JP2010164431A - 表面状態測定装置及び表面状態測定方法 - Google Patents

表面状態測定装置及び表面状態測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼材の一表面状態を、他の表面状態が変動する条件下でも、迅速に安定して精度良く測定することできる表面状態測定装置及び表面状態測定方法を提供すること。
【解決手段】移動する鋼材の表面状態を測定する表面状態測定装置10を提供する。この表面状態測定装置は、鋼材S表面からの距離が相異なりかつ各コイル端面が鋼材表面に対向するように同一軸上に並べて配置されコイル特性が相等しく空芯である励磁コイル21I,22I,23Iを有するプローブセット20と、一の測定時間内で励磁コイルに交流電圧を印加して励磁させる励磁部11と、励磁部11により励磁された励磁コイルが発生させる磁束を検出して、電気信号へ変換する磁束検出部30と、3の励磁コイルそれぞれに対して磁束検出部が変換した電気信号に基づいて、一の測定時間内にコイル端面と対向した位置における鋼材の表面状態を導出する表面状態導出部40とを有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、表面状態測定装置及び表面状態測定方法に関し、渦電流を利用して非接触で測定対象の表面状態を測定する表面状態測定装置及び表面状態測定方法に関する。
製鉄業においては、製造する鋼材の表面状態を制御して品質を維持することが非常に重要である。また、製造時だけでなく、完成した鋼材の表面状態を測定することも、その鋼材を使用する上などにおいて非常に重要である。しかしながら、製鉄工程等における鋼材は、移動していたり、高温であったり、冷却水が飛散しているなど、鋼材の測定は容易ではないのが実情である。
鋼材の表面状態を測定することが非常に重要になる製鉄業における工程の一例として、連続鋳造工程が挙げられる。この連続鋳造工程では、溶鋼から直接鋼片(鋼材の一例。鋳片とも言う。)をつくる非常に重要な工程であり、溶鋼を鋳型に注ぎ、側面が凝固したものを鋳型の底から引き出すことにより、鋳片を形成する。この際、外側の凝固殻が薄いと、内部の溶鋼の静圧などにより、鋳片を引き出すロール間における鋳片が膨れるようにたわむ、いわゆる「バルジング変形」が発生する。この際、バルジング変形の有無、つまり、鋼材の表面の形状(表面状態の一例)を測定することが、製造の安定性を維持したり後段の処理工程後の製品品質を維持する上で非常に重要である。
このようなバルジング変形による変形量(以下「バルジング量」とも言う。)を、鋼材の表面状態の一例として測定する測定装置が多数開発されている。このような測定装置は、例えば、接触式・間接的な接触式・非接触式に大別される。
例えば、接触式の測定装置の一例として、特許文献1の測定装置が挙げられる。この特許文献1の測定装置は、先端に丸みを帯びた頭部を有する環状の接触子をシリンダで鋳片に押しつけ、接触位置を検出することで鋳片の位置を検出する。また、この測定装置は、先端から冷却水を噴出させることで耐熱性と耐久性対策としている。しかしながら可動部を有し、かつ、高温部に接触していることから長期的に安定して使用することは難しい。
また、間接的な接触式の測定装置の一例として、特許文献2,3の測定装置が挙げられる。特許文献2の測定装置は、鋼材に対して水柱を形成し、その水柱を音波の伝達媒体として超音波距離計で距離を計測する。しかしながら、この測定装置では、作業環境が安定せず、鋼材への冷却水などが飛散する高温の環境下では、安定した水柱を形成することは難しい。また、特許文献3の測定装置は、鋳型内部の湯面レベルと鋳片搬送用代表ロールのロール反力を計測し、その計測結果からバルジング量を求める。しかしながら、この測定装置では、突発的な極一部分のバルジングを検出することは難しい。従って、これらの間接的な接触式測定装置であっても、鋼材の表面状態を正確かつ安定して測定することは難しいのが実情である。
これらに対して比較的安定した測定が可能な非接触式の測定装置の一例として、特許文献4の測定装置が挙げられる。特許文献4の測定装置は、渦流式距離計を鋼材表面に対してスキャンして、そのスキャン結果からバルジング量を得る。例えば連続鋳造における二次冷却帯では冷却水が噴霧され、高温の鋼材が冷却されるが、特許文献4の測定装置は、このような悪条件下でも、比較的安定した測定が可能であると言われている。
特開2006−130549号公報 特開昭61−67550号公報 特開平9−206906号公報 特開平3−268850号公報
しかし、例えば鋳型の直下のように鋳片の温度が著しく変化する場合、鋳片の透磁率及び導電率などの他の表面状態も大きく変化する。例えば、キュリー点前後の温度である場合、温度の変動に伴い、鋼材の透磁率は非常に大きく変動し、かつ、導電率も大きく変動してしまう。従って、このように鋼材の他の表面状態が大きく変化する条件下では、特許文献4の測定装置は、その都度校正が必要になるなど、迅速な測定が難しく、また、校正をしない場合には、安定した精度のよい測定を行うことが難しくなる場合が多い。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、鋼材の一表面状態を、他の表面状態が変動する条件下でも、迅速に安定して精度良く測定することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、移動する鋼材の表面状態を測定する表面状態測定装置であって、
各コイル端面が上記鋼材表面に対向するように同一軸上に並べて配置され、コイル特性が相等しく空芯である1の励磁コイルと1又は2の検出コイルとを含むプローブを3つ有し、上記各励磁コイルのコイル特性が相等しく、各励磁コイルが同一軸上に位置して上記鋼材表面からの距離が相異なるように3の上記プローブが並べて配置されるプローブセットと、
一の測定時間内で上記プローブセットに含まれる3の励磁コイルそれぞれに交流電圧を順次印加して該3の励磁コイルを1ずつ励磁させる励磁部と、
上記励磁部により励磁された励磁コイルが発生させる磁束を、該励磁コイルが含まれる上記プローブの検出コイルにより検出して、電気信号へ変換する磁束検出部と、
上記3の励磁コイルそれぞれに対して上記磁束検出部が変換した電気信号に基づいて、上記一の測定時間内に上記コイル端面と対向した位置における上記鋼材の表面状態を導出する表面状態導出部と、
を有することを特徴とする、表面状態測定装置が提供される。
また、少なくとも1の上記プローブに含まれる励磁コイルは、該プローブと隣接する他の上記プローブに上記検出コイルとして共有されており、
上記磁束検出部は、上記他のプローブの励磁コイルが上記励磁部により励磁されている際に、上記少なくとも1のプローブの励磁コイルを、上記他のプローブの検出コイルとして使用して、上記他のプローブの励磁コイルに対する磁束を検出してもよい。
また、上記プローブセットは、同一軸上で相隣接して配置された上記3の励磁コイルと、それぞれ上記3の励磁コイルよりも上記鋼材表面に近い位置、及び、上記鋼材表面から遠い位置において該3の励磁コイルと同軸上に並べて配置された2の上記検出コイルとを有し、
上記磁束検出部は、上記他のプローブの励磁コイルが上記励磁部により励磁されている際に、該励磁コイルに隣接する、他の2の上記励磁コイル、又は、他の1の上記励磁コイル及び1の上記検出コイルから、上記励磁コイルの磁束の検出結果である2の電気信号を取得し、該2の電気信号の差の電気信号へと変換してもよい。
また、上記励磁部は、上記一の測定時間内で少なくとも2の周波数の上記交流電流を上記励磁コイルに印加し、
上記磁束検出部は、上記2の周波数毎の磁束を検出して電気信号に変換し、
上記表面状態導出部は、上記電気信号の絶対値が最も大きい上記周波数に対する電気信号に基づいて、上記表面状態を導出してもよい。
また、上記表面状態導出部が導出する表面状態は、上記鋼材表面の形状、透磁率又は導電率であってもよい。
また、上記表面状態導出部は、上記3の励磁コイルそれぞれに対する電気信号と共に、上記鋼材毎に予め測定した上記電気信号と上記表面状態との関係に基づいて、上記表面状態を導出してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、移動する鋼材の表面状態を測定する表面状態測定方法であって、
各コイル端面が上記鋼材表面に対向するように同一軸上に並べて配置され、コイル特性が相等しく空芯である1の励磁コイルと1又は2の検出コイルとを含むプローブを3つ有し、上記各励磁コイルのコイル特性が相等しく、各励磁コイルが同一軸上に位置して上記鋼材表面からの距離が相異なるように3の上記プローブが並べて配置されるプローブセットに、励磁部が、一の測定時間内で交流電圧を順次印加して上記プローブセットに含まれる3の励磁コイルを1ずつ励磁させる励磁ステップと、
磁束検出部が、上記励磁ステップで励磁された励磁コイルが発生させる磁束を、該励磁コイルが含まれる上記プローブの検出コイルにより検出して、電気信号へ変換する磁束検出ステップと、
表面状態導出部が、上記3の励磁コイルそれぞれに対して上記磁束検出ステップで変換した電気信号に基づいて、上記一の測定時間内に上記コイル端面と対向した位置における上記鋼材の表面状態を導出する表面状態導出ステップと、
を有することを特徴とする、表面状態測定方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、一の測定時間内でプローブセット内の3のプローブの各励磁コイルを順次励磁させて、それぞれの磁束を検出し、その磁束を表す電気信号に基づいて、鋼材の一表面状態を導出することができる。従って、鋼材の一表面状態を、他の表面状態が変動する条件下でも、迅速に安定して精度良く測定することができる。
本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置の適用先の例である連続鋳造の概要について説明するための説明図である。 本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置の適用先の例である連続鋳造の概要について説明するための説明図である。 本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置が使用する磁界とバルジング量との関係との関係について説明するための説明図である。 本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置が使用する磁界とバルジング量との関係との関係について説明するための説明図である。 本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置の構成等について説明するための説明図である。 本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置が使用する磁界とバルジング量との関係との関係における不感帯について説明するための説明図である。 本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置が有するプローブセットの第1例について説明するための説明図である。 同実施形態に係る表面状態測定装置が有するプローブセットの第2例について説明するための説明図である。 同実施形態に係る表面状態測定装置による表面状態導出過程について説明するための説明図である。 同実施形態に係る表面状態測定装置による表面状態導出過程における動作について説明するための説明図である。 同実施形態に係る表面状態測定装置による相関関係導出過程における動作について説明するための説明図である。 同実施形態に係る表面状態測定装置が使用する相関関係の導出結果例を説明する説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、以下で説明する本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置は、鋼材の表面状態(特性)として、鋼材表面の形状、透磁率、導電率のいずれかを、同一又は類似の構成により測定することが可能である。そこで、以下では説明の便宜上、表面状態の一例として「鋼材表面の形状」を測定する場合を例に説明する。また、この表面状態測定装置の効果がより明確になるように、鋼材表面の形状の一例として、悪条件下である連続鋳造におけるバルジングを測定する場合を例に挙げて説明する。なお、バルジングの測定は、例えば、鋼材表面までの距離を定位置から測定して、その距離を鋼材の表面に沿って(移動する鋼材に対して)測定し、その結果、鋼材の表面形状を導出することにより、行うことが可能である。従って、換言すれば、以下では、表面状態測定装置が鋼材の表面までの距離を測定する場合を例示して説明する。そして、鋼材の他の表面状態を測定する場合の変更例等については、適宜補足的に説明することにする。
また、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置は、非接触でバルジングを測定するために、主に磁界を利用する。そして、この表面状態測定装置は、安定的かつ精度の良い測定を迅速に可能とするために、様々な構成を備える。従って、まず、測定が行われる連続鋳造の概要について説明し、その後、この表面状態測定装置が利用する磁束とバルジング量との関係の概要について説明した後、本発明の各実施形態の構成及び動作等について説明する。つまり、以下では、本発明の各実施形態について次の順序で説明する。
1.連続鋳造の概要について
2.磁束とバルジング量との関係について
3.第1実施形態
<1.連続鋳造の概要について>
図1は、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置の適用先の例である連続鋳造の概要について説明するための説明図である。
図1に示すように、浸漬ノズル1から鋳型2に注ぎ込まれた溶鋼S1は、側面から凝固して、その側面に凝固殻S2が形成される。その凝固殻S2が形成された鋼材Sは、鋳型2の床からある程度整形された半製品として引き出される。この際、引き出された鋼材Sは、ロール3により挟持されつつ下方(v軸正の方向)へと搬送され、例えば冷却水等により2次冷却されて、更に凝固させられる。図1では、冷却水を噴霧する構成等については省略しているが、鋼材Sの凝固殻S2が、下方に引き出されるにつれて徐々に厚くなる様子を模式的に示している。このような鋳型2の直下の位置は、非常に高温で、冷却水が飛散するなど、鋼材Sの表面状態を測定するには環境が非常に悪い。しかし、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置は、このような悪条件下での表面状態測定を可能にしている。
一方、図1に示すように、凝固殻S2が適切な厚みで形成されていない場合、つまり、凝固が十分でない場合などでは、鋼材Sの搬送方向に連続するロール3間における鋼材Sの表面は、内部の溶鋼S1の静圧等に凝固殻S2が耐えきれず、膨れるようにたわんでしまい、ひどい場合には凝固殻S2が破裂し溶鋼S1が流出することがある。このような変形を「バルジング変形」ともいう。このバルジング変形が発生した場合、ロール3の直下の凝固殻S2には大きな引張力が生じる。一方、凝固の過程では、鋼材Sは、延びや曲げに弱いもろい性質(脆化)となる特定の温度となることがある。この温度下で、上記バルジング変形等による過大な引張力が生じると、鋼材Sに割れが生じる原因となる。
そこで、このバルジング変形の有無やバルジングBの形状、バルジング量Δd(鋼材の表面形状の凹凸量など)等を測定し、バルジング変形の有無などに応じて、鋳造速度を減速する、あるいは、冷却水量を増加させるなどにより凝固殻S2の厚みを厚くするなどによりバルジングを早期に抑えるなど、割れが発生する前に適切な処理を取る必要がある。バルジング変形の有無やバルジングBの形状、バルジング量Δdは、鋼材の表面形状、つまり、表面に発生した凹凸を測定することにより測定することができる。換言すれば、鋼材の表面形状を測定すれば、その鋼材の部分的な凸部はバルジングBに相当する可能性があり、その凸部の他の表面からの突出量がバルジング量Δdに相当する。
そこで、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10は、図1に示すように、ロール3間の鋼材S表面に対向し、かつ、位置が固定されて配置され、鋼材Sの表面までの距離(ギャップ)dを測定する。つまり、表面状態測定装置10は、図2に示すように、鋼材Sの表面までの距離dの測定を鋼材Sが移動している際に繰り返すことにより表面形状を測定し、その表面形状からバルジング変形の発生有無や、バルジング量Δdを測定する。なお、図2では、鋼材Sをv軸正の方向(下方)へ移動させる代りに、表面状態測定装置10をv軸負の方向(上方)へ移動させることにより、測定状態を模式的に示している。この際、この表面状態測定装置10は、鋼材Sを間に挟んで2以上配置され、鋼材Sの両表面までの距離dを測定することが望ましい。
この表面状態測定装置10により、移動している鋼材Sまでの距離dを測定し、バルジングBを検出する、つまり、鋼材Sの表面形状を測定するためには、迅速な距離dの測定が必要である。鋼材Sの移動速度、つまり、連続鋳造速度が、例えば、約2500mm/分(42mm/秒)である場合、鋼材Sの表面形状を測定するためには、約0.1秒以下の時間間隔毎に距離dを測定することが望ましい。よって、単に距離dが測定できればよいと言うものではなく、一の測定に要する測定時間が短いことも非常に重要である。これに対して、以下で説明する本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10は、十分に迅速な測定を可能としているが、そのための構成等については実施形態において詳しく説明する。
<2.磁束とバルジング量との関係について>
図3及び図4を参照しつつ、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置が使用する磁束(出力電圧V)とバルジング量(距離d)との関係について説明する。図3及び図4は、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置が使用する磁界とバルジング量との関係について説明するための説明図である。なお、ここで説明する関係は、本発明の発明者らが鋼材Sの表面状態測定等について鋭意研究を行った結果、見出した事項であることを付言しておく。
図3には、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10が有するプローブセット20の一部の構成、より具体的にはプローブセット20が有する3のプローブ(第1プローブ21〜第3プローブ23)のうちの1のプローブの構成を模式的に図に示している。プローブセット20は、磁界を利用して鋼材Sまでの距離dの測定に使用されうるため、ここでは距離計(変位計)とも言う。しかし、このプローブセット20は、距離d(つまり鋼材Sの表面形状)だけではなく、他の鋼材の表面状態(例えば透磁率や導電率)を測定することも可能である。
この図3に示すプローブセット20に含まれる1のプローブは、例えば3つのコイルを有する。図3では、その3つのコイルとして、1の励磁コイル20Iと、2の検出コイル20Ou,20Odが配置されている。なお、ここでは、励磁コイル20I及び検出コイル20Ou,20Odを区別しない場合には、単にコイルということにする。
これら3つのコイルは、全て同じコイル特性、即ち、コイル断面積、コイル長さ、巻数を有する。つまり、この3つのコイルは、周囲の透磁率等の外的要因を除きコイル単体としては、自己インダクタンス値が全て等しい。このようなコイルは、例えば、材質・太さ等が等しい同一のコイル巻線を同一のピッチ間隔・コイル面積・巻き数で巻くことにより、形成することができる。そして、3つのコイルは、図3に示すように、いずれも空芯で形成される。
この3つのコイルは、全てのコイルが同一軸上に配置される。換言すれば、3つのコイルの各コイル軸は、同一直線上に乗る。そして、3つのコイルそれぞれの一方のコイル端面は、測定対象である鋼材Sの表面と対向する。つまり、3つのコイルは、全てコイル端面が鋼材Sに向くように、同心上に並べて配置される。この際、励磁コイル20Iは、検出コイル20Ouと、検出コイル20Odとの間に配置され、各コイル間の間隔は、等しく設定されることが望ましい。なお、ここでは便宜上、鋼材Sに近い方のコイルを検出コイル20Odとし、遠い方のコイルを検出コイル20Ouとしている。なお、上述の通り、3つのコイルは、同一軸上に配置され、この軸は、鋼材Sの表面と直交することが望ましいが、鋼材Sに交差すればよい。このように配置された3つのコイルは、結果として、鋼材Sの表面からの距離が、それぞれ異なる。つまり、検出コイル20Odが一番鋼材Sに近く、続いて励磁コイル20I・検出コイル20Ouの順で鋼材Sに近い。ここでは、励磁コイル20Iの基準位置として、鋼材Sの表面に対向したコイル端面を例に挙げて、この基準位置から鋼材Sの表面までの距離dについて説明する。しかし、この基準位置は、便宜上の位置であり、励磁コイル20Iのどこの位置にとってもよい。
このように鋼材Sの表面上に所定の距離を離して配置されたプローブセット20は、励磁コイル20Iが交流電流により励磁されると磁束Φを発生する。この磁束Φの大きさは、鋼材Sの表面状態(距離d,導電率σ,透磁率μ)に依存する。よって、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10は、表面状態の少なくとも1つ(ここでは導電率σ,透磁率μ。既知である必要はない。)を固定して、検出コイル20Ou,20Odにより磁束Φを測定することにより、その測定結果の電圧から、他の表面状態(ここでは距離d)を測定することが可能である。より具体的にこの関係について距離dを例に説明すると以下の通りである。
ここでは、距離dと磁束Φとの関係を定性的に説明し、実際の出力電圧V(電気信号の一例)についても定性的に説明する。しかしながら、ここで説明する定性的な内容は、あくまで本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10の効果等の理解を容易にするためのものであり、この定性的な内容に含まれない原理や作用等を除外するものではない。
図3に示すように、励磁コイル20Iに、交流の電圧VIが印加されると、そのコイル巻線には、交流の電流Iが流れる。その結果、励磁コイル20Iは、マクスウェルの方程式等の電磁気学からも判るように、交番の磁束Φを発生させることになる(図3では鋼材S方向の磁束Φを励磁している。)。
この励磁コイル20Iが発生させる磁束Φの一部は、軸が等しく励磁コイル20Iを挟んだ検出コイル20Ou,20Odのコイル端面を交差する。その結果、検出コイル20Ou,20Odでは、誘導起電力が発生し、出力端子間にはそれぞれ電圧(電位差)VOu,VOdが生じる。なお、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10は、これらの電圧VOu,VOdの差を取ることにより出力電圧Vを得る差動構成を有する(V=VOd−VOu)。その結果、この表面状態測定装置10は、より精度の良い表面状態測定を可能としている。しかし、差動構成とせずに、どちらか一方の検出コイルのみを配置して、出力電圧を得ることも可能である。
一方、励磁コイル20Iが発生させる磁束Φは、電圧VI及びその周波数f等が一定であれば、励磁コイル20Iのインダクタンスに依存し、励磁コイル20Iのインダクタンスは、鋼材Sが近傍に配置された場合、その鋼材S表面の形状(距離d)、鋼材Sの透磁率μ、鋼材Sの導電率σ等の表面状態に依存する。従って、検出コイル20Ou,20Odから出力される出力電圧Vも、鋼材Sまでの距離d、鋼材Sの透磁率μ、鋼材Sの導電率σ等の表面状態に依存することとなる。ここで、図4を参照しつつ、定性的に透磁率μによる影響と導電率σによる影響とに分けて考えて、距離dと出力電圧Vとの関係について説明する。図4は、上記差動構成による出力電圧V(=VOd−VOu)を縦軸とし、距離dを横軸とした概念的なグラフである。ただし、出力電圧Vとしては、透磁率μと導電率σとの影響は厳密には分離できないことは言うまでもない。また、この図4では、交番電流Iの周波数fは一定と仮定している。
鋼材Sの透磁率μによる影響
鋼材Sが磁性体である場合、図4に示すように、励磁コイル20Iが発生させる磁束Φは、鋼材Sの透磁率μの影響を受けて、磁束Φが大きくなると共に、鋼材S側に偏る(図3参照。)。また、この鋼材Sの透磁率μによる影響は、鋼材Sまでの距離dが近ければ近いほど、大きい。
図4中、相関関係F1は、透磁率μ1及び導電率σ1の鋼材Sに対して、距離dを変化させた場合における出力電圧Vの変化を模式的に表している。相関関係F1を見れば判るように、距離dが大きくなれば(d1<d2<d3)、透磁率μ1による影響は低減して、出力電圧Vは約0に減衰する(V1>V2>V3)。これは、鋼材Sの透磁率μ1による影響が小さいと、磁束Φの量は図3の上下方向で等しくなり、同量の磁束が各検出コイル20Ou,20Odを鎖交する結果、各電圧VOu,VOdの絶対値が等しくなるためである。
一方、図4中、相関関係F2は、透磁率μ2及び導電率σ1の鋼材Sに対して、距離dを変化させた場合における出力電圧Vの変化を模式的に表している。この際、透磁率μ2は、透磁率μ1より大きい。相関関係F2も、相関関係F1と同様に変化するが、透磁率μ2が大きいため、相関関係F1と比べて、磁束Φが大きくなり、かつ、鋼材S側に大きく偏るため、その出力電圧Vも大きくなっている。
つまり、磁性体の場合、距離dが大きくなると、出力電圧Vは絶対値は小さくなり、透磁率μが大きくなると、出力電圧Vは正の方向に大きくなるという関係が見て取れる。
鋼材Sの導電率σによる影響
一方、鋼材Sは、磁性体であろうと非磁性体であろうと、図3に示すように、励磁コイル20Iが発生させた交番磁束Φがその表面を鎖交すると、その磁束Φを打ち消すような方向の磁束Φwを発生させるように渦電流Iwが流れる。この結果、磁性体で説明すると、図3に示すように鋼材Sの透磁率μの影響により鋼材S側に偏った磁束Φは、渦電流Iwの磁束Φwにより、逆に鋼材Sから離れる方向へと押し戻される。その結果、各検出コイル20Ou,20Odを鎖交する磁束の差は減少して、出力電圧V(=VOd−VOu)は、負の方向へと変化する。この鋼材Sの導電率σによる影響、つまり、渦電流Iwによる影響は、磁性体・非磁性体を問わず、鋼材Sの透磁率μによる影響と同様に、距離dが大きくなれば、小さくなる。従って、鋼材Sの導電率σによる影響による出力電圧Vの負の方向への変化も、距離dが大きくなる程小さくなる。よって、距離d等が一定の場合、磁性体に対する出力電圧Vは、この鋼材Sの導電率σによる影響と、上記の鋼材Sの透磁率μによる影響との差し引きにより決定される。磁性体の場合、鋼材Sの導電率σによる影響は、上記の鋼材Sの透磁率μによる影響よりも小さく、従って、図4の相関関係F1,F2に示すように、出力電圧V(=VOd−VOu)は正となる場合が多い。
これに対して、図4では、非磁性体に対する関係を相関関係F3,F4に示している。非磁性体の場合、鋼材Sの透磁率μ(μ3,μ4)は、磁性体のそれより小さく、この透磁率μによる影響は、殆ど無いか、小さくなる。よって、ここで説明した渦電流Iwの磁束Φwによる影響が大きくなり、励磁コイル20Iが発生させる磁束Φは、鋼材Sの表面から遠ざかる方向へと偏る。その結果、図4に示すように、出力電圧V(=VOd−VOu)は負となる場合が多い。この相関関係F3,F4では、距離dが大きくなるほど、上述の通り鋼材Sの導電率σによる影響も小さくなるため、出力電圧Vは約0に減衰する。これも、鋼材Sの導電率σによる影響が小さいと、磁束Φの量は図3の上下方向に等しくなり、同量の磁束が各検出コイル20Ou,20Odを鎖交する結果、各電圧VOu,VOdの絶対値が等しくなるためである。また、非磁性体では、導電率σが大きくなれば(σ3>σ4)、この鋼材Sの導電率σによる影響も強くなるため、出力電圧Vの絶対値も大きくなる。この場合、出力電圧Vは、負の方向で大きくなることとなる。
つまり、非磁性体の場合、距離dが大きくなると、出力電圧Vの絶対値は小さくなり、導電率σが大きくなると、出力電圧Vは負の方向へ大きくなるという関係が見て取れる。
以上の関係をまとめると概ね以下のことが言える。
磁性体の場合)磁束Φと導電率σの影響で渦電流Iwが発生し、磁束Φの鋼材S方向への変化を妨げるが、それ以上に、透磁率μが高いことの効果により、磁束Φは鋼材S方向へと偏り、出力電圧Vは正の値となる。また、距離dが近いほど、出力電圧Vは増加する。透磁率μが大きいほど、出力電圧Vはやはり増加するが、導電率σが大きい場合、出力電圧Vは減少する。しかし、この導電率σによる影響は、透磁率μの影響よりも小さい。
非磁性体の場合)透磁率μの影響は小さく無視できる程度となるが、磁束Φと導電率σの影響でやはり渦電流Iwが発生し、鋼材Sから離れる方向へと磁束Φを押しやる。そのため、出力電圧Vは負の値となる。また、距離dが近いほど、出力電圧Vは負の方向で増加する。
なお、ここでは出力電圧Vとして、差動構成による上下2つのコイルの差分信号である場合について説明した。しかしながら、どちらか一方の検出コイルを使用することも可能である。この場合、出力電圧Vの出力値や正負増減等について、同様の考察から、ここで説明した関係と類似の関係が存在することは言うまでもない。
以上、磁束(出力電圧V)とバルジング量(距離d)との関係について説明した。本発明の発明者らは、鋼材Sの表面状態測定等について鋭意研究を行った結果、このような関係を明らかにし、本発明の各実施形態を完成させた。以下、この各実施形態について説明する。なお、ここで説明した事項は、定性的なものであり、原因や作用等を限定するものではなく、また、出力電圧Vの値等は、コイルの特性や配置位置等の装置構成等にも依存する。そこで、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10は、所定の構成により、所望の鋼材Sに対する相関関係Fを予め実験等から求め、その相関関係Fと出力電圧Vとから表面状態(距離d、導電率σ又は透磁率μ)を測定することを可能としている。更に、この表面状態測定装置10は、単純にこの関係を使用可能とするだけでなく、更に、安定的に精度良く迅速な測定が可能なように、様々な構成を有する。よって、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置10の特徴は、ここで説明した事項のみに限定されるものでないことは、言うまでもない。以下、この本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置10について、詳しく説明する。
<3.第1実施形態>
まず、図5を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置10の構成等について説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置10の構成等について説明するための説明図である。
(3−1.表面状態測定装置の構成)
図5に示すように、表面状態測定装置10は、大きく分けて、励磁部11と、プローブセット20と、磁束検出器30と、表面状態導出部40とを有する。
各構成の概要について説明すると以下の通りである。
プローブセット20は、上述の通り図3に示した1の励磁コイルを含むプローブを3つ有しており、励磁部11が、このプローブセット20に交流電流を供給し、プローブセット20が有する合計3の励磁コイルを順次励磁させる。この励磁による磁束の変化を表した電圧を、検出コイルを用いて磁束検出部30が検出して、信号処理を行い所定の差動電気信号へと変換する。その電気信号は、表面状態導出部40に送られ、この表面状態導出部40が、電気信号に基づいて鋼材Sの表面状態(ここでは距離d)を導出する。
上記「磁束とバルジング量との関係」、つまり、「出力電圧Vと距離dとの関係」では、一の距離dに対して、1の励磁コイル20Iと2の検出コイル20Ou,20Odとから、1の差動出力電圧Vが測定される場合について説明した。本実施形態の適用例である連続鋳造機では、図1及び図2等に示すように、鋼材Sまでの距離dを測定することとなるが、鋼材Sの導電率σ及び透磁率μ等の表面状態も測定時には正確な値が未知であることが多い。特に、キュリー点(約770℃)前後の温度域の鋼材Sを測定する場合、そのキュリー点を跨げば非磁性体から磁性体へと変化するため、透磁率μ等の変化は非常に大きなものとなる。つまり、3つの表面状態(距離d、導電率σ、透磁率μ)の全てが未知であったり、少なくとも1の表面状態が大きく変化する鋼材Sの表面状態を測定する必要が生じることも多い。そのため、上記のような磁束Φを利用した距離dの測定は難しい。
これに対して、本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置10は、表面状態が反映された磁束Φの変化に基づく出力電圧Vを、距離dが異なる3個所からの励磁により測定することにより、表面状態の導出を可能としている。つまり、この表面状態測定装置10は、3の励磁コイルを備え、その励磁コイルをそれぞれ鋼材Sの表面からの距離dが異なるように並べて配置し、各励磁コイルからの出力電圧Vを得ることにより、表面状態を測定することを可能としている。例えるならば、未知の3つの変数(表面状態)に対して、3つの式に対応する値を測定し、その結果から、少なくとも1の変数を導出することを可能にしている。また、単に、3の励磁コイルそれぞれから鋼材Sまでの距離dが異なればよいという訳ではなく、この表面状態測定装置10は、鋼材Sの表面に対して交差する同一軸上における距離dが異なる3個所から磁束Φを発生させることにより、精度良く迅速な測定を可能としている。仮に励磁コイルが同一軸上に無い場合、鋼材Sの表面が平らで、距離dの基準からその表面までの距離が一定であれば、同一軸上に無くとも距離dの測定は可能となる場合もある。しかしながら、本発明の各実施形態で測定対象である移動する鋼材Sの表面形状(表面状態の一つ)を測定することは、励磁個所が同一軸上に無い場合、非常に困難である。従って、このような移動する鋼材の性質等について明らかにした本発明者らが完成させた表面状態測定装置10は、励磁個所を同一軸上とすることなどにより、移動する鋼材Sの表面形状の測定をも可能としている。また、一見、測定に寄与する磁束Φを増やすために、励磁コイルに芯を設ければ、測定精度を向上させられるとも考えられる。しかしながら、本発明者らは、励磁個所を同一軸上とする場合、芯を設ければ、各励磁コイル間の相関関係が強くなり過ぎて測定が難しくなることをも明らかにした。そこで、単に同一軸上とするだけなく、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、各励磁コイルを空芯とすることで、表面状態の測定を可能としている。一方、図4に示すように、出力電圧Vの絶対値は、距離dが大きくなれば小さくなる。同一軸上に各励磁コイルを配置する場合、励磁コイル間の距離(Δd1,Δd2)は、同一軸上に配置しない場合に比べて、制限された値となる。そこで、以下で説明する本実施形態に係る表面状態測定装置10は、励磁コイル間の距離を縮めるために、更に改良されたプローブセット20(プローブセットの第2例)を有することにより、測定精度を高めることをも可能としている。しかし、所望の測定精度が得られる場合には、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、励磁コイル間の距離(Δd1,Δd2)が制限されたプローブセット20(プローブセットの第1例)をも使用することが可能である。そこで、以下では、本実施形態に係る表面状態測定装置10が有する各構成について説明するが、このプローブセット20による効果等の理解が容易となるように、プローブセット20の説明において、プローブセットの第1例について説明した後、更に改良されたプローブセットの第2例について説明する。
(励磁部11)
励磁部11は、一の測定時間内で、プローブセット20が有する3の励磁コイルに交流電圧を印加して、その3の励磁コイルの全てを少なくとも1回以上励磁させる(交流電圧を1回以上印加する)。そのために、励磁部11は、交流電源等の回路を有することが望ましい。なお、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、表面状態導出時の信号処理等にかかる時間を短縮することができるため、一の測定時間を、鋼材Sの進む速さより十分に小さくすることが可能である。また、ここで言う一の測定時間とは、距離dの測定を1回行う時間間隔を意味する。仮に、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、連続鋳造速度が、約42mm/秒である場合、測定時間を約0.1秒以下とすることを可能としている。この場合、鋼材Sの表面形状測定における分解能は約4.2mm間隔となり、非常に高い精度の測定が可能である。
上述の通り、励磁部11は、一の測定時間内で、交流電流を3の励磁コイルに順次印加して、3の励磁コイルを1つずつ励磁させる。つまり、励磁部11は、一の測定時間内で、例えば、第1励磁コイルを選択して励磁させ、次に、第2励磁コイルを選択して励磁させ、そして、第3励磁コイルを選択して励磁させる。そのために、励磁部11は、励磁コイル選択部を有することが望ましい。なお、励磁させる順番及び一の測定時間内で励磁させる回数は、特に限定されるものではない。以下で説明するプローブセット20において、プローブセットの第2例の場合、上記のように1の励磁コイルずつ励磁させることにより、励磁コイル間の間隔(Δd1,Δd2)を短くすることを可能として、測定精度を向上させることが可能となる。この測定精度向上のための構成については、プローブセットの第2例の説明において、詳しく説明する。
更に、この励磁部11は、一の測定時間内で少なくとも2の周波数の交流電流を、各励磁コイルに印加する。つまり、励磁部11は、異なる2の周波数の交流電流を、各励磁コイルの全てに印加することにより、各励磁コイルを2の周波数で励磁させることが望ましい。本実施形態に係る表面状態測定装置10は、このように2の周波数を使用することで、より確実な表面状態測定を可能としている。そのために、励磁部11は、例えば、2種類の交流電源を有するか、周波数変換回路等を有することが望ましい。この2周波を使用することについて、図4及び図6を参照しつつ説明する。図6は、本発明の各実施形態に係る表面状態測定装置が使用する磁界とバルジング量との関係との関係における不感帯について説明するための説明図である。
図4では、「磁束とバルジング量との関係」、つまり、「出力電圧Vと距離dとの関係」が、鋼材Sの表面状態(距離d,導電率σ,透磁率μ)に依存することについて説明した。しかし、この出力電圧Vは、距離d,導電率σ,透磁率μ等のバランスによっては、0となることがある。ここでは、このような状態を「不感帯」ともいう。この不感帯に入ってしまった相関関係FNを図6に示す。
図6に示すように、相関関係FNは、導電率σ,透磁率μ等のバランスによって、距離dに寄らずに、その出力電圧Vが0となっている。この場合、3の励磁コイルにより、出力電圧Vを得たとしても、出力電圧Vが0となるか、有効な出力値を得られず、相関関係を同定することが難しくなる。
一方、この出力電圧Vは、磁束Φに依存し、磁束Φは、励磁コイルのコイル特性等だけでなく、励磁電流の周波数fにも依存する。このことが不感帯を防ぐ上で利用可能であることを見出した本発明者らは、更に、周波数が大きくなれば、その出力電圧Vは、負の方向に増加することをも見出した。そこで、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、この関係を利用して、2の周波数f1,f2で測定を行うことで、不感帯となり測定が不可能になる場合を除外することに成功した。
より具体的に説明する。
ここで、導電率σ1,透磁率μ1の磁性体である鋼材Sに対して、例えば、周波数f1の交流電圧を使用した場合の相関関係を相関関係F5とし、周波数f2を使用した場合を相関関係F6とし、周波数f1は周波数f2よりも大きいと仮定する。すると、図6に示すように、相関関係F6は、距離dが同じならば、相関関係F5よりも高い出力電圧Vを得ることが可能であることが判る。
一方、導電率σ3,透磁率μ3の非磁性体である鋼材Sに対して、例えば、周波数f1の交流電圧を使用した場合の相関関係を相関関係F7とし、周波数f2を使用した場合を相関関係F8とし、周波数f1は周波数f2よりも大きいと仮定する。すると、図6に示すように、相関関係F7は、距離dが同じならば、相関関係F8よりも高い出力電圧Vを得ることが可能であることが判る。
そこで、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、励磁部11から2周波の交流電圧を印加して測定を行い、出力電圧Vの絶対値の大きい方の周波数を使用して、表面状態を導出することにより、不感帯を回避することが可能である。
ただし、不感帯が回避できる場合には、1の周波数のみを使用して、測定を行うことが可能であることは言うまでもない。また、励磁部11が2の周波数f1,f2の交流電圧を各励磁コイルに印加する場合、その2の周波数f1,f2を別々の時間に印加することも可能であるが、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、この2の周波数f1,f2を重畳させて、一の印加時間内で両周波数f1,f2に対する出力電圧Vを得る。従って、この表面状態測定装置10は、一の測定時間を短縮することを可能とし、上記のように非常に迅速な測定を行うことが可能である。なお、ここでは2の周波数f1,f2を重畳させる場合について説明したが、重畳される周波数の個数は2に限定されるものではなく、3以上であってもよい。3以上の周波数を重畳させて各励磁コイルに印加する場合、不感帯を回避した出力電圧Vのセットを複数取得することが可能である。従って、この場合、出力電圧Vの絶対値が大きいセットを用いることにより、更に誤差の少ない表面状態測定が可能となる。また、更にこの場合、不感帯を回避した複数の出力電圧Vのセットそれぞれについて表面状態を導出し、その表面状態の平均値を取ることにより、より一層誤差の少ない表面状態測定をおこなうことができる。
(プローブセット20)
プローブセット20については、一プローブ分の概念的な構成を図3に示したが、上述の通り、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、図3に例示したようなプローブを3つ有し、結果として合計3の励磁コイルを有する。従って、概念的には、図3に示した励磁コイル20Iが3つ備えられることとなる。これに対して、2の検出コイル20Ou,20Odが各励磁コイルに対して備えられることとなる。その一例として、図7に示すプローブセット20の第1例が挙げられる。ここでは、1の励磁コイルとその励磁コイルの磁束Φを検出する検出コイルとのセットを、それぞれプローブと呼び、便宜上、鋼材Sに近い方から順に第1プローブ21,第2プローブ22,第3プローブ23と呼ぶこととする。つまり、各プローブを示すときは、第1〜第3プローブ21〜23と言うのに対して、第1〜第3プローブ21〜23の全体を示すときは、プローブセット20と言う。
また、以下では、図3から理解が容易なプローブセットの第1例(図7)について、まず説明し、その後、測定精度等を向上させることが可能な更に改良されたプローブセットの第2例(図8)について説明する。この際、プローブセットの第2例では、プローブセットの第1例と同じ構成については省略し、プローブセットの第1例と異なる点を中心に説明する。
(プローブセット20の第1例)
第1例に係るプローブセット20について、図7を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置が有するプローブセットの第1例について説明するための説明図である。
図7に示すように、プローブセット20は、それぞれ励磁コイルを1ずつ有する3つの第1〜第3プローブ21〜23を有する。まず、この各励磁コイル21I〜23Iについて説明する。
3つの励磁コイル21I〜23Iは、図7に示すように、鋼材Sの表面からの距離dが異なる(距離d1,d2,d3)。つまり、例えば鋼材Sの表面に対向するコイル端面の位置を基準とした場合、その各基準からの距離dは、励磁コイル21Iでは距離d1となり、励磁コイル22Iでは距離d2となり、励磁コイル23Iでは距離d3となるように、各励磁コイル21I〜23Iが配置される。ただし、この距離dの基準は、一方のコイル端面の位置に限られるものではなく、適宜変更して設定可能である。
また、3つの励磁コイル21I〜23Iは、全てのコイルが同一軸AX上に配置される。換言すれば、3つの励磁コイルの各コイル軸は、同一直線上に乗る。そして、3つの励磁コイルそれぞれの一方のコイル端面は、測定対象である鋼材Sの表面と対向する。つまり、3つの励磁コイルは、全てコイル端面が鋼材Sに向くように、同心上に並べて配置される。この際、各励磁コイル間の間隔(Δd1=d2−d1,Δd2=d3−d2)は、等しく設定されることが望ましい。なお、上述の通り、3つの励磁コイルは、同一軸AX上に配置され、この軸AXは、鋼材Sの表面と直交することが望ましいが、鋼材Sに交差すればよい。このように全ての励磁コイルが同一軸AX上に配置されることにより、移動される鋼材Sの同一個所を一の測定時間内で測定することを可能とし、測定時間の短縮を可能としている。
そして、3つの励磁コイル21I〜23Iは、全て同じコイル特性を有する。つまり、この3つの励磁コイルは、周囲の透磁率等の外的要因を除きコイル単体としては、自己インダクタンス値が全て等しい。このような励磁コイルは、例えば、材質・太さ等が等しい同一のコイル巻線を同一のピッチ間隔・コイル面積・巻き数で巻くことにより、形成することができる。そして、3つの励磁コイル21I〜23Iは、図3に示すように、いずれも空芯で形成される。同軸上に配置された励磁コイルを空芯で構成することにより、各励磁コイル間の相互作用を低減して、より正確な測定を可能としている。
また、この第1例に係るプローブセット20は、各第1〜第3プローブ21〜23内のそれぞれに、各励磁コイル21I〜23Iに対応する検出コイルを2ずつ有する。つまり、第1プローブ21には励磁コイル21Iの上下(軸AX上の鋼材Sに近い側と遠い側)に検出コイル21Od,21Ouが配置され、第2プローブ22には励磁コイル22Iの上下に検出コイル22Od,22Ouが配置され、第3プローブ23には励磁コイル23Iの上下に検出コイル23Od,23Ouが配置される。
なお、各検出コイル21Od〜23Ouは、各第1〜第3プローブ21,22,23内の励磁コイル21I〜23Iに対して、図3に示した励磁コイル20Iに対する検出コイル20Ou,20Odに相当する。つまり、第1プローブ21を例に挙げれば、励磁コイル21Iは、励磁コイル20Iに相当し、検出コイル21Ouは、検出コイル20Ouに相当し、検出コイル21Odは、検出コイル20Odに相当する。
そして、各検出コイル21Od〜23Ouは、上記図3における検出コイル20Ou,20Odと同様に形成される。つまり、第1プローブ21を例に挙げれば、検出コイル21Ou,21Odは、励磁コイル21Iと同じコイル特性を有して空芯で形成され、励磁コイル21Iとコイル軸が一致し、かつ、一方のコイル端面が鋼材Sと対向するように、励磁コイル21Iの上下に並べて配置される。
その結果、プローブセット20全体としては、合計9個のコイルを有し、各コイルは、同じコイル特性を有して空芯で形成され、全てのコイル軸は、同一直線上に並び、各コイルの一方のコイル端面は、鋼材Sの表面と対向することとなる。
このように形成されるプローブセット20は、上記励磁部11により、各第1〜第3プローブ21〜23が順番に1つずつ2の周波数f1,f2の重畳した交流電圧VIで励磁され、各検出コイルから出力電圧が出力される。なお、第1〜第3プローブ21〜23のいずれの励磁コイル21I〜23Iに交流電圧VIを印加するかの選択は、上述の通り、励磁部11により行われる一方、いずれの検出コイル21Od〜23Ouから出力を得るかの選択は、励磁部11の励磁と同期して、以下で説明する磁束検出部30により選択される。また、プローブセット20は、各第1〜第3プローブ21〜23それぞれから、その差動出力(出力電圧V1〜V3)が出力されるように、差動構成を有してもよいが、本実施形態に係る表面状態測定装置10では、磁束検出部30がこのような差動構成を有する。
以上、プローブセット20の第1例について説明した。
この第1例に係るプローブセット20は、図7に示すように、合成9個のコイルを有し、そのコイルが同一直線上に配置される。従って、各励磁コイル間には、検出コイルが2個配置されることとなる。一方、図6に示すように、出力電圧Vの絶対値は、距離dが大きくなるほど減衰する。そこで、この出力電圧Vの絶対値を大きく保ち、測定精度を向上させるためには、励磁コイル間の距離Δd1,Δd2を小さくすることが望ましい。従って、この第1例に係るプローブセット20では、例えば、相隣接する2の検出コイル(検出コイル21Ouと検出コイル22Od、及び、検出コイル22Ouと検出コイル23Od)を共用の1つの検出コイルとすることも可能である。一方、以下で説明する第2例のプローブセット20は、更に、励磁コイル間の距離Δd1,Δd2を小さくして、測定精度を向上させることを可能としている。この第2例のプローブセット20について、図8を参照しつつ説明する。
(プローブセット20の第2例)
図8は、本発明の第2実施形態に係る表面状態測定装置が有するプローブセットの第2例について説明するための説明図である。
図8に示すように、この第2例に係るプローブセット20も、それぞれ励磁コイルを1ずつ有する3つの第1〜第3プローブ21〜23を有する。この各励磁コイル21I〜23Iは、上記第1例に係るプローブ(図7)と同様に構成される。しかしながら、この第2例のプローブセット20は、各励磁コイル21I〜23I間に配置された検出コイル21Ou,22Od,22Ou,23Odを省略し、検出専用のコイルとしては、検出コイル21Odと検出コイル23Ouのみを有する。そして、差動信号を検出するためのコイルとして、励磁コイル21I〜23Iを活用する。換言すれば、励磁コイル21I〜23Iは、隣接する他の励磁コイルが励磁されている間、検出コイルとして活用される。つまり、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、下記表1に示すように、励磁コイル21Iが励磁されている場合、第1プローブ21の検出コイル21Ouの代りに、励磁コイル22Iに磁束Φを検出させ、励磁コイル22Iが励磁されている場合、第2プローブ22の検出コイル22Od,22Ouの代りに、励磁コイル21I,23Iに磁束Φを検出させ、そして、励磁コイル23Iが励磁されている場合、第3プローブ23の検出コイル23Odの代りに、励磁コイル22Iに磁束Φを検出させる。
Figure 2010164431
換言すれば、この第2例に係るプローブセット20では、3の励磁コイル21I〜23Iは、図8に示すように、同軸AX上で相互に隣接して配置され、その軸AX上において、その3の励磁コイル21I〜23Iよりも鋼材Sの表面に近い位置と、遠い位置には、1ずつ検出コイル21Od,23Ouが配置される。一方、上述の通り、いずれの検出コイルから出力電圧Vを得るかは、以下で説明する磁束検出部30により選択されるが、磁束検出部30は、この場合、一の励磁コイルが励磁されている間、当該一の励磁コイルに隣接配置された、2の他の励磁コイル、又は、1の他の励磁コイル及び1の検出コイルを選択して、その選択したコイルから出力電圧Vを取得する。
なお、図8に示す第2例に係るプローブセット20の構成について、全ての励磁コイル21I〜23Iが、励磁だけでなく磁束Φ検出用として兼用される場合について説明しているが、少なくとも一の励磁コイルを、励磁中の励磁コイルに対する磁束検出用の検出コイルとして使用してもよい。例えば、図7に示した第1例に係るプローブセット20の構成から、励磁コイル21Iと励磁コイル22Iとの間の検出コイルのみを省略するか、又は、励磁コイル22Iと励磁コイル23Iとの間の検出コイルのみを省略することも可能である。この場合、省略された検出コイルの上下の励磁コイル(励磁コイル21Iと励磁コイル22I、又は、励磁コイル22Iと励磁コイル23I)が、励磁だけでなく磁束Φ検出用として兼用される一方、間に検出コイルが配置された励磁コイルは、励磁のためだけに使用されることになる。更に言えば、磁束Φを検出する際に差動構成としない場合、つまり、1の励磁コイルの片側の磁束Φを検出する場合には、図8に示す第2例に係るプローブセット20の構成から更に、検出コイル21Od又は検出コイル23Ouも省略することが可能である。
この第2例のプローブセット20を有する場合、表面状態測定装置10は、各励磁コイル間に検出コイルを挿入せずに済むため、各励磁コイル21I〜23I間の距離Δd1(=d2−d1)、Δd2(=d3−d2)を縮めることができる。その結果、この表面状態測定装置10は、検出信号である出力電圧Vの絶対値を高めることができ、測定精度を向上させることが可能である。なお、以下では、この図8に示した第2例に係るプローブセット20を使用する場合について説明する。
(磁束検出部30)
磁束検出部30は、励磁コイル21I〜23Iのそれぞれが発生させた磁束Φを検出して、表面状態導出に使用する電気信号(ここでは出力電圧V)に変換する。なお、上述の通り、この磁束検出部30は、磁束Φの検出に使用する検出コイルとして、励磁されている励磁コイルに相隣接する2のコイルを選択して、そのコイルそれぞれから、2の電圧VOu,VOdを取得し、この電圧VOu,Vodに基づいて差動信号である出力電圧Vを出力する。この際、図8に示す第2例に係るプローブセット20を使用する場合、検出コイルは、励磁されていない励磁コイルと2の検出コイル21Od,23Ouから選択されることとなる。また、上述の通り、励磁部11は、2の周波数f1,f2が重畳された交流電流を、励磁コイルに印加するため、この2の電圧VOu,VOdには、2の周波数成分が含まれる。そこで、磁束検出部30は、この2の周波数成分を分離して、それぞれの周波数f1,f2に対して、電気信号である出力電圧Vを出力する。ここでは、出力電圧を、周波数f1に対しては出力電圧VAとし、周波数f2に対しては出力電圧VBとする。
磁束検出部30は、上記の処理を行う具体的な構成として、図5に示すように、電圧取得部31と、差動増幅部32と、周波数分離部33と、電気信号出力部341,342とを備える。
電圧取得部31は、励磁部11と同期して、励磁部11が励磁している1の励磁コイル21I〜23Iに対して、2の検出コイルを励磁コイル21I〜23Iと検出コイル21Od,23Ouから選択する。そして、電圧取得部31は、その選択した検出コイルそれぞれから、励磁コイルが発生した磁束Φを表す電圧VOu,VOdを取得する。
差動増幅部32は、電圧取得部31が取得した電圧VOu,VOdそれぞれの差を取り(V=VOd−VOu)、その差信号を増幅させる。
周波数分離部33は、差動増幅部32が差を取り増幅させた電気信号を2の周波数f1,f2の信号に分離し、それぞれ電気信号出力部341,342に出力する。そのために、周波数分離部33は、例えば、周波数f1,f2の電気信号をそれぞれ抽出する2のバンドパスフィルタを有してもよい。
電気信号出力部341,342は、最大値検出回路と励磁信号(励磁部11による交流電圧)に対する位相検出回路をそれぞれ有し、入力された電気信号から、各周波数f1,f2に対する正又は負の出力電圧VA,VB(電気信号の一例)を生成して出力する。より具体的には、周波数分離部33により分離された周波数f1の電気信号を取得した電気信号出力部341は、最大値検出回路により電気信号の最大値を検出し、更に、位相検出回路により励磁信号に対する電気信号の位相を検出する。そして、電気信号出力部341は、電気信号の位相が励磁信号に対して90°進んでいれば(位相差が0°以上180°未満の場合でもよい。)、符合を正とし、値を上記検出した最大値とする出力電圧VAを出力する。一方、電気信号出力部341は、電気信号の位相が励磁信号に対して90°遅れていれば(位相差が−180°以上0°未満の場合でもよい。)、符合を負とし、値を上記検出した最大値とする出力電圧VAを出力する。これに対して、電気信号出力部342は、周波数分離部33により分離された周波数f2の電気信号に対して同様の処理を行い出力電圧VBを生成して出力する。
(表面状態導出部40)
表面状態導出部40は、磁束検出部30が変換した電気信号に基づいて、一の測定時間内にプローブセット20のプローブ面が対向した位置における鋼材Sの表面状態(ここでは距離d、つまり表面形状)を導出する。この際、磁束検出部30は2周波それぞれの出力電圧VA,VBを出力するが、表面状態導出部40は、この出力電圧VA,VBを比較して、絶対値の大きい方の周波数に対する出力電圧(両出力電圧が正であれば大きい方、負であれば小さい方)を選択して使用する。表面状態測定装置10は、図6で説明した通り、これにより不感帯を除くことができ、確実な表面状態測定が可能である。また、表面状態導出部40は、測定時の温度を変化させることによって透磁率μ及び導電率σを変化させた複数通りの条件で、鋼材S毎に予め測定された出力電圧Vと距離dとの関係(電気信号と表面状態との関係の一例。上記相関関係に相当。)を記録しており、一の測定時間内で測定される3のプローブ(第1〜第3プローブ21〜23)毎の出力電圧V1〜V3に基づいて、測定対象となっている鋼材Sの相関関係を決定し、その相関関係に少なくとも1以上の出力電圧V1〜V3を当てはめて、距離dを導出する。
そのために、表面状態導出部40は、表面状態導出部40と、周波数選択部41と、相関関係決定部42と、相関関係記憶部43と、表面状態特定部44と、表面状態記憶部45と、表面状態変化出力部46と、表面状態取得部47と、相関関係導出部48とを有する。以下、各構成について説明するが、まず、相関関係は予め記録されているものとして説明し、その後、相関関係を記録するための構成である表面状態取得部47及び相関関係導出部48について説明する。
なお、出力電圧Vと距離dとの相関関係の例としては、図4及び図6に示したような相関関係F1〜F8などが挙げられるが、ここでは、図9に示すような相関関係F9,F10を例に説明する。また、予め測定された相関関係は、出力電圧Vが代入され距離dを出力する関数として表されてもよい。しかしながら、一の測定時間を短縮するために、3の出力電圧V1〜V3により距離dが特定されるルックアップテーブルを、相関関係として使用することが望ましい。但し、以下の説明では、距離dの導出過程の理解が容易になるように、まず、相関関係が関数である場合について説明し、その後、ルックアップテーブルを使用する場合について説明する。
(表面状態を導出する構成)
周波数選択部41は、磁束検出部30から取得した2周波f1,f2それぞれの出力電圧VA,VBを比較して、いずれの周波数f1,f2を表面状態導出に使用するのかを決定する。この際、周波数選択部41は、第1〜第3プローブ21〜23のいずれの出力電圧V1〜V3同士を比較しても良いが、鋼材Sに最も近い第1プローブ21による出力電圧V1が最も大きな信号となるため、この出力電圧V1同士を比較し、その絶対値が大きい方(V1が正であれば大きい方、負であれば小さい方)の周波数を選択することが望ましい。そして、選択された周波数に対する出力電圧V1〜V3は、相関関係決定部42及び相関関係導出部48に出力される。なお、この際、いずれの周波数を使用したのかという情報も、相関関係決定部42及び相関関係導出部48に出力されることが望ましい。
相関関係決定部42は、周波数選択部41により選択された周波数に対する出力電圧V1〜V3に基づいて、予め相関関係記憶部43に記録された相関関係から、表面状態導出に使用する一の相関関係を決定する。3の出力電圧V1〜V3のそれぞれが測定された距離dは未知であるが、それらの間の距離Δd1,Δd2は既知であるため、相関関係決定部42は、出力電圧V1〜V3から一の相関関係を決定することができる。例えば、図9に示すように、相関関係記憶部43には、複数の相関関係F9,F10が予め記録されている。そこで、相関関係決定部42は、この複数の相関関係F9,F10から、3の出力電圧V1〜V3が乗る相関関係を選択する。図9では、横軸を出力電圧Vとし、縦軸を距離dとし、3の出力電圧V1〜V3をそれぞれ#1〜#3とし、各測定に対する出力電圧V1〜V3を●,▲,□で表した。例えば、一の測定時間内で、●(黒丸)の出力電圧V1〜V3が得られたと仮定する。すると、この場合、相関関係決定部42は、●#1〜#3が乗る相関関数F9を決定することになる。また、例えば、一の測定時間内で、▲(黒三角)の出力電圧V1〜V3が得られたと仮定する。すると、この場合、相関関係決定部42は、▲#1〜#3が乗る相関関数F9を決定することになる。一方、例えば、一の測定時間内で、□(白四角)の出力電圧V1〜V3が得られたと仮定する。すると、この場合、相関関係決定部42は、□#1〜#3が乗る相関関数F10を決定することになる。なお、●と▲は同一の相関関係F9上に乗るため、これらの測定は、同一の表面状態を有する鋼材Sに対して、距離dが異なる場合に行われたことを意味する。
表面状態特定部44は、相関関係決定部42が決定した相関関係に、少なくとも1の出力電圧V1〜V3を当てはめることにより、測定すべき表面状態の例である距離dを特定する。つまり、相関関係が出力電圧Vが入力されて距離dを導出する関数である場合、表面状態特定部44は、相関関係決定部42が決定した相関関係に、例えば、出力電圧V1を代入することにより、距離dを導出する。ここで出力電圧V1を使用する理由は、出力電圧V1が他の出力電圧V2,V3よりも大きな絶対値を取りうるため、測定精度を向上させることが可能だからである。しかし、他の出力電圧V2,V3を使用することももちろん可能である。更に例を挙げて具体的に説明する。出力電圧V1〜V3が●の場合と、▲の場合は、同一の相関関係F9が選択される。しかし、この相関関係F9に出力電圧V1(●#1,▲#1)が代入されると、導出される距離dは異なり、両者が同一の鋼材Sではあるものの距離dが異なることが導出される。一方、出力電圧V1(●#1,□#1)は値がほぼ等しいものの、相関関係F9,F10が異なるため、両者は異なる鋼材Sに対する測定結果であり、かつ、導出される距離dも異なることが判る。このように導出された距離dは、表面状態記憶部45に表面状態(距離d)の経時変化(履歴)として記録される。
なお、ここでは、相関関係が出力電圧Vを入力とし距離dを出力とする関数である場合について説明した。しかしながら、距離dではなく、他の表面状態(導電率σ,透磁率μ)を導出する場合には、表面状態導出部40は、相関関係として出力電圧Vを入力としその表面状態を出力とする関数を使用することが可能である。また、上述の通り、相関関係は、3の出力電圧V1〜V3で距離d(及び/又は他の表面状態)を特定するルックアップテーブルであってもよい。この場合、3の出力電圧V1〜V3と、それに対応づけられた距離d(及び/又は他の表面状態)とを、ルックアップテーブルとして、相関関係記憶部43に記録しておく。そして、相関関係決定部42は、測定された3の出力電圧V1〜V3が記録されたデータ(相関関係の他の例)を、このルックアップテーブルから決定し、表面状態特定部44は、その決定されたデータに対応づけれられた距離d(及び/又は他の表面状態)を特定してもよい。
表面状態変化出力部46は、表面状態記憶部45に記録された表面状態の時間変化を例えばモニタ等の表示装置に出力して表示させる。この場合、出力される表面状態の変化は、図1及び図2に示すような表面状態測定装置10から移動する鋼材Sの表面までの距離dの変化を表しており、この変化の大きさがバルジング量Δdに相当する。従って、表面状態変化出力部46は、このバルジング量Δdを算出し、その値が閾値を越えたか否かを判定して、バルジングBの発生の有無の判定結果を出力してもよい。
(相関関係を導出する構成)
ここで、相関関係を導出する構成について説明する。相関関係は、上述のように、鋼材Sの表面状態(距離d,導電率σ,透磁率μ)等に依存するだけでなく、更に、周波数f及びプローブセット20や磁気検出部30の構成等にも依存する。従って、実際の測定に使用するプローブセット20及び磁気検出部30により、表面状態が既知の鋼材Sに対して測定を行うことにより、出力電圧Vと鋼材の表面状態(例えば距離d)との間の相関関係が導出される。
表面状態取得部47は、相関関係を導出するために測定が行われている鋼材Sの表面状態(距離d,導電率σ,透磁率μ)を取得する。この表面状態取得部47は、表面状態測定装置10を制御する上位の制御装置や作業者による入力データから、この表面状態を取得する。なお、作業者による入力データから表面状態を取得する場合、作業者は、例えば、導電率σについては接触式の導電率計を使用することができ、透磁率μについては接触式の透磁率計を使用することができる。そして、作業者は、これらの計測器による測定結果を入力装置(図示せず)を介して表面状態導出部40に入力し、表面状態取得部47は、この入力データを取得することとなる。
相関関係導出部48は、プローブセット20,磁束検出部30により検出され、周波数選択部41により選択された出力電圧V1〜V3と、表面状態取得部47が取得した表面状態とに基づいて、相関関係を導出して相関関係記憶部43に記録する。
この際、相関関係導出部48は、例えば、導電率σ及び透磁率μが同一の鋼材Sに対して、距離d1〜d3を順次変化させて複数のデータ点を取得し、そのデータ点から近似曲線を求めることにより、相関関係(関数)を導出してもよい。また、上記のようにルックアップテーブルを使用する場合、相関関係導出部48は、導出した相関関係(関数)に距離d1〜d3を代入して得られる出力電圧V1〜V3を、測定すべき表面状態である距離d1(場合によっては距離d1〜d3や他の表面状態)とを関連付けると言う処理を、距離d1〜d3等を変化させて行うことにより、ルックアップテーブルを作成してもよい。
(3−2.表面状態測定装置の動作)
以上、本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置10の構成等について説明した。
次に、図10及び図11を参照しつつ、本実施形態に係る表面状態測定装置10の動作等について説明する。なお、以下ではまず図10を参照しつつ表面状態導出過程における動作について説明した後、図11を参照しつつ相関関係導出過程における動作について説明する。
(表面状態導出過程)
図10は、本実施形態に係る表面状態測定装置による表面状態導出過程における動作について説明するための説明図である。
表面状態導出過程では、図10に示すように、まず、ステップS101が処理され、このステップS101(励磁ステップの一例)では、励磁部11により、プローブセット20の1の励磁コイル21I,22I,23Iのいずれかが選択されて励磁される。そして、ステップS103に進む。
ステップS103(磁束検出ステップの一例)では、磁束検出部30が、励磁部11と同期して、励磁された励磁コイルが発生する磁束Φを検出し、その後のステップS105では、磁束検出部30が、各周波数毎の電気信号(出力電圧VA,VB)を導出する。つまり、電圧取得部31が、励磁された励磁コイルに対する検出コイルを選択し、選択した検出コイルから電圧VOu,VOdを取得する。そして、差動増幅部32が、この電圧VOu,VOdの差信号である出力電圧Vを生成し、周波数分離部33が、出力電圧Vを周波数分離する。更に、電気信号出力部341,342が、周波数分離された出力電圧Vについて最大値を検出し、そして、その最大値を、上記出力電圧Vの位相が励磁信号に対して90°進んでいれば(位相差が0°以上180°未満の場合でもよい。)正の値にし、励磁信号に対して90°遅れていれば(位相差が−180°以上0°未満の場合でもよい。)負の値にして、各周波数f1,f2に対する出力電圧VA,VB(電気信号の一例)として出力する。このステップS105の処理後はステップS107に進む。
ステップS107では、表面状態測定装置10が、3の励磁コイル21I〜23Iの全てが励磁されて、各励磁コイル21I〜23Iに対する検出信号V1〜V3が取得されたか否かを確認する。そして、励磁されていない励磁コイルがある場合、ステップS101〜ステップS105の処理が繰り替えられる一方、全ての励磁コイルが励磁された場合、ステップS109に進む。
ステップS109では、表面状態導出部40の周波数選択部41が、出力電圧VA,VB(例えば出力電圧V1に対する出力電圧VA,VB)を比較して、表面状態導出に使用する周波数fを選択する。そして、選択された周波数fに対応する出力電圧V1〜V3は、相関関係決定部42に出力される。そして、ステップS111に進む。
ステップS111では、相関関係決定部42が、出力電圧V1〜V3と、相関関係記憶部43に記録されている相関関係とに基づいて、表面状態導出に使用する一の相関関係を決定する。そして、ステップS113に進む。
ステップS113(表面状態導出ステップの一例)では、表面状態特定部44が、ステップS111で決定された相関関係と、少なくとも1の出力電圧V1〜V3とに基づいて、表面状態(例えば距離d)を特定する。そして、その後のステップS115では、表面状態特定部44が、特定した表面状態を表面状態記憶部45に記録させる。そして、ステップS117に進む。
ステップS117では、表面状態測定装置10が、測定が終了したか否かを確認し、測定が終了していない場合には、ステップS101以降の処理を繰り返すことにより、表面状態(例えば距離d)の時間変化が表面状態記憶部45に記録される。一方、測定が終了している場合には、表面状態測定装置10は、動作を終了する。
なお、このステップS101〜ステップS117により、表面状態記憶部45に記録された表面状態の変化は、表面状態変化出力部46により、例えば表示装置などに出力されてもよい。
(相関関係導出過程)
図11は、本実施形態に係る表面状態測定装置による相関関係導出過程における動作について説明するための説明図である。
相関関係導出過程では、図11に示すように、まず、ステップS201が処理され、このステップS201で、表面状態が既知である鋼材Sが用意・配置される。そして、ステップS203に進み、ステップS203では、その鋼材Sのプローブセット20に対する距離dが設定され、その距離dは、各測定に対して表面状態取得部47が取得する。そして、ステップS205に進む。
ステップS205では、励磁部11,プローブセット20,磁束検出部30及び周波数選択部41による電気信号(出力電圧V1〜V3)の測定等が行われる。具体的には、このステップS205では、図10のステップS101〜ステップS109が処理されて、選択された一の周波数fに対する出力電圧V1〜V3が得られる。そして、ステップS207に進む。
ステップS207では、相関関係導出部48が、必要なデータ点数が検出されているか否かを確認する。必要なデータ点数が得られていない場合には、ステップS203以降の処理が繰り返され、ステップS203で異なる距離dが設定されて、同一の鋼材Sに対するデータ点数が更に得られる。一方、必要なデータ点数が得られている場合には、ステップS209に進む。なお、ここで必要なデータ点数とは、出力電圧Vを入力とし表面状態(例えば距離d)を出力とする近似曲線を導出することが可能な数のデータ点数を意味する。
ステップS209では、表面状態取得部47が、測定が行われた鋼材Sに対する他の表面状態を取得する。なお、ステップS203では、表面状態取得部47が表面状態の1つである距離dを取得している。従って、他の表面状態(導電率σ,透磁率μ)を測定したい場合に、このステップS209において、その表面状態が表面状態取得部47により取得される。そして、ステップS209の処理後は、ステップS211に進む。
ステップS211では、相関関係導出部48が、距離dとその距離dにおける出力信号V1〜V3との複数のセットに基づいて、出力信号V1〜V3を入力とし距離dを出力とする近似関数を算出する。なお、この近似関数としては、例えば、2次・3次・4次関数等や指数関数等の関数が使用可能であるが、この例に限定されるものではない。このステップS211の処理後は、ステップS213に進む。
ステップS213では、相関関係導出部48が、ステップS211で算出した近似関数に基づいて、ルックアップテーブルを作成する。つまり、相関関係導出部48は、距離d1〜d3を所定の範囲(少なくとも実際の測定で取りうる範囲を含むことが望ましい。)内で変化させ、その距離d1〜d3のそれぞれを近似関数に代入することにより、出力電圧V1〜V3の組と、それに対応する距離d(例えば距離d1。他の表面状態等を含んでもよい。)とを関連付けて、ルックアップテーブルを作成する。そして、ステップS215において、相関関係導出部48が、このルックアップテーブルを相関関係記憶部43に記録させる。なお、ルックアップテーブルを使用せず、近似関数を直接使用する場合、このステップS213は省略されて、ステップS215において、近似関数が相関関係として相関関係記憶部43に記録される。しかし、このようにルックアップテーブルを使用することにより、測定時間を短縮することができ、迅速な測定が可能となる。ステップS215の処理後は、ステップS217に進む。
ステップS217では、表面状態測定装置10が、必要な鋼材Sの相関関係が全て導出されたか否かを確認する。必要な全ての相関関係が導出されていない場合には、ステップS201以降の処理が繰り返される。この場合、ステップS201では導電率σ,透磁率μ,温度等が異なる鋼材Sが配置され、それらの鋼材S全てに対して相関関係が測定されることが望ましい。一方、全ての相関関係が導出されている場合には、相関関係導出動作は終了し、ここで導出された相関関係が使用されて、図10に示したような表面状態導出過程が処理可能となる。なお、全ての相関関係の導出ができない場合には、導出された相関関係を補完して求めることも可能である。つまり、ステップS217及びステップS201等により導電率σ,透磁率μ,温度等が異なる全ての鋼材Sについて相関関係を導出することは難しい。そこで、導電率σ,透磁率μ,温度等の値が離散的に異なる複数の鋼材Sそれぞれについて相関関係を導出し、その相関関係から、実際には測定されていない導電率σ,透磁率μ,温度等の鋼材Sに対する相関関係を補間することも可能である。
(3−2.相関関係の例)
ここで、図11に示した相関関係導出過程で導出され、図10に示した表面状態導出過程で使用される相関関係の導出結果例について、図12を参照しつつ説明する。図12は、本実施形態に係る表面状態測定装置が使用する相関関係の導出結果例を説明する説明図である。
プローブセット20としては、図8に示すプローブセットの第2例を使用し、各励磁コイル21I〜23I及び検出コイル21Od,21Ouとしては、材質が銅で径が0.5mmのエナメル銅線を、コイル端面の直系30mmで20ターン巻いたコイルを使用した。この場合の各コイルの高さは10mmとし、各プローブ21〜23間の距離Δd1,Δd2は、約10mmとした。そして、励磁周波数f1,f2としては、10kHz,1kHzを使用した。また、測定対象として平板の磁性体(SS400)と非磁性体(SUS304)を使用し、各プローブの下面から鋼材Sまでの距離(d−10mm)を10mm〜60mmまで変更して、出力電圧Vの測定を、上記表面状態測定装置10により行った。この測定結果を図12に示す。
図12に示すように、磁性体である鋼材(SS400)については、1kHzで相関関係F11が得られ、10kHzで相関関係F12が得られることが判る。一方、非磁性体である鋼材(SUS304)については、1kHzで相関関係F13が得られ、10kHzで相関関係F14が得られることが判る。このように得られた相関関係F11〜F13(近似曲線)又はその近似曲線から得られるルックアップテーブルが、相関関係記憶部43に記録され、表面状態導出過程において使用可能である。
(3−3.本実施形態による効果の例)
以上、本発明の第1実施形態に係る表面状態測定装置10について説明した。
この表面状態測定装置10によれば、直線上に配置された空芯の3つの励磁コイル21I〜23Iを使用することにより、移動する鋼材Sの表面状態(例えば距離d,導電率σ,透磁率μ)の時間変化を測定することが可能である。この際、3つの励磁コイル21I〜23Iからの3の出力電圧V1〜V3により、測定すべき表面状態に対する相関関係を決定することができるため、他の表面状態が変動するような条件下でも使用することが可能である。更に、この測定は非接触で行われ、高い測定精度であり、かつ、一の測定時間が非常に短く済むため、高温であったり冷却水が飛散するような悪条件下であっても、安定して正確に、そして、迅速な表面状態の測定が可能である。従って、連続鋳造に適用することも可能であり、この場合、鋳型2の直下におけるバルジングの測定が可能である。従って、凝固殻S2の異常による形状のふくれ(表面状態の一例)を検出することができ、鋼材S(鋳片)のブレークアウトの防止などの安定操業を実現することが可能となる。
なお、迅速な測定という意味では、上記図12に示す例の場合、1の測定に要する時間としては、第1プローブ21〜23のそれぞれについて約0.03秒程度で済み、その後の相関関係決定処理や表面状態特定処理等の処理は約0.01秒程度で行うことが可能である。従って、一の測定時間は約0.1秒程度以下であり、約42mm/秒でv軸正の方向に進む鋼材Sであれば、約4.2mm程度の分解能を実現することができる。なお、上記実施形態では、3つの励磁コイル21I〜23Iで測定を行うことにより、相関関係を素早く決定することを可能にしている。これに対して、未知の変数が3であり3の測定値を利用するという意味では、例えば、単に3以上の周波数を変更して、インダクタンス値を求め、そこから回帰分析により表面状態を求めることも考え得るが、この場合、合計3以上の周波数を使用する必要があるため、装置の構成(励磁部11の構成)が大きくなり製造コストが増加するばかりか、回帰分析を行う必要があるため、一の測定時間が数十秒程度と長くなり迅速な測定は難しい。このことからも、上記本実施形態に係る表面状態測定装置10が如何に迅速な測定を可能としているかが理解できる。
また、この表面状態測定装置10は、同一軸上に空芯の3の励磁コイル21I〜23Iを配置することにより、移動する鋼材Sの局所的な表面状態(距離d,導電率σ,透磁率μ)を測定することを可能としている。なお、3の励磁コイル21I〜23Iが同軸上に配置されない場合には、このような鋼材Sの局所的な表面状態を測定することは非常に難しく、このことからも、上記本実施形態に係る表面状態測定装置10が如何に正確な表面状態測定を可能としているかが理解できる。
また、この際、表面状態測定装置10は、図8に示すような特別なプローブセット20を使用することにより、各励磁コイル21I〜23I間の距離Δd1,Δd2を短縮することに成功し、その結果、測定精度を向上させつつ、測定時間の短縮を可能にしている。更に、測定時間の短縮という意味で、本実施形態に係る表面状態測定装置10は、相関関係をルックアップテーブルとして記録することにより、一の測定時間を更に短縮することを可能にしている。また、ルックアップテーブルを使用する場合であろうと、近似曲線の関数を使用する場合であろうと、この際、入力値としては、出力電圧V1,V2,V3を使用して特定(距離d)を得ることができる。従って、例えば、キュリー点(約770℃)を跨ぐような物性値が大きく変化する鋼材Sの特定をも、表面状態測定装置10は正確に測定することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、鋼材Sの表面状態として、距離d(つまり表面状態)を測定する場合について説明した。しかしながら、上述の通り、測定対象とする鋼材Sの表面状態としては、距離d以外にも導電率σ,透磁率μ等であってもよく、かつ、これらを同時に測定することが可能である。上記実施形態で説明したように、表面状態を特定するためのルックアップテーブルが実験的に測定されて算出された近似関数から生成される場合、そのルックアップテーブルは、図9や図12に示すような近似曲線である相関関係F9〜F14から導出される。しかしながら、これらの相関関係F9〜F14は、鋼材Sの導電率σ,透磁率μ等が決まれば一義に決定される。従って、ルックアップテーブルとして、各出力電圧V1〜V3の組に対して、その距離dだけでなく、更に、その出力電圧V1〜V3が得られた鋼材Sの導電率σ,透磁率μ等が対応付けられたルックアップテーブルを用意することにより、鋼材Sの複数の表面状態を同時に測定することが可能である。なお、ルックアップテーブルの場合だけでなく、近似曲線を使用する場合も、同様に、他の表面状態(導電率σ,透磁率μ等)が導出される近似曲線を作成することにより、材Sの複数の特定を同時に測定することが可能である。
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
1 浸漬ノズル
2 鋳型
3 ロール
10 表面状態測定装置
11 励磁部
20 プローブセット
21 第1プローブ
22 第2プローブ
23 第3プローブ
20I,21I,22I,23I 励磁コイル
20Ou,21Ou,22Ou,23Ou 検出コイル
20Od,21Od,22Od,23Od 検出コイル
31 電圧取得部
32 差動増幅部
33 周波数分離部
341,342 電気信号出力部
40 表面状態導出部
41 周波数選択部
42 相関関係決定部
43 相関関係記憶部
44 表面状態特定部
45 表面状態記憶部
46 表面状態変化出力部
47 表面状態取得部
48 相関関係導出部
S 鋼材
S1 溶鋼
S2 凝固殻
d,d1,d2,d3 距離
Δd バルジング量
Δd1,Δd2 距離
F,F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8 相関関係
F9,F10,F11,F12,F13,F14,FN 相関関係
f,f1,f2 周波数
μ,μ1,μ2,μ3,μ4 透磁率
σ,σ1,σ2,σ3,σ4 導電率
V,VA,VB,V1,V2,V3 出力電圧

Claims (7)

  1. 移動する鋼材の表面状態を測定する表面状態測定装置であって、
    各コイル端面が前記鋼材表面に対向するように同一軸上に並べて配置され、コイル特性が相等しく空芯である1の励磁コイルと1又は2の検出コイルとを含むプローブを3つ有し、前記各励磁コイルのコイル特性が相等しく、各励磁コイルが同一軸上に位置して前記鋼材表面からの距離が相異なるように3の前記プローブが並べて配置されるプローブセットと、
    一の測定時間内で前記プローブセットに含まれる3の励磁コイルそれぞれに交流電圧を順次印加して該3の励磁コイルを1ずつ励磁させる励磁部と、
    前記励磁部により励磁された励磁コイルが発生させる磁束を、該励磁コイルが含まれる前記プローブの検出コイルにより検出して、電気信号へ変換する磁束検出部と、
    前記3の励磁コイルそれぞれに対して前記磁束検出部が変換した電気信号に基づいて、前記一の測定時間内に前記コイル端面と対向した位置における前記鋼材の表面状態を導出する表面状態導出部と、
    を有することを特徴とする、表面状態測定装置。
  2. 少なくとも1の前記プローブに含まれる励磁コイルは、該プローブと隣接する他の前記プローブに前記検出コイルとして共有されており、
    前記磁束検出部は、前記他のプローブの励磁コイルが前記励磁部により励磁されている際に、前記少なくとも1のプローブの励磁コイルを、前記他のプローブの検出コイルとして使用して、前記他のプローブの励磁コイルに対する磁束を検出することを特徴とする、請求項1に記載の表面状態測定装置。
  3. 前記プローブセットは、同一軸上で相隣接して配置された前記3の励磁コイルと、それぞれ前記3の励磁コイルよりも前記鋼材表面に近い位置、及び、前記鋼材表面から遠い位置において該3の励磁コイルと同軸上に並べて配置された2の前記検出コイルとを有し、
    前記磁束検出部は、前記他のプローブの励磁コイルが前記励磁部により励磁されている際に、該励磁コイルに隣接する、他の2の前記励磁コイル、又は、他の1の前記励磁コイル及び1の前記検出コイルから、前記励磁コイルの磁束の検出結果である2の電気信号を取得し、該2の電気信号の差の電気信号へと変換することを特徴とする、請求項2に記載の表面状態測定装置。
  4. 前記励磁部は、前記一の測定時間内で少なくとも2の周波数の前記交流電流を前記励磁コイルに印加し、
    前記磁束検出部は、前記2の周波数毎の磁束を検出して電気信号に変換し、
    前記表面状態導出部は、前記電気信号の絶対値が最も大きい前記周波数に対する電気信号に基づいて、前記表面状態を導出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の表面状態測定装置。
  5. 前記表面状態導出部が導出する表面状態は、前記鋼材表面の形状、透磁率又は導電率であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の表面状態測定装置。
  6. 前記表面状態導出部は、前記3の励磁コイルそれぞれに対する電気信号と共に、前記鋼材毎に予め測定した前記電気信号と前記表面状態との関係に基づいて、前記表面状態を導出することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の表面状態測定装置。
  7. 移動する鋼材の表面状態を測定する表面状態測定方法であって、
    各コイル端面が前記鋼材表面に対向するように同一軸上に並べて配置され、コイル特性が相等しく空芯である1の励磁コイルと1又は2の検出コイルとを含むプローブを3つ有し、前記各励磁コイルのコイル特性が相等しく、各励磁コイルが同一軸上に位置して前記鋼材表面からの距離が相異なるように3の前記プローブが並べて配置されるプローブセットに、励磁部が、一の測定時間内で交流電圧を順次印加して前記プローブセットに含まれる3の励磁コイルを1ずつ励磁させる励磁ステップと、
    磁束検出部が、前記励磁ステップで励磁された励磁コイルが発生させる磁束を、該励磁コイルが含まれる前記プローブの検出コイルにより検出して、電気信号へ変換する磁束検出ステップと、
    表面状態導出部が、前記3の励磁コイルそれぞれに対して前記磁束検出ステップで変換した電気信号に基づいて、前記一の測定時間内に前記コイル端面と対向した位置における前記鋼材の表面状態を導出する表面状態導出ステップと、
    を有することを特徴とする、表面状態測定方法。
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