JPH07195899A - 無機系化粧板及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】表面にエンボスが施され、基材長手方向と平行
に目地部、さね部のある無機系化粧板基材に対して、エ
ンボスに調和した意匠性の高い絵柄を効率よく設けた、
無機系化粧板及びその製造方法を提供すること。 【構成】基材表面に、基材長手方向と平行する目地部や
さね部等に相当する大柄な凹凸の凹部を有し、その大柄
な凹凸の凸部に微細な凹凸を有する無機系化粧板基材表
面の全面にわたって絵柄が設けられていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は外装材等に利用するエン
ボス形状を有する無機系化粧板基材に、意匠性の高い絵
柄を設けた、無機系化粧板及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、住宅の外装に各種無機系化粧板が
使用されているが、近年高級化、高意匠化の傾向と共に
表面にエンボスを設けた製品が好まれるようになってき
た。またエンボスが施されている無機系化粧板の装飾方
法として、ゴムロール等を用いた転写があるが、木目、
レンガなどの接合部分にみせた目地部や、無機系化粧板
を重ねたときに雨漏り等が発生しないように互い違いに
重ねるため段差を取っているさね部などの深く、エッジ
のある部分への転写は難しいものがあった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とする
ところは、特に表面にエンボスが施され、基材長手方向
と平行に目地部、さね部のある無機系化粧板基材に対し
て、エンボスに調和した意匠性の高い絵柄を効率よく設
けた、無機系化粧板及びその製造方法を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明はこの課題を解決
するため、基材表面に、基材長手方向と平行する目地部
やさね部等に相当する大柄な凹凸の凹部を有し、その大
柄な凹凸の凸部に微細な凹凸を有する無機系化粧板基材
表面の全面にわたって絵柄が設けられていることを特徴
とする無機系化粧板を提供する。また、前記無機系化粧
板基材の表面に転写シートを載せ、その上から軟性ロー
ルにより大柄な凹凸の凸部に形成された微細な凹凸に前
記転写シートを熱圧着後、目地部やさね部等に相当する
凹部に対しオス型とメス型の関係をなす表面形状をし、
基材長手方向と平行に回転するロールを用いて、前記転
写シートをさらに前記無機系化粧板基材の大柄な凹部に
熱圧着することを特徴とする無機系化粧板の製造方法を
提供する。

【０００５】以下、図面に基づき本発明を詳細に説明す
る。図１に本発明の無機系化粧板の製造方法で用いる転
写シートの断面の構成の一例を示す。基体フィルムの表
面に剥離ニス層、絵柄層、接着層を順次設けた構成とな
っている。

【０００６】基体フィルムは、ロールによる転写時の熱
圧着の熱により、基材の表面エンボス形状に追従する事
が可能な、熱可塑性樹脂フィルムを用いる。具体的には
塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロ
ン、ポリエステル等があげられる。樹脂の種類、厚み等
は表面のエンボスの程度、転写温度とのかねあいで選択
されるが、本発明者らの実験によるとでは、１５０℃〜
１８０℃の転写温度では厚み１００μｍ以下の塩化ビニ
ル樹脂フィルムが最も良好な結果が得られた。

【０００７】剥離層は、基材フィルムの種類により適宣
選択すれば良い。

【０００８】絵柄層は、通常のグラビア印刷、スクリー
ン印刷等の方法で印刷可能である。インキのバインダー
は、加熱時の伸びが大きい事、最終製品の耐久性等を考
慮して適宜選択すればよい。

【０００９】接着層としては、ポリビニルアルコール、
アクリル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエステ
ル、ポリアミド等が用いられる。また基材上に予め接着
剤を塗布する工程を想定した場合は、接着剤は必ずしも
必要ではない。

【００１０】図２に本発明に係る無機系化粧板基材の形
状の一例の概略を示す。材質としては、石綿セメント、
ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、木片セメ
ント板等を用いることができる。図に示すように基材長
手方向に平行に目地部、さね部が形成されている。

【００１１】図３に無機系化粧板基材の上にエンボス形
状と同調するように、図１で説明した転写シートを載
せ、加熱した軟性ロールを用いて熱圧着している状態を
模式的に示す。ロールとしては、耐熱性があり、微細な
エンボスに追従しやすい軟性ロールが使用され、特に硬
度４０゜のシリコンロールが本発明者らの実験において
良好な結果が得られた。

【００１２】図４に目地部への熱圧着、第５図にさね部
への熱圧着している状態を示す。ここでは無機系化粧板
基材凹部の目地部、さね部への熱圧着を考えるだけでよ
く、凸部の微細なエンボスへの追従は必要ないため、ロ
ールは比較的硬度の高い、耐熱性、耐久性のあるものを
選べばよい。またロールはロール回転軸が基材表面に接
触しないような物を使用する。特に硬度８０゜のシリコ
ンロールが本発明者らの実験において良好な結果が得ら
れた。

【００１３】ロールに使用する素材としては、シリコン
ゴムの他にネオプレン、ＳＢＲ等が使用でき、また塑性
体も用いることができる。

【００１４】熱圧着後、転写シートを剥離することでエ
ンボスと絵柄が調和した極めて意匠性の高い無機系化粧
板が得られる。また、この上から表面保護のためにクリ
ヤー塗装を施す事もできる。

【００１５】

【作用】以上のように、本発明によれば、基材凸部の微
細なエンボスに対しては軟性ロールを使用し、目地部、
さね部など深く、エッジのある基材凹部に対してはオス
型とメス型の関係をなす表面形状をした、比較的硬度の
高いロールを使用して、転写シートをさらに熱圧着させ
るというようにロールを使い分けることで、従来以上に
エンボス形状と同調した美麗な絵柄を付与することがで
きる。また、各ロール工程を一貫ラインで行えるため、
ロールの本数は増えるが生産性を下げることはない。

【００１６】

【実施例】厚さ７０μｍの半硬質塩化ビニルシートの表
面に、剥離層としてポリビニルブチラール樹脂を塗布し
た後、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂をバインダー
とするインキを用いてグラビア印刷法により、基材エン
ボス形状と調和する模様を印刷し、さらに、接着層とし
てポリエステル樹脂を塗布して転写シートを作製した。

【００１７】一方、木目柄など表面にエンボス形状を有
し、基材長手方向と平行に目地部、さね部があるケイ酸
カルシウム板を用意し、除塵し、シーラー処理した。接
着剤を塗布、乾燥した後、１５０℃に加熱された、表面
硬度が４０゜のシリコンで形成されたロールを用いて熱
圧着した。更に熱圧着後、目地部、さね部などの基材凹
部とオス型とメス型の関係をなす表面形状をした、１５
０℃に加熱された、表面硬度が８０゜のシリコンで目地
部、さね部に転写シートを熱圧着した後、基体シートを
剥離した。

【００１８】実施例で得られた装飾無機系化粧板の表面
に、表面保護層としてアクリルウレタントップコートを
塗装した。こうして得られた装飾無機系化粧板は、微小
なエンボス形状にも追従、同調した絵柄を持つ極めて意
匠性の高いものであった。

【００１９】

【発明の効果】以上に示したように、本発明により複雑
な表面形状を有する無機系化粧板の表面の全面に、その
模様と同調した、美麗な絵柄を付与することができる。

【００２０】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に用いる転写シートの断面の構成を示す
模式図である。

【図２】絵付けを行う無機系化粧板基材を示す模式図で
ある。

【図３】軟性ロールにより転写シートを基材凸部に熱圧
着している状態を示す模式図である。

【図４】比較的硬度の高いロールにより、無機系化粧板
基材の目地部に転写シートを熱圧着している状態を示す
模式図である。

【図５】比較的硬度の高いロールにより、無機系化粧板
基材のさね部に転写シートを熱圧着している状態を示す
模式図である。

【符号の説明】

１…基体フィルム ２…剥離層 ３…絵柄層 ４…接着
層 ５…無機系化粧板基材 ６…軟性ロール ７…転写シー
ト ８…基材目地部に対しオス型、メス型の関係をなすロー
ル ９…基材さね部に対しオス型、メス型の関係をなすロー
ル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基材表面に、基材長手方向と平行する目地
   部やさね部等に相当する大柄な凹凸の凹部を有し、その
   大柄な凹凸の凸部に微細な凹凸を有する無機系化粧板基
   材表面の全面にわたって絵柄が設けられていることを特
   徴とする無機系化粧板。
2. 【請求項２】請求項１記載の無機系化粧板基材の表面に
   転写シートを載せ、その上から軟性ロールにより大柄な
   凹凸の凸部に形成された微細な凹凸に前記転写シートを
   熱圧着後、目地部やさね部等に相当する凹部に対しオス
   型とメス型の関係をなす表面形状をし、基材長手方向と
   平行に回転するロールを用いて、前記転写シートをさら
   に前記無機系化粧板基材の大柄な凹部に熱圧着すること
   を特徴とする無機系化粧板の製造方法。