JPH0718069B2 - 杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸 - Google Patents

杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸

Info

Publication number
JPH0718069B2
JPH0718069B2 JP30551286A JP30551286A JPH0718069B2 JP H0718069 B2 JPH0718069 B2 JP H0718069B2 JP 30551286 A JP30551286 A JP 30551286A JP 30551286 A JP30551286 A JP 30551286A JP H0718069 B2 JPH0718069 B2 JP H0718069B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yarn
polyester
layer structure
filament
spun
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP30551286A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63159537A (ja
Inventor
新次 大脇
東義 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP30551286A priority Critical patent/JPH0718069B2/ja
Publication of JPS63159537A publication Critical patent/JPS63159537A/ja
Publication of JPH0718069B2 publication Critical patent/JPH0718069B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、天然調の杢調色彩効果をもつスパンライクな
外観、風合を有する延伸同時仮撚2層構造糸(複合捲付
糸;以下、単に仮撚2層構造糸と称する)に関するもの
である。
〈従来技術〉 一般に、伸度の異なる2種以上の糸条を合糸して、供給
ローラに供給し、延伸と同時に仮撚スピンドルで施撚す
ると、伸度の小なる糸条は伸びにくい為、糸条の芯部を
構成し、伸度の大なる糸条はのびやすい為、糸条の外層
部をとりまくように撚糸される。この撚糸状態を熱固定
してから、解撚すると伸度の小なる糸条が芯となり、伸
度の大なる糸条がそのまわりを交互撚糸状にとりまいた
仮撚2層構造糸が得られる。このような方法によって得
られるスパンライク様仮撚2層構造糸については、すで
に例えば特公昭59−21970号公報、特公昭61−19733号公
報に示されている。
一方最近天然素材への流行の回帰と共に、より天然様風
合に近い素材が求められるようになってきた。特に天然
素材のもつ杢調色彩効果を求める要求度は高い。例え
ば、特開昭56−20625号公報に開示された、従来用いら
れている5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合し
たカチオン染料可染ポリエステルフィラメント糸が芯部
を構成し通常のカチオン染料可染性のない(例えば分散
染料にのみ可染の)ポリエステルフィラメント糸を鞘と
した2層構造糸は、非常に天然杢に近い好ましいスパン
ライクな外観、風合を持っている。ところが、この2層
構造糸は、強度が弱く、例えばマルチフィラメントの強
度として、1g/デニールを下まわり、織物、編物にする
ときに、非常に慎重な取り扱いが必要とされるばかりで
なく、このようにして労力をかけて製造された布帛の引
裂強度は低く、実用に耐えるものでないことが判明し
た。
〈発明の目的〉 本発明は、芯側をカチオン可染とした杢調色彩、スパン
ライク外観、風合をもったポリエステル2層構造糸にお
いて実用に耐えうる十分な強力、特に1g/deをはるかに
上回る強力を有する布帛用素材を提供することにある。
〈発明の構成〉 本発明者等は上記の目的を達成せんとして種々研究した
結果、延伸同時仮撚2層構造糸の芯側に従来のナトリウ
ムスルホイソフタル酸に代えて、スルホン酸ホスホニウ
ム塩を共重合させた変性ポリエステルフィラメント糸を
用いるとき、所望の効果が奏されることを究明し、本発
明に到達した。
かくして本発明によれば、伸度の小なるカチオン染料可
染ポリエステルフィラメント糸が芯部を構成し、該フィ
ラメントより伸度の大なるカチオン染料不染のポリエス
テルフィラメント糸が芯部の周りを交互撚糸状に包被し
て鞘部を構成し、しかも該芯部と鞘部の境界部において
両フィラメント糸の一部が互いに混合、交錯して交絡部
を形成してなるスパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸
において、該芯部のフィラメント糸が下記のカチオン染
料可染ポリエステルで構成され、且つ該2層構造糸の強
度が1.7g/de以上であることを特徴とする杢調スパンラ
イク様延伸同時仮撚2層構造糸 [カチオン染料可染ポリエステル] 下記一般式 [式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1及びX2は同一又
は異るエステル形成性官能基、R1、R2、R3及びR4は水素
原子、アルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル
基より選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示
す] で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が共重合されて
なる、極限粘度が0.5以上のポリエステル が提供される。
本発明でいうポリエステルは、テレフタル酸を主たる酸
成分とし、少なくとも1種のグリコール、好ましくはエ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコールから選ばれた少なくとも1種のアルキ
レングリコールを主たるグリコール成分とするポリエス
テルを主たる対象とする。
また、テレフタ酸成分の一部を他の二官能性カルボン酸
成分で置換えたポリエステルであってもよく、及び/又
はグリコール成分の一部を主成分以外の上記グリコール
若しくは他のジオール成分で置換えたポリエステルであ
ってもよい。
ここで使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン
酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボ
ン酸、ジフェニリルジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−
オキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸の如き芳香族、脂肪族、脂環族
の二官能性カルボン酸をあげることができる。更に本発
明の効果が実質的に奏せられる範囲で芯側のポリエステ
ルにおいては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の
金属スルホネート基を有するイソフタル酸を共重合成分
として用いてもよいが、この場合、その使用量をテレフ
タル酸成分に対して1.8モル%未満の量に抑えることが
望ましい。
また、上記グリコール以外のジオール化合物としては例
えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチ
ルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSの
如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物及びポリ
オキシアルキレングリコール等をあげることができる。
更に、ポリエステルが実質的に線状である範囲でトリメ
リット酸、ピロメリット酸の如きポリカルボン酸、グリ
セリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ルの如きポリオールを使用することができる。
かかるポリエステルは任意の方法によって合成したもの
でよい。例えばポリエチレンテレフタレートについて説
明すれば、通常、テレフタル酸とエチレングリコールと
を直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチル
の如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレン
グリコールとをエステル交換反応させるか又はテレフタ
ル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフ
タル酸のグリコールエステル及び/又はその低重合体を
生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を
減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合させる第
2段階の反応によって製造される。
本発明においては、上記2層構造糸の芯側のポリエステ
ルフィラメントのポリマー鎖の中に下記一般式 で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が共重合されて
いることが必要である。上記一般式中Aは芳香族基又は
脂肪族基であり、芳香族基が好ましい。X1及びX2はエス
テル形成性官能基であり、カルボキシル基、クロロカル
ボキシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基等が例示
され、好ましい具体例としては (但し、Rは低級アルキル基又はフェニル基を、lは1
以上の整数を、mは2以上の整数を示す) 等をあげることができる。このX1及びX2は同一であって
も、異なっていてもよい。R1、R2、R3及びR4は水素原
子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基で
あり、アルキル基が好ましく、なかでもブチル基が特に
好ましい。このR1、R2、R3、R4は同一であっても異なっ
ていてもよい。また、nは正の整数であり、通常は1又
は2である。
かかるスルホン酸ホスホニウム塩は、一般に対応するス
ルホン酸とホスフィン酸との反応又は対応するスルホン
酸金属塩とホスホニウムハライド類との反応により容易
に合成できる。スルホン酸とホスフィンより合成する場
合は必ずしも単離する必要はなく、対応するスルホン酸
とホスフィンを改質すべきポリエステルに添加してポリ
ステル反応系内を塩を生成せしめてもよい。しかしなが
ら、スルホン酸金属塩とホスホニウムハライドより合成
する場合は、生成する無機塩による悪影響、例えば過剰
な副反応による軟化点の低下、重合度の上昇が不可能に
なる等の悪影響が発生するので無機塩を十分除去した後
ポリエステルに添加しなければならない。
上記スルホン酸ホスホニウム塩の具体例としては3,5−
ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラメチルホス
ホニウム塩、3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボメトキ
シベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム
塩、2,6−ジカルボメトキシナフタレン−4−スルホン
酸テトラブチルホスホニウム塩、2,6−ジカルボメトキ
シベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩等が
あげられる。
中でも、下記式で示される3,5−ジカルボメトキシベン
ゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩が特に好ま
しい。
上記スルホン酸ホスホニウム塩をポリエステルの主鎖中
に共重合するには、前述したポリエステルの合成が完了
する以前の任意の段階で、好ましくは第1段の反応が終
了する以前の任意の段階で上記化合物を添加すればよ
い。この際その使用量は、あまり少ないと最終的に得ら
れるポリエステル繊維中の染着座席が不足するために塩
基性染料に対する染色性が不充分になり、逆にあまりに
多いと得られるポリマーの軟化点が低くなり、最終的に
得られるポリエステル繊維の力学物性等の糸物性が悪化
するようになるので、ポリエステル繊維を構成する二官
能性カルボン酸成分に対して0.5〜3.5モル%、好ましく
は0.7〜2.8%モル%となる範囲で使用する。
このようにして得られた塩基性染料可染性の改質ポリエ
ステルを繊維とするには、格別の方法を採用する必要は
なく、通常のポリエステル繊維の溶融紡糸方法が任意に
採用される。ここで紡出する繊維は円形であっても異形
であってもよい。
ここで、大事なことは芯部フィラメント糸の極限粘度
[η]f(30℃、オルソークロロフェノール中で測定)
で、その値が0.50以上(さらに好ましくは0.55以上)が
よく、これを下回る場合は、2層構造糸の強力が低い水
準にとどまり、織編物とした際その引裂強度は、実用に
耐えないものとなる。一方鞘部フィラメント糸は、マル
チフィラメントの強力に寄与しないため極限粘度につい
て特に限定はないものの、2層構造糸と成ってからの摩
擦等による脱落を防ぐために極限粘度は0.45以上さらに
は0.5以上が好ましい。更に本発明において、ポリエス
テルは、艶消剤、着色剤、難燃剤等の添加剤を含んでも
さしつかえない。
本発明による仮撚2層構造糸の典型的な例は第1図に示
されるように外観上は芯糸1の周りに鞘糸(捲付糸)2
が交互撚糸状に捲付いているものを指称する。このよう
な仮撚2層構造糸にあっては、芯糸と捲付糸との構成フ
ィラメントが互いに交絡した部分を有し、これにより前
記交互撚糸状の捲付構造が安定に保持されるという特性
がある。
所でこのような仮撚2層構造糸(複合糸)は伸度の異な
る原糸(フィラメント糸)を交絡する工程、交絡糸を加
撚により、2層構造糸構造を作る工程及びそれを解撚し
て交互撚捲付2層構造とする工程とからなっている。
この実施態様を第2図により説明すると、互いに伸度の
異なる2糸条3、3′はガイド4で合糸されてから張力
調整装置5、フィードローラー6を経て交絡用の空気噴
射ノズル7に供給され、ここで20ケ/M以上の交絡点を有
する交絡糸とされる。次いでこの交絡糸は第1デリベリ
ーローラー8により延伸仮撚ゾーンに供給され、ヒータ
ー9、仮撚具10を経て、第2デリベリーローラー11によ
り引取られた後、チーズ13として巻取られる。上記の例
では仮撚具として外接式の摩擦仮撚具を示したが、この
仮撚具によれば高速下に均斉な仮撚2層構造糸を得るこ
とができる。
本発明における2種以上のフィラメント糸の典型的な組
合せとしては、伸度の少ない方の糸条に少くとも1.05倍
以上に延伸仮撚できる糸条を用い、かつ伸度の大きい糸
条が該糸よりも更に80%以上伸長できる糸条を用いる。
最も好ましくは、伸度の少ない方の糸が100%以上の伸
度をもち1.4倍以上の延伸倍率が採用できる部分配向フ
ィラメント糸で、かつ伸度の大きい糸条が250%を越え
る未延伸糸との組合せを用いる。
また、未延伸糸及び部分配向糸のフィラメント断面形
状、艶消剤の含有量、着色剤含有の有無等を同じにして
もよいが、これらのうち少なくとも何れかを異ならせて
もよい。
未延伸糸及び部分配向糸のデニールは用途に応じて選定
すべきであるが、一般にトータルデニールにおいて捲付
糸≧芯糸とするのがよい。
次にこのようにして得られた原糸を延伸仮撚加工する。
すなわち上記で得られた糸を仮撚数T(t/m) (ここでDeは仮撚具通過時のフィラメントのデニールを
あらわす。)で仮撚加工を行う。仮撚数T(t/m)が では、これを製織編成した織編物は風合に腰がなく、一
方仮撚数Tが を超える場合は仮撚加工時に毛羽が発生し、加工糸の強
度が低下し、実用に供し得ないものとなる。
更に、仮撚加工温度が160℃未満では、加工糸の捲縮性
が低く、一方220℃を超える場合には、繊維間の融着が
発生し、風合が硬くなり好ましくない。そして、上記の
糸使い、仮撚加工により、本発明によれば後掲の実施例
にも示すように、1g/deをはるかに上回る1.7g/de以上の
糸強度をもつ仮撚2層構造糸が得られる。
ここで、本発明の対象とするスパンライク仮撚2層構造
糸は上述のものに限定されるものではなく、同様にスパ
ンライク風合を呈する2層構造糸として知られている素
材、例えば特開昭55−76128号公報、特公昭61−19728号
公報、特公昭59−21970号公報に示されるように、 伸度の小なるフィラメント糸を芯成分としてその周囲に
前記糸より伸度の大きいフィラメント一が鞘成分として
交互撚糸状に巻付いて、外層部を形成してなる巻付部分
と両方の糸が互いに混合、交錯して形成された交絡芯部
とを糸軸方向に沿って交互に有し、しかも糸表面にはル
ープ、たるみが存在するスパンライク様2層構造糸、 あるいは低伸度の芯成分と高伸度の鞘成分とが交絡して
いないう交互撚糸巻付糸、更には上記の加工糸に後交絡
を施すことにより芯成分と鞘成分との間に交絡部を形成
した仮撚2層構造糸などを対象とする。
〈作用〉 本発明によれば原糸に付与する交絡処理により、使用す
る原糸の特性と相俟って結果的には目的とする仮撚2層
構造糸が得られる。すなわち、このように十分な伸度差
をもつ糸条を用いるため、マルチフィラメントの強度
は、主として芯部の繊維依存することは明らかである。
所で、従来のカチオン染料に可染なポリエステルはその
改質剤として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共
重合した例がほとんどであるが、この改質剤はイオン間
相互作用が大きく、そのため、重合度の増大の際、急激
にその溶融粘度を増大させ、溶融紡糸を困難にさせてい
る。従って、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重
合したカチオン染料可染ポリエステルにおいては、重合
度(すなわち極限粘度)を低い値にとどめざるを得ない
のが現状であり、極限粘度は一般に0.4〜0.5が採用され
ている。このため、かかるポリマーを用いてフィラメン
ト糸と成した時には、低強力の繊維しか得られない。さ
らにこれを用いて、上記仮撚2層構造糸の芯糸に用いた
場合、仮撚糸全体の強力が芯糸に依存するため、さらに
低強力の仮撚糸しか得られず、実用に耐え得ないものと
なってしまう。これに対して本発明においては、スルホ
ン酸ホスホニウム塩を共重合した改質ポリエステルにお
いては、溶融粘度の異常な上昇はみられず、そのために
溶融紡糸可能な溶融粘度でも十分に極限粘度を上げえ、
従ってこれを芯繊維とした杢調2層構造糸においても十
分な強力をもつ仮撚糸とする事が出来、強力と風合との
両者を満足させた杢調スパンライク糸を得ることができ
る。
さらにこのように高い極限粘度をもつスルホン酸ホスホ
ニウム塩を共重合した改質ポリエステルにおいては、驚
くべきことに、仮撚加工時における加工温度を高く設定
しても強度劣化が生じない事が判明した。この理由につ
いては、十分に解明されていないが以下のように考えら
れる。ポリエステルにおいて重合はエステル縮合重合反
応で生成され、低分子量から高分子量の成分まで含有し
ている。ところで低分子量成分、例えばダイマー、トリ
マーなど重合度が低いオリゴマー成分は、高分子量成分
に対して可塑剤として働くことは自明事である。従来の
ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合した場合、極限
粘度が低くおさえられており、このカチオン染料可染ポ
リエステルには、低分子量物すなわち可塑剤成分が多量
に含まれている。
また、ナトリウムスルホイソフタル酸は、イオン間の相
互作用が大きいために、剤が会合した状態で存在する可
能性が高く、従って、剤を多く含んだオリゴマーを多量
に含んでいる。これは貪溶媒によるオリゴマー抽出テス
トで容易に確認出来る。
従って、このポリエステルのポリマーの溶融温度(すな
わちポリマー流動をおこさない静的状態で測定されるポ
リマー溶融温度)は、たとえ十分に高い値が得られて
も、仮撚加工といった動的変形、すなわち撚をかけなが
ら温度のかかる変形においては、可塑剤成分による可塑
化が顕著になり、比較的低温から、流動変形が生じ強度
劣化が生じる。
そこで、ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合を低下
させ、溶融粘度の上昇をおさえつつ、高極限粘度とした
場合は、強度は向上出来るものの、剤の共重合量を1.0
モル%以下にせざるを得ずカチオン染料可染性は非常に
低いものになってしまい、又オリゴマー低下効果はわず
かであり仮撚加工温度をわずかしか上げえない。特に糸
条における杢調は、カチオン染料による濃色、鮮明性に
より天然調の杢が受け入れられており、可染性が低下す
る事は、その商品価値を著しく低下させるものである。
一方スルホン酸ホスホニウム塩を共重合した本発明のポ
リマーにおいては、イオンがR1、R2、R3、R4の基でおお
われているため、イオン間力が弱く、テレフタル酸成分
とほぼ等しい重合挙動を示し、オリゴマー量が大巾に低
下している(貪溶媒によるオリゴマー抽出テスト)。ま
た、極限粘度を容易に高くでき、低分子量物の生成量が
おさえられ、これらの効果が相俟って低温での可塑化が
防止でき、降温における同時延伸仮撚加工においても芯
糸の強度劣化が防止される。
〈効果〉 本発明によれば、外層部のフィラメントが伸度の高いル
ーズな構造のものであるので極めて柔軟な風合のスパン
ライク2層構造糸において芯側にスルホン酸ホスホニウ
ム塩を共重合した高い極限粘度を有する改質ポリエステ
ルを用いる事により、強力においても十分な水準を有す
る天然調の杢を持った織編物が得られるという特徴があ
る。
さらに、本発明の2層構造糸の強度は1.7g/de以上であ
るために、織物、編物にする時に慎重な取り扱いが不要
になるだけでなく、得られた布帛の引裂強度が高く実用
に供し得るものである。
〈実施例〉 実施例−1 速度3500m/分の紡糸によって得られた伸度120%の3,5−
ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウム塩を2.6モル%共重合した極限粘度[η]=0.6
1、軟化点254℃のポリエチレンテレフタレートフィラメ
ント糸(116d/24fils)と速度1500m/分の紡糸によって
得られた伸度350%の共重合成分を含有しない極限粘度
0.62のポリエステルフィラメント糸(220d/72fil)とを
引揃えて第2図の工程で交絡処理及び延伸仮撚加工を行
った。
インターレースノズルによりオーバーフィード率0.5
%、圧空圧4kg/cm2で42個/mの交絡を付与し、引続いて
延伸倍率1.55倍、仮撚数2500T/m、ヒータ温度170℃、糸
速350m/minで延伸仮撚加工した。尚ここでは加工速度を
より高速にする為、仮撚装置に外接式摩擦仮撚装置を用
いた。
このようにして得た加工糸は第1図の如き、均斉な交互
撚2層構造糸で、かつ芯部を構成する糸条(伸度39%、
[η]f=0.57)外層部を構成する糸条(伸度84%)と
の間に部分的交絡(交絡点28ケ/M)を有する糸であっ
た。このようにして得られた糸は、強度2.5g/デニール
を有しており、また、この糸を使って製織した所、製織
工程でのネップ発生や断糸等トラブルもなく、得られた
織物もスパンライクでソフトな風合を有していた。また
織物の引裂強度も十分であり、天然調の杢が得られた。
比較例−1 速度3150m/分の紡糸によって得られた伸度118%の5−
ナトリウムスルホイソフタル酸を2.6モル%共重合した
極限粘度[η]=0.47、軟化温度254℃のポリエチレン
テレフタレートフィラメント糸(118d/24fils)と速度1
500m/分の紡糸によって得られた伸度350%の共重合成分
を含有しない極限粘度0.63のポリエステルフィラメント
糸(220d/72fil)とを引揃えて第2図の工程で交絡処理
及び延伸仮撚加工を行った。
インターレースノズルによりオーバーフィード率0.5
%、圧空圧4kg/cm2で40個/mの交絡を付与し、引続いて
延伸倍率1.55倍、仮撚数2500T/m、ヒータ温度170℃、糸
速350m/minで延伸仮撚加工した。尚ここでは加工速度を
より高速にする為、仮撚装置に外接式摩擦仮撚装置を用
いた。このようにして得た加工糸は、毛羽が多く、また
仮撚加工中にも断糸が多発し、量的にサンプルを確保す
ることが困難であった。この時の糸の強度は0.64g/dと
非常に低いものであった。
そこでヒーター温度を160℃に下げて、上記同条件で仮
撚加工を行い加工糸を得た所、仮撚加工中に断糸はほと
んどなく、毛羽も少なく良好であった。糸の強度は1.1g
/deであり、この糸を使って製織した所、製織工程で断
糸等のトラブルが時として発生し、又得られた織物もス
パンライク性にやや不足であり、また引裂強度も低い値
であり実用上問題となるレベルにとどまった。
実施例−2 速度3600m/分の紡糸速度によって得られた伸度122%の
テトラブチルスルホニウムスルホイソフタル酸を2.6モ
ル%共重合した極限粘度[η]=0.54、軟化温度253℃
のポリエチレンテレフタレート糸(117d/24fils)と速
度1500m/分の紡糸によって得られた伸度350%の共重合
成分を含有しない極限粘度0.63のポリエステルフィラメ
ント糸(220d/72fil)とを引揃えて実施例−1と同一条
件で交絡処理及び延伸仮撚加工を行った。
このようにして得られた加工糸は第1図の如き、交互撚
2層構造糸でかつ芯部を構成する糸条(伸度35%、ηf
=0.5)、外層部を構成する糸条(伸度85%)との間に
部分的交絡(交絡度25個/m)を有する糸であった。この
ようにして得られた糸は強度1.7g/デニールを有してお
り、この糸を使って製織した所、製織工程でのネップや
断糸等トラブルもなく、得られた織物もスパンライクで
ソフトな風合を有しており、織物引裂強度も十分であ
り、天然調の杢が得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のスパンライク様2層構造糸の糸構造を
示す拡大側面図、第2図は本発明の前記2層構造糸を製
造する装置の一態様を示す概略図である。 1:伸度の低い方の糸(芯糸)、2:伸度の高い方の糸(鞘
糸)、3、3′:原糸、4:ガイド、5:張力装置、6:フィ
ードローラ、7:インターレースノズル、8:第1デリベリ
ローラ、9:ヒーター、10:仮撚具、11:第2デリベリロー
ラ、12:巻取ローラ、13:巻取チーズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−20625(JP,A) 特公 昭47−22334(JP,B1) 特公 昭61−19733(JP,B2) 米国特許3732183(US,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】伸度の小なるカチオン染料可染ポリエステ
    ルフィラメント糸が芯部を構成し、該フィラメントより
    伸度の大なるカチオン染料不染のポリエステルフィラメ
    ント糸が芯部の周りを交互撚糸状に包被して鞘部を構成
    し、しかも該芯部と鞘部の境界部において両フィラメン
    ト糸の一部が互いに混合、交錯して交絡部を形成してな
    るスパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸において、該
    芯部のフィラメント糸が下記のカチオン染料可染ポリエ
    ステルで構成され、且つ該2層構造糸の強度が1.7g/de
    以上であることを特徴とする杢調スパンライク様延伸同
    時仮撚2層構造糸。 [カチオン染料可染ポリエステル] 下記一般式 [式中、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1及びX2は同一又
    は異るエステル形成性官能基、R1、R2、R3及びR4は水素
    原子、アルキル基、アリール基及びヒドロキシアルキル
    基より選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数を示
    す] で表わされるスルホン酸ホスホニウム塩が共重合されて
    なる、極限粘度が0.5以上のポリエステル。
JP30551286A 1986-12-23 1986-12-23 杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸 Expired - Lifetime JPH0718069B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30551286A JPH0718069B2 (ja) 1986-12-23 1986-12-23 杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30551286A JPH0718069B2 (ja) 1986-12-23 1986-12-23 杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63159537A JPS63159537A (ja) 1988-07-02
JPH0718069B2 true JPH0718069B2 (ja) 1995-03-01

Family

ID=17946048

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30551286A Expired - Lifetime JPH0718069B2 (ja) 1986-12-23 1986-12-23 杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0718069B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02229234A (ja) * 1989-02-28 1990-09-12 Teijin Ltd 易染性ポリエステル複合嵩高加工糸及びその製造方法
JP2011058120A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Teijin Fibers Ltd スパンライクポリ乳酸複合仮撚糸およびその製造方法
CN109234882B (zh) * 2018-09-04 2023-07-21 苏州大学 一种包芯纱的连续制备方法和制备装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63159537A (ja) 1988-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4365466A (en) Polyester spun-like textured yarn and method for manufacturing the same
WO2009088008A1 (ja) 常圧カチオン可染性ポリエステル及び繊維
KR20030077597A (ko) 후가공성이 우수한 복합섬유 및 그 제조방법
US3927167A (en) Production of mixed shrinkage polyester yarn
EP1500730B1 (en) Polyester conjugate filament thick-fine yarn fabric and method for production thereof
JP3014114B2 (ja) 混合紡績糸
JP3119066B2 (ja) 混繊複合糸およびその製造方法ならびに編織物
JPH0718069B2 (ja) 杢調スパンライク様延伸同時仮撚2層構造糸
JP2915045B2 (ja) カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法
JP2004218155A (ja) ポリエステル混繊糸
JP3583248B2 (ja) ポリエステルとポリアミドからなる分割型複合繊維およびその製造方法
JP2008240169A (ja) カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法
JP2004218139A (ja) 複合仮撚加工糸の製造方法
EP0431499A2 (en) Process for producing a woven or knitted fabric having a high elasticity
JP2731345B2 (ja) 異染混繊糸およびその製造方法
JP2004256965A (ja) 複合仮撚加工糸の製造方法
JPH08209443A (ja) ポリエステル系異収縮混繊糸
JPH1072732A (ja) ポリエステル系仮撚加工糸の製造方法
JPS5876537A (ja) ストレツチ性捲縮加工糸
JP2008013868A (ja) 制電性ポリエステル繊維およびその製造方法
JPS5930926A (ja) 特殊複合紡績糸
JP2679199B2 (ja) ポリエステル系マルチフイラメント糸
JP2862020B2 (ja) 染色性の改良されたスパンライク芯鞘構造糸
JPH11279839A (ja) フィブリル化可能な混繊糸
JP2024082716A (ja) ポリトリメチレンテレフタレート複合糸およびその製造方法および布帛