JPH07189186A - 印刷用樹脂被覆紙 - Google Patents

印刷用樹脂被覆紙

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JPH07189186A
JPH07189186A JP32809693A JP32809693A JPH07189186A JP H07189186 A JPH07189186 A JP H07189186A JP 32809693 A JP32809693 A JP 32809693A JP 32809693 A JP32809693 A JP 32809693A JP H07189186 A JPH07189186 A JP H07189186A
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JP32809693A
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Toru Noda
徹 野田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 印刷部の印刷抜けと濃度むらの発生が無くて
印刷品質が良い、かつ基紙と樹脂層との接着性が良好で
あり、なおかつ環境問題に適応した、紙を基質とする優
れた印刷用樹脂被覆紙を提供することを目的とする。 【構成】 少なくとも一方の紙基質面が樹脂層で被覆さ
れた印刷用樹脂被覆紙において、基質たる紙はフィルム
厚み測定器を用いて測定される膜厚むら指数が特定値以
下のものであり、かつ樹脂層は少なくともポリエステル
系生分解性樹脂を含有し、なおかつ基紙と該樹脂層との
間にアンカーコート層または接着剤層を有する事を特徴
とする印刷用樹脂被覆紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然パルプを主成分と
する紙を基質として、その一方の紙基質(以下、基紙と
言うことがある)面が樹脂層で被覆された印刷用樹脂被
覆紙に関するものであり、特に印刷品質が良く、かつ基
紙と樹脂層との接着性が良好であり、なおかつ環境問題
に適応した、印刷用樹脂被覆紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、天然パルプを主成分とする紙を基
質とする樹脂被覆紙について、いくつかの技術提案があ
る。特開平2-33399 号公報には、無機充填剤20〜80
重量%を含有するポリプロピレン系樹脂またはポリエチ
レン系樹脂で基紙を被覆した印刷用途のための樹脂被覆
紙が提案されている。しかし、該技術を用いた印刷用樹
脂被覆紙は、印刷品質が極めて悪いものであり、印刷を
行った場合には印刷部が白く抜ける印刷抜けと印刷濃度
むら(以下、単に印刷抜けと濃度むらと略することがあ
る)の発生が極めて大きく、問題があるものであった。
【0003】一方、写真用支持体のための基紙面がフィ
ルム形成能ある樹脂で被覆された樹脂被覆紙型支持体は
よく知られている。例えば、特公昭55-12584号公報に
は、基紙がフィルム形成能ある樹脂、好ましくはポリオ
レフィン樹脂で被覆された写真用支持体についての技術
が開示されている。米国特許第3,501,298 号公報には基
紙の両面がポリオレフィン樹脂で被覆された写真用支持
体についての技術が開示されている。また、ハロゲン化
銀感光材料の迅速写真現像処理方式が適用されて以来、
基紙の両面がポリエチレン系樹脂で被覆された写真用支
持体が、写真印画紙用として主に実用化されており、必
要に応じてその一方の画像形成側の樹脂層中には鮮鋭度
を付与するために、通常二酸化チタン顔料を含有してい
る。また、特開昭57-116339 号公報には、二酸化チタン
顔料15〜20重量%に付加してアルカリ土類金属の酸
化物及び/又は炭酸塩0. 05〜30重量%を含有する
ポリオレフィン樹脂で基紙を被覆した写真用樹脂被覆紙
が提案されている。
【0004】しかし、これらの写真用途のための樹脂被
覆紙は、印刷用途に用いた場合には、印刷物の品質の点
から、極めて問題があるものであった。即ち、印刷物の
印刷抜けと濃度むらの発生が極めて大きいという問題点
があった(以下、印刷部の印刷抜けと濃度むらの問題点
を印刷物の品質上の問題点と略すことがある)。
【0005】更に、特開平3-200139号公報には、厚さむ
らが特定値以下である基紙にポリオレフィン樹脂を被覆
した写真用樹脂被覆紙が提案されているが、該技術を用
いた樹脂被覆紙は、印刷用途に用いた場合には、印刷部
の印刷抜けと濃度むらについて少し軽減されるものの、
依然として印刷物の品質に問題があるものであった。
【0006】しかしながら、これらの先行技術に開示さ
れた樹脂被覆紙は、依然として別種の問題点を有してい
た。即ち、従来公知の樹脂被覆紙は、その樹脂に起因し
て土中に埋めても微生物による分解が全くあるいはほと
んど行われないものであり、所請生分解性の無いもので
あって、環境保全の点で問題があるものであった。
【0007】一方、生分解性のあるプラスチックスとし
ては生分解性の澱粉を混合もしくは配合したポリエチレ
ン樹脂組成物、エチレンと一酸化炭素の共重合体が知ら
れているが、生分解性や成形加工性の点で未だ不十分な
ものであった。最近になり、生分解性及び成形加工性の
点で脂肪族ポリエステル系樹脂が注目され始めた。生分
解性及び成形加工性の優れたポリエステル系樹脂とし
て、プラスチックス、第43巻、第10号、p,87
(1992)に提案されている。しかしながら、これら
のポリエステル系樹脂は、生分解性の点では良好である
ものの成形加工性の点では依然として不十分なものであ
った。
【0008】即ち、樹脂被覆紙は、通常走行する基紙上
に溶融押し出し機を用いて、そのスリットダイから溶融
した樹脂組成物をフィルム状に押し出し、流延して被覆
し、加圧ロールと冷却ロールとの間で圧着し、冷却後ロ
ールから剥離されるという一連の工程で生産される。し
かし、ポリエステル系生分解性樹脂から成る樹脂組成物
を用いた場合には、従来公知のポリエチレン系樹脂組成
物に比較して、ネックイン等の成形加工性が悪いこと、
又樹脂の熱分解が起こりやすいこと等の理由により、比
較的低温で樹脂組成物を押し出す必要があった。具体的
には、ポリエチレン系樹脂組成物の溶融押し出し温度と
しては、通常280℃〜340℃と高くすることが出来
るが、一方、ポリエステル系生分解性樹脂から成る樹脂
組成物の溶融押し出し温度としては、通常250℃以
下、好ましくは200℃以下にする必要があった。かか
る低温で樹脂組成物を押し出し被覆した樹脂被覆紙は、
基紙と樹脂層との接着性が極めて不十分になるという問
題点が発生した。
【0009】基紙と樹脂層との接着性が不十分な印刷用
樹脂被覆紙は、その裁断時や取り扱い時、特に樹脂被覆
紙の印刷時及び印刷物の取り扱い時に樹脂層が基紙から
剥離する傾向となって、全く商品価値の無いものになる
という問題点が発生した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、天然パルプを主成分とする基紙の一方の面が樹脂層
で被覆された、印刷部の印刷抜けと濃度むらの発生が無
くて印刷品質の良い、かつ基紙と樹脂層との接着性が良
好であり、それ故に印刷性及び取り扱い性が良好であ
り、なおかつ環境問題に適応した、優れた印刷用樹脂被
覆紙を提供することである。本発明の他の目的は、以下
の明細書の記載から明きらかとなろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、天然パルプを主成分とす
る紙を基質として、その一方の紙基質面が樹脂層(A)
で被覆された印刷用樹脂被覆紙において、基質たる紙と
して、下記で規定される抄紙方向(machine directio
n)の膜厚むら指数Rpyが350mV 以下のものを用
い、かつ樹脂層(A)として、少なくともポリエステル
系生分解性樹脂を含有するものを用い、なおかつ紙基質
と樹脂層(A)との間にアンカーコート層または接着剤
層を設ける事により、本発明の目的が達成されることを
見い出した。本明細書で言う膜厚むら指数Rpyとは2
つの球状の触針の間に試料を走行させ、試料の厚み変動
を電子マイクロメーターを介し電気信号として測定する
フィルム厚み測定器を用い、電子マイクロメーターの感
度レンジが±15μm/±3Vの条件で、ゼロ点調整後
試料の抄紙方向に1.5m/分の定速で 走査することで試
料の抄紙方向の厚み変動を測定し、得られた測定信号値
を、FFTアナライザーを用いて、時間窓にハニングウ
ィンドウを使用して高速フーリエ変換して、128回の
積算の加算平均によるパワースペクトル(単位:mV2
を求め、2Hz〜25Hzの周波数域のパワー値を総和して
2/3を掛けた値を1/2乗することにより求められる
値(単位:mV)である。
【0012】具体的には以下の如く求める。測定圧力が
約30g/ストロークである2つの球状の直径約5mmの触
針の間に試料を走行させ、試料の厚み変動を電子マイク
ロメーターを介し電気信号として測定するアンリツ(株)
社製のフィルム厚み測定器を用い、電子マイクロメータ
ーの感度レンジが±15μm/±3Vの条件で、ゼロ点
調製後試料の抄紙方向に1.5m/ 分の定速で走査するこ
とで試料の抄紙方向の厚み変動を測定し、得られた測定
値を、小野測器(株)製FFTアナライザーCF−300
型機(入力信号AC ±10mV、サンプリング512
点)を用いて、時間窓をハニングウィンドウ、周波数レ
ンジを50Hzにした処理条件で高速フーリエ変換(FF
T)して、128回の積算の加算平均によるリニアース
ケールでのパワースペクトル(単位:mV)を求め、2Hz
〜25Hzの周波数域のリニアースケールでの各パワー値
の自乗を総和して得た値に2/3を掛けて1/2乗する
ことによって求めることが出来る。なお、その他の処理
条件は、CF−300型機の初期設定条件で行う。
【0013】本発明の目的は、基紙として本明細書でい
う膜厚むら指数Rpyが270mV以下のものを用いるこ
とにより、顕著に達成される事を見い出した。また、本
発明の目的は、樹脂層(A)として、ポリエステル系生
分解性樹脂の含有率が樹脂層(A)中の全樹脂分に対し
て70〜100重量%である樹脂層又は少なくともポリ
オレフィン樹脂とポリエステル系生分解性樹脂を含有
し、かつポリオレフィン樹脂の含有率が樹脂層(A)中
の全樹脂分に対して70〜95重量%である樹脂層を用
いることにより、顕著に達成される事を見い出した。更
に、本発明の目的は、アンカーコート層または接着剤層
として、酢酸ビニル系共重合ポリオレフィン樹脂または
ポリエステル系樹脂を主成分とするものを用いることに
よって、顕著に達成されることを見い出し、本発明に到
ったものである。
【0014】本発明における印刷用樹脂被覆紙の少なく
ともポリエステル系生分解性樹脂を含有する樹脂層を基
紙上に設ける方法としては、該樹脂層の基紙との接着性
を改良するアンカーコート層を設けた基紙上に溶融押し
出し機を用いて該樹脂組成物を溶融押し出しコーティン
グするのが好ましいが、予め該樹脂フィルムを製造した
後、該フィルムを基紙上にアンカーコート層または接着
剤層を介してラミネートないしは貼り合わせてもよい。
【0015】本発明における印刷用樹脂被覆紙は、走行
するアンカーコート層を有する基紙上に少なくともポリ
エステル系生分解性樹脂を含有する樹脂組成物を溶融押
し出し機を用いて、そのスリットダイからフィルム状に
流延して被覆する、いわゆる溶融押し出しコーティング
法によって製造するのが好ましい。その際、溶融フィル
ムの温度は150℃及至250℃であることが好まし
い。スリットダイとしては、T型ダイ、L型ダイ、フィ
ッシュテイル型ダイのフラットダイが好ましく、スリッ
ト開口径は0.1mm及至2mmであることが望ましい 。ま
た、樹脂組成物を基紙にコーティングする前に、基紙に
コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが
好ましい。また、特公昭61-42254号公報に記載の如く、
基紙に接する側の溶融樹脂組成物にオゾン含有ガスを吹
きつけた後に走行する基紙に樹脂層を被覆しても良い。
【0016】本発明の実施に好ましく用いられる基紙と
してはアンカーコート層を設けたものであるが、好まし
いアンカーコート層としては、少なくともポリエステル
系生分解性樹脂を含有する樹脂層と基紙との接着性の点
から、酢酸ビニル系共重合ポリオレフィン樹脂またはポ
リエステル系樹脂を主成分とする樹脂層をあげることが
出来るが、ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂層が
特に好ましい。それらの具体例としては、酢酸ビニル系
共重合ポリオレフィン樹脂としては、三井石油化学(株)
製酢ビ系共重合ポリオレフィン樹脂エマルジョン(商品
名:V−100、V−200、V−300)をあげるこ
とが出来、またアンカーコート層用ポリエステル系樹脂
としては、東洋紡績(株)製の水分散高分子ポリエステル
樹脂である、商品名バイロナールMDシリーズ(例え
ば、MD1100、MD1330、MD1930など)
をあげることが出来る。
【0017】基紙にアンカーコート層を設ける方法とし
ては、酢酸ビニル系共重合ポリオレフィン樹脂エマルジ
ョン又は高分子ポリエステル系樹脂水分散液を含む組成
物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブ
レード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって含有
あるいは塗設せしめることによって、基紙にアンカーコ
ート層を設けるのが好ましい。酢酸ビニル系共重合ポリ
オレフィン樹脂またはアンカーコート層用ポリエステル
系樹脂の基紙への含有量または塗設量としては、0.1g
/m2 以上の範囲が有用であるが、0.2〜15g/m2 の範
囲が好ましく、0.4〜10g/m2 の範囲が更に好まし
い。含有量または塗設量が少な過ぎると樹脂層と基紙と
の接着性が不十分になるし、多過ぎると印刷用樹脂被覆
紙のカール物性等が悪化して好ましくない。
【0018】また、本発明における印刷用樹脂被覆紙
は、少なくともポリエステル系生分解性樹脂を含有する
樹脂組成物のフィルムを予め製造した後、該フィルムを
基紙上にアンカーコート層または接着剤層を介してラミ
ネートまたは貼り合わせて製造することも出来る。該フ
ィルムを製造する際に、一軸延伸、二軸延伸を行っても
よく、その延伸比率は任意に選択出来る。また、アンカ
ーコート剤としては、前記した酢酸ビニル系共重合ポリ
オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂の他にエポキシ樹
脂、アルキッド樹脂、有機チタニウムエステル化合物、
エチレン・アクリル酸共重合体など、接着剤としては酢
ビ系エマルジョン、ワックス系ホットメルト、ポリウレ
タン系化合物などを主成分とするものをあげることが出
来る。又、基紙をコロナ放電処理してアンカーコート
層、接着剤層の基紙との接着性を促進するのが好まし
い。
【0019】本発明の実施に用いられる天然パルプを主
成分とする基紙としては、本明細書で規定される膜厚む
ら指数Rpyが350mV以下のものであるが、270mV
以下のものが好ましく、200mV以下のものが更に好ま
しい。膜厚むら指数Rpyが350mV以下である基紙
は、具体的には以下の方法を用いることにより、好まし
くは以下の方法を2つ以上、更に好ましくは3つ以上、
最も好ましくは4つ以上組み合わせて用いることにより
得られることが本発明者の検討により明らかとなった。
【0020】(1)使用する天然パルプとしては、短繊
維で平滑性の出やすい広葉樹パルプを多く用いる。具体
的には、例えば特開昭60-69649号公報に記載もしくは例
示の広葉樹パルプを60重量%以上、好ましくは75重
量%以上用いる。
【0021】(2)パルプの叩解条件としては、叩解機
により長繊維分がなるべく少なくなるように叩解する。
具体的には、例えばパルプの叩解は、JAPAN TA
PPI紙パルプ試験方法No.52−89 「紙及びパルプ
の繊維長試験方法」に準拠して測定される長さ加重平均
繊維長を0.4〜0.75mm、好ましくは0.45〜0.7
mm、更に好ましくは0.45〜0.65mm、繊維長1mm以
下の累積重量が70%以上、濾水度200〜330CS
Fになるようにする。
【0022】(3)内添薬品を添加した紙料スラリーに
適切な抄紙方法を採用して長網抄紙機により均一な地合
が得られるように基紙を抄造する。具体的には、例えば
紙料スラリーに適切なタービュレンスを与える。特
開昭61-284762 号公報に記載もしくは例示の様な適切な
上部脱水機構を有する長網抄紙機を用いる。ウェット
パートのプレスとしては、多段のウェットプレス、好ま
しくは3段以上のウェットプレスを行い、プレスパート
の最終段にはスムージングロールを設ける。
【0023】(4)湿紙の乾燥途中に緊度プレスを用い
る。具体的には、例えば特開平3-29945号公報に記載も
しくは例示の様な多段の緊度プレスを湿紙に行う。
【0024】(5)基紙を抄紙後マシンカレンダー、ス
ーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いてカレンダー
処理を行う。具体的には、例えば特開昭60-126397 号公
報に記載もしくは例示の熱カレンダー処理を行うのが好
ましい。
【0025】本発明の実施に用いられる基紙としては、
通常の天然パルプを主成分とする天然パルプ紙が好まし
いが、天然パルプを主成分として合成パルプ、合成繊維
からなる混抄紙でもよい。
【0026】本発明の実施に用いられる基紙を構成する
パルプとしては、前記したような適切に選択された天然
パルプを用いるのが有利である。天然パルプとしては、
塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理
並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に
応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、
およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、
広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが
用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパル
プ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができ
る。
【0027】本発明の実施に用いられる基紙中には、紙
料スラリー調製時に各種の添加剤を含有せしめることが
できる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩又は脂肪酸、特
公昭62-7534 号公報に記載もしくは例示のアルキルケテ
ンダイマー乳化物或はエポキシ化高級脂肪酸アミド、ア
ルケニル又はアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘
導体等、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン
性或は両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤
紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒ
ドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニ
ウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等、pH調
節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等を、その
他特開昭63-204251 号公報、特開平1-266537号公報等に
記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤等
を適宜組み合せて含有せしめるのが有利である。
【0028】また、本発明の実施に用いられる基紙中に
は、アンカーコート層を塗設する前に各種の水溶性ポリ
マー、帯電防止剤、添加剤を予備的なサイズプレスもし
くはタブサイズプレス等によって含有せしめてもよい。
水溶性ポリマーとして、特開平1-266537号公報に記載も
しくは例示の澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系
ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系
ポリマー、セルローズ系ポリマー等、帯電防止剤とし
て、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属
塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金
属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポ
リスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤等、エマル
ジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、
エチレン―酢酸ビニル共重合体、特開昭55-4027号公
報、特開平1-180538 号公報に記載もしくは例示のエチ
レンとアクリル酸(又はメタクリル酸)とを少なくとも
構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテッ
クス等、顔料として、クレー、カオリン、タルク、硫酸
バリウム、酸化チタン等、pH調節剤として、塩酸、リ
ン酸、クエン酸、苛性ソーダ等、そのほか前記した着色
顔料、着色染料、蛍光増白剤等の添加剤を適宜組み合わ
せて含有せしめるのが有利である。
【0029】本発明の実施に好ましく用いられる酢酸ビ
ニル系共重合ポリオレフィン樹脂エマルジョン又は高分
子ポリエステル系水分散液を含むアンカーコート組成物
は、予備的なサイズプレスまたはタブサイズを行った後
あるいは行うことなしに基紙に塗設される。該アンカー
コート組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で
予備的なサイズプレスまたはタブサイズプレスに用いら
れる各種の水溶性ポリマー、帯電防止剤、添加剤を含有
せしめることが出来る。また、本発明の実施に用いられ
る基紙の厚みに関しては、特に制限はないが、その坪量
は20〜300g/m2のものが好ましい。
【0030】本発明の実施に用いられる少なくともポリ
エステル系生分解性樹脂を含有する樹脂層(A)として
は、樹脂としてポリエステル系生分解性樹脂を主成分と
して含有する樹脂層又は少なくともポリオレフィン樹脂
とポリエステル系生分解性樹脂を含有する樹脂層が、成
形加工性等の点から好ましい。ポリエステル系生分解性
樹脂を主成分として含有する樹脂層(A)としては、ポ
リエステル系生分解性樹脂の含有率が、樹脂層(A)中
の全樹脂分に対して70〜100重量%である樹脂層が
好ましく、70重量%未満であると成形加工性が悪くな
り、75〜100重量%である樹脂層が更に好ましい。
また、少なくともポリオレフィン樹脂とポリエステル系
生分解性樹脂を含有する樹脂層(A)としては、ポリオ
レフィン樹脂の含有率が、全樹脂分に対して70〜95
重量%である樹脂層が好ましく、75重量%未満である
と成形加工性が悪くなるし、95重量%より多いと印刷
インキの保持性が悪くなるし、生分解性も悪くなり、7
5〜90重量%である樹脂層が更に好ましい。また、少
なくともポリエステル系生分解性樹脂を含有する樹脂層
(A)中には、必要に応じて通常のポリエステル樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等のその他の熱
可塑性樹脂を含有せしめても良い。
【0031】本発明の実施に用いられるポリエステル系
生分解性樹脂としては、生分解性のポリエステル系樹脂
であれば特に制限されるものではなく、各種の融点、密
度、メルトフローレート(以下、JIS K 7210に
準拠して試験温度190℃、試験荷重2.16kg の条件
で測定されるメルトフローレートのことをMFRと略す
ることがある)、分子量、分子量分布のものを使用でき
るが、通常、融点が85〜130℃、密度が1.0g/cm3
以上、MFRが0.1〜50g/10分、数平均分子量(M
n)が3万〜6万、重量平均分子量(Mw)が14万〜
30万、Mn/Mwが4. 5以上のものを単独にあるい
は混合して有利に使用できる。ポリエステル系生分解性
樹脂の具体例としては、日本ユニカー(株)発売のナック
ナール(NUC−Null)生分解性樹脂シリーズ、昭
和高分子(株)のピオノーレシリーズなどをあげることが
出来る。
【0032】本発明の実施に用いられるポリオレフィン
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン、ポリペンテン等のホモポリマー、エチレン−ブチ
レン共重合体などのα−オレフィンの2つ以上から成る
共重合体及びこれらの混合物であるが、特に溶融押し出
しコーティング性および基紙との接着性の点からポリエ
チレン系樹脂が特に好ましい。それらのポリエチレン系
樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエ
チレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポ
リエチレン樹脂、エチレンとプロピレン、ブチレン等の
α−オレフィンとの共重合体、エチレンとエチルアクリ
レート等のアルキルアクリレートとの共重合体、カルボ
キシ変性ポリエチレン樹脂等及びこれらの混合物であ
り、各種の密度、メルトフローレート(以下、JIS
K6760で規定されるメルトフローレートのことを単
にMIと略することがある)、分子量、分子量分布のも
のを使用できるが、通常、密度0.90〜0.97g/cm3
の範囲、MI0.2〜50g/10分、好ましくはMI0.4
〜40g/10 分の範囲のものを単独にあるいは混合して
有利に使用できる。
【0033】本発明の実施に用いられる少なくともポリ
エステル系生分解性樹脂を含有する樹脂組成物は、ポリ
エステル系生分解性樹脂とポリオレフィン樹脂又は/及
び必要に応じて用いられるその他の熱可塑性樹脂と予め
溶融・混合して調製したコンパウンド樹脂として用いる
のが好ましい。それぞれの樹脂を予め溶融・混合してコ
ンパウンド樹脂を調製する方法としては、単純溶融混合
法、多段溶融混合法等を用いることができる。例えば、
押し出し機、二軸押し出し機、加熱ロール練り機、バン
バリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて、所定量のそ
れぞれの樹脂、更に必要に応じて酸化防止剤、滑剤等の
各種の添加剤を加えて溶融・混合した後、その混合物を
ペレット化する方法が有利に用いられる。それぞれの樹
脂をコンパウンド樹脂として用いないで溶融押し出し機
に単純混合のままの状態で直接添加して溶融押し出しコ
ーティングした場合には、樹脂相互の良好な混合性、良
好な成形加工性等が得られない。
【0034】本発明における印刷用樹脂被覆紙は、基紙
の一方の面が少なくともポリエステル系生分解性樹脂を
含有する樹脂層(A)で被覆されたものであるが、樹脂
層(A)(以下、表樹脂層と略すことがある)で被覆さ
れる側(以下、表側と略すことがある)とは反対側(以
下、裏側と略すことがある)の基紙面が、耐水性、印刷
性等を附与するためにフィルム形成能ある樹脂層(B)
(以下、裏樹脂層と略すことがある)で被覆されたもの
が好ましい。それらのフィルム形成のある樹脂として
は、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂
等の熱可塑性樹脂が好ましく、中でも本発明の主旨から
ポリエステル系生分解性樹脂を含む樹脂組成物が特に好
ましい。また、特公昭60-17104号公報に記載もしくは例
示の電子線硬化樹脂で被覆してもよい。
【0035】本発明における印刷用樹脂被覆紙の表樹脂
層の被覆厚さとしては、4〜100μmの範囲が有用で
あるが、6〜50μmの範囲が好ましく、9〜35μm
の範囲が特に好ましい。また、その反対側の基紙面は、
フィルム形成能ある樹脂層(B)で被覆されるのが好ま
しいが、その樹脂は表側のものと同じものが好ましく、
その被覆厚さとしては表側の樹脂層と、特にカールバラ
ンスを取る範囲で適宜設定するのが好ましく、一般に4
〜100μmの範囲が有用であるが、好ましくは6〜5
0μmの範囲である。
【0036】本発明における印刷用樹脂被覆紙の製造に
際し、裏側も樹脂層で被覆する場合には、表・裏の樹脂
層は逐次、好ましくは連続的に、押し出しコーティング
される、いわゆるタンデム押し出しコーティング方式で
基紙に被覆されるのが好ましく、必要に応じて表または
裏の樹脂層を二層以上の多層構成にする、多層押し出し
コーティング方式で被覆しても良い。また、印刷用樹脂
被覆紙の表・裏の樹脂層面は、光沢面、特公昭62-19732
号公報に記載の微粗面、マット面あるいは絹目面等に加
工してもよいが、表・裏共微粗面又はマット面あるいは
表樹脂層面が光沢面又は微粗面であり、裏樹脂層面がマ
ット面に加工されるのが好ましい。
【0037】本発明における印刷用樹脂被覆紙の表、裏
の樹脂層中には、印刷画像のシャープ感乃至鮮鋭性の改
良、鉛筆加筆性の付与、印刷インクの受容性の改良等の
ために、白色顔料、好ましくは二酸化チタン顔料または
炭酸カルシウム顔料、更に好ましくはそれらを併用して
含有せしめるのが好ましい。それらの具体例としては、
二酸化チタン顔料としては、特公昭60-3430号公報、特
公昭63-11655 号公報、特公平1-38291号公報、特公平1-
38292号公報、特開平1-105245号公報、特開昭57-116339
号公報等に記載もしくは例示の二酸化チタン顔料、炭
酸カルシウム顔料としては、特開昭57-116339号公報、
特開平2-33399号公報等に記載もしくは例示の炭酸カル
シウム顔料をあげることが出来る。又、その他の白色顔
料としては、酸化亜鉛、タルク、カオリン等をあげるこ
とが出来る。
【0038】本発明における印刷用樹脂被覆紙の表、裏
の樹脂層中には、白色顔料の他に各種の添加剤を含有せ
しめることが出来る。白色顔料の樹脂への分散性、樹脂
被覆紙製造時の剥離性等を改良する目的で、ステアリン
酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミ
ニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜
鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム等の脂
肪酸金属塩、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド
等の脂肪酸アミド、特開平1-105245号公報に記載もしく
は例示のヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、リ
ン系、硫黄系等の各種酸化防止剤、コバルトブルー、群
青、セリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルー
系の顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイ
オレット、マンガンバイオレット等のマゼンタ系の顔料
や染料、特開平2-254440号公報に記載もしくは例示の蛍
光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合
わせて含有せしめることが出来る。白色顔料及び各種の
添加剤は、樹脂のマスターバッチあるいはコンパウンド
として含有せしめるのが好ましい。特に、本発明の実施
に用いられる表、裏樹脂層用の樹脂組成物中にこれらの
添加剤を含有せしめる方法としては、樹脂中に予め加え
るか、あるいは前記したコンパウンド樹脂の調製時に加
えるか、または樹脂に高濃度に添加したマスターバッチ
を予め作成し、このマスターバッチを溶融押し出し被覆
時に希釈樹脂に加えてもよい。
【0039】本発明における印刷用樹脂被覆紙の表、裏
の樹脂層面上には、コロナ放電処理、火炎処理などの活
性化処理を施した後、印刷性、帯電防止性等のために各
種の塗布層を塗設することができる。また、塗布層に
は、特公昭52-18020号公報、特公昭57-9059号公報、特
公昭57-53940号公報、特公昭58-56859号公報、特開昭59
-214849号公報、特開昭58-184144号公報等に記載もしく
は例示の無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バイ
ンダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適
宜組み合わせて含有せしめることができる。また、特に
上記公報に記載もしくは例示の合成ヘクトライトコロイ
ド、コロイド状アルミナ、カチオン変性コロイド状シリ
カ等の無機帯電防止剤、上記公報に記載もしくは例示の
有機帯電防止剤、第一工業製薬(株)製の永久帯電防止剤
(商品名:レオレックス ASE−720)等またはこ
れらの混合物を主成分とする塗布液を塗布あるいはタビ
ングしてもよい。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0041】実施例1 広葉樹漂白クラフトパルプ80重量%及び広葉樹漂白サ
ルファイトパルプ20重量%から成る混合パルプを表1
に記載の繊維長になるように叩解後、パルプ100重量
部に対して、カチオン化澱粉3重量部、アニオン化ポリ
アクリルアミド0.2重量部、アルキルケテンダイマー
乳化物(ケテンダイマー分として)0.4重量部、ポリ
アミドエピクロルヒドリン樹脂0. 4重量部及び適当量
の蛍光増白剤、青色染料、赤色染料を添加して紙料スラ
リーを調製した。その後、紙料スラリーを200m/分で
走行している長網抄紙機にのせ適切なタービュレンスを
与えつつ紙匹を形成し、ウェットパートで15〜100
Kg/cm の範囲で線圧が調節された3段のウェットプレス
を行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾
燥パートで30〜70Kg/cm の範囲で線圧が調節された
3段の緊度プレスを行った後、乾燥した。その後、乾燥
の途中で基紙片面の塗設量が2g/m2(乾燥重量として)
になる量の表1に記載のアンカーコート層用バインダ
ー、蛍光増白剤0.05重量%、青色染料0.002重量
%、ポリスチレンスルフォン酸金属系帯電防止剤0. 5
重量%及び残重量%の水から成るサイズプレス液を基紙
片面への塗設量として20g/m2サイズ塗工し、最終的に
得られる基紙水分が絶乾水分で8重量%になるように乾
燥し、表1に記載の条件でマシンカレンダー処理して坪
量140g/m2(密度1.02g/cm3)の膜厚むら指数Rp
yが表1に記載の通りである印刷用樹脂被覆紙の基紙を
製造した。
【0042】次に、表樹脂層を被覆する側とは反対側の
基紙面(裏面)をコロナ放電処理をした後、日本ユニカ
ー(株)発売のポリエステル系生分解性樹脂(商品名:ナ
ックナールB試作品、密度1.14g/cm3、MFR=4g/
10分)を溶融押し出し機を用いて、樹脂温度190℃で
30μmの樹脂厚さに基紙の走行速度100m/分で溶融
押し出しコーティングした。この際、冷却ロールとして
は液体ホーニング法で粗面化された冷却ロールを用い
て、冷却水温度12℃で操業した。
【0043】引き続き、基紙の表面をコロナ放電処理し
た後、該表面に上記ポリエステル系生分解性樹脂67.
5重量%、含水酸化アルミニウム(対二酸化チタンに対
してAl23分として0. 5重量%)で表面処理した二
酸化チタン顔料30重量%とステアリン酸亜鉛2. 5重
量%から成る二酸化チタン顔料のマスタ−バッチ35重
量部と上記ポリエステル系生分解性樹脂65重量部から
成る樹脂組成物を溶融押し出し機を用いて樹脂温度19
0℃で30μmの樹脂厚さに基紙の走行速度100m/分
で溶融押し出しコーティングした。その際、冷却ロール
としては、微粗面の冷却ロールを用いて、冷却水温度1
2℃で操業した。なお、表、裏の樹脂組成物の溶融押し
出しコーティングは、逐次押し出しコーティングが行わ
れる、いわゆるタンデム方式で行い、該樹脂被覆紙の表
面はコロナ放電処理した。
【0044】更に、樹脂被覆紙の裏樹脂層面にコロナ放
電処理後、下記のバックコ−ト塗液をオンマシン塗布し
た。乾燥重量分として、コロイド状シリカ:スチレン・
アクリル酸エステル共重合体系ラテックス=1:3から
成り、更にポリスチレンスルフォン酸ソーダ0.021g
/m2 の他適量の塗布助剤等を含むバックコ−ト塗液をラ
テックス分(固形重量計算で)として0.42g/m2 にな
る塗布量で塗設して印刷用樹脂被覆紙を得た。
【0045】以上のようにして得られた各試料を以下に
記載の方法で評価した。
【0046】印刷用樹脂被覆紙の基紙と樹脂層との接着
性の評価方法としては、試料の基紙層と二酸化チタン顔
料を含む表樹脂層とに剥離し、オリエンテック(株)製テ
ンシロン万能試験器(CR−7000型)に装着し、引
張速度300m/分、チャック間50mmでの180度剥離
時の剥離強度(g/15mm幅)を測定することにより、印刷
用樹脂被覆紙の基紙と樹脂層との接着性を評価した。評
価基準としては、○:剥離強度が250g/15mm幅以上で
接着性が良好、△:剥離強度が100g/15mm幅以上で2
50g/15mm未満であり、接着性がやや悪いが実用上問題
がない程度、×:剥離強度が100g/15mm未満であり、
接着性悪く実用上問題がある程度、を表す。
【0047】また、樹脂被覆紙の顔料を含む表樹脂層面
にオフセット印刷試験機によって印刷試験を行った。樹
脂被覆紙の印刷品質の評価方法としては、以下に記載の
方法で評価した。
【0048】樹脂被覆紙の印刷品質の評価方法として
は、印刷インキとして、東洋インキ(株)製TSP−3
00の青インキでシアン濃度が0. 85になるようにベ
タ印刷し、印刷部の印刷抜けと濃度むらの程度を目視で
判定して評価した。
【0049】印刷部の印刷抜けと濃度むらの評価基準と
しては、以下の通りである。 ◎:印刷抜けと濃度むらが全くあるいはほとんどない。 ○:印刷抜けと濃度むらが少し認められる。 △:ある程度の印刷抜けと濃度むらが認められるが、実
用可能である。 ×:印刷抜けと濃度むらが認められ、実用上問題があ
る。
【0050】得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】なお、表1中の(注1)〜(注4)は以下
の通りである。
【0053】(注1)○は本発明による試料No.を表
す。
【0054】(注2)叩解後のパルプについてJAPA
N TAPPI 紙パルプ試験方法No. 52−89
「紙及びパルプ繊維長試験方法」に準拠して測定した長
さ加重平均繊維長(mm)を表す。測定はカヤーニ社製F
S−100型機で行う。
【0055】(注3)本文明細書に規定された方法で測
定した膜厚むら指数Rpy(mV)を表す。
【0056】(注4)アンカーコート層に用いたPVA
系、PET系及びPO系のバインダーは、以下の通りで
ある。 PVA系:カルボキシ変性ポリビニルアルコール、日本
合成化学株式会社製、商品名ゴーゼナールT−330
H。 PET系:ポリエステル系樹脂、東洋紡績株式会社製高
分子ポリエステル系樹脂水分散液、商品名バイロナール
MD−1930。 PO系:酢ビ系共重合ポリオレフィン樹脂、三井石油化
学株式会社製酢酸ビニル系共重合体ポリオレフィン樹脂
水性ディスパージョン、商品名ケミパールV−300。
【0057】表1から明かな如く、膜厚むら指数Rpy
が350mV以下である紙を基質として、該基紙面がポリ
エステル系生分解性樹脂で被覆され、かつ該樹脂層と基
紙との間にポリエステル系生分解性樹脂または酢酸ビニ
ル系ポリオレフィン樹脂を含むアンカーコート層を有す
る本発明における印刷用樹脂被覆紙(試料No. 1、N
o.4〜No.6、No.9〜No.13及No.15〜N
o.19)は、樹脂層の基紙との接着性が良好であり、
また印刷抜けと濃度むらの発生が無くて印刷品質が良好
であり、かつ生分解性がある優れた印刷用樹脂被覆紙で
あることがわかる。また、本発明の実施に用いられる基
紙としては、印刷部の印刷抜けと濃度むらの改良効果の
点から、その膜厚むら指数Rpyが350mV以下のもの
が有用であるが、270mV以下のものが好ましく、20
0mV以下のものが更に好ましいことがわかる。一方、本
発明外の試料(No.2〜No.3、No.7〜No.8、
No.14及びNo.20)は、樹脂層の基紙との接着性
が悪かったり、印刷抜けと濃度むらが悪かったりして、
それぞれ問題があることがわかる。
【0058】実施例2 表2に記載の重量比率で低密度ポリエチレン樹脂(チュ
ーブラ法、密度0. 923g/cm3、MI=4.0g/10分)
と実施例1で用いたポリエステル系生分解性樹脂とを予
備混合した後、二軸混練押し出し機を用いて溶融・混練
押し出し後冷却、乾燥し、ペレット化して、低密度ポリ
エチレン樹脂とポリエステル系生分解性樹脂から成るコ
ンパウンド樹脂組成物を調製した。次に、上記低密度ポ
リエチレン樹脂、上記ポリエステル系生分解性樹脂又は
上記コンパウンド樹脂の6. 75重量%、含水酸化アル
ミニウム(対二酸化チタンに対してAl23 分として
0.5重量%で)表面処理した二酸化チタン顔料30重
量%とステアリン酸亜鉛2.5重量%とから成る組成物
をバンバリーミキサーを用いて溶融・混練し、その後混
練押し出し機を用いて溶融・混練押し出し後冷却、乾燥
し、ペレット化した二酸化チタン顔料マスターバッチを
製造した。その後、二酸化チタン顔料のマスターバッチ
35重量部とマスターバッチ用の樹脂と同一組成の希釈
樹脂65重量部とを予備混合した後、二軸混練押し出し
機を用いて溶融・混練、押し出し後冷却、乾燥し、ペレ
ット化した二酸化チタン顔料を含む表樹脂層用コンパウ
ンド樹脂組成物を製造した。
【0059】次に、基紙としてアンカーコート層にポリ
エステル系樹脂を含み、かつ膜厚むら指数Rpyが21
3mV である、実施例1の試料No.9の基紙を用い、裏
樹脂層として、上記低密度ポリエチレン樹脂85重量部
と上記ポリエステル系生分解性樹脂15重量部とを二軸
混練押し出し機を用いて予め溶融・混練して調製したコ
ンパウンド樹脂を用い、かつ表樹脂層として、上記二酸
化チタン顔料を含むコンパウンド樹脂組成物を用いる以
外は、実施例1の試料No. 9と同様に実施した。な
お、印刷用樹脂被覆紙製造時の二酸化チタン顔料を含む
表樹脂層用の樹脂組成物の成形加工性の評価方法として
は、表面の樹脂被覆部分の横方向の長さを測定してネッ
クインの程度を評価すると共に、溶融樹脂膜の筋の発生
の程度、ドローダウン性の程度による膜切れの発生の有
無、サージングあるいはドローレゾナンスによる流動の
不安定性等の成形加工性について総合的に評価した。評
価基準としては、○:良好、△:やや悪いが実用上問題
がない程度、×:悪く実用上問題がある程度、を表す。
【0060】得られた結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】なお、表1中の(注1)及び(注5)〜
(注7)は以下の通りである。
【0063】(注1)○は本発明による試料を表す。
【0064】(注5)ポリエステル系生分解性樹脂と低
密度ポリエチレン樹脂の含有率は、表樹脂層中の全樹脂
分に対するそれぞれの樹脂の含有率(重量%)を表す。
【0065】(注6)樹脂被覆紙のインキ保持性の評価
方法としては、印刷インキとして、東洋インキ(株)製T
SP−400のイエロー、マゼンタ、シアン及びブラッ
クの各インキで画像を印刷し、印刷部を爪で引掻いて、
印刷インキの剥離状態を視覚的に判定して評価した。
【0066】インキ保持性の評価基準としては、以下の
通りである。 ◎:爪で引掻いても全くインキが剥離せず、インキ保持
性が極めて良好である。 ○:爪で引掻くとわずかインキが剥離する程度で、イン
キ保持性が良好である。 △:爪で引掻くとややインキが剥離するが、実用上問題
ない程度である。 ×:爪で引掻くとかなりインキが剥離して、実用上問題
がある程度である。
【0067】(注7)表樹脂組成物の成形加工性が悪い
ために、印刷用樹脂被覆紙としての性能評価のための試
料を作成することが出来なかった。
【0068】表2の結果から、ポリエステル系樹脂を含
むアンカーコート層を有する紙を基質として、少なくと
もポリエステル系生分解性樹脂を含有する樹脂層で被覆
した、本発明における印刷用樹脂被覆紙(試料No.2
1〜No. 25及びNo.29〜No. 32)は、成形
加工上の問題が無く、樹脂層の基紙との接着性が良好で
あり、また印刷抜けと濃度むらの発生が無くて印刷品質
が良好で、かつインキ保持性が良好であり、なおかつ生
分解性がある優れた印刷用樹脂被覆紙であることが理解
される。また、少なくともポリエステル系生分解性樹脂
を含有する樹脂層中のポリエステル系生分解性樹脂の含
有率としては、該樹脂組成物の成形加工性の点から、該
樹脂層中の全樹脂分に対して70〜100重量%の範囲
が好ましいことがわかる。また、少なくともポリエチレ
ン系樹脂とポリエステル系生分解性樹脂を含有する樹脂
層中のポリエチレン系樹脂の含有率としては、インキ保
持性及び樹脂組成物の成形加工性の点から、該樹脂層中
の全樹脂分に対して70〜95重量%の範囲が好ましい
ことがわかる。一方、本発明外の試料(試料No. 26
〜No.28及びNo.33)は、樹脂組成物の成形加工
性あるいはインキ保持性が悪く、それぞれ問題があるこ
とが理解される。
【0069】実施例3 実施例1の試料No. 9において用いた基紙の代わり
に、表3に記載の種類及び使用量のバインダーを含むア
ンカーコート層をサイズプレスにより設けた基紙を用い
る以外は実施例1の試料No.9と同様に実施した
【0070】得られた結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】なお、表3中の(注1)及び(注4)は、
表1中のそれらと同意義である。
【0073】表3の結果から、アンカーコート層のバイ
ンダー樹脂の塗設量としては、表樹脂層の基紙との接着
性等の点から乾燥重量として0.5g/m2 以上が好ましい
ことが理解される。
【0074】実施例4 実施例2の試料No.21〜25及びNo.29〜No.
32で用いた表、裏用の少なくともポリエステル系生分
解性樹脂を含有する樹脂組成物を溶融押し出し機を用い
て樹脂温度170℃で溶融押し出しし、冷却温度12℃
以下で、ドラムキャスト法により巻取速度40m/分でフ
ィルムを作製した。表用の二酸化チタン顔料を含む樹脂
組成物フィルムは32μmの厚味に、裏用の樹脂フィル
ムは27μmの厚味に作製した。その後、実施例1の試
料No. 4で用いた基紙上に表、裏用の樹脂フィルムを
貼り合わせて印刷用樹脂被覆紙を得た。貼り合わせるに
際し、フィルム側にウレタン系化合物を主成分とする接
着剤層を予め塗設し、基紙とフィルムとをプレスロール
で圧着することにより、貼り合わせた。
【0075】得られた印刷用樹脂被覆紙は、樹脂層の基
紙との接着性が良好であり、かつ印刷抜けと濃度むらの
発生が無くて印刷品質が良好な、優れたものであった。
【0076】実施例5 実施例1の試料No. 9において、裏樹脂層として顔料
を含む表樹脂層と同一の樹脂組成物を用い、また、バッ
クコート層の代わりに表・裏樹脂層面に第一工業(株)製
のレオックス ASE−720をそれぞれ10mg/m2
設する以外は実施例1の試料No.9と同様に実施し
た。
【0077】その結果、表・裏両面の表面固有抵抗率は
1.2×1012Ωであり、印刷時の樹脂被覆紙の搬送性
が良好な、又樹脂層の基紙との接着性が良好な、かつ印
刷抜けと濃度むらの発生が無くて印刷品質が良好な、更
に両面印刷性のある、なおかつ環境問題に適応した優れ
た印刷用樹脂被覆紙を得た。
【0078】
【発明の効果】本発明により、印刷時の印刷抜けと濃度
むらの発生が無くて印刷品質が良い、かつ基紙と樹脂層
との接着性が良好であり、なおかつ環境問題に適応し
た、紙を基質とする優れた印刷用樹脂被覆紙を提供でき
る。
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】具体的には以下の如く求める。測定圧力が
約30g/ストロークである2つの球状の直径約5mmの触
針の間に試料を走行させ、試料の厚み変動を電子マイク
ロメーターを介し電気信号として測定するアンリツ(株)
社製のフィルム厚み測定器を用い、電子マイクロメータ
ーの感度レンジが±15μm/±3Vの条件で、ゼロ点
調製後試料の抄紙方向に1.5m/ 分の定速で走査するこ
とで試料の抄紙方向の厚み変動を測定し、得られた測定
値を、小野測器(株)製FFTアナライザーCF−300
型機(入力信号AC ±1V、サンプリング512点)
を用いて、時間窓をハニングウィンドウ、周波数レンジ
を50Hzにした処理条件で高速フーリエ変換(FFT)
して、128回の積算の加算平均によるリニアースケー
ルでのパワースペクトル(単位:mV)を求め、2Hz〜2
5Hzの周波数域のリニアースケールでの各パワー値の自
乗を総和して得た値に2/3を掛けて1/2乗すること
によって求めることが出来る。なお、その他の処理条件
は、CF−300型機の初期設定条件で行う。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然パルプを主成分とする紙を基質とし
    て、その一方の紙基質面が樹脂層(A)で被覆された印
    刷用樹脂被覆紙において、基質たる紙は、下記で規定さ
    れる抄紙方向(machine direction)の膜厚むら指数R
    pyが350mV以下のものであり、樹脂層(A)が少な
    くともポリエステル系生分解性樹脂を有し、なおかつ紙
    基質と樹脂層(A)との間にアンカーコート層または接
    着剤層を有する事を特徴とする印刷用樹脂被覆紙。 膜厚むら指数Rpy:2つの球状の触針の間に試料を走
    行させ、試料の厚み変動を電子マイクロメーターを介し
    電気信号として測定するフィルム厚み測定器を用い、電
    子マイクロメーターの感度レンジが±15μm/±3V
    の条件で、ゼロ点調整後試料の抄紙方向に1.5m/ 分の
    定速で走査することで試料の抄紙方向の厚み変動を測定
    し、得られた測定信号値を、FFTアナライザーを用い
    て、時間窓にハニングウィンドウを使用して高速フーリ
    エ変換して、128回の積算の加算平均によるパワース
    ペクトル(単位:mV2 )を求め、2Hz〜25Hzの周波数
    域のパワー値を総和して2/3を掛けた値を1/2乗す
    ることにより求められる値を膜厚むら指数Rpy(単
    位:mV)と規定する。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系生分解性樹脂の含有率
    が、樹脂層(A)中の全樹脂分に対して70〜100重
    量%である請求項1記載の印刷用樹脂被覆紙。
  3. 【請求項3】 樹脂層(A)が、少なくともポリオレフ
    ィン樹脂とポリエステル系生分解性樹脂を含有するもの
    である請求項1記載の印刷用樹脂被覆紙。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン樹脂の含有率が、樹脂
    (A)中の全樹脂分に対して70〜95重量%である請
    求項3記載の印刷用樹脂被覆紙。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン系
    樹脂である請求項3または4記載の印刷用樹脂被覆紙。
  6. 【請求項6】 基質たる紙の抄紙方向の膜厚むら指数R
    pyが270mV以下のものである請求項1、2、3、4
    または5記載の印刷用樹脂被覆紙。
  7. 【請求項7】 樹脂層(A)が、顔料を含有するもので
    ある請求項1、2、3、4、5または6記載の印刷用樹
    脂被覆紙。
  8. 【請求項8】 顔料が、二酸化チタン顔料、炭酸カルシ
    ウム顔料またはそれらの混合物である請求項7記載の印
    刷用樹脂被覆紙。
  9. 【請求項9】 アンカーコート層または接着剤層が、酢
    酸ビニル系共重合ポリオレフィン樹脂またはポリエステ
    ル系樹脂を主成分とするものである請求項1、2、3、
    4、5、6、7または8記載の印刷用樹脂被覆紙。
  10. 【請求項10】 樹脂層(A)で被覆される側とは反対
    側の紙基質面がフィルム形成能ある樹脂層(B)で被覆
    されたものである請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8または9記載の印刷用樹脂被覆紙。
  11. 【請求項11】 樹脂層(B)が、少なくともポリエス
    テル系生分解性樹脂を含有するものである請求項10記
    載の印刷用樹脂被覆紙。
  12. 【請求項12】 樹脂層(B)中のポリエステル系生分
    解性樹脂の含有率が、樹脂層(B)中の全樹脂分に対し
    て70〜100重量%である請求項11記載の印刷用樹
    脂被覆紙。
  13. 【請求項13】 樹脂層(B)が、少なくともポリオレ
    フィン樹脂とポリエステル系生分解性樹脂を含有するも
    のである請求項10記載の印刷用樹脂被覆紙。
  14. 【請求項14】 樹脂層(B)中のポリオレフィン樹脂
    の含有率が、樹脂層(B)中の全樹脂分に対して70〜
    95重量%である請求項13記載の印刷用樹脂被覆紙。
  15. 【請求項15】 樹脂層(B)中のポリオレフィン樹脂
    が、ポリエチレン系樹脂である請求項13または14記
    載の印刷用樹脂被覆紙。
  16. 【請求項16】 樹脂層(B)が、顔料を含有するもの
    である請求項10、11、12、13、14または15
    記載の印刷用樹脂被覆紙。
  17. 【請求項17】 樹脂層(B)中の顔料が、二酸化チタ
    ン顔料、炭酸カルシウム顔料またはそれらの混合物であ
    る請求項16記載の印刷用樹脂被覆紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004223786A (ja) * 2003-01-21 2004-08-12 Toyobo Co Ltd 生分解性印刷インキ用アンカー剤及び生分解性積層体
US7544414B2 (en) 2002-05-17 2009-06-09 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Oriented syndiotactic polystyrene-base film

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