JPH07166324A - 撥水性ハードコート被膜の製造方法 - Google Patents

撥水性ハードコート被膜の製造方法

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JPH07166324A
JPH07166324A JP31189193A JP31189193A JPH07166324A JP H07166324 A JPH07166324 A JP H07166324A JP 31189193 A JP31189193 A JP 31189193A JP 31189193 A JP31189193 A JP 31189193A JP H07166324 A JPH07166324 A JP H07166324A
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JP
Japan
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film
composite film
heat treatment
metal oxide
composite
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Application number
JP31189193A
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English (en)
Inventor
Makoto Kitamura
真 北村
Tomoshige Tsutao
友重 蔦尾
Takeshi Uehara
剛 上原
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた撥水性と耐擦傷性を有する撥水性ハード
コート被膜を製造する方法を提供する。 【構成】フッ化物の沸点または昇華温度が50℃以上で
ある金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜をスパッタリン
グ法により基材上に設けた後、該複合膜を、50〜40
0℃で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撥水性及び耐擦傷性に
優れた撥水性ハードコート被膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックやガラス等の基材上に、撥
水性の高い被膜を形成する方法としては、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン樹脂(以下PTFEという)を
はじめとする含フッ素系樹脂をターゲット材として真空
蒸着やスパッタリング法などが開示されている(特開昭
56−98475号公報、特開昭56−98469号公
報)。しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン樹脂
等のフッ素系樹脂は撥水性に優れる反面、耐擦傷性に問
題があるため、ハードコート被膜として使用することは
困難であった。
【0003】この問題点を解決するために、フッ素系樹
脂と金属酸化物の複合膜をプラスチック基材上に設ける
方法が開示されている(特開平3−153859号公
報)。この方法は、SiO2 ターゲットをある割合でP
TFE樹脂で部分的に被覆した複合ターゲットを用い、
高周波出力50Wで10分間、高周波スパッタリングを
行うことにより、膜厚500ÅのSiO2 −PTFE系
の複合膜をプラスチック基材上に形成する方法である。
【0004】しかしながら、上記SiO2 −PTFE系
の複合膜は、耐擦傷性が向上する反面、撥水性の低下が
著しく、優れた撥水性と耐擦傷性を同時に付与すること
ができないという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点に
鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた撥水性
と耐擦傷性を有する撥水性ハードコート被膜を製造する
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の撥水性ハードコ
ート被膜の製造方法は、金属酸化物とフッ素系樹脂の複
合膜をスパッタリング法により基材上に設けた後、該複
合膜を熱処理するものである。
【0007】上記撥水性ハードコート被膜は、金属酸化
物とフッ素系樹脂の複合膜から形成される。
【0008】上記金属酸化物は、その金属のフッ化物の
沸点または昇華温度が50℃以上である。フッ化物の沸
点または昇華温度が50℃未満の金属であると、そのフ
ッ化物は揮発性のガスであり、フッ素を含むガスによっ
てエッチングされるので、50℃以上に限定される。
【0009】本発明において、Si、W及びMoのフッ
化物は沸点または昇華温度が50℃未満であるので、こ
れらの金属の酸化物は使用できない。
【0010】上記フッ化物の沸点または昇華温度が50
℃以上である金属の金属酸化物としては、例えば、Zr
2 、MgO、Al2 3 、TiO2 、Y2 3 、Ca
O、NiO、ZnO Ga2 3 、GeO2 、CdO、
In2 3 、SnO2 、BaO、HfO2 、PbO、B
2 3 等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。
【0011】上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン(以下PTFEという)、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体(以下FEPという)、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポ
リビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニル
エーテル共重合体等が挙げられるが、特にPTFE、F
EPが好ましい。
【0012】上記金属酸化物及びフッ素系樹脂は、いず
れもスパッタリング法においてターゲット材として使用
される。
【0013】上記基材としては、ガラス、プラスチッ
ク、金属、セラミックス等が挙げられる。
【0014】上記金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜を
基材上へ設ける方法としては、スパッタリング法が用い
られる。
【0015】上記スパッタリング法により複合膜を形成
する方法としては、フッ素系樹脂のターゲットと金属
酸化物のターゲットを各々独立した投入電力で同時にス
パッタリングを行う多元同時スパッタリング法、金属
酸化物をフッ素系樹脂で被覆した複合ターゲットを用い
てスパッタリングを行う方法などが挙げられる。
【0016】(1)多元同時スパッタリング法 以下、多元同時スパッタリング法により、基材上に金属
酸化物及びフッ素系樹脂の複合膜を形成する方法につい
て詳細に説明する。図1は、多元同時スパッタリング法
に用いるスパッタリング装置の概要図である。図中1は
真空槽を示し、真空槽1は油回転ポンプとクライオポン
プとを組み合わせた排気装置(図示せず)により、所定
の圧力(具体的には、1×10-5Torr以下)に保た
れる。上記真空槽1内の下部には2個のターゲットA及
びBが設けられており、そのうちの一方が金属酸化物で
あり、もう一方がフッ素系樹脂である。
【0017】ターゲットA及びBは、それぞれ別々のマ
ッチングボックス2、高周波電源3に接続されており、
A、Bは異なった高周波電力でスパッリングすることが
できる。また、ターゲットBについては、直流電源4へ
の切替えが可能であり、直流電源4によるスパッタリン
グも行うことができる。また、上記スパッタリング装置
は、二つのターゲットA及びBへの投入電力を個別に制
御することにより、基材上へ堆積する複合膜の組成を制
御することができる。
【0018】上記真空槽1内の上部の、ターゲットA及
びBと対向する位置に、撥水性ハードコート被膜を設け
る基材C(例えばガラス板)を取り付けるためのスパッ
ターテーブル5が配置されている。このスパッターテー
ブル5はモーター6によって、一定の回転速度で回転可
能となされている。また、スパッターテーブル5と、タ
ーゲットA及びBの間にはシャッター7が設けられてい
る。
【0019】実際にスパッタリングを行うには、まず、
ターゲットAにフッ素系樹脂(例えばPTFE)を、タ
ーゲットBに金属酸化物(例えばZrO2 )をそれぞれ
取り付け、さらにスパッターテーブル5に基材C(例え
ばガラス板)を取り付けた後、モーター6によって10
〜1000rpmの回転速度で回転させる。尚、この時
点でシャッター7は閉じたままの状態にしておく。
【0020】次に、排気装置(図示せず)によって、真
空槽1内を1×10-5Torr以下)に排気した後、ガ
ス導入バルブ8を開くことによって、アルゴンガス等の
不活性ガスを真空槽1内に導入する。真空槽1内の圧力
は不活性ガスの導入量をマスコントローラーにより調節
することによって制御し、成膜時の槽内圧力は1×10
-3〜1×10-1Torrの範囲で行う。その理由は、槽
内圧力がこの範囲を超えると放電が不安定となるため
に、連続的な成膜が困難となるからである。
【0021】続いて、ターゲットA及びBに、それぞれ
独立した電源により高周波電力(Bに導電材料を用いる
場合は高周波電力及び直流電力)を投入して放電を行わ
せ、ターゲットA及びBへの投入電力を各々所定の電力
値に設定した後、シャッター7を開け、各ターゲット
A、Bをスパッタリングすることにより、基材C上への
成膜を行う。
【0022】成膜開始後、各ターゲットA、Bへの投入
電力をそれぞれ一定に保つことにより、基材C上に金属
酸化物とフッ素系樹脂の割合が膜厚方向に一定した複合
膜が形成される。各ターゲットへの投入電力を制御する
ことにより、フッ素系樹脂と金属酸化物の成膜速度を制
御し、複合膜中のフッ素系樹脂及び金属酸化物の含有量
を制御することができる。従って、各ターゲットA、B
への投入電力については、用途に応じて、撥水性及び耐
擦傷性のいずれを重視するかにより、適宜決定すればよ
い。即ち、撥水性を重視する場合は、フッ素系樹脂ター
ゲットへの投入電力を金属酸化物ターゲットより高めれ
ばよい。
【0023】上記複合膜の膜厚は、100Å以上あれば
十分な撥水性を示し、耐擦傷性については基材がガラス
等の比較的硬い材料の場合は、100Å以上あれば十分
な性能を発揮する。しかし、基材が比較的硬度の低い材
料の場合は、耐擦傷性は基材の影響を受け易く、その影
響を受けないためには1000Å以上の膜厚が好まし
い。
【0024】(2)複合ターゲットを用いる場合 以下、複合ターゲットを用いる方法により、基材上に金
属酸化物及びフッ素系樹脂の混合膜を形成する方法につ
いて詳細に説明する。図2は、上記混合膜を形成する方
法で使用される一元スパッタリング装置を示す。図2
中、10はスパッター室を示し、該スパッター室10は
ロータリーポンプと油拡散ポンプ(いずれも図示しな
い)とを組み合わせた排気装置により適宜排気され、排
気後はバルブ15の開閉操作によって、スパッターガス
であるアルゴンガスなどの不活性ガスが導入される。
【0025】上記スパッター室10の上部には、基材C
を吊り下げ状態に支持する基板ホルダー13が設置され
ている。また、スパッター室10の下部の、前記基板ホ
ルダー13と対向する位置に、マッチング回路11を介
して高周波電源12に接続された複合ターゲット28が
配置されている。複合ターゲット28としては、その表
面にフッ素系樹脂と金属酸化物の両成分が含まれていれ
ばよく、例えば、金属酸化物が一定の割合のフッ素系樹
脂により被覆されたターゲットが使用される。
【0026】図3は上記複合ターゲット28の側面図を
示し、図4は複合ターゲット28の平面図を示す。この
複合ターゲット28は、金属酸化物(例えば、Zr
2 )の円板28aの上に、フッ素系樹脂(例えば、P
TFE)の扇状片28bを放射状に設けたものであり、
扇状片28bの面積を変えることにより、被覆率を調節
することができる。
【0027】なお、上記複合ターゲット28と、前記基
板ホルダー13との間には、シャッター14を設けられ
ている。
【0028】実際にスパッタリングを行うには、まず、
前記スパッター室10内を6×10 -6Torr以下に排
気した後、スパッター室10内へスパッターガスとして
アルゴンガスなどの不活性ガスを導入しながら、前記複
合ターゲット28に高周波電圧を印加し放電を行わせる
と、複合ターゲット28表面から飛び出した分子は、前
記基板ホルダー13側の基材Cに付着し、その表面に金
属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜の薄膜が形成される。
【0029】成膜時のガス圧は、1×10-3〜1×10
-1Torrの範囲が好ましい。ガス圧がこの範囲を超え
ると、放電が不安定になって連続的な成膜が困難となる
からである。
【0030】上記複合膜中のフッ素系樹脂と金属酸化物
の含有量は、複合ターゲット28の金属酸化物を被覆す
るフッ素系樹脂の被覆率によって変化するので、被覆率
については、用途に応じて撥水性と耐擦傷性のいずれを
重視するかによって適宜決定される。即ち、撥水性を重
視する場合は、フッ素系樹脂の被覆率を高めればよい。
【0031】次に、上記熱処理の方法について説明す
る。上記スパッタリング法で得られた複合膜は、安定な
ものが得られず、大気中に放置しておくと容易に白濁し
て透明性が失われたり、水との接触により複合膜にクラ
ックが生じるという問題点があり、成膜しただけでは優
れた撥水性と耐擦傷性を同時に付与することは困難であ
った。
【0032】そこで、上記の問題点を解決するために、
基材上に形成された複合膜に熱処理を行う。この熱処理
によって複合膜が安定化し、複合膜の白濁やクラックの
発生が防止され、優れた撥水性と耐擦傷性とを同時に有
する撥水性ハードコート被膜が得られる。
【0033】上記熱処理は、大気中又は真空中のいずれ
の雰囲気で行ってもよい。大気中で熱処理を行う方法と
しては、スパッタリングに使用した真空槽内の圧力を大
気圧に戻した状態で熱処理を行う方法:スパッタリング
装置から基材を取り出した後、別の熱処理装置を使用し
て大気中で熱処理を行う方法等が挙げられる。
【0034】また、真空中で熱処理を行う方法として
は、スパッタリングに使用した真空槽を真空に保った状
態で連続して熱処理を行う方法:スパッタリングに使用
した真空槽から基材を取り出した後、別の真空熱処理装
置(例えば、真空オーブン)を使用して真空中で熱処理
を行う方法等が挙げられる。
【0035】上記大気中で熱処理する方法は、複合膜が
熱処理される前段階で大気中の水分と接触して、白濁や
クラックを発生する恐れがあり、このような白濁やクラ
ックを防止するためには、真空中で熱処理する方法が好
ましい。また、真空中での熱処理方法としては、スパッ
タリングに使用した真空槽を真空に保った状態で連続し
て熱処理を行う方法が好ましい。
【0036】上記熱処理の温度は、低くなると複合膜の
安定化が不十分のため撥水性が発現せず、大気中で放置
すると容易に白濁して透明性が失われたり、水との接触
によって複合膜にクラックが生じ、高くなるとフッ素系
樹脂の溶融分解温度に近づくため、複合膜中のフッ素系
樹脂成分に熱分解が生じ撥水性が低下するので、50〜
400℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃
である。
【0037】特に、基材がプラスチックなどの低融点材
料の場合は、その材料の耐熱温度に応じて50〜400
℃の範囲で温度条件を決定すればよい。
【0038】また、上記熱処理の時間は、短くなると複
合膜の安定化が不十分のため撥水性が発現せず、大気中
で放置すると容易に白濁して透明性が失われたり、水と
の接触によって複合膜にクラックが生じるので、10分
以上が好ましく、より好ましくは60分以上である。し
かし、熱処理の時間をあまり長くしても、撥水性と耐擦
傷性が飽和状態となってそれ以上の向上が得られないの
で、24時間以下が好ましい。
【0039】上記熱処理の加熱方法としては、発熱体か
ら輻射加熱、伝導加熱、対流加熱などで所定の温度、時
間の加熱できるものであれば特に限定されない。熱処理
装置としては、実験等に用いられる一般的な恒温器、乾
燥器が使用可能である。
【0040】
【作用】本発明の製造方法は、金属酸化物の金属として
Si、W及びMoを除く金属を使用するので、フッ素系
樹脂のスパッターによって生じる活性ガスによる、組成
欠損を伴った膜質の劣化を防ぐことが可能であり、さら
に複合膜を大気中で熱処理することによって、安定した
性能の金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜が得られるた
め、優れた耐擦傷性と撥水性を有すると共に、透明性に
優れた撥水性ハードコート被膜を形成する。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0042】(実施例1〜8)図1に示した多元同時ス
パッタリング装置を使用して、スパッターテーブル5
に、基材Cとしてスライドガラス(マツナミ社製「S1
111」、サイズ80mm×30mm×1mm)を取り
付けた。ターゲットAにはPTFE(淀川化成社製)、
ターゲットBにはZrO2 をそれぞれ使用した。この
後、真空槽1内を1×10-5Torr以下に真空排気し
た後、ガス導入バルブ8を開きスパッターガスとしてA
rガスをマスフローコントローラー9を用いて真空槽1
内に45sccm導入し、真空槽1内圧力を5×10-3
Torr以下とした。
【0043】次いで、スパッターテーブル5をモーター
6によって回転速度20rpmで回転させながら、ター
ゲットA及びBに高周波電力を投入しシャッター7を開
けることにより成膜を開始した。成膜時の各ターゲット
に投入される高周波電力は、表1に示した条件で行い、
スライドガラス上にZrO2 とPTFEの複合膜を形成
した。
【0044】成膜後、スパッタリング装置から複合膜を
形成したスライドガラスを取り出し、乾燥器(東洋製作
所製「定温乾燥機FS−33」)にて表1に示される条
件で、大気中で熱処理を行った。熱処理は、乾燥器が所
定の熱処理温度に到達した後、スライドガラスを投入す
ることによって行った。尚、実施例4の熱処理は、脱脂
炉(東海高熱工業社製「TJ−400型」)を用いて行
った。
【0045】(実施例9、10)図2に示した一元スパ
ッタリング装置を使用して、基板ホルダー13に基材C
としてスライドガラス(マツナミ社製「S1111」、
サイズ80mm×30mm×1mm)を取り付けた。タ
ーゲットには、図3及び図4に示したように、ZrO2
28aをPTFEシート28b(淀川化成社製、厚さ2
mm)で部分的に被覆した複合ターゲット28を用い
た。尚、複合ターゲット28としては、表1に示した被
覆率(%)のものを使用した。
【0046】この後、スパッター室10内を1×10-5
Torr以下に真空排気した後、ガス導入バルブ15を
開きスパッターガスとしてArガスをマスフローコント
ローラー16を用いてスパッター室10内に10scc
m導入し、スパッター室10内の圧力を6×10-2To
rrとした。
【0047】次いで、スパッターテーブル5をモーター
6によって回転速度20rpmで回転させながら、複合
ターゲット28に表1に示した条件で高周波電力を投入
することにより、ZrO2 とPTFEの混合膜をスライ
ドガラス上に形成した。成膜後、スパッタリング室から
スライドガラスを取り出し、乾燥器(東洋製作所製「定
温乾燥機FS−33」)を使用して表1に示した熱処理
条件で、大気中にて熱処理を行った。
【0048】(実施例11、12)ターゲットBにMg
Oを使用し、成膜条件及び熱処理条件を表1に示したよ
うに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、スライ
ドガラス上にMgOとPTFEの複合膜を形成した。
【0049】
【表1】
【0050】(比較例1〜3)ターゲットBにSiO2
を使用して、表2に示した成膜条件で成膜し、全く熱処
理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、
スライドガラス上にSiO2 とPTFEの複合膜を形成
した。
【0051】(比較例4)ターゲットBにZrO2 を使
用し、表2に示した成膜条件で成膜し、全く熱処理を行
わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、スライ
ドガラス上にZrO2 とPTFEの複合膜を形成した。
【0052】(比較例5、6)ターゲットBにZrO2
を使用し、表2に示した成膜条件で成膜し、熱処理を行
ったこと以外は、実施例1と同様にして、スライドガラ
ス上にZrO2 とPTFEの複合膜を形成した。尚、比
較例6の熱処理は、脱脂炉(東海高熱工業社製「TJ−
400型」)を用いて行った。
【0053】
【表2】
【0054】〔複合膜の性能評価〕上記実施例1〜12
及び比較例1〜6で得られた混合膜につき、下記の性能
評価を行いその結果を表3に示した。 (a)膜厚測定 基材の一部をマスキングして複合膜を形成し、マスキン
グ部と複合膜形成部の段差を表面形状測定器(スローン
社製「Dektak3030」)により測定して、複合
膜の厚さを求めた。
【0055】(b)撥水性試験 水に対する接触角を、接触角計(協和界面科学社製「C
A−A型」)により液滴法で測定した。
【0056】(c)耐擦傷性試験 #0000のスチールウールを複合膜表面にある圧力で
押し当てた状態で、複合膜を20往復させた後、複合膜
の表面状態を目視観察し、複合膜表面に傷が付かない時
の最大圧力をもって耐擦傷(ハードコート)性の指標と
した。
【0057】(d)複合膜質の評価 ESCAによる組成分析により、組成の欠損状態から複
合膜質を下記の評価基準で評価した。 <評価基準> ○:欠損のない複合膜が得られた。 ×:欠損の多い複合膜が得られた。
【0058】(e)複合膜の安定性 複合膜を水中浸漬(室温の蒸留水に10分間)した後目
視観察により、複合膜の安定性を下記の評価基準で評価
した。 <評価基準> ○:水中浸漬により複合膜に白濁が生じなかった。 ×:水中浸漬により複合膜に白濁が生じた。
【0059】
【表3】
【0060】(実施例13〜22)真空槽1内を真空度
1×10-5Torrに排気した後、表4に示した成膜条
件で、実施例1と同様にして成膜し、スライドガラス上
にZrO2 とPTFEの複合膜を形成した。次いで、タ
ーゲットA及びBへの電力投入、Arガスの導入及びス
ライドガラスの回転を中止した後、真空槽内にスライド
ガラスを入れたままの状態で、スライドガラスと対向す
る位置に設置された加熱用ランプにより、表4に示した
熱処理条件で熱処理を行った。
【0061】
【表4】
【0062】(実施例23〜25)表5に示した成膜条
件で、実施例13と同様にして、スライドガラス上にZ
rO2 とPTFEの複合膜を形成した後、スパッタリン
グ装置からスライドガラスを取り出して真空オーブンに
入れて真空引きし、表5に示した熱処理条件で熱処理を
行った。
【0063】(実施例26、27)表5に示した成膜条
件で、実施例9と同様にして、スライドガラス上にZr
2 とPTFEの複合膜を形成した後、複合ターゲット
への高周波電力投入、真空槽内へのArガスの導入を中
止した。次いで、真空槽内にスライドガラス入れたまま
の状態で、スライドガラスに対向する位置に設置された
加熱用ランプにより、表5に示した熱処理条件で熱処理
を行った。
【0064】(実施例28〜31)表5に示した成膜条
件で、実施例11と同様にして、スライドガラス上にM
gOとPTFEの複合膜を形成した後、ターゲットA及
びBへの高周波電力投入、真空槽内へのArガスの導入
を中止した。次いで、真空槽内にスライドガラス入れた
ままの状態で、スライドガラスに対向する位置に設置さ
れた加熱用ランプにより、表5に示した熱処理条件で熱
処理を行った。
【0065】
【表5】
【0066】(比較例7〜9)表6に示した成膜条件
で、比較例1と同様にして、スライドガラス上にSiO
2 とPTFEの複合膜を形成した。この複合膜につき熱
処理は全く行わなかった。
【0067】(比較例10〜12)表6に示した成膜条
件で、実施例1と同様にして、スライドガラス上にZr
2 とPTFEの複合膜を形成した後、ターゲットA及
びBへの電力投入、Arガスの導入及びスライドガラス
の回転を中止した。次いで、真空槽内にスライドガラス
入れた状態で、スライドガラスに対向する位置に設置さ
れた加熱用ランプにより、表6に示した熱処理条件で熱
処理を行った。尚、比較例10については、複合膜の熱
処理は全く行わなかった。
【0068】(比較例13、14)表6に示した成膜条
件で、実施例1と同様にして、スライドガラス上にZr
2 とPTFEの複合膜を形成した後、スパッタリング
装置からスライドガラスを取り出して真空オーブンに入
れて真空引きし、表6に示した熱処理条件で熱処理を行
った。
【0069】
【表6】
【0070】上記実施例13〜31及び比較例7〜14
で得られた混合膜につき、実施例1と同様な性能評価行
いその結果を表7及び8に示した。
【0071】
【表7】
【0072】
【表8】
【0073】(実施例32〜35、37〜40)ターゲ
ットBにAl2 3 を使用して、表9に示した成膜条件
で、実施例1と同様にして成膜し、スライドガラス上に
Al2 3 とPTFEの複合膜を形成した。成膜後、ス
パッタリング室からスライドガラスを取り出し、乾燥器
(東洋製作所製「定温乾燥機FS−33」)を使用して
表9に示した熱処理条件で、大気中にて熱処理を行っ
た。尚、実施例39は、ターゲットAのPTFEに代え
てFEPを使用し、実施例39は、スライドガラスに代
えてポリカーボネート板を使用した。
【0074】(実施例36)ターゲットBにAl2 3
を使用して、表9に示した成膜条件で、実施例1と同様
にして成膜し、スライドガラス上にAl2 3 とPTF
Eの複合膜を形成した。次いで、ターゲットA及びBへ
の電力投入、Arガスの導入及びスライドガラスの回転
を中止した後、真空槽内にスライドガラス入れた状態
で、スライドガラスに対向する位置に設置された加熱用
ランプにより、表9に示した熱処理条件で熱処理を行っ
た。
【0075】(比較例15、16)ターゲットBにAl
2 3 を使用して、表9に示した成膜条件で、実施例1
と同様にして成膜し、スライドガラス上にAl2 3
PTFEの複合膜を形成した。この複合膜につき、熱処
理を全く行わなかった。
【0076】(比較例17、18)ターゲットBにAl
2 3 を使用して、表9に示した成膜条件で、実施例1
と同様にして成膜し、スライドガラス上にAl2 3
PTFEの複合膜を形成した。成膜後、スパッタリング
室からスライドガラスを取り出し、乾燥器(東洋製作所
製「定温乾燥機FS−33」)を使用して表9に示した
熱処理条件で、大気中にて熱処理を行った。
【0077】
【表9】
【0078】上記実施例32〜40及び比較例15〜1
8で得られた混合膜につき、実施例1と同様な性能評価
行いその結果を表10に示した。
【0079】
【表10】
【0080】
【発明の効果】本発明の撥水性ハードコート被膜の製造
方法は、上述の通りであり、スパッタリング法により、
基材上に撥水性と耐擦傷性を兼ね備えた被膜の形成が可
能であり、目的に応じて、被膜中の金属酸化物とフッ素
系樹脂の比率を変えることにより撥水性と耐擦傷性を制
御することができる。また、本発明の製造方法で得られ
た撥水性ハードコート被膜は、成膜後の熱処理により、
大気中の水分によって白濁して透明性が失われたり、水
との接触によりクラックが発生するようなことはない。
従って、本発明の製造方法で得られた撥水性ハードコー
ト被膜は、レンズ、ミラー、自動車、建築用窓ガラスや
その他の透明基材の保護膜として利用でき、さらにフッ
素系樹脂を含有することにより可撓性を有するので、農
業用フィルムなどの防汚フィルムとして使用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される多元同時スパッタリング装
置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に使用される一元スパッタリング装置の
一例を示す模式図である。
【図3】本発明に使用される複合ターゲットを示す側面
図である。
【図4】本発明に使用される複合ターゲットを示す平面
図である。
【符号の説明】
A,B ターゲット C 基材 1 真空槽 2 マッチングボックス 3 高周波電源 4 直流電源 5 スパッターテーブル 6 モーター 7 シャッター 8 ガス導入バルブ 9 マスフローコントローラー 10 スパッター室 11 マッチング回路 12 高周波電源 13 基板ホルダー 14 シャッター 15 ガス導入バルブ 16 マスフローコントローラー 17 加熱用ランプ 28 複合ターゲット

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属酸化物とフッ素系樹脂の複合膜をスパ
    ッタリング法により基材上に設けた後、該複合膜を50
    〜400℃で熱処理する撥水性ハードコート被膜の製造
    方法であって、上記金属酸化物の金属のフッ化物の沸点
    または昇華温度が50℃以上であることを特徴とする撥
    水性ハードコート被膜の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6419804B1 (en) * 2000-11-22 2002-07-16 Hsu Cheng-Shen Contamination-resistant thin film deposition method
US11655347B2 (en) 2018-01-18 2023-05-23 Hyomen Kaimen Kobo Corporation Organic-inorganic hybrid membrane

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