JPH07197177A - キャビテーションの少ない超塑性成形用アルミニウム合金圧延板 - Google Patents

キャビテーションの少ない超塑性成形用アルミニウム合金圧延板

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JPH07197177A
JPH07197177A JP1222394A JP1222394A JPH07197177A JP H07197177 A JPH07197177 A JP H07197177A JP 1222394 A JP1222394 A JP 1222394A JP 1222394 A JP1222394 A JP 1222394A JP H07197177 A JPH07197177 A JP H07197177A
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cavitation
superplastic
less
alloy
rolling
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Mamoru Matsuo
松尾守
Tsutomu Tagata
田形勉
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Sky Aluminium Co Ltd
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 キャビテーションの少ない超塑性成形用アル
ミニウム合金圧延板を提供する。 【構成】 Mg:2.0〜6.5%、Be:0.5〜1
00ppmを含有し、かつNa:3ppm以下、Ca:
5ppm以下、Ga:150ppm以下、Mn:0.4
0%以下、V:0.15%以下、Cr:0.15%以
下、Zr:0.15%以下、Si:0.15%以下、C
u:0.20%以下、Zn:1.0%以下に規制しかつ
500℃10秒の加熱時の結晶粒径と30分の加熱後の
結晶粒径との比が120%以上であるアルミニウム合金
圧延板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超塑性成形用アルミニ
ウム合金、すなわち350〜560℃で成形加工を行な
うアルミニウム合金圧延板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、アルミニウム合金において350
℃以上の高温で100%以上の伸びを示す超塑性材料に
関して種々の研究がなされている。アルミニウム超塑性
合金としてはAl−78%Zn、Al−33%Cu、A
l−6%Cu−0.4%Zr(SUPURAL)、Al
−Zn−Mg−Cu合金(7475、7075)、50
83などのAl−Mg合金等が知られており、特にAl
−Mg系の合金は耐食性や溶接性が良好で、陽極酸化処
理性も良好なことから、多方面への適用の可能性があり
注目されている。
【0003】超塑性合金の特徴は超塑性成形前若しくは
超塑性成形時に再結晶粒を微細にし、その微細な結晶粒
同士が粒界すべりを起こすことによって数100%にも
及ぶ大きな伸びが得られるとされている。そのため、従
来の超塑性材料は超塑性成形前に事前に再結晶化処理を
施す場合や若しくは超塑性成形時の加熱中再結晶化させ
る場合のいずれにおいても結晶粒は出来るだけ微細であ
ることが必要とされ、一般に20μm以下の結晶粒が必
要とされていた。さらに、高温の超塑性成形加工時にも
その微細再結晶粒は安定であることが必要で、出来るだ
け結晶粒の成長は少なく、粗大化を起こさないように結
晶粒の移動を抑制する処理、通常はMn、Cr、Zr等
の遷移元素の添加とそれら元素の金属間化合物の微細析
出物を生ぜしめる処理が施されるのが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにAl−M
g系の超塑性材料は適当な強度と良好な溶接性、耐食
性、表面処理性を持っており、しかも一般的な超塑性材
料のように複雑な製造工程を必ずしも必要としないこと
から製造コストも比較的安価であり、そのため従来超塑
性材料が航空機等の特殊分野に主に使用されていたのに
比べ航空機以外にも建材、自動車、鉄道車両、船舶、容
器等の広い分野に適用が検討されるようになってきた。
【0005】しかし、超塑性成形においては、粒界が滑
ることにより変形が進むために結晶粒界及びその三重点
でキャビテーションが生成することが知られており、こ
のキャビテーションは材料の機械的性質や疲労強度を劣
化させるため、なるべく生成させないことが重要であ
る。このキャビテーションを抑制する手段は超塑性成形
条件や材料によっても変化することが知られているが、
材料面では主に結晶粒を微細化して粒界滑りを容易化す
ることが主な解決手段とされていた。しかしながら、材
料だけではこのキャビテーションを解決することは困難
であり、成形時に背圧を付加することによりキャビテー
ション問題を解決していたのが一般的であった。しかる
に航空機のような価格よりも性能を重視する分野におい
てならまだしも、自動車等の民生用の場合成形コストを
下げることが重要なため背圧付加のようなコストのかか
る成形方法は敬遠され、単純なブロー成形でもキャビテ
ーションの生成の少ない材料の開発が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の状況に鑑
み、実用的な超塑性伸びでキャビテーションの生成の少
ない超塑性材料を研究して発明をなしたものである。す
なわちブロー成形による超塑性成形では成形量(変形
量)の増大とともに板厚が薄くなってしまうという問題
があり、特に超塑性材料を構造用に適用する場合には強
度を確保する点からもそう多くの変形をさせられない場
合が多い。このような観点から超塑性成形は500%と
か1000%もの非常に大きな伸びは実用上は無意味で
あり、多くの場合200%、多くても300%以内で設
計される場合がほとんどである。つまり、超塑性材料と
しては多くても300%程度伸びる材料であれば実用上
十分に成形・使用に耐えるということである。本発明者
らはこのことに着目して、超塑性伸びは500%〜10
00%もの非常に大きな伸びを得ることはやや犠牲にし
て、実用的に要求される300%以内の範囲内でキャビ
テーションの生成を最少化するように研究を重ねて本発
明を成すに至ったものである。
【0007】その要する所は、まずキャビテーションの
原因について研究した結果、キャビテーションは結晶粒
と結晶粒とが滑るために生じるが、この結晶粒界があま
り安定であるよりも多少不安定で粒界に蓄積された歪み
を粒界移動により緩和する方が超塑性伸びには不利であ
ってもキャビテーションには好都合であることを見出し
た。このことから、従来超塑性成形用合金の合金設計の
常識とされてきた結晶粒の微細化とその安定化はむしろ
キャビテーションの生成には好ましくなく、そのために
必須的に添加されてきたMn、Cr、Zr等の遷移元素
の添加は抑制するか若しくは規制することが重要である
ことが判明した。さらに結晶粒界上にメルティングポイ
ントの低い成分が濃縮すると、超塑性成形時の粒界の移
動が妨げられることからキャビテーションの生成に好ま
しくないことを見出した。
【0008】すなわち本発明は、Mg:2.0〜6.5
%、Be:0.5〜100ppmを含有し、かつNa:
3ppm以下、Ca:5ppm以下、Ga:150pp
m以下、Mn:0.40%以下、V:0.15%以下、
Cr:0.15%以下、Zr:0.15%以下、Si:
0.15%以下、Cu:0.20%以下、Zn:1.0
%以下に規制し、残部アルミニウムおよび不純物からな
るアルミニウム合金圧延板であり、かつ500℃10秒
の加熱時の結晶粒径と30分の加熱後の結晶粒径との比
が120%以上であることを特徴とするキャビテーショ
ンの少ない超塑性成形用アルミニウム合金圧延板であ
る。
【0009】
【作用】以下に本発明の作用について説明する。
【0010】まず、本発明における成分の限定理由を説
明する。
【0011】Mg:Mgは(1)超塑性成形性を向上さ
せる、(2)耐食性、溶接性、表面処理性を阻害しない
で強度を付与する、という働きをする重要な元素であ
る。2%未満の添加量では超塑性成形性が不十分とな
り、6.5%を超えた添加では結晶粒界にMgが偏析し
てキャビテーションが生成しやすくなり、また熱間圧延
性および冷間圧延性が悪くなり製造困難となる。
【0012】Be:Beは、鋳造時のMgの酸化を防止
する効果がある。さらに、超塑性成形は350〜560
℃と高温で行なわれるため、本合金のようにMg量が多
い場合、表面の酸化が激しく表面が黒変しやすいが、B
eは圧延板表面のMgの酸化を抑制して表面を安定化す
る作用があり、これにより超塑性成形時の表面酸化が抑
制され黒変がなく後処理が容易になる。ただし0.5p
pm未満ではその効果がなく一方100ppmを超える
と効果が飽和してしまう。
【0013】Na,Ca,Ga:Na,Ca,Gaは微
量でも再結晶粒界に偏析して粒界の融点を低下させキャ
ビテーションの生成を助長するもので、Naは3ppm
を超えると、Caは5ppmを超えると、Gaは150
ppmを超えるとその悪影響が顕著になる。よって、N
aは3ppm以下、Caは5ppm以下、Gaは150
ppm以下とする。
【0014】Mn:MnはAl6 Mnを生成し、またそ
の他Fe、Si等と化合して均質化処理中や熱間圧延中
に微細析出し、これらの1μm程度以下の微細析出物は
再結晶粒界を安定化する。そのため、超塑性成形時の粒
界滑りに伴う粒界および三重点での粒界歪みの調整(ア
コモデーション)が不十分となり、キャビテーションが
生成しやすくなる。Mn量が0.4%を超えると結晶粒
界の移動が困難になりキャビテーションが多くなり適当
でない。よってMn量は0.4%以下とした。特に超塑
性成形温度が500℃以下の場合には結晶粒の成長が生
じにくいためMn量は0.05%以下とより少なくする
ことが好ましい。
【0015】V,Cr,Zr:これらの遷移元素はMn
と同じく均質化処理中、熱間圧延中などに1μm程度以
下の微細な析出物を生成し、再結晶粒の微細化と超塑性
成形時の結晶粒の移動の抑制作用を持つ。このため、こ
れらの元素が多く添加されていると、再結晶粒界の移動
が抑制されすぎて超塑性成形時に粒界の移動による粒界
歪みの調整(アコモデーション)が不十分となりキャビ
テーションが増加する。よって各元素の含有量はVが
0.15%以下、Crが0.15%以下、Zrが0.1
5%以下とする。これらの元素も、超塑性成形温度が5
00℃以下の場合には結晶粒の成長が生じにくいことか
ら、含有量は各々Vが0.05%以下、Crが0.05
%以下、Zrが0.05%以下とより少なくすることが
好ましい。
【0016】Si:SiはFeと共存してAlFe(S
i)系の晶出物、Mnと共存してAlMn(Si)系の
晶出物を増加させる。また、Mgと反応してMg2 Si
系の晶出物を形成する。これらの金属間化合物、特にM
2 Si系の晶出物はSi量とともに急速に増加し、か
つこれらの化合物は融点が低いため超塑性成形時にキャ
ビテーションの原因になりやすいので特に好ましくな
い。Si量が0.15%を超えるとキャビテーションの
生成が多くなる。よってSi量は0.15%以下とす
る。特にMg量が多い場合には、Mg2 Siの平衡固溶
量が減少するためMg2 Si系化合物の量とサイズが増
加しキャビテーションを増加させるため、好ましくはS
i量は0.10%以下とする。
【0017】Cu:Cuは結晶粒界に偏析して粒界を低
融点化し、そのためキャビテーションの生成を助長す
る。Cu量が0.20%を超えるとその悪影響が顕著に
なる。よってCu量は0.20%以下とする。特にMg
量が高い場合にはCuの平衡固溶量が減少し、Cuの粒
界への偏析が増加し、粒界の低融点化を増大させるた
め、Cu量は0.10%以下が好ましい。
【0018】Zn:Znも1.0%を超えて添加すると
結晶粒界の融点が低下し、キャビテーションを生成しや
すくなるので1.0%以下とする。特にMg量が高い場
合には粒界への偏析が強まるためZn含有量は0.50
%以下に留めるのがより好ましい。
【0019】Fe:FeはMnと共存するとAl6 (M
nFe)としてMn系析出物の析出を促進するのみでな
く、鋳造時に粗大なAlMnFe系の金属間化合物を生
成し、超塑性性能を低下させるので一般的には0.5%
Feを上限とする。しかし、特にMnと共存する場合に
は上述の理由からMn+Feが0.4%以下とすること
が好ましい。
【0020】その他、本願発明の目的に直接的には関与
しないが次の元素は一般的に添加する。
【0021】Ti:鋳塊結晶粒微細化のためTi若しく
はTiおよびBを添加する。Ti量が0.005%未満
では微細化の効果が不十分で鋳塊割れや熱間圧延割れが
生じやすく、一方0.15%を超えると粗大初晶TiA
3 粒子の晶出のため成形性が悪くなる。
【0022】B:BはTiと共存して添加されて結晶粒
の微細化と均一化を一層促進する。通常はTiとBを母
合金化したAl−Ti−B合金の形で添加されることが
多いがTiB2 粒子生成防止のためにはB量は500p
pm以下とすることが望ましい。
【0023】次に、本発明における金属組織の限定理由
について説明する。
【0024】遷移元素系の析出物は通常0.05〜1μ
m程度の微細な粒子であり、これは再結晶粒界の移動の
抵抗となる。従来の超塑性伸びを重視する場合には、こ
の粒界は安定であることが重要であり、そのため十分に
析出量を多くして再結晶粒の微細化と超塑性成形中での
粗大化を抑えることが重要な合金設計上のポイントであ
った。しかし本発明においては、超塑性伸びは従来材よ
りやや低いものの実用上問題の無い範囲の伸びとして、
この範囲内においてキャビテーションを減少させるため
にこの遷移元素系の析出物を少なくして超塑性変形中の
結晶粒界の移動を容易にして粒界に蓄積されるエネルギ
ーを粒界移動により緩和してやればキャビテーションの
生成は少なくなることがわかった。超塑性変形中の結晶
粒界の移動は超塑性の変形温度、歪み速度によって変化
するため、超塑性成形の代表的な温度である500℃に
おける材料の結晶粒の粒界の移動の抵抗の目安として、
昇温直後の超塑性成形開始直前に相当するものとしての
500℃に10秒保持した時の結晶粒サイズ(dB)と
超塑性成形完了後に相当するものとしての500℃に3
0分保持した時の結晶粒サイズ(dA)を測定し、その
比(dA/dB)と超塑性成形後のキャビテーションと
の関係を調べた結果、dA/dB≧120%であればキ
ャビテーションに有効であることが判明した。よってd
A/dB≧120%とする。
【0025】なお、実際の超塑性成形においては成形温
度が低いほど粒界移動は抑制されるため、超塑性成形温
度が低い場合にはdA/dBはより大きめの方がキャビ
テーションに効果的である。逆に、超塑性成形温度が高
めの場合は粒界移動は活発となるため、あまり粒界移動
抵抗を小さくすると結晶粒の異常成長が発生し超塑性伸
びが低下するので遷移元素をやや多めにしてdA/dB
を120%に近い値とするのがよい。
【0026】これらのキャビテーションの少ない合金圧
延板は、一般に次のように製造される。
【0027】[鋳造] 鋳造法としては、半連続鋳造法
(DC鋳造法)若しくは薄板連続鋳造法(板厚3〜30
mmが好ましい)が良い。鋳塊結晶粒微細化のための微
細化剤の添加はAl−TiもしくはAl−Ti−Bの微
細化剤を鋳造に先立ってワッフルで添加するか、もしく
は鋳造中にロッドにて連続的に添加するかいずれの方法
でも良い。
【0028】[面削] DC鋳造法により鋳塊を得た場
合は必要に応じて熱間圧延に先だって面削を施す。
【0029】[加熱] 熱間圧延の前に鋳塊を加熱す
る。加熱条件としては400℃〜530℃で0.5〜2
4時間が好ましい。400℃未満では熱間圧延が困難と
なり、一方530℃を超えると共晶融解が生じてしま
う。また0.5時間未満では加熱が不均一となり24時
間を超えて加熱しても効果が飽和してしまう。
【0030】[圧延] 続いて熱間圧延、必要に応じて
1回以上の冷間圧延を行う。熱間圧延と冷間圧延の途
中、もしくは冷間圧延と冷間圧延の途中で中間焼鈍を行
っても良い。中間焼鈍を施した場合には中間焼鈍後の冷
間圧延の圧下率は30%以上とする。圧下率が30%未
満では再結晶粒が粗大になりすぎ、超塑性成形性が低下
する。
【0031】[最終焼鈍] 最終焼鈍は必ずしも必要で
はないが、一般的には最終焼鈍により再結晶組織とする
ことが多い。ただし、超塑性変形は350℃〜560℃
で行われ、この温度までの昇温中にも再結晶が生じるの
で、必ずしも最終焼鈍する必要はない。最終焼鈍は連続
焼鈍でもバッチ焼鈍でも良いが連続焼鈍の方がやや超塑
性特性が優れる。最終焼鈍条件はバッチ焼鈍の場合には
250〜400℃で0.5時間以上が一般的であり、連
続焼鈍の場合には350〜550℃で温度到達後保持な
しで冷却するか多くても180秒以内の保持とする。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。表
1は実施例に用いたアルミニウム合金の合金成分組成で
ある。
【0033】
【表1】
【0034】表1に示す各合金を350mm×1000
mmのスラブにDC鋳造した。この時Al−5%Ti−
1%B母合金のロッドをアルミニウム合金1トンあたり
2Kgの割合で鋳造中に添加した。ついで530℃×6
時間の均質化処理の後に12mm面削し、その後450
℃で1時間加熱して、その温度で板厚6mmまで熱間圧
延を行った後、板厚2mmまで冷間圧延した。中間焼鈍
ならびに最終焼鈍は行っていない。
【0035】このようにして得られた材料を、超塑性バ
ルジ試験機により450℃で圧力3気圧で相対歪み20
0%まで伸ばして、その部分のキャビテーションを観察
測定した。キャビテーションの測定は、材料の圧延方向
に直角な断面を研磨して組織の顕微鏡写真(倍率200
倍で20視野)を画像解析して求めた。また、引張試験
機により450℃で引張速度1×10-3で引張試験を行
い超塑性伸びを測定した。また結晶粒の移動抵抗は、5
00℃のソルトバスに材料を投入し10秒保持後と30
分保持後に取り出しそれぞれ放冷して圧延方向に直角な
断面で切断法により結晶粒サイズを測定した。その結果
を表2に示す。なおキャビテーションの評価としては2
00%歪みの時のキャビテーションが面積率で1%以下
であるなら良好とした。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示すように発明例であるNo1,2
は300%以上の超塑性伸びを有し、しかもキャビテー
ションは極めて少ないものとなっており、また他の特性
も特に問題はない。これに対して、比較例であるNo
3,4はMn量が多くまたdA/dBの値も小さく、こ
のため超塑性伸びは大きいもののキャビテーションが多
く生成し実用上問題である。また比較例5はBeが少な
く、このため表面の黒色化が大であり、またV,Cu,
Znが多いため超塑性伸びが悪く、しかもキャビテーシ
ョンも悪いものとなっている。比較例6はMn量が多く
またNa,Caが多いため超塑性伸びもキャビテーショ
ンも悪いものとなっている。比較例7はMgが多くまた
Gaが多いためdA/dBの値は大きいものの超塑性伸
びが悪くキャビテーションも充分望ましい値とは言えな
い。
【0038】
【効果】以上詳述したように、本発明によれば、超塑性
歪みは400%もの大きな値とはなっていないものの、
通常の多くの超塑性成形で行われている300%伸びを
充分達成しており、しかもキャビテーションが格段に少
ない超塑性成形用アルミニウム合金圧延板を得ることが
できる。
【0039】このようにキャビテーションが極めて少な
いことから、背圧付加のようなコストのかかる成形方法
を必要とせず、単純なブロー成形でも良好な製品を製造
することが可能となる。また基本的にはAl−Mg系の
合金であることから、耐食性や溶接性が良好で陽極酸化
処理性も良好であり、しかも従来の一般的な超塑性材料
のように複雑な製造工程を必ずしも必要としないことか
ら製造コストも比較的安価である。
【0040】従って、従来の超塑性材料は主に航空機等
のコストが高くても良い特殊分野に使用されていたのに
比べ、本発明に係る圧延板は建材、自動車、鉄道車両、
船舶、容器等の民生用の広い分野に適用が可能であり、
超塑性材料の利用分野の拡大を図ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg:2.0〜6.5%、Be:0.5
    〜100ppmを含有し、かつNa:3ppm以下、C
    a:5ppm以下、Ga:150ppm以下、Mn:
    0.40%以下、V:0.15%以下、Cr:0.15
    %以下、Zr:0.15%以下、Si:0.15%以
    下、Cu:0.20%以下、Zn:1.0%以下に規制
    し、残部アルミニウムおよび不純物からなるアルミニウ
    ム合金圧延板であり、かつ500℃10秒の加熱時の結
    晶粒径と30分の加熱後の結晶粒径との比が120%以
    上であることを特徴とするキャビテーションの少ない超
    塑性成形用アルミニウム合金圧延板。
JP1222394A 1994-01-10 1994-01-10 キャビテーションの少ない超塑性成形用アルミニウム合金圧延板 Pending JPH07197177A (ja)

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