JP3579970B2 - アリールシクロプロピルケトン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が関連する技術分野】
本発明は、アリールシクロプロピルケトン類を高収率で得る製造方法に関する。アリールシクロプロピルケトン類は2−アリール−1−シクロプロピルエタノン類とも呼称され、医薬・農薬等の製造、特に医薬品の製造原料として重要な化合物である(特開平6−41139号公報)。
【0002】
【従来の技術】
従来のアリールシクロプロピルケトン類を製造する方法としては、
▲1▼フェニル酢酸ナトリウム塩と酸塩化物の反応を塩化イソプロピルマグネシウムの存在下で行う方法(Bull.Soc.Chim.France 51 巻、1331頁、1932年) 、
▲2▼フェニル酢酸ナトリウム塩と等モルの塩化イソプロピルマグネシウムとを反応させ、ついでシクロプロパンカルボン酸エステル類と反応させる方法(Revue Roumaine de Chemie 29巻、719 頁、1984年) 、
▲3▼ベンジルグリニャール類とシクロプロピルシアニドとを反応させる方法(Liebigs Ann.Chem 697 巻、100 頁、1966年、特開平6−41139号公報) 、
▲4▼ベンジルグリニャール類とシクロプロピルカルボニルクロライドとを反応させる方法(Eur. J.Med.Chem.−Chim.Ther.,10 巻、112 頁、1975年、特開平6−41139号公報) 、
▲5▼シクロプロピルグリニャール類とベンジルサイアナイド類とを反応させる方法(Eur. J.Med.Chem.−Chim.Ther.,10 巻、112 頁、1975年) 、
▲6▼フェニル酢酸クロライド類とトリメチルシリルシクロプロパンとを反応させる方法(Revue Roumaine de Chemie 29巻、719 頁、1984年) 、
が知られていた。
【0003】
▲1▼の方法の反応収率は50〜70%であるが、β−ヒドロキシグルタル酸が10〜25%副生する。
▲2▼の方法は、フェニル酢酸の転化率が50%未満で、収率が80%程度であるため、実質的収率は40%以下と収率が極めて低く工業的に満足できる方法ではなかった。
また▲3▼及び▲4▼の方法は、ベンジルグリニャール類が、工業的使用が困難であるジエチルエーテル溶媒中でしか安定でなく、工業的な実施が難しい。
▲5▼の方法は、シクロプロピルグリニャール類の製造を低温で行わなければならず、またその安定性も低く、また原料のハロゲン化シクロプロパンの製造も難しく、工業化は極めて困難である。
▲6▼の方法は収率低く、原料のトリメチルシリルシクロプロパンの製造が極めて難しく、高価である。
このように従来の方法は工業的に満足する方法ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は工業的な製造法として高収率にアリールシクロプロピルケトン類を製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記反応式に示すように、有機溶媒中で、一般式(I)で表わされるアリール酢酸類と一般式(II)で表わされるハロゲン化アルキルマグネシウム類(以下グリニャール試薬という)とを反応させ、つづいて一般式(III)で表わされるシクロプロパンカルボン酸エステル類を反応させる、アリールシクロプロピルケトン類(IV)を製造する方法であり、その際アリール酢酸類(I)に対して、グリニャール試薬(II)を2.5〜5モル当量使用することを特徴とする方法である。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキルもしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニル基又は2−チエニル基を示し、R2 は炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、R3 は炭素原子数1〜4のアルキル又はフッ素で置換されていてもよいシクロプロピル基を示し、R4 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示す)
【0008】
本発明者等はアリールシクロプロピルケトン類(IV)を製造する目的で、上記文献▲2▼の方法の低転化率、低収率の根本的原因について鋭意検討した結果、原料のアリール酢酸類に対するグリニャール試薬(II)の量が重要な因子であることを見出し、本発明を完成するに至った。また原料としてアリール酢酸ナトリウム等の塩類を使用すること無く、アリール酢酸類そのものの使用が可能であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明では原料のアリール酢酸類(I)に対してグリニャール試薬(II)を2.5〜5当量使用することにより、比較例に示される従来の収率を大きく超える高収率で目的物が得られ、シクロプロパンカルボン酸基準の収率はもちろん、アリール酢酸類基準の収率も従来の収率を大きく超えるものである。
【0010】
本発明の製法で使用されるアリール酢酸類(I)としては、フェニル酢酸、メチルフェニル酢酸(各異性体)、クロロフェニル酢酸(各異性体)、フルオロフェニル酢酸(各異性体)、エチルフェニル酢酸(各異性体)、2−チエニル酢酸等の、グリニャール試薬と反応しない置換基を含むアリール酢酸類が使用できる。
【0011】
グリニャール試薬(II)としては、メチルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、n−プロピルマグネシウムクロライド、n−プロピルマグネシウムブロマイド、i−プロピルマグネシウムクロライド、i−プロピルマグネシウムブロマイド、n−ブチルマグネシウムクロライド、i−ブチルマグネシウムクロライド、i−ブチルマグネシウムブロマイド等が挙げられるが、特にi−プロピルマグネシウムクロマイド、i−プロピルマグネシウムブロマイド、i−ブチルマグネシウムクロライド、i−ブチルマグネシウムブロマイド等の二級アルキルマグネシウムハライドが優れており、その中でも特にi−プロピルマグネシウムブロマイド、i−プロピルマグネシウムブロマイドが優れている。
【0012】
反応溶媒としては、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶媒、特に工業的な使用に適したテトラヒドロフランが良く、反応後の抽出等の操作を考慮するとテトラヒドロフランとベンゼン、トルエン等との混合溶媒がさらに良好な溶媒である。
【0013】
シクロプロパンカルボン酸類としては、シクロプロパンカルボン酸、1−メチルシクロプロパンカルボン酸、2−メチルシクロプロパンカルボン酸、1−エチルシクロプロパンカルボン酸、2−エチルシクロプロパンカルボン酸、シス又はトランス−1,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸、シス又はトランス−1,2−ジエチルシクロプロパンカルボン酸、シス又はトランス−2,3−ジメチルシクロプロパンカルボン酸、シス又はトランス−2,3−ジエチルシクロプロパンカルボン酸、1−プロピルシクロプロパンカルボン酸、2−プロピルシクロプロパンカルボン酸、2−フルオロシクロプロパンカルボン酸等が挙げられ、
【0014】
これらのシクロプロパンカルボン酸のエステル類(III)としては、メチル、エチル、プロピル(異性体を含む)、ブチル(各異性体を含む)のような炭素原子数1〜4のアルキルエステル類が使用できる。
【0015】
使用する化合物類のモル比率は、アリール酢酸類(I)1モルに対して、グリニャール試薬(II)が2.5〜5モルの範囲、好ましくは3〜4モルであり、この範囲の外では、目的物の収率は低下する。また、シクロプロパンカルボン酸エステル類(III)はアリール酢酸類(I)1モルに対して、0.5〜2モル、好ましくは0.9〜1.5モルの範囲である。
【0016】
反応温度は、前半のグリニャール試薬(II)とアリール酢酸類(I)との反応は、40℃以下好ましくは0〜35℃で0.5〜5時間反応させ、アルカンを発生させた後、さらに65℃以上で1〜5時間反応を完結させる。ついで−30〜100℃の範囲、好ましくは−10〜75℃の範囲でシクロプロパンカルボン酸エステル類(III)と0.5〜5時間反応させる。その後反応を完結させるために30〜100℃に加熱するのが好ましい。
【0017】
反応終了後、酸により分解し、有機層に目的物を得る。分解に使用する酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸がよい。
【0018】
目的物は通常、得られた有機層を濃縮し、減圧蒸留等により単離できる。
【0019】
また、特に反応溶媒として、テトラヒドロフランとベンゼン、トルエン等との混合溶媒を使用した場合には、トリエチルアミン等のトリ低級アルキルアミンの添加により反応収率が向上する。トリ低級アルキルアミンの添加量は、使用するアリール酢酸類に対して0.1〜2モルの範囲であり、好ましくは0.5〜2モルの範囲である。
【0020】
この様にして得られるアリールシクロプロピルケトン類(IV)としては、
2−(2−クロロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(3−クロロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(2−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(3−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(4−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(2−ブロモフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(3−ブロモフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(4−ブロモフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(2−メチルフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(3−メチルフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
【0021】
2−(4−メチルフェニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(2−クロロフェニル)−1−(1−メチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−クロロフェニル)−1−(1−エチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−フルオロフェニル)−1−(1−メチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−フルオロフェニル)−1−(1−エチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−クロロフェニル)−1−(2−メチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−クロロフェニル)−1−(2−エチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−フルオロフェニル)−1−(2−メチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−フルオロフェニル)−1−(2−エチルシクロプロピル)エタノン、
2−(2−チエニル)−1−シクロプロピルエタノン、
2−(3−チエニル)−1−シクロプロピルエタノン等、が挙げられる。
【0022】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
2M イソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン溶液(15ml、30mmol)に、4−クロロフェニル酢酸(1.17g、10mmol)のテトラヒドロフラン溶液を、氷冷下内温が20℃以下になるように20分間かけて滴下した。滴下終了後還流温度で3時間反応させた。
得られた溶液を10℃以下に冷却し、シクロプロパンカルボン酸メチル(0.95g、9.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液3mlを加え、その後2時間加熱還流させた。反応終了後氷冷し、水10mlを加え、2N 塩酸(15ml)で中和し、酢酸エチルで抽出した。分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフで精製し(溶離液;酢酸エチル:ヘキサン=1:5)、1.58g(8.1mmol)の2−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロピルエタノンを得た。シクロプロパンカルボン酸メチル基準の収率85%。
NMR(CDCl3z, 400MHz); 0.99−1.05(2H, m), 1.09−1.99(1H, m), 3.79(2H, s), 7.13(2H, dt, J=8.5Hz), 7.28(2H, dt, J=8.5Hz, 1.7Hz)
MS(CI, m/z): 195(m++1), 125, 89, 69
【0024】
実施例2
2.1mol/l の濃度のイソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン−ベンゼン(2:1容量)混合溶液(100ml、210mmol)に2−フルオロフェニル酢酸(9.25g、60mmol)とトリエチルアミン(60mg、0.6mmol)をテトラヒドロフラン(4.63g)とベンゼン(2.31g)の混合溶液に溶解した液を、35℃で1時間かけて滴下した。滴下終了後還流温度で2時間反応させた。
得られた溶液を45〜55℃に冷却し、シクロプロパンカルボン酸メチル(5.71g、57mmol)をテトラヒドロフラン(3.60g)とベンゼン(2.31g)の混合溶液に溶解した液を、同温度で20分間で滴下した。その後3時間加熱還流させた。反応終了後室温まで冷却し、18%塩酸46.0gを加えたのち分液した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで2回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。
液体クロマトグラフによる分析では、9.1gの2−(2−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノンが得られていることが分かった。シクロプロパンカルボン酸メチル基準の収率は90.2%であった。
【0025】
実施例3
4−クロロフェニル酢酸に代えて2−フルオロフェニル酢酸1.54g(10mmol)を使用した以外は、実施例1と同様に反応させ、2−(2−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノンをシクロプロパンカルボン酸メチル基準収率91%で得た。
沸点;110〜112℃/4mmHg
NMR(CDCl3, 400MHz); 0.82−0.98(2H, m), 1.03−1.17(2H, m), 1.92−2.06(1H, m), 3.86(2H, s), 7.10−7.30(4H, m)
MS(CI, m/z): 179(m++1)
【0026】
実施例4
4−クロロフェニル酢酸に代えて4−メチルフェニル酢酸1.50g(10mmol)を使用した以外は、実施例1と同様に反応させ、2−(4−メチルフェニル)−1−シクロプロピルエタノンをシクロプロパンカルボン酸メチル基準収率64%で得た。
NMR(CDCl3, 400MHz); 0.79−0.86(2H, m), 0.97−1.05(2H, m), 1.91−2.06(1H, m), 2.33(3H, s), 3.77(2H, s), 7.12(4H, d, J=1.8Hz)
MS(CI, m/z): 175(m++1), 105, 69
【0027】
実施例5
4−クロロフェニル酢酸に代えて2−チエニル酢酸1.55g(10mmol)を使用した以外は、実施例1と同様に反応させ、2−(4−チエニル)−1−シクロプロピルエタノンをシクロプロパンカルボン酸メチル基準収率91%で得た。
NMR(CDCl3, 400MHz); 0.86−0.93(2H, m), 1.04−1.10(2H, m), 1.97−2.06(1H, m), 4.02(2H, s), 6.90(1H, dd, J=3.7, 1.2Hz), 6.97(1H, dd, J=5.5, 3.7Hz), 7.22(2H, dd, J=5.6, 1.2Hz)
MS(CI, m/z): 167(m++1), 97, 69
【0028】
実施例6
4−クロロフェニル酢酸及びシクロプロパンカルボン酸メチルに代えて、それぞれ2−フルオロフェニル酢酸1.54g(10mmol)及び1−メチルシクロプロパンカルボン酸メチル1.08g(10mmol)を使用した以外は、実施例1と同様に反応させ、2−(2−フルオロフェニル)−1−(1−メチルシクロプロピル)エタノンを無色油状物としてシクロプロパンカルボン酸メチル基準収率84%で得た。
NMR(CDCl3, 400MHz); 0.77(2H, dd, J=6.6, 3.7Hz), 1.33(2H, dd, J=6.6, 3.7Hz), 1.42(3H, s), 3.74(2H, s), 7.00−7.25(4H, m)
MS(CI, m/z): 193(m++1), 149, 109, 83
【0029】
実施例7
4−クロロフェニル酢酸及びシクロプロパンカルボン酸メチルに代えて、それぞれ2−フルオロフェニル酢酸1.54g(10mmol)及び2−メチルシクロプロパンカルボン酸メチル1.08g(10mmol)を使用した以外は、実施例1と同様に反応させ、2−(2−フルオロフェニル)−1−(2−メチルシクロプロピル)エタノンを無色油状物としてシクロプロパンカルボン酸メチル基準収率77%で得た。
NMR(CDCl3, 400MHz); 0.68−0.75(1H, m), 1.06(3H, d, J=6.1Hz), 1.25−1.32(1H, m), 1.36−1.43(1H, m), 1.68−1.74(1H, m), 3.83(2H, s), 7.02−7.28(4H, m)
MS(CI, m/z): 193(m++1), 109, 83
【0030】
実施例8
2.1mol/l の濃度のイソプロピルマグネシウムクロライドのテトラヒドロフラン−ベンゼン(2:1容量)混合溶液(71ml、150mmol)に、2−フルオロフェニル酢酸(9.25g、60mmol)とトリエチルアミン(60mg、0.6mmol)をテトラヒドロフラン(4.63g)とベンゼン(2.31g)の混合溶液に溶解した液を、35℃で1時間かけて滴下した。滴下終了後還流温度で2時間反応させた。
得られた溶液を5℃に冷却し、シクロプロパンカルボン酸メチル(5.71g、57mmol)をテトラヒドロフラン(3.60g)とベンゼン(1.80g)の混合溶液に溶解した液を同温度で20分間で滴下した。その後3時間加熱還流させた。反応終了後室温まで冷却し、18%塩酸46.0gを加えたのち分液した。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで2回洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。
液体クロマトグラフによる分析では、5.9gの2−(2−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノンが得られていることが分かった。シクロプロパンカルボン酸メチル基準の収率は59%であった。
【0031】
実施例9
2−ブロモプロパン30.7g(250mmol)、マグネシウム6.08g(0.25グラム原子)、テトラヒドロフラン125mlから調製した、イソプロピルマグネシウムブロマイド溶液に2−フルオロフェニル酢酸15.3g(100mmol)のテトラヒドロフラン75ml溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後反応温度を室温から還流温度に上げ6時間反応させた。
この溶液を5℃に冷却し、シクロプロパンカルボン酸エチル10.8g(95mmol)のテトラヒドロフラン20ml溶液を滴下した。滴下終了後再度反応温度を還流まで上昇し同温度で3時間反応させた。
室温まで冷却後、水12mlと2N −塩酸125mlを加え中和した。有機層を分液し水層を塩化メチレン50mlで2回抽出した。合わせた塩化メチレン層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで洗浄後硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮後残渣を減圧蒸留し2−(2−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン9.5g(53mmol)を得た。2−フルオロフェニル酢酸基準の収率53%、シクロプロパンカルボン酸エチル基準収率56%。
【0032】
比較例1
トリエチルアミンを添加しなかった以外は実施例8と全く同様の操作を行い、2−(2−フルオロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン3.6gを得た。シクロプロパンカルボン酸メチル基準の収率は20%であった。
【0033】
比較例2
シクロプロパンカルボン酸エチル(158g、1mol)を4倍容量の無水エーテルに溶解して、得られたエーテル溶液を、攪拌している4−メチルフェニル酢酸ナトリウム(38g、0.21mol)のエーテル溶液に滴下した。滴下終了後、3時間還流して反応させた。
得られた反応溶液をゆっくりと冷却した希塩酸中に注いだ。エーテル層と水層を分液し、水層を無水エーテルで2回抽出した。合わせたエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エーテル層を減圧濃縮した。得られたオイル状の残渣を100℃で10〜15分間熱してエーテル層を溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で洗浄した。洗浄したエーテル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮し、分別した。得られた第一フラクション、第二フラクション、第三フラクションの内、第三フラクションより2−(4−メチルフェニル)−1−シクロプロピルエタノン(16.5g、0.11mol)を得た。シクロプロパンカルボン酸エチル基準の収率は45%であった。
【0034】
比較例3
4−メチルフェニル酢酸ナトリウムの代わりに4−クロロフェニル酢酸ナトリウム(38g、0.3mol)を使用した以外は、比較例2と同様に反応させ2−(4−クロロフェニル)−1−シクロプロピルエタノン(21.3g、0.11mol)を得た。シクロプロパンカルボン酸エチル基準の収率は37%であった。
Claims (6)
- 有機溶媒中で、
一般式(I) R1 CH2 COOH
(式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキルもしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニル基又は2−チエニル基を示す)で表されるアリール酢酸類と、
一般式(II) R2 MgX
(式中、R2 は炭素原子数1〜8のアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す)で表されるハロゲン化アルキルマグネシウム類とを反応させ、つづいて
一般式(III) R3 COOR4
(式中、R3 は炭素原子数1〜4のアルキル又はフッ素で置換されていてもよいシクロプロピル基を示し、R4 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示す)で表されるシクロプロパンカルボン酸エステル類と反応させる、
一般式(IV) R1 CH2 COR3
(式中、R1 及びR3 は前述と同じ)で表されるアリールシクロプロピルケトン類の製造方法において、
一般式(I)のアリール酢酸類に対して、一般式(II)のハロゲン化アルキルマグネシウム類を2.5〜5モル当量使用することを特徴とする方法。 - 一般式(II)で表されるハロゲン化アルキルマグネシウム類が、イソプロピルマグネシウムクロライド又はイソプロピルマグネシウムブロマイドである請求項1に記載の製造方法。
- 一般式(I)で表されるアリール酢酸類が、4−クロロフェニル酢酸、2−フルオロフェニル酢酸、4−メチルフェニル酢酸又は2−チエニル酢酸である請求項1に記載の製造方法。
- 一般式(III)で表されるシクロプロパンカルボン酸エステル類が、シクロプロパンカルボン酸メチル、シクロプロパンカルボン酸エチル、1−メチルシクロプロパンカルボン酸メチル又は2−メチルシクロプロパンカルボン酸メチルである請求項1に記載の製造方法。
- トリ低級アルキルアミンを添加して反応させる請求項1に記載の製造方法。
- 有機溶媒がテトラヒドロフランとベンゼンとの混合有機溶媒である請求項5に記載の製造方法。
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