JP2008102073A - 電磁気特性測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属被検体とのリフトオフ変動や形状変化の影響があっても、僅かな電磁気特性の変化を測定できる装置を提供する。
【解決手段】発振器1a,1bからの発振周波数f1、f2の交流信号を加算器2で加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号、交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3から取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf1,Yf1を検波し、また、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2を検波し、これら値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を所定の演算式に当てはめてX,Yの値を算出し,予め求められた検量線とから温度値を判別する。
【選択図】図1
【解決手段】発振器1a,1bからの発振周波数f1、f2の交流信号を加算器2で加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号、交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3から取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf1,Yf1を検波し、また、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2を検波し、これら値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を所定の演算式に当てはめてX,Yの値を算出し,予め求められた検量線とから温度値を判別する。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属被検体の透磁率、鉄損、導電率などの電磁気的特性あるいは電磁気的特性と相関のある物理量を非接触で測定する方法および装置に係わり、例えば、磁気センサを用いて金属被検体である熱延鋼板の表面温度を非接触で測定する装置に関するものである。
金属材料の交流B−H曲線から求められる透磁率、鉄損、導電率などの電磁気的特性あるいは電磁気的特性と相関のある物理量を非接触で測定することは、様々な目的に使用されている。例えば、測定対象の熱延鋼板に交流磁束を印加し、その磁束と熱延鋼板との相互作用により生じる磁場を検出して、熱延鋼板の温度によって変化する熱延鋼板の導電率や透磁率に基づいて、測定対象の熱延鋼板の温度を測定する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
また別の従来技術として、熱延鋼板などの鋼材のSi濃度を渦電流計測により測定する方法がある。これは、測定対象の熱延鋼板に交流磁束を印加して渦電流を発生させ、この値を測定してSi濃度を求めるものである(例えば、特許文献2参照)。
また別の従来技術として、熱延鋼板などの鋼材のSi濃度を渦電流計測により測定する方法がある。これは、測定対象の熱延鋼板に交流磁束を印加して渦電流を発生させ、この値を測定してSi濃度を求めるものである(例えば、特許文献2参照)。
前述した従来の技術では、センサと測定対象との距離(リフトオフ)の変動、および測定対象の形状変化(鋼板表面の凹凸部、エッジなど)の影響が非常に大きく、僅かな電磁気特性の変化を測定しずらいということである。特許文献1では、リフトオフの変動対策として、空気浮上ヘッドを使用する温度測定装置が開示されているが、ヘッドサイズと比べて小さいサイズの形状変動には追従できないこと、また、浮上量は一般に非常に小さいため、追従できない場合は測定対象に接触する可能性があること、エッジの存在など測定対象の形状の影響を大きく受けてしまうことなどの課題があり、適用先は限定されていた。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、金属被検体とのリフトオフ変動や形状変化の影響があっても、僅かな電磁気特性の変化を測定できる電磁気特性測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る電磁気特性測定方法は、周波数の異なる複数の周波数を持つ交流磁束を金属被検体に印加し、その結果生じた磁束を磁気センサによって測定し、その測定した信号を同期検波することにより、それぞれの周波数における同相成分および直交成分を求め、この同相成分および直交成分の相対関係に基づいて、金属被検体の電磁気的物性あるいは電磁気的物性と相関のある物理量を測定する。
本発明においては、検出すべき物理状態の変化を相対的に強調して検出することとしたので、本来であれば、非常に信号変化が大きいノイズ原因である、リフトオフ変動、形状変化の影響を低減し、測定対象である電磁気特性の変化を強調して検出することが可能になる。そのため、従来では測定が困難であった、表面性状の悪い金属被検体やエッジ部不感帯の少ない測定が可能となる。
例えば、金属中の渦電流損失係数は周波数に比例し、周波数が増えるとサイクル数も増えるため、渦電流損失は周波数の2乗に比例することになり、周波数依存性は非常に大きい。渦電流損失から導電率を求めることができるので、特許文献1に記載のように導電率の変化を用いる測定方法においては、取り出したい信号成分が周波数を変更することで大きな割合で変化することが予想される。一方、図2(a)に示すように測定対象である熱延鋼板10の表面変化によるリフトオフ変動や、(b)に示す形状変化(エッジ10aの影響)、信号変化の周波数依存性は、熱延鋼板10の物性、形状にもよるが、一般に周波数の2乗に比例するほど大きく変化はしない。つまり、本発明は、測定したい物理状態の変化(導電率の変化)によるセンサ出力信号の変化の周波数による変化が、影響を受けたくない物理状態の変化(リフトオフ変動、測定対象の形状変化)によるセンサ出力信号の変化の周波数による変化のしかたと違うという状況を利用したものであり、以下、本発明の電磁気特性測定方法を用いた装置の実施の形態を説明する。
なお、これから述べる実施の形態は、一例として物理量を熱延鋼板の表面温度として説明するが、本発明を熱延鋼板の温度測定に限定するものではない。
なお、これから述べる実施の形態は、一例として物理量を熱延鋼板の表面温度として説明するが、本発明を熱延鋼板の温度測定に限定するものではない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1を示す電磁気特性測定装置のブロック回路図である。
図中に示す電磁気特性測定装置は、例えば、2つの発振器1a,1bと、加算器2と、熱間圧延プロセス内を走行する熱延鋼板10(金属被検体)の上方に配置された差分型交流磁気センサ3(以下、単に「磁気センサ」という)と、差分回路6と、2つの同期検波回路7a,7bと、信号処理回路8とから構成されている。
図1は本発明の実施の形態1を示す電磁気特性測定装置のブロック回路図である。
図中に示す電磁気特性測定装置は、例えば、2つの発振器1a,1bと、加算器2と、熱間圧延プロセス内を走行する熱延鋼板10(金属被検体)の上方に配置された差分型交流磁気センサ3(以下、単に「磁気センサ」という)と、差分回路6と、2つの同期検波回路7a,7bと、信号処理回路8とから構成されている。
発振器1aは、周波数f1(例えば88KHz )の正弦波信号(交流信号)を発振し、もう一方の発振器1bは、周波数f2(例えば100KHz)の正弦波信号を発振する。この2種の周波数f1,f2間の差は、低い方の周波数f1(88KHz )が高い方の周波数f2(100KHz)の20%以内になるようにしている。これは、周波数を大きく変えすぎると浸透深さが大きく変わり、深さ方向の測定対象範囲も変化し、この影響によりセンサ出力が変化して精度が低下しないようにしたもので、浸透深さの変化が一割程度となる周波数である。
加算器2は、発振器1aからの正弦波信号f1と発振器1bからの正弦波信号f2とが入力され、これら信号f1,f2を加算(合成)して出力する回路である。前記の磁気センサ3は、励磁用コイル4と、励磁用コイル4の上下にそれぞれ設けられた検出用コイル5a,5bとからなっている。励磁用コイル4は、加算器2の出力信号の印加により交流磁束を発生し、検出用コイル5aには、主に励磁用コイル4からの交流磁束による第1の誘導電圧信号が発生し、また、検出用コイル5bには、励磁用コイル4からの交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号が発生する。
差分回路6は、検出用コイル5aに発生した第1の誘導電圧信号と検出用コイル5bに発生した第2の誘導電圧信号とが入力され、これら誘導電圧信号の差分を求めて、励磁用コイル4からの交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を生成し、かつ同期検波回路7a,7bにそれぞれ出力する。同期検波回路7aは、差分回路6からの信号を発振器1aの正弦波信号f1で同期を取って、その信号の同相成分であるX成分(cos 成分)、直交成分であるY成分(sin 成分)の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波する。また、同期検波回路7bは、差分回路6からの信号を発振器1bの正弦波信号f2で同期を取って、その信号のX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波する。
信号処理回路8は、同期検波回路7a,7bによりそれぞれ検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を予め設定された次式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと予め求められた検量線とから温度値を判別して、圧延プロセスラインの操業を管理するプロセス管理コンピュータなどの上位装置(図示せず)に出力する。
X=Xf1−Xf2
Y=Yf1−Yf2
X=Xf1−Xf2
Y=Yf1−Yf2
ここで、単一周波数(88KHz )を使用した従来手法による測定結果と2種の周波数f1(88KHz ),f2(100KHz)を使用した実施の形態1による測定結果とを図3、図4を用いて説明する。図3は従来手法による信号変化を示すデータ図、図4は実施の形態1に係る電磁気特性測定装置の処理による信号変化を示すデータ図である。これらデータは、リフトオフを5mm、鋼板の温度を1000℃、エッジ10aからの距離を110mm (エッジ10aの影響をほぼ無視できる距離)を基準測定条件とし、それぞれの条件を別々に変化させたときの信号変化を横軸(X成分)と縦軸(Y成分)とで表示したものである。
なお、位相を比較するため、図3、図4の縦軸と横軸の変化分は同じに合わせている。◇でプロットされたデータは、温度を10℃ピッチで計50℃まで変化させたときの測定結果であり、△でプロットされたデータは、リフトオフを変化(3,4,5,6,7mm )させたときの測定結果であり、○でプロットされたデータは、エッジ10aから磁気センサ3の中心までの距離を110mm から80mmまでは10mmピッチで、80mmから30mmまでは5mmピッチで変化させたときの測定結果である。なお、△は変化量が多く、グラフの表示範囲を超えているため、図には測定データ5点の内、2点のみしか表示されていない。
図3においては、温度変化(a1)やエッジ10aの影響(c1)によるデータのプロットは、リフトオフ変動(b1)に比べてかなり小さいため、データが重なっており、一点一点が区別して表示されていない。この図からわかることは、(1)測定したい温度変化(a1)に対して、リフトオフ変動(b1)にしても、エッジ10aからの距離変化の影響(c1)にしても相対的に大きく(特にリフトオフ変動)、また、(2)リフトオフ変化の位相とエッジ10aからの距離変化の位相とが異なっている。その両者の特徴により、位相最適化による誤差の低減には限度がある。つまり、誤差要因が2つ有るため、位相最適化により両者を低減することは困難であり、また影響のより大きなリフトオフ変動に合わせて位相を最適化したとしても、ランダムな誤差分が存在することを考えると、効果はあるものの、リフトオフ変動が1mm程度ある中で数10℃単位で温度を測定するのは困難である。
一方、図4に示す実施の形態1においては、リフトオフ変動(b2)の温度変化(a2)に対する相対的な変化の割合(b2/a2)は、図3の従来と比べ小さくなり(b1/a1>b2/a2)、若干改善されている。エッジ10aの影響(c2)については、温度変化(a2)との相対的な変化の割合(c2/a2)は、従来と比べかなり改善されている(c1/a1≫c2/a2)。本実施の形態の電磁気特性測定装置では、リフトオフ変動のさほど大きくない条件下での磁気センサ3の使用であれば鋼板温度を十分に測定できる。
以上のように実施の形態1によれば、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を前記の式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと予め求められた検量線とから温度値を判別するようにしたので、リフトオフ変動による誤差が多少あるものの、エッジ10aの影響を殆ど受けることなく熱延鋼板10の温度を検出できるという効果がある。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1と同様に、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分(同相成分)、Y成分(直交成分)の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を次式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと検量線とから温度値を判別するようにしたものである。
X=Xf1/Xf2
Y=Yf1/Yf2
実施の形態2は、実施の形態1と同様に、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分(同相成分)、Y成分(直交成分)の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を次式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと検量線とから温度値を判別するようにしたものである。
X=Xf1/Xf2
Y=Yf1/Yf2
本実施の形態の電磁気特性測定装置は、信号処理回路8に設定されている演算式が実施の形態1と異なるだけで、発振器1a,1b、加算器2、差分型交流磁気センサ3(以下、単に「磁気センサ」という)、差分回路6および同期検波回路7a,7bについては、図1に示す実施の形態1と同じである。
次に、実施の形態2の電磁気特性測定装置の処理による信号変化の測定例を図5を用いて説明する。なお、図5に示すデータは、前述したように、リフトオフを5mm、鋼板の温度を1000℃、エッジ10aからの距離を110mm を基準測定条件とし、それぞれの条件を別々に変化させたときの信号変化を横軸(X成分)と縦軸(Y成分)とで表示したものであり、位相を比較するために、図3の縦軸と横軸の変化分は同じに合わせている。また、◇でプロットされたデータは、温度を10℃ピッチで計50℃まで変化させたときの測定結果であり、△でプロットされたデータは、リフトオフを変化(3,4,5,6,7mm )させたときの測定結果であり、○でプロットされたデータは、エッジ10aから磁気センサ3の中心までの距離を110mm から80mmまでは10mmピッチで、80mmから30mmまでは5mmピッチで変化させたときの測定結果である。なお、△は、前述したように変化量が多く、グラフの表示範囲を超えているため、図には測定データ5点の内、2点のみしか表示されていない。
実施の形態2においては、図5に示すように、リフトオフ変動(b3)の温度変化(a3)に対する相対的な変化の割合(b3/a3)は、図3に示す従来と比べさらに小さくなっている(b1/a1>b3/a3)。エッジ10aの影響(c3)については、図3の従来と比べほぼ同じで改善されていない(c1/a1≒c3/a3)。このように本実施の形態の場合、リフトオフ変動が主な誤差要因であり、その影響が温度変化に対して相対的にさほど大きくない場合に適切な処理となる。
以上のように実施の形態2によれば、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を前記の式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと検量線とから温度値を判別するようにしたので、リフトオフ変動による誤差が多少あるものの、熱延鋼板10の温度をほぼ正確に検出することができるという効果がある。
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1と同様に、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分(同相成分)、Y成分(直交成分)の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を次式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと検量線とから温度値を判別するようにしたものである。なお、次式は、X、Yの両成分をベクトルとして考え、Z=X+jYという複素数として表現したときの複素数除算に相当する。これは、複素数で表現したときの絶対値だけでなく、位相情報も含めて正規化することに相当する。
X=(Xf1・Xf2+Yf1・Yf2)/(Xf2 2+Yf2 2)
Y=(Yf1・Xf2−Xf1・Yf2)/(Xf2 2+Yf2 2)
実施の形態3は、実施の形態1と同様に、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分(同相成分)、Y成分(直交成分)の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を次式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと検量線とから温度値を判別するようにしたものである。なお、次式は、X、Yの両成分をベクトルとして考え、Z=X+jYという複素数として表現したときの複素数除算に相当する。これは、複素数で表現したときの絶対値だけでなく、位相情報も含めて正規化することに相当する。
X=(Xf1・Xf2+Yf1・Yf2)/(Xf2 2+Yf2 2)
Y=(Yf1・Xf2−Xf1・Yf2)/(Xf2 2+Yf2 2)
本実施の形態の電磁気特性測定装置は、信号処理回路8に設定されている演算式が実施の形態1と異なるだけで、発振器1a,1b、加算器2、差分型交流磁気センサ3(以下、単に「磁気センサ」という)、差分回路6および同期検波回路7a,7bについては、図1に示す実施の形態1と同じである。
次に、実施の形態3の電磁気特性測定装置の処理による信号変化の測定例を図6を用いて説明する。なお、図6に示すデータは、前述したように、リフトオフを5mm、鋼板の温度を1000℃、エッジ10aからの距離を110mm を基準測定条件とし、それぞれの条件を別々に変化させたときの信号変化を横軸(X成分)と縦軸(Y成分)とで表示したものであり、位相を比較するために、図3の縦軸と横軸の変化分は同じに合わせている。また、◇でプロットされたデータは、温度を10℃ピッチで計50℃まで変化させたときの測定結果であり、△でプロットされたデータは、リフトオフを変化(3,4,5,6,7mm )させたときの測定結果であり、○でプロットされたデータは、エッジ10aから磁気センサ3の中心までの距離を110mm から80mmまでは10mmピッチで、80mmから30mmまでは5mmピッチで変化させたときの測定結果である。
実施の形態3においては、図6に示すように、リフトオフ変動(b4)の温度変化(a4)に対する相対的な変化の割合は、図3に示す従来と比べ、さらにより小さくなっている(b1/a1≫b4/a4)。エッジ10aの影響(c4)は、図3に比べ相対的に改善され(c1/a1≫c4/a4)、相互の位相差も大きくなっていることから、さらに位相最適化をこの結果に適用すれば、エッジ10aの影響も小さくすることができ、リフトオフ変動、エッジ10aの影響の両方の誤差を小さくすることができる。
以上のように実施の形態3によれば、周波数f1(88KHz )、f2(100KHz)の交流信号を加算し磁気センサ3に印加して交流磁束を発生させ、この交流磁束により生じる第1の誘導電圧信号および交流磁束と熱延鋼板10との相互作用により生じる交流磁束による第2の誘導電圧信号を磁気センサ3からそれぞれ取り込んで差分を求め、この演算により得られた交流磁束と熱延鋼板10との相互作用分のみの信号を交流信号f1で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf1,Yf1をそれぞれ検波すると共に、前記信号をもう一方の交流信号f2で同期を取ってX成分、Y成分の値Xf2,Yf2をそれぞれ検波し、この検波された値Xf1,Yf1,Xf2,Yf2を前記の式に当てはめてX,Yの値を算出し,かつ、この算出値X,Yと検量線とから温度値を判別するようにしたので、リフトオフ変動、エッジの影響の両方の誤差を小さくすることが可能になり、このため、熱延鋼板10の温度を正確に検出することができるという効果がある。
なお、前述したそれぞれの実施の形態では、上下差分型の交流磁気センサ3を用いているが、センサの形式は特に限定されるものではない。また、周波数がf1、f2の正弦波信号を加算して差分型交流磁気センサ3に印加するようにしたが、例えば、2種の周波数測定用にセンサも別々に設け、同期検波後の出力を信号処理回路8で処理するようにしても良い。また、発振器と同期検波回路をそれぞれ2つ使用していることを述べたが、1つの発振器から周波数の異なる2種の正弦波信号を所定時間毎に交互に発振して差分型交流磁気センサ3と1つの同期検波回路に出力するようにし、差分回路の出力をその1つの同期検波回路で同期検波するようにしても良い。
また、周波数が異なる2つの測定条件での測定結果間の演算効果例は一例であり、測定すべき物理量(温度)や誤差要因の周波数変化に対する変化傾向により適切なものを選べばよい。どんな場合でも同じような結果が得られるわけではないが、周波数がf1、f2の正弦波信号を使うという考え方は、有効で有る可能性が高く、望ましい結果になることが多い。
また、測定すべき物理量(温度)の変化による信号変化が、誤差要因の変化による信号変化(リフトオフ変動やエッジ10aの影響)よりも、周波数を変えることの影響が大きい場合を示したが、逆に測定すべき物理量の変化による信号変化の周波数依存性が相対的に小さい場合は、本手法を用いて、例えば、まずリフトオフ変動の影響を定量的に評価し、その上で、その値を用いてセンサ出力値を補正することが可能である。さらに、ここでは、2種の周波数の場合について述べたが、この考え方はより多くの周波数での測定結果を用いる場合にも適用可能である。
また、測定したい物理状態の変化によるセンサ出力信号の変化の周波数による変化の方が、影響を受けたくない物理状態の変化によるセンサ出力信号の変化の周波数による変化の方が、割合として大きいという場合について述べたが、逆の場合でも変化の大きい方を前述の演算から求まるパラメータで推定し、補正することで適用可能である。要するに、信号変化の周波数依存性の差が存在すれば、前記の演算方法によるパラメータを用いることで必要な信号成分を取り出すことができる。
1a,1b 発振器、2 加算器、3 差分型交流磁気センサ、6 差分回路、
7a,7b 同期検波回路、8 信号処理回路、10 熱延鋼板。
7a,7b 同期検波回路、8 信号処理回路、10 熱延鋼板。
Claims (6)
- 周波数の異なる複数の周波数を持つ交流磁束を金属被検体に印加し、その結果生じた磁束を磁気センサによって測定し、その測定した信号を同期検波することにより、それぞれの周波数における同相成分および直交成分を求め、この同相成分および直交成分の相対関係に基づいて、金属被検体の電磁気的物性あるいは電磁気的物性と相関のある物理量を測定する電磁気特性測定方法。
- 周波数f1、f2の交流信号を使用し、周波数f1、f2に対する同相成分の値をXf1,Xf2、直交成分の値をYf1,Yf2としたとき、下記の式で得られるX、Yの相対関係に基づいて、金属被検体の電磁気的物性あるいは電磁気的物性と相関のある物理量を測定する請求項1記載の電磁気特性測定方法。
X=Xf1−Xf2
Y=Yf1−Yf2 - 周波数f1、f2の交流信号を使用し、周波数f1、f2に対する同相成分の値をXf1,Xf2、直交成分の値をYf1,Yf2としたとき、下記の式で得られるX、Yの相対関係に基づいて、金属被検体の電磁気的物性あるいは電磁気的物性と相関のある物理量を測定する請求項1記載の電磁気特性測定方法。
X=Xf1/Xf2
Y=Yf1/Yf2 - 周波数f1、f2の交流信号を使用し、周波数f1、f2に対する同相成分の値をXf1,Xf2、直交成分の値をYf1,Yf2としたとき、下記の式で得られるX、Yの相対関係に基づいて、金属被検体の電磁気的物性あるいは電磁気的物性と相関のある物理量を測定する請求項1記載の電磁気特性測定方法。
X=(Xf1・Xf2+Yf1・Yf2)/(Xf2 2+Yf2 2)
Y=(Yf1・Xf2−Xf1・Yf2)/(Xf2 2+Yf2 2) - 前記物理量は金属被検体の温度であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電磁気特性測定方法。
- 金属被検体に対して、周波数の異なる複数の周波数の交流磁束を印加する励磁コイルと、
該励磁コイルから印加された交流磁束により生ずる磁束を測定する磁気センサと、
該磁気センサで測定した信号を同期検波することにより、それぞれの周波数における同相成分および直交成分を求める同期検波回路と、
該同期検波回路で検波された同相成分および直交成分の相対関係に基づいて、金属被検体の電磁気的物性あるいは電磁気的物性と相関のある物理量を求める信号処理回路と
を備えたことを特徴とする電磁気特性測定装置。
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JP2006286040A JP2008102073A (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | 電磁気特性測定方法および装置 |
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JP2011089845A (ja) * | 2009-10-21 | 2011-05-06 | Nippon Steel Corp | 鋳片状態測定装置、鋳片状態測定方法、及びコンピュータプログラム |
US11054393B2 (en) | 2016-03-18 | 2021-07-06 | Nagano Prefectural Government | Inspection device, inspection method and non-contact sensor |
WO2023047548A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 三菱電機株式会社 | 配向方向検出装置 |
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2006
- 2006-10-20 JP JP2006286040A patent/JP2008102073A/ja not_active Withdrawn
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