JP6562055B2 - 方向性電磁鋼板の加工状態評価方法、加工状態評価装置、及び製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板の加工状態評価方法、加工状態評価装置、及び製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の加工状態評価方法、加工状態評価装置、及び製造方法に関する。
電磁鋼板の電磁気特性は、製品性能を左右する重要な特性の一つであり、その評価項目としては、鉄損、最大透磁率、磁歪等がある。ここで、鉄損とは、電磁鋼板に交流磁場を印加した際、磁気ヒステリシスや渦電流によって磁気エネルギーが熱エネルギーとして消費されるために、エネルギーの損失が生じる性質のことを意味する。従って、鉄損が小さい電磁鋼板は、エネルギー変換効率がより高くなるために鉄損が大きい電磁鋼板に比べて有利である。なお、方向性電磁鋼板については、鉄損を低減する技術が開発されており、その一つとして、物理的な手法によって表層に圧延方向に周期的に局所的な不均一性を導入することにより磁区の幅を細分化して鉄損を低減する磁区細分化加工プロセスがある。
この磁区細分化加工プロセスでは、表層に不均一性を導入すればよく、必ずしも穴や溝等の形状の変化を表層に設ける手法に限らず、表層に形状の変化を伴わない不均一性を導入する手法であればよい。これは、例えば、熱や圧力等を加える手法で実現することができる。より具体的には、レーザ、電子ビーム、プラズマジェット等を照射する方法によって表層に不均一性を加えることができる。方向性電磁鋼板には磁化容易軸に平行な圧延方向に磁化した磁区が形成されている。しかしながら、これらの磁区細分化加工プロセスによって加えられた表層の不均一部には、何らかの傷や形状の変化はなくとも、圧延方向とは異なる方向に磁化した磁区が局所的に形成されており、この磁化の不連続性が磁区細分化を生じさせている。
ところで、電磁鋼板の電磁気特性を測定する方法として、特許文献1,2に記載の方法が知られている。具体的には、特許文献1に記載の方法は、B−H曲線を測定することによって磁気ヒステリシスを求めると共に励磁信号に高周波成分を含ませることによって微分透磁率を求めている。また、特許文献2に記載の方法は、磁化容易軸方向に電磁鋼板を直流磁化すると共に磁化容易軸方向に対して垂直な方向に電磁鋼板を交流磁化することによって、交流磁化の影響度合いから電磁鋼板の電磁気特性を測定する。
特開2011−226840号公報 特開2010−54254号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、B−H曲線を測定するために電磁鋼板を飽和状態まで磁化する必要がある。このため、特許文献1に記載の方法によれば、B−H曲線の1ループ分の測定時間が最低でも必要であり、電磁鋼板の電磁気特性の測定に多くの時間を要する。一方、特許文献2に記載の方法では、磁化容易軸方向に磁区を固定するために直流磁化を磁気飽和レベルに近づける必要がある。このため、特許文献2に記載の方法によれば、電磁鋼板の電磁気特性の測定に多くの電力が必要となると共に、直流磁化と交流磁化とを行うために装置の大型化及び複雑化が避けられない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、多くの時間及びコストを要することなく簡素な構成で方向性電磁鋼板の電磁気特性を測定することによって方向性電磁鋼板の加工状態を評価可能な方向性電磁鋼板の加工状態評価方法及び加工状態評価装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、方向性電磁鋼板の製造歩留まりを向上可能な方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法は、磁区細分化加工が施された方向性電磁鋼板に対して外部から交流の磁場を印加する励磁ステップと、前記磁場の印加に伴い前記方向性電磁鋼板中に発生する渦電流を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出された渦電流に基づいて前記磁区細分化加工が施された領域の加工状態を評価する処理ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法は、上記発明において、前記励磁ステップは、交流周波数が異なる複数の磁場を印加するステップを含み、前記処理ステップは、交流周波数毎の渦電流を処理することによって前記磁区細分化加工の深さを評価するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法は、上記発明において、前記励磁ステップは、交流の磁場と共に直流の磁場を前記方向性電磁鋼板に印加するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法は、上記発明において、前記処理ステップは、複数のチャンネルの渦電流の時系列信号に対して高速フーリエ変換演算処理を施すことにより各チャンネルの周波数分布を算出し、各チャンネルの周波数分布を加算し、加算された各チャンネルの周波数分布を用いて磁区細分化加工が施された領域の加工状態を評価するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価装置は、磁区細分化加工が施された方向性電磁鋼板に対して外部から交流の磁場を印加し、該磁場の印加に伴い前記方向性電磁鋼板中に発生する渦電流を検出する渦電流検出部と、前記渦電流検出部によって検出された漏洩磁束に基づいて前記磁区細分化加工が施された領域の加工状態を評価する信号処理部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価装置は、上記発明において、前記渦電流検出部は、前記磁場を印加する励磁部と前記渦電流を検出する検出部とが一体化したE型のセンサを備えることを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の製造方法は、本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法による前記磁区細分化加工が施された領域の加工状態の評価結果に基づいて前記磁区細分化加工の条件を変更し、変更した条件に従って前記磁区細分化加工を行うことにより方向性電磁鋼板を製造するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法及び加工状態評価装置によれば、多くの時間及びコストを要することなく簡素な構成で方向性電磁鋼板の加工状態を評価することができる。また、本発明に係る方向性電磁鋼板の製造方法によれば、方向性電磁鋼板の製造歩留まりを向上させることができる。
図1は、本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価装置の構成を示す模式図である。 図2は、渦流センサの一構成例を示す模式図である。 図3は、磁区細分化加工状態の良い方向性電磁鋼板及び悪い方向性電磁鋼板の渦流探傷結果を示す図である。 図4は、本発明の一実施形態である方向性電磁鋼板の加工状態評価装置の構成を示す模式図である。 図5は、磁区細分化加工が十分である方向性電磁鋼板及び不十分である方向性電磁鋼板について、渦電流検出部により50mm×50mmの領域の渦電流を検出した例を示す図である。 図6は、実施例における渦流センサの構成を示す模式図である。 図7は、チャンネル1及びチャンネル2の渦流センサの出力信号を時系列に示した図である。 図8は、渦流センサの出力信号を8チャンネル分加算した信号を示す図である。 図9は、本発明の一実施形態である加工状態評価処理の流れを示すフローチャートである。 図10は、図5に示した磁区細分化加工が十分である方向性電磁鋼板及び不十分である方向性電磁鋼板の渦電流測定結果を磁化容易軸方向に高速フーリエ変換演算処理して8チャンネル分の値を加えた結果を示す図である。 図11は、外部磁化によって磁壁が移動する様子を示す模式図である。
本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価方法及び加工状態評価装置は、渦流探傷法を利用して方向性電磁鋼板中の渦電流を測定することによって方向性電磁鋼板の加工状態を非破壊、且つ、非接触で評価する。方向性電磁鋼板の製造過程において、磁区細分化加工プロセスは、その原理的にも方向性電磁鋼板の磁性を局所的に変化させることを意味する。従って、磁区細分化加工が施された領域(以下、磁区細分化加工部)を局所的な磁性の不連続部と考えれば、渦流探傷法を利用して方向性電磁鋼板中の渦電流を測定することによって方向性電磁鋼板の加工状態を評価することができる。
図1は、本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価装置の構成を示す模式図である。図2は、渦流センサの一構成例を示す模式図である。図1に示すように、本発明に係る方向性電磁鋼板の加工状態評価装置1は、渦電流検出部2及び信号処理部3を主な構成要素として備えている。この方向性電磁鋼板の加工状態評価装置1では、渦電流検出部2が方向性電磁鋼板Sの上に非接触で設置されている。そして、渦電流検出部2の下方を通過する方向性電磁鋼板S中に渦電流を発生させると共に発生した渦電流を渦電流検出部2内の渦流センサ4(図2参照)で検出し、信号処理部3において渦流センサ4の検出信号を処理することにより、方向性電磁鋼板Sに形成された磁区細分化加工部SPの加工状態を評価する。
図2に示すように、渦電流検出部2内の渦流センサ4は、基部4a1と基部4a1に立設された3本の脚部4a2,4a3,4a4とを有するE型コア4a、脚部4a2及び脚部4a4に巻回された検出コイル4b,4d、及び脚部4a3に巻回された励磁コイル4cを備えている。この渦流センサ4では、励磁コイル4cに通電することによって方向性電磁鋼板S中に渦電流を発生させ、検出コイル4b,4dにより方向性電磁鋼板S中に発生した渦電流を検出する。
図3(a),(b)はそれぞれ、磁区細分化加工状態の良い方向性電磁鋼板及び悪い方向性電磁鋼板の渦流探傷結果を示す図である。この2種類の方向性電磁鋼板には磁区細分化加工が施されているが、鋼板の表面にも内部にも傷や形状の変化はなく磁区の不連続部が形成されている。図3(a)に示すように、磁区細分化加工状態の良い方向性電磁鋼板では、筋状の磁区細分化加工部が検出された。しかしながら、図3(b)に示すように、磁区細分化加工状態の悪い方向性電磁鋼板では、筋状の磁区細分化加工部をはっきりと確認することができなかった。なお、磁区細分化加工状態の良い方向性電磁鋼板の鉄損値は、磁区細分化加工状態の悪い方向性電磁鋼板の鉄損値よりも低い。従って、筋状の磁区細分化加工部の検出状況によって方向性電磁鋼板の鉄損値を推定することもできる。
なお、渦電流検出部2によって検出される方向性電磁鋼板中の渦電流は交流であり、振幅及び位相の情報が含まれている。位相は、方向性電磁鋼板内の渦電流の深さ方向分布と関係性があるので、検波時に位相を考慮することによって磁区細分化加工部の深さ方向の状態も推定できる。すなわち、方向性電磁鋼板のほぼ表面のみ加工されているのか、又は、やや深く表面及び表層も加工されているのかを推定することができる。磁区細分化加工プロセスにおいて加工の深さを変化させたい場合には、磁区細分化加工部の加工状態を深さ方向も含めて評価することができる。
そして、評価の結果、磁区細分化加工部の加工状態が所望の状態にない場合には、加工機へフィードバックして早期に磁区細分化加工部の加工状態を修正することにより、仕様の外れた方向性電磁鋼板を製造することを避けることができ、歩留まりも向上する。具体的には、レーザや電子線を用いて方向性電磁鋼板に歪みを導入することによって磁区細分化加工部を形成する場合には、レーザや電子線の出力、フォーカス、走査速度、長手方向の歪みの繰り返し間隔(線間隔)等を調整することにより、磁区細分化加工部の加工状態を所望の状態に調整する。
以下、本発明の一実施形態である方向性電磁鋼板の加工状態評価装置の構成及び動作について説明する。
図4(a),(b)は、本発明の一実施形態である方向性電磁鋼板の加工状態評価装置の構成を示す模式図である。図4(a),(b)に示すように、本発明の一実施形態である方向性電磁鋼板の加工状態評価装置10は、渦電流検出部12及び信号処理部13を主な構成要素として備えている。
渦電流検出部12は、方向性電磁鋼板Sの幅方向に沿って配列された、1つの励磁コイル及び2つの検出コイルを有する複数の渦流センサ14を備えている。渦流センサ14は、信号処理部13内の発振器13aから励磁信号が供給されるのに伴い方向性電磁鋼板S中に渦電流を発生させ、2つの検出コイルにより方向性電磁鋼板S中に発生した渦電流を検出する。そして、2つの検出コイルにより検出された信号(検出信号1,2)は信号処理部13に入力される。
信号処理部13は、発振器13a、位相器13b、増幅器13c、乗算器13d、複数チャンネルのバンドパスフィルタ(BPF)13e、及び情報処理部13fを備えている。発振器13aは、所定周波数の励磁信号を発振し、励磁信号を渦流センサ14の励磁コイル及び位相器13bに出力する。位相器13bは、発振器13aから出力された励磁信号の位相を調整して乗算器13dに出力する。
増幅器13cは、渦流センサ14から出力された検出信号1と検出信号2との差分信号を増幅して出力する。乗算器13dは、位相器13bの出力信号と増幅器13cの出力信号とを乗算することによって励磁信号の所定周波数で同期検波し、検波された信号を各チャンネルのバンドパスフィルタ13eに出力する。
各チャンネルのBPF13eは、乗算器13dの出力信号から設定された周波数帯の出力信号を抽出し、抽出した出力信号を情報処理部13fに出力する。情報処理部13fは、各チャンネルのBPF13eの出力信号の振幅及び位相に関する情報を記録し、記録した情報を用いて方向性電磁鋼板Sの磁区細分化加工部の加工状態を評価する。なお、検波する位相を調整して振幅に関する情報のみを記録するようにしてもよい。
渦電流検出部を方向性電磁鋼板に対して相対的に移動、走査することにより、磁区細分化加工部の加工状態を評価した。図5(a),(b)はそれぞれ、磁区細分化加工が十分である方向性電磁鋼板及び不十分である方向性電磁鋼板について、渦電流検出部により50mm×50mmの領域の渦電流を検出した例を示す図である。図5(a)に示すように、磁区細分化加工が十分である方向性電磁鋼板では、筋状の磁区細分化加工部SPを確認することができた。これに対して、図5(b)に示すように、磁区細分化加工が不十分である方向性電磁鋼板では、筋状の磁区細分化加工部SPが不明確であった。なお、一般に、磁区細分化加工は、5〜10mm程度の間隔で行われるため、一定間隔で筋が見える特徴がある。本例では、磁区細分化加工部SPの間隔は8mmであった。
このような筋状の磁区細分化加工部SPを検出するにあたっては、渦流センサの検出信号を処理する必要がある。例えば図5(a),(b)に示すような渦電流の2次元マップを測定するためには、渦流センサに対して方向性電磁鋼板が相対的に移動する必要があるが、本実施例では、図6に示すように、方向性電磁鋼板の幅方向に沿って複数の渦流センサ14を配列し、方向性電磁鋼板が移動する場合を考える。具体的には、渦流センサ14のリフトオフ量(渦流センサ14と方向性電磁鋼板との間の距離)を0.3〜3mmの範囲内とし、方向性電磁鋼板の幅方向に1mm間隔で1mm幅の渦流センサ14を8個配列した。図7(a),(b)はそれぞれ、チャンネル1(ch1)及びチャンネル2(ch2)の渦流センサの出力信号を時系列に示した図である。図7(a),(b)に示すように、方向性電磁鋼板の速度が1m/sであったため、8mm間隔の磁区細分化加工部が8msの間隔の信号変化として検出された。
このような出力信号の評価指標例として、各チャンネルの同じ時刻の出力信号を加算し、所定のチャンネル数の合計値をその時刻の値とする方法を示す。すなわち、磁区細分化加工が単発的に不良であったとしても、それが継続的に続かなければ方向性電磁鋼板の特性としては悪くならないので、出力信号の大きさの平均値を評価指標として用いる。図8は、渦流センサの出力信号を8チャンネル(ch1〜ch8)分加算した信号を示す図である。図8に示すように、一定時間毎に磁区細分化加工部に由来する信号が残っていることがわかる。そこで、加算した信号において、パラメータとして設定した閾値を超えた場合は評価1、一定時間内(間隔8ms)に閾値を超えない場合は評価0として、方向性電磁鋼板の所定長さ区間内に評価1が幾つあったかをカウントする。そして、カウントによってアラームのレベルを変えて警告を発生する。この加工状態評価処理の流れを図9に示す。
図9は、本発明の一実施形態である加工状態評価処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、本発明の一実施形態である加工状態評価処理では、まず、方向性電磁鋼板の所定定長さ区間、渦流センサの出力信号のデータを採取し(ステップS1)、採取したデータを用いて渦流センサの出力信号を8チャンネル分加算する(ステップS2)。次に、加算した信号において、パラメータとして設定した閾値を超えた場合は評価1、一定時間内(間隔8ms)に閾値を超えない場合は評価0として、方向性電磁鋼板の一定区間内に評価1が幾つあったかをカウントする(ステップS3)。
そして、磁区細分化加工部分を全て正確に検出した場合のカウント数(全検出の場合の本数)に対するステップS3のカウント数の割合を算出し、算出された割合が0〜50%である場合(ステップS4)、赤ランプを警告情報として点灯し(ステップS5)、加工機をメンテナンスすることを促す(ステップS6)。一方、算出された割合が50〜80%である場合には(ステップS7)、黄ランプを注意情報として点灯し(ステップS8)、カウントを注視して加工機の定期修理までの期間により対応を検討することを促す(ステップS9)。また、算出された割合が80〜100%である場合には(ステップS10)、緑ランプを点灯して評価は合格であるとし(ステップS11)、オペレータは何もしない(ステップS12)。以後、同様の処理を繰り返し実行する。
なお、本例では、同じ時刻の出力信号を加算し、所定のチャンネル数の出力信号の合計値をその時刻の出力信号とする方法を用いたが、各チャンネルの出力信号に対して高速フーリエ変換(FFT)演算処理を施し、周波数領域で加算処理を行って評価してもよい。具体的には、8mm間隔に想到する周波数(1m/sの場合は125Hz付近)の出力信号の強度レベルにて評価すればよい。
通常は、演算量低減のため各チャンネルの時系列信号を加算してからFFT演算処理により各チャンネルの周波数分布を求める。しかしながら、加工によって生じる筋状の磁区細分化加工部SPが斜めになった場合には、先に時系列信号を加算すると磁区細分化加工部SPの位置が不明瞭になる。これに対して、本方式のように、先にFFT演算処理を行うことによって、加工によって生じる筋状の磁区細分化加工部SPが磁化容易軸方向に対して斜めになった場合であっても、精度を落とさずに磁区細分化加工部SPの位置を計測することができる。
図10は、図5(a),(b)に示した磁区細分化加工が十分である方向性電磁鋼板及び不十分である方向性電磁鋼板の渦電流測定結果を磁化容易軸方向にFFT演算処理して8チャンネル分の値を加えた結果を示す図である。縦軸はFFT演算処理結果の複素数を絶対値で表した値(以下、強度レベルと呼称することがある)を示し、横軸はFFT演算処理の結果得られた周波数を波長に換算した値を示す。磁区細分化加工部が8mm間隔である場合、波長8mmの強度レベルを評価対象とする。図10に示すように、磁区細分化加工が不十分な方向性電磁鋼板では、波長8mmの強度レベルが小さく、磁区細分化加工が十分な方向性電磁鋼板では、波長8mmの強度レベルが大きくなり、この値を磁区細分化加工の指標とすることができる。他にも、渦電流信号を磁化容易軸方向に自己相関する、磁区細分化加工の周期の信号でフィルタリングする等、ほかの磁化容易軸方向の信号の周期性を評価する演算を用いても磁区細分化加工の状況を評価することができる。
また、オフラインでの出力信号の評価であれば、渦電流検出部を移動させて方向性電磁鋼板を固定しておいてもよい。また、複数チャンネルでなくても、渦電流検出部を2次元に走査することによって図5に示すような渦電流の2次元マップが得られる。信号処理及び評価方法は前述した方法と同じである。
また、本評価方法は、方向性電磁鋼板の磁界の不連続部分を検出する方法であるために、結晶粒界や磁壁に反応する場合がある。しかしながら、結晶粒界や磁壁は一定間隔では存在しないため、繰り返し性を加味した評価方法であれば弁別できる。一方、磁区細分化加工部以外の反応が大きい部分を記録し、より広い範囲(5m毎等)での分布を評価することにより、磁区細分化加工前の材質評価に使用可能である。これらをより前工程にフィードバックすることにより、材質改善が可能となる。
本実施例では励磁信号の周波数を64kHzとしたが、この場合、浸透深さ(表皮深さ)は約10μmであるので、表層の加工状態を評価していることになる。磁区細分化加工部は表面だけでなく磁束が環流する磁区でなければならないので、ある程度の深さまで磁区細分化加工が施されている必要がある。現状、励磁信号の周波数は64kHzであるが、より表面を評価したい場合は周波数を上げることで対応できる。例えば励磁信号の周波数を256kHzとすれば、浸透深さは半分の約5μmとなる。逆に深い場所を評価したければ、励磁信号の周波数を4kHzとすることにより浸透深さを約20μmにすることができる。
また、渦流センサとは別に直流磁化器を用いて、方向性電磁鋼板の直流磁化状態を変えることにより、見かけの透磁率を小さくし、結果として浸透深さを大きくすることができる。このような手段によって磁区細分化加工部のより深い部分の加工状態を評価することも可能である。しかしながら、直流磁化が大きすぎると磁区細分化加工部まで磁区が揃ってしまい、交流による変化が乏しくなる可能性がある。すなわち、一般に、磁区細分化加工は、磁化容易軸方向に対して垂直な方向へ施工される。従って、図11(a),(b)に示すように、磁化容易軸方向の磁化レベルが強まると、磁化方向が磁化容易軸方向に平行な方向である磁区DWの磁壁は移動するが、磁区細分化加工部SPの磁区の磁壁DWは移動しない。しかしながら、磁化容易軸方向の磁化レベルが強くなりすぎると、図11(c)に示すように、磁区細分化加工部SPの磁区MDの磁化方向が磁化容易軸方向に揃ってしまい、磁場の不連続部分は小さくなる。
このため、方向性電磁鋼板の加工状態を評価する際には、磁化方向が磁化容易軸方向に平行な磁区の磁壁は移動するが、磁区細分化加工部分の磁区の磁化方向が磁化容易軸方向に対して平行にならない大きさの交流の磁場を印加する。具体的には、方向性電磁鋼板の加工状態を評価する際には、磁化方向が磁化容易軸方向に平行な磁区の幅が磁区細分化加工部分の磁区の幅になる磁場より小さい磁場を印加する。なお、実運用上では、方向性電磁鋼板の成分や厚みに応じて印加する磁場の大きさを実験やシミュレーションにより予め定めておき、加工状態を評価する際には評価対象の方向性電磁鋼板の成分や厚みに対応する磁場を印加するとよい。
また、渦流探傷器によっては複数の条件を同時に測定可能なものもある。その場合には複数周波数を同時に測定し、信号処理によって各周波数における特徴を算出し、磁区細分化加工部の加工状態を評価することができる。
また、渦電流検出部と方向性電磁鋼板との間の距離(リフトオフ量)が短くなる程、磁区細分化加工部の加工状態の検出精度が上がるが、方向性電磁鋼板のばたつきによる接触等があるために、リフトオフ量は実際には0.3〜3mm程度である。リフトオフ量の変動によって信号がばらつく場合には、リフトオフ量を補正する必要がある。方向性電磁鋼板と渦電流検出部との間の距離を測定する距離計(レーザや渦電流式)を併設することも精度維持には重要である。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 方向性電磁鋼板の加工状態評価装置
2 渦電流検出部
3 信号処理部
S 方向性電磁鋼板
SP 磁区細分化加工部

Claims (7)

  1. 磁区細分化加工が施された方向性電磁鋼板に対して外部から交流の磁場を印加する励磁ステップと、
    前記磁場の印加に伴い前記方向性電磁鋼板中に発生する渦電流を検出する検出ステップと、
    前記検出ステップにおいて検出された渦電流に基づいて前記磁区細分化加工が施された領域の加工状態を評価する処理ステップと、
    を含むことを特徴とする方向性電磁鋼板の加工状態評価方法。
  2. 前記励磁ステップは、交流周波数が異なる複数の磁場を印加するステップを含み、前記処理ステップは、交流周波数毎の渦電流を処理することによって前記磁区細分化加工の深さを評価するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の加工状態評価方法。
  3. 前記励磁ステップは、交流の磁場と共に直流の磁場を前記方向性電磁鋼板に印加するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方向性電磁鋼板の加工状態評価方法。
  4. 前記処理ステップは、複数のチャンネルの渦電流の時系列信号に対して高速フーリエ変換演算処理を施すことにより各チャンネルの周波数分布を算出し、各チャンネルの周波数分布を加算し、加算された各チャンネルの周波数分布を用いて磁区細分化加工が施された領域の加工状態を評価するステップを含むことを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の加工状態評価方法。
  5. 磁区細分化加工が施された方向性電磁鋼板に対して外部から交流の磁場を印加し、該磁場の印加に伴い前記方向性電磁鋼板中に発生する渦電流を検出する渦電流検出部と、
    前記渦電流検出部によって検出された漏洩磁束に基づいて前記磁区細分化加工が施された領域の加工状態を評価する信号処理部と、
    を備えることを特徴とする方向性電磁鋼板の加工状態評価装置。
  6. 前記渦電流検出部は、前記磁場を印加する励磁部と前記渦電流を検出する検出部とが一体化したE型のセンサを備えることを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板の加工状態評価装置。
  7. 請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の加工状態評価方法による前記磁区細分化加工が施された領域の加工状態の評価結果に基づいて前記磁区細分化加工の条件を変更し、変更した条件に従って前記磁区細分化加工を行うことにより方向性電磁鋼板を製造するステップを含むことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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