JPH027385B2

JPH027385B2 -

Info

Publication number: JPH027385B2
Application number: JP57166531A
Authority: JP
Inventors: Kazuo Chiba; Koji Mitamura; Isao Takeuchi; Harutoshi Matsuyama
Original assignee: Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Current assignee: MA Aluminum Corp
Priority date: 1982-09-27
Filing date: 1982-09-27
Publication date: 1990-02-16
Also published as: JPS5956559A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は自然発色アルミニウム合金材に係り、
4.4％を越えて（4.4％を含まず）6.0％以下のSi、
0.12％以上で0.30％以下のCu、0.20％以上で0.30
％以下のMgを必須成分とし、その他不可避不純
物を含み残余Alからなるアルミニウム合金を陽
極酸化処理することによつて、押出性が良好であ
るにもかかわらず機械的強度に富み、さらには灰
黒色調の自然発色アルミニウム合金材を提供する
ことを目的とする。

Al−Si系合金の展伸材の陽極酸化皮膜が灰色
を呈することは従来より知られており、建築材料
等に使用されてきている。しかし、例えば代表的
な自然発色アルミニウム合金である4043合金は、
強度が弱く、99％純度アルミニウム展伸材の半硬
質に相当し、ビル窓枠等に用いるには厚肉にしな
ければならない。又、この4043合金を改善すべく
Mgを添加し、Mg₂Siの析出により硬化した合金
は、例えば6063−T5材相当の強度を有したもの
ではあるが、押出性が悪く、かつ濃灰黒色が得ら
れず、陽極酸化皮膜が黄色味を帯びるといつた欠
点がある。さらには、陽極酸化処理条件における
わずかな違いが皮膜色調に敏感に反映され、色ム
ラの生じやすいものでもある等の欠点がある。

本発明は上記欠点を除去したものであり、例え
ば6063合金T5材以上の機械的強度を有しながら
も押出性にも優れたものであり、しかも灰黒色の
所望の色調のものを再現性良く呈することができ
るものとなる自然発色アルミニウム合金材を開発
したのである。

以下、本発明に係る自然発色アルミニウム合金
材について説明する。

一般に、Al−Si系自然発色合金中のSiは、陽
極酸化処理の際に変化を受けず、そのまま皮膜中
に移行し、その粒子形状と分布密度に応じて皮膜
に色を付与するものであり、本発明においては、
4.4％を越えて6.0％以下のSiを含む他、Cuを0.12
〜0.30％、Mgを0.20〜0.30％含ませたものであ
る。

このような合金組成からなるビレツトを450℃
以下の温度で均質化処理した後、350〜470℃の温
度で予熱して押出し、時効処理（T5処理）を行
ない、その後常法の陽極酸化処理を行なうと、均
質化処理の温度に応じてＬ値が少し異なる灰黒色
調の所望の着色皮膜のものが得られる。そして、
この合金組成のものは、その機械的強度が
6063T5材に劣らない優れたものであり、かつ押
出性も同時に優れた特長を示しており、仕上がり
が美麗であり、表面状態は良好である。

すなわち、Siの含有量が少ない場合には、厚膜
の陽極酸化皮膜を化成しなければ所望の灰黒色の
ものが得られにくく、更には発色皮膜が黄色味を
帯びる恐れがあるといつた欠点があり、又Siの含
有量が多すぎる場合には肌荒れ等が発生して押出
性が著しく低下し、かつ表面処理における前処理
の際にスマツトが多量発生し、除去が困難であつ
て、Siの含有量は4.4％を越えて6.0％以下のもの
が望ましく、又、Cuが0.12％未満の場合には強度
向上が不満足であり、そして0.30％を越えると皮
膜形成効率が低下し、所望の色調のものが得られ
ないものとなり、Cu含有量を0.12〜0.30％とする
ことによつて強度向上のみならず、押出性にも優
れたものとなり、さらには所望の色調のものが得
られるものとなり、又、Mgが0.20％未満では時
効処理を行なつてもあまり硬化に寄与せず、そし
て0.30％を越えてしまうと生産性が低下するのみ
でなく、発色皮膜が黄味を帯びたものとなつてし
まい、美麗な灰黒色のものが得られず、Mgの含
有量を0.20〜0.30％とすることにより、機械的強
度及び押出性に調和のとれた優れたものとなり、
かつ所望の色調のものが得られるものとなること
を見い出したのである。

そして、均質化処理をする場合に450℃を越え
た温度で行なうと淡灰色調に仕上がる恐れがあ
り、又黄色味を帯びる傾向にあるので、450℃以
下の温度で均質化処理を行なうと、この均質化処
理の温度に応じて、すなわち均質化処理温度が約
450℃でＬ値が約42、均質化処理温度が約300℃で
Ｌ値が約28といつたような灰黒色ないしは濃灰黒
色調のものとなる陽極酸化皮膜を生成させること
ができる。又、押出温度を350〜470℃とすること
によつて、押出性が良く、かつ色ムラの生じにく
いものとでき、さらには材料エツジ部に微小クラ
ツクが生じない等良好な表面状態のものを作れ
る。

以下において具体的実施例について述べる。

実施例 Al−5.5％Si−0.25％Cu−0.25％Mgその他不可
避不純物からなるビレツトを、300〜450℃で12時
間均質化処理し、次に350〜470℃の予熱温度（前
記均質化処理温度450℃、400℃、350℃、300℃に
対してそれぞれ470℃、450℃、450℃、430℃）で
ソリツド材及びフオロー材を押出した。そして、
180℃で６時間時効処理した後、常法の硫酸陽極
酸化処理によつて約20μｍの皮膜を化成した。

このものは、その表面状態は良好であり、機械
的強度は6063合金T5材に劣らず優れたものであ
り、又、均質化処理温度に応じて灰黒色から濃灰
黒色に至る所望の色調のものとできた。尚、図面
中、実線で示す特性のものが本実施例のものであ
り、数字は均質化処理時の温度を示す。

比較例１〜３ Al−5.5％Si−0.15％Mgその他不可避不純物か
らなるビレツト、Al−5.5％Si−0.15％Mg−0.15
％Cuその他不可避不純物からなるビレツト、Al
−4.0％Si−0.25％Mgその他不可避不純物からな
るビレツトを、前記実施例と同様に行なう。

これらの組成のものの特性を、図面中一点ない
し三点鎖線で示す。尚、数字は均質化処理時の温
度である。

この結果からわかるように、本発明に係る合金
組成のものは、均質化処理条件のコントロールに
よつて灰黒色ないしは濃灰黒色の色調の発色濃度
のものが得られるようになり、すなわち陽極酸化
皮膜の膜厚とは独立して濃い灰色調のものが得ら
れるものとなり、しかも機械的強度は6063合金
T5材に劣らず優れたものであり、かつ押出性に
も優れており、生産性に優れかつ高強度のものが
得られるので、例えばサツシ材等の建材に用いら
れるものとなる。

上述の如く、本発明に係る自然発色アルミニウ
ム合金材は、4.4％を越えて（4.4％を含まず）6.0
％以下のSi、0.12％以上で0.30％以下のCu、0.20
％以上で0.30％以下のMgを必須成分とし、その
他不可避不純物を含み残余Alからなるアルミニ
ウム合金を陽極酸化処理することによつて、押出
性が良好であるにもかかわらず機械的強度に富
み、例えば6063合金T5材に劣らない機械的性質
を有したものであり、しかもこのものは陽極酸化
皮膜の膜厚によらず灰黒色調の自然発色アルミニ
ウム合金材であり、例えばサツシ材等の建材に適
したものである等の特長を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は、自然発色アルミニウム合金材の耐力と
Ｌ値の特性を示すグラフである。

Claims

【特許請求の範囲】

１ 4.4％を越えて（4.4％を含まず）6.0％以下の
Si、0.12％以上で0.30％以下のCu、0.20％以上で
0.30％以下のMgを必須成分とし、その他不可避
不純物を含み残余Alからなるアルミニウム合金
を陽極酸化処理したことを特徴とする自然発色ア
ルミニウム合金材。