JPH07207129A - ポリエステル組成物 - Google Patents

ポリエステル組成物

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JPH07207129A
JPH07207129A JP93494A JP93494A JPH07207129A JP H07207129 A JPH07207129 A JP H07207129A JP 93494 A JP93494 A JP 93494A JP 93494 A JP93494 A JP 93494A JP H07207129 A JPH07207129 A JP H07207129A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 カルボキシル基を有する高分子化合物で表面
処理された、平均粒径が0.005〜2.0μmの不活
性粒子を0.01〜10重量%含有することを特徴とす
るポリエステル組成物。 【効果】 本発明のポリエステル組成物は特にフィルム
とした場合、耐摩耗性、耐スクラッチ性に優れており、
磁気記録媒体用途などにおいて好適に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステル組成物に
関する。さらに詳しくは、耐摩耗性および耐スクラッチ
性(傷が付きにくい性質のことをいう)に優れたフィル
ムを得るのに適したポリエステル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポ
リエチレンテレフタレ−トは優れた力学特性、化学特性
を有しており、フィルム、繊維などの成形品として広く
用いられている。しかしながら、ポリエステルは成形品
に加工する際に、滑り性不足のため生産性が低下すると
いう問題があった。このような問題を改善する方法とし
て、従来よりポリエステル中に不活性粒子を分散せし
め、成形品の表面に凹凸を付与する方法が行われてい
る。例えば、特開昭52−86471号公報では比表面
積の規定された無機粒子、特開昭59−171623号
公報では0.1〜1μmの球形のコロイダルシリカを用
いる方法が提案されている。これらの方法は滑り性の問
題解決には有効であるが、成形品とした場合には耐摩耗
性、耐スクラッチ性を満足すべきレベルとすることがで
きない。
【0003】成形品、例えば磁気テープ用フィルムの耐
摩耗性が低い場合、磁気テープの製造工程中にフィルム
の摩耗粉が発生しやすくなり、磁性層を塗布する工程で
塗布抜けが生じ、その結果、磁気記録の抜け(ドロップ
・アウト)などを引き起こす。また、磁気テープを使用
する際は多くの場合、記録、再生機器などと接触しなが
ら走行させるため、接触時に生じる摩耗粉が磁性体上に
付着し、記録、再生時に磁気記録の抜け(ドロップ・ア
ウト)を生じる。そして成形品、例えば磁気テープ用フ
ィルムの耐スクラッチ性が低い場合、磁気テープの製造
工程中で異物が発生し、容易にフィルム表面上に傷を作
り、その結果、磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)な
どを引き起こしたり、磁気テープ高速走行時にフィルム
表面に容易に傷を作る。すなわち、磁気テープ用フィル
ムは、磁気テープ製造工程中においてもまた磁気テープ
として使用する場合においても、滑り性とともに耐摩耗
性、耐スクラッチ性を有することが必要である。
【0004】従来からこれらの問題を解決すべく、特殊
な粒子を使用する方法や不活性粒子の表面処理の検討が
なされており、例えば、前者では特開昭62−1720
31号公報(シリコン粒子)、特開平2−129230
号公報(デルタ型酸化アルミニウム粒子)など、また後
者については特開昭63−221158号公報や特開昭
63−280763号公報(コロイダルシリカ粒子表面
をグリコール基で改質する)、特開昭63−31234
5号公報(コロイダルシリカ粒子表面をカップリング剤
で改質する)、特開昭62−235353号公報(炭酸
カルシウム粒子をリン化合物で表面処理する)、特開平
2−222887号公報(スルホン酸基、またはカルボ
キシル基を有する芳香族化合物による表面処理)などが
提案されているが、いまだ耐摩耗性、耐スクラッチ性の
改良効果は不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記し
た従来技術の欠点を解消することにあり、特定の化合物
により表面処理した不活性粒子をポリエステルに配合せ
しめてフィルムを形成した場合、滑り性、耐摩耗性およ
び耐スクラッチ性に優れているフィルムを得ることがで
きる組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、カルボキシル酸基を有する高分子化合物で表面処理
された、平均粒径が0.005〜2.0μmの不活性粒
子を0.01〜10重量%含有することを特徴とするポ
リエステル組成物によって達成できる。
【0007】本発明におけるポリエステルは、フィルム
を成形しうるものならどのようなものでもよく、例えば
ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレ
フタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタ
レート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフ
ェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなど
が好ましく挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート
あるいはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
シレートが特に好ましい。
【0008】これらのポリエステルには、共重合成分と
してアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル
酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸などのジカルボ
ン酸およびそのエステル形成性誘導体、ポリエチレング
リコール、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリ
コールなどのジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキ
シ)安息香酸などのオキシカルボン酸およびそのエステ
ル形成性誘導体などを共重合してもよい。
【0009】本発明における不活性粒子の種類は特に限
定されない。すなわち、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化
ジルコニウム、酸化アルミニウム、カオリナイト、タル
ク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、
硫化亜鉛などの無機粒子や、ジビニルベンゼン重合体、
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの有機高分子
粒子を挙げることができる。
【0010】これらの粒子の中でも、酸化ジルコニウ
ム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタンが分散
性、PETとの親和性などの面で特に好ましい。
【0011】酸化ジルコニウムは、例えばオキシ塩化ジ
ルコニウムから水酸化ジルコニウムを経て焼成して得る
方法や塩化ジルコニウムを気相火炎加水分解して得る方
法があり、また焼成温度などの条件により、非晶質のも
のから単斜晶、正方晶、立方晶あるいはそれらの混合し
たものなど種々の結晶系のものが得られる。特に水酸化
ジルコニウムを焼成して得られる単斜晶が50重量%以
上含まれる酸化ジルコニウムが好ましい。
【0012】また、酸化アルミニウムは、例えば塩化ア
ルミニウムに水素、酸素を吹き込んで気相中で加水分解
するとδ型酸化アルミニウムが、同じく塩化アルミニウ
ムに水蒸気を吹き込んで気相中で加水分解すると非晶質
酸化アルミニウムが、みょうばんの熱分解では、γ型酸
化アルミニウムが、みょうばんを炭酸塩中和後熱分解す
るとθ型やγ型、δ型酸化アルミニウムができ、アルミ
ニウムアルコキシドを加水分解して得られたベーマイト
を焼成するとθ型やγ型酸化アルミニウムができ、ま
た、アルミニウム金属ペレットを水中で火花放電させる
ことで得られたギブサイトを焼成することにより、η型
やθ型、γ型酸化アルミニウムを合成することが可能で
ある。
【0013】また、このようにして合成した活性アルミ
ナを1300℃以上の高温で焼成するといずれもα型酸
化アルミニウムを得ることができる。なお、α型酸化ア
ルミニウムはこのような方法のみならず、通常のバイヤ
ー法と呼ばれる方法によっても合成することができる。
【0014】主としてこのような結晶構造の決定は、こ
れらの合成方法の選択と焼成温度、時間などに左右され
る。特にアルミニウムアルコキシドを加水分解して得ら
れたベーマイトを焼成して合成した活性アルミナもしく
はさらに高温で焼成したα型酸化アルミニウムの中から
選ばれた一種または二種以上の結晶構造を持つ酸化アル
ミニウム粒子が好ましい。
【0015】さらに、酸化ケイ素は、例えばハロゲン化
ケイ素を高温気相加水分解(火炎加水分解法)する乾式
法、ケイ酸ナトリウムを硫酸で直接分解する水ガラス法
や、シリコンアルコキシドを加水分解するアルコキシド
法などがある。
【0016】本発明における不活性粒子の平均粒径は
0.005〜2.0μmであることが必要であり、好ま
しくは1.0μm以下である。平均粒径が2.0μmよ
り大きい場合、フィルムにした時の表面粗さが大きくな
り、磁気テープとした時の電気特性の低下につながる。
逆に0.005μmより小さい場合は、本発明の目的と
する耐摩耗性、耐スクラッチ性が不十分となる。
【0017】本発明における不活性粒子の含有量は0.
01〜10重量%であることが必要であり、好ましくは
0.05〜5重量%である。含有量が0.01重量%未
満である場合、本発明の目的とする耐摩耗性、耐スクラ
ッチ性が発現せず、10重量%を越えて含有する場合に
は、粒子同士の凝集が生じ、粗大粒子がフィルムの表面
粗さを著しく低下させることになる。
【0018】本発明における不活性粒子の比表面積は、
10m2 /g以上であることが好ましく、さらには、2
0m2 /g以上、特に100m2 /g以上であることが
好ましい。
【0019】本発明における不活性粒子は、カルボキシ
ル基を有する高分子化合物で表面処理されていることを
特徴とする。
【0020】本発明におけるカルボキシル基を有する高
分子化合物とは、繰り返し単位中に少なくとも一つのカ
ルボキシル基を有する高分子化合物であれば特に限定さ
れない。また、このような高分子化合物は、水、または
グリコ−ルに可溶であることが好ましい。
【0021】該高分子化合物の分子量は、粒子との反応
性、PETとの親和性などの面から1000〜1000
00であることが好ましい。
【0022】また、該高分子化合物は、カルボキシル基
の一部がアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩になって
いてもよい。
【0023】このような高分子化合物としては、例え
ば、ポリイタコン酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
酸、スチレンスルホン酸−無水マレイン酸共重合体、ス
チレンスルホン酸−マレイン酸共重合体、スチレンスル
ホン酸−アクリル酸共重合体、スチレンスルホン酸−メ
タクリル酸共重合体等があげられる。
【0024】中でも、カルボキシル基を構成単位中に2
つ以上有しているカルボキシル化ポリメタクリル酸、ス
チレンスルホン酸−無水マレイン酸共重合体、スチレン
スルホン酸−マレイン酸共重合体、などが好ましい。
【0025】不活性粒子を該化合物で表面処理する方法
としては特に限定されないが、例えば不活性粒子を水あ
るいはエチレングリコールなどの分散媒に分散したスラ
リーとしておき、そこへ該化合物またはその水溶液、エ
チレングリコール溶液などを添加する方法が好ましい。
また、粒子と該化合物の吸着または結合を促進するため
に、該化合物添加スラリーを撹拌あるいは加熱、減圧条
件下に保持してもよい。 スラリー中に添加する場合に
おいて、カルボキシル酸基を有する高分子化合物の不活
性粒子に対する添加量は、少なすぎると十分な効果が得
にくかったり、多すぎると、再凝集しやすくなったりす
るので、0.01〜30重量%とするのが好ましく、よ
り好ましくは0.05〜20重量%、さらには0.1〜
10重量%であることが好ましい。
【0026】本発明におけるカルボキシル酸基を有する
高分子化合物は、2種以上を併用してもよい。また、本
発明の効果をさまたげない範囲でリン化合物、カップリ
ング剤、スルホン酸基を有する化合物などの処理剤を併
用することもできる。
【0027】該表面処理粒子のポリエステルへの配合に
あたっては、重合反応系に直接添加する方法以外にも、
例えば粒子を溶融状態のポリエステルへ練り込む方法な
どでも可能である。前者の重合反応系に添加する際の添
加時期は任意であるが、エステル交換反応前から重縮合
反応の減圧開始前までの間が好ましい。後者の練り込み
の場合は、粒子を乾燥してポリエステルに練り込む方法
でもスラリー状態で減圧しながら直接練り込む方法でも
構わない。
【0028】本発明においては、本発明のカルボキシル
基を有する高分子化合物で表面処理された不活性粒子以
外に、本発明の目的を損わない範囲においてフィルムと
した時の滑り性を得るために、前記化合物で表面処理さ
れたもの以外の別の不活性粒子を添加しても構わない。
【0029】このような不活性粒子としては、例えば酸
化ケイ素、酸化チタン、カオリナイト、タルク、炭酸カ
ルシウムなどの無機粒子、ジビニルベンゼン重合体、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチルビニルベン
ゼン−ジビニルベンゼン共重合体などの有機高分子粒
子、またはポリエステル反応中に析出させた内部粒子な
どが挙げられる。
【0030】該不活性粒子の平均粒径は、本発明の表面
処理された不活性粒子よりも大きいことが好ましく、
0.1μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
【0031】また該不活性粒子の含有量はポリエステル
に対して0.005〜10重量%であることが好まし
い。
【0032】本発明のポリエステル組成物は、例えば次
のような方法によってフィルムに成形することができ
る。
【0033】重合反応で得られたポリエステル組成物の
ペレットを十分乾燥した後、ただちに押出機に供給す
る。このペレットを260〜350℃で溶融し、ダイよ
りシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却、
固化させて未延伸フィルムを得る。次に、この未延伸フ
ィルムを二軸延伸するのが好ましい。延伸方法として
は、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、あるいはこのよ
うに二軸に延伸したフィルムを再度延伸する方法などを
用いてもよい。ポリエステルの組成によるが、磁気記録
媒体用フィルムとして十分な弾性率を得るには最終的な
延伸面積倍率(縦倍率×横倍率)を6以上とすることが
好ましい。また、フィルムの熱収縮率を小さく保つため
150〜260℃の温度範囲で0.1〜60秒程度の熱
処理を行うことが好ましい。
【0034】本発明におけるポリエステル組成物は、一
般成型品、繊維等特に用途は限定されないが、特にフィ
ルムに用いることが好ましい。
【0035】本発明のポリエステル組成物から得られる
フィルムは単層フィルムとして、また積層フィルムとし
てでも用いられる。積層フィルムの場合、少なくとも一
層を構成するフィルムとして本発明のフィルムを用いる
と、フィルム表面の耐摩耗性、耐スクラッチ性が良好と
なるので好ましい。さらには、耐スクラッチ性、ダビン
グ性の点から、カルボキシル基を有する高分子化合物で
表面処理された不活性粒子を有するフィルムが、積層フ
ィルムの最外層の1つであることが好ましい。フィルム
の積層方法としては、溶融共押出しなど公知の方法を用
いることができる。また、積層部粒子の含有量は0.0
1〜10重量部が好ましく、特に0.5〜5重量部が好
ましい。また単膜の場合と同様に、フィルムとした時の
滑り性を得るために、積層部に前記化合物で表面処理さ
れたもの以外の別の不活性粒子を添加してもよい。
【0036】該不活性粒子の平均粒径は、本発明の表面
処理された不活性粒子よりも大きいことが好ましく、
0.1μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
【0037】この時、該粒子の平均粒径dと、該粒子を
含有するフィルム層厚みtとの関係が、0.2≦t/d
≦10、好ましくは、0.5≦t/d≦5、さらには、
0.5≦t/d≦3であることが好ましい。また、本発
明におけるカルボキシル基を有する高分子化合物で表面
処理された不活性粒子を含有する層が、最外層として存
在し、その最外層の厚さを0.005〜3.0μmにす
ることがフィルム表面の平坦性、易滑性が特に良好とな
り、さらには、0.01〜1μm,特に0.02〜0.
5μmであることが好ましい。
【0038】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳細に説明する。 (A)粒子特性 (1)平均粒径 粒子をポリエステルに配合し、0.2μm厚みの超薄切
片にカッティング後、透過型電子顕微鏡で観察し、凝集
状態の二次粒子1,000個の数基準の円相当平均径
(μm)で評価した。
【0039】(2)粒子の比表面積 B.E.T.法にしたがって測定した。
【0040】(B)フィルム特性 (1)表面粗さRa(μm) JIS B−0601に準じサーフコム表面粗さ計を用
い、針径2μm、荷重70mg、測定基準長0.25m
m、カットオフ0.08mm条件下で測定した中心線平
均粗さを採用した。
【0041】(2)耐摩耗性 フィルムを細幅にスリットしたテープ状ロールを、ステ
ンレス鋼SUS−304製ガイドロールに一定張力で高
速、長時間擦り付け、ガイドロール表面に発生する白粉
量によって次のようにランク付けした。 A級……白粉発生まったくなし B級……白粉発生少量あり C級……白粉発生やや多量あり D級……白粉発生多量あり (3)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたも
のを、テープ走行性試験機を使用してガイドピン(表面
粗さ:Raで0.1μm)上で走行させる。◎(走行速
度1,000m/分、走行回数15パス、巻き付け角6
0°、走行張力65g)。この時、フィルムに入った傷
を顕微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あ
たり2本未満はA級、2本以上3本未満はB級、3本以
上10本未満はC級、10本以上はD級とした。
【0042】実施例1 平均粒径0.15μmの酸化ジルコニウム粒子(粒子
1)を10重量部、エチレングリコール90重量部およ
び次式のような化学構造を有するポリイタコン酸を0.
1重量部を混合して常温下2時間ディゾルバーで撹拌処
理し、表面処理酸化ジルコニウム粒子のエチレングリコ
ールスラリー(A)を得た。
【化1】 また、平均粒径0.6μmの炭酸カルシウム粒子(粒子
2)を10重量部、エチレングリコール90重量部を常
温下2時間ディゾルバーで撹拌処理し炭酸カルシウム粒
子のエチレングリコールスラリー(B)を得た。
【0043】他方、ジメチルテレフタレート100重量
部、エレチングリコール64重量部に、触媒として酢酸
マグネシウム0.06重量部を加えてエステル交換反応
を行った後、反応生成物に先に調製したスラリー(A)
3重量部およびスラリー(B)3重量部を、触媒の三酸
化アンチモン0.03重量部、および耐熱安定剤として
トリメチルホスフェート0.03重量部を加え重縮合反
応を行い、ポリエチレンテレフタレートを得た。透過型
電子顕微鏡による酸化ジルコニウム粒子の平均粒径は
0.17μmであった。このポリエチレンテレフタレー
ト組成物を290℃で溶融、押出しし、その後、90℃
で縦横それぞれ3倍延伸し、さらにその後、220℃で
15秒間熱処理し、厚さ15μmのポリエチレンテレフ
タレート二軸延伸フィルムを得た。このフィルムを評価
したところ、Ra=0.020μm、耐摩耗性評価A
級、耐スクラッチ性A級であり、耐摩耗性および耐スク
ラッチ性が非常に優れたフィルムであった。
【0044】実施例2〜5 ポリエチレンテレフタレート組成物中の粒子の粒子種、
平均粒径、添加量、表面処理剤などを変更し、実施例1
と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルム得た。こ
れらのフィルムの評価結果を表1に示した。これらのフ
ィルムが良好な耐摩耗性および耐スクラッチ性を有して
いることがわかる。
【0045】実施例6 粒子を添加しない以外は、全く実施例1と同様にしてポ
リエチレンテレフタレート組成物(X)を得た。実施例
1で粒子1をアルコキシド法酸化アルミニウムにする以
外は実施例1と全く同様にしてポリエチレンテレフタレ
ート組成物(Y)を得た。このYを(X)の上に溶融共
押出しして積層未延伸フィルムを得た。この時の押出し
温度は290℃とした。その後、90℃で縦横にそれぞ
れ3倍延伸し、さらにその後、220℃で20秒間熱処
理し、積層二軸延伸フィルムを得た。
【0046】(X)、(Y)各層の厚みは、それぞれ8
μm、1.0μmであった。このフィルムを評価したと
ころ、表1に示すようにRa=0.021μm、耐摩耗
性評価A級、耐スクラッチ性評価A級であり、耐摩耗性
および耐スクラッチ性に非常に優れたフィルムであっ
た。
【0047】比較例1〜2 表面処理剤の有無、平均粒径、粒子含有量を変更し、実
施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを
得た。これらのフィルムの評価結果を表1に示した。こ
れらのフィルムは、耐摩耗性、耐スクラッチ性をともに
満足できるフィルムではなかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物は、特定の
化合物により表面処理された不活性粒子を含有し、特に
フィルムとした場合、耐摩耗性,耐スクラッチ性に優れ
磁気記録媒体用途などに好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する高分子化合物で
    表面処理された、平均粒径が0.005〜2.0μmの
    不活性粒子を0.01〜10重量%含有することを特徴
    とするポリエステル組成物。
  2. 【請求項2】 不活性粒子の比表面積が10m2 /g以
    上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル
    組成物。
  3. 【請求項3】 不活性粒子が、酸化ケイ素、酸化チタ
    ン、酸化アルミニウム、及び、酸化ジルコニウムよりな
    る群から選ばれた粒子であることを特徴とする請求項1
    または2に記載のポリエステル組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100435943B1 (ko) * 1997-12-10 2004-07-16 니폰 쇼쿠바이 컴파니 리미티드 실리카기재입자및그의제조방법
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