JP4998821B2 - 渦流検査方法及び該渦流検査方法を実施するための渦流検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性を有する鋼管等の金属材料を渦流検査する方法及び該渦流検査方法を実施するための渦流検査装置に関する。特に、本発明は、金属材料に局部的に存在する高硬度部を確実に検出可能であると共に、高硬度部を除去するためにグラインダー研削等の手入れ処理を施した後に、該高硬度部が除去されているか否かを確実に確認することができる渦流検査方法及び該渦流検査方法を実施するための渦流検査装置に関する。
鋼管等の金属材料の製造過程では、熱処理時における浸炭、脱炭、脆化相の析出等の組織変化による金属材料の脆化や、搬送時における金属材料同士の衝突或いは金属材料と搬送設備との衝突や、冷間加工時における焼き付き等に起因した強加工などによって、金属材料の組織が局部的に変化し、変化しない部位と比べて場合によってはビッカース硬度で50Hv以上高い局部的な高硬度部が発生することが知られている。金属材料にこのような局部的な高硬度部が発生すれば、該高硬度部での金属材料の脆化や耐食性の劣化による破損が懸念される。
このため、金属材料に存在する局部的な高硬度部を検出する必要があると共に、該高硬度部を除去するための手入れ処理(グラインダー研削等の処理)を施した後に、実際に高硬度部が除去されたか否かを確認する必要がある。
しかしながら、人手による目視や、金属材料に圧子を圧入して圧入の大きさや圧子の超音波共振周波数により硬度を測定する簡易硬度計を用いた高硬度部の検出や高硬度部除去の確認は、連続的な測定が困難であるために時間が掛かったり、判定にバラツキが生じるという問題がある。このため、局部的な高硬度部を非接触・非破壊的方法で検出すると共に、高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後、実際に高硬度部が除去されていることを非接触・非破壊的方法で確認できれば、高硬度部の検出や高硬度部除去の確認の効率や確実性を高めることが可能である。
金属材料の硬度や硬度の変化部を非接触で非破壊的に検出する技術として、例えば、特許文献1には、鋼板が磁化されることにより変化した磁界(透過磁気)が鋼板の硬度と相関があることを利用した技術が開示されている。特許文献2には、鋼材の磁気特性(保持力、残留磁化、飽和磁化、透磁率、ヒステリシス損)と機械的性質(硬さ、焼き入れ深さ、強度、結晶粒度)には相関があることを利用した技術が開示されている。特許文献3には、検査コイル及び比較コイルを含むブリッジ回路を用いて鋼管の材質(硬度、炭素含有量)や性状の変化を検出する技術が開示されている。特許文献4には、鋼の複数の磁気的パラメータを測定することによって鋼の硬度を概算する技術が開示されている。
また、特許文献5には、鋼板の一部表面が浸炭し、結晶組織が微細化した異常組織欠陥部を磁気飽和型の渦流センサを用いて検出する技術が開示されている。特許文献6には、渦流検査装置を用いたステンレス鋼材のシグマ相検査方法が開示されている。
さらに、特許文献7には、熱処理によって生じる鋼管や丸棒鋼の表面脱炭層を除去する旋削の削り残し部を渦電流を利用して検出する方法が開示されている。
上記のように、渦流検査方法等によって金属材料の磁気特性の変化を測定することにより、該金属材料の硬度等の機械的性質の変化部を非破壊的に検出できることや、手入れ処理後に異常部が除去されているか否かを渦流検査方法によって確認する方法は既に知られている。従って、これら公知技術を適用し、金属材料に存在する局部的な高硬度部を渦流検査方法で検出すると共に、高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後、実際に高硬度部が除去されていることを渦流検査方法で確認することが考えられる。
しかしながら、金属材料が磁性材料である場合には、渦流検査を行った際に、局部的な高硬度部での検出信号に対して、金属材料固有の磁性変動(磁性ムラ)に起因した検出信号や、金属材料と検出コイルとの距離(リフトオフ)変動に起因した検出信号がノイズとして重畳されるため、正確な高硬度部の検出が困難となる場合がある。さらには、高硬度部をグラインダー研削等で除去した部分は、金属材料表面が削られてリフトオフ変動によるノイズ信号がより大きくなる。このため、局部的な高硬度部をより確実に検出可能な渦流検査方法が求められている。
特開昭58−102148号公報 特開昭59−108970号公報 特開昭60−185158号公報 特表平9−507570号公報 特開平8−178902号公報 特開昭62−147356号公報 特開2003−232777号公報
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、磁性を有する金属材料に局部的に存在する高硬度部を確実に検出可能であると共に、高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後に、該高硬度部が除去されているか否かを確実に確認することができる渦流検査方法及び該渦流検査方法を実施するための渦流検査装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、以下の(1)〜(4)の知見を得た。
(1)一対の検出コイルを具備し、被検査材である金属材料に対向配置された各検出コイルでの検出信号の差を出力するように構成されたプローブコイル(いわゆる自己比較方式のプローブコイル)を用いて渦流検査することにより、金属材料固有の磁性変動に起因した検出信号(磁性変動信号)の振幅と、金属材料とプローブコイル(特に検出コイル)とのリフトオフ変動に起因した検出信号(リフトオフ信号)の振幅とが抑制され(ノイズが抑制され)、局部的な高硬度部の検出能(S/N比)が向上する。
(2)しかしながら、自己比較方式のプローブコイルを用いれば、上記(1)のように局部的な高硬度部の検出能が良好となるため、その有無を検知することはできるものの、その位置(特に最大深さを有する位置)を精度良く特定することが困難である。具体的には、局部的な高硬度部での自己比較方式のプローブコイルの検出信号(各検出コイルでの検出信号の差)は、高硬度部のエッジ部近傍で正負にそれぞれピークを有する信号となるが、高硬度部の最大深さを有する部位に自己比較方式のプローブコイルを構成する各検出コイルの中心を対向配置した場合、自己比較方式のプローブコイルの検出信号はゼロ近傍の値となり、ノイズに埋もれ易いため、最大深さを有する位置を精度良く特定することが困難である。また、自己比較方式のプローブコイルの検出信号にはハイパスフィルタを適用する場合が多く、ハイパスフィルタのカットオフ周波数に応じた速度で自己比較方式のプローブコイルを金属材料に対して相対移動させて初めて検出信号に基づく高硬度部の検知が可能となる(静止した状態では自己比較方式のプローブコイルの検出信号に基づく高硬度部の検知はできない)ため、最大深さを有する位置を精度良く特定することが困難である。このように、高硬度部の最大深さを有する位置を精度良く特定できなければ、手入れ処理を施す際に不都合が生じる。なお、自己比較方式のプローブコイルを用いて高硬度部の最大深さ位置を特定するために一対の検出コイルの間隔を高硬度部の幅よりも離せば、原理上、上記プローブコイルの検出信号(各検出コイルコイルでの検出信号の差)のピーク位置より高硬度部の最大深さを有する位置が特定可能となるが、上記(1)に記載した金属材料固有の磁性変動に起因した検出信号やプローブコイルとのリフトオフ変動に起因した検出信号の振幅が拡大され、局部的な高硬度部の検出能(S/N比)が大幅に低下するため、高硬度部の検出が困難となる。
(3)これに対し、被検査材である金属材料に対向配置された単一の検出コイルを具備するプローブコイルか、或いは、一対の検出コイルを具備し、一方の検出コイルを被検査材である金属材料に対向配置し、他方の検出コイルを標準となるものに対向配置して各検出コイルでの検出信号の差を出力するように構成されたプローブコイル(いわゆる標準比較方式のプローブコイル)を用いて渦流検査すれば、局部的な高硬度部の最大深さを有する位置を精度良く特定することが可能である。具体的には、局部的な高硬度部での標準比較方式のプローブコイルの検出信号(単一の検出コイルでの検出信号、或いは、金属材料に対向配置した検出コイルでの検出信号と標準となるものに対向配置した検出コイルでの検出信号との差)は、ハイパスフィルタを適用しないためにプローブコイルを静止させた状態や極低速走査した状態でも用いることができる上、局部的な高硬度部の断面形状と略相似形の信号となり、高硬度部の最大深さを有する部位に標準比較方式のプローブコイルを構成する検出コイルを対向配置した場合にピークを有するため、最大深さを有する位置を精度良く特定することが可能である。ただし、標準比較方式のプローブコイルのみを用いて渦流検査したのでは、金属材料固有の磁性変動に起因した検出信号(磁性変動信号)の振幅と、金属材料とプローブコイル(特に検出コイル)とのリフトオフ変動に起因した検出信号(リフトオフ信号)の振幅とが抑制されない(ノイズが抑制されない)ため、局部的な高硬度部の検出能(S/N比)が悪い。
(4)従って、高硬度部の検出能に優れた自己比較方式のプローブコイルを用いて渦流検査することにより高硬度部を検知した後、該検知した部位近傍を高硬度部の位置特定に優れた標準比較方式のプローブコイルで再度渦流検査すれば、高硬度部を確実に検出可能(高硬度部の有無を精度良く検知するのみならず、その位置(最大深さを有する位置)も精度良く特定可能)である。また、自己比較方式のプローブコイルを構成する一対の検出コイルの内、いずれか一方の検出コイルを標準比較方式のプローブコイルを構成する検出コイル(単一の検出コイル、或いは、一対の検出コイルの内、金属材料に対向配置する検出コイル)としても用いれば、金属材料に対して相対移動させるプローブコイルを一つにすることができるため、装置コストが低減すると共に、取り扱いが容易であるという利点が得られる。
本発明は、上記発明者らの知見に基づき完成されたものである。すなわち、本発明は、磁性を有する金属材料に存在する局部的な高硬度部を検出する渦流検査方法であって、前記金属材料に対向配置した一対の検出コイルを具備するプローブコイルを前記金属材料に対して相対移動させながら、前記プローブコイルに交流電流を通電して前記金属材料に交流磁界を作用させると共に、前記交流磁界によって前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルで検出して得られる差動信号に基づいて、前記局部的な高硬度部の有無を検知し、前記交流磁界によって前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルの内のいずれか一方で検出して得られる絶対値信号に基づいて、前記検知した局部的な高硬度部の位置を特定することを特徴とする渦流検査方法を提供するものである。
なお、本発明における「プローブコイル」には、検出コイルが交流磁界を作用させる励磁コイルの機能を兼ねる自己誘導型コイル、及び、検出コイルと励磁コイルとが別体とされた相互誘導型コイルの双方が含まれる。また、本発明における「差動信号」とは、プローブコイルを構成する一対の検出コイルでの検出信号の差を意味する。また、本発明における「絶対値信号」とは、プローブコイルを構成する一対の検出コイルの内、いずれか一方の検出コイル単体での検出信号、或いは、該検出コイルでの検出信号と、プローブコイルを構成しない他の検出コイル(標準となるものに対向配置する検出コイル)での検出信号との差を意味する。
ここで、局部的な高硬度部の有無をより一層精度良く検知するため、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、以下の(5)〜(7)の知見を得た。
(5)プローブコイルに通電する交流電流の周波数(検査周波数)を調整することにより、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差を調整可能である。
(6)上記(5)の位相差を135°以上に調整すれば、局部的な高硬度部での差動信号の位相が、磁性変動信号の位相とリフトオフ変動信号の位相との間に確実に位置する(局部的な高硬度部での差動信号の位相と、磁性変動信号の位相と、リフトオフ信号の位相とを確実に識別可能である)。
(7)従って、金属材料に存在する局部的な高硬度部の有無を検知するための情報として、検査周波数調整後のプローブコイルから出力された差動信号の振幅のみならず位相も用いれば、高硬度部をより一層精度良く検知可能である。
上記発明者らの知見によれば、本発明に係る渦流検査方法において、前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルで検出して得られる差動信号の内、前記金属材料の磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように、前記プローブコイルに通電する交流電流の周波数を設定し、前記差動信号の振幅及び位相に基づいて、前記金属材料に存在する局部的な高硬度部の有無を検知することが好ましい。
なお、本発明における「磁性変動信号」とは、プローブコイルによって検出される差動信号の内、金属材料固有の磁性変動(磁性ムラ)に起因した差動信号を意味する。さらに、本発明における「リフトオフ信号」とは、プローブコイルによって検出される差動信号の内、金属材料と差動型コイル(特に検出コイル)との距離(リフトオフ)変動に起因した差動信号を意味する。
上記の検出対象となる局部的な高硬度部は、例えば、前記金属材料の他の部位(局部的な高硬度部が存在しない健全部位)よりもビッカース硬度で50Hv以上高い部位とされる。
なお、手入れ処理によって高硬度部が除去されたか否かを確実に確認するには、金属材料に存在する局部的な高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後、前記渦流検査方法で前記金属材料を検査することにより前記高硬度部が除去されているか否かを確認することが好ましい。
また、前記渦流検査方法で検出した金属材料に存在する局部的な高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後、前記渦流検査方法で前記金属材料を再度検査することにより前記高硬度部が除去されているか否かを確認してもよい。
さらに、本発明は、磁性を有する金属材料に存在する局部的な高硬度部を検出する渦流検査装置であって、前記金属材料に対向配置され、前記金属材料に交流磁界を作用させて渦電流を誘起すると共に、前記金属材料に誘起された渦電流を検出する一対の検出コイルを具備するプローブコイルと、前記プローブコイルに交流電流を通電すると共に、前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルで検出して得られる差動信号に基づいて、前記局部的な高硬度部の有無を検知し、前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルの内のいずれか一方で検出して得られる絶対値信号に基づいて、前記検知した局部的な高硬度部の位置を特定する信号処理部とを備えることを特徴とする渦流検査装置としても提供される。
なお、本発明における「局部的な高硬度部の位置を特定する信号処理部」とは、信号処理部が局部的な高硬度部の位置を自動的に特定する構成の他、信号処理部自体は局部的な高硬度部の位置を特定するための情報を出力するに留まる構成(高硬度部の位置特定は、信号処理部から出力された情報に基づいて人間が行う)も含む意味である。
本発明によれば、磁性を有する金属材料に局部的に存在する高硬度部を確実に検出可能(高硬度部の有無を精度良く検知するのみならず、その位置(最大深さを有する位置)も精度良く特定可能)であると共に、高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後に、該高硬度部が除去されているか否かを確実に確認することができる。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について、被検査材である金属材料が磁性を有する鋼管(二相ステンレス鋼)である場合を例に挙げて説明する。
<渦流検査装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る渦流検査装置の概略構成を示す模式図である。また、図2は、図1に示すプローブコイルから出力される信号を模式的に説明する図であり、図2(a)は差動信号を、図2(b)は絶対値信号を示す。図1に示すように、本実施形態に係る渦流検査装置100は、プローブコイル1と、信号処理部2とを備えている。
プローブコイル1は、鋼管Pの外面に対向配置され、鋼管Pに交流磁界を作用させて渦電流を誘起すると共に、鋼管Pに誘起された渦電流を検出するように構成されている。具体的に説明すれば、本実施形態に係るプローブコイル1は、鋼管Pに交流磁界を作用させる励磁コイル(図示せず)と渦電流を検出するための検出コイルとが別体とされた相互誘導型コイルであると共に、一対の検出コイル11a、11bを具備し、各検出コイル11a、11bでの検出信号の差(差動信号)を出力するように構成された、いわゆる自己比較方式のコイルとして機能する。また、プローブコイル1は、上記の差動信号を出力すると同時に、一対の検出コイル11a、11bの内のいずれか一方(本実施形態では検出コイル11b)での検出信号と、標準となるものに対向配置された他の検出コイル11cでの検出信号との差(絶対値信号)を出力するように構成された、いわゆる標準比較方式のプローブコイルとしても機能する。
励磁コイルは、鋼管Pの外面に垂直な方向に交流磁界を作用させる一方、検出コイル11a、11bは、渦電流によって生じる鋼管Pの外面に垂直な方向の交流磁界の変化を検出する。各検出コイル11a、11bは鋼管Pの周方向に離間して配置されており、プローブコイル1を鋼管Pの周方向に相対移動させれば、プローブコイル1からは各検出コイル11a、11bに対向する鋼管Pの部位についての検出信号の差が差動信号として出力される。この磁性変動信号やリフトオフ信号の振幅が抑制された差動信号に基づいて検査することにより、局部的な高硬度部の検出能(S/N比)が高まり、精度良く高硬度部の有無を検知することが可能である。しかしながら、差動信号に基づいて検査したのでは、上記のように精度良く高硬度部の有無を検知することは可能であるものの、その位置(特に最大深さを有する位置)を精度良く特定することが困難である。すなわち、図2(a)に示すように、差動信号は、高硬度部PHのエッジ部近傍で正負にそれぞれピークを有する信号となるが、高硬度部PHの最大深さを有する部位にプローブコイル1を構成する各検出コイル11a、11bの中心を対向配置(図2(a)に示すBの状態)した場合、差動信号はゼロ近傍の値となり、ノイズに埋もれ易いため、最大深さを有する位置を精度良く特定することが困難である。また、差動信号には後述のようにハイパスフィルタ25Aを適用するため、ハイパスフィルタ25Aのカットオフ周波数に応じた速度でプローブコイル1を鋼管Pに対して相対移動させて初めて差動信号に基づく高硬度部PHの検知が可能となる(静止した状態では差動信号に基づく高硬度部PHの検知はできない)ため、最大深さを有する位置を精度良く特定することが困難である。このように、高硬度部PHの最大深さを有する位置を精度良く特定できなければ、手入れ処理を施す際に不都合が生じる。
このため、前述のように、本実施形態に係るプローブコイル1からは検出コイル11bに対向する鋼管Pの部位についての検出信号と標準となるものに対向配置された他の検出コイル11cでの検出信号との差が絶対値信号として出力されるように構成されている。この絶対値信号は、ハイパスフィルタを適用しないためにプローブコイル1を静止させた状態や極低速走査した状態でも用いることができる上、図2(b)に示すように、局部的な高硬度部PHの断面形状と略相似形の信号となり、高硬度部PHの最大深さを有する部位にプローブコイル1を構成する検出コイル11bを対向配置(図2(b)に示すEの状態)した場合にピークを有するため、最大深さを有する位置を精度良く特定することが可能である。従って、プローブコイル1を鋼管Pに対して相対移動させ、差動信号を用いて高硬度部を検知した後、該検知した部位近傍でプローブコイル1を再度相対移動させ、絶対値信号を用いて高硬度部の位置を特定すれば、高硬度部の有無を精度良く検知するのみならず、その位置(最大深さを有する位置)も精度良く特定可能である。
信号処理部2は、プローブコイル1に交流電流を通電すると共に、プローブコイル1から出力された差動信号に基づいて、鋼管Pに存在する局部的な高硬度部の有無を検知し、プローブコイル1から出力された絶対値信号に基づいて、前記検知した局部的な高硬度部の位置を特定するように構成されている。具体的には、本実施形態に係る信号処理部2は、発信器21と、差動信号を処理するための増幅器22A、同期検波器23A、位相回転器24A、ハイパスフィルタ25A、A/D変換器26A及び判定部27Aとを備える。また、本実施形態に係る信号処理部2は、絶対値信号を処理するための増幅器22B、同期検波器23B、位相回転器24B、A/D変換器26B及び判定部27Bを備える。
発信器21は、プローブコイル1(具体的には、プローブコイル1の励磁コイル)に所定周波数の交流電流を供給する。これにより、前述のように、プローブコイル1から鋼管Pの外面に向かう交流磁界が生じ、鋼管Pに渦電流が誘起される。なお、プローブコイル1に通電する交流電流の周波数(検査周波数)の設定方法については後述する。
プローブコイル1から出力された差動信号は、増幅器22Aによって増幅された後、同期検波器23Aに出力される。なお、増幅器22Aは、一定の増幅率で差動信号を増幅する構成の他、AGC(Auto Gain Control)機能を具備する構成とすることも可能である。
同期検波器23Aは、発振器21から出力される参照信号に基づき、増幅器22Aの出力信号を同期検波する。具体的に説明すれば、発振器21から同期検波器23Aに向けて、プローブコイル1に供給する交流電流と同一の周波数で同一の位相を有する第1参照信号と、該第1参照信号の位相を90°だけ移相した第2参照信号とが出力される。そして、同期検波器23Aは、増幅器22Aの出力信号から、第1参照信号の位相と同位相の信号成分(第1信号成分)及び第2参照信号の位相と同位相の信号成分(第2信号成分)を分離・抽出する。分離・抽出された第1信号成分及び第2信号成分は、それぞれ位相回転器24Aに出力される。
位相回転器24Aは、同期検波器23Aから出力された第1信号成分及び第2信号成分の位相を互いに同一の所定量だけ回転(移相)し、例えば、第1信号成分をX信号、第2信号成分をY信号として、ハイパスフィルタ25Aに出力する。なお、位相回転器24Aから出力されるX信号及びY信号は、互いに直交する2軸(X軸、Y軸)で表されるX−Yベクトル平面においていわゆるリサージュ波形と称される信号波形(すなわち、振幅をZ、位相をθとして極座標(Z、θ)で表したプローブコイル1の差動信号波形(正確には、増幅器22Aによって増幅した後の差動信号波形))を、X軸及びY軸にそれぞれ投影した成分に相当することになる。位相回転器24Aによる位相回転は、例えば、磁性変動信号がX−Yベクトル平面のX軸上に位置するように調整する目的でなされる。
ハイパスフィルタ25Aは、位相回転器24Aから出力されたX信号及びY信号から所定の低周波成分を除去し、A/D変換器26Aに出力する。
A/D変換器26Aは、ハイパスフィルタ25Aの出力信号をA/D変換し、判定部27Aに出力する。
判定部27Aは、例えば、後述の演算処理を行うためのプログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータ等から構成される。判定部27Aは、A/D変換器26Aの出力データ(すなわち、ハイパスフィルタ25Aによって低周波成分が除去されたX信号及びY信号をA/D変換したデジタルデータ。以下、X信号データ及びY信号データという)に基づいて、鋼管Pに存在する局部的な高硬度部の有無を検知する。具体的に説明すれば、判定部27Aは、先ず最初に、入力されたX信号データ及びY信号データに基づき、プローブコイル1の差動信号(正確には、増幅器22Aによって増幅し、ハイパスフィルタ25Aによって低周波成分を除去した後の差動信号)の振幅Z及び位相θを演算する。X信号データの値をX、Y信号データの値をYとすると、振幅Z及び位相θは、それぞれ下記の式(1)及び(2)によって演算される。
Z=(X+Y1/2 ・・・ (1)
θ=tan−1(Y/X) ・・・ (2)
次に、判定部27Aは、前記演算した振幅Zが予め定めたしきい値よりも大きいか否かを判定する。振幅Zが予め定めたしきい値以下である場合、判定部27Aは、この振幅Zを有する差動信号は局部的な高硬度部での差動信号ではないと判定する。一方、振幅Zが予め定めたしきい値よりも大きい場合には、判定部27Aは、前記演算した位相θが予め定めた範囲内にあるか否かを判定する。位相θが予め定めた範囲内にある場合、判定部27Aは、この振幅Z及び位相θを有する差動信号は鋼管Pに存在する局部的な高硬度部での差動信号(以下、適宜、「高硬度部信号」という)であると判定して、局部的な高硬度部を検知したことを知らせる所定のアラームを出力する。
一方、プローブコイル1から出力された絶対値信号は、増幅器22Bによって増幅された後、同期検波器23Bで同期検波され、位相回転器24Bで移相される。その後、A/D変換器26BでA/D変換された後、判定部27Bに出力される。なお、絶対値信号の処理に用いられる増幅器22B、同期検波器23B、位相回転器24B及びA/D変換器26Bの構成及び機能は、差動信号の処理に用いられる増幅器22A、同期検波器23A、位相回転器24A及びA/D変換器26Aの構成及び機能と同様であるため、ここでは説明を省略する。
判定部27Bでは、A/D変換器26Bから出力された絶対値信号についてのX信号データ及びY信号データ(位相回転器24Bから出力された絶対値信号の信号成分であるX信号及びY信号をA/D変換したデジタルデータ)に基づき、上記の式(1)によってプローブコイル1の絶対値信号(正確には、増幅器22Bによって増幅した後の絶対値信号)の振幅Zを演算する。そして、プローブコイル1を相対移動させている最中に最大の振幅Zが得られた場合には、この振幅Zを有する絶対値信号は鋼管Pに存在する局部的な高硬度部の最大深さを有する位置での絶対値信号であると判定し、必要に応じて、局部的な高硬度部の位置を特定したことを知らせる所定のアラームを出力する。なお、演算した振幅Zが最大であることの判定及び最大の振幅Zが得られたときのプローブコイル1の位置の特定(すなわち、高硬度部の最大深さを有する位置の特定)は、例えば、判定部27Bが、プローブコイル1を相対移動させている最中に、所定の基準位置からのプローブコイル1の変位と各変位で演算した振幅Zとを紐付けて逐次記憶するように構成し、該記憶した振幅Zの中から最大の振幅Zを検出すると共に、該最大の振幅Zが得られたときのプローブコイル1の変位を検出するように構成することで実現可能である。ただし、本発明は、上記のような判定部27Bによる自動的な高硬度部の位置特定に限るものではなく、例えば、判定部27Bが、プローブコイル1を相対移動することに伴う振幅Zの変動をモニタ表示するように構成し、オペレータが手動でプローブコイル1を相対移動させながら前記モニタ表示を目視することにより、振幅Zが最大となったことを判定すると共に、最大の振幅Zが得られたときのプローブコイル1の位置を特定することも可能である。或いは、判定部27Bが、判定部27Aと同様に、絶対値信号の位相θも演算して、振幅Z及び位相θによって算出されるリサージュ波形をモニタ表示するように構成し、オペレータが手動でプローブコイル1を相対移動させながら前記モニタ表示を目視することにより、振幅Zが最大となったことを判定すると共に、最大の振幅Zが得られたときのプローブコイル1の位置を特定してもよい。すなわち、判定部27B自体は局部的な高硬度部の位置を特定するための情報(振幅、リサージュ波形等)を出力するに留まり、高硬度部の位置特定は、判定部27Bから出力された情報に基づいてオペレータが行う構成を採用することも可能である。また、信号処理部2に判定部27Bを設けることなく、位相回転器24Bから出力されるX信号及びY信号をオシロスコープ等に入力することにより表示される絶対値信号のリサージュ波形を目視することによって、オペレータが振幅Zが最大となったことを判定すると共に、最大の振幅Zが得られたときのプローブコイル1の位置を特定することも可能である。
図3は、図1に示すプローブコイルから出力される差動信号及び絶対値信号のリサージュ波形の一例を示す図である。図3(a)は差動信号のリサージュ波形(正確には、ハイパスフィルタ25Aから出力される低周波成分が除去されたX信号及びY信号をオシロスコープ等に入力することにより表示される差動信号のリサージュ波形)を、図3(b)は絶対値信号のリサージュ波形(正確には、位相回転器24Bから出力されるX信号及びY信号をオシロスコープ等に入力することにより表示される絶対値信号のリサージュ波形)を示す。図3(a)に示すように、差動信号の振幅Zが予め定めたしきい値よりも大きく、且つ、位相θが予め定めた範囲内にある場合、判定部27Aは、この振幅Z及び位相θを有する差動信号は高硬度部信号であると判定して、局部的な高硬度部を検知したことを知らせる所定のアラームを出力する。そして、検知した部位近傍でプローブコイル1を再度相対移動させ、図3(b)に示すように、絶対値信号の振幅Zが最大となるプローブコイル1の位置を特定(自動又は目視での特定)すれば、高硬度部の有無を精度良く検知するのみならず、その位置(最大深さを有する位置)も精度良く特定可能である。
<検査周波数の設定方法>
以上に説明した構成を有する渦流検査装置100において、信号処理部2(発振器21)からプローブコイル1に通電する交流電流の周波数(検査周波数)は、プローブコイル1によって検出した差動信号の内、鋼管Pの磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように設定される。具体的には、検査周波数を適宜変更して、鋼管Pの健全部位(局部的な高硬度部が存在しない部位)を検査し、判定部27Aによって演算される鋼管Pの磁性変動信号の位相(検出した磁性変動信号のうち最大の振幅を有する磁性変動信号の位相)と、リフトオフ信号の位相(検出したリフトオフ信号のうち最大の振幅を有するリフトオフ信号の位相)との差が135°以上となる検査周波数を設定値として選択すればよい。
以下、鋼管Pの磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように検査周波数を設定する理由について具体的に説明する。
本発明の発明者らによる検査試験の結果、高硬度部信号の位相は、磁性変動信号の位相とリフトオフ信号の位相との間に位置する傾向のあることが分かった。しかしながら、高硬度部信号の位相が高硬度部の組織状態等によって変動する上、磁性変動信号やリフトオフ信号の位相も変動するため、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が小さいと、高硬度部信号に磁性変動信号及びリフトオフ信号がノイズとして重畳される場合(高硬度部信号の位相と、磁性変動信号又はリフトオフ信号の位相とが同程度となる場合)があることも分かった。このため、振幅のみならず位相も情報として用いて、高硬度部信号を確実に検出するには、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差をできるだけ大きくする必要があることに想到した。
図4は、検査周波数を変更した場合において、プローブコイル1によって検出される鋼管Pの磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差の変化を示すグラフである。本発明の発明者らによる検査試験の結果、図4に示すように、検査周波数を高めれば高めるほど、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が大きくなることが分かった。そして、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように検査周波数を設定(本実施形態では、検査周波数を64kHzに設定)すれば、高硬度部信号の位相が、磁性変動信号の位相とリフトオフ変動信号の位相との間に確実に位置すること(高硬度部信号の位相と、磁性変動信号の位相と、リフトオフ信号の位相とを確実に識別可能であること)が分かった。
図5は、プローブコイル1によって検出される各差動信号(高硬度部信号、磁性変動信号、リフトオフ信号)の位相関係を模式的に示す図であり、具体的には、検査周波数を64kHzとした場合に、位相回転器24Aから出力されるX信号及びY信号に基づいて算出される各差動信号に対応するリサージュ波形の延びる方向を模式的に示す図である。図5に示すように、検査周波数を64kHzとし、X軸上(位相180°の位置)に鋼管Pの磁性変動信号が位置するように位相回転器24Aの回転量(移相量)を調整すれば、リフトオフ信号の位相は45°よりも小さくなり(すなわち、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となり)、高硬度部信号の位相は、磁性変動信号の位相とリフトオフ信号の位相との間(具体的には、位相70°から135°の間)で検出されることが分かった。このように、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように検査周波数を設定すれば、高硬度部信号の位相と磁性変動信号又はリフトオフ信号の位相とが同程度となることなく、位相の差異によって高硬度部信号を正確に検出することが可能である。
以上に説明した理由により、前述のように、信号処理部2では、鋼管Pの磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように検査周波数を設定している。ただし、検査周波数を変更することによって渦電流の浸透深さが変化する(検査周波数を高くすれば、渦電流の浸透深さは小さくなる)ため、検査周波数を高くすればするほど良いということではなく、検出対象とする高硬度部の鋼管P表面からの深さも考慮して検査周波数を設定することが好ましい。また、検査周波数を過度に高周波に設定すると、渦電流の浸透深さが小さくなりすぎ、鋼管P表面の凹凸に過敏になってノイズ信号が大きくなったり、高硬度部の深さ情報が失われる等の不具合が生じるため、これらの点も考慮して検査周波数を設定することが好ましい。
図6は、検査周波数を16kHz、32kHz、64kHzと変更した場合に得られる、局部的な高硬度部の硬度(ビッカース硬度)と、判定部27Aによって演算された高硬度部信号の振幅との関係の一例を示すグラフである。なお、図6の横軸の硬度は、鋼管Pの表面から深さ0.1mmでの硬度を意味する。また、図6に示すノイズレベルは、磁性変動信号又はリフトオフ信号の最大の振幅を意味する。図6に示すように、検査周波数を64kHzに設定することにより、検査周波数を16kHzに設定した場合に比べて渦電流が鋼管Pの表面近傍に集中するため、高硬度部信号の振幅が大きくなり、健全部位の硬度(約350Hv)よりも50Hv以上高い(従って、硬度が約400Hv以上の)高硬度部であれば、ノイズレベルよりも大きな高硬度部信号の振幅(すなわち、高硬度部のS/N比>1)を得ることができる。本実施形態では、前述のように、検査周波数を64kHzに設定しているため、ノイズレベルよりも大きな高硬度部信号の振幅を得ることができると共に、磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差を135°以上にする(高硬度部信号の位相と、磁性変動信号の位相と、リフトオフ信号の位相とを確実に識別可能)ことができる。従って、前述のように、判定部27Aが、演算した振幅Zが予め定めたしきい値(例えばノイズレベル)よりも大きいか否かを判定し、振幅Zが予め定めたしきい値よりも大きい場合には、演算した位相θが予め定めた範囲内(例えば、位相70°から135°の間)にあるか否かを判定することにより、金属材料に局部的に存在する高硬度部を確実に検出可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る渦流検査装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、図1に示すプローブコイルから出力される信号を模式的に説明する図であり、図2(a)は差動信号を、図2(b)は絶対値信号を示す。 図3は、図1に示すプローブコイルから出力される差動信号及び絶対値信号のリサージュ波形の一例を示す図であり、図3(a)は差動信号のリサージュ波形を、図3(b)は絶対値信号のリサージュ波形を示す。 図4は、検査周波数を変更した場合において、図1に示すプローブコイルによって検出される鋼管の磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差の変化を示すグラフである。 図5は、図1に示すプローブコイルによって検出される各差動信号(高硬度部信号、磁性変動信号、リフトオフ信号)の位相関係を模式的に示す図である。 図6は、検査周波数を変更した場合に得られる、局部的な高硬度部の硬度(ビッカース硬度)と、図1に示す判定部によって演算された高硬度部信号の振幅との関係の一例を示すグラフである。
符号の説明
1・・・プローブコイル
2・・・信号処理部
11a、11b、11c・・・検出コイル
21・・・発信器
22A、22B・・・増幅器
23A、23B・・・同期検波器
24A、24B・・・位相回転器
25A・・・ハイパスフィルタ
26A、26B・・・A/D変換器
27A、27B・・・判定部
100・・・渦流検査装置
P・・・鋼管

Claims (6)

  1. 磁性を有する金属材料に存在する局部的な高硬度部を検出する渦流検査方法であって、
    前記金属材料に対向配置した一対の検出コイルを具備するプローブコイルを前記金属材料に対して相対移動させながら、前記プローブコイルに交流電流を通電して前記金属材料に交流磁界を作用させると共に、
    前記交流磁界によって前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルで検出して得られる差動信号に基づいて、前記局部的な高硬度部の有無を検知し、
    前記交流磁界によって前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルの内のいずれか一方で検出して得られる絶対値信号に基づいて、前記検知した局部的な高硬度部の位置を特定することを特徴とする渦流検査方法。
  2. 前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルで検出して得られる差動信号の内、前記金属材料の磁性変動信号とリフトオフ信号との位相差が135°以上となるように、前記プローブコイルに通電する交流電流の周波数を設定し、前記差動信号の振幅及び位相に基づいて、前記金属材料に存在する局部的な高硬度部の有無を検知することを特徴とする請求項1に記載の渦流検査方法。
  3. 前記局部的な高硬度部は、前記金属材料の他の部位よりもビッカース硬度で50Hv以上高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の渦流検査方法。
  4. 金属材料に存在する局部的な高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後、請求項1から3のいずれかに記載の渦流検査方法で前記金属材料を検査することにより前記高硬度部が除去されているか否かを確認することを特徴とする渦流検査方法。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載の渦流検査方法で検出した金属材料に存在する局部的な高硬度部を除去するための手入れ処理を施した後、請求項1から3のいずれかに記載の渦流検査方法で前記金属材料を再度検査することにより前記高硬度部が除去されているか否かを確認することを特徴とする渦流検査方法。
  6. 磁性を有する金属材料に存在する局部的な高硬度部を検出する渦流検査装置であって、
    前記金属材料に対向配置され、前記金属材料に交流磁界を作用させて渦電流を誘起すると共に、前記金属材料に誘起された渦電流を検出する一対の検出コイルを具備するプローブコイルと、
    前記プローブコイルに交流電流を通電すると共に、前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルで検出して得られる差動信号に基づいて、前記局部的な高硬度部の有無を検知し、前記金属材料に誘起された渦電流を前記一対の検出コイルの内のいずれか一方で検出して得られる絶対値信号に基づいて、前記検知した局部的な高硬度部の位置を特定する信号処理部とを備えることを特徴とする渦流検査装置。
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