JPH07182817A - 光ディスク用ハブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光ディスク用ハブの成形後の冷却時における
応力歪に起因するハブの変形やクラックの発生を防止す
る。 【構成】 合成樹脂よりなる樹脂環状体２と、その一方
の板面に同軸的に設けられた磁性材料よりなる磁性環状
体３とを備えるハブ１において、樹脂環状体２の磁性環
状体配設面と反対側の板面に周方向に延在する凹部４を
設ける。 【効果】 凹部４が射出成形後の冷却時における合成樹
脂と磁性材料との熱収縮率の差に起因して発生する応力
の緩衝部として作用し、応力歪によるハブの変形やクラ
ックの発生が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は光ディスク用ハブに関す
る。詳しくは、光ディスクのドライブ装置にマグネット
クランプ方式で磁気的に光ディスクを固定するために光
ディスクの中心部に取り付けられるハブに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、各種情報信号の記録媒体として光
磁気ディスク等の光ディスクが用いられている。

【０００３】この種の光ディスクは、一般に、中心にス
ピンドル挿通孔が設けられた透明な合成樹脂からなる円
板状基板の表面に記録層を形成したものとなっている。

【０００４】このような光ディスクは、ドライブ装置に
掛けられ、回転しつつ記録、再生が行われるものである
から、この記録、再生に当っては光ディスクをドライブ
装置に確実に固定する必要がある。

【０００５】このため、ドライブ装置には光ディスクを
磁気的に固定するためのマグネットクランプが設けら
れ、一方、光ディスクには、このマグネットクランプに
光ディスクを磁気的に引き付けさせるための磁性体とし
てのハブが取り付けられている。

【０００６】即ち、光ディスク表面のスピンドル挿通孔
の周囲に、環状の磁性体（磁石に吸い付く性質を有する
もの）を有するハブを取り付け、このハブの環状磁性体
をドライブ装置のマグネットクランプ内に設けられたマ
グネット（磁石）により、引き付けて光ディスクをドラ
イブ装置に固定する。

【０００７】従来、光ディスクのマグネットクランプ用
ハブとしては、合成樹脂よりなる環形かつ薄板状の樹脂
環状体の一方の板面に金属よりなる環形かつ薄板状の磁
性環状体を接着剤や一体成形により取り付けたものが用
いられている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のハブのう
ち、磁性環状体を射出成形によって樹脂環状体に一体成
形したものにおいては、成形後の冷却時における合成樹
脂と磁性材料の金属との熱収縮率の差に起因した応力歪
により、ハブの変形（反り）やクラックの発生が起こり
易く、ハブの中心孔の精度が出にくいという問題があっ
た。

【０００９】本発明は上記従来の一体成形によるハブの
問題点を解決し、成形後の冷却時における応力歪に起因
するハブの変形やクラックの発生が防止され、中心孔の
精度の向上した光ディスク用ハブを提供することを目的
とする

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１の光ディスク用
ハブは、中心にスピンドル挿通孔が設けられた円板状の
光ディスクの中心部に取り付けられるマグネットクラン
プ用のハブであって、合成樹脂よりなる環状かつ薄板状
の樹脂環状体と、該樹脂環状体の一方の板面に設けられ
た磁性材料よりなる環状かつ薄板状の磁性環状体と、を
備えてなり、該磁性環状体は該樹脂環状体と同軸的に配
置されている光ディスク用ハブにおいて、該樹脂環状体
の他方の板面に、周方向に延在する凹部を設けたことを
特徴とする。

【００１１】請求項２の光ディスク用ハブは、請求項１
において、前記凹部は該樹脂環状体の厚み方向の途中ま
で達する深さのものであり、該凹部は周回環状に設けら
れていることを特徴とする。

【００１２】請求項３の光ディスク用ハブは、請求項１
において、前記凹部は該樹脂環状体を貫通して前記磁性
環状体に達する深さに設けられ、これによって該樹脂環
状体は凹部よりも内周側の内環部と凹部よりも外側の外
環部とに分けられており、且つこの内環部と外環部とが
合成樹脂製の橋絡部によって連結されていることを特徴
とする。

【００１３】

【作用】本発明の光ディスク用ハブにあっては、樹脂環
状体の磁性環状体配設面と反対側の板面に設けられた周
方向に延在する凹部が、射出成形後の冷却時における合
成樹脂と磁性材料との熱収縮率の差に起因して発生する
応力の緩衝部として作用し、応力歪によるハブの変形や
クラックの発生が防止される。

【００１４】即ち、射出成形における冷却時において、
樹脂環状体を構成する合成樹脂材料は磁性環状体を構成
する磁性材料に比べて著しく大きく収縮する。このた
め、本発明に係る凹部を樹脂環状体に設けていないハブ
では、樹脂環状体側にハブの中心に向う半径方向の大き
な応力が生じ、樹脂環状体側に凹反り変形してしまう。

【００１５】特に、ハブの中心孔に歪みが生じてしま
い、クランプの際に中心がずれてしまうという問題も発
生する。

【００１６】これに対して、樹脂環状体の板面に周方向
に延在する凹部を設けることにより、上記樹脂環状体の
中心に向う半径方向の応力がこの凹部で分断されこの応
力が小さくなる。これにより、ハブの凹反りや中心の歪
みが防止される。

【００１７】請求項２では、樹脂環状体に設ける周方向
に延在する凹部が樹脂環状体の厚み方向の途中まで達す
る深さのものであり、周回環状に設けられた凹部を挟ん
だ内周側及び外周側の樹脂の一体性が高い。

【００１８】請求項３では、凹部は樹脂環状体を貫通し
て磁性環状体に達する深さに設けられ、これによって樹
脂環状体は凹部よりも内周側の内環部と凹部よりも外側
の外環部とに分けられているため、樹脂の収縮応力の伝
播がこの凹部によってほぼ完全に阻止される。これによ
り、ハブの凹反りが確実に防止される。なお、この内環
部と外環部とは、合成樹脂製の橋絡部によって連結され
ているので、樹脂環状体は全体として一体のものとなっ
ている。

【００１９】

【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。第１図は本発明の光ディスク用ハブの一実施例を示
す縦断面図、第２図は同平面図であり、第２図において
は第１図よりも若干縮小して示してある。第３図は第
１，２図に示す光ディスク用ハブを取り付けた光ディス
クのドライブ装置への固定状態を示す縦断面図である。

【００２０】第１，２図に示す光ディスク用ハブ１は、
合成樹脂よりなる環形かつ薄板状の樹脂環状体２の一方
の板面に、磁性材料よりなる環形かつ薄板状の磁性環状
体３が同軸的に設けられたものである。樹脂環状体２の
他方の板面には、周方向に延在する凹部４が設けられて
いる。この凹部４は樹脂環状体２の厚み方向の途中まで
達する深さのものであり、凹部４は周回環状に設けられ
ている。この凹部４は、樹脂環状体２の内周縁の近傍に
設けられている。５はスピンドル挿通孔である。

【００２１】磁性環状体３の内周縁部には、その外面か
ら凹陥する段部３Ａが周設されており、この段部３Ａに
樹脂環状体２を構成する合成樹脂が入り込むように鍔状
部２Ａが形成されている。そして、磁性環状体３の外面
から立ち下がる段部３Ａの立下り面３Ｂと、この段部３
Ａに入り込んだ合成樹脂の鍔状部２Ａの端面２Ｂとの間
には間隙６が形成されている。

【００２２】このような光ディスク用ハブ１は、金型内
の所定位置に予め磁性環状体３を配置しておき、この金
型のキャビティ内にポリカーボネート樹脂等の溶融合成
樹脂材料を射出充填する射出成形による一体成形で製造
されるが、この成形に当り、樹脂環状体２の磁性環状体
３配設面と反対側の板面に周方向に延在するように設け
られた凹部４が、射出成形後の冷却時における合成樹脂
と磁性材料との熱収縮率の差に起因して発生する応力の
緩衝部として作用し、応力歪によるハブの変形やクラッ
クの発生が防止される。特に、スピンドル挿通孔の歪み
がなくなり、寸法精度が向上することは大きな効果であ
る。

【００２３】このような光ディスク用ハブ１は、第３図
に示す如く、表面に記録層７を形成した２枚の基板８を
記録層７が対面するようにスペーサ９を介して接着する
などして組み立てられた光ディスク１０の両面の中心部
にそれぞれ取り付けられる。この際、光ディスク用ハブ
１は、樹脂環状体２の凹部４形成側の接着面（第１，２
図の内周側接着面２ａ’及び外周側接着面２ｂ’）が、
光ディスク１０の基板８に接着剤で接着されることによ
り取り付けられる。

【００２４】この光ディスク１０は、ドライブ装置のス
ピンドル１１がスピンドル挿通孔１０Ａに挿通されて位
置決めされると共に、マグネットクランプ１２のマグネ
ット１３で光ディスク用ハブ１の磁性環状体３が吸引さ
れることにより固定されて記録、再生がなされる。

【００２５】第４図は本発明の他の実施例に係る光ディ
スク用ハブの平面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線に沿う
断面図である。なお、第４，５図において、第１，２図
に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付し
てある。

【００２６】本実施例では、樹脂環状体の板面に形成す
る凹部４Ａは、樹脂環状体２を貫通して磁性環状体３に
達する深さに設けられている。この凹部４Ａにより、樹
脂環状体２は、内環部２ａと外環部２ｂとに分けられて
いる。この内環部２ａと外環部２ｂとは、橋絡部４Ｂに
よって一体に連結されている。

【００２７】このような凹部４Ａを設けると、樹脂の収
縮応力の外環部２ｂから内環部２ａへの伝播はほぼ完全
に阻止され、ハブ１Ａの凹反り変形が確実に防止され
る。

【００２８】なお、この橋絡部４Ｂは、内環部２ａ及び
外環部２ｂとを共に同一合成樹脂により一体成形にて形
成されている。

【００２９】本発明において、このような凹部の形成位
置や幅、深さには特に制限はなく、応力の分断が効果的
になされる範囲であれば良いが、通常の場合、外径２．
５ｍｍ程のハブであれば、凹部外径が１２〜２１ｍｍ、
凹部内径が２０〜６ｍｍ程度で、深さ０．１〜２．０ｍ
ｍ程度の大きさの凹部を設けるのが好ましい。

【００３０】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の光ディスク
用ハブによれば、樹脂環状体に設けた凹部が射出成形後
の冷却時における合成樹脂と磁性材料との熱収縮率の差
に起因して発生する応力の緩衝部として作用し、応力歪
によるハブの変形やクラックの発生が防止され、形状安
定性、特に、スピンドル挿通孔の寸法精度が向上し、品
質安定性に優れた光ディスク用ハブが提供される。

【００３１】請求項２の光ディスク用ハブは、樹脂環状
体の全体的な一体性が高く、樹脂環状体の強度が高い。

【００３２】請求項３の光ディスク用ハブによれば、ハ
ブの変形、クラックの発生はより一層確実に防止され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ディスク用ハブの一実施例を示す縦
断面図である。

【図２】第１図に示す光ディスク用ハブの平面図であ
る。

【図３】第１，２図に示す光ディスク用ハブを取り付け
た光ディスクのドライブ装置への固定状態を示す縦断面
図である。

【図４】本発明の光ディスク用ハブの他の実施例を示す
平面図である。

【図５】第４図のＶ−Ｖ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１，１Ａ 光ディスク用ハブ ２ 樹脂環状体 ３ 磁性環状体 ４，４Ａ 凹部 ４Ｂ 橋絡部 ５，１０Ａ スピンドル挿通孔 ６ 間隙 ７ 記録層 ８ 基板 ９ スペーサ １０ 光ディスク １１ スピンドル １２ マグネットクランプ １３ マグネット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心にスピンドル挿通孔が設けられた円
   板状の光ディスクの中心部に取り付けられるマグネット
   クランプ用のハブであって、 合成樹脂よりなる環状かつ薄板状の樹脂環状体と、 該樹脂環状体の一方の板面に設けられた磁性材料よりな
   る環状かつ薄板状の磁性環状体と、 を備えてなり、該磁性環状体は該樹脂環状体と同軸的に
   配置されている光ディスク用ハブにおいて、 該樹脂環状体の他方の板面に、周方向に延在する凹部を
   設けたことを特徴とする光ディスク用ハブ。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記凹部は該樹脂環
   状体の厚み方向の途中まで達する深さのものであり、該
   凹部は周回環状に設けられていることを特徴とする光デ
   ィスク用ハブ。
3. 【請求項３】 請求項１において、前記凹部は該樹脂環
   状体を貫通して前記磁性環状体に達する深さに設けら
   れ、これによって該樹脂環状体は凹部よりも内周側の内
   環部と凹部よりも外側の外環部とに分けられており、且
   つこの内環部と外環部とが合成樹脂製の橋絡部によって
   連結されていることを特徴とする光ディスク用ハブ。