JPH0720631Y2 - 時計の受支持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は時計の基板と共に、輪列等を軸支する受の支持
構造に関するものである。

〔従来の技術〕 従来は、時計の受部材を時計基板である地板に固着する
には、実願昭62-195701号に示されている実施例のよう
に締結用部材であるネジを３本以上配設するか、輪列の
軸受部に対して略対向するように２本のネジを配設し、
受と輪列等の機能部品の外れを防止するような構造が採
られていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記構成で小型モジュールを達成しよう
とすると、締結部材の配設スペースは他の構成部品と較
べて縮小化が難しいので、締結部材の配設により他の構
成部品は形状が複雑で加工工数が掛かり取り扱い性が悪
く、結果としてコストアップの要因となる。また、ネジ
締め工程は、雌ネジ穴へのネジ供給が倒れ易く立ち難い
ので、ネジ締めの際にネジが傾きネジ溝よりドライバー
が外れ部品の破損等を引き起こしモジュールの内観品質
をダウンさせる恐れがあるため、極力ネジの使用数は少
なくするよう望まれている。

本考案の目的は、前述の欠点を解消し低コスト化を図る
時計モジュールの受支持構造について提供しようとする
ものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本考案の構成は、輪列の軸受
部を有する受部材と、この受部材の輪列側を保持する保
持部材と、前記の受部材を基板に固定するための締結部
材とにより構成されていて、受部材には締結部材により
固定された時輪列側へ傾く力を発生させる接触部を備
え、前記の受部材を前記の締結部材により基板に固定し
た時、前記の傾く力に対して受部材を保持部材に圧接さ
せるように構成したものである。

〔作用〕

輪列等のモジュール構成部品を組み込んだ後、地板に植
設した段付ピンの細軸部と巻真スペーサの一部より突出
したダボにより平面的な位置決めを行なう輪列受を搭載
し、さらに地板に植設したネジチューブに輪列受締結用
のネジを締め付けると、輪列受のネジ収納部底面に設け
た凸部とネジのツバ下面の略外周部分が接触して輪列受
全体を輪列及び段付ピン側に傾くような力が発生し輪列
受下面と段付ピンの肩が密着する。

〔実施例〕

以下に本考案の実施例を図面に基づいて詳述する。第１
図は本考案の実施例を示す要部断面図（第２図のＡ−Ａ
断面）、第２図は小型モジュールの平面図、第３図は本
考案の実施例の変形例を示す要部断面図（第２図のＢ−
Ｂ断面）、第４図、第５図は他の実施例を示す断面図と
その平面図である。

第１図、第２図において、１は指針表示式電子時計の電
源である電池であり、時計中心部を含む拾い領域に配設
されている。２は外部操作切換機構を構成する周知の巻
真、３は時計基板の地板、４は二番車であり、地板３や
中受（図示せず）等により軸支され、分針を固着して時
刻を表示するものであり、該二番車４は、電池１の下面
側に配設され、電気機械変換機であるステップモーター
より減速輪列を介して回転する。５は受部材としての輪
列受であり、ステップモーターを構成するローター６及
び指針輪列を構成する四番車７等を軸支すると共に、電
池１を保持するために配設した、周知の側圧バネ８の反
力を三ケ月型の半島部5aで受ける構造となっている。該
輪列受５は、電池１、モジュール外周部、四番車７等に
囲まれた限られたスペースにあり、地板３に植設した段
付ピン９の細軸部9aと外部操作切換機構を搭載するため
に配設した、合成樹脂より成る巻真スペーサ10の一部よ
り突出したダボ10aの２ケ所により平面的な位置決めを
行なうと共に、前記段付ピン９の肩9bと巻真スペーサー
10、及びネジチューブ11の肩11aによって輪列受５の高
サ方向の位置決めをしている。この肩9bは後述するよう
に輪列受５の傾く力を受ける保持部材を形成している。
また、地板３と輪列受５の締結は、輪列受位置決めダボ
10aの近傍に配設したネジチューブ（図示せず）と前記
ネジチューブ11を地板３に植設し、該２本のネジチュー
ブ11の肩11aとネジ12、13のツバ部12a、13aで輪列受５
を挾持する如く、ネジチューブ11にネジ12、13をネジ締
めし固着する。この際、輪列受５のネジ12のツバ部12a
が沈頭するネジ収納部5bの断面形状は、ネジ12のツバ部
12aとネジ収納部5bの底面との接触面が、該ネジ12と段
付ピン９を結ぶ線上にほゞ介在するように凹凸形状5c、
5dを形成し、ネジ締めすることにより常に輪列受５の断
面的傾きが段付ピン９側に傾くように段付ピン９側が凸
形状5dで段付ピン９と反対側が凹形状5cとなっている。
このツバ部12aと凸形状5dとで接触部を構成するのであ
る。実施例では輪列受５に凸形状5dを形成しているが、
ネジ12側に凸形状を形成するなど、種々の変形例が考え
られる。尚、この際ネジ13のネジ収納部5eの断面形状
は、従来と同じ平坦な底面を有し、ネジ13のツバ部全面
と接触するように構成されていても良い。

しかしながらネジ13のネジ収納部5eの形状をネジ12のネ
ジ収納部5bと同様の形状としても良い。すなわち、第３
図に示すＢ−Ｂ断面は前記のネジ13の輪列受５のネジ収
納部5e底面形状を前述のネジ12のネジ収納部5b形状と同
じような形状を形成し、前記段付ピン９への輪列受５の
固着力を助長させようとするものである。輪列受５のネ
ジ13収納部5e底面に凹凸形状を形成し、ネジ13のツバ部
13aと凸部5f接触面がネジ13と段付ピン９を結ぶ線上に
ほゞ介在するように、段付ピン９側が凸形状5fで段付ピ
ン９と反対側が凹形状5gとなっている。このように２本
のネジ12、13をネジチューブ11、18に締結することによ
る段付ピン９に働く輪列受５の合力は、外部衝撃等の外
乱に対する輪列受５の締結構造の信頼性をより一層高め
ることができる。

次に、他の実施例について説明する。

第４図（イ）、（ロ）は、前述の凹凸形状を２段のサラ
イ加工により金属製輪列受15に形成したもので、ネジ14
収納部の輪列受15の形状は、ネジ14のツバ部14a円周の1
/2以下で接触するような接触部としての凸部15aと、該
凸部15aと断面的に僅かなスキ間を確保した段付きサラ
イの凹部15bで構成したものであり、前記ネジ14のツバ
部14aと前記凸部15aの接触面の位置は前述した段付ピン
９側になるように配設する。

第５図は、第４図の断面構成を合成樹脂製の輪列受16で
形成したもので、ネジ17と接触する接触部としての凸部
16aと、ネジのツバ部17aとスキ間を保つ凹部16bから構
成したものである。

尚、締結部材であるネジは、受の締結部において、片持
ち支持構造となるが、雄ネジ元に肉付けをする。また
は、ネジの製造を金型成型法によって金属組織を異方性
にする、等により従来懸念されていたネジ折れについて
は、特に問題となるようなことはない。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、限られた平面スペースに
締結用部材のスペースの確保が難しい場合や、小型モジ
ュール等の受の支持構造において、常に受の高さ方向の
位置決めするピン側に受が傾くようにネジ収納部に凹凸
形状を設けることは、指針輪列の縦アガキを安定した状
態で保ち、且つ他の構成部品の配設スペースも妨げるこ
となく、さらに、部品点数の削減と簡素化によるコスト
ダウンが可能となる。

尚、本実施例では、受の高さ位置決め用部材に段付ピン
を使用したが、受の下面側に配設できる他の部材、例え
ば、中受、電池受、合成樹脂製の巻真スペーサ等の一部
を用いても同等の効果を得ることが可能である等、きわ
めて有効な考案となっている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す要部断面図（第２図のＡ
−Ａ断面）、第２図は小型モジュールの平面図、第３図
は本考案の実施例の変形例を示す要部断面図（第２図の
Ｂ−Ｂ断面）、第４図、第５図は他の実施例を示し、第
４図（イ）は断面図と第４図（ロ）、第５図はその平面
図である。 ３……地板、５、15、16……輪列受、９……段付ピン、
12、13、14、17……ネジ、12a、13a、14a、17a……ネジ
のツバ部、5c、15b、16b……輪列受の凹部、5d、15a、1
6a……輪列受の凸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】指針により時刻を表示する指針表示式時計
   の受の支持構造において、指針を駆動させる輪列の軸受
   部を有する受部材と、該受部材の輪列側を保持する保持
   部材と、前記受部材を基板に固定するための締結部材と
   より構成され、前記受部材には前記締結部材により固定
   された時輪列側へ傾く力を発生させる接触部を備え、前
   記受部材を前記締結部材により前記基板に固定した時、
   前記の傾く力に対して前記受部材を前記保持部材に圧接
   させたことを特徴とする時計の受支持構造。