JP2005015842A - エッチング処理均一性に優れたアルミニウム合金押出材 - Google Patents
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Abstract
特に押出材表面のダイラインを消すのに効果的である。
【解決手段】SrとCaとのいずれか1種又は両方を含有し、SrとCaとの合計が0.02〜0.50wt%の範囲であるAl−Si−Mg系のエッチング処理均一性に優れたアルミニウム合金押出材とした。
なお、Fe成分が0.5wt%未満であることが望ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水酸化ナトリウム水溶液を用いてエッチング処理することにより均一な梨地外観を得ることが出来るアルミニウム合金押出材に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金はビレット鋳造された後に押出加工により各種形材が生産され、各種建材やサッシ枠として広く使用されている。
【0003】
アルミニウム合金ビレットを押出プレス機にて押出成形すると、押出材の表面は金属光沢があるとともに、押出ダイスによる押出方向に沿ってダイスマークあるいはダイラインと称されるスジ状の凹凸が生じる。
【0004】
アルミニウム合金押出材の表面の金属光沢や、このダイラインを消すことにより梨地外観を得るために、従来から各種梨地処理方法が採用されている。
押出材の梨地処理方法としては、ショットブラストや液体ホーニングを用いた機械的方法、電解エッチングのように電気化学的方法、及び各種薬液を用いてエッチング処理する化学的方法がある。
しかし、ショットブラストや液体ホーニングでは専用の設備が必要であるだけでなく、複雑な形状の場合にショット粒子が均一に衝突しにくくショットムラが発生しやすい。
また、押出材のように数mもある長い形材を梨地処理するのは大変である。
一方、化学的エッチング処理方法は押出材に通常実施されている防錆用の陽極酸化処理、電解着色法等による着色ラインの前処理として一体的に採用出来ることから長尺の押出材の表面処理装置として組み込まれる場合が多い。
【0005】
上記エッチング処理液としては、苛性ソーダ浴と称される水酸化ナトリウムを2〜10wt%溶解した30〜60℃の水溶液が用いられていた。
しかし、この水酸化ナトリウム水溶液は押出材の結晶粒界を中心にアタックすることから梨地処理に時間を要するだけでなく、押出ダイスによるダイラインを消す作用が弱かった。
【0006】
そこで、押出材の結晶粒界へのアタック特異性が弱くこの押出材のダイライン等の凸部を優先的にエッチングする処理液として、フッ化物系の薬品を主成分とするエッチング浴が提案されている。
また、水酸化ナトリウムの水溶液に硝酸塩又は亜硝酸塩等の添加剤を添加する方法も提案されている(特開平11−172468号公報)。
【0007】
ところが、上記のようなフッ化物を主成分とする浴や特殊な添加剤を用いる浴では薬品が高価なだけでなく、液寿命が短く、特に薬液が有害であるためにその排水処理方法が問題となる。
【0008】
従来技術として、特開平7−197166号公報には建材用アルミニウム合金として陽極酸化処理によりグレーに自然発色させるアルミニウム合金組成が開示されている。
この技術はエッチング処理性を問題にしているのではなく、アルミニウム合金押出材の表面に電解処理により陽極酸化皮膜を形成する際に酸化皮膜中にアルミニウム合金成分を残存させることにより、グレー色に発色させるものである。
また、特開2001−226797号公報には、Sn成分を添加した合金例が開示されているがSn成分は均一に添加するのが難しく強度低下の影響も大きい。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−172468号公報
【特許文献2】
特開平7−197166号公報
【特許文献3】
特開2001−226797号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、常用されている水酸化ナトリウム水溶液(苛性ソーダ浴)を用いてエッチング処理するだけで、アルミニウム合金押出材の表面を均一に梨地処理できる方法の提案を目的とする。
特に押出材表面のダイラインを消すのに効果的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明はエッチング処理液としては常用されている水酸化ナトリウム水溶液を用いて、アルミニウム合金押出材の合金成分を調整することでエッチング処理の均一性、特にダイラインの消す効果が高い方法を研究により見い出したものである。
【0012】
技術的要旨はSr:0.02〜0.50wt%を含有するAl−Si−Mg系のエッチング処理均一性に優れたアルミニウム合金押出材とした点にある。
【0013】
また、Srの替わりにCa:0.02〜0.50wt%を含有するAl−Si−Mg系のアルミニウム合金押出材でもよい。
【0014】
ここで、SrとCaとのいずれか1種又は両方を含有してもよいが、SrとCaとの合計が0.02〜0.50wt%の範囲であるのが望ましい。
【0015】
SrあるいはCaを添加したアルミニウム合金押出材を用いると、エッチング処理における微小ピットが結晶粒内に多数発生し、従来のJIS 6063S合金が結晶粒界を特異的にアタックするのと異なり、均一にエッチング処理されることを見い出したものである。
【0016】
Sr又はCaの成分量を0.02〜0.50wt%としたのは、0.02wt%未満では添加の効果が認められず、0.50wt%を超えると押出材の機械的特性が低下するからである。
従って、Sr+Caの値が0.50wt%以下が良い。
また、本発明はエッチング処理の均一性にあるが、その後に陽極酸化処理する場合が通常であり、Fe成分が0.5wt%を超えるとグレー系に発色したり、強度が低下するのでFe成分が0.5wt%以下が良い。
【0017】
本発明はエッチング処理の均一性にあり、Sr又はCaのいずれか1種あるいは両方が適量に添加されれば多くのアルミニウム合金押出材やアルミニウム合金圧延材に応用出来る。
アルミニウム合金押出材としては押出加工性が良く、Mg2Si析出効果による強度を考慮すると、Si:0.2〜0.6wt%、Mg:0.45〜0.9wt%の範囲が良い。
【0018】
【発明の実施の形態】
JIS A6063合金をベースにSr:0.10wt%添加したビレットをDC鋳造により作製し、570℃×5時間の均質化処理を施した。
このビレットを用いて450℃で押出加工した後に200℃×2時間の人工時効処理により押出形材Aを得た。
同様に、Srの替わりにCa:0.10wt%添加したビレットを用いて押出形材Bを得た。
なお、比較のためにJIS A6063合金を用いて押出形材Cを得た。
【0019】
上記押出形材A、B、Cを約7wt/V%濃度の約50℃水酸化ナトリウム水溶液を用いてエッチング処理した場合の光沢比とエッチング時間の関係を図1(グラフ1)に示し、エッチング量とエッチング時間の関係を図2(グラフ2)に示す。
ここで光沢比とは、ダイラインの影響を評価したものである。
具体的には、60度反射鏡面光沢計を用いて、押出方向(ダイライン)と平行に反射させて測定した値を(平行)と表示し、押出方向と直角(垂直)方向に反射させて測定した値を(垂直)と表示し、その(垂直)/(平行)の比を光沢比として表現したものである。
従って、光沢比が1に近づくとはダイラインの影響が無く、均一に梨地処理されたことになる。
以上の観点からグラフ1とグラフ2を合わせて考察すると、グラフ2に示すようにSr添加押出材A及びCa添加押出材Bは、JIS A6063合金押出材Cと比較して極く僅かにエッチング量が時間とともに増えているものの殆ど差が無いのに対して、グラフ1の光沢比においては押出材A、Bはエッチング時間とともに急激に1に近づくが、押出材C(A6063合金)はエッチング時間を長くしても光沢比が0.8以上にならなかった。
即ち、Sr又はCaを添加しない押出材ではエッチング時間を長くしてもダイラインが消えないのに対して、Sr又はCaを添加した押出材A、Bは約7分で光沢比が0.8になり、約10分で光沢比が0.9以上になることが明らかになった。
よって、押出材A、Bはダイラインがほぼ消えた梨地外観となる。
【0020】
図3は押出材Aのエッチング15分後の表面を走査型電子顕微鏡で観察した図面代用写真を示し、図4は比較として同様に処理した押出材Cの表面の図面代用写真を示す。
押出材Cは結晶粒界が深くエッチングされているのに対して、Srが添加された押出材Aは結晶粒内にも深いピットが生じていた。
【0021】
Sr又はCaの添加量を変化させた場合のエッチング効果の変化を図5に示し、0.2%耐力の変化を図6に示す。
図5に示すグラフは、JIS A6063合金をベースにSr、Caの添加量(wt%)をそれぞれ変化させて得られた押出形材を約7wt/v%水酸化ナトリウム水溶液にて50℃×7分間エッチングした場合の光沢比の変化を示したものである。
Sr、Caともに0.1wt%程度でもエッチングの均一化効果が得られ、0.50wt%以下で充分であることが明らかになった。
【0022】
図6に示すグラフ4は、熱処理T5材における0.2%耐力値の変化を示したものであり、JISでは、A6063S−T5材の耐力値110N/mm2以上と規定されているがバラツキを考慮し、JIS規格を保証するには135N/mm2以上確保するのが望ましく、Sr、Ca添加量は0.50wt%が上限となる。
【0023】
【発明の効果】
本発明においては、アルミニウム合金に微量のSr又はCaを添加したアルミニウム合金押出材とすることで有害な薬液を用いることなく、既設の表面処理ラインに常用されている苛性ソーダ浴で均一に梨地処理された外観が得られる。
特に短時間にダイラインを消すことが可能になる。
これにより、表面処理費が低減出来るとともに、排水処理における環境への負荷低減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム合金押出材の添加成分と光沢比の関係を示す。
【図2】アルミニウム合金押出材の添加成分とエッチング量の関係を示す。
【図3】(図面代用写真)押出材Aのエッチング表面を示す。
【図4】(図面代用写真)押出材Cのエッチング表面を示す。
【図5】Sr、Ca添加量とエッチング効果の関係を示す。
【図6】Sr、Ca添加量と耐力の関係を示す。
【符号の説明】
A Srを添加したアルミニウム合金押出材
B Caを添加したアルミニウム合金押出材
C JIS A6063合金押出材
Claims (5)
- Sr:0.02〜0.50wt%を含有するAl−Si−Mg系のエッチング処理均一性に優れたことを特徴とするアルミニウム合金押出材。
- Ca:0.02〜0.50wt%を含有するAl−Si−Mg系のエッチング処理均一性に優れたことを特徴とするアルミニウム合金押出材。
- SrとCaとのいずれか1種又は両方を含有し、SrとCaとの合計が0.02〜0.50wt%の範囲であるAl−Si−Mg系のエッチング処理均一性に優れたことを特徴とするアルミニウム合金押出材。
- SrとCaとのいずれか1種又は両方を含有し、SrとCaとの合計が0.02〜0.50wt%の範囲であり、かつ、Fe成分が0.5wt%未満であるAl−Si−Mg系のエッチング処理均一性に優れたことを特徴とするアルミニウム合金押出材。
- Sr+Ca:0.02〜0.50wt%、Si:0.2〜0.6wt%、Mg:0.45〜0.9wt%、Fe:0.50wt%未満からなり、残部がAl及び不可避的不純物からなるエッチング処理均一性に優れたことを特徴とするアルミニウム合金押出材。
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JP2003181796A JP2005015842A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | エッチング処理均一性に優れたアルミニウム合金押出材 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012246542A (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-13 | Sankyo Tateyama Inc | マグネシウム及びマグネシウム合金押出材の表面処理方法 |
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JP2001181865A (ja) * | 1999-12-24 | 2001-07-03 | Nippon Light Metal Co Ltd | アルミニウム合金押出形材の表面処理方法 |
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2003
- 2003-06-25 JP JP2003181796A patent/JP2005015842A/ja not_active Withdrawn
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