JPH07179338A - 脳機能改善剤 - Google Patents

脳機能改善剤

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JPH07179338A
JPH07179338A JP5346123A JP34612393A JPH07179338A JP H07179338 A JPH07179338 A JP H07179338A JP 5346123 A JP5346123 A JP 5346123A JP 34612393 A JP34612393 A JP 34612393A JP H07179338 A JPH07179338 A JP H07179338A
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JP
Japan
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compound
group
formula
injection
methoxymethylenoxy
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JP5346123A
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English (en)
Inventor
Susumu Iizuka
進 飯塚
Atsushi Ishige
敦 石毛
Takuji Yamaguchi
琢児 山口
Yukinobu Iketani
幸信 池谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsumura and Co
Original Assignee
Tsumura and Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、シナピン酸誘導体およびその
生理学的に許容されうる塩を有効成分とする脳機能改善
剤を提供することである。 【構成】本発明は、下記式I [ただし、式中R1およびR3は、それぞれ水素原子、低級
アルキル基を示し、R2は、水酸基、メトキシ基またはメ
トキシメチレノキシ基を示し、R4は、次のAまたはBいず
れかの基 (ここで、R5は、水酸基、低級アルコキシ基、芳香族ア
ルコキシ基で置換されていてもよいアミノ基またはメト
キシメチレノキシ基を示し、R6は、低級アルキル基を意
味する。]で表されるシナピン酸誘導体およびその生理
学的に許容されうる塩を有効成分とする脳機能改善剤で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シナピン酸誘導体およ
びその生理学的に許容されうる塩を有効成分とする脳機
能改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の変化や高齢化現象に伴
い、脳梗塞や痴呆症等の脳機能障害を患う患者数の増加
が著しく、大きな社会問題となっている。
【0003】これまで脳機能障害に関する研究が進めら
れた結果、コリン作動系が動物や人の記憶や学習と関係
すること等が解明され、注目されている。
【0004】また、これらの疾患の治療薬が、その薬理
作用上あらゆる面から検討されているが、薬効の面から
好ましいものとはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、脳梗塞や痴呆
症等の脳機能障害を改善し、治療する薬剤の開発が強く
求められている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の化
合物の脳機能障害改善活性について検索を行った結果、
次の式I [ただし、式中R1およびR3は、それぞれ水素原子、低級
アルキル基を示し、R2は、水酸基、メトキシ基またはメ
トキシメチレノキシ基を示し、R4は、次のAまたはBいず
れかの基 (ここで、R5は、水酸基、低級アルコキシ基、芳香族ア
ルコキシ基で置換されていてもよいアミノ基またはメト
キシメチレノキシ基を示し、R6は、低級アルキル基を意
味する。]で表されるシナピン酸誘導体およびその生理
学的に許容されうる塩が、極めて強い脳機能障害改善活
性を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明の目的は、式Iで表される
シナピン酸誘導体およびその生理学的に許容されうる塩
(以下、式Iの化合物という。)を有効成分として含有す
る脳機能改善剤を提供することである。
【0008】式Iの化合物において、低級アルキル基と
は、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル基、エチ
ル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、ter
t.-ブチル基、メトキシメチレン基を意味し、芳香族ア
ルコキシ基とは、フェノキシ基、ハイドロキシフェノキ
シ基、アミノフェノキシ基等を意味する。さらに、生理
学的に許容しうる塩とは、例えば、ナトリウム原子、カ
リウム原子、カルシウム原子、アルミニウム原子を有す
る式Iの化合物を意味する。
【0009】式Iの化合物のうちR1とR3がメチル基で、R
2が水酸基、R4がカルボキシル基であるシナピン酸は、
既知の化合物であり、Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada, and
H.Mitsuhashi,Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)に製
造方法等についての記載があるが、シナピン酸およびそ
の誘導体が本発明の如く、脳機能改善作用を有し、脳梗
塞、痴呆症等の疾病の治療に有用であることは、全く知
られていなかったことである。
【0010】式Iの化合物は、それぞれ後記方法のいず
れかにより製造される。
【0011】製造法1 R4がA基であり、A基のR5が低級アルコキシ基である化合
物は、R5が水酸基である化合物を炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、ジメ
チル硫酸、ジエチル硫酸、ヨウ化メチル、ヨウ化エチ
ル、ヨウ化ブチル等のアルキル化剤と反応させることに
より得ることができる。
【0012】製造法2 R2がメトキシメチレノキシ基である化合物は、R2が水酸
基である化合物をジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキサイド、塩化メチレン等の溶媒中で、N,N-ジイソプ
ロピルエチルアミンの存在下、クロロメチルメチルエー
テルと反応させることにより得ることができる。
【0013】製造法3 R2がアセトキシル基である化合物は、下記反応式(II)に
示すとおり、R2が水酸基である化合物をピリジン、ジエ
チルアミン、ジメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチ
ルアミン等のアミン存在下、無水酢酸あるいはアセチル
クロライド等のアセチル化剤と反応させることにより得
ることができる。
【0014】製造法4 R4がB基である化合物は、R4がカルボン酸である化合物
をジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ピリジ
ン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミ
ン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のアミンおよび
ジエチルクロロフォスフェートの存在下、4-メチルピペ
ラジン、ピペラジン等のピペラジン類を反応させること
により得ることができる。
【0015】製造法5 R4がB基でR5がアミノ基である化合物は、R4がB基でR5
水酸基である化合物を塩化メチレン、クロロホルム、ジ
メチルホルムアミドまたはジメチルスルホキサイド等の
溶媒中で、トリメチルアミン、トリエチルアミンまたは
ジメチルアミノピリジン等のアミン存在下、クロロリン
酸ジエチルフォスフェートと反応させ、活性エステル体
とした後、アンモニアガスまたはアニリン等のアミノ基
を有する化合物を反応させることにより得ることができ
る。
【0016】次に式Iの化合物の製造の具体例を以下に
示す。
【0017】[具体例1]文献[Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okad
a, and H.Mitsuhashi,Chem.Pharm.Bull.,39,2600(199
1)]記載のβ-D-(3-O-シナポイル)-フルクトフラノシル-
α-D-(6-O-シナポイル)-グルコピラノシド[β-D-(3-O-s
inapoyl)fructofuranosyl-α-D-(6-O-sinapoyl)-glucop
yranoside 1gを2規定塩酸8mlに溶解し、80℃で3時間、
加水分解した。冷後、反応混合物を水40mlで希釈し、酢
酸エチル50mlで2回抽出した。酢酸エチル抽出液を水洗
後、減圧乾燥することにより、淡黄色粉末0.425gを得
た。この淡黄色粉末の理化学的性質は、下記の通りであ
り、[Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada, and H.Mitsuhashi,
Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)]記載のシナピン酸の
理化学的性質と一致したことから、下記構造を有する化
合物(以下、化合物1という)と決定した。
【0018】化合物1
【0019】性状:淡黄色粉末
【0020】ハイマススペクトル[C11H12O5,(M+)] 計算値: 224.0685 実測値: 224.0699
【0021】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD): 3.87(6H,s),6.35(1H,d,J=16.0Hz),6.83(2H,s),7.37(1H,
d,J=16.0Hz)
【0022】[具体例2]0.1規定水酸化ナトリウム水溶液
に、具体例1で得た化合物1を224mg溶解した溶液を凍結
乾燥し、赤色粉末245mgを得た。この赤色粉末の性状
は、[Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada, and H.Mitsuhashi,
Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)]記載のシナピン酸ナ
トリウム塩の性状と一致したことから、下記構造を有す
る化合物(以下、化合物2という)と決定した。
【0023】化合物2
【0024】[具体例3]乾燥ジメチルスルフォキサイド2
mlに具体例1で得た化合物1を280mg溶解し、ヨウ化メチ
ル280mgと炭酸カリウム200mgを加え、室温で3時間撹拌
した。反応混合物をエーテル20mlで希釈し、水洗後、減
圧濃縮し、濃縮液を分取薄層クロマトグラフィー[薄層
板:メルク社製キーセルゲル 60F254(厚さ0.5mm)、以下
同じ]に付し、n-ヘキサン:アセトン(3:2)で展開した。R
f値0.6の部分を剥離し、クロロホルム:メタノール(4:1)
で抽出し、抽出液を減圧乾燥し、無色板状結晶190mgを
得た。この無色板状晶の理化学的性質は、下記のとおり
であり、[Y.Ikeya,K.Sugama,M.Okada, and H.Mitsuha
shi,Chem.Pharm.Bull.,39,2600(1991)]記載のメチルシ
ナペートに一致したことから、下記構造を有する化合物
(以下、化合物3という)と決定した。
【0025】化合物3
【0026】性状:無色板状結晶
【0027】融点:88〜89℃
【0028】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD): 3.80(3H,s),3.91(3H,s),5.89(1H,s),6.30(1H,d,J=15.9H
z),6.76(2H,s),7.60(1H,d,J=15.9Hz)
【0029】マススペクトル(EI-MS)m/z(%): 238(M+,100),207(41),175(31),163(26),119(21)
【0030】[具体例4]乾燥ジメチルスルフォキサイド2
mlに具体例1で得た化合物1を336mg溶解し、ヨウ化エチ
ル300mgと炭酸カリウム200mgを加え、室温で3時間撹拌
した。反応混合物をエーテル20mlで希釈し、水洗後、減
圧濃縮し、濃縮液を分取薄層クロマトグラフィーに付
し、n-ヘキサン:アセトン(3:2)で展開した。Rf値0.6の
部分を剥離し、クロロホルム:メタノール(4:1)で抽出
し、抽出液を減圧乾燥し、白色粉末170mgを得た。この
白色粉末の理化学的性質は、下記の通りであり、下記構
造を有する化合物(以下、化合物4という)と決定した。
【0031】化合物4
【0032】性状:淡黄色油状
【0033】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CDCl3): 2.33(3H,s),2.45(4H,t,J=5.0Hz),3.60(3H,s),3.88(6H,
s),5.15(2H,s),6.74(2H,s),6.76(1H,d,J=15.2Hz),7.58
(1H,d,J=15.2Hz)
【0034】マススペクトル(EI-MS)m/z(%): 350(M+,27),267(27),266(14),99(68),83(24),70(100),4
5(58)
【0035】[具体例5]乾燥ジメチルスルフォキサイド3
mlに具体例1で得た化合物1を448mg溶解し、N,N-ジイソ
プロピルエチルアミン774mgとクロロメチルメチルエー
テル480mgを加え、室温で14時間撹拌した。反応液をエ
ーテル50mlで希釈し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液5m
l、次いで水5mlで洗った後、減圧濃縮した。残留物を分
取薄層クロマトグラフィーに付し、n-ヘキサン:アセト
ン(7:3)で展開し、紫外線254nm照射下、吸収を示す部分
を剥離し、クロロホルム:メタノール(4:1)で抽出した。
抽出液を減圧乾燥し、白色粉末460mgを得た。この白色
粉末の理化学的性質は、下記の通りであり、下記構造を
有する化合物(以下、化合物5という)と決定した。
【0036】化合物5
【0037】性状:白色粉末
【0038】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CDCl3): 3.52(3H,s),3.60(3H,s),3.88(6H,s),5.16(2H,s),5.37(2
H,s),6.37(1H,d,J=15.9Hz),6.77(2H,s),7.67(1H,d,J=1
5.9Hz)
【0039】マススペクトル m/z(%):312(M+)
【0040】[具体例6]具体例5で得た化合物5を5%水酸
化ナトリウム・エタノール溶液2mlに460mg溶解させ、70
℃で6時間加熱した。冷後、反応混合物に水30mlを加
え、エーテル20mlで反応原料を抽出除去した後、塩酸酸
性とし、エーテル20mlで2回抽出した。エーテル抽出液
を合併し、減圧乾燥し、白色粉末279mgを得た。この白
色粉末の理化学的性質は、下記の通りであり、下記構造
を有する化合物(以下、化合物6という)と決定した。
【0041】化合物6
【0042】性状:白色粉末
【0043】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CDCl3): 3.56(3H,s),3.76(6H,s),5.10(2H,s),6.35(1H,d,J=15.6H
z),6.65(2H,s),7.56(1H,d,J=15.6Hz),7.98(1H,brs)
【0044】マススペクトル m/z(%):268(M+)
【0045】[具体例7]無水塩化メチレン3mlに具体例6
で得た化合物6を279mg溶解し、トリエチルアミン300mg
とジエチルクロロフォスフェート430mgを加え、室温で1
時間撹拌後、N-メチルピペラジン200mgを加え、室温で3
時間撹拌した。反応混合物をエーテル50mlで希釈し、水
洗した後、減圧濃縮した。残留物を分取薄層クロマトグ
ラフィーに付し、クロロホルム:メタノール(4:1)で展開
し、紫外線254nm照射下、吸収を示す部分を剥離し、ク
ロロホルム:メタノール(4:1)で抽出した。抽出液を減圧
乾燥し、淡黄色油状物質230mgを得た。この淡黄色油状
物質の理化学的性質は、下記の通りであり、下記構造を
有する化合物(以下、化合物7という)と決定した。
【0046】化合物7
【0047】性状:淡黄色油
【0048】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CDCl3): 2.33(3H,s),2.45(4H,t,J=5.0Hz),3.60(3H,s),3.88(6H,
s),5.15(2H,s),6.74(2H,s),6.76(1H,d,J=15.2Hz),7.58
(1H,d,J=15.2Hz)
【0049】マススペクトル m/z(%):350(M+)
【0050】[具体例8]メタノール1.8mlに具体例7で得
た化合物7を230mg溶解し、35%塩酸0.3mlを加え、室温で
2時間撹拌した。反応混合物を水30mlで希釈後、セパビ
ーズSP207(三菱化成工業株式会社製)50mlのカラムクロ
マトグラフィーに付し、水200ml、次いでメタノール200
mlで溶出した。メタノール溶出液を減圧濃縮して得られ
た残留物を分取薄層クロマトグラフィーに付し、クロロ
ホルム:メタノール(4:1)で展開した。紫外線254nm照射
下、吸収を示す部分を剥離し、クロロホルム:メタノー
ル(4:1)で抽出し、抽出液を減圧乾燥することにより淡
黄色油状物質149mgを得た。この淡黄色油状物質の理化
学的性質は、下記の通りであり、下記構造を有する化合
物(以下、化合物8という)と決定した。
【0051】化合物8
【0052】赤外線吸収スペクトル(ν KBr max cm
-1): 3388,1642,1602
【0053】ハイマススペクトル(C16H22N2O4) 計算値: 306.1580 実測値: 306.1578
【0054】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CDCl3): 2.33(3H,s),2.49(4H,t,J=5.0Hz),3.88(6H,s),6.94(2H,
s),7.00(1H,d,J=15.4Hz),7.51(1H,d,J=15.4Hz)
【0055】[具体例9]市販の3,4,5-トリメトキシシン
ナミックアシッド(東京化成工業株式会社製)238mgを0.1
規定水酸化ナトリウム水溶液10mlに溶解後、凍結乾燥
し、淡褐色粉末261mgを得た。この淡褐色粉末の理化学
的性質は、下記の通りであり、下記構造を有する化合物
(以下、化合物9という)と決定した。
【0056】化合物9
【0057】性状:淡褐色粉末
【0058】FABマススペクトル m/z(%): 261[M+H]+,239[M-Na+2H]+
【0059】[具体例10]市販の3,4,5-トリメトキシシン
ナミックアシッド(東京化成工業株式会社製)238mgを乾
燥ジメチルスルフォキサイド2mlに溶解し、ヨウ化メチ
ル230mgと炭酸カリウム200mgを加え、室温で3時間撹拌
した。反応混合物をエーテル20mlで希釈し、水洗後、減
圧濃縮して得られた残留物をエタノールから結晶化し、
メチル-3,4,5-トリメトキシシンナメート183mgを得た。
本結晶の理化学的性質は、下記の通りであり、下記構造
を有する化合物(以下、化合物10という)と決定した。
【0060】化合物10
【0061】性状 無色プリズム晶
【0062】融点 95〜96℃
【0063】高分解能質量スペクトル C13H16O5(M+) 計算値: 252.0998 実測値: 252.1000
【0064】プロトン核磁気共鳴スペクトル(δ ppm
in CD3OD): 3.81(3H,s),3.88(3H,s),3.89(6H,s),6.35(1H,d,J=16.0H
z),6.75(2H,s),7.61(1H,d,J=16.0Hz)
【0065】次に、式Iの化合物が脳機能改善作用を有
することを実験例を挙げて説明する。
【0066】実験例1 実験には、実験前日(18時間前)から絶食(但し、飲水は
自由摂取。)させておいた7週令ICR系雄性マウス10匹を
用いた。このマウスに、各濃度に調製した被験薬物を経
口投与し、投与1時間後、生理食塩水に溶解した青酸カ
リウム(KCN)2.0mg/kgを尾静脈内に投与し、正向反射消
失持続時間(Coma Time)を測定した。
【0067】対照群としては、被験薬物のかわりに水を
投与した動物に対して、生理食塩水に溶解した青酸カリ
ウム(KCN)2.0mg/kgを尾静脈内に投与し、正向反射消失
持続時間を測定した。その結果を第1表〜第3表に示す。
【0068】第1表
【0069】第2表
【0070】第3表
【0071】第1表〜第3表の結果から、式Iの化合物が
青酸カリウムによる脳障害を改善する作用を有し、脳機
能改善薬剤として有用であることが確認された。
【0072】実験例2(コリンアセチルトランスフェラー
ゼ賦活作用)
【0073】8週齢のウイスター系雄性ラットをエーテ
ル麻酔下に致死させ、直ちに脳を摘出し、線条体を取り
出した。線条体は、25mMナトリウム-リン酸緩衝液(pH7.
4)にてホモジナイズし、20,000×gで60分間遠心した。
その上清をコリンアセチルトランスフェラーゼ活性測定
の検体とした。また、以上の操作はすべて4°Cで行い、
検体は-20°Cで保存した。
【0074】コリンアセチルトランスフェラーゼ活性の
測定は、金田、永津らの方法[J.Choromatogra.,341,23-
30(1985)]により行った。すなわち、50mMコリン50μl、
2mMアセチルCoA50μl、1mMエゼリン50μl、および0.1M
ナトリウム-リン酸緩衝液(pH7.4)250μlに上記の検体50
μlおよび具体例で得た化合物をそれぞれジメチルスル
フォキシド(DMSO)に1.0×10-5Mまたは1.0×10-4Mの終濃
度になるように溶解させた薬物溶液50μlをそれぞれ加
え、37°Cにて20分間反応させた。
【0075】次に、氷中にて6%過塩素酸50μlを加えて
反応を停止させ、10分後内部標準物質として2.5mMエチ
ルホモコリン10μlを加え、3,000rpmで10分間遠心し
た。この上清をHPLC-電気化学検出器にてアセチルコリ
ン含量を測定した。
【0076】なお、HPLCは以下の条件で行った。カラム
は、逆相系カラムおよび酵素カラムを用い、移動相とし
て1-デカンスルホン酸ソーダ300mg/lおよびテトラメチ
ルアンモニウムクロライド65mg/lを含む0.1Mカリウム-
リン酸緩衝液(pH8.0)、流速は1ml/min.、温度は35°Cと
した。検出器は、電気化学検出器ECD-100を用いた。
【0077】また、被験薬の溶解液を加えるかわりにDM
SOを加える以外は上記と同様にして反応させコントロー
ルとした。
【0078】実験の結果をコリンアセチルトランスフェ
ラーゼ賦活率(%)として第4表に示した。
【0079】第4表
【0080】第4表の結果から、式Iの化合物がコリンア
セチルトランスフェラーゼ賦活作用を有し、脳機能改善
薬剤として有用であることが確認された。
【0081】また、式Iの化合物の急性毒性試験をICR系
雄性マウスを用いて行ったところ、1g/kgの経口投与で
死亡例はなかった。従って、式Iの化合物は安全性の高
い化合物であることが確認された。
【0082】次に、式Iの化合物の投与量および製剤化
について説明する。
【0083】式Iの化合物はそのまま、あるいは慣用の
製剤担体と共に動物および人に投与することができる。
投与形態としては、特に限定がなく、必要に応じ適宜選
択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、
散剤等の経口剤、注射剤、坐剤等の非経口剤が挙げられ
る。
【0084】経口剤として所期の効果を発揮するために
は、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、通
常成人で式Iの化合物の重量として5〜5000mgを、1日数
回に分けての服用が適当と思われる。
【0085】経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、
マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスタ
ーチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。
【0086】この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他
に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進
剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
それぞれの具体例は以下に示す如くである。
【0087】[結合剤]デンプン、デキストリン、アラビ
アゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、
エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴー
ル。
【0088】[崩壊剤]デンプン、ヒドロキシプロピルス
ターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カル
ボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチル
セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース。
【0089】[界面活性剤]ラウリル硫酸ナトリウム、大
豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート8
0。
【0090】[滑沢剤]タルク、ロウ類、水素添加植物
油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ポリエチレングリコール。
【0091】[流動性促進剤]軽質無水ケイ酸、乾燥水酸
化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸
マグネシウム。
【0092】また、式Iの化合物は、懸濁液、エマルジ
ョン剤、シロップ剤、エリキシル剤としても投与するこ
とができ、これらの各種剤形には、矯味矯臭剤、着色剤
を含有してもよい。
【0093】非経口剤として所期の効果を発揮するため
には、患者の年令、体重、疾患の程度により異なるが、
通常成人で式Iの化合物の重量として1日0.5〜100mgまで
の静注、点滴静注、皮下注射、筋肉注射が適当と思われ
る。
【0094】この非経口剤は常法に従って製造され、希
釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖
水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ
油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール等を用いることができる。さらに必要に
応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。ま
た、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填
後冷凍し、通常の凍結乾燥技術により水分を除去し、使
用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもでき
る。さらに、必要に応じて適宜、等張化剤、安定剤、防
腐剤、無痛化剤等を加えても良い。
【0095】その他の非経口剤としては、外用液剤、軟
膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、
常法に従って製造される。
【0096】次に本発明の製剤例を挙げて説明する。
【0097】
【0098】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、打錠機にて圧縮成型して一錠200mgの錠剤を得た。
【0099】この錠剤一錠には、化合物1が20mg含有さ
れており、成人1日3〜10錠を数回にわけて服用する。
【0100】 [製剤例2] 結晶セルロース 84.5g ステアリン酸マグネシウム 0.5g カルボキシメチル セルロースカルシウム 5g 化合物2 10g 計 100g
【0101】上記の処方に従って、およびの一部
を均一に混合し、圧縮成型した後、粉砕し、および
の残量を加えて混合し、打錠機にて圧縮成型して一錠20
0mgの錠剤を得た。
【0102】この錠剤一錠には、化合物2が20mg含有さ
れており、成人1日3〜10錠を数回にわけて服用する。
【0103】 [製剤例3] 結晶セルロース 79.5g 10%ヒドロキシプロピル セルロースエタノール溶液 50g カルボキシメチル セルロースカルシウム 5g ステアリン酸マグネシウム 0.5g 化合物3 10g 計 145g
【0104】上記の処方に従って、およびを均一
に混合し、常法によりねつ和し、押し出し造粒機により
造粒し、乾燥・解砕した後、およびを混合し、打錠
機にて圧縮成型して一錠200mgの錠剤を得た。
【0105】この錠剤一錠には、化合物3が20mg含有さ
れており、成人1日3〜10錠を数回にわけて服用する。
【0106】
【0107】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、圧縮成型機にて圧縮成型後、破砕機により粉砕し、
篩別して顆粒剤を得た。
【0108】この顆粒剤1gには、化合物4が100mg含有さ
れており、成人1日0.6〜2gを数回にわけて服用する。
【0109】 [製剤例5] 結晶セルロース 86.5g 10%ヒドロキシプロピル セルロースエタノール溶液 35g 化合物5 10g 計 131.5g
【0110】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、ねつ和した。押し出し造粒機により造粒後、乾燥
し、篩別して顆粒剤を得た。
【0111】この顆粒剤1gには、化合物5が100mg含有さ
れており、成人1日0.6〜2gを数回にわけて服用する。
【0112】 [製剤例6] 結晶セルロース 86.5g 10%ヒドロキシプロピル セルロースエタノール溶液 35g 化合物7 10g 計 131.5g
【0113】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、ねつ和した。押し出し造粒機により造粒後、乾燥
し、篩別して顆粒剤を得た。
【0114】この顆粒剤1gには、化合物7が100mg含有さ
れており、成人1日0.6〜2gを数回にわけて服用する。
【0115】 [製剤例7] コーンスターチ 89.5g 軽質無水ケイ酸 0.5g 化合物6 10g 計 100g
【0116】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、200mgを2号カプセルに充填した。
【0117】このカプセル剤1カプセルには、化合物6が
20mg含有されており、成人1日3〜10カプセルを数回にわ
けて服用する。
【0118】
【0119】上記の処方に従って〜を均一に混合
し、圧縮成型機にて圧縮成型後、破砕機により粉砕し、
篩別して顆粒剤を得た。
【0120】この顆粒剤1gには、化合物8が100mg含有さ
れており、成人1日0.6〜2gを数回にわけて服用する。
【0121】 [製剤例9] 結晶セルロース 84.5g ステアリン酸マグネシウム 0.5g カルボキシメチル セルロースカルシウム 5g 化合物9 10g 計 100g
【0122】上記の処方に従って、およびの一部
を均一に混合し、圧縮成型した後、粉砕し、および
の残量を加えて混合し、打錠機にて圧縮成型して一錠20
0mgの錠剤を得た。
【0123】この錠剤一錠には、化合物9が20mg含有さ
れており、成人1日3〜10錠を数回にわけて服用する。
【0124】 [製剤例10] 注射用蒸留水 89.5g 大豆油 5g 大豆リン脂質 2.5g グリセリン 2g 化合物7 1g 全量 100g
【0125】上記の処方に従ってをおよびに溶解
し、これにとの溶液を加えて乳化し、注射剤を得
た。
【0126】 [製剤例11] 注射用蒸留水 適量 ブドウ糖 200mg 化合物5 10g 全量 15ml
【0127】注射用蒸留水におよびを溶解させた
後、5mlのアンプルに注入し、121℃で15分間加圧滅菌を
行って注射剤を得た。 以上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池谷 幸信 茨城県稲敷郡阿見町吉原3586 株式会社ツ ムラ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式I [ただし、式中R1およびR3は、それぞれ水素原子、低級
    アルキル基を示し、R2は、水酸基、メトキシ基またはメ
    トキシメチレノキシ基を示し、R4は、次のAまたはBいず
    れかの基 (ここで、R5は、水酸基、低級アルコキシ基、芳香族ア
    ルコキシ基で置換されていてもよいアミノ基またはメト
    キシメチレノキシ基を示し、R6は、低級アルキル基を意
    味する。]で表されるシナピン酸誘導体およびその生理
    学的に許容されうる塩を有効成分とする脳機能改善剤。
JP5346123A 1993-12-22 1993-12-22 脳機能改善剤 Pending JPH07179338A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023055020A1 (ko) * 2021-09-29 2023-04-06 주성수 피페론구민계 화합물을 유효성분으로 포함하는 혈관질환 예방 또는 치료용 약학적 조성물

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WO2023055020A1 (ko) * 2021-09-29 2023-04-06 주성수 피페론구민계 화합물을 유효성분으로 포함하는 혈관질환 예방 또는 치료용 약학적 조성물

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