JPH0244229Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、掛時計などの薄型時計に関するもの
である。

（従来の技術） 従来から掛時計の構造として最も周知のものの
一つとして時計機械体の取付板の前方に文字板を
配し、この文字板の前方に前面カバーを設置し、
この前面カバーと文字板との間に指針が設けてあ
るものがある。ところで近年、時計の分野も軽薄
短小の要望が高まり、時計の薄型化は極めて重要
な技術的課題となつている。そのため文字板と前
面カバーとの間隔、文字板と時計機械体の取付板
との間隔は、極度に狭くなり、さらに前面カバ
ー、文字板、取付板やその他指針自体も、その強
度に影響しない限り極端に薄く形成される。

（考案が解決しようとする問題点） ところが時計を極端に薄く構成したことによつ
て、温度変形、操作時の加圧等で前面カバーや時
計機械体の取付板が変形する危険性が高くなり、
そのためこの前面カバーが指針殊に分針を押すよ
うな現象が生じ、分針が分針軸に連動できずに分
針のみ停止したり、前面カバーが分針によつてす
れ傷がついたり、最悪の場合には、時計が止つて
しまうことになる。

そこで本考案の目的は、前面カバー、時計機械
体の取付板が変形を受けたとしても前面カバーと
文字板との間の間隙を一定に保ち得るようにする
ことにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の特徴とするところは、時計機械体の取
付板１の前面に文字板２を配置し、この文字板の
前面には前面カバー３を配置し、この前面カバー
と上記文字板との間の狭い間隙内に指針５を設け
てある時計において、上記前面カバーには、装飾
体８をこのカバーの前面に突出した状態で固着
し、この装飾体にはこの前面カバーを貫通して上
記文字板に当接または近接する支え柱８ｂを設け
たところにある。

（作用） したがつて前面カバー３が温度によつて変形し
たり、操作時に加圧されても装飾体８の支え柱８
ｂが文字板２に当接して、この前面カバー３と文
字板２との間の間隙は一定に保たれ、この前面カ
バーはこの指針に接触することはない。

（実施例） 以下図面を参照して本考案の実施例について説
明する。

第１図および第２図に示すように、本考案にか
かる薄型時計は、後枠を兼ねる時計機械体の取付
板１の前面に文字板２が位置し、この文字板の前
方には、狭い間隙を介して薄い透明な前面カバー
３が配設してある。そして取付板１の背面の中央
部の凹部内には時計機械体４が取付けてあり、こ
の機械体によつて、文字板２と前面カバー３との
間の間隙内に位置している分針、時針などの指針
５が回転駆動されるようになつている。また前面
カバー３には、このカバーの前面に連結手段を兼
ねる飾りボタン６が位置してあり、このボタンの
後端面の中心部に刻設してあるネジには、取付板
１の背面側から挿入されているネジ７が螺入する
ことにより、前面カバー３と取付板１とは、文字
板２を介在させた状態で強く連結してある。

そして、指針５の回転の障害にならない位置に
おいて、前面カバー３の前面には、装飾体８が露
出した状態で設けてある。

ところで、装飾体８はその下面（第３図）中央
部に、前面カバー３の厚さとほぼ同一の高さの突
起８ａを一体的に形成し、この突起の下端面中央
部には雌ネジ部が刻設してあり、さらにこの装飾
体の下面側部には支え柱８ｂ，８ｂが一体的に形
成してある。そして前面カバー３に穿設してある
透孔３ａには装飾体８の突起８ａを挿入してあ
り、透孔３ｂ，３ｂには支え柱８ｂ，８ｂが貫通
し、この突起の下端面には前面カバー３の下面よ
り座９を介して雄ネジ１０が螺入することによつ
て、この装飾体はこの前面カバーに取付けられ
る。そして支え柱８ｂ，８ｂの下端面は、文字板
２の上面に近接しており、勿論当接するようにし
てもよい。

したがつて外力などによつて、取付板１や前面
カバー３が変形しようとしても、装飾体８の支え
柱８ｂ，８ｂが文字板２の上面に当接するので、
この変形は防止され、そのため前面カバー３と文
字板２との間の間隙は一定に保たれ、この前面カ
バーがこの指針に接触することが防止される。ま
た取付板１の上面には、第３図示のように、突起
１ａ，１ａが一体的に形成してあり、この突起の
上端面は、装飾体８の支え柱８ｂ，８ｂと対向す
る位置関係において、文字板２の下面に当接して
いる。そのため前面カバー２が過度に変形しよう
としてもその変形は文字板２を介してこの突起１
ａ，１ａによつて防止される。

また装飾体８を目盛の各表示位置に対応する位
置に設けると、これは指標としても機能すること
になる。また装飾体８の形状は、目盛数字を表わ
すローマ数字、アラビヤ数字その他球状など目盛
を読み易くしたり、さらにデザイン的な配慮をす
ることが望ましい。

（考案の効果） 本考案は、以上の構成であるから、温度、外力
などによつて、前面カバーが変形しようとして
も、支え柱が文字板に当接することによつてこの
前面カバーと文字板との間の間隙は一定に保た
れ、指針に接触することが防止され、そのため指
針による前面カバーの接触傷、指針の回動停止、
時計の作動停止などの発生が防止されるものであ
る。また装飾体を時刻の表示位置に設けると、こ
れは指標としても機能し立体文字としての意匠上
の効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は時計の正面図、第２図はその一部切欠
拡大断面図、第３図は要部の拡大断面図である。 １……時計機械体の取付板、２……文字板、３
……前面カバー、５……指針、８……装飾体、８
ｂ……支え柱。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 時計機械体の取付板と、この取付板の前方に
   位置している文字板と、この文字板の前方に位
   置している前面カバーと、この前面カバーと上
   記文字板との間の間隙内に設けてあつて上記時
   計機械体によつて駆動される指針とを具備して
   いる時計において、 上記前面カバーは、装飾体をこのカバーの前
   面に露出した状態で固着し、この装飾体にはこ
   の前面カバーを貫通して上記文字板に当接また
   は近接する支え柱が形成してあることを特徴と
   する薄型時計。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項において、装
   飾体は、時刻の表示位置に対応する位置に設け
   てあり指標としても機能することを特徴とする
   薄型時計。