JPH0717564B2 - ラセミ―トランス第一菊酸類の製法 - Google Patents

ラセミ―トランス第一菊酸類の製法

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JPH0717564B2
JPH0717564B2 JP62105788A JP10578887A JPH0717564B2 JP H0717564 B2 JPH0717564 B2 JP H0717564B2 JP 62105788 A JP62105788 A JP 62105788A JP 10578887 A JP10578887 A JP 10578887A JP H0717564 B2 JPH0717564 B2 JP H0717564B2
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剛夫 鈴鴨
庸治 先砥
正美 深尾
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住友化学工業株式会社
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はラセミ−トランス第一菊酸類の製法に関する。
さらに詳しくは一般式(I) (式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シ
クロアルキル基またはアラルキル基を表わす。) で示されるラセミ−シスまたはラセミ−シス/トランス
混合第一菊酸類に、アゾ化物の存在下または非存在下に
臭素化燐化合物を作用させることによる対応するラセミ
−トランス第一菊酸類の製法に関するものである。
<従来の技術・発明が解決しようとする問題点> 第一菊酸はピレスリン、アレスリン、フタルスリンなど
のいわゆるピレスロイドと称される低毒速効性殺虫エス
テルの酸成分を構成するものであり、これらのピレスロ
イド系殺虫剤の原料として有用である。
第一菊酸にはシス、トランスの幾何異性体があり、殺虫
効果はシス体のエステルよりもトランス体のエステルの
方が強いことが知られている。よってシス体をトランス
化しトランス体とすることは、シス体、またはシス体を
多く含むエステルを用いるよりも殺虫効力の面から遥か
に有利になる。
従来、第一菊酸類のうちの第一菊酸エステルは次式に示
すように、2,5−ジメチル−ヘキサ−2,4−ジエンとジア
ゾ酢酸エステルを反応させる方法により、また第一菊酸
は該エステルを加水分解することにより広く工業的に製
造されている。
しかるに該方法によって得られる第一菊酸類は、目的物
であるトランス体とシス体の混合物として得られるため
シスまたはシス/トランス混合第一菊酸類をトランス体
に変換させる技術は重要な意義をもつ。
従来、シス第一菊酸エステルをトランス第一菊酸エステ
ルに変換させる方法としては、シス−第一菊酸アルキル
エステルにアルカリ金属の低級アルキル第一アルコラー
トを低級アルコールの存在下に約150℃〜200℃で作用さ
せる方法(特公昭40−6457号公報)、あるいは特殊な塩
基性触媒で処理する方法(特公昭53−18495号公報、特
公昭53−13496号公報等)、およびシス第一菊酸エステ
ルに、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化鉄、塩化アル
ミニウムなどを作用させる方法(特開昭57−176930号公
報)が知られている。
また、シス第一菊酸を直接トランス第一菊酸に変換させ
る方法としては、シス第一菊酸を180℃以上の温度にて
加熱する方法(特開昭49−126650号公報)、あるいはシ
ス第一菊酸に二塩化パラジウムのニトリル錯体触媒を作
用させることによってトランス化できるとされている
(Tetrahedron Letters.22,385(1981))が、前者は高
温に加熱する必要がある上に収率が低く、後者は高価な
試剤を比較的多量に必要とするなどの難点を有する。
本発明者らは、トランス第一菊酸類の優れた製造方法を
見い出すべく鋭意検討を重ねた結果、臭素化燐化合物が
前記一般式(I)で示されるシス第一菊酸類のトランス
化反応を効率良く進行せしめることを見出すとともに、
これをアゾ化合物と併用することにより、少ない触媒量
でトランス化反応が一層効率良く円滑に進行し得ること
を見出し、更に種々の検討を加え本発明を完成した。
<問題点を解決するための手段> すなわち本発明は一般式(I) (式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シ
クロアルキル基またはアラルキル基を表わす。) で示されるシスまたはシス/トランス混合第一菊酸類
に、アゾ化物の存在下または非存在下に臭素化燐化合物
を作用させてトランス化せしめることを特徴とする工業
的に優れたトランス第一菊酸類の製造方法を提供するも
のである。
次に本発明方法につき詳細に説明する。
本発明において原料として用いられる前記一般式(1)
で示される化合物としては、例えば第一菊酸、第一菊酸
メチル、第一菊酸エチル、第一菊酸プロピル、第一菊酸
ブチル、第一菊酸シクロヘキシル、第一菊酸シクロヘキ
シルメチル、第一菊酸ベンジル等が挙げられる。
また、該シス−第一菊酸類は、シス体単独あるいはトラ
ンス体との任意の割合の混合物であってもよいが、本発
明の目的から考えて、シス体単独あるいはシス体に富む
第一菊酸類を用いる場合に、その意義を発揮することは
言うまでもない。
本発明方法において使用される臭素化燐化合物として
は、例えば三臭化燐、五臭化燐、オキシ三臭化燐等の臭
素と燐の化合物またはこれらの混合物等が挙げられる。
その使用量は被処理第一菊酸類1モルに対し、通常1/10
00〜1/4モルであり、好ましくは、臭素化燐化合物単独
で用いる場合には1/20〜1/4モル、アゾ化合物の存在下
に用いる場合は1/200〜1/10モルである。
アゾ化合物としては、例えばアゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボ
ニトリル)、4−4′アゾビス−4−シアノペンタノイ
ツクアシッド、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4
−メトキシバレロニトリル、2−シアノ−2−プロピル
アゾホルムアミドなどのアゾニトリル類、アゾビスイソ
酪酸メチル、アゾビスイソ酪酸エチルなどのアゾエステ
ル類、アゾ−t−ブタンなどのアルキルアゾ類等が挙げ
られる。好ましくはアゾニトリル類、アゾエステル類が
用いられる。
またその使用量は臭素化燐化合物1モルに対して通常1/
20〜5モル、好ましくは1/10〜2モルの範囲である。
また、反応を行なうに際しては不活性溶媒を使用するこ
とが好ましく、そのような溶媒としては飽和化水素、芳
香族炭化水素及びこれらのハロゲン化物、エーテル類な
どを挙げることができる。
反応温度は−20℃〜当該第一菊酸類の沸点(溶媒を使用
する場合は用いる溶媒の沸点)の範囲で任意であるが、
通常0℃〜100℃の範囲である。
反応に要する時間は前記臭素化燐化合物およびアゾ化合
物の使用量や反応温度によっても変わり得るが通常数分
〜7時間程度で充分その目的を達成することができる。
本発明方法を実施するに際しては、アゾ化合物を併用す
る場合は通常、溶媒の存在下に被処理第一菊酸類とアゾ
化合物とを混合し、次でこれに臭素化燐酸化物を加える
か、あるいは、被処理第一菊酸類を溶媒に溶解し、次で
これにアゾ化合物および臭素化燐化合物を併注する操作
により行われる。
尚反応の進行度は反応液の一部をサンプリングしてガス
クロマトグラフィー等による分析で求めることができ
る。
<発明の効果> かくして、トランス第一菊酸類が製造されるが、本発明
によれば効率良く円滑にトランス第一菊酸類と製造し得
る等の利点をもたらす。
またアゾ化合物を共用することにより、触媒使用量を削
減することができ、加えてアゾ化合物は誘発分解性がな
く使用し易いなどから、本発明は殊に工業的なトランス
第一菊酸類の製造方法として有利となる。
<実施例> 次に、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
実施例1 シス第一菊酸5.0gとアゾビスイソブチロニトリル58mgを
トルエン20mlに溶解した。次で80℃に昇温し、撹拌しな
がら、三臭化燐77mgのトルエン溶液を10分間で滴下し、
さらに同温度で30分間撹拌した。
反応後、水を加えて洗浄し、得られた有機層に10%水酸
化ナトリウム水溶液20gを加え、抽出分液した。水層を
希硫酸で中和し、トルエンで抽出、水洗した。トルエン
層を濃縮後蒸留して、沸点110〜119℃/2.5mmHgの留出液
4.8gを得た。このものの赤外線吸収スペクトルは第一菊
酸のそれと一致した。
ガスクロマトグラフィーで分析した結果、シス体10.1
%、トランス体89.9%であった。
実施例2 シス体19.4%、トランス体80.6%からなる第一菊酸1.26
gをベンゼン10mlに溶解し、アゾビスイソブチロニトリ
ル50mgを加え、70℃で撹拌しながら五臭化燐220mgのベ
ンゼン溶液を15分で滴下した。
以後実施例1と同様の操作を行ない1.01gの第一菊酸を
得た。異性体比率はシス体8.2%、トランス体91.8%で
あった。
実施例3 実施例2で用いたのと同じ第一菊酸2.12gをベンゼン10m
lに溶解し、アゾビスイソ酪酸メチル92mgを加え、70℃
に加熱した。次で三臭化燐171mgのベンゼン溶液を15分
で滴下した。
以後実施例1と同様の操作を行ない1.73gの第一菊酸を
得た。異性体比はシス体7.1%、トランス体92.9%であ
った。
実施例4 シス菊酸エチル6.4gとアゾビスイソブチロニトリル0.27
gをジオキサン10mlに溶解し、80℃で撹拌しながら三臭
化燐0.54gのジオキサン溶液を20分間で滴下した。同温
度で20分間撹拌後、室温まで冷却し、2%水酸化ナトリ
ウム水溶液を加えて中和した後、減圧下に溶媒を留去
し、次で残留液にへキサンと2%水酸化ナトリウム水溶
液を加えて抽出を行い有機層を水洗した。
得られた有機層を減圧下に濃縮後、蒸溜することにより
沸点85〜88℃/10mmHgの留出液5.2gを得た。
このものは赤外線吸収スペクトルより第一菊酸のエチル
エステルであることが確認された。
ガスクロマトグラフィーで分析した結果、シス体8.4
%、トランス体91.6%であった。
実施例5 シス第一菊酸1.0gをトルエン9gに溶解し、20℃で撹拌し
ながら三臭化リン0.24gを滴下した。同温度で1時間撹
拌した後、反応液の異性体比率を測定したところシス体
11.7%、トランス体88.3%であった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シ
    クロアルキル基またはアラルキル基を表わす。) で示されるラセミ−シスまたはラセミ−シス/トランス
    混合第一菊酸類に、臭素化燐化合物を作用させてトラン
    ス化せしめることを特徴とするラセミ−トランス第一菊
    酸類の製法。
  2. 【請求項2】一般式 (式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シ
    クロアルキル基またはアラルキル基を表わす。) で示されるラセミ−シスまたはラセミ−シス/トランス
    混合第一菊酸類に、アゾ化合物の存在下に臭素化燐化合
    物を作用させてトランス化せしめることを特徴とするラ
    セミ−トランス第一菊酸類の製法。
JP62105788A 1987-04-27 1987-04-27 ラセミ―トランス第一菊酸類の製法 Expired - Lifetime JPH0717564B2 (ja)

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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0647567A (ja) * 1992-07-30 1994-02-22 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 電子ビーム用超伝導加速空洞製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0647567A (ja) * 1992-07-30 1994-02-22 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 電子ビーム用超伝導加速空洞製造方法

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