JPH07198681A - 金属材の状態量測定装置 - Google Patents

金属材の状態量測定装置

Info

Publication number
JPH07198681A
JPH07198681A JP33608193A JP33608193A JPH07198681A JP H07198681 A JPH07198681 A JP H07198681A JP 33608193 A JP33608193 A JP 33608193A JP 33608193 A JP33608193 A JP 33608193A JP H07198681 A JPH07198681 A JP H07198681A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measured
frequency
metal material
distance
measurement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33608193A
Other languages
English (en)
Inventor
Sueyoshi Oga
末寿 大賀
Toshiyuki Mizuno
俊行 水野
Sunao Yabe
直 矢部
Ichiro Maeda
一郎 前田
Ryuta Mogi
龍太 茂木
Masahiko Morita
正彦 森田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
JFE Techno Research Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Kawatetsu Techno Research Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp, Kawatetsu Techno Research Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP33608193A priority Critical patent/JPH07198681A/ja
Publication of JPH07198681A publication Critical patent/JPH07198681A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属材料の状態量測定装置を提供する。 【構成】 被測定材1である金属材料のいずれか一方の
面に配置されて少なくとの1つの高周波を含む3つの周
波数により励磁される励磁コイル5と、励磁コイル5か
ら所定の距離だけ離れた位置に配置されて励磁周波数の
鎖交磁束量に依存した合成波信号を検出する検出コイル
6と、磁気検出子6で検出された合成波信号からそれぞ
れの周波数に応じて分離した周波数信号値と被測定材ま
での距離信号値とを求め、これら周波数信号値と距離信
号値との関係から、被測定材1の状態量の測定に影響を
与えるパラメータ情報を含む関係に基づいて、被測定材
1の状態量を求める演算装置3とから構成することによ
り、被測定材1の寸法や材質、あるいは変態量、焼入れ
深さ、平坦性などの状態量の測定を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製造ラインにおけるオ
ンラインまたはオフラインでの金属材の状態量測定装置
に係り、たとえば熱間圧延ラインにおける鋼板の品質で
ある変態率や、あるいは熱処理ライン等における金属材
の焼入れ深さとか材質などを測定するのに好適な装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、製造ライン中での鋼材等の金属材
の変態挙動などの状態量を測定するには、高温度、多湿
度、蒸気の発生、スペースの狭さ、測定装置と測定対象
物間の距離変動など、測定装置を使用する上で多くの制
約条件がある。それゆえ、熱間圧延ラインとかあるいは
熱処理ライン等では、その品質の一つである鋼板の変態
率を評価する手段として、圧延プロセスあるいはそれ以
降の工程で鋼材表面温度を測定して管理する方式がとら
れてきた。
【0003】しかし、このような鋼板表面温度を測定し
て管理する方式では、鋼板の高品質化の要求とともに、
合金成分が添加されている高炭素鋼や合金鋼板等では融
点や変態点温度がそれぞれ異なるため、変態率をはじめ
とする品質の保証が十分に行えていないのである。その
ため、従来から、高精度で鋼板の変態率を測定する方法
としては、磁気式センサが数多く研究されてきたが、ま
だ実用的なものにはなり得ていないのが現状である。
【0004】たとえば特公平2− 42402号公報には、図
7に示すように、被測定材1の一方に被測定材1の面か
ら距離Lの位置に配置された励磁コイル22に対して、2
個の検出コイル23a,23bを互いに異なる位置D1 ,D
2 に配置し、励磁コイル22を交流励磁装置24から交流励
磁することによって発生する磁束φ1 ,φ2 を検出コイ
ル23a,23bでそれぞれ検出し、演算装置25で演算する
ことによって変態率を検出する装置が開示されている。
【0005】すなわち、この特公平2− 42402号の方法
は、1個の励磁コイル2に対して2個の検出コイル23
a,23bの磁路長が異なる点を利用したものであり、2
個の検出コイル23a,23bから得られる検出信号を基
に、被測定材1までの距離と透磁率とを求めているので
ある。そもそも、金属材の変態率値はあらかじめ把握し
ておいた金属材のパラメータで補正した値を透磁率値と
していたが、その後、金属材の材質(添加されている金
属成分)が変化すると透磁率と導電率の両方が変化し、
鋼板の変態率の測定に影響を与えるため、誤差を大きく
することが判明した。
【0006】鋼板の変態率を正確に測定するには、金属
材質と変態率の両面を透磁率と導電率に関する特性信号
として求め、それをあらかじめ把握しておいた金属材の
材質と変態量のパラメータ情報を含む関係に基づいて補
正する必要がある。さらに、圧延中、またはその後の冷
却工程において、その鋼板等では、あらかじめ把握して
おくべき金属材の材質と変態量のパラメータ情報の基準
となるものがないのである。
【0007】なぜならば、圧延中またはその後の冷却工
程においては、その鋼板の変態率は変化の途中にあり、
さらにその後に継続する冷却工程において変化が完了す
るため、測定時の変態率値と冷却工程終了後の製品とで
は、変態率値が変わってしまうため、基準とする比較の
材料がないことによる。そのため、金属材の材質と変態
率の両面を透磁率と導電率に関する特性信号として求め
る場合においても、高温時と常温とでは透磁率、導電率
とも少なからず異なる。したがって、これらを比較補正
するための基準を作る方法として、ラインの冷却工程、
搬送速度等を定常の運転状態とし、完成した製品より測
定値を求めて高温における変態率値を補正する必要があ
る。
【0008】なお、上記した特公平2− 42402号におい
て、専用の距離計を用いていない理由は、その設置環境
が悪いため、高温度、多湿度、蒸気の発生、あるいはス
ペースの狭さなどに耐え得るセンサが市販されていなか
ったことによる。この場合、被測定材料自体の透磁率が
低い(たとえば変態率が約30%以下)材料では、検出信
号が小さくなってしまい、距離Lが60〜90mmと比較的遠
い範囲では、距離の測定精度も従って変態率の測定精度
も十分な精度を確保することができないのが実情であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
技術が有する種々の問題点を解決し得る測定装置が今ま
で開発されていなかったので、品質管理の実際面におい
ては以下のような課題が潜在している。 合金成分が添加される高炭素鋼などでは、金属材の
融点や変態点温度がそれぞれ異なり、冷却過程での金属
材の変態開始と変態終了の温度幅が狭いため、製造ライ
ン中の温度管理だけでは材質の品質保証を十分に行えな
い。
【0010】 金属材では、合金成分の添加量によっ
て透磁率と導電率の両方が変化するため、高炭素鋼など
では透磁率だけを測定しただけでは金属材の材質、変態
量の測定は不十分である。また、透磁率と導電率を測定
するだけでも不十分であり、あらかじめ把握しておいた
金属材の材質、変態量等に関する信号を透磁率と導電率
の2つのパラメータの要素から求める必要がある。
【0011】 複数の励磁周波数による交番磁界の発
生では、交番磁界を発生すればどの周波数でもよいとい
うことではなく、低周波では交番磁界の平均浸透深さが
深く、高周波ではそれが浅くなるため、金属材の板厚、
材質、変態量、焼入れ深さあるいは平坦性等の測定条件
に応じて測定に使用する励磁周波数を選定する必要があ
る。
【0012】 製造ライン中では高温度であるから、
そこで透磁率や導電率を測定しただけでは常温で測定し
た場合と違いがあり、あらかじめ把握しておいた透磁率
と導電率と温度とのパラメータ情報を含む関係に基づい
て演算し補正する必要がある。 製造ライン中では、搬送ロールの回転、振動、測定
対象の材料のわずかな撓みなどで被測定材がいくらかの
上下動による位置変化を起こすことがつねである。この
ような被測定材の位置変化は測定値を大きく変動させる
ため、被測定材までの正確な距離を測定するとともに、
透磁率と導電率と距離とのパラメータ情報を含む関係に
基づいて演算し、補正する必要がある。
【0013】 製造ライン中では、周囲設備の金属材
や磁気に影響を及ぼす回転体、移動物体、磁気ノイズ等
があり、特に周囲設備の金属材や磁気に影響を及ぼす回
転体がある場合には、透磁率や導電率の測定値の検出感
度を変えたり、大きく歪める要因となる場合が多く、あ
らかじめそれらの影響を把握しておいて、透磁率と導電
率に対する影響をパラメータ情報を含む関係に基づいて
演算し、補正する必要がある。
【0014】 製造ライン中では、前記したような悪
環境による制約条件があることから、透磁率や導電率を
測定するための磁気式センサと組み合わせて用いる距離
センサには、超音波式あるいは光学式、容量式等の種々
のセンサを用いることができないケースが数多い。本発
明は、上記のような従来技術の有する課題を解決すべく
してなされた金属材の状態量測定装置を提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成すべく金属材の透磁率、導電率等の複数の電気的特
性を求めて、これを用いて変態率あるいは成分、複層の
有無、欠陥の有無等の材質、その他の状態量の測定を可
能にした装置を提供するものである。すなわち、本発明
の第1の態様は、金属材の状態量を測定する装置であっ
て、被測定材である金属材のいずれか一方の面に配置さ
れて2つ以上の周波数により励磁される励磁コイルと、
該励磁コイルから所定の距離だけ離れた位置に配置され
て前記周波数の励磁による鎖交磁束量に依存した合成波
信号を検出する磁気検出子と、該磁気検出子で検出され
た合成波信号からそれぞれの周波数に応じて分離した周
波数信号値を求め、該周波数信号値間の関係から、被測
定材の状態量の測定に影響を与えるパラメータ情報を含
む関係に基づいて被測定材の状態量を求める演算装置
と、を備えたことを特徴とする金属材の状態量測定装置
である。
【0016】また、本発明の第2の態様は、金属材の状
態量を測定する装置であって、被測定材である金属材の
いずれか一方の面に配置されて少なくとも1つの高周波
を含む3つ以上の周波数により励磁される励磁コイル
と、該励磁コイルから所定の距離だけ離れた位置に配置
されて前記周波数の励磁による鎖交磁束量に依存した合
成波信号を検出する磁気検出子と、該磁気検出子で検出
された合成波信号から前記高周波を除くそれぞれの周波
数に応じて分離した周波数信号値を求め、かつ前記高周
波の励磁によって被測定材までの距離信号値を求め、該
距離信号値と前記周波数信号値との関係から、被測定材
の状態量の測定に影響を与えるパラメータ情報を含む関
係に基づいて被測定材の状態量を求める演算装置と、を
備えたことを特徴とする金属材の状態量測定装置であ
る。
【0017】
【作 用】まず、本発明の構成を図1のブロック線図を
用いて説明すると、図に示すように、本発明の金属材の
状態特性値の測定装置は、磁気センサ2と変換部3と処
理部4とから構成される。磁気センサ2は、金属材など
被測定材1のいずれか一方の面に被測定材1に対して平
行に配置され、少なくとも1つの高周波を含む3つの周
波数またはそれらの合成波によって励磁される励磁コイ
ル5、この励磁コイル5から所定の距離だけ離れた位置
に平行に配置されて励磁コイル5からの交番磁界を検出
する検出コイル6とで構成される。
【0018】変換部3は検出コイル6で検出された周波
数合成信号を各周波数成分に分離して、高周波を除く2
つの周波数に応じて分離した周波数信号値を求め、かつ
前記高周波の励磁によって被測定材までの距離信号値を
求める機能を有する。処理部4は変換部3で分離された
周波数信号値と距離信号値を用いて、あらかじめ把握し
ておいた被測定材1の状態量である寸法や材質あるいは
変態量、焼入れ深さ、平坦性などの測定に影響を与える
パラメータ情報の関係に基づいて、被測定材寸法や材質
あるいは変態量、焼入れ深さ、平坦性などの状態量を演
算し、その結果を出力端子7に出力する機能を有する。
【0019】そこで、被測定材1である金属材の変態率
測定について説明する。まず、励磁コイル5に、2つの
周波数f1 (たとえば40〜80Hz),f2 (たとえば100
〜200 Hz)と1つの高周波f3 (たとえば0.8 〜1.2 MH
z )を合成した励磁周波数で励磁すると、励磁コイル5
に発生した交番磁界の磁束φは、被測定材1の内部を通
過し、検出コイル6を通過した後、再び励磁コイル5に
帰還する。ここで、高周波f3 は被測定材1と磁気セン
サ2との間の距離測定の信号として使用する。
【0020】この磁束φが被測定材1の内部を通過する
間に渦電流を生じる。この渦電流の大きさは、被測定材
1の材質および変態率が違うと透磁率と導電率(渦電流
の発生による負荷インダクタンス)が変化し、検出コイ
ル6には励磁周波数に応じた検出信号が変化する。その
変化は各周波数f1 ,f2 ,f3 の成分ごとに現れる。
【0021】そこで、変換部3においてこれら周波数の
合成信号からf1 とf2 ,f3 の各周波数を分離し、周
波数f1 とf2 を用いて処理部4においてあらかじめ把
握しておいた金属材の材質、変態量および透磁率、導電
率に関する信号の値のパラメータ情報を含む関係に基づ
いて演算することにより、金属材の変態率を求める。な
お、被測定材1と磁気センサ2の距離が変化すると検出
信号が大きく違ってくるので、高周波f3 の信号を用い
て検出信号を補正する。
【0022】一般に、周波数fを印加した場合の検出電
圧Vは、測定対象物体の透磁率;μ、導電率;ρ、断面
積;A、長さ;L、また測定対象物体との距離;G、そ
の他の要因をαとすると、下記式(1) で表される。 V(f)=f(μ,ρ,A,L,G,α) ……………(1) 一定条件の下では、それぞれの関係が決定され、あらか
じめ実測して求めた係数kにより、検出信号との関係を
計算することができる。その一例を挙げれば、 V(f)=k・μ/(ρ・G2) ……………(2) となるが、この関係式は種々の条件により変わるので、
測定対象とか測定条件に対応してあらかじめ予備測定し
たデータを突き合わせて推定計算式を求め、さらにこれ
を実測定の値を用いて補正することにより、かなり高精
度な測定演算結果が得られる。
【0023】そこで、2つの周波数f1 ,f2 からなる
励磁周波数を用いて、測定距離をパラメータとして、実
変態率P(%)を有する金属材の変態率を測定する場合
について、その手順について説明する。いま、2つの周
波数fi (ただし、i=1,2)で励磁コイル5を励磁
する際に、励磁によって検出コイル6に誘起する測定値
をZPfi とすると、変態率の第1次近似値VPfi は下記
(3) 式で求められる。
【0024】 VPfi ={(ZPfi −Z0fi )/(Z100fi −Z0fi )}×100 ……(3) ここで、Z0fi ;変態率0%の金属材の周波数fi での
測定値、Z100fi ;変態率100 %の金属材の周波数fi
での測定値である。この結果を周波数f1 ,f2 の場合
について適用すると、変態率の第1次近似値VP の補正
式は下記(4) 式で表される。
【0025】 VP =VPf1 +k・(VPf1 −VPf2 ) ………(4) ここで、VPf1 ;周波数f1 の励磁信号による測定値、
Pf2 ;周波数f2 の励磁信号による測定値、k;材質
等が一定の場合について求められる常数で、k=0.9 〜
1.4 である。この(4) 式は、測定する周辺にローラやエ
プロン等の本測定装置以外の金属構造物がある場合に
は、上記の諸関係グラフが歪むこともあるので、その場
所に応じてあらかじめ得られた基準変態率に対する変態
率出力値の関係を処理装置4に記憶させ、(4) 式の計算
後の補正に用いることにより、安定してすぐれた測定精
度を得ることができる。
【0026】つぎに、上記(2) 式を用いて他の条件が一
定の金属材について距離のみの測定を高周波fにより行
う場合は、まず(2) 式を下記(5) 式で表されるから、 V(f)=k1 /G2 ……………(5) したがって、 G={k1 /V(f)}1/2 ……………(6) の式をベースにして、予備実測による補正を行うように
する。
【0027】上記(2) 式の成り立つ条件で、金属材の変
態率P(%)の推定値は、その主要因である透磁率μの
1次式で第1次近似できる。周波数f1 の印加による測
定電圧をVPf1 とすると、第1次近似値Pf1は下記(7)
式で求められる。 Pf1={(VPf1 −V0f1 )/(V100f1 −V0f1 )}×100 ……(7) ここで、V100f1 ;変態率100 %の金属材の周波数f1
での測定値、V0f1 ;変態率0%の金属材の周波数f1
での測定値である。
【0028】この結果を周波数f1 ,f2 の場合につい
て適用すると、変態率の第1次近似値Pf1,Pf2の補正
値Pf は下記(8) 式で表される。 Pf =k3 f1+k4 f2 ……………(8) ここで、k3 ,k4 は材質等が一定の場合に決まる定数
であり、この定数k3,k4 を予備測定により求めるこ
とにより、ρその他の影響を補正することができる。
【0029】このように距離測定については、高周波に
より独立に測定することが容易であり、周波数が高いほ
ど距離の測定には適するが、実際にはノイズその他の理
由から1MHz 付近が好ましい。なお、ここで、励磁コイ
ル5と検出コイル6とを平行に配置した理由について説
明すると、磁気センサ2の表面の面積を少なくすること
を狙ったものであるが、本発明者らの実験によると、両
者は必ずしも平行である必要はなく、励磁コイル5に対
して検出コイル6を直交させてもよく、また平行にする
場合でも段違いの状態にするのも有力な測定方法である
ことが判明している。
【0030】また、磁気センサ2にコイル内に磁心を入
れた検出コイル6を用いるとしているが、これはコイル
内に磁心を入れることにより、磁束を収束させ易いこ
と、および安定度の面などから考慮したものであるが、
必ずしもこれに限るものではなく、たとえばホール素子
の半導体磁気センサなど磁気を検知できるものであれば
何でもよい。なお、検出コイル6の磁心材料としては、
パーマロイや珪素鋼鉄などでは周波数の使用範囲が低い
方に偏っており、フェライトでは高周波に用いる方が適
当であるなど、その使用する周波数帯域によりコイルを
分けて構成する方が現実的であり、効率的である。
【0031】さらに、磁気センサ2を被測定材1に対し
て平行に配置するとして説明したが、本発明はこれに限
らずに、たとえば励磁コイル5を被測定材1に対して平
行に配置する方法や、励磁コイル5と検出コイル6とを
被測定材1に対して不等距離に配置することにより、差
動状態での磁気検出も可能であることは実験で確かめら
れている。
【0032】また、被測定材1と磁気センサ2との間の
距離測定信号として高周波の周波数f3 を用いるとした
が、これは別個に検出コイルを設けて励磁・検出するよ
うにしてもよく、あるいはホール素子とか光磁気検出素
子、静電容量式、超音波式などを用いてもよい。さら
に、上記した信号検出回路は、励磁コイル5への励磁周
波数は2つの周波数f1 ,f2 の合成波形による励磁と
検出コイル6での検出信号の周波数分離で構成するとし
たが、これを時分割の周波数励磁の手段を講じても同様
の作用効果を得ることが可能である。
【0033】なお、上記は金属材の変態率の測定につい
て説明したものであるが、本発明はその外、たとえば金
属内部の焼入れ深さと内部欠陥の測定や、金属表面の焼
入れ硬さと表面欠陥の測定にも適用することができる。
そこで、まず金属内部の焼入れ深さと内部欠陥の測定す
る場合の原理について説明すると、2つの周波数f1
2 が低周波になるほど、金属材の内部に侵入する交番
磁界の平均的な侵入深さが深くなる。それゆえ、励磁周
波数を選択して、金属材の内部に侵入する交番磁界の平
均的な侵入深さを制御して、磁気センサ2により鎖交磁
束量を検出することにより、金属内部の焼入れ深さを調
べたり、欠陥の有無を検出することが可能となる。
【0034】また、金属表面の焼入れ硬さと表面欠陥の
測定の場合は、2つの周波数f1 ,f2 が高周波になる
ほど、金属材の内部に侵入する交番磁界の平均的な侵入
深さが浅くなる。それゆえ、高周波の励磁周波数領域を
用いれば金属材の表面だけの材質や表面欠陥を検出する
ことが可能となる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明装置を用いて、鋼板の変態率
を測定した実施例について説明する。3つの周波数
1 , f2 ,f3 が、それぞれ図2(a) ,(b) ,(c) に
示すような励磁基本波形を有する72Hz, 108Hz , 1MHz
の励磁周波数を用いて、磁気センサ2の励磁コイル5を
励磁して、被測定材1として実変態率が下記表1のよう
に既知である8枚の鋼板を用いて、それらの変態率を測
定した。なお、このとき用いた鋼板の寸法は幅;200 mm
×長さ;200 mm×厚さ;3mmである。
【0036】
【表1】
【0037】その際、まず、被測定材1である鋼板と磁
気センサ2との間の距離を50mm〜90mmに変化させたとき
の、測定距離と各周波数との関係をそれぞれ図3〜5に
示した。 (a) 周波数f1 (72Hz)での測定結果;図3に示すよう
に、それぞれの位置では鋼板の変態率と出力電圧には相
関があるように見えるが、距離の変化により出力が大き
く異なることがわかる。 (b) 周波数f2 (108Hz)での測定結果;図4に示すよう
に、周波数f1 の場合と同様に、それぞれの位置では鋼
板の変態率と出力電圧には相関があるように見えるが、
距離の変化により出力が大きく異なることがわかる。 (c) 周波数f3 (1MHz)での測定結果;図5に示すよう
に、1MHz の高周波で被測定材1までの距離信号の測定
をした結果、距離の違いにより検出電圧値が大きく異な
ることがわかるが、同時に既知の種々の変態率鋼板を配
置しても出力がかわらず、鋼板までの距離と検出電圧値
とに極めてよい相関関係が見られる。
【0038】つぎに、上記した図3〜5のうち、周波数
1 , f2 を示した図3,4の特性値を用いて、前出の
(3) ,(4) 式の演算によって得られた変態率出力値VP
(mV) と鋼板実変態率P(%)との関係を図6に示し
た。この図6からわかるように、鋼板実変態率に対して
変態率出力値がよく一致しており、2つの周波数f1 ,
2 の合成波による測定値をもとに、その信号値の差を
とり、その差の値に一定の常数を乗じて補正することに
より、材質の補正を行えることが確認できた。
【0039】この補正方法により、厚さ2mmの熱間圧延
鋼板に多少の波打ちの存在状態、すなわち測定距離が一
定ではない状態でテストライン上を移動させ、72Hz,10
8Hz,1MHz の3周波数を重畳させて変態率の測定を行
ったところ、測定値と実測値の差が±2%以内の高精度
が得られた。なお、上記の実施例は距離測定用の高周波
と他の2周波数の重畳の場合について説明したが、本発
明はこれに限るものではなく、より多くの周波数を用い
ることにより多数の状態量の測定を行うことが可能であ
ることはいうまでもない。
【0040】また、距離測定については、高周波により
独立に測定することが容易であり、周波数が高いほど距
離の測定に適し、実際にはノイズその他の理由から1MH
z 付近が好ましいことは前述した通りであるが、さらに
低い周波数を用いて、透磁率、導電率等と同時に連立方
程式を解く方式でも距離を求めることができるので、本
発明は特に距離を独立して測定しなくともよい。
【0041】さらに、本発明は距離が一定の条件下での
測定が可能な場合など、単なる一定値のパラメータとし
て扱い、演算には取り込んでも必ずしも測定対象としな
い場合にも利用することができる。いわば、距離はその
一測定対象にすぎないので、距離を除いて複数の周波数
による測定・演算を行う測定方法も可能である。なお、
距離が定数になるのであれば、それだけ測定・演算が簡
単になるだけのことであり、上述の説明により、その手
段は明らかである。当然のことながら、距離その他の測
定対象の一部を別手段で測定してパラメータ条件として
演算に取り込み、他の測定対象のみを本発明の手段によ
り測定することも、本発明の応用例として有効である。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属材の透磁率や導電率のような電気的特性値や距離な
どの検出信号値に影響を及ぼす要因の複数個を同時に測
定して、あらかじめ把握しておいた金属材の各種パラメ
ータ情報を含む関係に基づいて演算して金属材の諸特性
を求めることにようにしたので、劣悪で制約の多い環境
のもとでも金属材の品質に関する特性値を連続的にかつ
十分な精度で測定することが可能である。
【0043】また、このようにして得られた金属材の品
質特性値を直ちに、圧延速度や冷却システムなどへフィ
ードバック制御を行うことができるので、従来よりもさ
らに高品質の金属材の製造を実現することが可能であ
る。さらに、複数の周波数を重畳、時分割等の手段によ
り印加するようにしたので、測定装置とりわけセンサ部
分を小さく構成し得るから、経済的のみならず、狭い場
所における測定など、その応用の可能性が広い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック線図である。
【図2】本発明に用いられる3つの周波数の励磁波形を
示す特性図である。
【図3】周波数f1 での鋼板測定距離と検出電圧値の関
係を示す特性図である。
【図4】周波数f2 での鋼板測定距離と検出電圧値の関
係を示す特性図である。
【図5】周波数f3 での鋼板測定距離と検出電圧値の関
係を示す特性図である。
【図6】鋼板実変態率と変態率出力値の関係を示す特性
図である。
【図7】従来例を示すブロック線図である。
【符号の説明】
1 被測定材(金属材) 2 磁気センサ 3 変換部(演算装置) 4 処理部(演算装置) 5 励磁コイル 6 検出コイル(磁気検出子) 7 出力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 俊行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川鉄テ クノリサーチ株式会社内 (72)発明者 矢部 直 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川鉄テ クノリサーチ株式会社内 (72)発明者 前田 一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 茂木 龍太 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 森田 正彦 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材の状態量を測定する装置であっ
    て、被測定材である金属材のいずれか一方の面に配置さ
    れて2つ以上の周波数により励磁される励磁コイルと、
    該励磁コイルから所定の距離だけ離れた位置に配置され
    て前記周波数の励磁による鎖交磁束量に依存した合成波
    信号を検出する磁気検出子と、該磁気検出子で検出され
    た合成波信号からそれぞれの周波数に応じて分離した周
    波数信号値を求め、該周波数信号値間の関係から、被測
    定材の状態量の測定に影響を与えるパラメータ情報を含
    む関係に基づいて被測定材の状態量を求める演算装置
    と、を備えたことを特徴とする金属材の状態量測定装
    置。
  2. 【請求項2】 金属材の状態量を測定する装置であっ
    て、被測定材である金属料のいずれか一方の面に配置さ
    れて少なくとも1つの高周波を含む3つ以上の周波数に
    より励磁される励磁コイルと、該励磁コイルから所定の
    距離だけ離れた位置に配置されて前記周波数の励磁によ
    る鎖交磁束量に依存した合成波信号を検出する磁気検出
    子と、該磁気検出子で検出された合成波信号から前記高
    周波を除くそれぞれの周波数に応じて分離した周波数信
    号値を求め、かつ前記高周波の励磁によって被測定材ま
    での距離信号値を求め、該距離信号値と前記周波数信号
    値との関係から、被測定材の状態量の測定に影響を与え
    るパラメータ情報を含む関係に基づいて被測定材の状態
    量を求める演算装置と、を備えたことを特徴とする金属
    材の状態量測定装置。
JP33608193A 1993-12-28 1993-12-28 金属材の状態量測定装置 Pending JPH07198681A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33608193A JPH07198681A (ja) 1993-12-28 1993-12-28 金属材の状態量測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33608193A JPH07198681A (ja) 1993-12-28 1993-12-28 金属材の状態量測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07198681A true JPH07198681A (ja) 1995-08-01

Family

ID=18295503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33608193A Pending JPH07198681A (ja) 1993-12-28 1993-12-28 金属材の状態量測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07198681A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009031112A (ja) * 2007-07-26 2009-02-12 Toyota Motor Corp 焼き入れ深さ測定装置および焼き入れ深さ測定方法
JP2010164431A (ja) * 2009-01-15 2010-07-29 Nippon Steel Corp 表面状態測定装置及び表面状態測定方法
JP2012063181A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Delta Tooling Co Ltd 焼入れ状態検査装置及び焼入れ状態検査方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS526116A (en) * 1975-07-03 1977-01-18 Nikken Sekkei:Kk Strengthening method of round tank
JPS6027852A (ja) * 1983-07-26 1985-02-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 渦電流探傷装置
JPH0545184A (ja) * 1991-08-14 1993-02-23 Toshiba Corp 環境の定量化方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS526116A (en) * 1975-07-03 1977-01-18 Nikken Sekkei:Kk Strengthening method of round tank
JPS6027852A (ja) * 1983-07-26 1985-02-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 渦電流探傷装置
JPH0545184A (ja) * 1991-08-14 1993-02-23 Toshiba Corp 環境の定量化方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009031112A (ja) * 2007-07-26 2009-02-12 Toyota Motor Corp 焼き入れ深さ測定装置および焼き入れ深さ測定方法
JP2010164431A (ja) * 2009-01-15 2010-07-29 Nippon Steel Corp 表面状態測定装置及び表面状態測定方法
JP2012063181A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Delta Tooling Co Ltd 焼入れ状態検査装置及び焼入れ状態検査方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4809039B2 (ja) 電磁誘導型検査装置および電磁誘導型検査方法
US3693075A (en) Eddy current system for testing tubes for defects,eccentricity,and wall thickness
JPH0854375A (ja) 電磁誘導型検査装置
US4079312A (en) Continuous testing method and apparatus for determining the magnetic characteristics of a strip of moving material, including flux inducing and pick-up device therefor
JP2003240761A (ja) 磁性金属被検体の表層欠陥又は表面欠陥の検出方法及び装置
JPS6352345B2 (ja)
JPH07198681A (ja) 金属材の状態量測定装置
JP4192708B2 (ja) 磁気センサ
JPH1183808A (ja) 漏洩磁束探傷方法
JP2008102073A (ja) 電磁気特性測定方法および装置
JPH0242402B2 (ja)
WO1995012821A1 (en) Hardness testing of steels
JPH05281063A (ja) 鋼材の張力測定装置
JPH04221757A (ja) 欠陥検出装置及び方法
JPH11304405A (ja) 位置検出装置及びそれを用いた位置検出方法
EP0135204A2 (en) Measuring device for surface and subsurface defects in metal bodies above the Curie temperature
JPH05280921A (ja) 鋼材の断面積測定装置
JP3755403B2 (ja) 磁性体材料の変態状態の計測方法、及び磁性体材料の変態状態の計測装置
JP4005765B2 (ja) 磁性測定方法
JP2005024295A (ja) 漏洩磁束探傷法
JP2005315732A (ja) 強磁性体の変位測定装置
JPH06341806A (ja) めっき厚の測定方法および装置
JPH09166582A (ja) 電磁気探傷法
JPH03160361A (ja) 鋼材の変態量測定装置
JPS62174651A (ja) 磁性体の硬度判別方法およびその装置