JPH07194966A - 等方性ピッチの製造法 - Google Patents
等方性ピッチの製造法Info
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- JPH07194966A JPH07194966A JP18021794A JP18021794A JPH07194966A JP H07194966 A JPH07194966 A JP H07194966A JP 18021794 A JP18021794 A JP 18021794A JP 18021794 A JP18021794 A JP 18021794A JP H07194966 A JPH07194966 A JP H07194966A
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- pitch
- component
- isotropic
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Abstract
(57)【要約】
【目的】紡糸性、不融化性などに優れ、炭素繊維の製造
コストを低減しうる高軟化点の等方性ピッチの新たな製
造方法を提供することを主な目的とする。 【構成】一次QI分を除去した重質油またはピッチに酸
素またはオゾンを含有する気体を酸素またはオゾンとし
て重質油またはピッチ1kg当たり0.2〜5l/分の
割合で吹き込みつつ、300〜400℃で熱処理するこ
とにより軟化点200℃以上、等方性QI成分含有量5
〜60%のピッチを得ることを特徴とする等方性ピッチ
の製造法。
コストを低減しうる高軟化点の等方性ピッチの新たな製
造方法を提供することを主な目的とする。 【構成】一次QI分を除去した重質油またはピッチに酸
素またはオゾンを含有する気体を酸素またはオゾンとし
て重質油またはピッチ1kg当たり0.2〜5l/分の
割合で吹き込みつつ、300〜400℃で熱処理するこ
とにより軟化点200℃以上、等方性QI成分含有量5
〜60%のピッチを得ることを特徴とする等方性ピッチ
の製造法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、等方性ピッチの新しい
製造方法に関する。
製造方法に関する。
【0002】本願明細書において使用する用語を以下の
様に定義する。
様に定義する。
【0003】重質油…石油系および石炭系重質油を総称
し、石油蒸留残渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム
油、石炭液化油、コールタールなどが例示される。
し、石油蒸留残渣、ナフサ熱分解残渣、エチレンボトム
油、石炭液化油、コールタールなどが例示される。
【0004】ピッチ…上記重質油を蒸留することにより
沸点200℃未満の低沸点成分を除去したものをいう。
沸点200℃未満の低沸点成分を除去したものをいう。
【0005】等方性…偏光顕微鏡において、光学的に等
方性を示すことを意味する。
方性を示すことを意味する。
【0006】異方性…偏光顕微鏡において、光学的に異
方性を示すことを意味する。
方性を示すことを意味する。
【0007】炭素繊維…紡糸後不融化処理した繊維を、
(イ)炭化処理したもの、(ロ)賦活処理したものおよ
び(ハ)炭化処理および賦活処理したものを包含する。
このうち、(ロ)および(ハ)は、賦活処理により多孔
質化したものである。
(イ)炭化処理したもの、(ロ)賦活処理したものおよ
び(ハ)炭化処理および賦活処理したものを包含する。
このうち、(ロ)および(ハ)は、賦活処理により多孔
質化したものである。
【0008】
【従来技術とその問題点】従来、等方性ピッチは、キノ
リン不溶解分(QI成分)が実質的に0であるピッチを
意味するものと解されている(例えば、大谷杉郎他、
「炭素繊維」、近代評論社(昭和58年)、第151頁
の第3行乃至第4行、同頁表2.15のNo.1〜3の
物性、第150頁第17行乃至第18行の記載などを参
照)。そして、等方性ピッチにおいて、QI成分を発生
させる場合には、ピッチの紡糸性が阻害されるので、そ
の生成を抑制する必要があると考えられてきた(特開昭
57−159885号公報第2頁右上欄第4行乃至第8
行参照)。
リン不溶解分(QI成分)が実質的に0であるピッチを
意味するものと解されている(例えば、大谷杉郎他、
「炭素繊維」、近代評論社(昭和58年)、第151頁
の第3行乃至第4行、同頁表2.15のNo.1〜3の
物性、第150頁第17行乃至第18行の記載などを参
照)。そして、等方性ピッチにおいて、QI成分を発生
させる場合には、ピッチの紡糸性が阻害されるので、そ
の生成を抑制する必要があると考えられてきた(特開昭
57−159885号公報第2頁右上欄第4行乃至第8
行参照)。
【0009】従って、炭素繊維材料としての光学的に等
方性のピッチは、不融且つ不溶であるため紡糸時の曳糸
性を阻害する異方性のQI成分を含まず、且つ紡糸後の
不融化処理を円滑に行うために、高軟化点を有すること
が必要であるというのが、当業者間での常識であった。
方性のピッチは、不融且つ不溶であるため紡糸時の曳糸
性を阻害する異方性のQI成分を含まず、且つ紡糸後の
不融化処理を円滑に行うために、高軟化点を有すること
が必要であるというのが、当業者間での常識であった。
【0010】そこで、原料として重質油またはピッチか
らQI成分を濾過などの手段により除去した後、下記の
様な処理に供することが行われてきた。
らQI成分を濾過などの手段により除去した後、下記の
様な処理に供することが行われてきた。
【0011】1)特開昭55−5954号公報に開示さ
れた方法では、石油系ピッチを減圧下で不活性ガスと接
触させて、低沸点成分を除去し、高軟化点のピッチを得
ている。しかしながら、この方法で得られる熱処理ピッ
チの軟化点は、高温度での不融化処理における紡糸繊維
の融着を完全に防止する程度には改善され得ないという
問題点がある。
れた方法では、石油系ピッチを減圧下で不活性ガスと接
触させて、低沸点成分を除去し、高軟化点のピッチを得
ている。しかしながら、この方法で得られる熱処理ピッ
チの軟化点は、高温度での不融化処理における紡糸繊維
の融着を完全に防止する程度には改善され得ないという
問題点がある。
【0012】2)重質油またはピッチを異方性QI成分
および異方性成分が生成しない条件下に熱処理すること
により、高軟化点のピッチを得る方法が、提案されてい
る(日本複合材料学会誌第8巻第3号(1982))。
しかしながら、この方法においても、異方性QI成分お
よび異方性成分の生成を抑制するという条件を厳守する
限り、生成熱処理ピッチの軟化点は、通常175℃程度
であり、紡糸繊維の融着を防止するに必要な250℃程
度の高軟化点を有するピッチは得られない。
および異方性成分が生成しない条件下に熱処理すること
により、高軟化点のピッチを得る方法が、提案されてい
る(日本複合材料学会誌第8巻第3号(1982))。
しかしながら、この方法においても、異方性QI成分お
よび異方性成分の生成を抑制するという条件を厳守する
限り、生成熱処理ピッチの軟化点は、通常175℃程度
であり、紡糸繊維の融着を防止するに必要な250℃程
度の高軟化点を有するピッチは得られない。
【0013】3)重質油またはピッチにニトロ化合物、
キノン、ポリカルボン酸無水物などの軟化点上昇剤を添
加する方法がある(特開昭55−98914号公報)。
しかしながら、この方法で得られる生成ピッチの軟化点
は、165℃程度であり、250℃程度の高軟化点を有
するピッチは、やはり得られない。
キノン、ポリカルボン酸無水物などの軟化点上昇剤を添
加する方法がある(特開昭55−98914号公報)。
しかしながら、この方法で得られる生成ピッチの軟化点
は、165℃程度であり、250℃程度の高軟化点を有
するピッチは、やはり得られない。
【0014】さらに、下記に示すように、QI成分を含
有しない原料を使用したり、原料の熱処理後にQI成分
を濾過処理する技術も提案されている。
有しない原料を使用したり、原料の熱処理後にQI成分
を濾過処理する技術も提案されている。
【0015】4)特公昭53−12607号公報は、2
00〜600℃で留出する炭化水素留出物に元素状酸素
を含有するガスを吹き込んで250〜420℃で熱処理
し、軟化点200℃以下の等方性ピッチを得る方法を開
示している。しかしながら、この文献は、酸素を使用し
て重合反応を行わせる場合には、反応が非常に早いの
で、酸素が過剰であれば、カーボンが析出し易いのに対
し、酸素が不足であれば、異方性のQI成分が生成する
ことを明らかにしている。従って、原料として、QI成
分が生成し難い軽い留分を使用するとともに、カーボン
の生成を少なくするために、酸素量を限定している。そ
の結果、生成する熱処理ピッチ中のQI成分は、抑制さ
れてはいるが、それでも、熱処理ピッチの軟化点は、2
00℃以下にとどまっている。
00〜600℃で留出する炭化水素留出物に元素状酸素
を含有するガスを吹き込んで250〜420℃で熱処理
し、軟化点200℃以下の等方性ピッチを得る方法を開
示している。しかしながら、この文献は、酸素を使用し
て重合反応を行わせる場合には、反応が非常に早いの
で、酸素が過剰であれば、カーボンが析出し易いのに対
し、酸素が不足であれば、異方性のQI成分が生成する
ことを明らかにしている。従って、原料として、QI成
分が生成し難い軽い留分を使用するとともに、カーボン
の生成を少なくするために、酸素量を限定している。そ
の結果、生成する熱処理ピッチ中のQI成分は、抑制さ
れてはいるが、それでも、熱処理ピッチの軟化点は、2
00℃以下にとどまっている。
【0016】5)特開昭56−26009号公報は、高
軟化点の等方性ピッチの製造方法を開示しているが、こ
の方法においても、ピッチ中のQI成分が殆ど0となる
ように調整しており、その軟化点も200〜250℃程
度である。
軟化点の等方性ピッチの製造方法を開示しているが、こ
の方法においても、ピッチ中のQI成分が殆ど0となる
ように調整しており、その軟化点も200〜250℃程
度である。
【0017】以上に示したように、従来の等方性ピッチ
の製造技術は、ピッチの紡糸性を阻害する成分として、
QI成分の生成を抑制しているので、250℃を上回る
高軟化点のピッチを得ることが出来なかった。
の製造技術は、ピッチの紡糸性を阻害する成分として、
QI成分の生成を抑制しているので、250℃を上回る
高軟化点のピッチを得ることが出来なかった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、紡
糸性、不融化性などに優れ、炭素繊維の製造コストを低
減しうる高軟化点の等方性ピッチの新たな製造方法を提
供することを主な目的とする。
糸性、不融化性などに優れ、炭素繊維の製造コストを低
減しうる高軟化点の等方性ピッチの新たな製造方法を提
供することを主な目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に鑑みて、等方性ピッチの軟化点をより高め
るべく種々研究を重ねた結果、一次QI成分を除去した
重質油またはピッチに酸素またはオゾンを含む気体を吹
き込みつつ、これを特定の温度で熱処理する場合には、
軟化点200℃以上の等方性ピッチが得られること、こ
のピッチは紡糸性に優れており、得られた紡糸繊維は高
温度で短時間内に不融化処理可能であることなどを見出
した。
技術の現状に鑑みて、等方性ピッチの軟化点をより高め
るべく種々研究を重ねた結果、一次QI成分を除去した
重質油またはピッチに酸素またはオゾンを含む気体を吹
き込みつつ、これを特定の温度で熱処理する場合には、
軟化点200℃以上の等方性ピッチが得られること、こ
のピッチは紡糸性に優れており、得られた紡糸繊維は高
温度で短時間内に不融化処理可能であることなどを見出
した。
【0020】即ち、本発明は、下記の等方性ピッチの製
造法を提供する;「一次QI分を除去した重質油または
ピッチに酸素またはオゾンを含有する気体を酸素または
オゾンとして重質油またはピッチ1kg当たり0.2〜
5l/分の割合で吹き込みつつ、300〜400℃で熱
処理することにより軟化点200℃以上、等方性QI成
分含有量5〜60%のピッチを得ることを特徴とする等
方性ピッチの製造法。」 本発明により得られる熱処理ピッチ中のQI成分が等方
性であること(従来等方性ピッチのQI成分は全て異方
性と考えられていた)、この様な等方性QI成分を5〜
60%含有するピッチの軟化点が200℃以上となるこ
と、この様なピッチは実質的に不融・不溶成分を含まな
いこと、紡糸性に優れていること、得られた紡糸繊維は
短時間で不融化処理を完了しうることなどは、前記の従
来の当業者常識からは、全く予想外のことであった。
造法を提供する;「一次QI分を除去した重質油または
ピッチに酸素またはオゾンを含有する気体を酸素または
オゾンとして重質油またはピッチ1kg当たり0.2〜
5l/分の割合で吹き込みつつ、300〜400℃で熱
処理することにより軟化点200℃以上、等方性QI成
分含有量5〜60%のピッチを得ることを特徴とする等
方性ピッチの製造法。」 本発明により得られる熱処理ピッチ中のQI成分が等方
性であること(従来等方性ピッチのQI成分は全て異方
性と考えられていた)、この様な等方性QI成分を5〜
60%含有するピッチの軟化点が200℃以上となるこ
と、この様なピッチは実質的に不融・不溶成分を含まな
いこと、紡糸性に優れていること、得られた紡糸繊維は
短時間で不融化処理を完了しうることなどは、前記の従
来の当業者常識からは、全く予想外のことであった。
【0021】すなわち、前記の如く、元来「等方性のQ
I成分」という概念が存在しなかった等方性ピッチにつ
いて、QI成分は不融且つ不溶であって紡糸性を阻害す
るという当業者常識からすれば、上記のようにして生成
した熱処理ピッチ中のQI成分も当然同様の阻害要因と
なるものと予測されたからである。しかるに、本発明者
の研究によれば、酸素またはオゾンの存在下に行われる
熱処理により生成する等方性QI成分は、酸素分子によ
り架橋した三次元構造を有する高分子であり、可融且つ
可溶であることが判明した。すなわち、これらの等方性
QI自体は、高分子であるにもかかわらず、QI以外の
成分(QS成分)と互いに溶解する性質(相溶性)を有
するため、両者は分離することなく、均一の流体である
かの如き挙動を示す。従って、本発明熱処理ピッチを加
熱紡糸する際には、等方性QI成分は紡糸に対する障害
とはならない。しかも、熱処理ピッチの軟化点も高いの
で、紡糸繊維の不融化も容易に行われる。
I成分」という概念が存在しなかった等方性ピッチにつ
いて、QI成分は不融且つ不溶であって紡糸性を阻害す
るという当業者常識からすれば、上記のようにして生成
した熱処理ピッチ中のQI成分も当然同様の阻害要因と
なるものと予測されたからである。しかるに、本発明者
の研究によれば、酸素またはオゾンの存在下に行われる
熱処理により生成する等方性QI成分は、酸素分子によ
り架橋した三次元構造を有する高分子であり、可融且つ
可溶であることが判明した。すなわち、これらの等方性
QI自体は、高分子であるにもかかわらず、QI以外の
成分(QS成分)と互いに溶解する性質(相溶性)を有
するため、両者は分離することなく、均一の流体である
かの如き挙動を示す。従って、本発明熱処理ピッチを加
熱紡糸する際には、等方性QI成分は紡糸に対する障害
とはならない。しかも、熱処理ピッチの軟化点も高いの
で、紡糸繊維の不融化も容易に行われる。
【0022】本発明においては、出発原料たる重質油ま
たはピッチから、濾過などの手段により一次QI成分な
どの固形分を除去した後、該重質油またはピッチを酸素
またはオゾンを含有する気体の吹き込み下に300〜4
00℃程度で熱処理する。酸素またはオゾン含有気体と
しては、空気、酸素富化空気、酸素などが例示される。
酸素などの使用量は、熱処理温度および時間などにより
異なるが、通常重質油またはピッチ1kg当たり酸素ま
たはオゾンとして0.2〜5l/分程度、より好ましく
は0.5〜3l/分程度であり、空気を使用する場合に
はこれらの値の約4倍量とする。
たはピッチから、濾過などの手段により一次QI成分な
どの固形分を除去した後、該重質油またはピッチを酸素
またはオゾンを含有する気体の吹き込み下に300〜4
00℃程度で熱処理する。酸素またはオゾン含有気体と
しては、空気、酸素富化空気、酸素などが例示される。
酸素などの使用量は、熱処理温度および時間などにより
異なるが、通常重質油またはピッチ1kg当たり酸素ま
たはオゾンとして0.2〜5l/分程度、より好ましく
は0.5〜3l/分程度であり、空気を使用する場合に
はこれらの値の約4倍量とする。
【0023】熱処理温度が300℃を下回る場合には、
重合反応速度が低下するので、好ましくないのに対し、
400℃を上回る場合には、発火、爆発などの危険性が
あり、また過度の重合を生じて、不融或いは不溶の成分
を生成する。
重合反応速度が低下するので、好ましくないのに対し、
400℃を上回る場合には、発火、爆発などの危険性が
あり、また過度の重合を生じて、不融或いは不溶の成分
を生成する。
【0024】紡糸用原料として使用する熱処理ピッチの
等方性QI成分含有量は、5〜60%とし、軟化点は2
00℃以上とする。QI成分の含有量が5%未満である
場合には、ピッチの軟化点が低くなるので、紡糸温度を
低くする必要があり、また紡糸繊維の不融化処理に要す
る時間も増加するので、好ましくない。一方、QI成分
が60%を上回る場合には、ピッチ成分の一部の重合が
進み過ぎて熱に対して不溶性の固形分が形成されてお
り、紡糸ノズルの目詰まり、糸切れなどを生じやすく、
紡糸操作を不安定とする。熱処理ピッチの紡糸操作は、
公知の溶融押し出した後、ドラムに巻き取る紡糸法、メ
ルトブローン紡糸法、スパンボンド紡糸法、遠心紡糸法
などと同様にして行えばよい。例えば、溶融押し出し紡
糸法を行う場合には、上記の熱処理ピッチを紡糸器に供
給し、300〜400℃に加熱した状態で不活性ガスに
よる加圧下にノズルから押し出し、紡糸ピッチ繊維とす
ればよい。
等方性QI成分含有量は、5〜60%とし、軟化点は2
00℃以上とする。QI成分の含有量が5%未満である
場合には、ピッチの軟化点が低くなるので、紡糸温度を
低くする必要があり、また紡糸繊維の不融化処理に要す
る時間も増加するので、好ましくない。一方、QI成分
が60%を上回る場合には、ピッチ成分の一部の重合が
進み過ぎて熱に対して不溶性の固形分が形成されてお
り、紡糸ノズルの目詰まり、糸切れなどを生じやすく、
紡糸操作を不安定とする。熱処理ピッチの紡糸操作は、
公知の溶融押し出した後、ドラムに巻き取る紡糸法、メ
ルトブローン紡糸法、スパンボンド紡糸法、遠心紡糸法
などと同様にして行えばよい。例えば、溶融押し出し紡
糸法を行う場合には、上記の熱処理ピッチを紡糸器に供
給し、300〜400℃に加熱した状態で不活性ガスに
よる加圧下にノズルから押し出し、紡糸ピッチ繊維とす
ればよい。
【0025】紡糸ピッチ繊維の不融化処理は、常法に従
って行うことが出来る。すなわち、例えば、酸化性雰囲
気中で温度200〜400℃程度、保持時間1〜3時間
程度の条件が一般的であるが、これ以外の条件を採用す
ることも可能である。酸化性雰囲気としては、酸素、酸
素富化空気、空気などが例示され、また作業環境の悪化
および機器類の腐食などに対する対策が講じられている
場合には、さらに塩素ガス、NOガス、NO2ガスなど
を添加しても良い。なお、酸化性雰囲気の圧力を0.2
kg/cm2・G以上、より好ましくは1.0kg/c
m2・G以上の加圧状態とすることにより、不融化処理
時間を大幅に短縮することが出来る。この場合、熱処理
ピッチの性状、紡糸ピッチ繊維の太さなどによっても異
なるが、最適条件下においては、例えば、1分間程度の
極めて短時間内に不融化処理を完了することも可能であ
る。
って行うことが出来る。すなわち、例えば、酸化性雰囲
気中で温度200〜400℃程度、保持時間1〜3時間
程度の条件が一般的であるが、これ以外の条件を採用す
ることも可能である。酸化性雰囲気としては、酸素、酸
素富化空気、空気などが例示され、また作業環境の悪化
および機器類の腐食などに対する対策が講じられている
場合には、さらに塩素ガス、NOガス、NO2ガスなど
を添加しても良い。なお、酸化性雰囲気の圧力を0.2
kg/cm2・G以上、より好ましくは1.0kg/c
m2・G以上の加圧状態とすることにより、不融化処理
時間を大幅に短縮することが出来る。この場合、熱処理
ピッチの性状、紡糸ピッチ繊維の太さなどによっても異
なるが、最適条件下においては、例えば、1分間程度の
極めて短時間内に不融化処理を完了することも可能であ
る。
【0026】得られた不融化ピッチ繊維は、必要に応じ
て、(イ)炭化処理、(ロ)賦活処理または(ハ)炭化
処理および賦活処理に供される。
て、(イ)炭化処理、(ロ)賦活処理または(ハ)炭化
処理および賦活処理に供される。
【0027】炭化処理を行う場合には、常法に従って、
不融化ピッチ繊維を例えば窒素ガスなどの不活性ガスの
存在下に20〜50℃/分程度の速度で900〜120
0℃程度まで昇温し、同温度に10〜30分間程度保持
すればよい。この場合には、狭義の炭素繊維が得られ
る。
不融化ピッチ繊維を例えば窒素ガスなどの不活性ガスの
存在下に20〜50℃/分程度の速度で900〜120
0℃程度まで昇温し、同温度に10〜30分間程度保持
すればよい。この場合には、狭義の炭素繊維が得られ
る。
【0028】賦活処理を行なう場合には、常法に従っ
て、不融化ピッチ繊維を例えば空気中400〜700℃
程度で、好ましくは500〜600℃程度で3〜10分
間程度保持するか、或いは水蒸気中600〜1000℃
程度で、好ましくは700〜900℃程度で5〜120
分間程度保持すれば良い。この場合には、500〜20
00m2/g程度の比表面積を有する多孔質のピッチ繊
維が得られる。
て、不融化ピッチ繊維を例えば空気中400〜700℃
程度で、好ましくは500〜600℃程度で3〜10分
間程度保持するか、或いは水蒸気中600〜1000℃
程度で、好ましくは700〜900℃程度で5〜120
分間程度保持すれば良い。この場合には、500〜20
00m2/g程度の比表面積を有する多孔質のピッチ繊
維が得られる。
【0029】炭化および賦活を行う場合には、上記と同
様の条件下に常法に従って不融化ピッチ繊維を炭化処理
した後、賦活処理すれば良い。この場合には、500〜
2000m2/g程度の比表面積を有する多孔質の炭素
繊維が得られる。
様の条件下に常法に従って不融化ピッチ繊維を炭化処理
した後、賦活処理すれば良い。この場合には、500〜
2000m2/g程度の比表面積を有する多孔質の炭素
繊維が得られる。
【0030】本発明による熱処理ピッチは、上記の様な
特異な性状を備えているので、炭素繊維製造原料以外に
も、炭素複合材料の含浸用ピッチ、各種のバインダー用
ピッチなどとして有用である。
特異な性状を備えているので、炭素繊維製造原料以外に
も、炭素複合材料の含浸用ピッチ、各種のバインダー用
ピッチなどとして有用である。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、光学的に等方性の重質
油またはピッチに酸素またはオゾンを含有する気体を吹
き込みつつ熱処理を行うことにより、可融性のQI成分
を含有するという特異な等方性ピッチが得られる。この
様なピッチを紡糸および不融化する場合には、紡糸時の
ノズルの目詰まり、糸切れなどが防止されるとともに、
紡糸ピッチ繊維の不融化処理を高温で融着を生ずること
なく且つ短時間で行うことが出来るので、経済的に極め
て有利である。
油またはピッチに酸素またはオゾンを含有する気体を吹
き込みつつ熱処理を行うことにより、可融性のQI成分
を含有するという特異な等方性ピッチが得られる。この
様なピッチを紡糸および不融化する場合には、紡糸時の
ノズルの目詰まり、糸切れなどが防止されるとともに、
紡糸ピッチ繊維の不融化処理を高温で融着を生ずること
なく且つ短時間で行うことが出来るので、経済的に極め
て有利である。
【0032】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。以下において、“%”とあ
るのは、全て“重量%”を意味する。
ころをより一層明確にする。以下において、“%”とあ
るのは、全て“重量%”を意味する。
【0033】実施例1 (1)コールタールを150℃に加温し、濾紙を使用し
て加圧濾過を行い、コールタール中の一次QI成分を除
去した後、該精製タールを減圧蒸留(常圧換算500
℃)して、低沸点成分を除去した。得られたピッチの性
状は、軟化点(メトラー法)=125℃、QI成分=0
%、BI成分=27.5%、固定炭素=51.3%であ
った。
て加圧濾過を行い、コールタール中の一次QI成分を除
去した後、該精製タールを減圧蒸留(常圧換算500
℃)して、低沸点成分を除去した。得られたピッチの性
状は、軟化点(メトラー法)=125℃、QI成分=0
%、BI成分=27.5%、固定炭素=51.3%であ
った。
【0034】次いで、上記で得たピッチ500gを1l
オートクレーブに仕込み、5l/分の空気を吹き込みつ
つ、撹拌下350℃で2時間熱処理した。得られた熱処
理ピッチの性状は、軟化点(メトラー法)=296.3
℃、QI成分=38.4%、BI成分=79.6%であ
った。また、QI成分は、常温での偏光顕微鏡観察によ
り、等方性であることが確認された。
オートクレーブに仕込み、5l/分の空気を吹き込みつ
つ、撹拌下350℃で2時間熱処理した。得られた熱処
理ピッチの性状は、軟化点(メトラー法)=296.3
℃、QI成分=38.4%、BI成分=79.6%であ
った。また、QI成分は、常温での偏光顕微鏡観察によ
り、等方性であることが確認された。
【0035】(2)上記で得た熱処理ピッチ150gと
テトラヒドロキノリン350gとを1lオートクレーブ
に仕込み、20kg/cm2・Gの窒素雰囲気中450
℃で10分間加熱し、該ピッチの水素化処理を行った
後、処理物を蒸留フラスコに移し、フラスコ内液温20
5℃、減圧度10mmHgでテロラヒドロキノリンを除
去して、軟化点(メトラー法)=131.0℃、QI成
分=0.2%、BI成分=30.8%の水素化ピッチを
得た。
テトラヒドロキノリン350gとを1lオートクレーブ
に仕込み、20kg/cm2・Gの窒素雰囲気中450
℃で10分間加熱し、該ピッチの水素化処理を行った
後、処理物を蒸留フラスコに移し、フラスコ内液温20
5℃、減圧度10mmHgでテロラヒドロキノリンを除
去して、軟化点(メトラー法)=131.0℃、QI成
分=0.2%、BI成分=30.8%の水素化ピッチを
得た。
【0036】この結果から、上記(1)で得られた熱処
理ピッチ中のQI成分は、フリーカーボンなどの固形分
ではなく、架橋結合による立体的な構造を有し、容易に
水素化される高分子物質であることが確認された。
理ピッチ中のQI成分は、フリーカーボンなどの固形分
ではなく、架橋結合による立体的な構造を有し、容易に
水素化される高分子物質であることが確認された。
【0037】(3)また、2μmの網目を有する5層か
らなる金属フィルターを使用して、上記(1)で得られ
た熱処理ピッチ5gを窒素雰囲気中370℃で加圧濾過
に供した後、キノリン500mlを金属フィルターに注
下してフィルターに付着したキノリン可溶分を溶解除去
した。次いで、該金属フィルターに付着したキノリンを
アセトンにより洗い流し、フィルターを乾燥した後、秤
量したところ、フィルター上の残存物は、当初熱処理ピ
ッチ重量(5g)のわずか0.6%であった。
らなる金属フィルターを使用して、上記(1)で得られ
た熱処理ピッチ5gを窒素雰囲気中370℃で加圧濾過
に供した後、キノリン500mlを金属フィルターに注
下してフィルターに付着したキノリン可溶分を溶解除去
した。次いで、該金属フィルターに付着したキノリンを
アセトンにより洗い流し、フィルターを乾燥した後、秤
量したところ、フィルター上の残存物は、当初熱処理ピ
ッチ重量(5g)のわずか0.6%であった。
【0038】上記の(1)、(2)および(3)に示す
結果から、得られた熱処理ピッチ中のQI成分は、等方
性であり、可融性の高分子物質であって、不融性の固形
分ではないことが確認された。
結果から、得られた熱処理ピッチ中のQI成分は、等方
性であり、可融性の高分子物質であって、不融性の固形
分ではないことが確認された。
【0039】実施例2 上記実施例1の(1)と同様にして得られた熱処理ピッ
チを溶融温度360℃で径0.3mmのノズルから巻き
取り速度600m/分で連続紡糸して、ピッチ繊維を得
た。
チを溶融温度360℃で径0.3mmのノズルから巻き
取り速度600m/分で連続紡糸して、ピッチ繊維を得
た。
【0040】該ピッチ繊維を空気中3℃/分の速度で3
00℃まで昇温させた後、同温度に2時間保持して不融
化処理した。得られた不融化ピッチ繊維の酸素含有率
は、8.2%であった。
00℃まで昇温させた後、同温度に2時間保持して不融
化処理した。得られた不融化ピッチ繊維の酸素含有率
は、8.2%であった。
【0041】上記で得られた不融化ピッチ繊維を窒素雰
囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分間
保持して炭素繊維を得た。
囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分間
保持して炭素繊維を得た。
【0042】本実施例において不融化処理に要した時間
は212分であり、炭化処理に要した時間は21分であ
り、その合計は233分であった。
は212分であり、炭化処理に要した時間は21分であ
り、その合計は233分であった。
【0043】得られた炭素繊維15本につき測定した各
種性状の平均値は、以下の通りであった。
種性状の平均値は、以下の通りであった。
【0044】径:10μm、引張強度:134kg/m
m2、弾性率:5.2ton/mm2、伸度:2.6%。
m2、弾性率:5.2ton/mm2、伸度:2.6%。
【0045】実施例3 コールタールを300℃に加温し、濾紙を使用して加圧
濾過を行い、コールタール中の一次QI成分を除去した
後、その500gを1lオートクレーブに仕込み、5l
/分の空気を吹き込みつつ、撹拌下300℃で1時間3
0分熱処理した。得られた熱処理ピッチの性状は、軟化
点(メトラー法)=273.2℃、QI成分=28.6
%、BI成分=66.8%であった。
濾過を行い、コールタール中の一次QI成分を除去した
後、その500gを1lオートクレーブに仕込み、5l
/分の空気を吹き込みつつ、撹拌下300℃で1時間3
0分熱処理した。得られた熱処理ピッチの性状は、軟化
点(メトラー法)=273.2℃、QI成分=28.6
%、BI成分=66.8%であった。
【0046】かくして得られた熱処理ピッチを実施例2
と同様の手法により、紡糸、不融化および炭化の各工程
に順次供して、炭素繊維を得た。
と同様の手法により、紡糸、不融化および炭化の各工程
に順次供して、炭素繊維を得た。
【0047】本実施例において、不融化処理に要した時
間は、212分であり、炭化処理に要した時間は、21
分であり、その合計は、233分であった。
間は、212分であり、炭化処理に要した時間は、21
分であり、その合計は、233分であった。
【0048】得られた炭素繊維15本につき測定した各
種性状の平均値は、以下の通りであった。
種性状の平均値は、以下の通りであった。
【0049】径:11μm、引張強度:127kg/m
m2、弾性率:5.3ton/mm2、伸度:2.4%。
m2、弾性率:5.3ton/mm2、伸度:2.4%。
【0050】実施例4 実施例2と同様にして得たピッチ繊維を空気中3℃/分
の速度で300℃まで昇温させた後、同温度に4時間保
持して不融化処理した。得られた不融化ピッチ繊維の酸
素含有率は、12.3%であった。
の速度で300℃まで昇温させた後、同温度に4時間保
持して不融化処理した。得られた不融化ピッチ繊維の酸
素含有率は、12.3%であった。
【0051】次いで、得られた不融化ピッチ繊維を実施
例2と同様にして炭化処理して炭素繊維とした後、水蒸
気により800℃で1時間賦活処理して、多孔質の炭素
繊維を得た。この際、炭化処理に要した時間は、21分
であり、賦活処理に要した時間は、60分であり、その
合計は、81分であった。
例2と同様にして炭化処理して炭素繊維とした後、水蒸
気により800℃で1時間賦活処理して、多孔質の炭素
繊維を得た。この際、炭化処理に要した時間は、21分
であり、賦活処理に要した時間は、60分であり、その
合計は、81分であった。
【0052】得られた多孔質炭素繊維の比表面積は12
30m2/gであり、引張強度は52kg/mm2であっ
た。
30m2/gであり、引張強度は52kg/mm2であっ
た。
【0053】実施例5 実施例4と同様にして得た不融化ピッチ繊維を水蒸気に
より800℃で1時間賦活処理して、多孔質のピッチ繊
維を得た。
より800℃で1時間賦活処理して、多孔質のピッチ繊
維を得た。
【0054】得られた多孔質ピッチ繊維の比表面積は、
1480m2/gであり、引張強度は、28kg/mm2
であった。
1480m2/gであり、引張強度は、28kg/mm2
であった。
【0055】実施例6 第1表に示す性状のエチレンボトム油を20kg/cm
2の窒素雰囲気中410℃で6時間熱処理した後、濾紙
を使用して濾過を行い、二次QI成分を主とする固形分
0.9%を除去した。次いで、濾過後の熱処理生成物を
蒸留して350℃以下の低沸点成分を除去し、第2表に
示す性状の熱処理ピッチを得た。
2の窒素雰囲気中410℃で6時間熱処理した後、濾紙
を使用して濾過を行い、二次QI成分を主とする固形分
0.9%を除去した。次いで、濾過後の熱処理生成物を
蒸留して350℃以下の低沸点成分を除去し、第2表に
示す性状の熱処理ピッチを得た。
【0056】 第 1 表 QI(%) トレース BI(%) トレース 固定炭素(%) 12.1 比重(15℃/4℃) 1.070 第 2 表 軟化点(℃/メトラー法) 129.2 QI(%) 0.0 BI(%) 18.1 固定炭素(%) 53.0 次いで、第2表に示す性状の熱処理ピッチ500gを1
lオートクレーブに仕込み、5l/分の空気を吹き込み
つつ、撹拌下350℃で2時間熱処理して、第3表に示
す性状の熱処理ピッチを得た。
lオートクレーブに仕込み、5l/分の空気を吹き込み
つつ、撹拌下350℃で2時間熱処理して、第3表に示
す性状の熱処理ピッチを得た。
【0057】 第 3 表 軟化点(℃/メトラー法) 283.1 QI(%) 24.6 BI(%) 63.4 得られた熱処理ピッチを溶融温度350℃で径0.3m
mのノズルから巻き取り速度500m/分で連続紡糸し
て、ピッチ繊維を得た。
mのノズルから巻き取り速度500m/分で連続紡糸し
て、ピッチ繊維を得た。
【0058】該ピッチ繊維を空気中3℃/分の速度で3
00℃まで昇温させた後、同温度に3時間保持して不融
化ピッチ繊維を得た。得られた不融化ピッチ繊維の酸素
含有率は、9.4%であった。
00℃まで昇温させた後、同温度に3時間保持して不融
化ピッチ繊維を得た。得られた不融化ピッチ繊維の酸素
含有率は、9.4%であった。
【0059】上記で得られた不融化ピッチ繊維を窒素雰
囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分間
保持して炭素繊維を得た。
囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分間
保持して炭素繊維を得た。
【0060】得られた炭素繊維15本につき測定した各
種性状の平均値は、以下の通りであった。
種性状の平均値は、以下の通りであった。
【0061】径:13μm、引張強度:116kg/m
m2、弾性率:5.0ton/mm2、伸度:2.3%。
m2、弾性率:5.0ton/mm2、伸度:2.3%。
【0062】比較例1 実施例1の(1)と同様にして一次QI成分を除去した
コールタールを蒸留して沸点550℃以下の低沸点成分
を除去し、第4表に示す性状のピッチを得た。
コールタールを蒸留して沸点550℃以下の低沸点成分
を除去し、第4表に示す性状のピッチを得た。
【0063】 第 4 表 軟化点(℃/メトラー法) 198.2 QI(%) 3.3 BI(%) 54.1 該ピッチを溶融温度240℃で径0.3mmのノズルか
ら巻き取り速度300m/分で連続紡糸して、ピッチ繊
維を得た。但し、不融固形分によるノズルの目詰まりが
激しいので、ノズル手前に金属フィルターを設置して紡
糸を行った。
ら巻き取り速度300m/分で連続紡糸して、ピッチ繊
維を得た。但し、不融固形分によるノズルの目詰まりが
激しいので、ノズル手前に金属フィルターを設置して紡
糸を行った。
【0064】得られたピッチ繊維を実施例2と同一条件
で、すなわち空気中3℃/分の速度で300℃まで昇温
させた後、同温度に2時間保持して不融化処理したとこ
ろ、繊維は溶融して、塊となった。
で、すなわち空気中3℃/分の速度で300℃まで昇温
させた後、同温度に2時間保持して不融化処理したとこ
ろ、繊維は溶融して、塊となった。
【0065】従って、上記のピッチ繊維を空気中3℃/
分の速度で200℃まで昇温させた後、同温度に3時間
保持し、さらに3℃/分の速度で300℃まで昇温させ
た後、同温度に4時間保持して、ようやく不融化処理を
終了することが出来た。
分の速度で200℃まで昇温させた後、同温度に3時間
保持し、さらに3℃/分の速度で300℃まで昇温させ
た後、同温度に4時間保持して、ようやく不融化処理を
終了することが出来た。
【0066】次いで、得られた不融化ピッチ繊維を窒素
雰囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分
間保持して炭素繊維を得たが、部分的に融着を生じてお
り、引張強度などの測定は不可能であった。
雰囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分
間保持して炭素繊維を得たが、部分的に融着を生じてお
り、引張強度などの測定は不可能であった。
【0067】比較例2 比較例1と同様にして得たピッチ繊維を空気中3℃/分
の速度で200℃まで昇温させた後、同温度に3時間保
持し、さらに3℃/分の速度で300℃まで昇温させた
後、同温度に6時間保持して、不融化ピッチ繊維を得
た。
の速度で200℃まで昇温させた後、同温度に3時間保
持し、さらに3℃/分の速度で300℃まで昇温させた
後、同温度に6時間保持して、不融化ピッチ繊維を得
た。
【0068】次いで、得られた不融化ピッチ繊維を窒素
雰囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分
間保持して炭素繊維を得た。
雰囲気中50℃/分の速度で昇温し、1200℃で3分
間保持して炭素繊維を得た。
【0069】得られた炭素繊維15本につき測定した各
種性状の平均値は、以下の通りであった。
種性状の平均値は、以下の通りであった。
【0070】径:11μm、引張強度:73kg/mm
2、弾性率:3.8ton/mm2、伸度:1.9%。
2、弾性率:3.8ton/mm2、伸度:1.9%。
【0071】本比較例においてピッチ繊維の不融化処理
に要した時間は、632分であり、ピッチ繊維から炭素
繊維が得られるまでの合計時間は、655分にも達し
た。これに対して、実施例2および3においては、同様
の合計時間は、約1/3に過ぎなかった。
に要した時間は、632分であり、ピッチ繊維から炭素
繊維が得られるまでの合計時間は、655分にも達し
た。これに対して、実施例2および3においては、同様
の合計時間は、約1/3に過ぎなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堺 啓二 大阪府大阪市東区平野町5丁目1番地 大 阪瓦斯株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】一次QI分を除去した重質油またはピッチ
に酸素またはオゾンを含有する気体を酸素またはオゾン
として重質油またはピッチ1kg当たり0.2〜5l/
分の割合で吹き込みつつ、300〜400℃で熱処理す
ることにより軟化点200℃以上、等方性QI成分含有
量5〜60%のピッチを得ることを特徴とする等方性ピ
ッチの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6180217A JP2704499B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | 等方性ピッチの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6180217A JP2704499B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | 等方性ピッチの製造法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59149052A Division JPH0718058B2 (ja) | 1984-07-17 | 1984-07-17 | 炭素繊維の製造法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29872496A Division JPH09143475A (ja) | 1996-11-11 | 1996-11-11 | 等方性ピッチ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07194966A true JPH07194966A (ja) | 1995-08-01 |
JP2704499B2 JP2704499B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=16079456
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6180217A Expired - Lifetime JP2704499B2 (ja) | 1994-08-01 | 1994-08-01 | 等方性ピッチの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2704499B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20150058011A (ko) * | 2013-11-19 | 2015-05-28 | 에스케이이노베이션 주식회사 | 등방성 석유피치를 이용한 탄소장섬유의 제조방법 및 이로부터 제조된 탄소장섬유 |
WO2016010384A1 (ko) * | 2014-07-16 | 2016-01-21 | 지에스칼텍스 주식회사 | 등방성 피치의 제조 방법 |
CN105586063A (zh) * | 2014-10-22 | 2016-05-18 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种钻井液用高软化点沥青的制备方法 |
WO2018088765A1 (ko) * | 2016-11-08 | 2018-05-17 | 한국화학연구원 | 고연화점 등방성 피치의 제조 방법 및 이를 포함하는 탄소 섬유 |
KR20180082204A (ko) * | 2017-01-10 | 2018-07-18 | 인하대학교 산학협력단 | 석유 잔사유에 방사선 전처리를 통한 고품질 등방성 피치의 제조방법 |
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JPS5988923A (ja) * | 1982-11-12 | 1984-05-23 | Agency Of Ind Science & Technol | 炭素繊維の製造方法 |
JPS6065090A (ja) * | 1983-09-20 | 1985-04-13 | Agency Of Ind Science & Technol | 炭素繊維用紡糸ピツチの製造方法 |
-
1994
- 1994-08-01 JP JP6180217A patent/JP2704499B2/ja not_active Expired - Lifetime
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---|---|
JP2704499B2 (ja) | 1998-01-26 |
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