JPH07207093A - 電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物

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JPH07207093A
JPH07207093A JP407294A JP407294A JPH07207093A JP H07207093 A JPH07207093 A JP H07207093A JP 407294 A JP407294 A JP 407294A JP 407294 A JP407294 A JP 407294A JP H07207093 A JPH07207093 A JP H07207093A
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JP
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vinyl chloride
chloride resin
alcohol
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propylheptanol
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Nobutaka Ikeda
信隆 池田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 揮発性が著しく低く可塑化効率、耐寒性、耐
熱老化性、体積抵抗率等の諸性質が良好な電線被覆用塩
化ビニル系樹脂組成物の提供。 【構成】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑
剤30〜100重量部、安定剤0.1〜10重量部、及
び滑剤を0.1〜2重量部配合してなる塩化ビニル系樹
脂組成物において、可塑剤として2−プロピルヘプタノ
ールまたは2−プロピルヘプタノールと4−メチル−2
−プロピルヘキサノールとの混合物であって4−メチル
−2−プロピルヘキサノールの含有量が30重量%以下
であるものとピロメリット酸とのテトラエステルを用い
る電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、揮発性が極めて低く、
耐熱性及び耐寒性が良好で、加工性及び体積固有抵抗が
改良された電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂組成物は各種の電気・
電子機器や自動車等の配線用の電線被覆材として多く用
いられている。一般に、これらの電線被覆用塩化ビニル
系樹脂組成物には、可塑剤としてフタル酸エステル類が
主に使用されているが、家庭用電化製品、OA機器等の
小型・軽量化に伴い、電線についても細線化が進めら
れ、被覆層も薄くなっている。そのため、被覆層にも従
来以上の耐久性、即ち耐熱老化性、低揮発性と、薄い被
覆層でも十分絶縁が可能なように、高い体積抵抗率が要
求されるようになっている。また、自動車用の電線につ
いても、自動車使用年数の長期化に対応するための耐久
性の向上や、安全のための耐フォギング性の向上、即ち
揮発性の低減が求められている。
【0003】従来、この耐久性を改良した電線被覆用塩
化ビニル系樹脂組成物用途にはトリメリット酸トリエス
テル系可塑剤が用いられており、特にトリメリット酸ト
リ−2−エチルヘキシルが多く用いられてきた。しかし
ながら、上述のような品質要求の高度化に伴い、更に揮
発性の低い可塑剤として、ピロメリット酸テトラエステ
ル系の可塑剤が注目されており、特にピロメリット酸の
イソノニルアルコール又はイソデシルアルコールの各単
独または混合テトラエステルが特公平5−66938号
に提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしピロメリット酸
テトライソノニル(以下「TiNPM」と記す)では、
揮発性の点で十分とは言えず、他方ピロメリット酸テト
ライソデシル(以下「TiDPM」と記す)は揮発性は
低いものの、耐寒性、可塑化効率が劣るという問題点が
ある。そこで、TiNPMよりも揮発性が低く、TiD
PMより耐寒性が優れているピロメリット酸系可塑剤と
これを用いた高性能電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物
の出現が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な従来技術の状況に鑑み、揮発性が著しく低くかつ耐寒
性が優れた電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物を見出す
べく鋭意検討を重ねたところ、2−プロピルヘプタノー
ルまたはこれを主成分とする炭素数10のアルコールと
ピロメリット酸とのテトラエステルを可塑剤として用い
た塩化ビニル系樹脂組成物が良好な結果を与えることを
見出し、本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明の要旨は、塩化ビニル系樹脂
100重量部に対し、可塑剤30〜100重量部、安定
剤0.1〜10重量部、及び滑剤を0.1〜2重量部配
合してなる塩化ビニル系樹脂組成物において、可塑剤と
して2−プロピルヘプタノールまたは2−プロピルヘプ
タノールと4−メチル−2−プロピルヘキサノールとの
混合物(以下、合わせて「C10アルコール」という)
であって4−メチル−2−プロピルヘキサノールの含有
量が30重量%以下であるものとピロメリット酸とのテ
トラエステルを用いることを特徴とする電線被覆用塩化
ビニル系樹脂組成物、に存する。
【0007】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物は、塩化ビニル
系樹脂、可塑剤、安定剤、及び滑剤を必須の成分として
構成される。上記塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルの
単独重合体のほか、塩化ビニルを主成分とする他の共重
合可能なコモノマーとの共重合体等、塩化ビニルを主な
構成単位とする樹脂をいう。共重合可能なコモノマーと
しては、例えばエチレン、プロピレン、アクリロニトリ
ル、酢酸ビニル、マレイン酸またはそのエステル、アク
リル酸またはそのエステル、メタクリル酸またはそのエ
ステル等が挙げられる。
【0008】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、可
塑剤として上記C10アルコールとピロメリット酸との
テトラエステルを使用する。このエステルは上記のC1
0アルコールと無水ピロメリット酸またはピロメリット
酸とを、常法によりエステル化反応させて得ることがで
きる。この可塑剤は本発明の目的を損なわない範囲で他
の可塑剤と併用しても構わないが、可塑剤全量中に占め
るC10アルコールのピロメリット酸テトラエステルの
割合は、50重量%以上が好ましい。
【0009】上記C10アルコールは、その中の2−プ
ロピルヘプタノール/4−メチル−2−プロピルヘキサ
ノール重量比(以下「C10アルコール組成比」と記
す)が、100/0〜70/30、好ましくは95/5
〜70/30、より好ましくは95/5〜80/20の
範囲にあるものを用いる。C10アルコール組成比が、
70/30よりも2−プロピルヘプタノールが少ないも
のになると、揮発性及び耐寒性が悪化する傾向がある。
また、C10アルコール組成比が、95/5よりも2−
プロピルヘプタノールが多いものになると、成形加工性
が低下気味となる。
【0010】C10アルコール組成比としては95/5
〜80/20の範囲にあるときが、特に、揮発性が低
く、耐寒性、加工性の優れた、良好な性質の可塑剤を与
えることができ、その結果、優れた性質の電線被覆用塩
化ビニル系樹脂組成物を得ることができる。本発明の電
線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物で用いられる可塑剤量
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して30〜10
0重量部、好ましくは45〜80重量部である。可塑剤
の配合割合が30重量部未満では、耐寒性、成形加工性
改良等の効果が発現されず、また100重量部を超える
と電線被覆として要求される難燃性能が不足する傾向と
なりやすい。
【0011】本発明で用いる安定剤としては、塩化ビニ
ル系樹脂用の安定剤であれば、本発明の目的を損なわな
い範囲で特に制限はなく、例えば、三塩基性硫酸鉛、二
塩基性フタル酸鉛、オルトケイ酸鉛−シリカゲル共沈
物、二塩基性ステアリン酸鉛、カドミウム−バリウム系
安定剤、バリウム−亜鉛系安定剤、カルシウム−亜鉛系
安定剤、錫系安定剤、及びマグネシウム、アルミニウ
ム、ケイ素等の無機塩を主成分とした安定剤等を用いる
ことができる。安定剤の使用量は、塩化ビニル系樹脂1
00重量部当たり0.1〜10重量部、好ましくは1〜
5重量部の範囲で使用する。この安定剤の使用量が0.
1重量部未満では、熱安定性の改良効果が不十分であ
り、また、10重量部を超えた量を使用しても、その効
果は使用量に見合っては増加せず不経済であるのみなら
ず、プレートアウト等の悪影響の恐れもある。
【0012】また、滑剤としては、高級脂肪酸またはそ
の金属塩類、各種パラフィン、高級アルコール類、天然
ワックス類、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステル、
または脂肪酸アミド等が使用でき、その使用量としては
塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.1〜2重量部
である。滑剤の使用量が0.1重量部未満では、滑性向
上効果が不十分であり、逆に2重量部を超えて使用する
と、配合物の滑性が高くなりすぎて混練が不十分となり
フィッシュアイ(成形品表面のブツ)等の悪影響が出や
すくなる。
【0013】この電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述の必須成分
の他に通常塩化ビニル系樹脂に使用される添加剤、例え
ば、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、着色
剤、離型剤等を使用してもよい。更に、必要に応じキレ
ータ−類、架橋剤、架橋助剤を添加してもよい。充填剤
としては、例えば、炭酸カルシウム、クレイ、タルク、
シリカ系微粉末、水酸化アルミニウム等が、また、難燃
剤としては、例えば、三酸化アンチモン、ホウ酸バリウ
ム、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、及び塩素化ポリエチレンそ
の他のハロゲン系難燃剤等を挙げることができる。
【0014】本発明の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成
物は、塩化ビニル系樹脂に上述の必須の配合成分、及び
上記した各種の添加剤を必要に応じ添加・混合して製造
することができる。混合機としては、塩化ビニル系樹脂
の加工に通常使用される、ブレンダー、スーパーミキサ
ー、ミル、バンバリーミキサー等が用いられる。また、
本発明の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物を用いた被
覆電線は、例えば銅線等の未被覆の電線または既被覆電
線にこの組成物からなる樹脂層を押出機により押出被覆
する等の方法で被覆し製造できる。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施の態様を実施例を用いて更
に詳しく説明するが、本発明は、その要旨を超えない限
り、以下の実施例により限定されるものではない。な
お、実施例、比較例中「部」、「%」とあるのは、それ
ぞれ「重量部」、「重量%」を示す。 <エステルの調製>
【0016】実施例1 無水ピロメリット酸218.0g(1モル)、C10ア
ルコールとして2−プロピルヘプタノール790.0g
(5.00モル)(C10アルコール組成比:100/
0)、テトライソプロピルチタネート0.44g(0.2%/
無水ピロメリット酸) を温度計、窒素導入管,攪拌機,
Dean-Stark型分水器(以下、単に「分水器」と言う)、
及び還流冷却器を付した内容積2リットルのフラスコに
仕込み、窒素気流下で攪拌しながら加熱し、反応液温度
を210℃まで昇温し反応を開始した。引き続き、生成
水を分水器により連続的に系外へ除去し、反応液の酸価
が1mgKOH/g以下になるまで反応を継続した。反応終了
後、未反応のC10アルコールを系を減圧にして回収し
た後、常法により中和、水洗、減圧脱水し、C10アル
コールのピロメリット酸テトラエステル812gを得
た。
【0017】得られたエステルは、外観は帯微黄色透明
の油状で良好であり、色相30APHA、酸価0.1mgKOH/
g、エステル価は276mgKOH/g、粘度508mPa ・ s
(cps)(25 ℃) 、比重0.9680(20/20℃) 、屈折率
1.4815(20 ℃) であり、ケン化分解物のガスクロ
マトグラフ分析(以下「GLC」という)での保持時間
は2−プロピルヘプタノールと一致した。
【0018】実施例2 C10アルコールとして、2−プロピルヘプタノール7
66.3g(4.850モル)、4−メチル−2−プロ
ピルヘキサノール23.7g(0.150モル)(C1
0アルコール組成比:97/3)を用いたこと以外は実
施例1と同様に反応・後処理を行い、C10アルコール
のピロメリット酸テトラエステル809gを得た。得ら
れたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状で良好であ
り、色相35APHA、酸価0.1mgKOH/g、エステル価は
275mgKOH/gで、ケン化分解物のGLCでの保持時間
はそれぞれ2−プロピルヘプタノール及び4−メチル−
2−プロピルヘキサノールと一致した。
【0019】実施例3 C10アルコールとして、2−プロピルヘプタノール7
50.5g(4.750モル)、4−メチル−2−プロ
ピルヘキサノール39.5g(0.250モル)(C1
0アルコール組成比:95/5)を用いたこと以外は実
施例1と同様に反応・後処理を行い、C10アルコール
のピロメリット酸テトラエステル810gを得た。得ら
れたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状で良好であ
り、色相30APHA、酸価0.1mgKOH/g、エステル価は
275mgKOH/gで、ケン化分解物のGLCでの保持時間
はそれぞれ2−プロピルヘプタノール及び4−メチル−
2−プロピルヘキサノールと一致した。
【0020】実施例4 C10アルコールとして、2−プロピルヘプタノール6
71.5g(4.250モル)、4−メチル−2−プロ
ピルヘキサノール118.5g(0.750モル)(C
10アルコール組成比:85/15)を用いたこと以外
は実施例1と同様に反応・後処理を行い、C10アルコ
ールのピロメリット酸テトラエステル808gを得た。
得られたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状で良好
であり、色相40APHA、酸価0.1mgKOH/g、エステル
価は274mgKOH/gで、ケン化分解物のGLCでの保持
時間はそれぞれ2−プロピルヘプタノール及び4−メチ
ル−2−プロピルヘキサノールと一致した。
【0021】実施例5 C10アルコールとして、2−プロピルヘプタノール5
53.0g(3.500モル)、4−メチル−2−プロ
ピルヘキサノール237.0g(1.500モル)(C
10アルコール組成比:70/30)を用いたこと以外
は実施例1と同様に反応・後処理を行い、C10アルコ
ールのピロメリット酸テトラエステル811gを得た。
得られたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状で良好
であり、色相40APHA、酸価0.1mgKOH/g、エステル
価は276mgKOH/gで、ケン化分解物のGLCでの保持
時間はそれぞれ2−プロピルヘプタノール及び4−メチ
ル−2−プロピルヘキサノールと一致した。
【0022】比較例1 C10アルコールに代えて2−エチルヘキサノール66
0g(5.00モル)を使用したこと以外は実施例1と
同様に反応・後処理を行い、2−エチルヘキサノールの
ピロメリット酸テトラエステル(以下「TOPM」とい
う)700gを得た。
【0023】得られたエステルは、外観は帯微黄色透明
の油状で良好であり、色相30APHA、酸価0.1mgKOH/
g、エステル価は320mgKOH/g、粘度406mPa ・ s
(cps)(25 ℃) 、比重0.9900(20/20℃) 、屈折率
1.4827(20 ℃) であった。
【0024】比較例2 C10アルコールに代えてイソノニルアルコール(ブテ
ン二量体のオキソ反応により製造されたもの)720g
(5.00モル)を使用したこと以外は実施例1と同様
に反応・後処理を行い、イソノニルアルコールのピロメ
リット酸テトラエステル(TiNPM)756gを得
た。得られたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状で
良好であり、色相35APHA、酸価0.1mgKOH/g、エス
テル価は295mgKOH/g、粘度580mPa ・ s(cps)(25
℃) 、比重0.9797(20/20℃) 、屈折率1.484
0(20 ℃) であった。
【0025】比較例3 C10アルコールに代えてイソデシルアルコール(プロ
ピレン三量体のオキソ反応により製造されたもの)79
0g(5.00モル)を使用したこと以外は実施例1と
同様に反応・後処理を行い、イソデシルアルコールのピ
ロメリット酸テトラエステル(TiDPM)810gを
得た。得られたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状
で良好であり、色相30APHA、酸価0.1mgKOH/g、エ
ステル価は276mgKOH/g、粘度410mPa ・ s(cps)(2
5 ℃) 、比重0.9595(20/20℃) 、屈折率1.47
86(20 ℃) であった。
【0026】比較例4 C10アルコールとして、2−プロピルヘプタノール3
95.0g(2.500モル)、4−メチル−2−プロ
ピルヘキサノール395.0g(2.500モル)(C
10アルコール組成比:50/50)を用いたこと以外
は実施例1と同様に反応・後処理を行い、C10アルコ
ールのピロメリット酸テトラエステル807gを得た。
得られたエステルは、外観は帯微黄色透明の油状で良好
であり、色相45APHA、酸価0.1mgKOH/g、エステル
価は274mgKOH/gで、ケン化分解物のGLCでの保持
時間はそれぞれ2−プロピルヘプタノール及び4−メチ
ル−2−プロピルヘキサノールと一致した。 <可塑剤の評価方法>
【0027】
【表1】(1) 外観 肉眼にて透明性及び
不純物混入の有無を調べる。 (2) 色相 JIS K6751に準拠し
た。 (3) 酸価 JIS K6751に準拠し
た。 (4) エステル価 JIS K6751に準拠し
た。
【0028】<物性の評価方法> (1) 加工性の評価 実施例及び比較例のピロメリット酸テトラエステルを下
記の配合にて混合し、ブラベンダー・プラストグラフ
(Brabender 社製、プラスチコーダーPLV151型、
機械的トルク検出方式)を用いて、セル温度175℃、
回転数80rpm にて混練し、最高のトルク値に到達する
までの時間(これを「ゲル化時間」として表した)を測
定した。ゲル化時間が短いものほど加工性が良いものと
判定した。評価結果を表−1に示す。
【0029】
【表2】 塩化ビニル樹脂 100部 (三菱化成ビニル(株)製、商品名ビニカ(登録商標)37L、 平均重合度1050) ピロメリット酸テトラエステル 50 Cd−Ba系安定剤 1
【0030】(2) シート物性 実施例及び比較例のピロメリット酸テトラエステルを可
塑剤として使用して、下記の配合で電線被覆用塩化ビニ
ル系樹脂組成物を調製した。
【0031】
【表3】 塩化ビニル樹脂 100部 (三菱化成ビニル(株)製、商品名ビニカ(登録商標)37H、 平均重合度1300) ピロメリット酸テトラエステル 50 炭酸カルシウム(備北粉化(株)製、商品名ソフトン1200)10 ステアリン酸バリウム 0.5 鉛系安定剤(品川化工(株)製、商品名TS−GM) 5
【0032】上記の配合物を、ビーカー中で予備混合し
た後、常法により180℃に温度調節した二本ミルロー
ル上で十分に混合し(5分間)、しかる後、所定の厚さ
となるようプレス加工(温度:180℃、予熱:1.9
6MPa(20kg/cm2) で2分間、プレス:19.6MPa(200k
g/cm2)で5分間)した。得られたシートを用いて、下記
の方法で物性を測定し、これらの電線被覆用塩化ビニル
系樹脂組成物の性能を評価した。結果を表−1に併せて
示す。
【0033】
【表4】引張試験 JIS K6723
に準拠した。 加熱後引張試験 JIS K6723に準拠し
た。 耐寒性(脆化温度) JIS K6723に準拠し
た。 体積抵抗率 JIS K6723に準拠し
た。
【0034】
【表5】
【0035】<結果の評価>上記実施例より、本発明の
電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物及びこれから成る成
形品(シート)について、以下の諸点が認められる。 可塑化効率:引張試験について、アルコール部分の炭
素数が同じTiDPMと同等以上の柔軟性・伸びを示し
ている。 耐熱老化性:加熱後引張試験における、136℃、7
日間放置後の機械物性の残率はTOPMやTiNPMよ
りやや良好で、TiDPMと同等である。また、揮発性
(重量損失)も小さく、耐熱老化性が優れている。但
し、C10アルコール組成比が、本発明の範囲外(50
/50)の比較例4では、揮発性が大きくなる傾向が見
られる。 耐寒性 :TiNPM、TiDPMのいずれよりも
優れた耐寒性を示している。但し、C10アルコール組
成比が本発明の範囲外(50/50)の比較例4では、
耐寒性が劣る傾向となる。 体積固有抵抗:TOPMより優れ、TiNPMと同等
で、TiDPMよりはいくらか低いが、実用上問題のな
い範囲である。 加工性 :C10アルコール組成比が95/5より
も4−メチル−2−プロピルヘキサノールが多い系で特
に良好な加工性を示している。
【0036】
【発明の効果】本発明の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組
成物は、その製造時の加工性が優れ、かつこれを電線被
覆に用いることにより揮発性が著しく低く、耐寒性、体
積抵抗率等の諸物性が良好で耐熱老化性が改善された塩
化ビニル被覆電線を得ることができる。中でも、C10
アルコール組成比が95/5〜70/30、特に95/
5〜80/20の範囲のものを用いて製造したエステル
を使うと、加工性及び耐寒性等の性質が特に良好な優れ
た電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、
    可塑剤30〜100重量部、安定剤0.1〜10重量
    部、及び滑剤を0.1〜2重量部配合してなる塩化ビニ
    ル系樹脂組成物において、可塑剤として2−プロピルヘ
    プタノールまたは2−プロピルヘプタノールと4−メチ
    ル−2−プロピルヘキサノールとの混合物(以下、合わ
    せて「C10アルコール」という)であって4−メチル
    −2−プロピルヘキサノールの含有量が30重量%以下
    であるものとピロメリット酸とのテトラエステルを用い
    ることを特徴とする電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 C10アルコール中の、2−プロピルヘ
    プタノールと4−メチル−2−プロピルヘキサノールと
    の重量比率が、95/5〜70/30である請求項1に
    記載の電線被覆用塩化ビニル系樹脂組成物。
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