JPH0718558B2 - 木質系温水式床暖房パネルおよびその施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、温水式床暖房を構築することが好適な木質系
パネルおよびそれを用いた施工方法に関するものであ
る。

［従来の技術］ 温水式の床暖房は、エネルギーコストが有利であること
などにより、大規模施設はもとより、一般家庭用として
も広く普及しつつある。例えば、床の建築構造物と一体
に温水配管を敷設し、これに温水を循環させるようにし
たものや、特開昭59−77231にて知られるように既に完
成している床面上に単に敷設するもの等がある。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の床暖房として、既成の床面上に敷設するものがあ
り、簡便であるなどの利点があることから、軽易な床暖
房用として広く用いられている。しかしながら、より一
層完全な床暖房設備を形成するに当っては、床と敷設と
ともに一体化した施工が望まれている。一般的には、根
太と呼ばれる家屋の構造部材の上に床板を敷設するが、
この床板の敷設とともに温水配管をも同時に施工するこ
とが望ましい。これまで知られている同時施工の手段と
しては、床板の内部を貫通するように、あらかじめ温水
配管を一体に組込んだパネルを用意し、これを敷設した
後、それぞれの配管と接続を行ない、温水を循環せしめ
るようにするものがある。この方法によれば、配管の接
続個所が増大する欠点があるほか、温水配管を組込んで
あるパネルは施工現場での切断が困難であることなどに
より、標準型の他に異形のパネルを用意しておく必要が
あるなど、生産コスト、輸送等の面でも多くの欠点があ
る。

また、上記の欠点の一つである配管の接続個所を減ずる
ために、長尺のフレキシブルパイプ、例えば可撓合成樹
脂パイプを床板に設けた溝に埋め込んで行なう方法も知
られているが、直線部分は良いとしてもＵターン部はそ
れに合わせた曲線溝が必要となり、今度はこのためにコ
スト高になるとともに、施工面でも不都合をもたらして
いた。

一方このような曲線部を床板に設けることを省略して長
尺のパイプを敷設しようとすれば、今度は床板の上面側
と床下とを縫うように施工する必要が生じ、施工能率を
著しく減ずるものとなっていた。

本発明は、長尺の温水配管を用いて、なおかつ施工も簡
便である床暖房パネルであり、また、それを用いた施工
方法である。

［課題を解決するための手段］ （１）温水式床暖房設備を構成する床暖房用パネルにお
いて、パネルベースの長手方向に平行に表面側に設けた
Ｕ字状溝と、該Ｕ字状溝の延長上でパネルベースの端部
に設けた切り欠き部とからなり、該切り欠き部はパネル
ベース端面から内方に向って板厚全部をカットして形成
した切り欠き部であることを特徴とする木質系温水式床
暖房パネル。

（２）温水式床暖房設備を構成する床暖房用パネルにお
いて、パネルベースの長手方向に平行に表面側に設けた
Ｕ字状溝と、該Ｕ字状溝の延長上でパネルベースの端部
に設けた切り欠き部と、Ｕ字状溝内を含むパネルベース
の表面上に連続して貼付した伝熱金属板とからなり、パ
ネルベースの切り欠き部は該パネルベースの端面側から
内方に向って板厚全部をカットして形成した切り欠き部
であることを特徴とする木質系温水式床暖房パネル。

（３）伝熱金属板がパネルベースに容射された物体によ
り形成された伝熱金属板である前記（２）項記載の木質
系温水式床暖房パネル。

（４）切り欠き部がパネルベース端面から内方に向って
斜めにカットして形成した切り欠き部である前記（１）
〜（３）項記載の木質系温水式床暖房パネル。

（５）温水式床暖房設備における温水のＵターン部の施
工方法において、表面側にＵ字状溝と端部に切り欠き部
を有する木質系温水式床暖房パネルを用い、該パネルの
切り欠き部を含む端部の部分を根太と支持面からずれな
い長さの短片に切断し、切断した短片を反転せしめて切
り欠き部とＵ字状溝を合致せしめて根太に固定すること
により温水配管が表面側から床下側に無理なく貫通でき
るようにしてＵターン部を構成することを特徴とする木
質系温水式床暖房パネルの施工方法にある。第１図は、
本発明の一実施例における床暖房パネルと示す正面図で
あり、第２図は第１図のＸ−Ｘ′断面図である。第３図
は第１図のＸ−Ｘ′断面に相当する他の実施例を示す断
面図、第４図は第１図および第２図に示した実施例の場
合の平面図であり、第５図はその斜視図である。図にお
いて１はパネルベースをあらわし木質系の合板が用いら
れる。２はＵ字状溝で例えば幅300mmの合板を用いた場
合には図示のように長手方向に平行に２条設ければよ
い。Ｕ字状溝２の数は図示の例に限定されることなく、
基材であるパネルベース１の板幅に応じて適宜設けると
良い。３、３′はパネルベース１の長手方向の端部に設
けた切り欠き部で、パネルベース１の板厚のほぼ２〜４
倍の長さだけＵ字状溝を切り欠いたものである。なお、
第１図、第２図、第４図、第５図に示した例では、パネ
ルベースの板厚全部を垂直にカットしているが第３図に
示した例では全部を垂直にカットせずに斜めにカットを
進めた例であり、長手方向の末端近くで板厚全部をカッ
トするようにしたものである。４および５は雄ざね雌ざ
ねをあらわし、板同志を並設する場合に通常用いられて
いる一体化手段の一つであり、本発明においても、これ
を用いた方が広い面積の床暖房を行なう場合に有効であ
るため図示してある。他の手段で一体化あるいは剛性付
与が行なわれる場合には特に必要としない。

Ｕ字状溝２は温水配管を埋め込むためのもので、したが
って、その大きさは、使用する温水配管およびパネルベ
ースの板厚等により決定される。また、切り欠き部３の
大きさは長さについては前述したが、幅はＵ字状溝と同
様でも良いが、それよりやや広めにするとよい。これは
長さ方向に継ぎ足して設置する場合、あるいは温水配管
のＵターン部を設ける場合に、長さ方向と直角な方向の
Ｕ字状溝のずれを吸収し、温水配管に無理な力をかけな
いようにするためである。

第６図は、本発明の実施例を示す断面図で、パネルベー
ス１およびそれに設けたＵ字状溝２の全表面側に伝熱金
属板６を貼付したものであり、そのようにして構成され
たＵ字状溝26に温水配管７を設置した状態をあらわして
いる。伝熱金属板は熱源となるＵ字状溝から連続してパ
ネルベース１の表面に展開されている。８は更にその上
に貼付、釘打ちなどにより敷設する化粧床合板を参考ま
でに示したものである。

伝熱金属板６は公知のアルミ板などが用いられる。切り
欠き部３における伝熱金属板６の構成は、単にＵ字状溝
部の底部にハサミ等による切り込みを入れておくだけ
で、パネルベース全面への貼付が可能であり、伝熱効率
を上げることができる。

また、伝熱金属板６は、あらかじめ成形された金属板に
替えて、熱伝導率の良好な物質による溶射によってパネ
ルベース１およびＵ字状溝２の全表面に形成しても良
い。

第７図、第８図、第９図は、施工方法を示す説明図で、
第７図は温水配管のＵターン部の設置状況を示した図で
あり、第８図は板幅を300mmとした本発明床暖房パネル
を用いて６畳間に敷設した場合の施工例で温水配管の全
体の敷設状況とともに示している。第９図は第８図のＡ
部拡大図である。12はヘッダー部の分岐管を示し、13は
ボイラーからの配管を示している。71はパネルベースの
裏面側に配設される温水のＵターン部を示している。14
はパネルベースを根太に固定する釘を示す。なお、第７
図において９は建築構造物である根太を示し、通常は大
引10のうえにその長さを直交するように設置されてい
る。

［作 用］ 次に本発明の作用を施工方法とともに説明する。先ず前
述したパネルベース１を現場に運び、根太９の長さ方向
と直交するように該パネルベース１を敷設する。大きな
部屋であれば、パネルベースを順次長さ方向に継ぎ足し
て敷設するが壁近くの場所にて温水配管をＵターンさせ
なければならないため、その近辺に温水配管のＵターン
部を形成する必要がある。そこで、前述のパネルベース
１の一端部を根太９による支持間隔に合わせてその支持
面からはずれないように根太材の幅の中心位に合うよう
に切断する。このようにすれば、切断した短片も元のパ
ネルベースも根太に確実に固定できる。かくして切断さ
れたパネルベース１′を今度は表裏反転せしめ、切り欠
き部３を先に切断された元のパネルベース１側のＵ字状
溝に合せて敷設する。こうすることによって、温水配管
７はパネルベース１′の床下側に貫通可能となる。71は
Ｕターン部で、床下で一つとんだ次のＵ字状溝にＵター
ンする温水配管を示す。温水配管のＵターン部は２本の
根太と反転されたパネルベース１′によりできる床下空
間に形成される。11は保温材を示し、グラスウール等が
用いられる。根太９の高さは、温水配管７の太さの数倍
あるのが一般的であり、Ｕターン部71が相互に交差する
場合でも容易にその配管を行なうことができるだけの空
間を確保することができる。

なお、本発明におけるパネルベースは、両端に切り欠き
部3,3′を設けた場合に、その使用範囲が拡大するが、
パネルベースの両端部に設けることに限定されるもので
はなく、切り欠き部を一方の端部に設けた部材をも対象
とするものであり、その切り欠き部の形状も前述のとお
り温水配管を床下に無理なく貫通させるための目的を達
成するものであれば良い。

パネルベースの素材は、商業的に流通している規格に会
わせて選択することができ、例えば、長さ1.82mの定尺
のものにＵ字状溝を形成し、同時に両端部に切欠き部を
形成すれば、単一部材で温水配管の直線部からＵターン
が必要となる曲線部まで全て現地加工で可能となる。な
んとなれば、その切断はたとえ伝熱金属板にアルミ薄板
を貼付したものであったとしても、チップソーなどによ
り極めて容易に切断できるからである。

根太の支持間隔に合せて端部を切断した本発明の温水式
床暖房パネルは、切断した端部を表裏反転せしめて敷設
することにより、直線部に続くＵターン部を容易に形成
することとなる。このようにして実質的に床板となるパ
ネルベースを順次根太うえに敷設し、固定してゆけば、
床板の敷設と一体化した温水配管が可能となり、長尺の
配管素材を切断することなく容易に設置することができ
る。設置の順序は、既に述べたように直線部のパネルベ
ースの敷設をまず行ない、長尺の温水配管をそのＵ字状
溝に順次埋設し、壁際してＵターンをさせ次のＵ字状溝
に埋設する作業を進め次に先に切断した端部のパネルベ
ース１′を反転して敷設していけば良い。

［発明の効果］ 本発明は、以上のように単一部材で全ての温水式床暖房
配管を確実に容易に行なうことができるので、部材コス
トも安価ですみ、多種類の部材に要する管理面での費用
も節減できる。また、長尺の温水配管を切断することな
く行なえるので極めて信頼性の高い温水式床暖房を構築
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の床暖房パネルを示す正面図、第２図は
第１図のＸ−Ｘ′断面図、第３図は他の実施例を示す第
２図に類する断面図第４図は平面図、第５図は斜視図、
第６図は本発明の完成された構成の要部を示す要部断面
図、第７図は本発明によるパネルの施工状況を示す説明
図、第８図はその平面図、第９図は第８図のＡ部拡大図
である。 1:パネルベース、2:U字状溝 3:切欠き部、4:雄ざね 5:雌ざね、6,26:伝熱金属板 7:温水配管、71:Uターン部 8:化粧床合板、9:根太 10:大引、11:保温材 12:分岐管 13:ボイラーからの配管 14:釘

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】温水式床暖房設備を構成する床暖房用パネ
   ルにおいて、パネルベースの長手方向に平行に表面側に
   設けたＵ字状溝と、該Ｕ字状溝の延長上でパネルベース
   の端部に設けた切り欠き部とからなり、該切り欠き部は
   パネルベース端面から内方に向って板厚全部をカットし
   て形成した切り欠き部であることを特徴とする木質系温
   水式床暖房パネル。
2. 【請求項２】温水式床暖房設備を構成する床暖房用パネ
   ルにおいて、パネルベースの長手方向に平行に表面側に
   設けたＵ字状溝と、該Ｕ字状溝と延長上でパネルベース
   の端部に設けた切り欠き部と、Ｕ字状構内を含むパネル
   ベースの表面上に連続して貼付した伝熱金属板とからな
   り、パネルベースの切り欠き部は該パネルベースの端面
   側から内方に向って板厚全部をカットして形成した切り
   欠き部であることを特徴とする木質系温水式床暖房パネ
   ル。
3. 【請求項３】伝熱金属板がパネルベースに容射された物
   体により形成された伝熱金属板である特許請求の範囲第
   （２）項記載の木質系温水式床暖房パネル。
4. 【請求項４】切り欠き部がパネルベース端面から内方に
   向って斜めにカットして形成した切り欠き部である特許
   請求の範囲第（１）〜（３）項記載の木質系温水式床暖
   房パネル。
5. 【請求項５】温水式床暖房設備における温水のＵターン
   部の施工方法において、表面側にＵ字状溝と端部に切り
   欠き部を有する木質系温水式床暖房パネルを用い、該パ
   ネルの切り欠き部を含む端部の部分を根太の支持面から
   ずれない長さの短片に切断し、切断した短片を反転せし
   めて切り欠き部とＵ字状溝を合致せしめて根太に固定す
   ることにより温水配管が表面側から床下側に無理なく貫
   通できるようにしてＵターン部を構成することを特徴と
   する木質系温水式床暖房パネルの施工方法。