JPH07179348A - スクロースアシル体を有効成分とする脳機能改善剤 - Google Patents

スクロースアシル体を有効成分とする脳機能改善剤

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JPH07179348A
JPH07179348A JP34612493A JP34612493A JPH07179348A JP H07179348 A JPH07179348 A JP H07179348A JP 34612493 A JP34612493 A JP 34612493A JP 34612493 A JP34612493 A JP 34612493A JP H07179348 A JPH07179348 A JP H07179348A
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compound
methanol
group
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sucrose
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JP34612493A
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English (en)
Inventor
Susumu Iizuka
進 飯塚
Atsushi Ishige
敦 石毛
Takuji Yamaguchi
琢児 山口
Yukinobu Iketani
幸信 池谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsumura and Co
Original Assignee
Tsumura and Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、スクロースアシル体を有効成
分とする脳機能改善剤を提供することである。 【構成】本発明は、下記式I [ただし、式中R1、R5およびR6は、R1、R5およびR6のう
ち少なくとも1つが、次のAもしくはBで表されるいずれ
かのアシル基 (ここで、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞ
れ水素原子、水酸基、低級アルコキシ基またはアセトキ
シル基を示す。)を示し、それ以外の基は、それぞれア
セチル基、低級アルコキシ基または水素原子を示し、
R2、R3、R4、R7およびR8は、それぞれ水素原子またはア
セチル基を示す。]で表されるスクロースアシル体を有
効成分とする脳機能改善剤に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スクロースアシル体を
有効成分とする脳機能改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の変化や高齢化現象に伴
い、脳梗塞や痴呆症等の脳機能障害を患う患者数の増加
が著しく、大きな社会問題となっている。
【0003】これまで脳機能障害に関する研究が進めら
れた結果、コリン作動系が動物や人の記憶や学習と関係
すること等が解明され、注目されている。
【0004】また、これらの疾患の治療薬が、その薬理
作用上あらゆる面から検討されているが、薬効の面から
好ましいものとはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、脳梗塞や痴呆
症等の脳機能障害を改善し、治療する薬剤の開発が強く
求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の生
薬成分を抽出単離し、さらに単離された化合物の誘導体
を合成し、それらの脳機能障害改善活性について検索を
行った結果、テッポウユリ(Lilium longiflorum)、カ
ノコユリ(Lilium speciosum)、ショウジョウバカマ(He
loniopsis orientalis)、ヤナギタデ(Polygonum hydr
opiper)および生薬遠志、セネガ根、ポリガラアマレラ
(Polygala amarella)、ポリガラカマエブクス(Polygal
a chamaebuxus)等のヒメハギ科植物またはその他同属
植物から単離され、または単離された化合物から誘導体
される次の式I [ただし、式中R1、R5およびR6は、R1、R5およびR6のう
ち少なくとも1つが、次のAもしくはBで表されるいずれ
かのアシル基 (ここで、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞ
れ水素原子、水酸基、低級アルコキシ基またはアセトキ
シル基を示す。)を示し、それ以外の基は、それぞれ水
素原子またはアセチル基を示し、R2、R3、R4、R7および
R8は、それぞれアセチル基または水素原子を示す。]で
表されるスクロースアシル体が、極めて強い脳機能障害
改善活性を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明の目的は、式Iで表される
スクロースアシル体(以下、式Iの化合物という。)を有
効成分として含有する脳機能改善剤を提供することであ
る。
【0008】式Iの化合物において、低級アルコキシ基
とは、炭素数1〜4のアルコキシ基、例えば、メトキシ
基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-
ブトキシ基、tert.-ブトキシ基等を意味し、本発明の脳
機能改善剤として好ましい基としては、メトキシ基が挙
げられる。また、AもしくはBで表されるアシル基の具体
例としては、ベンゾイル基、シナポイル基、フェルロイ
ル基、クマロイル基、4-ハイドロキシベンゾイル基、3,
4,5-トリメトキシシンナモイル基、3,4,5-トリエトキシ
シンナモイル基、シンナモイル基等を意味し、本発明の
脳機能改善剤として好ましい基としては、ベンゾイル
基、シナポイル基、3,4,5-トリメトキシシンナモイル
基、3,4,5-トリエトキシシンナモイル基が挙げられる。
【0009】式Iの化合物は、テッポウユリ(Lilium lo
ngiflorum)、カノコユリ(Lilium speciosum)、ショウ
ジョウバカマ(Heloniopsis orientalis)、ヤナギタデ
(Polygonum hydropiper)および生薬遠志、セネガ根、
ポリガラアマレラ(Polygala amarella)、ポリガラカマ
エブクス(Polygala chamaebuxus)等のヒメハギ科植物
またはその他同属植物から単離されあるいは単離された
化合物から誘導される既知のスクロースアシル体であ
り、その一部の化合物は、本出願人により先に特許出願
(特許公開平成4年第193890号)されたフェニルプロパノ
イド配糖体である。
【0010】式Iの化合物は、それぞれ後記方法のいず
れかにより製造される。
【0011】製造法1
【0012】次の操作を行えば、抽出単離によって式I
の化合物を得ることができる。
【0013】テッポウユリ(Lilium longiflorum)、カ
ノコユリ(Lilium speciosum)、ショウジョウバカマ(He
loniopsis orientalis)、ヤナギタデ(Polygonum hydr
opiper)および生薬遠志、セネガ根、ポリガラアマレラ
(Polygala amarella)、ポリガラカマエブクス(Polygal
a chamaebuxus)等のヒメハギ科植物またはその他同属
植物をメタノール、エタノール、クロロホルム、エーテ
ル等の有機溶媒もしくは水を用いて室温から使用する溶
媒の沸点の範囲の温度で抽出する。得られた抽出物をベ
ンゼン、n-ヘキサン、エーテル、酢酸エチル、n-ブタノ
ール等の水不溶性溶媒と水とで分配し、水不溶性溶媒に
よる抽出物をシリカゲル、セパビーズ、アルミナ、セラ
イト、ポリアミド等の担体を用いたカラムクロマトグラ
フィーまたは分取薄層クロマトグラフィーに一回または
それ以上付すことにより得ることができる。他の方法と
しては、抽出物を酢酸エチル等の適当な溶媒に溶解して
可溶部と不溶部に分けた後、シリカゲル、アルミナ、セ
ライト、ポリアミド等の担体を用いたカラムクロマトグ
ラフィーに1回またはそれ以上付すことによって得るこ
とができる。
【0014】上記カラムクロマトグラフィーまたは分取
薄層クロマトグラフィーに用いる溶媒の具体例として
は、ベンゼン、酢酸エチル、エタノール、メタノール、
アセトン、エーテル、クロロホルム、n-ヘキサン、水等
が挙げられる。
【0015】また、場合によっては水、メタノール、エ
タノール、アセトン、ジクロロメタン、エーテル、n-ヘ
キサン等の溶媒を用いて再結晶することによって精製し
てもよい。
【0016】製造法2 上記のようにして得られたスクロースアシル体のR5のア
シル基の脱離は、常法によって行うことができるが、例
えば、メタノール、イソプロパノール、エタノール、t-
ブタノール等のアルコールまたはアルコールと水との混
合溶媒中、原料となるスクロースアシル体に対し当モル
〜過剰の炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム等の炭酸塩の存在下、0℃〜50℃までの温度条件
で、5分〜数時間程度撹拌することにより実施すること
ができる。
【0017】製造法3 R1のアシル基は、R5のアシル基に比べ脱離されにくいた
め、R1のアシル基を脱離するには、R5のアシル基を脱離
する場合に比べ、よりアルカリ性を強くすること、より
温度の高い条件下で撹拌すること、またはより長い時間
撹拌する等の条件のうち少なくとも1つの条件を満たす
ことによって実施することができる。
【0018】すなわち、上記のうようにして得られたス
クロースアシル体のR1のアシル基の脱離は、常法によっ
て行うことができるが、例えば、水、メタノール、イソ
プロパノール、エタノール、t-ブタノール等のアルコー
ル溶媒または水とアルコールの混合溶媒中、原料となる
スクロースアシル体に対し当モル〜過剰の水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム等のアルカリの存在下、0℃〜80
℃までの温度条件で、5分〜数時間程度撹拌することに
より実施することができる。
【0019】製造法4 R1からR8の水素原子をアセチル基に置換するには、次の
2方法によって実施することができる。
【0020】(1) R1からR8の基が水素原子で表される
化合物をピリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、
ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミノピリジン、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類存在下
で無水酢酸またはアセチルクロライド等のアセチル化剤
を加え、0℃〜50℃程度まで加温し、1時間〜24時間程度
放置する。
【0021】(2) R1からR8の基が水素原子で表される
化合物を無水ピリジン中、無水酢酸とジメチルアミノピ
リジンを加え、0℃〜50℃程度まで加温し、1時間〜24時
間程度放置する。
【0022】製造法5 R1、R2、R3、R4、R5およびR6の基をアルキル化するに
は、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキサイド等の溶媒中で、水素化ナト
リウム、酸化銀、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸
化カリウム、水酸化ナトリウム等の塩基存在下に、アル
コキシ基に相当するヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ
化プロピル、ヨウ化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、
臭化プロピル、臭化ブチル等のハロゲン化アルキルを反
応させることにより実施することができる。
【0023】製造法6 R1、R2、R3、R4、R5およびR6の基をアシル化するには、
AもしくはBに相当するカルボン酸を塩化メチレン、クロ
ロロルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサ
イド等の溶媒中でトリエチルアミンやジエチルアミン等
のアミン存在下、ジシクロヘキシルカルボジイミドある
いはクロロリン酸ジエチル等の縮合剤と反応させ、活性
エステル体とした後、R1、R2、R3、R4、R5およびR6が水
素原子で表される化合物を加えることにより実施するこ
とができる。
【0024】次に式Iの化合物の製造の具体例を、以下
に示す。
【0025】[具体例1]遠志4.8kgを粉砕後、メタノール
20lで3時間還流下で、抽出を3回行った。メタノール抽
出液を合併し、減圧下で溶媒を留去し、エキス1084.8g
を得た。このメタノール抽出エキスを水4.5lに溶解し、
エーテル3lで3回、次いでn-ブタノール3lで3回抽出し
た。n-ブタノール抽出液を合併し、減圧下で溶媒を留去
し、エキス638.86gを得た。このn-ブタノールエキス408
gをセパビーズSP207(三菱化成工業株式会社製)2.6lのカ
ラムクロマトグラフィーに付し、水7l、20%メタノール
6.5l、40%メタノール6.5l、メタノール6.5lで順次溶出
した。メタノールで溶出した画分を減圧濃縮し、メタノ
ール溶出部182.71gを得た。このメタノール溶出部をシ
リカゲル[メルク社製キーゼルゲル60(70-230メッシ
ュ)、以下同じ]1.15kgを用いたカラムクロマトグラフィ
ーに付し、クロロホルムとメタノールの混合溶媒で溶出
した。クロロホルム:メタノール(17:3)2.5lで溶出した
画分を合併し減圧下に溶媒を留去し、残留物5.00gを得
た。
【0026】この残留物を再度シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(径5cm,長さ23.5cm)に付した。クロロホル
ム:メタノール(17:3)200mlで溶出した画分を減圧濃縮す
ることにより得られた残留物706mgを分取薄層クロマト
グラフィー(プレート:メルク社製キーゼルゲル60F254、
以下同じ)に付し精製した。クロロホルム:メタノール
(9:1)で展開し、Rf値0.2の画分をメタノールで抽出し、
溶媒を留去することにより得られた残留物を再度、分取
薄層クロマトグラフィーに付し、酢酸エチル:メタノー
ル:水(16:3:1)で展開した。Rf値0.73の画分をメタノー
ルで抽出し、溶媒を留去することにより黄色粉末158mg
を得た。この黄色粉末は、下記のような理化学的性質を
示すことから、下記構造を有するβ-D-(3-O-(3,4,5-ト
リメトキシシンナモイル))-フルクトフラノシル-α-D-
(6-O-シナポイル)-グルコピラノシド[β-D-(3-O-(3,4,5
-trimethoxycinnamoyl))-fructofuranosyl-α-D-(6-O-s
inapoyl)-glucopyranoside](以下、化合物1という)と決
定した。
【0027】
【0028】比旋光度:[α]D 26 -53.6°(c=1.51,MeOH)
【0029】マススペクトル(FAB-MS) m/z:791[M+N
a]+,768[M]+
【0030】ハイマススペクトル(C35H44O19Na,[M+N
a]+) 計算値: 791.2375(m/z) 実測値: 791.2403
【0031】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3416,1708,1632,1606,1586
【0032】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):200.8(4.55),234.8(4.51),319.2(4.50)
【0033】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD):3.31(1H,dd,J=9.9,8.7Hz),3.48(1H,dd,J=9.
8,3.8Hz),3.59(1H,d,J=12.1Hz),3.63(1H,d,J=12.1Hz),
3.67(1H,dd,J=9.7,8.7Hz),3.79(3H,s),3.85(6H,s),3.87
(6H,s),3.83(1H,dd,J=12.1,3.3Hz),3.90(1H,dd,J=12.1,
6.9Hz),3.98(1H,ddd,J=8.1,6.9,3.3Hz),4.21(1H,dd,J=1
1.7,7.2Hz),4.28(1H,ddd,9.9,7.2,1.6Hz),4.50(1H,t,J=
8.0Hz),4.68(1H,dd,J=11.7,1.6Hz),5.51(1H,t,J=7.9H
z),5.51(1H,d,J=3.8Hz),6.46(1H,d,J=15.8Hz),6.54(1H,
d,J=15.9Hz),6.89(2H,s),6.94(2H,s),7.59(1H,d,J=15.8
Hz),7.69(1H,d,J=15.9Hz)
【0034】13C-核磁気共鳴スペクトル(δ ppm in
CD3OD):56.9×2,57.0×2,61.2,63.9,65.7,65.8,72.0,7
2.6,73.2,74.3,75.2,79.6,84.4,92.8,104.9,107.1×4,1
15.9,117.9,126.7,131.5,140.0,141.5,147.27,147.32,1
49.5×2,154.9×2,167.9,169.1
【0035】[具体例2]具体例1の最初のシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにおいてクロロホルム:メタノー
ル(7:3)で溶出した画分を減圧濃縮することにより得ら
れた残留物16.189gを再度シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(径5cm、長さ24cm)に付し、クロロホルムとメ
タノールの混合溶媒で溶出した。クロロホルム:メタノ
ール(4:1)で溶出した画分を減圧濃縮することにより得
られた残留物をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(径2.5cm、長さ29cm)に付し、クロロホルムとメタ
ノールの混合溶媒で溶出した。クロロホルム:メタノー
ル(4:1)で溶出した画分を減圧濃縮して得られた残留物7
21mgを分取薄層クロマトグラフィーに付し、クロロホル
ム:メタノール(3:1)で展開した。Rf値0.51の部分をと
り、メタノールで抽出し、溶媒を留去することにより、
黄色粉末473mgを得た。この黄色粉末の理化学的性質
は、下記のようであり、Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada,and
H.Mitsuhashi,Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)に
記載の物理化学的データと一致したことから、下記の構
造を有するβ-D-(3-O-シナポイル)-フルクトフラノシル
-α-D-(6-O-(4-ハイドロキシベンゾイル))-グルコピラ
ノシド[β-D-(3-O-sinapoyl)-fructofuranosyl-α-D-(6
-O-(4-hydroxybenzoyl))-glucopyranoside](以下、化合
物2という)と決定した。
【0036】
【0037】比旋光度:[α]D 26 -20.8°(c=1.01,MeOH)
【0038】マススペクトル(FAB-MS) m/z:691[M+Na]+
【0039】ハイマススペクトル(C30H36O17Na,[M+N
a]+) 計算値: 691.1851(m/z) 実測値: 691.1882
【0040】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3400,1702,1632,1608
【0041】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):201.4(4.44),246.2(4.30),330.8(4.19)
【0042】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD):3.46(1H,dd,J=10.0,8.9Hz),3.48(1H,dd,J=
9.7,3.7Hz),3.61(1H,d,J=12.2Hz),3.66(1H,d,J=12.2H
z),3.71(1H,t,J=9.3Hz),3.71(1H,dd,J=12.2,3.0Hz),3.8
0(1H,dd,J=12.2,6.6Hz),3.87(6H,s),3.93(1H,ddd,J=8.
0,6.6,3.0Hz),4.24(1H,ddd,J=10.0,5.0,2.0Hz),4.38(1
H,t,J=8.0Hz),4.44(1H,dd,J=12.05.0Hz),4.66(1H,dd,J=
12.0,2.0Hz),5.47(1H,t,J=7.9Hz),5.50(1H,d,J=3.7Hz),
6.45(1H,d,J=15.8Hz),6.82(2H,d,J=8.8Hz),6.92(2H,s),
7.70(1H,d,J=15.8Hz),7.91(2H,d,J=8.8Hz)
【0043】13C-核磁気共鳴スペクトル(δ ppm in
CD3OD):56.9×2,63.4,65.1,65.6,71.6,72.5,73.1,74.1,
74.9,79.6,84.1,93.1,104.9,107.1×2,115.4,116.2×2,
122.1,126.6,133.0×2,139.7,148.0,149.4×2,163.6,16
8.20,168.23
【0044】[具体例3]具体例1の化合物70mgを5%炭酸カ
リウム-70%メタノール2mlに溶解し、20℃で30分撹拌し
た。反応液を1N塩酸-メタノールで中和した後、減圧濃
縮した。濃縮液を分取薄層クロマトグラフィーに付し精
製した。クロロホルム:メタノール(7:3)で展開し、Rf値
0.2の画分をメタノールで抽出し、溶媒を留去すること
により淡黄色粉末47mgを得た。この淡黄色粉末は、下記
のような理化学的性質を示すことから、下記の構造を有
するβ-D-フルクトフラノシル-α-D-(6-O-シナポイル)
グルコピラノシド[β-D-fructofuranosyl-α-D-(6-O-si
napoyl)-glucopyranoside](以下、化合物3という)と決
定された。
【0045】
【0046】比旋光度:[α]D 26 +32.9°(c=0.365,MeO
H)
【0047】マススペクトル(FAB-MS) m/z:571[M+Na]+
【0048】ハイマススペクトル(C23H32O15Na[M+Na]+) 計算値: 571.1639(m/z) 実測値: 571.1639
【0049】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3408,1700,1632,1608
【0050】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):200.4(4.25),224.8(sh4.12),240.0(4.19),32
9.0(4.26)
【0051】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in DMSO-d6):3.14(1H,dd,J=10.0,8.8Hz),3.27(1H,dd,J
=9.7,3.8Hz),3.41(2H,s),3.54(1H,t,J=9.4Hz),3.56(1H,
m),3.62(1H,dd,J=12.6,6.6Hz),3.60-3.65(2H,m),3.78(6
H,s),3.84(1H,t,J=8.2Hz),3.91(1H,d,J=8.3Hz),4.01(1
H,ddd,J=10.0,6.5,1.8Hz),4.14(1H,dd,J=11.7,6.5Hz),
4.31(1H,dd,11.7,1.8Hz),5.23(1H,d,J=3.8Hz),6.44(1H,
d,J=15.8Hz),6.99(2H,s),7.53(1H,d,J=15.8Hz)
【0052】13C-核磁気共鳴スペクトル(δ ppm in
DMSO-d6):55.9×2,62.2,62.5,63.7,69.9,70.1,71.3,72.
6,74.3,76.8,82.4,91.2,103.7,106.3,113.4,122.6,140.
9,145.5,148.2×2,166.8
【0053】[具体例4]具体例2の化合物80mgを5%炭酸カ
リウム-70%メタノール2mlに溶解し、25℃で50分撹拌し
た。反応液を1N塩酸-メタノールで中和した後、減圧濃
縮した。濃縮液を分取薄層クロマトグラフィーに付し精
製した。クロロホルム:メタノール(7:3)で展開し、Rf値
0.1の画分をメタノールで抽出し、溶媒を留去すること
により淡褐色粉末21mgを得た。この淡褐色粉末は下記の
ような理化学的性質を示すことから、下記の構造を有す
るβ-D-フルクトフラノシル-α-D-(6-O-(4-ハイドロキ
シベンゾイル))-グルコピラノシド[β-D-fructofuranos
yl-α-D-(6-O-(4-hydroxybenzoyl))-glucopyranoside]
(以下、化合物4という)と決定された。
【0054】
【0055】比旋光度:[α]D 26 +21.7°(c=0.347,Me
OH)
【0056】マススペクトル(FAB-MS) m/z:485[M+Na]+
【0057】ハイマススペクトル(C19H26O13Na,[M+N
a]+) 計算値: 485.1271(m/z) 実測値: 485.1276
【0058】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3428,1694,1610
【0059】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):201.8(4.10),207.6(sh4.00),258(4.03)
【0060】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in DMSO-d6):3.24(1H,dd,J=9.9,9.2Hz),3.26(1H,dd,J=
9.9,3.7Hz),3.40(1H,d,J=12.6Hz),3.42(1H,d,J=12.6H
z),3.47(1H,dd,J=11.5,2.9Hz),3.53(1H,dd,J=11.5,6.5H
z),3.55(1H,t,J=9.6Hz),3.58(1H,ddd,J=8.2,6.5,2.9H
z),3.79(1H,t,J=8.2Hz),3.90(1H,d,J=8.2Hz),4.04(1H,d
dd,J=9.9,4.9,1.9Hz),4.25(1H,dd,J=11.6,4.9Hz),4.36
(1H,dd,J=11.6,1.9Hz),5.22(1H,d,J=3.7Hz),6.85(2H,d,
J=8.8Hz),7.79(2H,d,J=8.8Hz)
【0061】13C-核磁気共鳴スペクトル(δ ppm in
DMSO-d6):62.1,62.4,63.6,70.0,71.4,72.6,74.4,77.0,8
2.5,91.6,103.9,115.4×2,119.4,131.4×2,162.9,165.7
【0062】[具体例5]具体例1の最初のシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにおけるクロロホルム:メタノー
ル(4:1)1.0lで溶出した画分を合併し、減圧下に溶媒を
留去し、残留物7.610gを得た。この残留物を再度シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(径3cm,長さ25cm)に付
し、クロロホルムとメタノールの混合溶媒で溶出した。
クロロホルム:メタノール(4:1)790mlで溶出した画分を
合併し、減圧下に溶媒を留去し、残留物6.506gを得た。
本残留物をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(径2.5cm,長さ22cm)に付した。酢酸エチル:メタノール:
水(33:6:1)で溶出した画分を減圧乾燥することにより、
黄色粉末2.785gを得た。この黄色粉末の理化学的性質
は、下記のようであり、Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada,and
H.Mitsuhasi,Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)に記載
の物理化学的データと一致したことから、下記の構造を
有するβ-D-(3-O-(3,4,5-トリメトキシシンナモイル))-
フルクトフラノシル-α-D-(6-O-(4-ヒドロキシベンゾイ
ル))-グルコピラノシド[β-D-(3-O-(3,4,5-trimethoxyc
innamoyl))-fuructofuranosyl-α-D-(6-O-(4-hydroxybe
nzoyl))-glucopyranoside(以下、化合物5という)と決定
した。
【0063】
【0064】比旋光度:[α]D 24 -20.5°(c=1.52,MeOH)
【0065】マススペクトル(FAB-MS) m/z:705[M+Na]+
【0066】ハイマススペクトル(C31H38O17Na[M+Na]+) 計算値: 705.2007(m/z) 実測値: 705.2048
【0067】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3412,1704,1632,1608,1588
【0068】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):201.8(4.51),235.4(4.31),256.0(4.21),308.8
(4.22)
【0069】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD):3.46(1H,dd,J=10.0,8.9Hz),3.48(1H,dd,J=
9.7,3.7Hz),3.61(1H,d,J=12.2Hz),3.66(1H,d,J=12.2H
z),3.69(1H,dd,J=9.7,8.9Hz),3.73(1H,dd,J=12.1,3.0H
z),3.81(1H,dd,J=12.1,6.6Hz),3.79(3H,s),3.86(6H,s),
3.93(1H,ddd,J=8.0,6.6,3.0Hz),4.23(1H,ddd,J=10.0,4.
9,2.1Hz),4.37(1H,t,J=7.9Hz),4.42(1H,dd,J=12.0,4.9H
z),4.64(1H,dd,J=12.0,2.1Hz),5.47(1H,d,J=7.8Hz),5.5
0(1H,d,J=3.7Hz),6.54(1H,d,J=15.9Hz),6.76(2H,d,J=8.
9Hz),6.95(2H,s),7.72(1H,d,J=15.9Hz),7.87(2H,d,J=8.
9Hz)
【0070】13C-核磁気共鳴スペクトル(δ ppm in
CD3OD):56.9×2,61.2,63.5,65.0,65.7,71.7,72.6,73.2,
74.2,75.0,80.0,84.3,105.0,107.1×2,117.2×2,117.8,
120.4,131.5,133.1×2,141.5,147.3,154.8×2,166.4,16
7.9,168.6
【0071】[具体例6]具体例1における最初カラムクロ
マトグラフィーにおいて、クロロホルム:メタノール(8
5:15)で溶出した画分を減圧濃縮し、残留物5.01gを得
た。本残留物を再度シリカゲルクロマトグラフィー(径5
cm,長さ23.5cm)に付し、クロロホルムとメタノールの混
合溶媒で溶出した。クロロホルム:メタノール(10:1)350
mlで溶出した画分を減圧濃縮し、残留物944mgを得た。
【0072】本残留物を分取高速液体クロマトグラフィ
ー[カラム,YMC Pack S-3430DS(径2cm,長さ25cm);移動
相,アセトニトリル:水(3:7);流速,5ml/分;検出,紫外線3
35nm]に付した。保持時間54.0分に溶出された画分を分
取し、減圧乾燥することにより白色粉末345mgを得た。
本白色粉末の理化学的性質は、下記のようであり、文献
[宮瀬敏男,上野明,日本生薬学会第39回年会講演要旨集
(東京),p.90(1992)]に記載の物理化学的データと一致し
たことから、下記の構造を有するβ-D-[3-O-(3,4,5-ト
リメトキシシンナモイル)]-フルクトフラノシル-α-D-
[6-O-(4-メトキシベンゾイル)]-グルコピラノサイド(以
下、化合物6という)と決定した。
【0073】
【0074】性状 白色粉末
【0075】比旋光度:[α]D -17.6°(c=1.40,MeOH)
【0076】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3416,1710,1632,1606
【0077】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):237(4.33),256(4.35),308(4.32)
【0078】FABマススペクトル m/z:697[M+H]+
【0079】高分解能FABマススペクトル C32H41O
17([M+H]+) 計算値: 697.2344 実測値: 697.2342
【0080】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD):3.45(1H,dd,J=10.0,8.9Hz),3.48(1H,dd,J=
9.7,3.7Hz),3.61(1H,d,J=12.1Hz),3.66(1H,d,J=12.1H
z),3.69(1H,dd,J=9.7,8.9Hz),3.71(1H,dd,J=12.0,3.0H
z),3.79(3H,s),3.80(1H,dd,J=12.0,3.0Hz),3.84(3H,s),
3.86(6H,s),3.93(1H,ddd,J=8.6,6.0,3.0Hz),4.21(1H,d
d,J=12.0,2.1Hz),4.25(1H,ddd,J=10.0,5.0,2.0Hz),4.44
(1H,dd,J=12.0,5.1Hz),5.48(1H,d,J=7.8Hz),5.50(1H,d,
J=3.7Hz),6.53(1H,d,J=15.9Hz),6.97(2H,d,J=9.0Hz),7.
71(1H,dd,J=15.9Hz),7.99(2H,d,J=9.0Hz)
【0081】[具体例7]具体例1の最初のシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにおいてクロロホルム:メタノー
ル(9:1)0.5lで溶出した画分を減圧濃縮し、残留物580mg
を得た。この残留物を分取薄層クロマトグラフィーに付
し、n-ヘキサン:アセトン(1:1)で展開した。Rf値0.2の
部分をメタノールで抽出し、抽出液を減圧乾燥すること
により、白色粉末50mgを得た。本白色粉末の理化学的性
質は、下記のようであり、下記の構造を有するβ-D-(1-
O-アセチル-3-O-フェルロイル-6-O-シナポイル)-フルク
トフラノシル-α-D-(2,4,6-O-トリアセチル)-グルコピ
ラノサイド(以下、化合物7という)と決定した。
【0082】
【0083】性状 白色粉末
【0084】比旋光度:[α]D 24 +45.5°(c=1.12,MeOH)
【0085】赤外線吸収スペクトル ν KBr max cm
-1:3448,1744,1724,1632,1604
【0086】紫外線吸収スペクトル λ MeOH max n
m(logε):202(4.48),220(4.34),237(4.33),330(4.45)
【0087】FABマススペクトル m/z:893[M+H]+
【0088】高分解能FABマススペクトル C41H49O
22([M+H]+) 計算値: 893.2716 実測値: 893.2705
【0089】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD):1.87(3H,s),2.03(3H,s),2.10(3H,s),2.12(3
H,s),3.89(6H,s),3.91(3H,s),3.92(1H,dd,J=10.2,9.3H
z),4.09(1H,d,J=11.5Hz),4.09(1H,dd,J=12.1,5.7Hz),4.
13(1H,ddd,J=7.8,5.4,3.4Hz),4.21(1H,dd,J=12.1,2.4H
z),4.25(1H,ddd,J=10.1,5.7,2.4Hz),4.26(1H,d,J=11.5H
z),4.46(1H,t,J=7.8Hz),4.46(1H,dd,J=12.3,5.7Hz),4.5
1(1H,dd,J=12.3,3.4Hz),4.69(1H,dd,J=10.2,3.8Hz),4.8
0(1H,dd,J=10.1,9.3Hz),5.39(1H,d,J=7.8Hz),5.70(1H,
d,J=3.8Hz),6.45(1H,d,J=15.9Hz),6.45(1H,d,J=15.9H
z),6.83(1H,d,J=8.2Hz),6.93(2H,s),7.12(1H,dd,J=8.2,
2.0Hz),7.26(1H,d,J=2.0Hz),7.67(1H,d,J=15.9Hz),7.71
(1H,d,J=15.9Hz)
【0090】13C-核磁気共鳴スペクトル(δ ppm in
CD3OD):20.66,20.73,20.81,20.97,56.66,64.19,64.56,6
6.66,69.86,70.10,72.40,73.84,74.04,79.63,81.61,90.
52,103.97,107.14,111.99,114.41,115.72,116.66,124.6
4,126.76,127.59,139.86,147.52,148.27,149.60,151.1
7,168.05,168.75,171.81,172.10,172.24,172.67
【0091】[具体例8]具体例1における最初のシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにおいて、クロロホルム:
メタノール(80:20)で溶出した画分を減圧濃縮し、残留
物22.13gを得た。この残留物を再度シリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(径4cm,長さ26cm)に付し、クロロホル
ムとメタノールの混合溶媒で溶出した。クロロホルム:
メタノール(4:1)105mlで溶出した画分を減圧濃縮し、残
留物4.680gを得た。この残留物をさらにシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(径3.5cm,長さ22cm)に付し、クロ
ロホルム:メタノール(17:3)で溶出した。最初の溶出液4
50mlを分取し、減圧乾燥することにより白色粉末2.941g
を得た。この白色粉末の理化学的性質は、下記のようで
あり、Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada,and H.Mitsuhash
i,Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)に記載の物理化学的
データと一致したことから、下記の構造を有するβ-D-
(3-O-シナポイル)-フルクトフラノシル-α-D-(6-O-シナ
ポイル)-グルコピラノサイド(以下、化合物8という)と
決定した。
【0092】
【0093】次に、式Iの化合物が脳機能改善作用を有
することを実験例を挙げて説明する。
【0094】実験例1 実験には、実験前日(18時間前)から絶食(但し、飲水は
自由摂取。)させておいた7週令ICR系雄性マウス10匹を
用いた。このマウスに、各濃度に調製した被験薬物を経
口投与し、投与1時間後、生理食塩水に溶解した青酸カ
リウム(KCN)2.0mg/kgを尾静脈内に投与し、正向反射消
失持続時間(Coma Time)を測定した。対照群としては、
被験薬物のかわりに水を投与した動物に対して、生理食
塩水に溶解した青酸カリウム(KCN)2.0mg/kgを尾静脈内
に投与し、正向反射消失持続時間を測定した。その結果
を第1表〜第2表に示す。
【0095】第1表
【0096】第2表
【0097】第1表〜第2表の結果から、式Iの化合物が
青酸カリウムによる脳障害を改善する作用を有し、脳機
能改善薬剤として有用であることが確認された。
【0098】実験例2(コリンアセチルトランスフェラー
ゼ賦活作用) 8週齢のウイスター系雄性ラットをエーテル麻酔下に致
死させ、直ちに脳を摘出し、線条体を取り出した。線条
体は、25mMナトリウム-リン酸緩衝液(pH7.4)にてホモジ
ナイズし、20,000×gで60分間遠心した。その上清をコ
リンアセチルトランスフェラーゼ活性測定の検体とし
た。また、以上の操作はすべて4°Cで行い、検体は-20
°Cで保存した。
【0099】コリンアセチルトランスフェラーゼ活性の
測定は、金田、永津らの方法[J.Choromatogra.,341,23-
30(1985)]により行った。すなわち、50mMコリン50μl、
2mMアセチルCoA50μl、1mMエゼリン50μl、および0.1M
ナトリウム-リン酸緩衝液(pH7.4)250μlに上記の検体50
μlおよび具体例で得た化合物をそれぞれジメチルスル
フォキシド(DMSO)に1.0×10-5Mまたは1.0×10-4Mの終濃
度になるように溶解させた薬物溶液50μlをそれぞれ加
え、37°Cにて20分間反応させた。
【0100】次に、氷中にて6%過塩素酸50μlを加えて
反応を停止させ、10分後内部標準物質として2.5mMエチ
ルホモコリン10μlを加え、3,000rpmで10分間遠心し
た。この上清をHPLC-電気化学検出器にてアセチルコリ
ン含量を測定した。
【0101】なお、HPLCは以下の条件で行った。カラム
は、逆相系カラムおよび酵素カラムを用い、移動相とし
て1-デカンスルホン酸ソーダ300mg/lおよびテトラメチ
ルアンモニウムクロライド65mg/lを含む0.1Mカリウム-
リン酸緩衝液(pH8.0)、流速は1ml/min.、温度は35°Cと
した。検出器は、電気化学検出器ECD-100を用いた。
【0102】また、被験薬の溶解液を加えるかわりにDM
SOを加える以外は上記と同様にして反応させコントロー
ルとした。
【0103】実験の結果をコリンアセチルトランスフェ
ラーゼ賦活率(%)として第3表に示した。
【0104】第3表
【0105】第3表の結果から、式Iの化合物がコリンア
セチルトランスフェラーゼ賦活作用を有し、脳機能改善
薬剤として有用であることが確認された。
【0106】また、式Iの化合物の急性毒性試験をICR系
雄性マウスを用いて行ったところ、1g/kgの経口投与で
死亡例はなかった。従って、式Iの化合物は安全性の高
い化合物であることが確認された。
【0107】次に、式Iの化合物の投与量および製剤化
について説明する。
【0108】式Iの化合物はそのまま、あるいは慣用の
製剤担体と共に動物および人に投与することができる。
投与形態としては、特に限定がなく、必要に応じ適宜選
択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、
散剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられ
る。
【0109】経口剤として所期の効果を発揮するために
は、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通
常成人で式Iの化合物の重量として5〜5000mgを、1日数
回に分けての服用が適当と思われる。
【0110】経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、
マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスタ
ーチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。
【0111】この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他
に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進
剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
それぞれの具体例は以下に示す如くである。
【0112】[結合剤]デンプン、デキストリン、アラビ
アゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、
エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴー
ル。
【0113】[崩壊剤]デンプン、ヒドロキシプロピルス
ターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カル
ボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチル
セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース。
【0114】[界面活性剤]ラウリル硫酸ナトリウム、大
豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート8
0。
【0115】[滑沢剤]タルク、ロウ類、水素添加植物
油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ポリエチレングリコール。
【0116】[流動性促進剤]軽質無水ケイ酸、乾燥水酸
化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸
マグネシウム。
【0117】また、式Iの化合物は、懸濁液、エマルジ
ョン剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与するこ
とができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤
を含有してもよい。
【0118】非経口剤として所期の効果を発揮するため
には、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、
通常成人で式Iの化合物の重量として1日0.5〜100mgまで
の静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が適当と思われ
る。
【0119】この非経口剤は常法に従って製造され、希
釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖
水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ
油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール等を用いることができる。さらに必要に
応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。ま
た、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填
後冷凍し、通常の凍結乾燥技術により水分を除去し、使
用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもでき
る。さらに、必要に応じて適宜、等張化剤、安定剤、防
腐剤、無痛化剤等を加えても良い。
【0120】その他の非経口剤としては、外用液剤、軟
膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、
常法に従って製造される。
【0121】次に本発明の製剤例を挙げて説明する。
【0122】
【0123】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、打錠機にて圧縮成型して一錠200mgの錠剤を得た。
【0124】この錠剤一錠には、具体例1で得られた化
合物20mgが含有されており、成人1日3〜10錠を数回にわ
けて服用する。
【0125】 [製剤例2] 結晶セルロース 84.5g ステアリン酸マグネシウム 0.5g カルボキシメチル セルロースカルシウム 5g 化合物2 10g 計 100g
【0126】上記の処方に従って、およびの一部
を均一に混合し、圧縮成型した後、粉砕し、および
の残量を加えて混合し、打錠機にて圧縮成型して一錠20
0mgの錠剤を得た。
【0127】この錠剤一錠には、具体例2で得られた化
合物20mgが含有されており、成人1日3〜10錠を数回にわ
けて服用する。
【0128】 [製剤例3] 結晶セルロース 79.5g 10%ヒドロキシプロピル セルロースエタノール溶液 50g カルボキシメチル セルロースカルシウム 5g ステアリン酸マグネシウム 0.5g 化合物3 10g 計 145g
【0129】上記の処方に従って、およびを均一
に混合し、常法によりねつ和し、押し出し造粒機により
造粒し、乾燥・解砕した後、およびを混合し、打錠
機にて圧縮成型して一錠200mgの錠剤を得た。
【0130】この錠剤一錠には、具体例3で得られた化
合物20mgが含有されており、成人1日3〜10錠を数回にわ
けて服用する。
【0131】
【0132】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、圧縮成型機にて圧縮成型後、破砕機により粉砕し、
篩別して顆粒剤を得た。
【0133】この顆粒剤1gには、具体例4で得られた化
合物100mgが含有されており、成人1日0.6〜2gを数回に
わけて服用する。
【0134】 [製剤例5] 結晶セルロース 86.5g 10%ヒドロキシプロピル セルロースエタノール溶液 35g 化合物5 10g 計 131.5g
【0135】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、ねつ和した。押し出し造粒機により造粒後、乾燥
し、篩別して顆粒剤を得た。
【0136】この顆粒剤1gには、具体例5で得られた化
合物100mgが含有されており、成人1日0.6〜2gを数回に
わけて服用する。
【0137】 [製剤例6] コーンスターチ 89.5g 軽質無水ケイ酸 0.5g 化合物6 10g 計 100g
【0138】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、200mgを2号カプセルに充填した。
【0139】このカプセル剤1カプセルには、具体例6で
得られた化合物20mgが含有されており、成人1日3〜10カ
プセルを数回にわけて服用する。
【0140】 [製剤例7] 注射用蒸留水 89.5g 大豆油 5g 大豆リン脂質 2.5g グリセリン 2g 化合物7 1g 全量 100g
【0141】上記の処方に従ってをおよびに溶解
し、これにとの溶液を加えて乳化し、注射剤を得
た。
【0142】 [製剤例8] 注射用蒸留水 適量 ブドウ糖 200mg 化合物5 10g 全量 15ml
【0143】注射用蒸留水におよびを溶解させた
後、5mlのアンプルに注入し、121℃で15分間加圧滅菌を
行って注射剤を得た。 以上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池谷 幸信 茨城県稲敷郡阿見町吉原3586 株式会社ツ ムラ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式I [ただし、式中R1、R5およびR6は、R1、R5およびR6のう
    ち少なくとも1つが、次のAもしくはBで表されるいずれ
    かのアシル基 (ここで、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、それぞ
    れ水素原子、水酸基、低級アルコキシ基またはアセトキ
    シル基を示す。)を示し、それ以外の基は、それぞれア
    セチル基、低級アルコキシ基または水素原子を示し、
    R2、R3、R4、R7およびR8は、それぞれ水素原子またはア
    セチル基を示す。]で表されるスクロースアシル体を有
    効成分とする脳機能改善剤。
JP34612493A 1993-12-22 1993-12-22 スクロースアシル体を有効成分とする脳機能改善剤 Pending JPH07179348A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100378735B1 (ko) * 2000-05-03 2003-03-31 주식회사 브레인트로피아 원지로부터 유효성분의 추출·정제방법 및 그 추출물을함유한 치매치료용 생약 조성물
JP2016044160A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 日本メナード化粧品株式会社 皮膚外用剤または内用剤
WO2020183442A3 (en) * 2019-03-14 2020-10-22 Universidade Nova De Lisboa Phenylpropanoid saccharide esters, methods and uses thereof
CN113072602A (zh) * 2021-03-08 2021-07-06 广东省科学院化工研究所 一种酚酸基糖酯及其制备方法

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JP2016044160A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 日本メナード化粧品株式会社 皮膚外用剤または内用剤
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