JP5544962B2 - 漏洩磁束探傷方法及び漏洩磁束探傷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の磁気センサによって漏洩磁束を検出することにより強磁性体材料中の欠陥を検査する漏洩磁束探傷方法及び漏洩磁束探傷装置に関するものである。
一般に、表面や表層に微細な形状変化や異物等の欠陥が存在する強磁性体材料に対して外部から磁界をかけると、欠陥部位から磁束が漏洩する。以下、本明細書中では、欠陥部位から漏洩する磁束を漏洩磁束と表記する。そこで、従来より、強磁性体被検体に対して磁界をかけ、漏洩磁束に基づいて強磁性体被検体の表面や表層に欠陥が存在するか否かを検査する漏洩磁束探傷法が提案されている。
この漏洩磁束探傷方法は、同様の原理に基づいて磁粉を散布することによって欠陥の有無を検査する磁粉探傷方法と比較して、検出結果が電気信号によって得られる点、磁粉を散布する等の微妙な調整が必要で煩雑な作業がない点等の利点を有することから、自動化に適している。このため、特に鉄鋼業においては、操業ラインにおいて非金属介在物等の欠陥を自動的に検出するシステムに対して漏洩磁束探傷法が利用されている。
漏洩磁束探傷法を利用して欠陥を自動的に検出するシステムとしては、特許文献1や特許文献2に開示されているものがある。特許文献1記載のシステムは、金属帯の走行方向(圧延方向)に磁界をかけて被検体を飽和レベルまで磁化(以下、走行方向磁化と表記)し、金属帯の走行方向に直交する方向に1列に配列された複数の磁気感応素子によって漏洩磁束を検出することにより、欠陥の有無を検査する。一方、特許文献2記載のシステムは、金属帯の走行方向に直交する方向に磁界をかけて金属帯を飽和レベルまで磁化(以下、幅方向磁化と表記)し、金属帯の走行方向に直交する方向に1列に配列された複数の磁気感応素子によって漏洩磁束を検出することにより、欠陥の有無を検査する。
一般に、金属帯中に存在する欠陥は、走行方向に長いものが多い。一方、漏洩磁束探傷方法では、欠陥の長さ方向と金属帯にかける磁界の向きとが直交する場合に最も高い感度が得られる。このため、検出原理的な観点からは金属帯の磁化方向は幅方向磁化が優れていると考えられる。
特開平5−60730号公報 特開昭52−100282号公報
ところで、金属帯の磁化方向が走行方向磁化である場合、図6に示すように、矢印D方向に走行する金属帯100の表面に対して垂直な方向の磁場にのみ感度を有する磁気センサ101を直流磁化器102のヨーク102a間のほぼ中心位置に配置した際、欠陥が存在しないときの磁束(以下、浮遊磁束と表記)B1〜B3はほぼ磁化方向である水平成分のみとなるために、磁気センサ101では磁場は検出されない。このため、金属帯100の走行に伴い発生する振動によって金属帯100と磁気センサ101との間の距離が変動する、若しくは、直流磁化器102が発生する磁界が変化する等して磁気センサ101の配置位置における水平方向の磁束密度が変動しても、垂直方向の磁束密度はほとんどゼロであるので、その影響は非常に小さい。なお、磁気センサを複数利用する場合には、複数の磁気センサの配列方向は図6に示す紙面に対し垂直方向になるので、いずれの磁気センサも同様の条件になる。
ところが、金属帯の磁化方向が幅方向磁化である場合には、図7に示すように直流磁化器102のヨーク102a間に磁気センサ101を複数配置する際には、磁気センサ101の配置位置によって浮遊磁束の向きが異なる。このとき、磁気センサとして、測定可能な最大磁束密度が十分大きいホール素子等のセンサを用い、またセンサ出力信号の直流成分をフィルタリングする電子回路を構成することによって、浮遊磁束が磁気センサの感磁方向に無視できないレベルの成分を持っていても、浮遊磁束のレベルや向きが変化しなければ問題は生じない。しかしながら、磁気センサのある位置での磁束密度の強度や向きが変化した場合には、それがノイズ信号となり欠陥によって生じる漏洩磁束信号に重畳される。
具体的には、図7に示す磁気センサ101aの出力信号は、磁化電流の増加に応じて上向きの浮遊磁束成分が増加するために、図8(a),(b)に示すように磁化電流の増加に応じて増加する。図7に示す磁気センサ101bの出力信号は、磁気センサ101bの配置位置における浮遊磁束の垂直成分が小さいために、図8(a),(c)に示すように磁化電流が増加してもほとんど変化しない。図7に示す磁気センサ101cの出力信号は、磁化電流の増加に応じて下向きの浮遊磁束成分が増加するために、図8(a),(d)に示すように磁化電流の増加に応じて減少する。なお、磁気センサの出力信号の波形は、使用するフィルタの時定数等によって変化する。図8及び後述する図9,10に示す磁気センサの出力信号の波形は、フィルタによって低周波数の直流成分を除去した場合を想定している。
また、金属帯と直流磁化器との間の距離が一定に保たれ、図9(a)に示すように磁気センサのリフトオフのみが小さくなった場合には、図7に示す磁気センサ101aの出力信号は、浮遊磁界の上向き成分が増加するために、図9(b)に示すように増加する。図7に示す磁気センサ101bの出力信号は、磁気センサ101bの配置位置における浮遊磁束の垂直成分が小さいために、図9(c)に示すようにほとんど変化しない。図7に示す磁気センサ101cの出力信号は、磁化電流の増加に応じて下向きの浮遊磁束成分が増加するために、図9(d)に示すように減少する。
また、図10(a)に示すようにリフトオフが振動的に変動した場合には、図10(b)〜(d)に示すように、磁気センサ101a及び磁気センサ101cの出力信号にはリフトオフの変動周波数と同様の周波数でノイズ信号が発生する。なお、ここでは、直流磁化器102のヨーク102a間に磁気センサ101を3つ配置した場合を例として説明したが、配置する磁気センサの数に関係なく、直流磁化器のヨーク間の中心位置からの距離によって程度は異なるものの同様の現象が生じることは、上記の説明から理解できるであろう。
一方、一般に、ノイズ信号は図10(a)に示すように振動的に発生することが多く、ノイズ信号の周波数と欠陥からの漏洩磁束信号の周波数との間にどのような関係があるかは欠陥の検出能を議論する場合には重要になる。ここで、ノイズ信号の周波数と欠陥からの漏洩磁束信号の周波数との間の関係がどのようになるかを以下に説明する。
ノイズ信号の周波数、その発生源によって異なる。例えば、磁気センサ、直流磁化器、及び金属帯の3者のうち、少なくとも2者の距離が機械的に振動することによって磁気センサが測定する浮遊磁束が変動する場合、その機械的振動の周波数がノイズ信号の周波数となる。一般に、この周波数は、磁気センサ、磁化器、及び金属帯を支持する機械的構造が有する固有振動数になる。振動の振幅は金属帯の走行速度や周辺の振動を発生する機械の稼働状況によって決まるが、周波数に関してはある範囲に限定される。また、直流磁化器として電磁石を利用する場合には、原理的には、磁化電流の変動が浮遊磁界の変動に直結する。この場合、磁化電流の変動周波数がほぼノイズ信号の周波数となる。
一方、欠陥からの漏洩磁束信号の周波数は、主に次の2つの因子によって決まる。第1の因子は、欠陥の深さ、大きさ、及び形状と磁気センサの位置とによって決まる、磁気センサの配置位置における欠陥によって生じる漏洩磁束の空間的な広がりである。漏洩磁束に空間的な広がりがある場合、金属帯の走行によって金属帯と磁気センサとの相対的位置関係が変化するに従って、磁気センサが測定する漏洩磁束の位置が変化する。このため、磁気センサの出力は、漏洩磁束の空間的な広がりに応じて変化する。磁気センサの出力変化が時間軸上でどうなるか(周波数としてはどうなるか)は、第2の因子である金属帯の走行速度を考慮する必要がある。
磁気センサの出力変化の時間周波数は、漏洩磁束の広がりを示す空間周波数と金属帯の走行速度との積によって表される。空間周波数に関しては、検出すべき欠陥の性状分布が決まれば確定し、ある範囲に限定することができる。また、金属帯の走行速度は、一定の場合には周波数もある範囲に限定される。しかしながら、生産ラインでは金属帯の走行速度の加減速が頻繁に行われ、場合によっては停止したり、停止の前後で非常に低速になったりする場合もある。このように金属帯の走行速度が大きく変化する場合、漏洩磁束信号の周波数帯域も広い範囲に分布することになる。
このとき、走行速度が一定又は変動する場合であっても、ノイズ信号の時間周波数帯域と欠陥からの漏洩磁束信号の時間周波数帯域とが離れており、フィルタ等を利用してノイズ信号と漏洩磁束信号とを信号処理で分離できる場合、欠陥の検出能力に悪影響を及ぼさない。しかしながら、ノイズ信号の時間周波数帯域と欠陥からの漏洩磁束信号の時間周波数帯域が近接、若しくは、重なり、ノイズ信号と漏洩磁束信号とを分離できない場合には、欠陥の検出能力に悪影響を及ぼすことになる。これは、直流磁化器と比較して面積的にある程度大きく、漏洩磁束信号のレベルが大きい、検出が比較的容易な大きな欠陥においては問題になりにくいが、面積的に小さく、漏洩磁束信号の出力レベルも小さい検出が困難な小さな欠陥では、特に問題になりやすい。
以上のことから、ノイズ信号の時間周波数と欠陥からの漏洩磁束信号の時間周波数とが近接、若しくは、重なっている場合であっても、ノイズ信号と漏洩磁束信号とを分離し、漏洩磁束信号を高精度に抽出可能な漏洩磁束探傷方法の提供が期待されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、漏洩磁束信号を高精度に抽出可能な漏洩磁束探傷方法及び漏洩磁束探傷装置を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る漏洩磁束探傷方法は、磁化器を利用して強磁性体被検体の表面に沿った方向に磁界をかける磁化ステップと、強磁性体被検体の磁化方向に沿って配列された複数の磁気センサを利用して強磁性体被検体の表面の磁束を検出する検出ステップと、磁気センサによって検出された信号に含まれる浮遊磁界ノイズによる磁気センサの検出信号の変化を、複数の磁気センサの検出信号のパターンを用いて低減する信号処理ステップと、信号処理ステップを実行した後の磁気センサの検出信号を用いて前強磁性体被検体に欠陥があるか否かを判定する判定ステップと、を含む。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る漏洩磁束探傷装置は、強磁性体被検体の表面に沿った方向に磁界をかける磁化器と、強磁性体被検体の磁化方向に沿って配列され、強磁性体被検体の表面の磁束を検出する複数の磁気センサと、磁気センサによって検出された信号に含まれる浮遊磁界ノイズによる磁気センサの検出信号の変化を、複数の磁気センサの検出信号のパターンを用いて低減し、変化が低減された磁気センサの検出信号を用いて強磁性体被検体に欠陥があるか否かを判定する欠陥判定装置と、を備える。
本発明に係る漏洩磁束探傷方法及び漏洩磁束探傷装置によれば、ノイズ信号の空間周波数と漏洩磁束信号の空間周波数との違いに基づいてノイズ信号と漏洩磁束信号とを分離するので、漏洩磁束信号を高精度に抽出することができる。
図1は、本発明の一実施形態である漏洩磁束探傷装置の構成を示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態である欠陥判定処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、磁気センサの出力信号波形及び対応するフィティングカーブの一例を示す波系図である。 図4は、磁気センサの出力信号波形及び対応するフィティングカーブの一例を示す波系図である。 図5は、浮遊磁束ノイズが除去された磁気センサの出力信号波形の一例を示す波形図である。 図6は、金属帯の磁化方向が走行方向磁化である場合に磁気センサによって検出される浮遊磁束を説明するための模式図である。 図7は、金属帯の磁化方向が幅方向磁化である場合に複数の磁気センサによって検出される浮遊磁束を説明するための模式図である。 図8は、磁化電流の増加に伴う磁気センサの出力信号の変化を示す波形図である。 図9は、磁気センサのリフトオフの増加に伴う磁気センサの出力信号の変化を示す波形図である。 図10は、磁気センサのリフトオフの振動に伴う磁気センサの出力信号の変化を示す波形図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である漏洩磁束探傷装置の構成について説明する。
〔漏洩磁束探傷装置の構成〕
初めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である漏洩磁束探傷装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態である漏洩磁束探傷装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である漏洩磁束探傷装置1は、矢印D方向に走行する鋼板2の表面や表層に存在する欠陥3を検出するものである。なお、本実施形態では、欠陥の有無を検査する被検体を鋼板2としたが、被検体は鋼板2に限定されることはなく、磁界をかけることによって欠陥部位から漏洩磁束が生じる強磁性体材料全般に適用することができる。
図1に示す漏洩磁束探傷装置1は、鋼板2の幅方向Wに配列された直流磁化器10a〜10cと、直流磁化器10a〜10c毎に設けられた3つの磁気センサ11a〜11c,11d〜11f,11g〜11iと、欠陥判定装置12とを備える。各直流磁化器と3つの磁気センサは検出ヘッドを構成する。なお、検出ヘッド及び検出ヘッドを構成する磁気センサの数は本実施形態に限定されることはなく、欠陥の検出範囲や検出分解能に応じて適宜変更することができる。
直流磁化器10a〜10cは、鋼板2の幅方向Wにおける欠陥3の検出範囲が、検査できない範囲がなく、且つ、重なるように鋼板2の幅方向Wに入れ子状に配列されている。直流磁化器10a〜10cは、図示しない磁化電源からの直流電源が供給されることによって磁化され、両ヨーク間に発生された磁束が鋼板2を通るようになる。本実施形態では、直流磁化器10a〜10cは、鋼板2の幅方向Wに磁束が流れるように配列されている。
磁気センサ11a〜11c,11d〜11f,11g〜11iは、対応する直流磁化器のヨーク間に鋼板2の幅方向Wに沿って配列されている。各磁気センサは、対応する直流磁化器が発生した磁界を検出し、検出された磁界の大きさを示す出力信号を欠陥判定装置12に入力する。直流磁化器のヨーク間に磁化方向に沿って複数のセンサを配置する理由は、1つの直流磁化器でヨーク間距離をある程度広くすることによって有効な磁化範囲をある程度確保し、ある幅方向の磁界を検出するためである。微小な欠陥を検出するためには、欠陥からの磁束の広がりは小さいために、磁気センサは欠陥からの磁束の広がりに応じて幅方向に密に配置する必要がある。
欠陥3からの磁束の広がりの程度は、欠陥によって異なるが、例えば鋼板2上における欠陥3の大きさが2mm程度で、磁気センサと鋼板との間の距離が1.5mm、漏洩磁束の広がりの程度が最小値として数mmであるとすると、1mmピッチで磁気センサを50個並べ、その範囲がある程度磁化できるようにヨーク間距離は70mmの直流磁化器を用いるとよい。この場合、浮遊磁界の幅方向Wの空間的基本周波数は70mm前後になるのに対して、欠陥の幅方向Wの空間的基本周波数は数mmオーダーになる。このため、浮遊磁界に由来するノイズ信号の空間周波数と漏洩磁束信号の空間周波数との間には大きな差異が存在することになり、浮遊磁界に由来するノイズ信号と漏洩磁束信号とを信号処理で分離することが可能になる。
なお、複数のセンサは、1直線上に、あるいは等間隔で配列する必要は必ずしも無く、複数のセンサの並べ方は本発明の技術思想を損なわない範囲で適宜変更することができる。例えば、上記の例のように1mmピッチで複数のセンサを配列する場合には、センサ自体のパッケージを含めた大きさから1列に配列することは困難になるため、例えば複数のセンサを千鳥配置で配列するとよい。
欠陥判定装置12は、マイクロコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。欠陥判定装置12は、主な機能として、各磁気センサから入力された出力信号を増幅、時間的なフィルタリング、及びアナログ/デジタル変換する機能、アナログ/デジタル変換された出力信号から直流成分を除去するフィルタリング機能、及び直流成分が除去された出力信号に基づいて鋼板2上における欠陥の有無を検出する欠陥判定機能を有する。
このような漏洩磁束探傷装置1では、欠陥判定装置12が以下に示す欠陥判定処理を実行することによって、鋼板2の表面又は表層に欠陥3があるか否かを判定する。以下、図2に示すフローチャートを参照して、この欠陥判定処理を実行する際の欠陥判定装置12の動作について説明する。
〔欠陥判定処理〕
図2に示すフローチャートは、漏洩磁束探傷装置1の電源がオフ状態からオン状態に切り替えられ、鋼板2の走行が開始されたタイミングで開始となり、欠陥判定処理はステップS1の処理に進む。なお、この欠陥判定処理は、鋼板2が走行している間、所定のサンプリング周期毎に繰り返し実行されるものとする。
ステップS1の処理では、欠陥判定装置12が、各磁気センサからの出力信号を取得し、取得した出力信号を増幅、アナログ/デジタル変換する。なお、幅方向磁化の場合、幅方向における磁気センサに位置に応じて欠陥検出の感度が異なることがある。この場合、欠陥判定装置12は、磁気センサの感度分布はある程度均一化することが望ましい。これにより、ステップS1の処理は完了し、欠陥判定処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、欠陥判定装置12が、ステップS1の処理によってアナログ/デジタル変換された出力信号から直流成分を除去する。この処理によって例えば図3や図4に示す出力信号波形V0から得られる。なお、図3に示す出力信号波形V0は、ある時刻t=t1において検出されたものであり、図4に示す出力信号波形V0は、時刻t=t1とは異なる時刻t=t2において検出されたものである。図3及び図4に示す出力信号波形V0の比較から明らかなように、出力信号波形V0は時刻t=t1と時刻t=t2とで上下方向に反転している。これは、鋼板2,直流磁化器,及び磁気センサの3者のうち、少なくとも2者の相対位置が変化することによって、磁気センサによって検出される浮遊磁界が振動的に変化しているためである。なお、図3や図4に示す出力信号波形V0における点は、各磁気センサからの出力信号の値を示す。図1では磁気センサの数は各検出ヘッドあたり3個であるが、図3や図4に示す出力信号波形はより多くの磁気センサによって得られたものである。これにより、ステップS2の処理は完了し、欠陥判定処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、欠陥判定装置12が、ステップS2の処理によって直流成分が除去された出力信号波形を近似するフィッティングカーブをフィッティング処理(ローパスフィルタリング処理)によって演算する。この処理によって例えば図3や図4に示す出力信号波形V0に対してはフィッティングカーブV1が得られる。このフィッティングカーブV1は、浮遊磁界ノイズ成分を近似的に表すものである。つまり、この処理によって浮遊磁界ノイズ成分を選択的に取り出すことができる。なお、ローパスフィルタリング処理のカットオフ波長は、微小な欠陥を検出する場合には、3〜10mm程度にすることが望ましい。また、本実施形態では、全ての磁気センサからの出力信号に基づいてフィッティングカーブV1を演算したが、演算に用いる出力信号を間引きする等して一部の磁気センサからの出力信号に基づいてフィッティングカーブV1を演算してもよい。
また、直流磁化器が発生する磁界が変化する場合やリフトオフが並進的に変化する(鋼板2面に対してねじれ等が生じない)場合はよく生じうるパターンだが、その場合、浮遊磁界ノイズの幅方向パターンは、図3や図4に示すように、直流磁化器のヨーク間の中心位置W=W1を中心とした奇関数になる。従って、上述の場合には、フィッティング処理を実行する際に、フィッティングカーブを奇関数に設定することによって高精度なフィッティング処理を実行することができる。これにより、ステップS3の処理は完了し、欠陥判定処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、欠陥判定装置12が、ステップS2の処理によって生成された出力信号波形V0とステップS3の処理によって演算されたフィッティングカーブV1との差分を演算することによって、ステップS2の処理によって生成された出力信号波形V0から浮遊磁界ノイズに起因するノイズ信号を除去する。この処理によって例えば図5に示すような出力信号波形V0’が得られる。図5に示す出力信号波形V0’の変化は、主に電子回路系で発生する電子ノイズや鋼板2の磁性等のむらから生じる地合ノイズによって生じるものである。これにより、ステップS4の処理は完了し、欠陥判定処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、欠陥判定装置12が、ステップS4の処理によって得られた出力信号波形V0’に基づいて鋼板2中における欠陥の有無を判定する。具体的には、欠陥判定装置12は、図5に示す出力信号波形V0’を構成する点のうち、出力値が所定の閾値Vth以上になる点があるか否かを判定する。判定の結果、出力値が所定の閾値Vth以上になる点がない場合、欠陥判定装置12は、欠陥は存在しないと判定する。一方、図5に示す点P1のように出力値が所定の閾値Vth以上になる点がある場合、欠陥判定装置12は、点P1の出力値を出力した磁気センサに対応する鋼板2の位置に欠陥があると判定する。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連の欠陥判定処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である欠陥判定処理は、直流磁化器10a〜10cを利用して鋼板2の表面に沿った方向に磁界をかける磁化ステップと、鋼板2の磁化方向に沿って配列された複数の磁気センサ11a〜11c,11d〜11f,11g〜11iを利用して鋼板2の表面の磁束を検出する検出ステップと、直流磁化器10a〜10c、鋼板2、及び複数の磁気センサ11a〜11c,11d〜11f,11g〜11iのうちの少なくとも2つの相対位置が変化することによって生じる複数の磁気センサ11a〜11c,11d〜11f,11g〜11iからの出力信号波形V0の変化を出力信号波形V0から得られるフィッティングカーブV1を用いて低減する信号処理ステップと、信号処理ステップを実行した後出力信号波形V0’を用いて鋼板2に欠陥3があるか否かを判定する判定ステップと、を含む。このような欠陥判定処理によれば、ノイズ信号の空間周波数と漏洩磁束信号の空間周波数との違いに基づいてノイズ信号と漏洩磁束信号とを分離するので、漏洩磁束信号を高精度に抽出することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。例えば、上記のステップS3及びステップS4の処理は、出力信号のサンプリングタイミング毎に実行してもよいし、ノイズの周波数がサンプリング周波数より低い場合には、サンプリングタイミング毎に実行しなくてもよい。この場合、ある時間範囲内に取得された出力信号の平均値に対しステップS3の処理を実行するようにしてもよいし、ある時間範囲内に取得された出力信号の平均値とあるタイミングで得られたフィッティングカーブとの差分を演算するようにしてもよい。また、欠陥が大きい等の理由によって欠陥からの漏洩磁束が幅方向に広がることも考えられるが、このような場合、欠陥信号レベルが大きいので、フィッティング処理せずに出力信号波形から欠陥の有無を判断するようにしてもよい。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 漏洩磁束探傷装置
2 鋼板
3 欠陥
10a〜10c 直流磁化器
11a〜11i 磁気センサ
12 欠陥判定装置

Claims (5)

  1. 磁化器を利用して強磁性体被検体の表面に沿った方向に磁界をかける磁化ステップと、
    前記強磁性体被検体の磁化方向に沿って配列された複数の磁気センサを利用して該強磁性体被検体の表面の磁束を検出する検出ステップと、
    前記磁気センサによって検出された信号に含まれる浮遊磁界ノイズによる該磁気センサの検出信号の変化を、前記複数の磁気センサの検出信号のパターンを用いて低減する信号処理ステップと、
    前記信号処理ステップを実行した後の前記磁気センサの検出信号を用いて前記強磁性体被検体に欠陥があるか否かを判定する判定ステップと、を含み、
    前記信号処理ステップは、
    フィッティング処理によって前記複数の磁気センサの検出信号の一部又は全部のパターンを通る曲線を演算する演算処理と、
    前記複数の磁気センサの検出信号のパターンと前記演算処理によって演算された曲線との差分を演算することによって前記変化を低減する差分処理と、
    を含むことを特徴とする漏洩磁束探傷方法。
  2. 前記演算処理は、前記磁化器の磁化方向中心位置を中心とする奇関数を前記パターンにフィッティングすることによって前記曲線を演算する処理を含むことを特徴とする請求項に記載の漏洩磁束探傷方法。
  3. 前記磁気センサにより検出された信号に含まれる浮遊磁界ノイズによる該磁気センサの検出信号の変化は、前記磁化器、前記強磁性体被検体、及び前記磁気センサのうちの少なくとも2つの相対位置が変化することによって生じる該磁気センサの検出信号の変化であることを特徴とする請求項1又は2に記載の漏洩磁束探傷方法。
  4. 前記強磁性被検体が、前記磁化方向とは異なる方向に走査されていることを特徴とする請求項1〜のうち、いずれか1項に記載の漏洩磁束探傷方法。
  5. 強磁性体被検体の表面に沿った方向に磁界をかける磁化器と、
    前記強磁性体被検体の磁化方向に沿って配列され、該強磁性体被検体の表面の磁束を検出する複数の磁気センサと、
    前記磁気センサによって検出された信号に含まれる浮遊磁界ノイズによる該磁気センサの検出信号の変化を、前記複数の磁気センサの検出信号のパターンを用いて低減し、該変化が低減された該磁気センサの検出信号を用いて該強磁性体被検体に欠陥があるか否かを判定する欠陥判定装置と、を備え、
    前記欠陥判定装置は、フィッティング処理によって前記複数の磁気センサの検出信号の一部又は全部のパターンを通る曲線を演算し、前記複数の磁気センサの検出信号のパターンと演算された曲線との差分を演算することによって前記変化を低減することを特徴とする漏洩磁束探傷装置。
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