JPH07197166A - グレー発色アルミニウム合金 - Google Patents
グレー発色アルミニウム合金Info
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- JPH07197166A JPH07197166A JP35123393A JP35123393A JPH07197166A JP H07197166 A JPH07197166 A JP H07197166A JP 35123393 A JP35123393 A JP 35123393A JP 35123393 A JP35123393 A JP 35123393A JP H07197166 A JPH07197166 A JP H07197166A
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- JP
- Japan
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- aluminum alloy
- alloy
- gray
- color
- balance
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 濃いグレー色の色調を得ることができ、かつ
押出加工性にも優れたアルミニウム合金を提供する。 【構成】 Si:0.60〜1.50%、Mg:0.3
〜0.7%、Sr:0.05〜0.7%を含有し、残部
がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金
およびこの合金にさらにFe:0.50〜1.20%を
添加したアルミニウム合金並びに陽極酸化処理によるこ
れらアルミニウム合金のグレー発色方法。 【効果】 アルミニウム合金にストロンチウムを添加す
ることにより灰色グレーの発色が安定に得られると共に
強度を調整することが出来る。
押出加工性にも優れたアルミニウム合金を提供する。 【構成】 Si:0.60〜1.50%、Mg:0.3
〜0.7%、Sr:0.05〜0.7%を含有し、残部
がAlおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金
およびこの合金にさらにFe:0.50〜1.20%を
添加したアルミニウム合金並びに陽極酸化処理によるこ
れらアルミニウム合金のグレー発色方法。 【効果】 アルミニウム合金にストロンチウムを添加す
ることにより灰色グレーの発色が安定に得られると共に
強度を調整することが出来る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、板材、型材等の建築材
用アルミニウム合金および陽極酸化処理によりグレーに
発色させるアルミニウム合金の発色方法に関するもので
ある。
用アルミニウム合金および陽極酸化処理によりグレーに
発色させるアルミニウム合金の発色方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金をサッシ、エクステリ
ア、外装パネル等の建築材料などのアルミニウム製品と
して使用するには、次に示すような性能、すなわち、
ある程度の濃い色調であって、色調のバラツキが少い、
ムラの無い均一な外観を呈している、耐食性、耐候
性に優れている、ある程度以上の強度レベルを有し、
成形性が良好である、ことが要求される。しかしなが
ら、アルミニウム合金の添加元素の種類や含有量、及び
合金の熱処理、陽極酸化処理の方法によって色調が変化
するため、合金としての各種特性と所望の色調とのバラ
ンスを調整することが難しい。
ア、外装パネル等の建築材料などのアルミニウム製品と
して使用するには、次に示すような性能、すなわち、
ある程度の濃い色調であって、色調のバラツキが少い、
ムラの無い均一な外観を呈している、耐食性、耐候
性に優れている、ある程度以上の強度レベルを有し、
成形性が良好である、ことが要求される。しかしなが
ら、アルミニウム合金の添加元素の種類や含有量、及び
合金の熱処理、陽極酸化処理の方法によって色調が変化
するため、合金としての各種特性と所望の色調とのバラ
ンスを調整することが難しい。
【0003】従来、このようなアルミニウム合金として
は、Al−Si系合金(特開昭58−224144号公
報)、Al−Si−Mg系合金(特開平3−75396
号公報)、Al−Fe−Mg系合金(特開平2−250
937号公報)およびAl−Si−Mg−Fe系合金
(特開平1−152234号公報、特開平1−2127
34号公報、特願平4−139466号)が提案されて
いるが、それぞれ次のような問題点がある。
は、Al−Si系合金(特開昭58−224144号公
報)、Al−Si−Mg系合金(特開平3−75396
号公報)、Al−Fe−Mg系合金(特開平2−250
937号公報)およびAl−Si−Mg−Fe系合金
(特開平1−152234号公報、特開平1−2127
34号公報、特願平4−139466号)が提案されて
いるが、それぞれ次のような問題点がある。
【0004】Al中に発色成分としてSiを添加したA
l−Si系合金、或いはこれにMgを添加して時効硬化
型合金としたAl−Si−Mg系合金は、濃い色調のグ
レーを得るためにSi量を増加するが、これが合金の耐
食性を低下させる。また、発色成分としてFeを添加し
たAl−Fe系合金は、時効硬化しないタイプであり、
発色要素となる金属間化合物は不安定で色むらが発生し
易い。また、時効硬化型合金であるAl−Mg−Si系
合金にFeを添加した場合、濃いグレーの色調が得られ
ないばかりか、Feの添加によって強度が劣化する。
l−Si系合金、或いはこれにMgを添加して時効硬化
型合金としたAl−Si−Mg系合金は、濃い色調のグ
レーを得るためにSi量を増加するが、これが合金の耐
食性を低下させる。また、発色成分としてFeを添加し
たAl−Fe系合金は、時効硬化しないタイプであり、
発色要素となる金属間化合物は不安定で色むらが発生し
易い。また、時効硬化型合金であるAl−Mg−Si系
合金にFeを添加した場合、濃いグレーの色調が得られ
ないばかりか、Feの添加によって強度が劣化する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のグレ
ー発色アルミニウム合金の前記問題点を解決すべくなさ
れたものであって、灰色グレーを発色すると共に強度、
耐食性に優れたアルミニウム合金を提供することを目的
としている。
ー発色アルミニウム合金の前記問題点を解決すべくなさ
れたものであって、灰色グレーを発色すると共に強度、
耐食性に優れたアルミニウム合金を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記目的
を達成するため、各種合金成分が陽極酸化処理による発
色の色調や均一性、さらには強度、押出し性に及ぼす影
響について鋭意研究を続けてきた。その結果、アルミニ
ウム合金においてグレーの色調を得るにはストロンチウ
ム(Sr)を主発色元素として用いることが効果的であ
ること、およびストロンチウムを添加することにより強
度を調整することができることを知見するに至った。
を達成するため、各種合金成分が陽極酸化処理による発
色の色調や均一性、さらには強度、押出し性に及ぼす影
響について鋭意研究を続けてきた。その結果、アルミニ
ウム合金においてグレーの色調を得るにはストロンチウ
ム(Sr)を主発色元素として用いることが効果的であ
ること、およびストロンチウムを添加することにより強
度を調整することができることを知見するに至った。
【0007】すなわち、本発明者等は、従前より、例え
ば、特願平4−139466号に提案したようにアルミ
ニウム合金の発色性について検討してきた。そして幾多
の研究の結果、添加元素と発色性との関係について調査
したところ、図4に示すようにSrがCu、Zn、Ti
に比較して優れた発色性を有しており、従来から使用さ
れているFeと同程度であることが分った。また、図1
に示すように、Srの含有量を変化させることによりグ
レーの色調を調整することができると共に強度を適宜選
択することが可能であることも分った。なお、図4に示
す試験に供した試料は、1.0%Si、0.4%Mg、
0.7%Fe、残部Alからなる合金ベースであり、C
u、Zn、Ti、Sr、Feを添加元素として0.7%
ずつ添加したものである。
ば、特願平4−139466号に提案したようにアルミ
ニウム合金の発色性について検討してきた。そして幾多
の研究の結果、添加元素と発色性との関係について調査
したところ、図4に示すようにSrがCu、Zn、Ti
に比較して優れた発色性を有しており、従来から使用さ
れているFeと同程度であることが分った。また、図1
に示すように、Srの含有量を変化させることによりグ
レーの色調を調整することができると共に強度を適宜選
択することが可能であることも分った。なお、図4に示
す試験に供した試料は、1.0%Si、0.4%Mg、
0.7%Fe、残部Alからなる合金ベースであり、C
u、Zn、Ti、Sr、Feを添加元素として0.7%
ずつ添加したものである。
【0008】また、本発明者等は、Al−Si−Mg合
金についてもSrの発色性を調査した。これには、
0.5%Si、0.5%Mg、残部Alと、0.9%
Si、0.6%Mg、残部Alの2種類のAl−Si−
Mg合金ベースが使用された。合金については、0.
3%のSrを添加したところ、色調の変化が確認され
た。すなわち、Sr無添加ではシルバー色であったが、
Sr添加により淡灰色グレーが得られた。合金につい
ては、0.5%のSrを添加したところで灰色グレーが
得られ色調の変化を確認した。
金についてもSrの発色性を調査した。これには、
0.5%Si、0.5%Mg、残部Alと、0.9%
Si、0.6%Mg、残部Alの2種類のAl−Si−
Mg合金ベースが使用された。合金については、0.
3%のSrを添加したところ、色調の変化が確認され
た。すなわち、Sr無添加ではシルバー色であったが、
Sr添加により淡灰色グレーが得られた。合金につい
ては、0.5%のSrを添加したところで灰色グレーが
得られ色調の変化を確認した。
【0009】本発明は、前述したストロンチウムの発色
という新しい知見に基づく発明であって、重量%で、ス
トロンチウム0.05〜0.7%を含有し、Si:0.
60〜1.50%、Mg:0.3〜0.7%、残部がA
lおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金、お
よびこの合金にさらにFe:0.50〜1.20%を添
加したアルミニウム合金、並びにこれらの合金を陽極酸
化処理することによるアルミニウム合金のグレー発色方
法であることを特徴としている。
という新しい知見に基づく発明であって、重量%で、ス
トロンチウム0.05〜0.7%を含有し、Si:0.
60〜1.50%、Mg:0.3〜0.7%、残部がA
lおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金、お
よびこの合金にさらにFe:0.50〜1.20%を添
加したアルミニウム合金、並びにこれらの合金を陽極酸
化処理することによるアルミニウム合金のグレー発色方
法であることを特徴としている。
【0010】以下に、本発明を詳細に説明する。まず、
本発明に係るストロンチウムを主発色成分として含有す
るアルミニウム合金の組成を前記した範囲とした理由に
ついて述べる。なお、本明細書においては、特にことわ
らない限り全て重量%で示す。
本発明に係るストロンチウムを主発色成分として含有す
るアルミニウム合金の組成を前記した範囲とした理由に
ついて述べる。なお、本明細書においては、特にことわ
らない限り全て重量%で示す。
【0011】Srは、本発明において最も重要な成分で
あり、合金中においてグレー発色に大きく寄与すると共
に機械的強度に影響を及ぼす。すなわち、Sr含有量が
多くなるとグレーの色調が濃くなるが、強度も劣化する
ため両因子の調和を図ることが必要である。このため、
Sr含有量の下限値を0.01%とし、好ましくは0.
05%とする。また上限値は0.7%とすることが好ま
しく、さらに0.5%とすると一層好ましい。
あり、合金中においてグレー発色に大きく寄与すると共
に機械的強度に影響を及ぼす。すなわち、Sr含有量が
多くなるとグレーの色調が濃くなるが、強度も劣化する
ため両因子の調和を図ることが必要である。このため、
Sr含有量の下限値を0.01%とし、好ましくは0.
05%とする。また上限値は0.7%とすることが好ま
しく、さらに0.5%とすると一層好ましい。
【0012】Siは、アルミニウム合金の高強度化に必
要な基本成分であり、Mgと共に添加することにより化
合物Mg2 Siを形成し、合金の時効硬化に寄与する。
また、発色元素としても濃色化に寄与する。Si含有量
が0.6%を下回ると、所望の強度レベルを確保するこ
とができない。一方、Si含有量が1.5%を上回る
と、押出加工性が低下し、押出速度を高めることができ
ない上に、表面に肌荒れが生じやすくなる。このため、
Si含有量を0.6〜1.5%の範囲とした。
要な基本成分であり、Mgと共に添加することにより化
合物Mg2 Siを形成し、合金の時効硬化に寄与する。
また、発色元素としても濃色化に寄与する。Si含有量
が0.6%を下回ると、所望の強度レベルを確保するこ
とができない。一方、Si含有量が1.5%を上回る
と、押出加工性が低下し、押出速度を高めることができ
ない上に、表面に肌荒れが生じやすくなる。このため、
Si含有量を0.6〜1.5%の範囲とした。
【0013】Mgは、アルミニウム合金の高強度化に必
要な基本成分であり、Siと共に添加することにより化
合物Mg2 Siを形成し、合金の時効硬化に寄与する。
Mg含有量が0.3%を下回ると所望の強度レベルを確
保することができない。一方、Mg含有量が0.7%を
上回ると、押出加工性が低下し、押出速度を高めること
ができない上に、表面に肌荒れが生じやすくなる。この
ため、Mg含有量を0.3〜0.7%の範囲とした。
要な基本成分であり、Siと共に添加することにより化
合物Mg2 Siを形成し、合金の時効硬化に寄与する。
Mg含有量が0.3%を下回ると所望の強度レベルを確
保することができない。一方、Mg含有量が0.7%を
上回ると、押出加工性が低下し、押出速度を高めること
ができない上に、表面に肌荒れが生じやすくなる。この
ため、Mg含有量を0.3〜0.7%の範囲とした。
【0014】Feは、アルミニウム合金中に多量に含ま
れると、合金の機械的強度を著しく低下させると共に、
耐食性(耐候性)をも低下させてしまう。特に、Fe含
有量が1.0%を上回ると、押出加工性にも悪影響を及
ぼすこととなるので、その量は出来るだけ少ない方がよ
い。従って、Fe含有量の上限値を1.2%とすること
が好ましく、1.0%とするとさらに好ましい。
れると、合金の機械的強度を著しく低下させると共に、
耐食性(耐候性)をも低下させてしまう。特に、Fe含
有量が1.0%を上回ると、押出加工性にも悪影響を及
ぼすこととなるので、その量は出来るだけ少ない方がよ
い。従って、Fe含有量の上限値を1.2%とすること
が好ましく、1.0%とするとさらに好ましい。
【0015】しかしながら、Feは、合金中においてA
l6 FeやAl3 Feなどを晶出してグレー発色に大い
に寄与する成分元素である。このため、Fe含有量を減
らし過ぎるとグレー色が薄くなってしまい、魅力ある色
調が得られるなくなる。特に、Fe含有量が0.5%を
下回ると、濃いダークグレーの色調を得ることが極めて
困難になるので、その量の低減には限界がある。従っ
て、Fe含有量の下限値を0.5%とすることが好まし
く、さらには0.6%とすることがより好ましい。
l6 FeやAl3 Feなどを晶出してグレー発色に大い
に寄与する成分元素である。このため、Fe含有量を減
らし過ぎるとグレー色が薄くなってしまい、魅力ある色
調が得られるなくなる。特に、Fe含有量が0.5%を
下回ると、濃いダークグレーの色調を得ることが極めて
困難になるので、その量の低減には限界がある。従っ
て、Fe含有量の下限値を0.5%とすることが好まし
く、さらには0.6%とすることがより好ましい。
【0016】不可避的不純物は、過剰に存在すると、粗
大な晶出物を生成したり、押出加工性を低下させたりし
て悪影響を与えるので出来るだけ少量にすることが好ま
しく、その総量を0.15%未満とする必要がある。
大な晶出物を生成したり、押出加工性を低下させたりし
て悪影響を与えるので出来るだけ少量にすることが好ま
しく、その総量を0.15%未満とする必要がある。
【0017】次に、本発明のアルミニウム合金を均質化
処理した後、陽極酸化処理する発色方法について述べ
る。本発明における均質化処理は、鋳造組織中のMg2
Si相を溶体化したり、Mg濃度およびSi濃度を均一
化したり、あるいは鋳造組織中の析出化合物AlFeS
iの変態と凝集を図るために必要な処理である。色調の
濃色化をも考慮して、均質化処理温度を500℃以下に
設定し、これに続く熱間押出しを430〜470℃の温
度域で行うことが望ましい。
処理した後、陽極酸化処理する発色方法について述べ
る。本発明における均質化処理は、鋳造組織中のMg2
Si相を溶体化したり、Mg濃度およびSi濃度を均一
化したり、あるいは鋳造組織中の析出化合物AlFeS
iの変態と凝集を図るために必要な処理である。色調の
濃色化をも考慮して、均質化処理温度を500℃以下に
設定し、これに続く熱間押出しを430〜470℃の温
度域で行うことが望ましい。
【0018】また、陽極酸化処理は、素材表面に安定で
ポーラスな酸化アルミニウムとの層を生成し、グレー発
色を実現するための第一段階の処理である。グレーに発
色するのは、合金中の晶出物および析出物であり、これ
らの金属間化合物が陽極酸化処理により酸化されないこ
とが必要である。陽極酸化処理時に酸化されない金属間
化合物としては、Al6 Fe、Al6 Mn、単体Siな
どがある。Al−Fe系の晶出物としては、Al6 Fe
の他に、Al3 Fe及びAlm Feなどがあり、Al6
Feがグレー発色に大いに寄与する。
ポーラスな酸化アルミニウムとの層を生成し、グレー発
色を実現するための第一段階の処理である。グレーに発
色するのは、合金中の晶出物および析出物であり、これ
らの金属間化合物が陽極酸化処理により酸化されないこ
とが必要である。陽極酸化処理時に酸化されない金属間
化合物としては、Al6 Fe、Al6 Mn、単体Siな
どがある。Al−Fe系の晶出物としては、Al6 Fe
の他に、Al3 Fe及びAlm Feなどがあり、Al6
Feがグレー発色に大いに寄与する。
【0019】アルミニウム合金の濃色化を図るには、陽
極酸化処理を高電圧にて行うことがより効果的である。
陽極酸化処理を高電圧下で行うと、被膜の成長方向がラ
ンダムになり、低電圧領域の処理では得られないような
表面凹凸が形成され、これが濃色化に寄与するからであ
る。
極酸化処理を高電圧にて行うことがより効果的である。
陽極酸化処理を高電圧下で行うと、被膜の成長方向がラ
ンダムになり、低電圧領域の処理では得られないような
表面凹凸が形成され、これが濃色化に寄与するからであ
る。
【0020】このように陽極酸化処理を行い、必要によ
り、これに引続く工程で金属塩浴処理(二次電解処理)
をすると、合金表面に強い色調のさらに濃いグレー色を
発色させることができる。二次電解処理は、さらに濃い
グレー色を合金表面に発現させるために、あるいは合金
成分のばらつき、素材製造条件のばらつきによる色むら
を抑えるために必要な処理である。この二次電解処理で
は、陽極酸化処理により生成されたポーラス層の孔中に
金属塩を侵入させ、表面の色調を改質することができ
る。これにより、合金表面がさらに低反射率となり、濃
い色調のダークを発色させることができる。
り、これに引続く工程で金属塩浴処理(二次電解処理)
をすると、合金表面に強い色調のさらに濃いグレー色を
発色させることができる。二次電解処理は、さらに濃い
グレー色を合金表面に発現させるために、あるいは合金
成分のばらつき、素材製造条件のばらつきによる色むら
を抑えるために必要な処理である。この二次電解処理で
は、陽極酸化処理により生成されたポーラス層の孔中に
金属塩を侵入させ、表面の色調を改質することができ
る。これにより、合金表面がさらに低反射率となり、濃
い色調のダークを発色させることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明
する。まず、本実施の供試材は次に示す工程により製造
された。すなわち、Si:1.3%、Mg:0.4%、
Fe:1.0%、残部Alからなるアルミニウム合金に
SrをAl−10%Sr母合金の形で添加し、鋳造速度
150mm/min でφ75mmのビレットに鋳造し、500
℃×10時間の均質化処理を施した後、450℃でH型
形状の建材用形材に押出した。このH型押出形材を表面
処理するに際しては、脱脂、エッチング、スマット除去
を常法に従って行い、浴温20℃の170g/l硫酸浴
中で、電流密度2.2A/dm2 で陽極酸化処理を施し
た。
する。まず、本実施の供試材は次に示す工程により製造
された。すなわち、Si:1.3%、Mg:0.4%、
Fe:1.0%、残部Alからなるアルミニウム合金に
SrをAl−10%Sr母合金の形で添加し、鋳造速度
150mm/min でφ75mmのビレットに鋳造し、500
℃×10時間の均質化処理を施した後、450℃でH型
形状の建材用形材に押出した。このH型押出形材を表面
処理するに際しては、脱脂、エッチング、スマット除去
を常法に従って行い、浴温20℃の170g/l硫酸浴
中で、電流密度2.2A/dm2 で陽極酸化処理を施し
た。
【0022】実施例1 前記アルミニウム合金ベースにSrの添加量を0.05
%、0.2%、0.3%および0.5%に変えて添加
し、色調および強度に及ぼすストロンチウムの影響を調
査した。その結果を、図1に示す。グレーの色調として
は、L* 値が65以下が望ましい。図1から、Sr量
0.05%以上がこの領域に含まれる。なお、L* 値
は、JISZ8729に規定されている明度を示す指標
であって、L* 値が高い程、白くなり、また低くなる程
黒いものを表わしている。色差計CR−200(ミノル
タ製)を用いて測色した。
%、0.2%、0.3%および0.5%に変えて添加
し、色調および強度に及ぼすストロンチウムの影響を調
査した。その結果を、図1に示す。グレーの色調として
は、L* 値が65以下が望ましい。図1から、Sr量
0.05%以上がこの領域に含まれる。なお、L* 値
は、JISZ8729に規定されている明度を示す指標
であって、L* 値が高い程、白くなり、また低くなる程
黒いものを表わしている。色差計CR−200(ミノル
タ製)を用いて測色した。
【0023】T5強度は、ビッカース硬さ(Hv)58
以上を合格とし、図1から、Sr量0.7%までがこの
領域に含まれる。なお、T5強度とは、アルミニウム合
金を押出し、放冷後、人工時効処理した場合の硬度をも
って表したものである。本実施例での人工時効処理は、
195℃×160分である。
以上を合格とし、図1から、Sr量0.7%までがこの
領域に含まれる。なお、T5強度とは、アルミニウム合
金を押出し、放冷後、人工時効処理した場合の硬度をも
って表したものである。本実施例での人工時効処理は、
195℃×160分である。
【0024】実施例2 実施例1と同様に製造したアルミニウム合金にSrの添
加量を変え、色相に及ぼす影響を調査した。その結果
を、図2及び図3に示す。図2から、Srは色相a* 値
には影響を及ぼさないが、図3から、色相b* 値には影
響を与えることが分る。なお、色相a* 値の高いものは
赤色を、逆に低いものは緑色を表わす。一方、色相b*
値の高いものは黄色を、低いものは青色を表わす。ま
た、0に近い程ともに無彩色に近いことを表わす。実施
例1と同様に、色差計CR−200(ミノルタ製)を用
いて測色した。
加量を変え、色相に及ぼす影響を調査した。その結果
を、図2及び図3に示す。図2から、Srは色相a* 値
には影響を及ぼさないが、図3から、色相b* 値には影
響を与えることが分る。なお、色相a* 値の高いものは
赤色を、逆に低いものは緑色を表わす。一方、色相b*
値の高いものは黄色を、低いものは青色を表わす。ま
た、0に近い程ともに無彩色に近いことを表わす。実施
例1と同様に、色差計CR−200(ミノルタ製)を用
いて測色した。
【0025】なお、上述した実施例は、実際のデータを
用いて本発明を詳しく説明するためのものであって、こ
れにより本発明が制限を受けるものではない。
用いて本発明を詳しく説明するためのものであって、こ
れにより本発明が制限を受けるものではない。
【0026】
【発明の効果】本発明は、上述の通り、アルミニウム合
金にストロンチウムを添加することにより、従来の発色
元素に比べ灰色グレーの発色が安定して得られると共に
強度を調整することが出来る。これにより、各種アルミ
ニウム合金のサッシ、外装パネル等建築材への適用の範
囲が拡大される。
金にストロンチウムを添加することにより、従来の発色
元素に比べ灰色グレーの発色が安定して得られると共に
強度を調整することが出来る。これにより、各種アルミ
ニウム合金のサッシ、外装パネル等建築材への適用の範
囲が拡大される。
【図1】ストロンチウム添加量のアルミニウム合金の明
度L* および硬度に及ぼす影響を示した図。
度L* および硬度に及ぼす影響を示した図。
【図2】ストロンチウム添加量のアルミニウム合金の色
相a* に及ぼす影響を示した図。
相a* に及ぼす影響を示した図。
【図3】ストロンチウム添加量のアルミニウム合金の色
相b* に及ぼす影響を示した図。
相b* に及ぼす影響を示した図。
【図4】Al−Si−Mg−Fe合金におる添加元素と
発色性との関係を示した図。
発色性との関係を示した図。
【図5】Al−Si−Mg合金におけるストロンチウム
添加の発色性に及ぼす影響を示した図。
添加の発色性に及ぼす影響を示した図。
Claims (6)
- 【請求項1】重量%で、Si:0.60〜1.50%、
Mg:0.3〜0.7%、Sr:0.05〜0.7%を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなること
を特徴とするグレー発色アルミニウム合金。 - 【請求項2】重量%で、Si:0.60〜1.50%、
Mg:0.3〜0.7%、Sr:0.05〜0.7%を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる素材
であって、これを均質化処理した後、陽極酸化処理した
ことを特徴とするグレー発色アルミニウム合金。 - 【請求項3】重量%で、Si:0.60〜1.50%、
Mg:0.3〜0.7%、Sr:0.05〜0.7%を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる合金
を、均質化処理した後、陽極酸化処理することを特徴と
するアルミニウム合金のグレー発色方法。 - 【請求項4】重量%で、Fe:0.50〜1.20%、
Si:0.60〜1.50%、Mg:0.3〜0.7
%、Sr:0.05〜0.7%を含有し、残部がAlお
よび不可避的不純物からなることを特徴とするグレー発
色アルミニウム合金。 - 【請求項5】重量%で、Fe:0.50〜1.20%、
Si:0.60〜1.50%、Mg:0.3〜0.7
%、Sr:0.05〜0.7%を含有し、残部がAlお
よび不可避的不純物からなる素材であって、これを均質
化処理した後、陽極酸化処理したことを特徴とするグレ
ー発色アルミニウム合金。 - 【請求項6】重量%で、Fe:0.50〜1.20%、
Si:0.60〜1.50%、Mg:0.3〜0.7
%、Sr:0.05〜0.7%を含有し、残部がAlお
よび不可避的不純物からなる合金を、均質化処理した
後、陽極酸化処理することを特徴とするアルミニウム合
金のグレー発色方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35123393A JPH07197166A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | グレー発色アルミニウム合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35123393A JPH07197166A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | グレー発色アルミニウム合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07197166A true JPH07197166A (ja) | 1995-08-01 |
Family
ID=18415956
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35123393A Pending JPH07197166A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | グレー発色アルミニウム合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07197166A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005015842A (ja) * | 2003-06-25 | 2005-01-20 | Tateyama Alum Ind Co Ltd | エッチング処理均一性に優れたアルミニウム合金押出材 |
CN104451278A (zh) * | 2013-09-23 | 2015-03-25 | 比亚迪股份有限公司 | 一种压铸铝合金及其制备方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01152234A (ja) * | 1987-12-10 | 1989-06-14 | Sankyo Alum Ind Co Ltd | グレー発色アルミニウム合金 |
JPH01212734A (ja) * | 1988-02-18 | 1989-08-25 | Kobe Steel Ltd | 灰色自然発色アルミニウム合金 |
JPH04143241A (ja) * | 1990-10-03 | 1992-05-18 | Sky Alum Co Ltd | 陽極酸化処理後の色調が濃灰色のアルミニウム合金材およびその製造方法 |
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JPH05339669A (ja) * | 1992-06-03 | 1993-12-21 | Sky Alum Co Ltd | 耐型かじり性、耐きず性に優れた成形加工用アルミニウム合金合わせ板およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP35123393A patent/JPH07197166A/ja active Pending
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