JP4628526B2 - 無土壌植物栽培用培地構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無土壌植物栽培用培地構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
不定形の粒状物からなる自然、人工の土壌を用いて植物の栽培を行うのでは、土壌の取扱いや施工に不便をきたすことがあり、適用範囲も限られていることから、最近、耐火粘土などを主体とし、植物の生育に必要な透水性と保水性とを兼ね備えた多孔質セラミックからなるブロック状の培地材が提供されている(特許第2971868号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしなから、この植栽用多孔質セラミックブロックでは、保水率がブロックによって一定であるため、そのブロックの保水率にあった水分要求をする植物しか植え付けることができないという問題があった。言い換えれば、植物の水分要求の内容に応じて、その植物の水分要求に合った保水率のブロックを用意しなければならないのである。
【0004】
また、セラミックブロックは、成形できるサイズに制限があり、あまり大きなサイズのものを製作することができない。更に、植物の根がとおる貫通孔や非貫通孔のサイズが小さく、そのため、植栽できる植物の種類に制限があった。また、セラミックブロックは、硬質であり、成形後の加工が難しく、これを所望の自由な形状に加工して使用するということができにくいという問題もあった。また、それ自体、非常に高価であるという問題もあった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、植物の水分要求の違いに容易に対応することができ、また、サイズに制限がなく、各種の植物の植栽に対応することができ、所望の自由な形状に容易に加工して使用することができ、低コストを実現することが可能な無土壌植物栽培用培地構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、透根性と透水性とを有する劣保水性で塊状の土壌代替基材と、
この土壌代替塊状基材と組み合わされる透根性の保水材と
が備えられていることを特徴とする無土壌植物栽培用培地構造によって解決される。
【0007】
この構造では、従来のセラミックブロックに相当する土壌代替塊状基材が、透根性と透水性とを有するが、保水性に劣るものであるから、植物の水分要求に違いがあっても、その水分要求に応じた土壌代替塊状基材を用意するという必要がなく、どのような水分要求をする植物に対してでも、この土壌代替塊状基材を使用して植物の栽培を行うことができる。そして、この土壌代替塊状基材に透根性の保水材が組み合わされることで培地構造を構成するものとなされているから、この保水材の選定によって植物の水分要求に応えていくことができ、植物の水分要求の違いに容易に対応することができる。
【0008】
特に、保水材が不織布からなる場合は、不織布の厚さを変えたり、保水率の異なる不織布を使用することで、植栽しようとする植物の水分要求に容易に応えていくことができる。
【0009】
更に、土壌代替塊状基材から保水性を排除し、保水性は、この土壌代替塊状基材に組み合わされる保水材に担わせる構造であるから、植物の生育に最適な組み合わせ構造を実現していくことができ、植物を長生きさせることができる。
【0010】
上記の土壌代替塊状基材が発泡プラスチック材からなる場合は、この土壌代替塊状基材を大小自由なサイズに成形することができ、大きなサイズの土壌代替塊状基材も製作可能である。しかも、植物の根のサイズに応じた大きな貫通孔や非貫通孔を有する透根性の土壌代替基材を容易に製作することができ、各種の植物の植栽に対応することができる。加えて、発泡プラスチック材からなるので、成形後の加工が容易で、これを所望の自由な形状に加工して使用することが可能であり、また、軽量にして安価である。
【0011】
保水材に水を供給する容器が備えられ、保水材が容器の水と接触し、毛細管現象により容器から吸水して保水する構造となされている場合は、厄介な水撒き作業を排除して、容器に水を貯めておくだけでよいから、灌水作業を容易に行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1(イ)に示す第1実施形態の無土壌植物栽培用培地構造1において、2は土壌代替塊状基材、3は保水材である。土壌代替塊状基材2は、例えばポリプロピレン発泡体などによる発泡プラスチック材からなっており、透根性と透水性は有するが、劣保水性のものに製作されている。保水材3は不織布からなる。
【0014】
本実施形態の無土壌培地構造1は、芝等の地被植物4を植栽の対象としており、土壌代替塊状基材2は盤状に製作され、その上面に、シート状ないしはマット状の不織布3が設置されている。不織布3と基材2とは、単に重ね合わされているだけであってもよいし、接合されていてもよい。
【0015】
この無土壌培地構造1では、不織布3の上に、芝生の種を播いたり、セダム類の摘苗を播いたり、あるいは、マット化された切り芝やセダムを設置し、不織布3に水を含ませることで、これら植物は成長していく。なお、不織布3を用いてマット化した芝などを、不織布を備えない土壌代替塊状基材2の上に設置するようにしてもよい。
【0016】
図1(ロ)に示す第2実施形態の無土壌培地構造1は、ポットを不織布とした不織布苗ポット6を植栽の対象とするもので、同じく発泡プラスチック材からなる盤状の土壌代替塊状基材2に上下方向に貫通する太孔7…があけられ、かつ、基材2の下面側に、太孔7…内に面するように、保水材としての不織布3が組み合わされている。不織布3と基材2とは、単に重ね合わされているだけであってもよいし、接合されていてもよい。
【0017】
この無土壌培地構造1では、不織布苗ポット6を基材2の太孔7内にセットし、基材2の下面側の不織布3に水を含ませることで、この水は、毛細管現象により、この不織布3から不織布ポット6に伝えられ、それにより、ポット6内の植物8に水分が供給される。植物8は、その成長に伴い、根を基材2の内部に延ばしていくことができる。水撒きは、基材2の上から行えばよく、そうすると、水は、基材2の内部を伝って下方に移動していき、下面側の不織布3がこの水を保水する。
【0018】
図1(ハ)に示す第3実施形態の無土壌培地構造1は、差し芽苗9を植栽の対象とするもので、同じく発泡プラスチック材からなる盤状の土壌代替塊状基材2に上下方向に貫通する細孔10…があけられ、かつ、基材2の下面側に、細孔10…内に面するように、保水材である不織布3が組み合わされている。不織布3と基材2とは、単に重ね合わされているだけであってもよいし、接合されていてもよい。
【0019】
この無土壌培地構造1では、差し芽苗9を基材2の細孔10内に挿入してセットすればよい。必要に応じて、細孔10内に培土11を入れ、そこに、差し芽苗9を差すとようにしてセットしてもよい。基材2の下面側の不織布3に水を含ませることで、この不織布3から差し芽苗9に水分が供給され、また、毛細管現象により培土11に水分が補給される。
【0020】
図2(イ)に示す第4実施形態の無土壌培地構造1は、上下の盤状の塊状基材2,2の間に、保水材である不織布3を挟み込んだ構造のものである。図2(ロ)に示す第5実施形態の無土壌培地構造1は、盤状の塊状基材2の上下両側の面に、保水材である不織布3,3を組み合わせた構造のものである。図2(ハ)に示す第6実施形態の無土壌培地構造1は、上下の盤状の塊状基材2,2間に、保水材である不織布3を挟み、更に、下側の塊状基材2の下面側にも、保水材である不織布3を備えさせたものである。いずれの塊状基材2も第1実施形態と同様の発泡プラスチック材からなっている。
【0021】
図2(ニ)に示す第7実施形態は、複数個の塊状基材2…を組み合わせて、これら塊状基材2…にわたるような放物線状の縁部12を形成したものである。基材2は上記と同様の発泡プラスチック材からなっているので、このように、好みの自由な形状に容易に加工することができる。
【0022】
図3(イ)に示す第8実施形態の無土壌培地構造1は、保水材である不織布3が、盤状の塊状基材2の上面と側面と下面とに、連続するように組み合わされている。また、図3(ロ)に示す第9実施形態の無土壌培地構造1は、保水材である不織布3が、盤状の塊状基材2の上面と側面とに連続するように組み合わされ、更に、基材2の下面高さ位置において、この不織布3が外方に突出3aされている。これらの無土壌培地構造では、不織布3に水分を含ませておき、上面側の不織布部分3bの水分が不足すると、側面や下面側の不織布部分3c,3d,3aに含まれている水分が、毛細管現象により、上面側の不織布部分3bに補給される。例えば、図3(ハ)に示すように、容器15に水16をはり、この水16に、第8又は第9実施形態の培地構造における、下面側あるいは下面側から外方に張り出した不織布部分3a,3dを漬けておくことで、上面側の不織布部分3bに水分を補給することができる。水撒きをする必要はなく、ただ、容器15内に水16を足していくだけでよく、灌水作業が容易である。なお、図面では、塊状基材2を水16に浮かせているが、下面が容器15の底に接触するようにしてもよい。
【0023】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の各実施形態では、土壌代替塊状基材として、発泡プラスチック材を使用した場合を示しているが、その他のものが用いられてもよい。要は、透根性と透水性とを有するが、保水性には劣るような塊状の土壌代替基材であればよい。また、保水材として、不織布以外のものが用いられてもよい。また、本発明の培地構造は、屋上緑化や屋根緑化、壁面緑化、バルコニー緑化、育種、遂行栽培などに広く用いることができるものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明の無土壌植物栽培用培地構造及び土壌代替塊状基材は、以上のとおりのものであるから、植物の水分要求の違いに容易に対応することができる。また、製作できるサイズに制限がなく、各種の植物の植栽に対応することができ、所望の自由な形状に容易に加工して使用することができ、低コストも実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図(イ)乃至図(ハ)はそれぞれ第1〜第3実施形態の無土壌培地構造を示す断面図である。
【図2】図(イ)乃至図(ハ)はそれぞれ第4〜第6実施形態の無土壌培地構造を示す断面図、図(ニ)は第7実施形態を示すもので、土壌代替塊状基材の平面図である。
【図3】図(イ)及び図(ロ)はそれぞれ第8及び第9実施形態の無土壌培地構造を示す断面図、図(ハ)はこれら実施形態の無土壌培地構造に、水を入れた容器を組み合わせて構成された無土壌培地構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…無土壌植物栽培用培地構造
2…土壌代替塊状基材(発泡プラスチック材)
3…不織布(保水材)
15…容器
16…水

Claims (4)

  1. 透根性と透水性とを有する劣保水性で塊状の土壌代替基材と、
    この土壌代替塊状基材の少なくとも上面部と側面部とに連続するように組み合わされ透根性の保水材と
    水を収容する容器と
    が備えられ
    前記土壌代替基材が、容器内の水の水面より上方に突出すると共に、保水材を容器内の水と接触させるように、容器内の水に漬けられ、容器内の水が、毛細管現象により、土壌代替基材の側面側の保水材部分を通じて、土壌代替基材の上面側の保水材部分に補給されるようになされていることを特徴とする無土壌植物栽培用培地構造。
  2. 前記土壌代替基材が容器内の水に浮かばされている請求項1に記載の無土壌植物栽培用培地構造。
  3. 前記土壌代替塊状基材が発泡プラスチック材からなる請求項1又は2に記載の無土壌植物栽培用培地構造。
  4. 前記保水材が不織布からなる請求項1乃至3のいずれか一に記載の無土壌植物栽培用培地構造
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