JPH07181614A - ハロゲン化銀乳剤の製造方法及び該ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法及び該ハロゲン化銀乳剤を用いたハロゲン化銀写真感光材料

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JPH07181614A
JPH07181614A JP32818193A JP32818193A JPH07181614A JP H07181614 A JPH07181614 A JP H07181614A JP 32818193 A JP32818193 A JP 32818193A JP 32818193 A JP32818193 A JP 32818193A JP H07181614 A JPH07181614 A JP H07181614A
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gelatin
sensitizing dye
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Kiichi Sato
希一 佐藤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カブリ安定性に優れ、高温高湿条件下での経
時安定性に優れたハロゲン化銀乳剤の製造方法の提供、
又そのような効果を有するハロゲン化銀写真感光材料の
提供。 【構成】 (1)ハロゲン化銀乳剤の製造方法におい
て、アデニン含有量が0.2ppm以下であるゼラチンの存在
下でハロゲン化銀粒子が形成され、かつ化学熟成から塗
布までの過程のなかで、実質的に水不溶性の写真用分光
増感色素を有機溶媒を使わずに固体状態で添加し、かつ
微粒子沃化銀を添加することにより調製することを特徴
とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (2)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層
を有する写真感光材料において、上記(1)の製造方法
により製造されたハロゲン化銀乳剤を含有する層を少な
くとも1層有することを特徴とするハロゲン化銀写真感
光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロゲン化銀乳剤の製
造方法及びハロゲン化銀写真感光材料に関し、更に詳し
くは、感度及びカブリに優れ、耐熱性及び経時安定性に
優れたハロゲン化銀乳剤の製造方法及びハロゲン化銀写
真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年ハロゲン化銀写真感光材料の高感度
化、高画質化に対する要請は益々強まっている。そし
て、ハロゲン化銀写真感光材料の高感度化、高画質化に
対しての支配的因子の1つはハロゲン化銀粒子であり、
より高感度化、より高画質化を目指したハロゲン化銀粒
子の開発が当業界では進められて来た。
【0003】また、ハロゲン化銀粒子の分散媒として用
いられるゼラチンは、その微量に存在する不純物が、ハ
ロゲン化銀粒子に吸着し、しばしば性能劣化を齎すこと
が知られている。そこで、これら不純物を含まないイナ
ートゼラチンの開発が研究されており、例えば特開平3-
171132号、同3-242343号、同3-239241号等に開示されて
いる。しかし、これらのイナートゼラチンを用いても、
写真性能の点を考慮すると未だ、そのイナート化は不十
分であり更なる性能向上が望まれている。
【0004】一方、取扱いの簡便さと安価であることか
ら、需要が高まっているレンズ付きフィルムは簡便なゆ
えユーザーの使用条件が、砂浜、プールサイド或いは雨
の中等、撮影条件がより過酷な場合が多く、高温、高湿
条件下での経時保存性の向上の必要性がますます増大し
てきている。特開平4-42223号には、経時保存性の改良
を目的として、沃臭化銀乳剤に微粒子沃化銀を添加する
方法が開示されている。しかしこの方法ではハロゲン化
銀粒子表面への増感色素の吸着性を高めて高温高湿条件
下での増感色素の脱着を減少させる効果は認められるも
のの有機溶媒に溶解した増感色素を用いるために以下の
ような問題が生じている。
【0005】即ち、ハロゲン化銀乳剤に種々の水不溶性
写真用添加剤を導入する場合、従来は、写真用添加剤を
メタノール等の有機溶媒に溶解し、その溶液をハロゲン
化銀乳剤に添加する方法が一般的に広く行われていた。
しかしながら、一般にハロゲン化銀乳剤の製造は高温で
行われているために多量の有機溶媒を用いると、作業者
への有害性といった環境上の問題を生じていた。
【0006】また、高感度の乳剤、あるいはカブリ上昇
を伴い易い乳剤によって構成された感光材料は、カブリ
が発生し易く、粒状性の悪化などを生ずる。これらを防
止する手段として、従来カブリ防止剤又は安定剤をハロ
ゲン化銀乳剤に添加することが知られている。これら添
加剤の代表的なものに、例えば5-メルカプトテトラゾー
ル類或いはアザインデン類などがある。しかしながら、
これらの化合物は経時保存時のカブリ抑制効果が必ずし
も十分でなく、感度低下や階調の軟化を招くなどの欠点
があって満足するに至らない。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は上記の諸問題を解決した、カブリ安定性に優れ、高温
高湿条件下での経時安定性に優れたハロゲン化銀乳剤の
製造方法を提供することであり、又そのような効果を有
するハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)(請求項1の発明である乳剤製造方法)及び
(2)(請求項2の発明であるハロゲン化銀写真感光材
料)により達成された。
【0009】(1)ハロゲン化銀乳剤の製造方法におい
て、アデニン含有量が0.2ppm以下であるゼラチンの存在
下でハロゲン化銀粒子が形成され、かつ化学熟成から塗
布までの過程のなかで、実質的に水不溶性の写真用分光
増感色素を有機溶媒を使わずに固体状態で添加し、かつ
微粒子沃化銀を添加することにより調製することを特徴
とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0010】(2)支持体上に少なくとも1層のハロゲ
ン化銀乳剤層を有する写真感光材料において、上記
(1)の製造方法により製造されたハロゲン化銀乳剤を
含有する層を少なくとも1層有することを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0011】以下具体的に説明する。本発明において
は、ハロゲン化銀粒子の形成工程ではアデニンの含有量
が0.2ppm以下であるゼラチンが用いられる。ゼラチン中
のアデニン含有量は写真用ゼラチン試験法(写真用ゼラ
チン試験法合同審議会刊、第7版)に記載されてある、
アデニン含量(項目 19、27〜28頁)により定量分析し
た。
【0012】一般のゼラチンの製造方法は、例えば日本
写真学会編、写真工業の基礎・銀塩写真編(コロナ社
刊、122〜124頁)にもあるように、ゼラチンは、動物の
結合組織の主成分であるコラーゲンから製造され、写真
用ゼラチンの原料としては、牛骨、牛皮、豚皮等が挙げ
られるが、牛骨、牛皮を用いるのが一般的である。
【0013】又、コラーゲンの処理方法として酸処理法
と石灰処理法の2種類の方法が存在するが、写真用ゼラ
チンとしては石灰処理法を用いるのが一般的であり、本
発明に係るゼラチンにおいても石灰処理法を用いるのが
好ましい。
【0014】一例として、牛骨から石灰処理により写真
用ゼラチンを製造する場合、通常、脱灰・石灰処理・抽
出・濾過・濃縮・ゲル化・乾燥のプロセスを経る。乾燥
した牛骨を4〜8日程度希塩酸溶液に漬け脱灰を施し、
水洗、中和を経て、ケラチン等を除くために牛の皮や骨
を2〜3ケ月飽和石灰水中に石灰漬した後、水洗、中和
を経て50〜60℃位の湯で6〜8時間抽出(1番抽出)を
行い、その後5〜10℃程度高い湯を加え、2、3と抽出
を行う。抽出後、濾過工程を経て減圧下で一般に60℃以
下の温度にて濃縮し、冷却、ゲル化を経て、25℃位で乾
燥して作る。
【0015】本発明に係るゼラチンは上記の製造方法に
おいてゼラチン抽出温度を40〜60℃に特定したものを用
い、濾過工程後、陽イオン及び陰イオン交換樹脂にゼラ
チンを通すことによって達成される。この際イオン交換
処理では、陽イオン交換樹脂による処理と陰イオン交換
樹脂による処理の両方を行う。
【0016】また、ゼラチンの原料として、牛骨のハー
ドボーンの部分を用いるのが好ましい。脱イオン工程は
ゼラチン抽出工程後のどこで行ってもよいが、濾過工程
後に行うのが好ましい。
【0017】イオン交換樹脂としては陽イオン交換基と
して−H型、−Na型のもの、陰イオン交換基として−OH
型、−Cl型のものがあるが、陽イオン交換基として−H
型また陰イオン交換基として−OH型のものが好ましい。
イオン交換の処理時間は、イオン交換樹脂処理が充分に
行われてゼラチン溶液からイオン成分が無くなり、ゼラ
チン溶液のpH値がおよそ4.9〜5.3程度になるようにイ
オン交換樹脂の使用量及び処理時間を定めるのが好まし
い。また処理を行う順番として、先に陽イオン交換樹脂
処理を行うのが好ましい。さらに、イオン交換処理を行
ったゼラチン溶液は、通常のpH調整剤でpH値を調整し
てもよいが、調整せず等電点のpHのままが好ましい。
【0018】また、本発明のゼラチン中のアデニンの含
有量としては0.1ppm以下が好ましく、さらに好ましくは
0.05ppm以下がよい。
【0019】本発明に係るハロゲン化銀粒子の形成工程
とは、ハロゲン化銀写真乳剤の調製工程として (1)ハロゲン化銀粒子の結晶核を生成する核粒子生成
工程 (2)該核粒子を肥大させるための結晶成長工程 が一連の工程とした時をいうが、本発明の効果を有効に
発現させる為には、上記(2)の工程に対して、本発明
のゼラチンを添加することが好ましい。さらに、本発明
のゼラチンの添加量としては、0.1〜12.0mg/銀モルが
好ましく、さらに好ましくは1.4〜5.7mg/銀モルがよ
い。
【0020】本発明において、特定の乳剤に対して微粒
子沃化銀を添加して乳剤を得るのであるが、以下の記載
において微粒子沃化銀が添加される母体となる上記ハロ
ゲン化銀乳剤のことを、「マザー乳剤」と呼ぶこととす
る。
【0021】マザー乳剤が含有するハロゲン化銀粒子の
コアは、沃臭化銀から実質的に成るが、これは、沃化銀
を5モル%以上含有する沃臭化銀から実質的に成るコア
であることが好ましい。該ハロゲン化銀粒子は、該コア
を被覆し、沃化銀含有率がコアの沃化銀含有率よりも低
い沃臭化銀又は臭化銀から実質的に成るシェルによっ
て、構成される。コアの沃化銀含有率は10モル%以上で
あることが更に好ましく、20モル%以上44モル%以下で
あることが最も好ましい。シェルの沃化銀含有率は、5
モル%以下であることが好ましく、最も好ましくは0〜
2.5モル%である。
【0022】該コアは、沃化銀を均一に含んでいてもよ
いし、又、沃化銀含有率の異なる相から成る多重構造を
もっていてもよい。後者の場合には、沃化銀含有率の最
も高い沃化銀含有率が5モル%以上であることが好まし
く、更に好ましくは10モル%以上であることが良い。か
つ、シェルの沃化銀含有率は、コアの最高沃化銀含有率
相のそれよりも低ければよい。このようなコア/シェル
型ハロゲン化銀粒子においては、沃化銀含有率の高い層
から含有率の低い層への含有率の差による傾斜は、シャ
ープな境界を有するものでもよく、又、境界の必ずしも
明確でない連続して変化するものであってもよい。又、
高感度かつ高画質を両立させるためには前者の方が好ま
しい。
【0023】このような二重構造化により、現像速度の
遅れを招くことなく高沃化銀含有率の沃臭化銀乳剤を用
いることが可能になり、少ない塗布銀量でも優れた粒状
性と高い発色性をもたらすように感光材料を構成でき
る。
【0024】マザー乳剤は、その個々の沃臭化銀粒子の
沃化銀含有率の相対標準偏差が20%以下のものである。
マザー乳剤は、粒子間の沃素含有率が更により均一にな
っていることが好ましい。
【0025】個々のハロゲン化銀粒子の沃化銀含有率が
均一であることは、化学増感、分光増感の均一性の観点
からも、好ましい。
【0026】マザー乳剤における個々のハロゲン化銀粒
子の沃化銀含有率、及び平均沃化銀含有率は、EPMA
法(Electron Probe Micro Analyzer法)を用いること
により求めることができる。
【0027】この方法は、乳剤粒子を互いに接触しない
ように良く分散したサンプルを作製し、電子ビームを照
射する電子線励起によるX線分析により極微小な部分の
元素分析を行う技術である。
【0028】この方法により、各粒子から放射される銀
及び沃素の特性X線強度を求めることにより、個々の粒
子のハロゲン組成が決定できる。
【0029】少なくとも50個の粒子についてEPMA法
により沃化銀含有率を求めれば、それらの平均から平均
沃化銀含有率を求めることができる。
【0030】測定に用いる装置は特に特殊な仕様は必要
ではないが、後記する本発明の実施例では、日本電子
(株)製X線マイクロアナライザーJXA−8621を用い
て、乳剤の沃化銀含有率を測定した。測定は、電子線ダ
メージを除くために、低温に冷却して行った。
【0031】又、個々の粒子の沃化銀含有率の相対標準
偏差は、上記測定における少なくとも50個の乳剤粒子の
沃化銀含有率を測定した際の沃化銀含有率の標準偏差を
平均沃化銀含有率で除した値に100を乗じて得られる値
である。
【0032】マザー乳剤は、この値が20%以下、即ちE
PMA法により粒子間の沃素含有率の分布を測定した時
に、相対標準偏差が20%以下であることを要するが、前
記したように個々の粒子の沃化銀含有率は更に均一であ
ることが好ましく、この値は更に15%以下、特に10%以
下であることが好ましい。
【0033】上記のような沃化銀含有率の均一性の良好
な乳剤は各種の均一性向上手段によって達成でき、例え
ばハロゲン化銀乳剤の製造条件の工夫によって達成でき
る。例えば、特開平2-167537号に示されるように沃化銀
微粒子で沃素イオンを供給する乳剤製造方法や、特開平
1-183417号に示されるような沃臭化銀微粒子をオストワ
ルド熟成によって種粒子に成長させる方法が有用であ
る。
【0034】マザー乳剤を構成するハロゲン化銀として
好ましいハロゲン化銀は、30モル%以下の沃化銀を含む
沃臭化銀である。特に好ましいのは、2モル%から20モ
ル%までの沃化銀を含む沃臭化銀である。
【0035】又、高感度かつ高画質を両立させるために
は特開昭60-128443号公報に記載されているように、全
乳剤層のハロゲン化銀の平均沃化銀含有率3モル%以上
にするのが好ましい。
【0036】ハロゲン化銀の平均沃化銀含有率を上げる
と粒状性が顕著に改良されることが知られているが、あ
る程度以上の沃化銀含有率になると、現像速度の遅れ、
脱銀、定着速度の遅れなどの欠点が出てくる。この点、
前記したようにこのマザー乳剤はこれを克服し、平均沃
化銀含有率を大きくできて、しかもこのような問題が解
決されたものである。
【0037】本発明に用いられる実質的に水不溶性の写
真用分光増感色素とは、有機溶媒が存在しない水系中で
27℃における溶解度が2×10-4〜4×10-2モル/リット
ルである分光増感色素である。本発明では、これらの分
光増感色素を溶解度を越える量添加して機械的に1μm
以下の固体微粒子に分散したものが前記マザー乳剤に添
加される。
【0038】有機染料を水性媒体中で機械的に分散する
技術は、特開平3-288842号において知られている。しか
しこの方法は、有機染料を写真感光材料中にて耐拡散化
とするためのものであり、単なる分散添加法にすぎな
い。これに対し、本発明は写真用分光増感色素をハロゲ
ン化銀粒子表面に均質かつ有効に吸着させるためになさ
れたものであり、単に分散して添加するためだけの上記
技術とは、目的効果とも異なるものである。
【0039】本発明において実質的に有機溶剤が存在し
ない水系とは、ハロゲン化銀写真乳剤に悪影響を及ぼさ
ない程度以下の不純物を含有する水であり、より好まし
くはイオン交換水をいう。
【0040】本発明における分光増感色素の水に対する
溶解度は、2×10-4〜4×10-2モル/リットルである
が、より好ましくは1×10-3〜4×10-2モル/リットル
である。 即ち、溶解度がこの領域よりも低いと、分散
粒径が非常に大きく、かつ、不均一になるため、分散終
了後に分散物の沈降が生じたり、分散物をハロゲン化銀
乳剤に添加した時に、色素のハロゲン化銀への吸着過程
に支障をきたすことがわかった。
【0041】又、溶解度がこの領域よりも高い場合に
は、分散物の粘度が必要以上に増大し、気泡を巻き込ん
で分散に支障をきたし、更に高い溶解度では分散が不可
能になってしまうことが、本発明者らの研究から明らか
となっている。
【0042】又、本発明における分光増感色素とは、ハ
ロゲン化銀に吸着した時に、光励起された際、ハロゲン
化銀に対して電子移動を起こすものをいい、有機染料は
含まれない。
【0043】本発明の分光増感色素は水に対する溶解度
が2×10-4〜4×10-2モル/リットルの範囲内であれば
どんなものでもよく、好ましくはシアニン色素である。
より好ましくは親水性基(例えば−SO3H,−COOHなど)
をもつシアニン色素である。
【0044】以下に、本発明に用いられる分光増感色素
の代表的な具体例と、その水に対する溶解度を示す。
【0045】
【化1】
【0046】
【化2】
【0047】
【化3】
【0048】本発明において分光増感色素を水系溶媒中
にて機械的に粉砕、分散するには種々の分散機が有効に
用いられる。具体的には、高速撹拌機、ボールミル、サ
ンドミル、コロイドミル、アトライター、超音波分散機
等が用いられる。本発明においては高速撹拌機が好まし
い。
【0049】高速撹拌型分散機は、垂直軸に複数個のイ
ンペラーを装着したディゾルバー、あるいは複数の垂直
軸を設けた多軸ディゾルバーを有したものであってもよ
い。又、ディゾルバー単独のものの他、他にアンカー翼
を有した高速撹拌型分散機はより好ましいものである。
【0050】前記、本発明の分光増感色素の分散物は、
マザー乳剤に対して、化学熟成から塗布までの過程で添
加される。ここで化学熟成から塗布までの過程とは、化
学熟成中を含み、かつ、その後感光材料を構成するため
に塗布に供せられる迄の間を意味する。
【0051】具体的な作業例としては、温度調節が可能
なタンクに水を入れた後、分光増感色素の粉体を一定量
入れ、高速撹拌機にて、温度制御のもとで一定時間撹拌
し、粉砕、分散する。又、分光増感色素を機械的に分散
する時のpHや温度は特に問わないが、低温下では、長
時間分散を行っても所望の粒径に達せず、高温下では再
凝集あるいは分解などが生じて、所望の写真性能を得る
ことができないという問題点や、温度を上げると溶液系
の粘度が低下するため固体の粉砕及び分散の効率を大き
く低下させる等の問題点がある。よって分散温度は15〜
50℃であることがより好ましい。さらに分散時の撹拌回
転数は、低回転数では所望の粒径を得るのに長時間を要
し、又、高回転数では気泡を巻き込み分散効率を低下さ
せてしまうので、1000〜6000rpmで分散することがより
好ましい。
【0052】本発明の方法によって分散した分光増感色
素の固体微粒子が1μm以下であるとは、球相当の体積
平径による粒子サイズが1μm以下であることを意味
し、一般的な方法で測定できる。
【0053】又、本発明でいう分散物とは、分光増感色
素の懸濁液のことをいい、好ましくは懸濁液中の分光増
感色素の重量比率が0.2%〜5.0%のものが用いられる。
【0054】本発明によって調製された分光増感色素の
分散物は、ハロゲン化銀乳剤に直接添加してもよいし、
適当に希釈して添加してもよいが、この時の希釈液には
水を用いる。
【0055】本発明のマザー乳剤には、微粒子沃化銀が
添加される。沃化銀に関しては、一般に立方晶系のγ-
AgIと六方晶系のβ-AgIが知られているが、本発明
に用いる微粒子沃化銀としては、いずれの結晶構造であ
ってもよく、又、これらの混合物であってもよい。
【0056】本発明で用いる微粒子ハロゲン化銀は単分
散性が良好であることが好ましく、ダブルジェット法に
より、温度、pH、pAgを制御しながら調製することが好
ましい。
【0057】微粒子沃化銀の粒子サイズとしては、0.2
μm以下が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1μmであ
る。
【0058】次に、微粒子沃化銀粒子の添加量に関して
述べる。
【0059】微粒子沃化銀粒子の添加量は、マザー乳剤
の平均粒径をd(μm)としたとき、マザー乳剤1モル
当たり1/100dモル以下が好ましく、更にはマザー乳剤
1モル当たり1/20000d〜1/300dモルの範囲が好まし
く、最も好ましくは、マザー乳剤1モル当たり1/5000d
〜1/500dモルである。
【0060】微粒子沃化銀の添加時期は、化学熟成工程
から塗布の直前までのいずれかの工程であればよいが、
好ましくは化学熟成工程での添加である。ここで言う化
学熟成工程とは、マザー乳剤の物理熟成及び脱塩操作が
終了した時点から、化学増感剤を添加し、その後化学熟
成を停止するための操作を施した時点までの間を指す。
【0061】尚、化学熟成を終了させる方法としては、
温度を下げる方法、pHを下げる方法、化学熟成停止剤
を用いる方法等が知られているが、乳剤の安定性等を考
慮すると、化学熟成停止剤を用いる方法が好ましい。こ
の化学熟成停止剤としては、ハロゲン化物(例えば臭化
カリウム、塩化ナトリウム等)、カブリ防止剤又は安定
剤として知られている有機化合物(4-ヒドロキシ-6-メ
チル-1,3,3a,7-テトラザインデン等)が知られている。
これらは単独でもしくは複数の化合物を併用して用いら
れている。
【0062】又、微粒子沃化銀の添加は、時間間隔をと
って数回に分けて行ってもよいし、微粒子沃化銀の添加
後に、更に別の化学熟成済み乳剤を加えてもよい。
【0063】微粒子沃化銀を添加する際のマザー乳剤液
の温度は、30〜80℃の範囲が好ましく、更には40〜65℃
の範囲が特に好ましい。
【0064】又、本発明は添加する微粒子沃化銀が添加
後、塗布直前までの間に一部もしくは全部が消失する条
件で実施されることが好ましく、更に好ましい条件は添
加した微粒子ハロゲン化銀の20%以上が塗布直前におい
て消失していることである。尚、消失量の定量は、微粒
子沃化銀添加後の乳剤又は塗布液を適当な条件で遠心分
離を行った後、上澄み液の吸収スペクトル測定を行い、
即知濃度の微粒子沃化銀液の吸収スペクトルと比較する
ことにより行うことができる。
【0065】以下本発明のハロゲン化銀写真感光材料
(以下適宜「本発明の感光材料」とも称する)について
説明する。
【0066】本発明の感光材料を構成するために、必要
に応じて前記本発明の乳剤以外の乳剤を併用することが
できる。この場合併用する乳剤のハロゲン化銀組成は任
意であり、例えば、臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩
臭化銀又は塩化銀等、又はこれらの混合物のいずれを用
いてもよい。
【0067】本発明の乳剤、及びこれを得るためのマザ
ー乳剤、又は必要に応じて併用する本発明以外の乳剤
(以下総称して「本発明に用いる乳剤」と称する)とし
ては、下記に定義する単分散性のものが好ましい。即
ち、ここでは次式で定義されるように、粒径の標準偏差
を平均粒径で割った値に100を乗じた値(以下、この値
を変動係数と呼ぶ)が16以下の場合を単分散性と称し、
この意味での単分散性乳剤であることが好ましい。
【0068】(標準偏差/平均粒径)×100≦16% 本発明に用いる乳剤、例えば上記単分散性の乳剤中のハ
ロゲン化銀粒子の形状は、立方体、八面体、十四面体の
ようなものでもよく、又球状、板状などのようなもので
もよく、任意である。
【0069】本発明の感光材料を構成する場合におい
て、ハロゲン化銀乳剤は一般に、物理熟成及び分光増感
を行ったものを使用する。このような工程で使用される
添加剤は、リサーチ・ディスクロージャNo.17643,No.1
8716及びNo.308119(それぞれ、以下RD17643,RD18716及
びRD308119と略す)に記載されている。
【0070】以下に記載箇所を示す。
【0071】 〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕〔RD18716〕 化学増感剤 996 III―A項 23 648 分光増感剤 996 IV―A,B,C,D,H,I,J項 23〜24 648〜9 強色増感剤 996 IV―A―E,J項 23〜24 648〜9 カブリ防止剤 998 VI 24〜25 649 安定剤 998 VI 24〜25 649 本発明に用いる乳剤の化学増感は、より具体的には、銀
イオンと反応できる硫黄を含む化合物や、活性ゼラチン
を用いる硫黄増感法、セレン化合物を用いるセレン増感
法、還元性物質を用いる還元増感法、金その他の貴金属
化合物を用いる貴金属増感法などを単独又は組み合わせ
て用いることができる。
【0072】本発明においては、化学増感剤として例え
ばカルコゲン増感剤を用いることができ、中でも硫黄増
感剤、セレン増感剤が好ましい。
【0073】硫黄増感剤としては例えば、チオ硫酸塩、
アリルチオカルバミド、チオ尿素、アリルイソチオシア
ネート、シスチン、p-トリエンチオスルホン酸塩、ロー
ダニンなどが挙げられる。
【0074】その他、米国特許1,574,944号、同2,410,6
89号、同2,278,947号、同2,728,668号、同3,501,313
号、同3,656,955号、西独出願公開(OLS)1,422,869
号、特開昭56-24937号、同55-45016号等に記載されてい
る硫黄増感剤も用いることができる。
【0075】硫黄増感剤の添加量は、pH、温度、ハロ
ゲン化銀粒子の大きさなどの種々の条件の下で相当の範
囲にわたって変化するが、目安としては、ハロゲン化銀
1モル当たり約10-7モル〜約10-1モル程度が好ましい。
【0076】セレン増感剤としては、アリルイソセレノ
シアネートの如き脂肪族イソシアネート類、セレノ尿素
類、セレノセレナイド、ジエチルセレナイド等のセレナ
イド類などを用いることができ、それらの具体例は、米
国特許1,574,944号、同1,602,592号、同1,623,499号に
記載されている。更に還元増感を併用することもでき
る。
【0077】還元剤としては、塩化第一錫、二酸化チオ
尿素、ヒドラジン、ポリアミン等が挙げられる。又、金
以外の貴金属化合物、例えばパラジウム化合物等を併用
することもできる。
【0078】本発明に用いる乳剤のハロゲン化銀粒子
は、金化合物を含有することが好ましい。
【0079】本発明に好ましく用いられる金化合物とし
ては、金酸化数が+1価でも+3価でもよく、多種の金
化合物が用いられる。
【0080】代表的な例としては塩化金酸塩、カリウム
クロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウ
ムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレー
ト、テトラシアノオーリックアシド、アンモニウムオー
ロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、金サ
ルファイド、金セレナイド等が挙げられる。
【0081】金化合物は、ハロゲン化銀粒子を増感させ
る用い方をしてもよいし、実質的に増感には寄与しない
ような用い方をしてもよい。
【0082】金化合物の添加量は種々の条件で異なる
が、目安としてはハロゲン化銀1モル当たり10-8モルか
ら10-1であり、好ましくは10-7モルから10-2モルであ
る。
【0083】又これらの化合物の添加時期はハロゲン化
銀の粒子形成時、物理熟成時、化学熟成時及び化学熟成
終了後の何れの工程でもよい。
【0084】本発明に使用できる公知の写真用添加剤も
上記リサーチ・ディスクロージャ(RD)に記載されて
いる。
【0085】以下に関連する記載箇所を示す。
【0086】 〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕 〔RD18716〕 色濁り防止剤 1002 VII―I項 25 650 色素画像安定剤 1001 VII―J項 25 増白剤 998 V 24 紫外線吸収剤 1003 VIII―C,XIIIC項 25〜26 光吸収剤 1003 VIII 25〜26 光散乱剤 1003 VIII フィルター染料 1003 VIII 25〜26 バインダー 1003 IX 26 651 スタチック防止剤 1006 XIII 27 650 硬膜剤 1004 X 26 651 可塑剤 1006 XII 27 650 潤滑剤 1006 XII 27 650 活性剤・塗布助剤 1005 XI 26〜27 650 マット剤 1007 XVI 現像剤(感材中に含有) 1011 XXB項 又、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止
するために、米国特許第4,411,987号や同第4,435,503号
に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化でき
る化合物を感光材料に添加することが好ましい。
【0087】本発明には種々のカラーカプラーを使用す
ることができ、その具体例は下記RDに記載されてい
る。関連箇所を下記に示す。
【0088】 〔項目〕 〔RD308119の頁〕 〔RD17643〕 イエローカプラー 1001 VII―D項 VIIC〜G項 マゼンタカプラー 1001 VII―D項 VIIC〜G項 シアンカプラー 1001 VII―D項 VIIC〜G項 カラードカプラー 1002 VII―G項 VIIG項 DIRカプラー 1001 VII―F項 VIIF項 BARカプラー 1002 VII―F項 その他の有用残基 放出カプラー 1001 VII―F項 本発明に使用する添加剤は、RD308119XIVに記載されて
いる分散法などにより、添加することができる。
【0089】本発明においては、前述RD17643 28頁,R
D18716647〜8頁及びRD308119のXIXに記載されている支
持体を使用することができる。
【0090】本発明の感光材料には、前述RD308119VII
―K項に記載されているフィルター層や中間層等の補助
層を設けることができる。
【0091】本発明の感光材料は、前述RD308119VII―
K項に記載されている順層、逆層、ユニット構成等の様
々な層構成をとることができる。
【0092】本発明に使用できる適当な支持体は、例え
ば前述のRD.No.17643の28頁及び同No.18716の647頁右欄
から648頁左欄に記載されている。
【0093】具体的な支持体としては、ポリエチレン等
をラミネートした紙、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム、バライタ紙、三酢酸セルロースフィルム等を用い
ることができる。支持体の厚さは50〜200μmが通常用い
られる。
【0094】本発明は、一般用もしくは映画用のカラー
ネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反
転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルム、カ
ラー反転ペーパーに代表される種々のカラー感光材料に
適用することができる。
【0095】本発明の感光材料をロール状の形態で使用
する場合はカートリッジに収納した形態を取るのが好ま
しい。カートリッジとして最も一般的なものは、現在の
135フォーマットのパトローネである。その他下記特許
で提案されたカートリッジも使用できる(実開昭58-673
29号、 特開昭58-181035号、 同58-182634号、 実開昭58-1
95236号、 米国特許第4,221,479号、 特願昭63-57785号、
同63-183344号、 同63-325638号、 特願平1-21862号、 同1
-25362号、 同1-30246号、 同1-20222号、 同1-21863号、
同1-37181号、 同1-33108号、 同1-85198号、 同1-172595
号、 同1-172594号、 同1-172593号、 米国特許第4,846,41
8号、 同第4,848,693号、 同第4,832,275号)。
【0096】又、特願平4-16934号の「小型の写真用ロ
ールフィルムパトローネとフィルムカメラ」に本発明を
適用することができる。
【0097】本発明の感光材料を用いて色素画像を得る
には露光後、通常知られているカラー現像処理を行うこ
とができる。
【0098】本発明の感光材料は前述RD17643,28〜29
頁,RD18716,647頁及びRD308119のXIIに記載された通
常の方法によって、現像処理することができる。
【0099】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果を例証する
が本発明はこれに限定されるものではない。
【0100】実施例1 (ゼラチンA及びBの調製)牛骨のハードボーンを原料
とし、消石灰懸濁液で60日間処理し、50℃で抽出後、H
型陽イオン交換樹脂による処理をしその後OH型陰イオン
交換樹脂による処理を行った。このゼラチンをAとす
る。
【0101】ゼラチンAと同様な条件で原料選択をせず
イオン交換樹脂のカラム能力を変えたゼラチンBを得
た。
【0102】(ゼラチンCの調製)ゼラチンA・Bと同
様な条件にて抽出した後、Na型陽イオン交換樹脂処理の
みを行ったゼラチンをCとした。
【0103】(ゼラチンDの調製)牛骨を原料とし、消
石灰懸濁液で60日間処理し、70度で抽出後、H型陽イオ
ン交換樹脂による処理をしその後OH型陰イオン交換樹脂
による処理を行った。このゼラチンをDとする。
【0104】得られたゼラチンA〜Dのアデニン含有量
測定結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】(種乳剤T−1の調製)以下に示す方法
で、2枚の平行な双晶面を有した種乳剤T−1を調製し
た。
【0107】 A オセインゼラチン 80.0g 臭化カリウム 47.4g
【0108】
【化4】
【0109】 0.24ml 水で 8000.0ml B 硝酸銀 1200.0g 水で 1600.0ml C オセインゼラチン 32.2g 臭化カリウム 790.0g 沃化カリウム 70.34g 水で 1600.0ml D アンモニア水 470.0ml 40℃で激しく撹拌したA液に、B液とC液をダブルジェ
ット法により7.7分間で添加し核の生成を行った。この
間、pBrは1.60に保った。
【0110】その後、30分間かけて温度を20℃に下げ
た。更にD液を1分間で添加し、引き続き5分間の熟成
を行った。熟成時のKBr濃度は0.03モル/リットル、ア
ンモニア濃度は0.66モル/リットルであった。
【0111】熟成終了後、pHを6.0に調整し、常法に従
って脱塩を行った。脱塩後の乳剤に、10重量%のゼラチ
ン水溶液を加え、60℃で30分間撹拌分散させた後、蒸留
水を加えて5360gの乳剤として仕上げた。この種乳剤粒
子を電子顕微鏡観察したところ互いに平行な2枚の双晶
面を有する球状粒子であった。
【0112】この種乳剤粒子の平均粒径は0.217μm、2
枚平行双晶面比率は全粒子中の個数比で75%であった。
【0113】(ハロゲン化銀乳剤Em−1の調製)以下
に示す7種類の溶液を用いて、本発明に係わる、2枚平
行双晶面を有した平板状の単分散乳剤Em−1を調製し
た。
【0114】 (溶液A) オセインゼラチン 67.0g 蒸留水 3176.0ml
【0115】
【化5】
【0116】 1.25ml 種乳剤(T−1) 98.51g 蒸留水で3500.0mlにする。
【0117】 (溶液B) 0.5N硝酸銀水溶液 948ml (溶液C) 臭化カリウム 52.88g ゼラチンA 35.55g 蒸留水で948mlに仕上げる (溶液D) 3.5N硝酸銀水溶液 4471ml (溶液E) 臭化カリウム 1862.2g ゼラチンA 200g 蒸留水で4471mlに仕上げる (溶液F) 3重量%のゼラチンAと、沃化銀粒子(平均粒径0.05μm)から成る微粒子 乳剤(*) 2465.5g *調製法を以下に示す。
【0118】0.06モルの沃化カリウムを含む6.0重量%
のゼラチン溶液5000mlに、7.06モルの硝酸銀と、7.06モ
ルの沃化カリウムを含む水溶液各々2000mlを、10分間か
けて添加した。
【0119】微粒子形成中のpHは硝酸を用いて2.0に、
温度は40℃に制御した。粒子形成後に、炭酸ナトリウム
水溶液を用いてpHを6.0に調整した。仕上がり重量は1
2.53kgであった。
【0120】(溶液G) 臭化カリウム1.75N水溶液 反応容器に容器Aを添加し、激しく撹拌しながら、溶液
B〜溶液Fを表2に示した組み合わせに従って同時混合
法により添加を行い、種結晶を成長させ、コア/シェル
型ハロゲン化銀乳剤を調製した。
【0121】ここで、(1)溶液B、溶液C及び溶液Fの
添加速度、(2)溶液D、溶液E及び溶液Fの添加速度、
(3)溶液D及び溶液Eの添加速度は、それぞれハロゲン
化銀粒子の臨界成長速度に見合ったように時間に対して
関数様に変化させ、成長している種結晶以外に小粒子の
発生及びオストワルド熟成により多分散化しないように
適切な添加速度にコントロールした。
【0122】また、結晶成長の全域に渡って、反応容器
内の溶液温度を75℃、pAgを8.8にコントロールした。pA
gコントロールのために、必要に応じて溶液Gを添加し
た。
【0123】反応溶液の添加時間に対するその時点での
粒径、及び表面を形成するハロゲン化銀層の沃化銀含有
率を表2に示した。
【0124】粒子形成後、特願平3-41314号明細書に記
載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラチンを加え
再分散し、40℃にてpHを5.80、pAgを8.06に調整した。
得られた乳剤粒子の走査型電子顕微鏡写真から、平均粒
径1.23μm、平均アスペクト比2.0、分布の広さが14.0%
の平板状乳剤であることが確認された。
【0125】
【表2】
【0126】(乳剤Em−2の調製)ゼラチンAをゼラ
チンBとした以外は乳剤Em−1と同様な方法で乳剤E
m−2を調製した。得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真
から、平均粒径1.27μm、平均アスペクト比2.1、粒径分
布14.2%の平板状乳剤であることが確認された。
【0127】(乳剤Em−3の調製)ゼラチンAをゼラ
チンCとした以外は乳剤Em−1と同様な方法で乳剤E
m−3を調製した。得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真
から、平均粒径1.23μm、平均アスペクト比2.3、粒径分
布15.7%の平板状乳剤であることが確認された。
【0128】(乳剤Em−4の調製)ゼラチンAをゼラ
チンDとした以外は乳剤Em−1と同様な方法で乳剤E
m−4を調製した。得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真
から、平均粒径1.24μm、平均アスペクト比3.0、粒径分
布22.3%の平板状乳剤であることが確認された。
【0129】次に、下記分光増感色素固体分散液(Sdi
−1),(Sdi−2),(Sdi−3)を調製した。前記分光
増感色素(S−7)455mg、(S−10)59mg、(S−1)238m
g、(S−4)227mgを予め27℃に調温した水50gに加えた
後、高速撹拌機(ディゾルバー)で3.500rpmにて30〜12
0分間にわたって撹拌することによって、分光増感色素
が分散された平均粒径0.4μmの分散液(Sdi−1)を得
た。
【0130】(Sdi−1)と同一方法により前記分光増感
色素(S−3)704mg、(S−5)319mgにて平均粒径0.25μ
mの分散液(Sdi−3)を得た。
【0131】尚、(Sdi−1)を27℃で1週間放置した後
の分散状態を目視で評価したところ変化はなく、いずれ
も分散安定性に優れていると言える。
【0132】比較として、下記分光増感色素メタノール
溶液を調製した。前記分光増感色素(S−7)302mg、(S
−10)39mg、(S−1)158mg、(S−4)151mgをメタノー
ル100gに加え、27℃で溶解させ分光増感色素のメタノ
ール溶液(Sdi−2)を得た。
【0133】前記分光増感色素(S−3)330mg、(S−
5)150mgを、水/メタノール=1/2溶液100gに加え、27
℃で溶解させ(Sdi−4)を得た。
【0134】次に、乳剤Em−1〜4に対し、Sdi−1
〜4を用い、更に、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸及び
チオシアン酸アンモニウムを適量用いて化学熟成を施
し、化学熟成停止剤は4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7
-テトラザインデンを用い、これを添加すると同時に温
度を下げEM−1〜10を作成した。内容は表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】表3で示した、EM−1〜10を用いて下塗
りを施したトリアセチルセルロースフィルム支持体上に
下記に示す組成の層を形成し、単層カラー感光試料101
〜110を作成した。
【0137】尚、以下の全ての実施例において、ハロゲ
ン化銀写真感光材料中の添加量は特に記載のない限り1
m2当たりのg数を示す。
【0138】又、ハロゲン化銀は、銀に換算して示し
た。
【0139】 試料101 EM−1 2.0 シアンカプラー(C−1) 0.23 高沸点溶媒(OIL−1) 0.32 ゼラチン 3.5 尚、前記添加剤の他、塗布助剤SU−1、SU−2、硬
膜剤H−1を適宜添加した。更に、試料101の乳剤EM
−1をそれぞれ表3の乳剤EM−2〜8と置き換えて、
試料102〜108を作成した。
【0140】 試料109 EM−9 2.0 マゼンタカプラー(M−1) 0.2 高沸点溶媒(OIL−2) 0.24 ゼラチン 3.5 尚、試料101〜8と同様に、塗布助剤SU−1、SU−
2、硬膜剤H−1を添加した。更に、試料109の乳剤E
M−9をEM−10に置き換えて、試料110を作成した。
【0141】
【化6】
【0142】以上のようにした試料の各々について下記
の条件で、未露光感光材料の強制劣化試験を5日間行っ
た。尚、比較として同一試料を同時に−5℃に投入し、
冷凍試料を作成した。
【0143】30℃、55%RH; 40℃、55%RH; 50℃、
55%RH; 40℃、80%RH このように作成した各試料101〜110を、白色光を用いて
ウェッジ露光した後、下記現像処理を行い、結果を表4
に示す。
【0144】
【表4】
【0145】処理工程 1.発色現像 3分15秒 38.0±0.1℃ 2.漂 白 6分30秒 38.0±3.0℃ 3.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 4.定 着 6分30秒 38.0±3.0℃ 5.水 洗 3分15秒 24〜41℃ 6.安 定 3分15秒 38.0±3.0℃ 7.乾 燥 50℃以下 各処理工程において使用した処理液組成は下記の通りで
ある。
【0146】 <発色現像液> 4-アミノ-3-メチル-N-エチル-N-(β-ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4,25g ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩 2.00g 無水炭酸カリウム 37.5g 臭化ナトリウム 1.30g ニトリロ三酢酸・三ナトリウム塩(一水塩) 2.50g 水酸化カリウム 1.00g 水を加えて1リットルとし、pH10.1に調整する。
【0147】 <漂白液> エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミン四酢酸二アンモニウム塩 10.0g 臭化アンモニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水を用いてpH
6.0に調整する。
【0148】 <定着液> チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸ナトリウム 8.5g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1リットルとし、酢酸を用いてpH6.0に調整
する。
【0149】 <安定液> ホルマリン(37%水溶液) 1.5cc コニダックス(コニカ〔株〕製) 7.5cc 水を加えて1リットルとする。
表4から、本発明の試料は耐熱カブリ性、耐
湿濃度変動性が向上していることが分かった。
【0150】実施例2 (ハロゲン化銀乳剤の調製)主として、(111)面を有
する8面体沃臭化銀乳剤を特開昭60-138538号公報に記
載された方法に従い、また平板双晶乳剤を特開平3-9424
8号公報に記載された方法に従い調製し、表5に示すよ
うな、乳剤A〜Eを作成した。
【0151】
【表5】
【0152】以上のように作成した乳剤A〜Eは、53℃
で後述する量の分光増感色素を溶媒系で添加し、更に、
金・硫黄増感を最適に施した。
【0153】(ハロゲン化銀カラー感光材料の作成)前
記の透明支持体上に下記に示すような組成の各層を設
け、多層カラー感光材料である試料201を作成した。
【0154】(感光層の組成)塗布量はハロゲン化銀及び
コロイド銀については、金属銀に換算してg/m2単位で
表した量を、又、カプラー、添加剤についてはg/m2
位で表した量を、又増感色素については同一層内のハロ
ゲン化銀1モル当たりのモル数で示した。
【0155】 試料201 第1層:ハレーション防止層 黒色コロイド銀 0.16 紫外線吸収剤(UV-1) 0.20 高沸点溶媒(OIL-1) 0.16 ゼラチン 1.60 第2層:中間層 化合物(SC-1) 0.14 高沸点溶媒(OIL-4) 0.17 ゼラチン 0.80 第3層:低感度赤感性層 沃臭化銀乳剤A 0.15 沃臭化銀乳剤B 0.35 増感色素(SD-1) 2.0×10-4 増感色素(SD-2) 1.4×10-4 増感色素(SD-3) 1.4×10-5 増感色素(SD-4) 0.7×10-4 シアンカプラー(C-2) 0.53 カラードシアンカプラー(CC-1) 0.04 DIR化合物(D-1) 0.025 高沸点溶媒(OIL-3) 0.48 ゼラチン 1.09 第4層:中感度赤感性層 沃臭化銀乳剤B 0.30 沃臭化銀乳剤C 0.34 増感色素(SD-1) 1.7×10-4 増感色素(SD-2) 0.86×10-4 増感色素(SD-3) 1.15×10-5 増感色素(SD-4) 0.86×10-4 シアンカプラー(C-2) 0.33 カラードシアンカプラー(CC-1) 0.013 DIR化合物(D-1) 0.02 高沸点溶媒(OIL-1) 0.16 ゼラチン 0.79 第5層:高感度赤感性層 沃臭化銀乳剤Em−4 0.95 増感色素(SD-1) 1.0×10-4 増感色素(SD-2) 1.0×10-4 増感色素(SD-3) 1.2×10-5 シアンカプラー(C-1) 0.14 カラードシアンカプラー(CC-1) 0.016 高沸点溶媒(OIL-1) 0.16 ゼラチン 0.79 第6層:中間層 化合物(SC-1) 0.09 高沸点溶媒(OIL-4) 0.11 ゼラチン 0.80 第7層:低感度緑感性層 沃臭化銀乳剤A 0.12 沃臭化銀乳剤B 0.38 増感色素(SD-4) 4.6×10-5 増感色素(SD-5) 4.1×10-4 マゼンタカプラー(M-2) 0.14 マゼンタカプラー(M-3) 0.14 カラードマゼンタカプラー(CM-1) 0.03 カラードマゼンタカプラー(CM-2) 0.03 高沸点溶媒(OIL-2) 0.34 ゼラチン 0.70 第8層:中間層 ゼラチン 0.41 第9層:中感度緑感性層 沃臭化銀乳剤B 0.30 沃臭化銀乳剤C 0.34 増感色素(SD-6) 1.2×10-4 増感色素(SD-7) 1.2×10-4 増感色素(SD-8) 1.2×10-4 マゼンタカプラー(M-2) 0.04 マゼンタカプラー(M-3) 0.04 カラードマゼンタカプラー(CM-1) 0.008 カラードマゼンタカプラー(CM-2) 0.009 DIR化合物(D-2) 0.025 DIR化合物(D-3) 0.002 高沸点溶媒(OIL-2) 0.12 ゼラチン 0.50 第10層:高感度緑感性層 沃臭化銀乳剤Em−4 0.95 増感色素(SD-6) 7.1×10-5 増感色素(SD-7) 7.1×10-5 増感色素(SD-8) 7.1×10-5 マゼンタカプラー(M-3) 0.09 カラードマゼンタカプラー(CM-1) 0.005 カラードマゼンタカプラー(CM-2) 0.006 高沸点溶媒(OIL-2) 0.11 ゼラチン 0.79 第11層:イエローフィルター層 黄色コロイド銀 0.08 化合物(SC-1) 0.15 高沸点溶媒(OIL-4) 0.19 ゼラチン 1.10 第12層:低感度青感性層 沃臭化銀乳剤A 0.12 沃臭化銀乳剤B 0.24 沃臭化銀乳剤C 0.12 増感色素(SD-9) 6.3×10-5 増感色素(SD-10) 1.0×10-5 イエローカプラー(Y-1) 0.50 イエローカプラー(Y-2) 0.50 DIR化合物(D-4) 0.04 DIR化合物(D-5) 0.02 高沸点溶媒(OIL-4) 0.42 ゼラチン 1.40 第13層:高感度青感性層 沃臭化銀乳剤C 0.15 沃臭化銀乳剤E 0.80 増感色素(SD-9) 8.0×10-5 増感色素(SD-11) 3.1×10-5 イエローカプラー(Y-1) 0.12 高沸点溶媒(OIL-4) 0.05 ゼラチン 0.79 第14層:第1保護層 沃臭化銀乳剤(平均粒径0.08μm、沃化銀含有率1.0モル%) 0.40 紫外線吸収剤(UV-1) 0.065 高沸点溶媒(OIL-1) 0.07 高沸点溶媒(OIL-3) 0.07 ゼラチン 0.65 第15層:第2保護層 アルカリ可溶性マット剤(平均粒径2μm) 0.15 ポリメチルメタクリレート(平均粒径3μm) 0.04 滑り剤(WAX-1) 0.04 ゼラチン 0.55 尚上記組成物の他に、塗布助剤Su−1、分散助剤Su
−2、粘度調整剤、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST
−1、かぶり防止剤AF−1、AF−2、AF−3、平
均分子量:10,000及び平均分子量:1,100,000の2種の
AF−4、及び防腐剤DI−1を添加した。
【0156】
【化7】
【0157】
【化8】
【0158】
【化9】
【0159】
【化10】
【0160】
【化11】
【0161】
【化12】
【0162】
【化13】
【0163】
【化14】
【0164】
【化15】
【0165】
【化16】
【0166】
【化17】
【0167】前記試料201の第5層のEm−4及びSD
−1、SD−2、SD−3をEM−1に変更し、第10層
のEm−4及びSD−6、SD−7、SD−8をEM−
9に変更した試料202を作成した。
【0168】更に、試料201の第5層のEM−4及びS
D−1、SD−2、SD−3をEM−2に変更した試料
203及び、同じく試料201の第5層のEM−4及びSD−
1、SD−2、SD−3をEM−8に変更した試料204
を作成した。
【0169】以上のようにした試料の各々について下記
の条件で、未露光感光材料の強制劣化試験を3日間行っ
た。尚、比較として同一試料を同時に−5℃に投入し、
冷凍試料を作成した。
【0170】50℃、55%RH; 50℃、80%RH このように作成した各試料201〜204を、白色光を用いて
ウェッジ露光した後、実施例1と同様な現像処理を行
い、相対感度及びカブリ濃度の増加度△Dminを測定
し、結果を表6に示す。
【0171】
【表6】
【0172】表6の結果から明らかなように、本発明は
減感を伴わず、カブリ上昇も少ない。
【0173】
【発明の効果】本発明により、カブリ安定性に優れ、高
温高湿条件下での経時安定性に優れたハロゲン化銀乳剤
の製造方法が得られ、又そのような効果を有するハロゲ
ン化銀写真感光材料を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03C 1/18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀乳剤の製造方法において、
    アデニン含有量が0.2ppm以下であるゼラチンの存在下で
    ハロゲン化銀粒子が形成され、かつ化学熟成から塗布ま
    での過程のなかで、実質的に水不溶性の写真用分光増感
    色素を有機溶媒を使わずに固体状態で添加し、かつ微粒
    子沃化銀を添加することにより調製することを特徴とす
    るハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 支持体上に少なくとも1層のハロゲン化
    銀乳剤層を有する写真感光材料において、アデニン含有
    量が0.2ppm以下であるゼラチンの存在下でハロゲン化銀
    粒子が形成され、かつ化学熟成から塗布までの過程のな
    かで、実質的に水不溶性の写真用分光増感色素を有機溶
    媒を使わずに固体状態で添加し、かつ微粒子沃化銀を添
    加することにより製造されたハロゲン化銀乳剤を含有す
    る層を少なくとも1層有することを特徴とするハロゲン
    化銀写真感光材料。
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