JPH07185878A - 管開先変形矯正用冶具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 現場で修正作業ができる小型、軽量な管開先
変形矯正用冶具を得る。 【構成】 上枠２と下枠２ａから成り、円径を真円に形
成した冶具本体１を管Ａ、Ｂの外側に取り付け、オイル
ジャッキ４を駆動して上枠２と下枠２ａの間隔を狭めて
収径し、この作用で管の変形を真円に修正すると共に、
連結ボルト１０で冶具同士を連結固定することによりセ
ンター出しを行い、同時に開先Ａ′、Ｂ′の間隔の調整
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼管、ステンレス管等
を溶接する際に使用される管開先変形矯正用冶具に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】鋼管はＪＩＳの規定により、その外径及
び肉厚共に許容誤差が認められている。このため、製造
された鋼管の開先を溶接用に加工し、そのまま合わせた
ときに、この許容誤差に基づいて内径、外径ともに段差
が生じて溶接不良の問題が発生する。又、鋼管は真円で
はなく、楕円であったり、開先が部分的に変形している
こともある。このため、管の溶接を行う場合には、工場
或いは現場において次のような方法で開先の修正作業を
行っている。 ａ．工場において、大型のプレス等を用いて真円修正を
行う。 ｂ．工場で真円修正した後、この真円を保持するための
冶具を開先に取り付けて固定する。 ｃ．加熱して真円修正を行う。 ｄ．突き合わせた鋼管の開先内にクサビを打ち込みなが
ら真円修正を行う。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記開先の修
正方法においては、次のような欠点がある。

【０００４】ａ．プレス等を用いて真円修正を行う方法
は、工場でしか作業を行うことができない。

【０００５】ｂ．工場で真円修正を行い、固定する方法
の場合、いちいち冶具を取り付けたり取り外したりする
必要があり不便であると共に運搬にも不便である。又、
この場合も、パイプラインを敷設するような現場におい
ては適用できない。

【０００６】ｃ．加熱して真円修正する方法の場合、加
熱装置を現場まで運搬したり、据え付けを行ったりする
必要があるため、現場での作業は殆ど不可能であると共
に修正作業に熟練が要求される。

【０００７】ｄ．クサビを打ち込む方法の場合、開先
（母材）を損傷することがある。

【０００８】本発明は、斯る点に鑑みて提案されるもの
で、その目的の第１は、現場で熟練等を要さずに作業が
でき、小型、軽量化することである。第２の目的は、矯
正時に開先（母材）を損傷しないようにすることであ
る。第３の目的は、溶接対象鋼管の開先の変形を矯正す
るばかりでなく、開先間隔を正確に出すことができるよ
うにすることである。第４の目的は、溶接対象鋼管の開
先同士のセンター出しを正確に行うことができるように
することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記各目的を達成するた
めに提案する本発明の構成は以下のとおりである。内径
を真円に形成した二つ割り構造の矯正具本体、前記矯正
具本体の両端において、矯正具本体を収径方向に緊締す
るための緊締装置、前記矯正具本体の円周方向に軽量化
兼用のボルト孔を設けると共にこのボルト孔内に緊締ボ
ルトを通し、ナットを締め付けることにより溶接対象管
の開先の間隙とセンター出し及び対象管同士の固定を行
う連結固定具、から成る管開先変形矯正用冶具。

【００１０】

【作用】二つ割りの矯正具本体は、対象となる鋼管、ス
テンレス管等の開先部分の外周に挟むようにして取り付
け（捲きつけ）、左右の緊締装置を別々に又は同時に駆
動して矯正具本体を収径させる。この結果、矯正具本体
の内径は真円に形成されていることから、例えば楕円を
呈していた開先部分は真円に強制的に修正される。この
ようにして、溶接対象管相互の開先の修正を行ったの
ち、相互の冶具本体のボルト孔内にボルトを通し、ナッ
トを両側から締め付けて相互に連結する。ボルトは、円
周上において等間隔に４〜８本取り付ければよい。円周
上において、バランス良くボルトを取り付けて連結する
ことにより、開先のセンター出し（芯出し）が行われる
と共に開先間隔の設定が行われる。部分的な開先間隔の
調整は、その部分のナットの締め具合いで調整する。こ
のようにしてセンター出しと開先間隔の調整が終わった
段階で、ポイント溶接を行っで開先同士を固定し、次に
冶具本体を取り外し、あとは本溶接を行う。

【００１１】

【実施例】図１〜図３に基づいて本発明冶具の実施例と
その使用例を詳述する。

【００１２】図１は本発明に係る冶具本体であって、こ
の冶具本体１は、上枠２と下枠２ａから成り、内径は真
円に形成されている。３、３ａは冶具本体１の上枠２と
下枠２ａにおいて、その両端に夫々形成された緊締装置
取付部であって、実施例の場合は、上枠２の両端に図１
及び図２に示すように手動式のオイルジャッキ４が取り
付けられている。オイルジャッキ４の駆動ピン５は摺動
ボルト６を図２中矢印方向に駆動して下枠２ａ側の両端
取付部３ａを引き寄せて収径を行う。８はナットであ
る。

【００１３】９は冶具本体１の上枠２と下枠２ａに夫々
設けられたボルト孔であって、このボルト孔９は軽量化
の目的と共にこのボルト孔９を利用して対象となる開先
に夫々取り付けられた冶具本体１同士を連結する。この
連結した構造を図３に示す。Ａ、Ｂは鋼管、１０は連結
ボルトであって、この連結ボルト１０は、冶具本体１同
士を連結することにより、開先Ａ′、Ｂ′のセンター出
しを行い、且つ開先Ａ′、Ｂ′の間隔を調整するもので
ある。なお、部分的に開先の修正を行う必要がある場合
には、図１及び図３に示すように、連結ボルト１０の下
に矢１２を入れて連結ボルト１０で反力を受けながら修
正する。

【００１４】以上のようにして管Ａ、Ｂ同士を連結した
のち、ポイント溶接（仮溶接）を行って管Ａ、Ｂ同士を
固定してから冶具本体１を取り外し、その後本溶接を行
う。なお、本発明の冶具を利用できる管は、鋼管以外に
ステンレス管を含む。

【００１５】

【発明の効果】本発明は以上の如き構成からなることに
より、次の効果を奏する。

【００１６】ａ．工場は勿論のこと、現場において、対
象となる管の開先の外側に取り付けて真円修正を行うこ
とができるので、パイプラインの敷設のように現場で溶
接作業を行う場合に大変便利であると共に小型、軽量化
が図られているため、取り扱いが楽である。

【００１７】ｂ．冶具は管を外側から締め付けるだけの
ため、クサビ等を一切使用せず、よって管（母材）を損
傷したりしない。

【００１８】ｃ．冶具で真円修正したのち、連結ボルト
で冶具同士を連結することにより、管のセンター出しが
できると共にナットの締め具合いにより開先の微妙な間
隔調整を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る冶具の正面図。

【図２】緊締装置の説明図。

【図３】管に取り付けて修正作業を行っている状況の説
明図。

【符号の説明】

１ 冶具本体 ２ 上枠 ２ａ 下枠 ３、３ａ 緊締装置取付部 ４ オイルジャッキ ５ 駆動ピン ６ 摺動ボルト ７ 孔 ８ ナット ９ ボルト孔 １０ 連結ボルト １１ ナット １２ 矢 Ａ、Ｂ 鋼管 Ａ′、Ｂ′ 開先

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内径を真円に形成した二つ割り構造の矯
   正具本体、前記矯正具本体の両端において、矯正具本体
   を収径方向に緊締するための緊締装置、 前記矯正具本体の円周方向に軽量化兼用のボルト孔を設
   けると共にこのボルト孔内に緊締ボルトを通し、ナット
   を締め付けることにより溶接対象管の開先の間隙とセン
   ター出し及び対象管同士の固定を行う連結固定具、 から成る管開先変形矯正用冶具。
2. 【請求項２】 緊締装置が手動式オイルジャッキである
   ところの請求項１記載の管開先変形矯正用冶具。