JPH0717020A - 反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小さな力で同軸上の固定歯車と回転歯車とを
強固に連結して片面刷と両面刷との切替を確実に行う。 【構成】 反転胴１３の端軸に固定された固定歯車３２
のボス上に、倍径胴１２と駆動連結された回動可能な回
転歯車３４を嵌装した。固定歯車３２と回転歯車３４と
の間に環状傾斜面３５ａを有するテーパリング３５を介
装した。このテーパリング３５に固定したねじ軸３９
を、固定歯車３２の外側から回動操作してテーパリング
３５を進退させ、両歯車３２，３４を固定したり、固定
を解いて反転胴１３と倍径胴１２との位相を調節し、片
面刷と両面刷との切替を行うようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は一台で片面刷と両面刷と
を可能にした反転機構付枚葉輪転印刷機に設けられ片面
刷と両面刷との切替に際し反転胴よりも上流側の胴群と
下流側の胴群との円周方向の位相を調節する印刷切替装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】印刷の多様化に伴い一台の機械で片面刷
と両面刷とを可能にした各種の枚葉輪転印刷機が提案さ
れて実用化されており、その一例として紙の搬送方向に
対する上流側の圧胴と下流側の圧胴との間に渡し胴とそ
の倍径の倍径胴および反転胴を設けたものが、実開平４
−１４６１４９号公報に開示されているので、以下これ
について説明する。

【０００３】図７はこの公報に開示された反転機構付枚
葉輪転印刷機の片面刷状態で示す胴配列図、図８は同じ
く両面刷状態で示す胴配列図である。図において、刷版
が装着された図示しない版胴に対接するゴム胴１には、
外周切欠き内に軸方向に並列する爪２と爪台３とからな
る複数個のくわえ爪装置４（以下単に爪４という）を備
えた第１圧胴５が対接されており、また刷版が装着され
た図示しない版胴に対接するゴム胴６には、外周切欠き
内に軸方向に並列する爪７と爪台８とからなる複数個の
くわえ爪装置９（以下単に爪９という）を備えた第２圧
胴１０が対接されている。

【０００４】第１圧胴５と第２圧胴１０との間には、渡
し胴１１と、その倍の径を有する倍径胴１２と、反転胴
１３とが、互いに周面を対接させて配列されており、渡
し胴１１の外周切欠き内には、爪１４と爪台１５とから
なるくわえ爪装置１６（以下単に爪１６という）が軸方
向に並設されている。

【０００５】さらに、倍径胴１２の外周部を円周方向に
２等分する位置に設けられた各切欠き内には、爪１７と
爪台１８とからなるくわえ爪装置１９（以下単に爪１９
という）およびくわえ爪装置２０（以下単に爪２０とい
う）が、軸方向に並設されて円周方向へ移動調節自在に
設けられている。

【０００６】また、倍径胴１２の外周部を２等分する箇
所でかつ爪１９，２０と円周方向にほゞ４５°位相を違
えた箇所には、吸口２１，２２が、ブロアとの間をロー
タリバルブ等を介し接続されて設けられており、さら
に、反転胴１３の外周切欠き内には、爪２３と爪台２４
とからなるくわえ爪装置２５（以下単に爪２５という）
と、爪２６と爪台２７とからなる反転爪装置２８（以下
単に爪２８という）とが円周方向にわずかに位相を違え
て設けられている。

【０００７】図９は従来の印刷切替装置の縦断面図であ
って、図において、前記反転胴１３の端軸３０には、キ
ー３１で円周方向に固定された固定歯車３２が端板３３
で軸線方向への移動を規制されて設けられており、この
固定歯車３２の段部には、回転歯車３４が回動自在に嵌
装されている。

【０００８】３５は前後の円板３６，３７の外周部をほ
ゞ複数等分する箇所に穿設された孔と、この孔に対応し
て固定歯車３２に穿設された孔とを貫通して設けられた
複数個のボルトであって、その先端ねじ部にはナット３
８が螺合されており、また、回転歯車３４と円板３７と
の間には、摩擦板３９が介挿されている。さらに固定歯
車３２と円板３６との間には弾発力を有する板ばね４０
が介挿されている。

【０００９】一方、フレーム４１側に設けられたモータ
４２のモータ軸には４個の減速歯車群４３が連結されて
おり、この減速歯車群４３の最終歯車４４に設けられた
ねじ軸はフレーム４１のねじ孔４１ａに螺合されてい
る。こうすることにより図示の状態では固定歯車３２と
回転歯車３４とが固定されているが、この状態でモータ
４２を回転させると歯車群４３が回転し、ねじ孔４１ａ
の作用で歯車４４が円板３６を押し、固定歯車３２と回
転歯車３４との固定が解除されるように構成されてい
る。

【００１０】そして、各胴は軸端部の胴歯車の噛合と固
定歯車３２，回転歯車３４の固定とで駆動連結されてい
て、固定歯車３２が第２圧胴１０の胴歯車と噛合ってお
り、回転歯車３４が倍径胴１２の胴歯車と噛合っている
ので、固定歯車３２と回転歯車３４との固定が解除され
ることにより、倍径胴１２を含む上流側の胴群と反転胴
１３を含む下流側の胴群との駆動連結が解除されるよう
に構成されている。

【００１１】このように構成されていることにより、図
７に示す片面刷の場合には、各胴が回転すると、ゴム胴
１と第１圧胴５との間で印刷された紙２９は、爪４と爪
１６との間でくわえ替えられ、さらに爪１６と爪１９
（２０）との間でくわえ替えられて倍径胴１２の上側周
面に巻付けられる。

【００１２】この紙２９のくわえ端が両胴１２，１３の
対接点に達すると、爪１９（２０）から爪２５にくわえ
替えられて反転胴１３の下側周面に巻付けられたのち、
第２圧胴１０の爪９にくわえ替えられて搬送されること
により、ゴム胴６と第２圧胴１０との間を通過するとき
に先程印刷された面と同じ面に印刷が施される。

【００１３】このような片面刷から両面刷に切替える場
合には、モータ４２を始動させると減速ギア群４３の噛
合とねじ孔４１ａのねじ作用とでギア４４が前進して円
板３６を押すので、固定ギア３２と回転ギア３４との固
定が解除される。

【００１４】そこで、図８に示すように、吸口２１と爪
２８とが対向するまで回転ギア３４を含む上流側の胴群
を紙２９の天地方向長さ分だけ回動させたのちモータ４
２を先程と逆方向に回動させると、固定ギア３２と回転
ギア３４とが固定される。

【００１５】このように準備したのち、図８に示すよう
に両面刷の印刷作業を開始すると、ゴム胴１と第１圧胴
５との間で表面に印刷された紙２９は、爪４と爪１６と
の間でくわえ替えられ、さらに爪１６と爪１９（２０）
との間でくわえ替えられて倍径胴１２の上側周面に巻付
けられる。

【００１６】この状態で各胴が回転を続けると、紙２９
のくわえ端は両胴１２，１３の対接点を通過し、その紙
尻が両胴１２，１３の対接点に達すると吸口２１がこの
紙尻を吸引すると同時に爪２０が開いてくわえ端がくわ
えから解放され、また、爪先がくわえ可能な方向を向い
ている爪２８が紙尻をくわえて紙３０を反転させながら
搬送する。

【００１７】搬送途中において紙２９は爪２８からくわ
え替え可能な方向を向いている爪２５にくわえ替えられ
たのち、第２圧胴１０の爪９にくわえ替えられる。この
紙２９には、ゴム胴６と第２圧胴１０との間を通過する
ときに裏面に印刷が施されて両面刷になる。

【００１８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の反転機構付枚葉輪転印刷機における印刷切替
装置は、固定歯車３２と回転歯車３４とを滑らないよう
に確実に締結しようとすると大きな力を必要とし、ま
た、この締結を小さな力で解除するために図９に示すよ
うに、操作部材と円板３６との間に減速歯車群等を設け
ると、この箇所が摩耗し易いという問題がある。

【００１９】本発明は以上のような点に鑑みなされたも
ので、小さな力で固定歯車と回転歯車との確実な締結を
可能にした反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置を
提供することを目的としている。

【００２０】

【課題を解決するための手段】本発明は以上のような点
に鑑みなされたもので、隣接する一方の胴の端軸に固定
された固定歯車と、他方の胴と駆動連結され前記固定歯
車と同軸でかつこの固定歯車に対する円周方向への位相
調節を可能に形成された回転歯車とを備え、これら両歯
車間の回転伝達の断接と位相調節とにより片面刷と両面
刷との切替を行う反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替
装置において、前記回転歯車側に設けた傾斜面と、前記
固定歯車側に移動自在に設けられ前記傾斜面に対接する
傾斜面が形成された移動部材と、この移動部材を移動さ
せる移動手段とを設けた。

【００２１】請求項２記載の装置では、請求項１記載の
装置において、前記移動手段を両歯車の軸線方向へ進退
自在に支持された進退部材とし、この進退部材を複数個
設けるとともに、前記固定歯車の端面側に揺動自在に支
持されて前記進退部材を進退させる複数個のてこレバー
を前記各進退部材の近傍に設け、前記複数個のてこレバ
ーをいっせいに揺動させる押圧部材を設けた。

【００２２】

【作用】片面刷から両面刷に切替える場合には、移動手
段により移動部材を移動させると、固定歯車と回転歯車
との固定が解かれて回転歯車が回転可能になるので、回
転歯車を、紙の寸法に対応して設定された所定の角度だ
け回動させたのち、移動手段により移動部材を先程とは
逆方向に移動させると、固定歯車と回転歯車とが固定さ
れる。このような切替作業においては、回転歯車側の傾
斜面と移動部材の傾斜面とのくさび作用により、固定歯
車と回転歯車とを小さな力で強固に固定することができ
る。

【００２３】請求項２記載の発明において、片面刷から
両面刷に切替える場合には、押圧部材を移動させること
により複数個のてこレバーがいっせいに揺動して複数個
の進退部材が移動部材とともにいっせいに移動し、くさ
び作用で固定されていた固定歯車と移動歯車との固定が
解かれることにより回転歯車が回転可能になるので、回
転歯車を、紙の寸法に対応して設定された所定の角度だ
け回動させたのち、押圧部材を先程とは逆方向に移動さ
せると、複数個のてこレバーがいっせいに揺動し、固定
部材と移動部材とのくさび作用によって固定歯車と回転
歯車とが小さな力で強固に固定される。

【００２４】このような切替作業においては、傾斜面の
くさび作用と、てこレバーの作用とで固定歯車と回転歯
車とを小さな力で強固に固定することができ、また、小
さな力で両歯車の固定を解くことができるとともに、複
数個の進退部材を同時に移動させることができる。

【００２５】

【実施例】図１および図２は本発明に係る反転機構付枚
葉輪転印刷機の印刷切替装置の実施例を示し、図１は印
刷切替装置の正面図、図２は印刷切替装置の縦断面図で
ある。胴配列ならびに片面刷，両面刷の動作とは図５な
いし図７に示す従来の装置と同じであるからその詳しい
説明を省略し、このあと必要あるときは同図を用いて説
明する。

【００２６】図において、フレーム５１に軸支された反
転胴１３の端軸１３ａには、段状に形成された固定歯車
５２が、凹孔５２ａを嵌合させて複数個のボルト５３で
固定されており、この固定歯車５２の小径段部５２ｂに
は、環状に形成された回転歯車５４が回転自在に嵌合さ
れている。固定歯車５２はその下流側の胴である第２圧
胴１０の図示しない胴歯車と噛合っており、また、回転
歯車５４はその上流側の胴である倍径胴１２の図示しな
い胴歯車と噛合っている。

【００２７】回転歯車５４の内周面には、軸線方向に傾
斜する環状傾斜面５４ａが形成されており、また固定歯
車５２の小径段部５２ｂの外周面には、環状切欠き５２
ｃが内側端に開口して設けられている。５５は断面ほゞ
正方形の環状に形成されたテーパリングであって、環状
傾斜面５４ａと切欠き５２ｃとで囲まれた環状溝５６に
嵌合されており、このテーパリング５５の外周面には、
環状傾斜面５４ａと同勾配でこれと嵌合する環状傾斜面
５５ａが形成されている。

【００２８】固定歯車５４の外周部外側を円周方向に３
等分する箇所には、段差部を有する凹孔５２ｄが設けら
れており、この凹孔５２ｄには、軸受５７が嵌合されて
複数個のボルト５８で固定されている。５９は軸受５７
の孔と固定歯車５２の孔とに挿入された移動手段として
のボルトであって、その先端ねじ部は移動部材としての
テーパリング５５のねじ孔に螺合されており、このボル
ト５９の頭部にスパナを掛けて回動させることにより、
テーパリング５５が進退してその環状傾斜面５５ａの作
用で両歯車５２，５４が固定されたり固定が解かれたり
するように構成されている。

【００２９】さらに、テーパリング５５には、これを軸
方向に貫通する孔５５ｂが、ボルト５９用の孔の間を２
等分する箇所に穿設されていて、この孔５５ｂに挿入さ
れて固定歯車５２のねじ孔に螺入されたピン４５には、
テーパリング５５の脱落を規正するストッパ４６がボル
ト４７で固定されている。

【００３０】以上のように構成された印刷切替装置の動
作を説明する。図５に基づいて説明した片面刷から図６
に基づいて説明した両面刷に切替える場合には、片面刷
のときに爪１９と爪２５とが対応した位置で紙２９の受
渡しを行っていたのを、両面刷のときには吸口２１が爪
２８と対応した位置で紙２９の受渡しを行なわなければ
ならないので、反転胴１３を含む下流側胴群に対する倍
径胴１２を含む上流側胴群の位相を、紙２９のほゞ天地
方向長さ分だけ移動する必要がある。

【００３１】そこで、３個のボルト５９にそれぞれスパ
ナを掛けて弛めると、ボルト５９のねじ部にねじ孔を螺
合させていたテーパリング５５が、環状溝５６から内側
へ飛出して傾斜面５４ａと傾斜面５５ａとの圧接が解か
れ、回転歯車５４が回動可能になるので、回転歯車５４
を含む上流側の歯車群を紙２９のほゞ天地方向長さ分だ
け移動させたのち、ボルト５９を締めると、テーパリン
グ５５が所定の位置で固定される。このようにテーパリ
ング５５を用いたことにより、両歯車５２，５４を小さ
な力で強固に固定することができる。

【００３２】図３および図４は請求項２記載の発明の実
施例を示し、図３は印刷切替装置の正面図、図４は印刷
切替装置の縦断面図である。これらの図において、図１
および図２に示す実施例と同構成の部材にはこれと同符
号を付してその詳しい説明を省略する。

【００３３】本装置においては、前記実施例と同じテー
パリング５５に、これを円周方向に３等分する箇所にね
じ孔が設けられており、これらのねじ孔には、段差部を
有する頭部６０ａを備えた進退部材としてのねじ軸６０
のねじ部が螺合されてナット６１で固定されている。そ
してこれら各ねじ軸６０の頭部６０ａの鍔と、固定ギア
５２の外周部を円周方向に３等分する位置に各ねじ軸６
０と同芯状に設けたばね孔５２ｃの底面との間には、テ
ーパリング５５を図４の左側へ移動させて両歯車５２，
５４を固定するように付勢する皿ばね６２が介装されて
いる。

【００３４】一方、ばね孔５２ｃが開口する側の固定歯
車５２の端面には、基板６３ａとこの基板６３ａから突
出する一対の軸受板６３ｂとで一体形成された軸受６３
が、各ばね孔５２ｃの開口を基板６３ａで閉塞するよう
にして複数個のボルト６３ｃで固定されており、これら
各軸受６３の軸受板６３ｂには、てこレバー６４が、ピ
ン６３ｄを介して揺動自在に枢支されている。これら３
個のてこレバー６４は固定歯車５２の中心部において遊
端部を互いに対向させており、これらの遊端部は、図示
しないエアシリンダ等の駆動装置で固定歯車５２の軸方
向に進退する押圧部材としての円板６５と係合してい
る。

【００３５】さらに、てこレバー６４を枢支するピン６
３ｄには、てこレバー６４を、遊端部が固定歯車５２か
ら離間する方向すなわち皿ばね６２の弾発力でテーパリ
ング５５を両歯車５２，５５の固定方向に付勢するトー
ションばね６６が装着されており、また、てこレバー６
４によるねじ軸頭部６０ａの押圧部には、頭部６０ａの
ねじ孔に進退調節自在に螺入されてナット６７で固定さ
れたボルト６８が設けられている。

【００３６】またこのボルト６８の頭部に接するてこレ
バー６４の枢支側端部には、円弧状のカム６４ａが形成
されており、てこレバー６４の揺動によりねじ軸６０を
皿ばね６２とボルト６８とを介して進退させるように構
成されている。６９は固定歯車５２の端面に固定されて
てこレバー６４の揺動を案内するガイドである。

【００３７】以上のように構成された請求項２記載の印
刷切替装置の動作を説明する。図７に基づいて説明した
片面刷から、図８に基づいて説明した両面刷に切替える
場合には、片面刷のときに爪１９と爪２５とが対応した
位置で紙２９の受渡しを行っていたのを、両面刷のとき
には吸口２１が反転爪２８と対応した位置で紙２９の受
渡しを行なわなければならないので、反転胴１３を含む
下流側胴群に対する倍径胴１２を含む上流側胴群の位相
を、紙２９のほゞ天地方向長さ分だけ移動する必要があ
る。

【００３８】この場合、図示の状態からエアシリンダ等
の駆動装置で押圧部材としての円板６５を固定歯車５２
に近づく方向に鎖線位置まで押すと、３個のてこレバー
６４がトーションばね６６の弾発力に抗して図の鎖線位
置まで揺動することにより、カム６４ａでボルト６８を
介して皿ばね５２ｃの付勢力に抗してねじ軸６０を押
し、傾斜面５４ａと傾斜面５５ａとの圧接が解かれて回
転歯車５４が回動可能になる。

【００３９】回転歯車５４を含む上流側の歯車群を紙２
９のほゞ天地方向長さ分だけ移動させたのち、エアシリ
ンダを先程と逆方向に作動させると、３個のてこレバー
６４がいっせいに揺動してカム６４ａの小径部がボルト
６８の頭部に対向するので、ねじ軸６０およびテーパリ
ング５５が皿ばね６２の弾発力で移動して所定の位置で
固定される。

【００４０】このようにテーパリング５５を用いたこと
により、両歯車５２，５４を小さな力で強固に固定する
ことができる。さらに、てこレバー６４とを用いたこと
により、両歯車５２，５４の固定とこの固定の解除とを
いっせいに行うことができ、てこの作用により、両歯車
５３，５４の固定を、より小さな力で解くことができ
る。

【００４１】図５は請求項１記載の印刷切替装置の他の
実施例を示す固定歯車と回転歯車との外周部の縦断面図
であって、反転胴の端軸に固定された固定歯車５２の小
径段部５２ｂには、環状に形成された回転歯車５４が回
動自在に嵌合されており、固定歯車５２の外周部に設け
られた複数個のボルト孔５２ｅには、移動手段としての
ボルト７０が回動自在に挿入されている。

【００４２】ボルト７０の先端ねじ部は、断面コ字形の
円板状に形成された移動部材としての円板７１に設けら
れたねじ孔７１ａに螺入されており、円板７１の外周に
形成されたフランジ部の外周面には、円板７１の軸線方
向に傾斜する傾斜面７１ｂが形成されている。

【００４３】一方、回転歯車５４の円板７１側端面に
は、環状に形成された溝５４ａが設けられており、この
溝５４ａの外周側には、前記傾斜面７１ｂと対接する傾
斜面５４ｂが形成されている。こうすることにより、ボ
ルト７０を締める方向に回動操作すると、ボルト７０の
ねじ作用で円板７１が図の左方へ進退し、傾斜面５４ｂ
と傾斜面７１ｂとのくさび作用で固定歯車５２と回転歯
車５４とが互いに固定されるように構成されている。

【００４４】このように構成されていることにより、例
えば片面刷から両面刷に切替える場合には、ボルト７０
をねじ部が弛む方向に回動操作すると、このねじ部のね
じ作用で円板７１が図の右方へ移動し、傾斜面５４ｂ，
７１ｂの圧接が解かれて回転歯車５４が回転可能になる
ので、回転歯車５４を回転させることにより、倍径胴１
２を含む紙搬送方向に対する上流側胴群の反転胴１３に
対する位相が調節される。

【００４５】位相調節後にはボルト７０を先程と逆方向
に回動操作すると、円板７１が図の左方へ移動し、互い
に対接する傾斜面５４ｂと傾斜面７１ｂとの作用で固定
歯車５２と回転歯車５４とが固定されるが、このときく
さび作用によって小さな力で両歯車５２，５４が強固に
固定される。

【００４６】図６は請求項１記載の印刷切替装置の他の
実施例を示す固定歯車と回転歯車との外周部の縦断面図
であって、反転胴の端軸に固定された固定歯車５２の小
径段部５２ｂには、環状に形成された回転歯車５４が回
動自在に嵌合されており、固定歯車５２の外周部に設け
られた複数個のボルト孔５２ａと軸受８０とには、移動
手段を構成するボルト８１が回動自在に挿入されてい
る。

【００４７】固定歯車５２の外周部に各ボルト８１にそ
れぞれ対応して設けられた凹孔５２ｈ内には、ボルト８
１の軸方向に傾斜する傾斜面８２ａを備えた移動手段を
構成するブロック８２が、ねじ孔をボルト８１のねじ部
８１ａと螺合させて収納されており、このブロック８２
は、凹孔５２ｈの壁面で回動を規制されている。

【００４８】一方、回転歯車５４の内周面には、回転歯
車５４の半径方向に傾斜する傾斜面５４ｃを備えた溝５
４ｄが設けられており、この溝５４ｄには、傾斜面５４
ｃと対接する傾斜面８３ａと、前記傾斜面８２ａと対接
する傾斜面８３ｂとを備えた移動部材としての爪８３が
嵌合されている。

【００４９】このように構成されていることにより、例
えば片面刷から両面刷に切替える場合には、ボルト８１
をねじ部が弛む方向に回動操作すると、このねじ部のね
じ作用でブロック８２が図の右方へ移動し、傾斜面８２
ａ，６３ｂの圧接が解かれ、この結果、爪８３が両歯車
５２，５４の中心方向に移動して傾斜面５４Ｃと傾斜面
８３ａとの圧接が解かれ、回転歯車５４が回転可能にな
るので、回転歯車５４を回転させることにより、倍径胴
１２を含む紙搬送方向に対する上流側胴群の反転胴１３
に対する位相が調節される。

【００５０】位相調節後にはボルト７０を先程と逆方向
に回動操作すると、ブロック８２が図の左方へ移動し、
傾斜面８２ａと傾斜面８３ｂとの圧接により爪８３がブ
ロック８２から遠ざかる方向に移動して爪８３の傾斜面
８３ａが溝５４ｄの傾斜面５４ｃに圧接されるので、小
さな力により固定歯車５２と回転歯車５４とが強固に固
定される。

【００５１】なお、前記各実施例では回転歯車５４を１
個設けた例を示したが、複数個設けてもよい。また、互
いに傾斜面を対接させた固定部材と移動部材とは実施例
のように環状に形成する必要はなく、図６に示す実施例
のように爪状に形成してもよい。

【００５２】また、前記各実施例においては、傾斜面を
片側にのみ設けた例を示したが、両側に設けてもよい。

【００５３】さらに、請求項２記載の発明において、前
記実施例では、てこレバー６４は両歯車５２，５４の固
定を解くために設けられており，両歯車５２，５４の固
定は皿ばね５２ｃによってなされているが、皿ばね５２
ｃを設けずに、てこレバー６４とねじ軸６０とを結合し
ててこレバー６４で両歯車５２，５４の固定と固定の解
除とを行わせるようにしてもよい。

【００５４】

【発明の効果】以上の説明により明らかなように本発明
によれば、隣接する一方の胴の端軸に固定された固定歯
車と、他方の胴と駆動連結され固定歯車と同軸でかつこ
の固定歯車に対する円周方向への位相調節を可能に形成
された回転歯車とを備え、これら両歯車間の回転伝達の
断接と位相調節とにより片面刷と両面刷との切替を行う
反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置において、固
定歯車と回転歯車との間に、傾斜面同士が対接する固定
部材と移動部材とを設け、この移動部材を移動させて傾
斜面のくさび作用により両歯車を固定する進退部材を設
けたことにより、小さな力によって両歯車を強固に固定
することができ、また小さな力によってこの固定を解く
ことができるので、構成部材にかかる負荷が軽減され装
置の耐久性が向上するとともに、操作性が向上する。

【００５５】また請求項２記載の発明においては、請求
項１記載の反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置に
おいて、移動部材を移動させる進退部材を複数個設けて
両歯車の外周部にこの両歯車の軸線方向へ進退自在に支
持させ、これら各進退部材の固定歯車外周部からの突出
部近傍にそれぞれ揺動自在に枢支されて遊端部を回転歯
車中心部の押圧部材に保持されこの押圧部材を回転歯車
の軸線方向へ進退させることにより揺動して前記複数個
の進退部材をいっせいに進退させる複数個のてこレバー
を設けたことにより、移動部材を進退させる力を小さく
することが可能になり、小さな力で両歯車を強固に固定
することができるとともに、小さな力でこの固定を解く
ことができる。さらに、てこレバーの作用により複数の
進退部材を小さな力でいっせいに進退させることがで
き、操作性が向上するとともに、各構成部材にかかる負
荷が軽減され、装置の耐久性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置の正
面図である。

【図２】反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置の縦
断面図である。

【図３】請求項２記載の発明における反転機構付枚葉輪
転印刷機の印刷切替装置の正面図である。

【図４】請求項２記載の発明における反転機構付枚葉輪
転印刷機の印刷切替装置の縦断面図である。

【図５】請求項１記載の印刷切替装置の他の実施例を示
す固定歯車と回転歯車との外周部の縦断面図である。

【図６】請求項１記載の印刷切替装置の他の実施例を示
す固定歯車と回転歯車との外周部の縦断面図である。

【図７】従来技術の説明と本願発明の説明とに共用され
片面刷動作を説明するために示す胴配列図である。

【図８】従来技術の説明と本願発明の説明とに共用され
両面刷動作を説明するために示す胴配列図である。

【図９】従来における反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷
切替装置の縦断面図である。

【符号の説明】

５ 第１圧胴 １０ 第２圧胴 １１ 渡し胴 １２ 倍径胴 １３ 反転胴 １３ａ 端軸 １６ 爪 １９ 爪 ２０ 爪 ２１ 吸口 ２２ 吸口 ２５ 爪 ２８ 反転爪 ２９ 紙 ５２ 固定歯車 ５４ 回転歯車 ５４ａ 傾斜面 ５４ｂ 傾斜面 ５４ｃ 傾斜面 ５４ｄ 溝 ５５ テーパリング ５５ａ 傾斜面 ５６ 環状溝 ６０ ねじ軸 ６３ 軸受 ６４ てこレバー ６５ 円板 ７０ ボルト ７１ 円板 ７１ｂ 傾斜面 ８１ ボルト ８２ａ 傾斜面 ８３ 爪 ８３ａ 傾斜面 ８３ｂ 傾斜面

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣接する一方の胴の端軸に固定された固
   定歯車と、他方の胴と駆動連結され前記固定歯車と同軸
   でかつこの固定歯車に対する円周方向への位相調節を可
   能に形成された回転歯車とを備え、これら両歯車間の回
   転伝達の断接と位相調節とにより片面刷と両面刷との切
   替を行う反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷切替装置にお
   いて、前記回転歯車側に設けた傾斜面と、前記固定歯車
   側に移動自在に設けられ前記傾斜面に対接する傾斜面が
   形成された移動部材と、この移動部材を移動させる移動
   手段とを設けたことを特徴とする反転機構付枚葉輪転印
   刷機の印刷切替装置。
2. 【請求項２】 前記移動手段を両歯車の軸線方向へ進退
   自在に支持された進退部材とし、この進退部材を複数個
   設けるとともに、前記固定歯車の端面側に揺動自在に支
   持されて前記進退部材を進退させる複数個のてこレバー
   を前記各進退部材の近傍に設け、前記複数個のてこレバ
   ーをいっせいに揺動させる押圧部材を設けたことを特徴
   とする請求項１記載の反転機構付枚葉輪転印刷機の印刷
   切替装置。