JPH0718536U - 移植用苗の集合育苗器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 発泡スチロール製集合育苗器のポット部内壁
へ、幼苗の根が入り込むことを防止するために、重ね合
わせて用いられる薄肉硬質プラスチック製集合育苗器が
あるが、これは使用時の温度や湿度などによる経時変化
にて歪みを生じやすい。この歪みが起きないようにする
ことを目的とする。 【構成】 薄肉硬質プラスチック製集合育苗器４のポッ
ト部３間の連結面部２の縦横方向に、１条以上の凸状の
襞部１を形成させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、移植用苗の集合育苗器に関するものであり、特に発泡スチロール 製集合育苗器の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、縦横に区切った硬質プラスチツク製や発泡スチロール製の集合育苗 器は、この中に土を入れ、これに野菜の種を蒔いたり、挿し木した花の幼苗を植 えて、温室などで育て、成苗としてから圃場へ移植するために、広く用いられて いる。 これらの育苗器で育てた成苗を圃場へ移植する場合に、一般的な野菜や花卉は 育苗器から手又は機械等で抜いて植え付けている。

【０００３】 このように温室等で野菜の幼苗を育てるときに、発泡スチロール製の集合育苗 器を用いると、この育苗器はプラスチツクの粒子を数十倍に拡大膨張させて作っ ているために、その構造上ポット部の内周面に微小なヒビがあり、このヒビの中 へ徐々に成長してきた幼苗の根が入り込むことがある。 こうなると、当然ながら移植の際に幼苗の根切れを起こすことになるし、ポッ ト部内周面が痛み、集合育苗器そのものの寿命が短くなる。 この防止策として、発泡スチロールより遙に硬い材質にてできていて、発泡ス チロール製集合育苗器に、上方より嵌合して使用する薄肉硬質プラスチツク製集 合育苗器があった。

【０００４】 しかしながら、この方法では、発泡スチロール製集合育苗器と薄肉硬質プラス チツク製集合育苗器の間に、両者同士が異質であることから経時変化において、 膨張率、収縮率が異なるという問題があり、両者の間に隙間を発生させたり、薄 肉硬質プラスチツク製集合育苗器が歪んでくるなどの問題があった。 このような問題が発生すると、隙間や歪みによって、薄肉硬質プラスチツク製 集合育苗器のポット部が傾くから、幼苗も傾きその成長方向が異なってしまう。 また、薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器が歪んだ儘となり、再使用ができな くなる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案はこれらに鑑みて、薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器が、歪むことが ないようにしようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このような不具合をなくすための、この考案の構成を図面に基づき説明する。 上面に多数のポット部３を有する発泡スチロール製集合育苗器５に、その多数 のポット部３の内側の形状及びそれらの配置が、発泡スチロール製集合育苗器５ と同様なものとして成り、かつ、この発泡スチロール製集合育苗器５へは、上方 より嵌合させて使用する薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器４において、そのポ ット部３間の連結面部２の縦横両方向に、１条以上の凸状の襞部１を形成したこ とを特徴とする移植用苗の集合育苗器とした。

【０００７】 なお、襞部１の必要条数は、用いる発泡スチロール製集合育苗器５の大きさ、 そのポット部３の大きさや数などによって適宜決めればよい。 なお、図面においては、分かりやすくするために、襞部１の厚みを誇張して示 してある。また、６はポット部３の水抜き孔である。

【０００８】

【作用】

かくして、該薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器４は、発泡スチロール製集合 育苗器５と重なり、連結面部２より高くなっている各所にある襞部１のが、収縮 や膨張が起きたときに、襞部１の下端である両脚部の開閉度合いや、その高さを 自動的に調整することによって、全体の伸縮を吸収することができるから、歪む ことはない。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例について説明する。 通常、縦横に区切った該薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器４の製作方法は、 金型の中へ高温で溶かした材料である塩化ビニール、ポリスチレン、ポリエチレ ン等のプラスチツクを吹き込んで作る。本考案では、この金型（図省略）に襞部 １も形成させてある。 なお、薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器４が、図面上では厚めに描かれてい るが、厚さは 0.5mm程度でよい。 また、襞部１の凸状は、図示のような断面が三角形のものが屈折し易く好まし いが、上部が半円状であっても構わないし、高さは薄肉硬質プラスチツク製集合 育苗器４全体の大きさなどで決めればよく、これらは設計上の問題である。

【００１０】 なお、図１にても分かるように、縦横の襞部１の交点部は切り欠きとなってい るが、このようにした方が可撓性があって好ましい。 このようにしてできた薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器４を、別に製作した 発泡スチロール製集合育苗器５へ嵌合させて使用するのである。通常は、両者の 間を接着剤でくっつけている。 このように組み合わせたもののポット部３に土を入れ、ここに野菜などの種を 蒔き、温室内などで育てるのである。

【００１１】

【考案の効果】

集合育苗器の保管時、使用時における温度や湿度などの変化によって、重ね合 わせた集合育苗器が、それぞれ収縮や膨張しても、襞部１が伸び縮みすることに よって両者間の収縮、膨張の差を吸収できるから、薄肉硬質プラスチツク製集合 育苗器４が歪むことがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の斜視図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ´断面図である。

【図３】この考案の実施例の、使用前の状態を示した断
面の説明図である。

【図４】図３のものにおいて、薄肉硬質プラスチツク製
集合育苗器が、発泡スチロール製集合育苗器に対して相
対的に膨張したときの断面の説明図である。

【符号の説明】

１と１´は襞部 ２は連結面部 ３はポット部 ４と４´は薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器 ５は発泡スチロール製集合育苗器

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面に多数のポット部(3) を有する発泡
   スチロール製集合育苗器(5) に、上記多数のポット部
   (3) の内形状及びそれらの配置が上記発泡スチロール製
   集合育苗器(5) と同様なものであって、かつ、上記発泡
   スチロール製集合育苗器(5) へは、上方より嵌合させて
   使用する薄肉硬質プラスチツク製集合育苗器(4) におい
   て、そのポット部(3) 間の連結面部(2) 上の縦横両方向
   に、１条以上の凸状の襞部(1) を形成したことを特徴と
   する移植用苗の集合育苗器。