ
ることができる。
【0015】 dL=1.0+0.2LZ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の半導体発
光素子の量子井戸構造の一例について説明する。尚、図
面はこの発明が理解できる程度に各構成成分の大きさ、
形状および配置関係を概略的に示しているにすぎない。
従って、この発明は図示例にのみ限定されるものではな
いことは明らかである。
【0017】図1は、半導体発光素子の量子井戸構造の
実施例の説明図であり、図1の右側部分に半導体発光素
子の量子井戸構造を示し、その左側部分にその量子井戸
構造のポテンシャルを示している。
【0018】この発明の半導体発光素子の量子井戸構造
では、障壁層10に挟まれた第1量子井戸層12中に、
この第1量子井戸層12のポテンシャルよりも低いポテ
ンシャルを有する第2量子井戸層14を介在させてい
る。そして、第2量子井戸層14の幅を2〜3nmとし
ている。この実施例では、基板16としてInP(00
1)基板を用い、また、障壁層10には、バンドギャッ
プ波長1.3μmのInGaAsPを用い、第1量子井
戸層12には、In組成X=0.53のInGaAsを
用いている。また、第2量子井戸層14には、In組成
X=0.75のInGaAsを用いている。
【0019】図1中、第1および第2量子井戸層の合計
の幅(以下、全井戸幅とも称する)をLZ で示し、第2
量子井戸層の幅をdLで示す。この実施例では全井戸幅
Zを6nmに設定する。この場合の発振波長は1.5
5μm付近となる。
【0020】また、図1において、第1量子井戸層のポ
テンシャルの深さを表すパラメータとして、障壁層のバ
ンドギャップエネルギーと、第1量子井戸層のバンドギ
ャップエネルギーとの差をV1として示している。ま
た、第2量子井戸層のポテンシャルの深さを表すパラメ
ータとして、第1量子井戸層のバンドギャップエネルギ
ーと、第2量子井戸層のバンドギャップエネルギーとの
差をV2として示している。この実施例では、V1=1
30meV、V2=80meVとした。尚、V1および
V2の値を変えて計算した場合も、重い正孔の基底・高
次準位間のエネルギー差、および、軽い正孔および重い
正孔の基底準位間のエネルギー差は大きく変動すること
はなかった。
【0021】また、この実施例では、量子井戸構造を形
成するにあたり、有機金属気相成長法を用いた。成長の
条件は、成長温度を650℃とし、V族元素/III族
元素比を50〜200の間の値とした。また、インジウ
ム(In)の原料としてトリメチルインジウム(TM
I)を用い、ガリウム(Ga)の原料としてトリエチル
ガリウム(TEG)を用い、リン(P)の原料としてホ
スフィン(PH3 )を用い、砒素(As)の原料として
アルシン(AsH3 )を用いた。また、各原料の混合比
は形成する層毎に所望の値に調整する。
【0022】ところで、第2量子井戸層(X=0.7
5、InGaAs)は、InP基板に対して約1.5%
の格子定数差がある。このため、欠陥なく結晶成長でき
る最大膜厚(臨界膜厚)が存在する。図2に、この格子
定数差と臨界膜厚との関係を文献「ジャーナル・オブ・
クリスタル・グロース(J.Cryst.Growth)Vol.2
7,p.118(1975)」に開示されたMatth
ews等による方法で計算した結果を示す。図2のグラ
フの横軸は格子定数差(%)を示し、縦軸は臨界膜厚
(Å)を示している。また、グラフ中の曲線Iは、各格
子定数差のときの臨界膜厚を示している。図2のグラフ
から、この実施例のように格子定数差が1.5%の場合
は、臨界膜厚が100Åであることが分かる。従って、
この実施例においては、第2量子井戸層の幅dLは、こ
の臨界膜厚よりも薄くする必要がある。
【0023】尚、全井戸幅LZ も、従来同様に量子効果
が出現する程度の薄さに制限する必要がある。
【0024】次に、第2量子井戸層の幅と、基底準位お
よび2次準位の重い正孔のバンドギャップエネルギー
差、重いおよび軽い正孔のバンドギャップエネルギー差
との関係について説明する。尚、この実施例の量子井戸
構造のバンドギャップエネルギーの計算にあたっては、
図1の左側部分に示す座標軸を設定し、下記の(2)式
に示すシュレーディンガー方程式を用いた。
【0025】 −{(h/2π)2 /(2me )}(∂φ/∂Z2 )+V(Z) φ=Eφ (2) 但し、hはプランク定数、me は有効質量、V(Z) はポ
テンシャル形状、φは波動導関数、Eはエネルギー固有
値をそれぞれ表している。また、計算にあたっては、軽
い正孔に対してme =0.06m(mは真空中の電子の
質量)、重い正孔に対してme =0.40mをそれぞれ
代入した。
【0026】先ず、図3に、第2量子井戸層の幅dLに
対する重い正孔のバンドギャップエネルギーの計算結果
を示す。図3のグラフの横軸は、第2量子井戸層の幅d
Lを示し、縦軸は、重い正孔のバンドギャップエネルギ
ー(meV)を示している。グラフ中の曲線IIは、基
底準位の重い正孔のバンドギャップエネルギーを示し、
曲線IIIは、2次の準位の重い正孔のバンドギャップ
エネルギーを示し、曲線IVは、3次の準位の重い正孔
のバンドギャップエネルギーを示している。
【0027】ここで、曲線IIと曲線IIIのバンドギ
ャップエネルギーの差に注目して、第2量子井戸層の幅
dLに対する、基底準位の重い正孔のバンドギャップエ
ネルギー(Ehh1)と2次の準位と重い正孔のバンド
ギャップエネルギー(Ehh2)との差を図4に示す。
また、重い正孔の基底準位のバンドギャップエネルギー
(Ehh1)と軽い正孔のバンドギャップエネルギー
(Elh1)との差も図4に示す。
【0028】図4のグラフの横軸は、第2量子井戸層の
幅dLを示し、左側の縦軸は基底および第2の準位の重
い正孔のバンドギャップエネルギー差を示している。ま
た、右側の縦軸は軽いおよび重い正孔の基底準位のバン
ドギャップエネルギー差を表している。グラフ中の曲線
Vは、dLに対するEhh2とEhh1との差を表し、
破線VIは、dLに対するEhh1とElh1との差を
表している。曲線Vおよび破線VIより、dLが2〜3
nmの範囲で、Ehh2−Ehh1およびEhh1−E
lh1が同時に極大となることが分かる。例えば、Eh
h2−Ehh1のエネルギーの差が、従来型の量子井戸
構造では極大で45meV程度であったのに対し、曲線
Vでは、エネルギーの差を極大で85meV程度まで増
大できることが分かる。
【0029】さらに、破線VIよりも曲線Vの方が極大
のカーブが急であるため、エネルギー差が大きくなるd
Lの範囲が小さい。そこで、次にEhh1とEhh2と
の差についてより詳しく計算した結果を図5に示す。
【0030】図5の横軸は、第2量子井戸層の幅dLを
表し、縦軸は、基底および第2準位の重い正孔のバンド
ギャップエネルギー差(Ehh2−Ehh1)を表して
いる。グラフ中の曲線VII、VIII、IX、Xおよ
びXIは、それぞれ全井戸幅LZ を4、5、6、8、1
2nmとした場合の、dLに対するEhh2−Ehh1
を示している。図5のグラフの各曲線から、dLが2〜
3nmの範囲で、エネルギー差がいずれもほぼ極大とな
っていることが分かる。
【0031】さらに、各曲線を詳しく検討するため、各
Z における、エネルギー差が極大となるdLの値をと
ると、下記の表1のようになる。
【0032】
【表1】
【0033】上記の表1から、エネルギー差が極大とな
るdLとLZ との間には、ほぼ下記の(1)式に示す関
係があることが分かる。
【0034】 dL=1.0+0.2LZ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) また、グラフの各曲線から、dLの値が、エネルギー差
が極大となるdL値の±15%の範囲内ならば、エネル
ギー差がほぼ極大と同等の大きさであることが分かる。
【0035】次に、価電子帯頂上の有効質量(基底準位
の重い正孔の有効質量に相当する)と、基底準位および
2次準位の重い正孔のバンドギャップエネルギー差との
関係について、図6および図7を参照して、説明する。
図6および図7では、従来の1層の量子井戸層のバンド
ギャップエネルギーを、前述の文献3に開示の方法で計
算している。また、量子井戸層をIn組成X=0.90
のInGaAsとすることで、2%程度の圧縮歪みを量
子井戸層に印加している。このため、ここでは、軽い正
孔の基底準位と重い正孔の基底準位とのバンドの混合効
果は無視することができる。
【0036】また、図6には、量子井戸層の幅を4.5
nmに狭めてバンド混合効果を抑制した場合の計算結
果、図7には、量子井戸層の幅を10nmに広げてバン
ド混合効果が生じた場合の計算結果をそれぞれ示す。
【0037】図6および図7いずれもグラフの横軸はバ
ンドギャップエネルギー(meV)を示し、左側の縦軸
は量子井戸面内の電子の波数(1/Å)で表してる。ま
た、右側の縦軸は、基底準位の重い正孔の有効質量(電
子の質量me に対する相対値)を表している。尚、グラ
フの上半分は左側の縦軸に対応し、下半分は右側の縦軸
に対応している。
【0038】また、図6のグラフ中の曲線1aは、重い
正孔の基底準位のバンド構造図を示し、曲線1bは、基
底準位の重い正孔の有効質量を示している。また、図6
のグラフ中の曲線2aは、重い正孔の2次準位のバンド
構造図を示し、グラフ中の曲線2bは、2次準位の重い
正孔の有効質量を示している。
【0039】ここで、重い正孔の基底準位と2次準位の
バンドギャップエネルギー差は、それぞれ曲線1aおよ
び曲線2aの先端のγ1a点およびγ2a点のエネルギ
ー差で示される。図6では、γ1a点の値が約82me
V、γ2a点の値が約58meVであるから、エネルギ
ーの差は僅か24meVとなる。また、このエネルギー
差の場合の基底準位の重い正孔の有効質量は、曲線1b
の先端のMb点では約0.05(相対値)の大きさとな
る。そして、曲線1bは、エネルギーが小さくなると急
激に有効質量が増大し、エネルギーが0meV程度で有
効質量は0.20に達している。また、通常の半導体中
の電子の質量に近い0.07を目安とすると、曲線1b
では、エネルギーが50meV程度で有効質量が0.0
7に達している。
【0040】一方、図7のグラフ中の曲線1cは、重い
正孔の基底準位のバンド構造図を示し、曲線1dは、重
い正孔の基底準位の有効質量を示している。また、図7
のグラフ中の曲線2cは、重い正孔の2次準位のバンド
構造を示し、グラフ中の曲線2dは、2次準位の重い正
孔の有効質量を示している。
【0041】ここで、重い正孔の基底準位と2次準位の
バンドギャップエネルギー差は、それぞれ曲線1cおよ
び曲線2cの先端のγ1c点およびγ2c点のエネルギ
ー差で示される。図6では、γ1c点の値が約58me
V、γ2c点の値が約−46meVであるから、エネル
ギーの差は104meVとなる。
【0042】また、このエネルギー差の場合の基底準位
の重い正孔の有効質量は、曲線1dの先端のMd点では
約0.03(相対値)となっている。そして、曲線1d
は、エネルギーが0meV程度迄は有効質量の増大は僅
かであり、その後有効質量が増大して−60meV程度
で0.20に達している。また、曲線1dでは、−25
meV程度で漸く有効質量が0.07に達している。
【0043】従って、図6および図7に示した計算結果
から、重い正孔の基底準位と2次準位のエネルギー差を
大きくした場合は、バンド混合効果が抑制されて基底準
位の重い正孔の有効質量が小さくなることが確かめられ
た。基底準位の重い正孔の有効質量が小さくなると、従
来周知のように、フェルミレベルの上昇が迅速となって
半導体発光素子の特性が向上する。その結果、例えば、
発振閾値電流の低減およ微分利得の増大を図ることがで
きる。さらに、微分利得の増大の結果として、高速変調
特性の改善やスペクトルの線幅増大係数の低減が期待で
き、また、発光効率、出力特性および波長チャーピング
といった特性を向上させることが期待できる。
【0044】上述した実施例では、この発明を特定の材
料を使用し、また、特定の条件で構成した場合について
説明したが、この発明は多くの変更および変形を行うこ
とができる。例えば、上述した実施例では、第1量子井
戸層の中央に第2量子井戸層を介在させ、第2量子井戸
層の両側の第1量子井戸層部分の幅を互いに等しくする
ことによりポテンシャルの形状を対称としたが、この発
明では、ポテンシャルの形状を非対称としても良い。
【0045】また、上述した実施例では、2段階の階段
型ポテンシャルの例について説明したが、例えば、3段
階以上の段数の階段型ポテンシャルを有する量子井戸構
造とすることも考えられる。3段階以上とした場合も、
2段階の場合と同様に半導体素子の特性を向上させるこ
とが期待できる。尚、ポテンシャルの形状を3段階とし
た場合、3段目の量子井戸層として、例えば膜厚1nm
以下のInAs層を設けると良い。
【0046】
【発明の効果】この発明の半導体発光素子の量子井戸構
造によれば、第1量子井戸層と、この第1量子井戸層よ
りも深いポテンシャルの第2量子井戸とからなる2段階
の階段型のポテンシャルを有する量子井戸構造を具えて
いる。そして、第2量子井戸の幅dLを2〜3nmの範
囲とすることによって、軽い正孔の基底準位と重い正孔
の基底準位のエネルギー差を増大させるだけでなく、重
い正孔の基底準位と高次準位とのエネルギー差も同時に
増大させることができる。このため、バンド混合効果を
抑制することにより、価電子帯頂上の有効質量を低減す
ることができる。その結果、フェルミレベルの上昇速度
が速くなるために、半導体発光素子の特性を向上させる
ことができ、例えば、発振閾値の低減および微分利得の
増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の説明に供する図である。
【図2】格子定数差と臨界膜厚との関係を計算した結果
を示すグラフである。
【図3】第2量子井戸層の幅dLに対する重い正孔のバ
ンドギャップエネルギーの計算結果を示すグラフであ
る。
【図4】第2量子井戸層の幅dLに対する、基底準位の
重い正孔のバンドギャップエネルギー(Ehh1)と2
次の準位と重い正孔のバンドギャップエネルギー(Eh
h2)との差を示すグラフである。
【図5】全井戸幅を変えたときの、第2量子井戸層の幅
dLに対する、基底準位の重い正孔のバンドギャップエ
ネルギー(Ehh1)と2次の準位と重い正孔のバンド
ギャップエネルギー(Ehh2)との差を示すグラフで
ある。
【図6】バンド混合効果が生じた場合の価電子帯頂上の
有効質量と、基底準位および2次準位の重い正孔のバン
ドギャップエネルギー差との関係を示すグラフである。
【図7】バンド混合効果が抑制された場合の価電子帯頂
上の有効質量と、基底準位および2次準位の重い正孔の
バンドギャップエネルギー差との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10:障壁層 12:第1量子井戸層 14:第2量子井戸層 16:基板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 障壁層に挟まれた第1量子井戸層中に、
    該第1量子井戸層のポテンシャルよりも低いポテンシャ
    ルを有する第2量子井戸層を介在させてなる半導体発光
    素子であって、 該第2量子井戸層の幅さが、2〜3nmであることを特
    徴とする半導体発光素子の量子井戸構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体発光素子におい
    て、 前記第1および第2量子井戸層を合わせた幅LZ に対し
    て、前記第2量子井戸層の幅dLが、下記の(1)式を
    満足する値の上下15%の範囲であることを特徴とする
    半導体発光素子の量子井戸構造。 dL=1.0+0.2LZ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
JP665694A 1994-01-25 1994-01-25 半導体発光素子の量子井戸構造 Withdrawn JPH07211987A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014038912A (ja) * 2012-08-13 2014-02-27 Toshiba Corp 半導体発光素子

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