JPH0718049U - トーショナルダンパ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 過大振動の入力によってクランク角検出の信
頼性が損なわれることのないトーショナルダンパを提供
する。 【構成】 クランクシャフトに取り付けられるハブ１０
と、その外周側に配置された慣性質量体２０と、ハブ１
０と慣性質量体２０を弾性的に連結するエラストマー部
材３０と、外周縁４０ａにクランク角検出用の突起４１
が形成されたセンサプレート４０とを備え、突起４１の
先端部４１ａを略軸方向に屈曲することによって突起４
１の軸方向における被検出幅を増大させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのクランクシャフトの主に捩り振動を吸収するトーショナ ルダンパであって、特に、クランク角を検出してエンジンのタイミング制御を行 うためのセンサプレートを備えたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のトーショナルダンパの典型的な従来例が、実開平４−８２４４９号公 報に開示されている。すなわち、このトーショナルダンパは、図５にその一部を 示すように、クランクシャフトの軸端に取り付けられるハブの外筒部１に、外周 縁に所要数の突起２ａが形成されたセンサプレート２が固定されており、その外 周側に近接して配置されたセンサ３が、クランクシャフトと共に回転するセンサ プレート２の突起２ａの通過を読み取って信号を出力し、クランク角の検出を行 うようになっているものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来のトーショナルダンパにおけるセンサプレート２の各突起２ａは単純な平 板状に形成されていることから、この突起２ａにおける実質的な被検出部である 先端部の軸方向幅は、その肉厚に相当する狭いものとなっている。このため、ク ランクシャフトからの過大振動の入力によって、突起２ａに、図６に一点鎖線で 示すような撓みや、軸方向変位が生じると、その回転経路がセンサ３の読み取り ヘッドによる検出領域から軸方向へ外れてしまうので、出力信号レベルが不安定 になり、センサ３によるクランク角検出の信頼性が損なわれる恐れがある。した がって、本考案が解決しようとする主な技術的課題は、過大振動の入力によって クランク角検出の信頼性が損なわれることのないトーショナルダンパを提供する ことにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本考案は、クランクシャフトに取り付けられるハブと、その外周側に配置され た環状の慣性質量体と、このハブと慣性質量体を弾性的に連結するエラストマー 部材と、外周縁にクランク角検出用の所要数の突起が形成されたセンサプレート と、を備えるトーショナルダンパにおいて、前記各突起の先端部が略軸方向に屈 曲された構造を有するものである。 本考案において一層好ましくは、前記各突起の先端部を含む縁部及び前記セン サプレートの外周縁が連続して略軸方向に屈曲される。

【０００５】

【作用】

センサプレートの各突起は、その先端が略軸方向に屈曲されることによって強 度が向上すると共に、センサによる実質的な被検出部となる突起先端部の軸方向 幅がその肉厚より大きくなるので、過大振動の入力による軸方向の撓みが生じに くく、突起先端部の回転経路がセンサの読み取りヘッドによる検出領域から外れ にくくなる。また、各突起の先端部だけでなく、この先端部を含む突起の縁部及 びセンサプレートの外周縁を連続して屈曲することによって、振動入力に対する センサプレート全体の強度が向上する。

【０００６】

【実施例】

図１及び図２は、本考案に係るトーショナルダンパの第一の実施例を示すもの である。この図において、参照符号１０は内周孔１１においてエンジンのクラン クシャフト（図示省略）の軸端に装着されるハブで、その外周部には、プーリ部 １２及び外周筒状部１３が一体に形成されている。２０はハブ１０の外周筒状部 １３の外周側に配置された環状の慣性質量体で、その外周面にはプーリ溝２１が 形成されている。３０はハブ１０と慣性質量体２０を弾性的に連結する環状のエ ラストマー部材で、ハブ１０の外周筒状部１３の外周面に嵌着されたスリーブ１ ４と、これに径方向に対向する慣性質量体２０の内周面２２との間に加硫接着さ れている。４０はハブ１０のプーリ部１２に嵌着された例えば磁性体からなるセ ンサプレートで、その外周縁４０ａには、プーリ部１２の外側へ放射方向に突出 する所要数の突起４１が周方向所要の間隔で形成されている。各突起４１は、そ の先端部４１ａがプーリ部１２の外周側へ略軸方向に屈曲されている。

【０００７】 このトーショナルダンパは、慣性質量体２０及びこの慣性質量体２０をハブ１ ０に弾性的に連結しているエラストマー部材３０からなる共振系が、クランクシ ャフトの振動を打ち消すように共振するもので、主にこのクランクシャフトの捩 り振動（回転方向の振動）に対して顕著な制振機能を有する。また、センサプレ ート４０の外周側には、磁気センサ（図示省略）が近接して配置されており、セ ンサプレート４０に形成された突起４１が回転に伴って前記磁気センサの読み取 りヘッドの正面を通過した時に検出信号を出力することによって、クランク角の 検出が行われる。

【０００８】 センサプレート４０には、ハブ１０を介してクランクシャフトの振動が伝達さ れるが、各突起４１はその先端部４１ａが軸方向に屈曲されているので、振動に よる撓みに対する強度が向上すると共に、実質的な被検出部となる先端部４１ａ の軸方向幅がセンサプレート４０（突起４１）の軸方向の肉厚よりも大きくなる ので、過大振動の入力時においても、突起４１の先端部４１ａの回転経路が前記 読み取りヘッドの検出領域から軸方向へ外れることがなく、検出の信頼性が向上 する。なお、この実施例では、各突起４１の先端部４１ａがプーリ部１２の外周 側へ屈曲されているが、第二の実施例として図３に示すように、プーリ部１２か ら背反する側へ略軸方向に屈曲されたものであっても良い。

【０００９】 図４及び図５は第三の実施例を示すもので、各突起４１の先端部４１ａ及び両 側縁部４１ｂを含むセンサプレート４０の外周縁４０ａを連続してプーリ部１２ 側へ略軸方向に屈曲することによって、各突起４１ばかりでなく、センサプレー ト４０全体の強度を高めたものである。また、この場合も、図示とは逆に、プー リ部１２と背反する側へ屈曲された形状とすることができる。

【００１０】

【考案の効果】

本考案によると、センサプレートの各突起の先端が略軸方向に屈曲されたこと によって、センサによる被検出部である突起先端部の軸方向幅がその肉厚より大 きくなり、強度も向上することから、過大振動の入力時にも突起先端部の回転経 路がセンサの検出領域から軸方向へ外れることによるセンサの出力レベルの低下 が有効に防止され、クランク角検出の信頼性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第一の実施例を示す一部省略した背面
図である。

【図２】図１におけるII−II線上で切断した断面図であ
る。

【図３】本考案の第二の実施例を示す要部断面図であ
る。

【図４】本考案の第三の実施例を示す一部省略した背面
図である。

【図５】図４におけるＶ−Ｖ線上で切断した断面図であ
る。

【図６】従来例による問題点を説明するための図であ
る。

【符号の説明】

１０ ハブ １１ 内周孔 １２ プーリ部 １３ 外周筒状部 １４ スリーブ ２０ 慣性質量体 ２１ プーリ溝 ２２ 内周面 ３０ エラストマー部材 ４０ センサプレート ４０ａ 外周縁 ４１ 突起 ４１ａ 先端部 ４１ｂ 縁部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランクシャフトに取り付けられるハブ
   （１０）と、その外周側に配置された環状の慣性質量体
   （２０）と、このハブ（１０）と慣性質量体（２０）を
   弾性的に連結するエラストマー部材（３０）と、外周縁
   （４０ａ）に前記クランクシャフトの回転角検出用の所
   要数の突起（４１）が形成されたセンサプレート（４
   ０）と、を備えるトーショナルダンパにおいて、 前記各突起（４１）の先端部（４１ａ）が略軸方向に屈
   曲されていることを特徴とするトーショナルダンパ。
2. 【請求項２】 請求項１の記載において、 各突起（４１）の先端部（４１ａ）を含む縁部（４１
   ｂ）及びセンサプレート（４０）の外周縁（４０ａ）が
   連続して略軸方向に屈曲されていることを特徴とするト
   ーショナルダンパ。