JPH07207447A - 積層体の製造方法 - Google Patents

積層体の製造方法

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JPH07207447A
JPH07207447A JP571894A JP571894A JPH07207447A JP H07207447 A JPH07207447 A JP H07207447A JP 571894 A JP571894 A JP 571894A JP 571894 A JP571894 A JP 571894A JP H07207447 A JPH07207447 A JP H07207447A
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JP
Japan
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composite film
film
fluorine
gas
composite
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Application number
JP571894A
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English (en)
Inventor
Makoto Kitamura
真 北村
Tomoshige Tsutao
友重 蔦尾
Takeshi Uehara
剛 上原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた撥水性と耐擦傷性を有する撥水性ハード
コート被膜を製造する方法を提供する。 【構成】金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜をスパッタ
リング法により基材上に設けた後、該複合膜の表面を、
0.1〜10Torrの圧力下で放電により発生するフ
ッ素系ガスのプラズマを接触させてフッ素化処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性及び耐擦傷性に
優れると共に、透明性にも優れた積層体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックやガラス等の基材上に、撥
水性の高い被膜を形成する方法としては、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン樹脂(以下PTFEという)を
はじめとする含フッ素系樹脂をターゲット材として真空
蒸着やスパッタリングを行う方法が開示されている(特
開昭56−98475号公報、特開昭56−98469
号公報)。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン
樹脂等のフッ素系樹脂は撥水性に優れる反面、耐擦傷性
に問題があるため、耐擦傷性(ハードコート)の被膜と
して使用することは困難であった。
【0003】この問題点を解決するために、フッ素系樹
脂と金属酸化物の複合膜をプラスチック基材上に設ける
方法が開示されている(特開平3−153859号公
報)。この方法は、SiO2 ターゲットをPTFEで部
分的に被覆した複合ターゲットを用い、高周波出力50
Wで10分間、高周波スパッタリングを行うことによ
り、膜厚500ÅのSiO2 −PTFE系の複合膜をプ
ラスチック基材上に形成する方法である。
【0004】しかしながら、上記SiO2 −PTFE系
の複合膜は耐擦傷性が向上する反面、撥水性の低下が著
しく、優れた撥水性と耐擦傷性を同時に付与することは
困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた撥水性
と耐擦傷性を有すると共に、透明性に優れた積層体の製
造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の積層体の製造方
法は、金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜をスパッタリ
ング法により基材上に設けた後、該複合膜に、0.1〜
10Torrの圧力下で放電によって発生するフッ素系
ガスのプラズマを接触させて、その表面をフッ素化す
る。
【0007】上記金属酸化物としては、例えば、SiO
2 、SiO、Al2 3 、ZrO2、Y2 3 、Mg
O、ZnO、SnO2 、In2 3 、WO3 、Ti
2 、CaO等が挙げられ、これらは単独で使用されて
もよく、2種以上が併用されてもよい。上記金属酸化物
の中で、特にSiO2 、Al2 3 、ZrO2 がより好
ましい。
【0008】上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン(以下PTFEという)、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体(以下FEPという)、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポ
リビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体等が挙げられるが、特にPTFE、F
EPが好ましい。
【0009】上記基材としては、ガラス、プラスチッ
ク、金属、セラミックス等が挙げられるが、特に、透明
性等に優れたガラス、プラスチック(ハードコート処理
された)が好ましい。
【0010】上記フッ素系ガスとしては、例えば、フッ
素ガス(F2 );CF4 、C2 4、C2 6 、C3
4 、C3 6 、C3 8 、C4 6 、C4 8 、C4
10、C5 12、C6 14、C7 16、C8 18、C9
20、C1022等のフッ化炭素ガスが挙げられる。
【0011】これらのフッ素系ガスの中で、特に、炭素
含有量(C)に対するフッ素含有量(F)の比(F/
C)の大きいもの、例えば、CF4 、C2 6 等がより
好ましい。また、排ガスの後処理や取扱いの容易さの点
から、フッ素ガスよりもフッ化炭素ガスが好ましい。
【0012】上記金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜を
基材上へ設ける方法としては、スパッタリング法が用い
られる。上記スパッタリング法により複合膜を形成する
方法としては、フッ素系樹脂のターゲットと金属酸化
物のターゲットを各々独立した投入電力で同時にスパッ
タリングを行う多元同時スパッタリング法;金属酸化
物をフッ素系樹脂で部分的に被覆した複合ターゲットを
用いてスパッタリングを行う方法などが挙げられる。複
合ターゲットを用いる方法では、フッ素系樹脂のスパッ
タリングが選択的に起こって複合膜の組成制御が難しく
なるので、多元同時スパッタリング法を用いるのがより
好ましい。
【0013】上記複合膜をフッ素化する方法としては、
減圧下で、放電によって発生するフッ素系ガスのプラズ
マを、基材上に形成された上記複合膜表面に接触させて
フッ素化する方法が挙げられる。
【0014】上記フッ素化する際に用いられるフッ素系
ガスとしては、上記フッ素系ガス又はフッ化炭素ガスが
単独で用いられてもよく、キャリヤーガスとフッ素系ガ
スの混合ガスが用いられてもよい。
【0015】上記フッ素系ガスのプラズマを発生させる
方法としては、放電によってプラズマを発生する方法で
あれば特に限定されず、例えば、直流グロー放電、
高周波放電、マイクロ波放電、電子サイクロトロン
共鳴放電(ECR放電)等が挙げられる。
【0016】上記フッ素化する際の放電電力は、小さく
なると複合膜表面のフッ素化が不十分となって撥水性の
向上効果が小さくなり、大きくなるとプラズマガスによ
る複合膜のエッチングが支配的に起こって、得られる複
合膜の撥水性及び耐擦傷性が低下するので、10〜30
0Wが好ましい。
【0017】上記フッ素化する際のガス圧力は0.1〜
10Torrに限定される。ガス圧力が、低くなるとフ
ッ素系ガスによる複合膜のエッチング反応が支配的に起
こって、得られる複合膜の撥水性及び耐擦傷性が低下
し、特に金属酸化物としてSiO2 を用いた場合はこの
傾向が著しくなり、ガス圧力が高くなるとプラズマを安
定して発生させることができず、さらに残留ガスによる
影響も大きくなって、十分な成膜を行うことができなく
なるからである。
【0018】上記フッ素化する際のフッ素系ガスの流量
としては、フッ素系ガスのみを用いる場合は、後述する
プラズマ処理装置の処理室のガス圧が0.1〜10To
rrの圧力になるような流量であれば特に限定されな
い。また、フッ素系ガスとキャリヤーガスの混合ガスを
用いる場合は、フッ素系ガスとキャリヤーガスの流量比
(フッ素系ガス/キャリヤーガス)が1/5未満では十
分な撥水性が得られないので、1/5以上であることが
好ましい。
【0019】上記複合膜を、上記放電電力、ガス圧力及
びガス流量条件により発生させたフッ素系ガスのプラズ
マガスで数秒間〜数分間処理することにより、複合膜表
面をフッ素化することができる。
【0020】以下、多元同時スパッタリング法により、
基材上に金属酸化物及びフッ素系樹脂の複合膜を積層す
る方法について詳細に説明する。 (1)多元同時スパッタリング法 図1は、多元同時スパッタリング法に用いるスパッタリ
ング装置の概要図である。図中1は真空槽を示し、真空
槽1は油回転ポンプとクライオポンプとを組み合わせた
排気装置(図示せず)により、所定の圧力(具体的に
は、1×10-5Torr以下)に保たれる。上記真空槽
1内の下部には2個のターゲットA及びBが設けられて
おり、そのうちの一方が金属酸化物であり、もう一方が
フッ素系樹脂である。
【0021】ターゲットA及びBは、それぞれ別々のマ
ッチングボックス2、高周波電源3に接続されており、
A、Bはそれぞれ異なった高周波電源でスパッリングす
ることができる。また、ターゲットBについては、直流
電源4への切替えが可能であり、直流電源4によるスパ
ッタリングも行うことができる。また、上記スパッタリ
ング装置は、二つのターゲットA及びBへの投入電力を
個別に制御することにより、基材上へ積層する複合膜の
組成を制御することができる。
【0022】上記真空槽1内の上部の、ターゲットA及
びBと対向する位置に、複合膜を設ける基材C(例えば
ガラス板)を取り付けるためのスパッターテーブル5が
配置されている。このスパッターテーブル5はモーター
6によって、一定の回転速度で回転可能となされてい
る。また、スパッターテーブル5と、ターゲットA及び
Bの間にはシャッター7が設けられている。
【0023】実際にスパッタリングを行うには、まず、
ターゲットAにフッ素系樹脂(例えばPTFE)を、タ
ーゲットBに金属酸化物(例えばSiO2 )をそれぞれ
取り付け、さらにスパッターテーブル5に基材C(例え
ばガラス板)を取り付けた後、モーター6によって10
〜1000rpmの回転速度で回転させる。尚、この時
点ではシャッター7は閉じたままの状態にしておく。
【0024】次に、排気装置(図示せず)によって、真
空槽1内を1×10-5Torr以下)に排気した後、ガ
ス導入バルブ8を開くことによって、アルゴンガス等の
不活性ガスを真空槽1内に導入する。真空槽1内の圧力
は不活性ガスの導入量をマスコントローラー9により調
節することによって制御し、成膜時の真空槽1内圧力は
1×10-3〜1×10-1Torrの範囲が好ましい。そ
の理由は、真空槽1内圧力がこの範囲を超えると放電が
不安定となるために、連続的な成膜が困難となるからで
ある。
【0025】続いて、ターゲットA及びBに、それぞれ
独立した電源により高周波電力(Bに導電材料を用いる
場合は高周波電力及び直流電力)を投入して放電を行わ
せ、ターゲットA及びBへの投入電力を各々所定の電力
値に設定した後、シャッター7を開け、各ターゲット
A、Bをスパッタリングすることにより、基材C上への
成膜を行う。
【0026】成膜開始後、各ターゲットA、Bへの投入
電力をそれぞれ一定に保つことにより、基材C上に金属
酸化物とフッ素系樹脂の割合が膜厚方向に一定した複合
膜が形成される。各ターゲットへの投入電力を制御する
ことにより、フッ素系樹脂と金属酸化物の成膜速度を制
御し、複合膜中のフッ素系樹脂及び金属酸化物の含有量
を制御することができる。従って、各ターゲットA、B
への投入電力については、用途に応じて、撥水性及び耐
擦傷性のいずれを重視するかにより、適宜決定すればよ
い。即ち、撥水性をより重視する場合は、フッ素系樹脂
ターゲットへの投入電力を金属酸化物ターゲットより高
めればよい。
【0027】上記複合膜の膜厚は、100Å以上であれ
ば十分な撥水性を発揮し、耐擦傷性については基材がガ
ラス等の比較的硬い材料の場合は、100Å以上あれば
十分な性能を発揮する。しかし、基材がプラスチックな
どの比較的硬度の低い材料の場合は、耐擦傷性は基材の
影響を受け易く、その影響を受けないためには膜厚10
00Å以上の複合膜を設けるか、基材上に1〜3μmの
ハードコート層を設けた後、膜厚100Å以上の複合膜
を設けるのが好ましい。
【0028】次に、複合ターゲットを用いる方法によ
り、基材上に金属酸化物及びフッ素系樹脂の複合膜を形
成する方法について詳細に説明する。 (2)複合ターゲットを用いる場合 図2は、上記複合膜を形成する方法で使用される一元ス
パッタリング装置を示す。図2中、10はスパッター室
を示し、該スパッター室10はロータリーポンプと油拡
散ポンプ(いずれも図示しない)とを組み合わせた排気
装置により適宜真空(1×10-5Torr以下)に排気
し、排気後はバルブ15の開閉操作によって、スパッタ
ーガスであるアルゴンガスなどの不活性ガスを導入す
る。
【0029】上記スパッター室10の上部には、基材C
を吊り下げ状態に支持する基材ホルダー13が設置され
ている。また、スパッター室10の下部の、前記基材ホ
ルダー13と対向する位置に、マッチング回路11を介
して高周波電源12に接続された複合ターゲット28が
配置されている。複合ターゲット28としては、その表
面にフッ素系樹脂と金属酸化物の両成分が含まれていれ
ばよく、例えば、金属酸化物がフッ素系樹脂により部分
的に被覆されたターゲットが使用される。
【0030】図3は上記複合ターゲット28の側面図を
示し、図4は複合ターゲット28の平面図を示す。この
複合ターゲット28は、金属酸化物(例えば、Si
2 )の円板28aの上に、フッ素系樹脂(例えば、P
TFE)の扇状片28bを放射状に設けたものであり、
扇状片28bの面積を変えることにより、被覆率を調節
することができる。
【0031】なお、上記複合ターゲット28と、前記基
材ホルダー13との間には、シャッター14が設けられ
ている。
【0032】実際にスパッタリングを行うには、まず、
前記スパッター室10内を6×10 -6Torr以下に排
気した後、スパッター室10内へスパッターガスとして
アルゴンガスなどの不活性ガスを導入しながら、前記複
合ターゲット28に高周波電圧を印加し放電を行わせる
と、複合ターゲット28表面から飛び出した分子は、対
向する前記基材ホルダー13側の基材Cに付着し、その
表面に金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜の薄膜が形成
される。
【0033】成膜時のガス圧は、1×10-3〜1×10
-1Torrの範囲が好ましい。ガス圧がこの範囲を超え
ると、放電が不安定になって連続的な成膜が困難となる
からである。
【0034】上記複合膜中のフッ素系樹脂と金属酸化物
の含有量は、複合ターゲット28の金属酸化物を被覆す
るフッ素系樹脂の被覆率によって変化するので、被覆率
については、用途に応じて撥水性と耐擦傷性のいずれを
より重視するかによって適宜決定される。即ち、撥水性
を重視する場合は、フッ素系樹脂の被覆率を高めればよ
い。
【0035】上記複合膜の膜厚は、100Å以上あれば
十分な撥水性を示し、耐擦傷性については基材がガラス
等の比較的硬い材料の場合は、100Å以上あれば十分
な性能を発揮する。しかし、基材がプラスチックなどの
比較的硬度の低い材料の場合は、耐擦傷性は基材の影響
を受け易く、その影響を受けないためには膜厚1000
Å以上の複合膜を設けるか、基材上に1〜3μmのハー
ドコート層を設けた後、膜厚100Å以上の複合膜を設
けるのが好ましい。
【0036】次に、上記で得られた複合膜をフッ素化す
る方法について説明する。図5は、上記で得られた混合
膜をフッ素化するのに使用されるプラズマ処理装置を示
す。図中、30は処理室を示し、この処理室30は油回
転ポンプ及び拡散ポンプよりなる排気装置(図示せず)
にて適当な真空度まで排気される。この処理室30は内
には平行平板型の電極が設けられており、この電極は対
向する上部電極31と下部電極32により構成される。
複合膜が形成された基材Dは、上部電極31か下部電極
32のいずれか一方、または両電極の間に取り付けられ
る。
【0037】上部電極31は、マッチングボックス3
3、高周波電源34に接続されており、上部電極31に
高周波電圧を印加することにより、処理室30内に導入
されたフッ素系ガスのプラズマを発生させることができ
る。上記フッ素系ガスは、マスフローコントローラー3
5によってガスの流量を調節し、ガス導入バルブ36を
開けることにより、処理室30内に供給し、処理室30
内のガス圧は、ガス流量とガス圧調節バルブ37によっ
て調整する。
【0038】上記複合膜が形成された基材Dは、上部電
極31か下部電極32のいずれか一方、または両電極間
に取り付けた後、処理室30内は1×10-3Torr以
下に排気する。この際、複合膜が形成された基材Dの表
面が電極間に形成されるフッ素系ガスのプラズマと接触
するように配置するのが好ましい。
【0039】次いで、フッ素系ガスを、マスフローコン
トローラー35によって流量を調節し、ガス導入バルブ
36を開けることによって、処理室30内へ導入する。
この際、キャリヤーガスとしてAr、He、Ne等の不
活性ガスをフッ素系ガスと同時に導入してもよい。上記
フッ素系ガスの導入によって、処理室30内のガス圧を
0.1〜10Torrの範囲に調節する。処理室30内
のガス圧が安定した時点で、高周波電圧を上部電極31
に印加し、フッ素系ガス又はフッ素系ガスとキャリヤー
ガスの混合ガスをイオン化させてプラズマを発生させ、
プラズマに数秒間〜数分間接触させることにより、複合
膜が形成された基材D上の複合膜をフッ素化し、撥水性
と耐擦傷性に優れた被膜を有する積層体を得る。
【0040】以下に、本発明2について説明する。本発
明2の積層体の製造方法は、金属酸化物とフッ素系樹脂
の複合膜をスパッタリング法により基材上に設けた後、
該複合膜を加熱しながら、減圧下で放電によって発生す
るフッ素系ガスのプラズマを接触させて、複合膜表面を
フッ素化する。
【0041】上記金属酸化物は、フッ化物の沸点又は昇
華温度が50℃以上である金属の金属酸化物であり、こ
のような金属酸化物としては、例えば、ZrO2 、Al
2 3 、MgO、TiO2 、Y2 3 、CaO、Ni
O、ZnO、Ga2 3 、GeO2 、CdO、In2
3 、SnO2 、BaO、HfO2 、PbO、Bi2 3
等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種
以上が併用されてもよい。これらの中で、特にZr
2 、Al2 3 、MgOが好ましい。
【0042】また、Si、W及びWoのフッ化物の沸点
又は昇華温度は50℃未満であり、これらの金属の金属
酸化物は使用できない。
【0043】上記フッ素系樹脂としては、本発明で用い
られるものと同一のフッ素系樹脂が好適に使用される。
【0044】上記フッ素系ガスとしては、本発明で用い
られるものと同一のフッ素系ガスが好適に使用される。
【0045】上記基材としては、本発明で用いられるも
のと同一の基材が好適に使用される。
【0046】上記基材には、本発明で使用されるものと
同様な多元同時スパッタリング法又は複合ターゲットを
用いるスパッタリング法により、金属酸化物とフッ素系
樹脂の複合膜が形成される。
【0047】上記方法で基材に形成された複合膜を一定
の温度に加熱した状態で、フッ素化処理を行う。上記複
合膜の加熱温度は、低くなると複合膜の安定化が不十分
のため撥水性が発現せず、大気中で放置すると容易に白
濁して透明性が失われたり、水との接触によって複合膜
にクラックを生じ、高くなるとフッ素系樹脂の溶融分解
温度に近づくため、複合膜中のフッ素系樹脂成分に熱分
解が生じ撥水性が低下するので、50〜400℃に限定
され、好ましくは100〜200℃である。
【0048】特に、基材がプラスチックなどの低融点材
料の場合は、その材料の耐熱温度に応じて50〜400
℃の範囲で温度条件を設定すればよい。
【0049】上記複合膜の加熱は、大気中または真空中
のいずれで行ってもよく、加熱方法としては、例えば、
発熱体からの輻射加熱、伝導加熱、対流加熱等が挙げら
れ、実際には、フッ素処理を行う処理室内の発熱体から
の輻射加熱によって加熱する方法;複合膜を取り付けた
ステージを加熱する伝導加熱によって加熱する方法等が
採用される。
【0050】次に、上記温度に加熱した状態の複合膜
に、放電によって発生するフッ素系ガスのプラズマを接
触させることにより、フッ素化処理を行う。上記フッ素
化処理におけるガス圧力は、本発明と同様な理由によ
り、0.1〜10Torrに限定される。また、フッ素
化処理における放電電力、ガス流量及び処理時間につい
ては、本発明と同様な条件とするのが好ましい。
【0051】上記プラズマ処理装置としては、本発明で
用いられるものと同様な処理装置が好適に使用される。
【0052】なお、上記複合膜はプラズマ処理中のみな
らず、プラズマ処理に先立って予備加熱されてもよく、
さらにプラズマ処理後も引き続いて加熱されてもよい。
加熱処理の時間は、プラズマ処理前の予備加熱からプラ
ズマ処理後の加熱を含めて、全体として60分以上であ
ることが好ましい。しかし、加熱時間をあまり長くして
も、撥水性と耐擦傷性が飽和状態となってそれ以上の性
能向上が得られないので、24時間以下が好ましい。
【0053】上記加熱処理の加熱方法としては、発熱体
から輻射加熱、伝導加熱、対流加熱などで所定の温度、
時間の加熱できるものであれば特に限定されない。加熱
処理装置としては、実験等に用いられる一般的な恒温
器、乾燥器が使用可能である。
【0054】
【作用】従来のスパッタリング法では、フッ素系樹脂の
スパッタ粒子と金属酸化物のスパッタ粒子との間の反応
によって、得られる複合膜は大量のフッ素原子が離脱し
たものとなり、フッ素系樹脂成分の含有量が少ないの
で、十分な撥水性が得られないものと考えられる。
【0055】これに対して、本発明の製造方法は、スパ
ッタリング法によって得られた金属系酸化物とフッ素系
樹脂の複合膜を、0.1〜10Torrの圧力下でフッ
素系ガスの放電によって発生するプラズマと接触させる
ことにより、複合膜表面のフッ素系樹脂成分中のフッ素
原子密度の低いカーボンをフッ化してC−F結合を形成
させ、フッ素含有量を増加させるので、上記フッ素系樹
脂と金属酸化物のスパッタ粒子同士の反応により離脱し
たフッ素成分を補うことができ、優れた耐擦傷性を維持
した状態で、撥水性を向上させることができるものと考
えられる。
【0056】本発明2の製造方法は、金属酸化物とし
て、その金属のフッ素化物の沸点または昇華温度が50
℃以上である金属酸化物を用いて、スパッタリング法に
よりフッ素系樹脂と金属酸化物の複合膜を形成すること
により、フッ素系樹脂と金属酸化物のスパッタ粒子同士
の反応によるフッ素原子と金属原子の欠損を防止可能で
あるが、フッ素原子については若干の欠損が生じるもの
と考えられる。
【0057】上記複合膜を、50〜400℃に加熱しな
がら、0.1〜10Torrの圧力下でフッ素系ガスの
放電によって発生するプラズマと接触させることによ
り、フッ素系原子の欠損をなくし、撥水性を向上させる
ことができる。また、上記複合膜の加熱処理により、水
分に対する安定性の向上が計られ、さらにフッ素系ガス
のプラズマで処理することによって、複合膜の安定化と
フッ素原子と結合が切れた炭素原子のフッ素化を同時に
進行させることができ、優れた耐擦傷性を維持した状態
で、撥水性を向上させることができるものと考えられ
る。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (実施例1〜11)図1に示した多元同時スパッタリン
グ装置(芝浦製作所製「CFS-8EP-55」)を使用して、ス
パッターテーブル5に、基材Cとしてスライドガラス
(マツナミ社製「S1111」、サイズ80mm×30
mm×1mm)を取り付けた。一方、ターゲットAには
PTFE(淀川化成社製)、ターゲットBにはSiO2
をそれぞれ使用した。この後、真空槽1内を1×10-5
Torr以下に真空排気した後、ガス導入バルブ8を開
きスパッターガスとしてArガスをマスフローコントロ
ーラー9を用いて真空槽1内に45sccm導入し、真
空槽1内圧力を5×10-3Torr以下とした。
【0059】次いで、スパッターテーブル5をモーター
6によって回転速度20rpmで回転させながら、ター
ゲットA及びBに高周波電力を投入しシャッター7を開
けることにより成膜を開始した。成膜時の各ターゲット
に投入される高周波電力は、表1及び表2に示した条件
で行い、スライドガラス上にSiO2 とPTFEの複合
膜を形成した。尚、高周波電源の発振周波数は13.5
6MHzである。
【0060】上記方法でスライドガラス上にSiO2
PTFEの複合膜が形成された基材Dを、図5に示した
プラズマ処理装置の処理室30内の上部電極31上に取
り付けてその表面が下部電極32に向くようにした。次
いで、処理室30内を1×10-3Torr以下に真空排
気した後、マスフローコントローラー35により流量を
調節しながら、ガス導入バルブ36を開けて表1に示し
たフッ素系ガスを処理室30内に導入した。但し、実施
例4及び5についてはフッ素系ガスとキャリアーガスと
の混合ガスを使用した。
【0061】処理室30内のガス圧はガス圧調節バルブ
37により、表1に示したガス圧となるように調節し、
ガス圧が安定した時点で発振周波数13.56MHzの
高周波電力を上部電極31に印加し、処理室30内に導
入されたフッ素系ガスもしくはフッ素系ガスとキャリヤ
ーガスとの混合ガスをイオン化させてプラズマを発生さ
せ、このプラズマを複合膜の表面に接触させてその表面
を処理することにより、撥水性と耐擦傷性の優れた被膜
が積層された積層体を得た。尚、プラズマの処理条件
(ガス種、ガス圧、高周波電力、処理時間)は表1に示
した通りである。
【0062】(実施例12〜14)図2に示した一元ス
パッタリング装置(日本真空技術社製「SH-100」) の基
材ホルダー13に、実施例1で使用したものと同様な基
材Cを取り付けた。一方、ターゲットには、図3及び図
4に示したように、SiO2 ターゲット28aをPTF
Eシート28b(淀川化成社製、厚さ2mm)で部分的
に被覆した複合ターゲット28を用いた。尚、複合ター
ゲット28の被覆率は表1に示した通りである。
【0063】この後、スパッター室10内を1×10-5
Torr以下に真空排気した後、ガス導入バルブ15を
開きスパッターガスとしてArガスをマスフローコント
ローラー16を用いてスパッター室10内に10scc
m導入し、スパッター室10内の圧力を6×10-2To
rrとした。次いで、複合ターゲット28に表2に示し
た条件で高周波電力を投入することにより、SiO2
PTFEの複合膜を基材C上に形成した。
【0064】上記複合膜が形成された基材Dを、図5に
示したプラズマ処理装置の処理室30内の上部電極31
上に取り付けてその表面が下部電極32に向くようにし
た。次いで、処理室30内を1×10-3Torr以下に
真空排気した後、マスフローコントローラー35により
流量を調節しながら、ガス導入バルブ36を開けて表2
に示したフッ素系ガスを処理室30内に導入した。上記
処理室30内のガス圧はガス圧調節バルブ37により、
表2に示したガス圧となるように調節し、ガス圧が安定
した時点で発振周波数が13.56MHzの高周波電力
を上部電極31に印加し、処理室30内に導入されたフ
ッ素ガス又はフッ素系ガスとキャリアーガスとの混合ガ
スをイオン化させプラズマを発生させ、複合膜の表面を
プラズマで処理することにより撥水性と耐擦傷性を有す
る被膜が積層された積層体を得た。尚、プラズマ処理条
件(ガス種、ガス圧、高周波電力、処理時間)は表2に
示した通りである。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】(比較例1〜3)成膜条件(ターゲット、
高周波電力、成膜時間)を表3に示したように変えたこ
と以外は、実施例1と同様にして、基材C上にSiO2
とPTFEの複合膜を形成した後、この複合膜のプラズ
マ処理を全く行わなかった。
【0068】(比較例4)ターゲット28として、図3
及び図4に示したように、SiO2 ターゲット28aを
PTFEシート28b(淀川化成社製、厚さ2mm)で
部分的に被覆した複合ターゲット(被覆率0.7)28
を用いて、成膜条件(ターゲット、高周波電力、成膜時
間)を表3に示したように変えたこと以外は、実施例1
と同様にして、基材C上にSiO2 とPTFEの複合膜
を形成した後、この複合膜のプラズマ処理を全く行わな
かった。
【0069】(比較例5、6)成膜条件(ターゲット、
高周波電力、成膜時間)を表3に示したように変えて複
合膜を成膜した後、表3に示したプラズマ処理条件(ガ
ス種、ガス圧、高周波電力、処理時間)でプラズマ処理
を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、基材C上
に撥水性と耐擦傷性の被膜が積層された積層体を得た。
【0070】
【表3】
【0071】〔複合膜の性能評価〕上記実施例1〜14
及び比較例1〜6で得られた撥水性と耐擦傷性を有する
被膜及び複合膜につき、下記の性能評価を行いその結果
を表4に示した。 (a)膜厚測定 基材の一部をマスキングして複合膜を形成し、マスキン
グ部と複合膜形成部の段差を表面形状測定器(スローン
社製「Dektak3030」)により測定して、被膜
及び複合膜(以下両者を含めて「膜」という)の厚さを
求めた。
【0072】(b)撥水性試験 蒸留水に対する膜の接触角を、接触角計(協和界面科学
社製「CA−A型」)により液滴法で測定した。
【0073】(c)耐擦傷性試験 #0000のスチールウールを膜表面にある圧力で押し
当てた状態で、膜を20往復させた後、膜の表面状態を
目視観察し、膜表面に傷が付かない時の最大圧力をもっ
て耐擦傷(ハードコート)性の指標とした。
【0074】(d)膜質評価 ESCAによる膜の組成分析により、次式から(F/
C)の比率を求めて膜質の指標とした。(F/C)=
〔フッ素元素の含有量(原子%)/炭素元素の含有量
(原子%)〕
【0075】
【表4】
【0076】(実施例15〜22)ターゲットBとして
ZrO2 を使用し、表5に示した成膜条件により成膜し
たこと以外は、実施例1と同様にして、基材C上にZr
2 とPTFEの複合膜を形成した。次いで、複合膜を
有する基材Dを乾燥機(東洋製作所製「定温乾燥機FS
−33」)により130℃、90分間予備加熱処理した
後、基材Dをその複合膜表面が下部電極32に向くよう
に、図6に示したプラズマ処理装置の処理室30内の上
部電極31に取り付けた。さらに、処理室30内を1×
10-3Torr以下に真空排気し、処理室30の側壁に
設けられた基材加熱用の発熱体38に電力を供給して、
表5に示した温度となるように加熱した。
【0077】以下、複合膜の温度が安定した時点で、表
5に示したプラズマ処理条件により、実施例1と同様に
して、複合膜のプラズマ処理を行った。尚、プラズマ処
理後も継続して複合膜が形成された基材Dの加熱を行
い、複合膜の温度が一定した時点から60分間で加熱を
中止し、基材C上に撥水性と耐擦傷性を有する被膜が積
層された積層体を得た。
【0078】
【表5】
【0079】(実施例23〜25)乾燥機(東洋製作所
製「定温乾燥機FS−33」)による基材Dの熱処理を
全く行わなずに、プラズマ処理を行ったこと以外は、実
施例15と同様にして、基材C上に撥水性と耐擦傷性を
有する被膜が積層された積層体を得た。
【0080】(実施例26〜28)ターゲットBとして
Al2 3 を使用して、Al2 3 とPTFEの複合膜
を設けたこと以外は、実施例15と同様にして、基材C
上に撥水性と耐擦傷性を有する被膜が積層された積層体
を得た。
【0081】(実施例29)図2に示した一次元スパッ
タリング装置の基材ホルダー13に基材Cを取り付けた
後、スパッター室10内を1×10-5Torr以下に真
空排気し、次いで、ガス導入バルブ15を開きスパッタ
ガスとしてArガスをマスフローコントローラー16で
調節して10sccm導入し、槽内圧力を1×10-3
orrとした。さらに、ZrO2 ターゲットをPTFE
シートで部分的に被覆した複合ターゲットを使用し、表
6に示した成膜条件で基材C上にZrO2 とPTFEの
複合膜を設けた。
【0082】上記複合膜が形成された基材Dを、乾燥機
(東洋製作所製「定温乾燥機FS−33」)により、1
50℃、90分間の予備加熱処理を行った後、図6に示
したプラズマ処理室30内に複合膜を、その表面が下部
電極32に向くように上部電極31に取り付けた。次い
で、処理室30内を1×10-3Torr以下に真空排気
した後、発熱体38に電力を供給し、発熱体38の輻射
加熱により複合膜を表6に示す温度で予備加熱した。複
合膜の温度が安定した時点で、表6に示したフッ素系ガ
スをマスフローコントローラー35により流量を調節し
ながら、ガス導入バルブ36を開けて処理室30内に導
入した。
【0083】上記処理室30内のガス圧は、ガス圧調節
バルブ37により、表5のガス圧に調節した後、ガス圧
が安定した時点で、発振周波数13.56MHzの高周
波電力を上部電極31に印加してプラズマを発生させ、
表6に示したプラズマ処理条件で複合膜表面のプラズマ
処理を行った。プラズマ処理後、複合膜の加熱は継続し
て行い、温度が安定した時点から60分間後に加熱を中
止し、基材C上に撥水性と耐擦傷性を有する被膜が積層
された積層体を得た。
【0084】(実施例30)乾燥機による予備加熱処理
を全く行わなかったこと以外は、実施例29と同様にし
て、基材C上に撥水性と耐擦傷性を有する被膜が積層さ
れた積層体を得た。
【0085】
【表6】
【0086】(比較例7〜9)基材C上にZrO2 とP
TFEの複合膜を表7に示した成膜条件で、実施例15
と同様にして形成した後、この複合膜の予備加熱処理及
びプラズマ処理を全く行わなかった。
【0087】(比較例10)基材C上にAl2 3 とP
TFEの複合膜を表7に示した成膜条件で、実施例26
と同様にして形成した後、この複合膜の予備加熱処理及
びプラズマ処理を全く行わなかった。
【0088】(比較例11)基材C上にAl2 3 とP
TFEの複合膜を表7に示した成膜条件で、実施例29
と同様にして形成した後、この複合膜の予備加熱処理及
びプラズマ処理を全く行わなかった。
【0089】(比較例12〜14)基材C上にZrO2
とPTFEの複合膜を表7に示した成膜条件で、実施例
15と同様にして形成した後、この複合膜に対して乾燥
機(東洋製作所製「定温乾燥機FS−33」)により、
150℃、90分間の予備加熱処理のみを行い、プラズ
マ処理を全く行わなかった。
【0090】(比較例15)基材C上にAl2 3 とP
TFEの複合膜を表7に示した成膜条件で、実施例26
と同様にして形成した後、この複合膜に対して乾燥機
(東洋製作所製「定温乾燥機FS−33」)により、1
50℃、90分間の予備加熱処理のみを行い、プラズマ
処理を全く行わなかった。
【0091】(比較例16)基材C上にZrO2 とPT
FEの複合膜を表7に示した成膜条件で、実施例29と
同様にして形成した後、この複合膜に対して乾燥機(東
洋製作所製「定温乾燥機FS−33」)により、150
℃、90分間の予備加熱処理のみを行い、プラズマ処理
を全く行わなかった。
【0092】(比較例17〜22)基材C上にZrO2
とPTFEの複合膜を表8に示した成膜条件で、実施例
15と同様にして形成した後、150℃、90分間の予
備加熱処理を全く行わずに、表8に示したプラズマ処理
条件で、実施例15と同様にして、基材C上に撥水性と
耐擦傷性を有する被膜が積層された積層体を得た。
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】上記実施例15〜30及び比較例7〜22
で得られた膜につき、実施例1と同様な性能評価ならび
に下記膜の安定性試験を追加して行い、その結果を表9
及び表10に示した。 (e)膜の安定性試験 膜を水中浸漬(室温の蒸留水に10分間)した後目視観
察により、膜の安定性を下記の評価基準で評価した。 <評価基準> ○:水中浸漬により外観変化が生じなかった。 ×:水中浸漬により膜面にクラックが生じた。
【0096】
【表9】
【0097】
【表10】
【0098】
【発明の効果】本発明の積層体の製造方法は、上述の通
りであり、基材上にスパッタリング法により形成された
金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜表面を、0.1〜1
0Torrの圧力下でフッ素系ガスの放電によるプラズ
マで処理することにより、撥水性と耐擦傷性を兼ね備え
た被膜の形成が可能であり、目的に応じて、複合中の金
属酸化物とフッ素系樹脂の比率を変えることにより撥水
性と耐擦傷性を制御することができる。従って、本発明
の製造方法で得られた撥水性ハードコート被膜は、レン
ズ、ミラー、自動車、建築用窓ガラスやその他の透明基
材の保護膜として利用でき、さらにフッ素系樹脂を含有
することにより可撓性を有するので、農業用フィルムな
どの防汚フィルムとして使用可能である。
【0099】本発明2の積層体の製造方法は、上述の通
りであり、基材上にスパッタリング法により形成された
金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜表面を50〜400
℃に加熱した状態で、0.1〜10Torrの圧力下で
フッ素系ガスの放電によるプラズマで処理することによ
り、撥水性、耐擦傷性及び耐水性を兼ね備えた被膜の形
成が可能である。
【0100】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される多元同時スパッタリング装
置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に使用される一元スパッタリング装置の
一例を示す模式図である。
【図3】本発明に使用される複合ターゲットを示す側面
図である。
【図4】本発明に使用される複合ターゲットを示す平面
図である。
【図5】本発明に使用されるプラズマ処理装置の一例を
示す模式図である。
【図6】本発明に使用されるプラズマ処理装置の他の一
例を示す模式図である。
【符号の説明】
A,B ターゲット C 基材 D 複合膜が形成された基材 1 真空槽 2,33 マッチングボックス 3,34 高周波電源 4 直流電源 5 スパッターテーブル 6 モーター 7 シャッター 8 ガス導入バルブ 9 マスフローコントローラー 10 スパッター室 11 マッチング回路 12 高周波電源 13 基材ホルダー 14 シャッター 15,36 ガス導入バルブ 16,35 マスフローコントローラー 28 複合ターゲット 30 処理室 31 上部電極 32 下部電極 37 ガス圧調節バルブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜をスパ
    ッタリング法により基材上に設けた後、該複合膜に、
    0.1〜10Torrの圧力下で放電によって発生する
    フッ素系ガスのプラズマを接触させて、複合膜表面をフ
    ッ素化することを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜をスパ
    ッタリング法により基材上に設けた後、該複合膜を50
    〜400℃に加熱しながら、0.1〜10Torrの圧
    力下で、放電によって発生するフッ素系ガスのプラズマ
    を接触させて、複合膜表面をフッ素化する積層体の製造
    方法であって、上記金属酸化物の金属のフッ化物の沸点
    又は昇華温度が50℃以上であることを特徴とする積層
    体の製造方法。
JP571894A 1994-01-24 1994-01-24 積層体の製造方法 Pending JPH07207447A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003217843A (ja) * 2002-01-24 2003-07-31 Seiko Epson Corp 表示装置の製造方法、電子機器の製造方法、表示装置および電子機器
JP2015140645A (ja) * 2014-01-30 2015-08-03 Nok株式会社 道路標識柱

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