JPH07166415A - 高強度、高弾性率ポリプロピレン繊維及びその製造方法 - Google Patents

高強度、高弾性率ポリプロピレン繊維及びその製造方法

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JPH07166415A
JPH07166415A JP34117893A JP34117893A JPH07166415A JP H07166415 A JPH07166415 A JP H07166415A JP 34117893 A JP34117893 A JP 34117893A JP 34117893 A JP34117893 A JP 34117893A JP H07166415 A JPH07166415 A JP H07166415A
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理玄 上西
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孝之 平井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複合材料のマトリックスとの接着性に優れた
高強度、高弾性率ポリプロピレン繊維を提供する。 【構成】 繊維表面に平均孔径0.05〜2μm、開孔
率20〜90%の多数の微孔が存在し、5%以上の破断
伸度、0.5GPa以上の引張り強度及び5GPa以上
の引張り弾性率を有する繊維直径1〜500μmの高強
度、高弾性率ポリプロピレン繊維を、メルトフローイン
デックス0.05〜30、密度0.890g/cm3
上のアイソタクティクポリプロピレンを溶融紡糸し、得
られた未延伸繊維を熱処理した後、冷延伸を行いまたは
行うことなく、熱延伸時の変形速度が1分あたり30%
を超える1段または2段以上の熱延伸を行い総延伸量で
300%以上に延伸することにより得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度、高弾性率ポリ
プロピレン繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂複合材料、セメント複合材料等の補
強用繊維としては、アラミド繊維、高強力ポリエチレン
繊維等の有機高分子系補強用繊維、ガラス繊維、炭素繊
維、ウィスカー繊維等の無機系補強用繊維がある。この
うち有機高分子系補強用繊維は、無機系補強用繊維に比
べて、低密度であり、複合材料の軽量化が可能である点
において優れている。ポリプロピレン繊維も、ポリエチ
レン繊維と共に汎用素材として知られ、またポリエチレ
ン繊維に比べ耐熱性に優れていることから、高強度、高
弾性率とするならば、有機高分子系補強用繊維として用
い得る繊維である。
【0003】高強度、高弾性率ポリプロピレン繊維につ
いては、例えば、ジャーナル アプライド ポリマー
サイエンス(Journal Applied Pol
ymer Science)Vol.28、P.179
〜189(1983)に、ポリプロピレンを、ノズルか
ら溶融押し出し適切なドラフト比で巻取りながら冷却し
高配向結晶性の未延伸糸とし、この未延伸糸を熱延伸し
てラメラ結晶内の分子鎖の折りたたみを解きほぐし分子
鎖が繊維軸方向に伸長された繊維とすることにより、引
張り強度0.76GPa(ギガパスカル)及び引張り弾
性率17.2GPaのポリプロピレン繊維が得られるこ
とが報告されている。
【0004】しかしながら、ポリプロピレン繊維は、複
合材料におけるマトリックスとの接着性が一般に不良で
あり、接着性を改良する方法として代表的なものとして
次の〜が提案されている。 ポリプロピレンに石膏針状結晶繊維を混ぜ、溶融紡
糸、延伸し繊維表面に石膏を突き出させる。(特公昭5
7−8790号公報) マトリックスとして補強用繊維より低融点のポリマー
を使用し、マトリックスを補強用繊維に熱融着させる。
(特公平4−4148号公報) 溶媒を用いて紡糸し、紡糸繊維中の溶媒を蒸発させて
繊維表面にボイドを形成し延伸でボイドを引き延ばして
縦長状の溝をつくる。(特開昭60−174646号公
報) 補強用繊維をエポキシ基或いはカルボン酸基含有ポリ
オレフィンで表面処理する。(特開昭60−17464
6号公報) 補強用繊維表面をプラズマ処理或いはコロナ放電処理
して繊維表面に凹凸をつくる。(特開昭57−1770
32号、特開昭60−146078号、特公昭53−7
94号、特公昭58−5314号各公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、これらの方
法では、次のような問題点がある。即ち、では熱延伸
時に糸切れを起こし易い、では接着力が不十分で良好
な機械特性が得られにくい、では残存溶媒により良好
な機械特性が得られにくい、ではマトリックスが限定
される、では強度低下により十分な機械強度が得られ
にくい。本発明の目的は、かかる問題点を解決し、ポリ
プロピレンの溶融紡糸、熱延伸により、複合材料におけ
るマトリックスとの接着性に優れた高強度、高弾性率ポ
リプロピレン繊維を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維表面に平
均孔径0.05〜2μm、開孔率20〜90%の多数の
微孔が存在し、5%以上の破断伸度、0.5GPa以上
の引張り強度及び5GPa以上の引張り弾性率を有する
繊維直径1〜500μmの高強度、高弾性率ポリプロピ
レン繊維、及び、メルトフローインデックス0.05〜
30、密度0.890g/cm3以上のアイソタクティ
クポリプロピレンを溶融紡糸し、得られた未延伸繊維を
熱処理した後、冷延伸を行いまたは行うことなく、熱延
伸時の変形速度が1分あたり30%を超える1段または
2段以上の熱延伸を行い総延伸量で300%以上に延伸
することを特徴とする高強度、高弾性率ポリプロピレン
繊維の製造方法にある。
【0007】本発明のポリプロピレン繊維は、その繊維
表面に多数の微孔が存在し、形成されている微孔の平均
孔径は、0.05〜2μmである。孔径が0.05μm
未満では、マトリックスとの接着性が不十分であり、2
μmを超えると、繊維の強度低下を生じる。また、微孔
は、繊維表面において開孔して存在し、開孔した微孔の
アンカー効果によりマトリックスと本発明のポリプロピ
レン繊維とは、強固に接着する。かかる接着性を確保す
るためには、繊維表面での微孔の開孔率、即ち繊維単位
表面積に対する微孔部分の占める総表面積の割合は、2
0〜90%、好ましくは25〜80%である必要があ
る。開孔率が20%未満では、マトリックスとの接着性
が不十分であり、90%を超えると、繊維の強度維持が
不十分となる。
【0008】微孔の形態は、特に限定はないが、繊維軸
方向に伸びた楕円形またはスリット状であることがマト
リックスとの接着性の点で好ましい。
【0009】本発明のポリプロピレン繊維においては、
微孔は、また繊維内部に存在してもよく、微孔の分布
は、繊維の機械的強度を確保する上から、繊維が中空部
のない中実繊維である場合は、(a)微孔が、繊維表面
から0.2〜5μm、好ましくは0.2〜2μmの深さ
までの表層領域に、繊維断面における中心部の微孔の存
在しない非多孔質部と微孔の存在する多孔質部の比が、
図1で示すように繊維半径r2に対する非多孔質部半径
1の比で60〜99.92%の範囲に分布して存在す
るか、(b)微孔が、繊維断面の全体に繊維断面積に対
する微孔総断面積の比で25〜60%の範囲で分布して
存在することにより繊維の機械的強度が確保される。
【0010】繊維が中空繊維である場合は、微孔は、図
2で示すように繊維半径r2の20〜70%、好ましく
は30〜50%に相当する繊維膜厚さ(繊維半径r2
中空部半径r3)を有する繊維の表面から0.2〜5μ
m、好ましくは0.2〜2μmの深さまでの表層領域
に、繊維断面における膜状繊維断面積に対する微孔総断
面積の比で3〜60%の範囲で分布して存在することに
より繊維の機械的強度が確保される。
【0011】本発明のポリプロピレン繊維は、5%以
上、好ましくは10%以上の破断伸度、0.5GPa以
上、好ましくは1.5GPa以上の引張り強度及び5G
Pa以上、好ましくは15GPaの引張り弾性率を有
し、補強用繊維として有用でかつ有効な機械的特性を有
する。
【0012】本発明のポリプロピレン繊維の形態は、補
強用繊維として適用するのに有効な直径として1〜50
0μm、好ましくは3〜400μmの範囲とする以外
は、特に限定はなく、中空部のない中実繊維でもまた前
述したように中空部のある中空繊維であってもよく、ま
た断面形状も円形のみならず円形以外の形状であっても
よい。
【0013】本発明のポリプロピレン繊維を製造する方
法を以下説明する。ポリプロピレン繊維を製造するに用
いるアイソタクティクポリプロピレンは、そのメルトフ
ローインデックス(MI値)が0.05〜30の範囲に
ある必要がある。MI値が0.05未満であると、溶融
粘度が高すぎて繊維を得る際に安定して紡糸することが
困難であり、30を超えると、溶融粘度が低く冷却不足
を生じ、安定な紡糸が困難である。なお、MI値は、J
IS K7210に準じ温度190℃でのノズル通過量
(単位g/10min、荷重2.169Kg)をもって
表す。
【0014】また、アイソタクティクポリプロピレン
は、タクティシティが96%以上であることが好まし
い。ここでタクティシティとは、側鎖メチル基の配列の
度合いを示す物理量であり、n−ヘプタン不溶分につい
てマクロモリキュール(Macromolecule
s)Vol.6,P.925(1973)及び同Vo
l.8、P.687(1975)の記載の方法に準じて
測定した値である。
【0015】アイソタクティクとは、この側鎖メチル基
が同一方向に配列したものであり、タクティシティが高
いほどポリマーの結晶性は高くなる。タクティシティが
96%よりも小さいポリマーを用いた場合、延伸後の繊
維の表面には微孔が形成されない。タクティシティ96
%以上は、結晶化度では50%以上に対応する。ポリマ
ー ハンドブック(Polymer Handboo
k)ウイリィ、ニューヨーク、1975、P.V−23
による結晶部密度0.936g/cm3、非晶部密度
0.850g/cm3を用いると、結晶化度50%以上
は、平均密度0.890g/cm3に対応する。本発明
でのポリプロピレンの密度とは、この平均密度を示し、
0.890g/cm3以上であることが必要である。
【0016】本発明においては、かかる特定のポリプロ
ピレンを繊維製造用のノズルを用いて溶融紡糸し、高配
向結晶性の未延伸繊維を用意する。中空繊維の場合は、
二重管構造を有するノズルを用いることが偏肉が少ない
繊維を得る上で望ましいが、弧状スリット組合せ構造等
のノズルを用いてもよい。二重管構造のノズルにおいて
は、繊維中空部へ中空状態を保持するために供給する気
体は、自然吸気であっても、また強制吸気であってもよ
い。
【0017】本発明のポリプロピレン繊維を安定に得る
ためには、紡糸温度は、ポリマーの融点より30〜80
℃高い温度に設定することが望ましい。この温度範囲よ
り低温で紡糸した場合は、ポリマーの溶融が不完全とな
りメルトフラクチャーが起こり易く、延伸工程での安定
性が低下し、またこの温度範囲より高温で紡糸した場合
は、延伸での微孔の形成が困難である。
【0018】ノズルより吐出されたポリマーは、紡糸ド
ラフト比200〜2000で引き取り、未延伸繊維とさ
れる。引き取りの際、紡糸ドラフト比が200未満で
は、高配向の未延伸繊維が得られず、延伸しても微孔の
形成は困難であり、紡糸ドラフト比が2000を超える
と、300%以上の総延伸量を得ることが可能な未延伸
繊維が得られない。
【0019】得られた未延伸繊維は、ラメラ結晶の結晶
面が繊維軸に垂直であり、ラメラ結晶が高度に配向積層
した構造の繊維となる。このラメラ構造の配向積層構造
をより完全なものとするためには、未延伸繊維を120
〜160℃、好ましくは140〜155℃で3分以上の
アニール処理ともいわれる熱処理を施すことが有効な手
段である。
【0020】本発明においては、前述のように用意され
た未延伸繊維を次のいずれかの方法で延伸することがで
きる。 (イ)冷延伸を行い、引き続き熱延伸を行う。 (ロ)冷延伸を行うことなく、熱延伸のみを行う。
【0021】(イ)の方法における冷延伸では、結晶構
造を破壊しミクロクレーズを発生させる。結晶ラメラ中
の分子鎖の熱振動による結晶緩和を起こさせることな
く、ミクロクレーズを発生させるためには、冷延伸にお
ける温度は、40℃以下とすることが望ましい。冷延伸
は、延伸量で1〜100%に延伸することが好ましい。
かかる冷延伸を行った後、熱延伸を行う。熱延伸は、1
20〜160℃で行うことが望ましく、熱延伸における
温度が120℃未満では、孔径が0.05μm未満とな
り、かつ開孔率が20%未満となり、目的とする微孔が
形成されず、160℃を超えると、繊維が透明化し、望
ましい微孔の形成が困難となる。熱延伸は、1段のみで
行っても2段以上の多段で行ってもよいが、総ての段で
それぞれ変形速度が1分あたり30%を超える、好まし
くは35%を超えるように設定する。変形速度が1分あ
たり30%以下では、繊維表面から5μmを超える深い
領域まで開孔し繊維の強度低下が生ずる。
【0022】(ロ)の方法においては、熱延伸は、
(イ)の方法におけると同様、熱延伸温度120〜16
0℃で行うことが望ましく、2段以上の多段で行うが、
各段でそれぞれ変形速度が1分あたり30%を超えるよ
うに設定し、好ましくは、1段目は、変形速度が1分あ
たり30%を超え、2段目以降は、変形速度が1分あた
り35%を超えるよう設定する。なお、本発明における
熱延伸時の変形速度とは、延伸区間における延伸量
(%)を繊維が延伸区間を通過する時間で除して求めた
値である。
【0023】本発明においては、総延伸量は、冷延伸を
行う場合を含め、300%以上、好ましくは500%以
上とすることが微孔の形成上必要である。しかしなが
ら、総延伸量の増大に伴い破断伸度が低下することか
ら、破断伸度を5%以上となすためには、総延伸量の上
限は、約1000%である。
【0024】熱延伸された繊維は、ほぼ形態の安定性が
確保されたものであり、必ずしも多数の微孔の存在構造
の固定を目的とする熱セットを必要とはしないが、必要
に応じて、熱延伸温度と同じ温度領域で、応力緊張下で
定長若しくは収縮させつつ熱セットを行う。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0026】(実施例1)タクティシティ98.8%、
MI値8のアイソタクティクポリプロピレンを、プラン
ジャー型押出機に装着した孔径5mmの紡糸ノズルより
紡糸温度230℃で吐出し、100cmのエアーギャッ
プ下、25℃の空気中で、紡糸ドラフト比200で巻取
り未延伸繊維を得た。この未延伸繊維を145℃の加熱
空気中で8時間熱処理した。次いで室温で初期長さに対
して40%冷延伸した後、140℃に加熱した5個の加
熱ボックス中で各段の熱延伸時の変形速度を1分あたり
50%とし、5段の延伸で総延伸量300%に延伸し
た。
【0027】引き続き150℃に加熱した加熱ボックス
中で定長で1分間熱セットし、延伸繊維を得た。得られ
た繊維は、直径が41μmで、繊維表面に水銀圧入法で
の測定による最小孔径0.5μm、最大孔径0.7μ
m、平均孔径0.6μmの微孔が、開孔率40%で存在
し、繊維断面での電子顕微鏡観察によると繊維表面から
1.5μmの層まで微孔が分布しており、非多孔質部半
径r1/繊維半径r2は0.93であった。また、この繊
維は、破断伸度が10%、引張り強度が0.7GPa、
引張り弾性率が6GPaであった。
【0028】(実施例2)実施例1で得た未延伸繊維を
室温で初期長さに対して40%冷延伸した後、140℃
に加熱した11個の加熱ボックス中で各段の熱延伸時の
変形速度を1分あたり32%とし、11段の延伸で総延
伸量300%に延伸して、延伸繊維を得た。得られた繊
維は、直径が45μmで、繊維表面に水銀圧入法での測
定による平均孔径0.4μmの微孔が、開孔率40%で
存在し、繊維断面での電子顕微鏡観察によると繊維断面
全体に微孔が分布しており、繊維断面積に対する微孔総
断面積の比は40%であった。また、この繊維は、破断
伸度が10%、引張り強度が0.8GPa、引張り弾性
率が6GPaであった。
【0029】(実施例3)実施例1において、未延伸繊
維を、熱処理後に、冷延伸しない以外は、実施例1と同
様にして延伸繊維を得た。得られた繊維は、直径が45
μmで、繊維表面に水銀圧入法での測定による最小孔径
0.2μm、最大孔径1μm、平均孔径0.6μmの微
孔が、開孔率40%で存在し、繊維断面での電子顕微鏡
観察によると繊維表面から1.5μmの層まで微孔が分
布しており、r1/r2は0.93であった。また、この
繊維は、破断伸度が11%、引張り強度が0.8GP
a、引張り弾性率が6GPaであった。
【0030】(実施例4)タクティシティ98.8%、
MI値8のアイソタクティクポリプロピレンを、吐出口
径16mm、円環スリット幅2mmの中空糸膜賦形用紡
糸ノズルを用い、紡糸温度200℃で吐出し、巻取り速
度52m/min、紡糸ドラフト比900で未延伸中空
繊維を得た。得られた未延伸中空繊維は、繊維半径が3
20μm、膜厚さ70μmであった。この未延伸中空繊
維を145℃の加熱空気中で8時間熱処理した。熱処理
未延伸中空繊維は、弾性回復率が97%であった。次い
で室温で初期長さに対して40%冷延伸した後、140
℃に加熱した11個の加熱ボックス中で各段の熱延伸時
の変形速度を1分あたり30%とし、11段の延伸で総
延伸量300%に延伸した。
【0031】引き続き150℃に加熱した加熱ボックス
中で定長で1分間熱セットし、延伸中空繊維を得た。得
られた繊維は、中空部を有し、繊維半径が250μm、
膜厚さ70μmで、繊維表面に水銀圧入法での測定によ
る最小孔径0.2μm、最大孔径1.4μm、平均孔径
0.8μmの微孔が、開孔率40%で存在し、繊維断面
での電子顕微鏡観察によると繊維表面から3μmの層ま
で微孔が分布しており、繊維断面積に対する微孔総断面
積の比は5%であった。また、この繊維は、破断伸度が
12%、引張り強度が0.7GPa、引張り弾性率が7
GPaであった。
【0032】(実施例5)実施例1で得た未延伸繊維を
室温で初期長さに対して100%冷延伸した後、140
℃に加熱した11個の加熱ボックス中で各段の熱延伸時
の変形速度を1分あたり60%とし、11段の延伸で総
延伸量300%に延伸して、延伸繊維を得た。得られた
繊維は、直径が30μmで、繊維表面に水銀圧入法での
測定による平均孔径0.06μmの微孔が、開孔率45
%で存在し、繊維断面での電子顕微鏡観察によると繊維
断面全体に微孔が分布しており、繊維断面積に対する微
孔総断面積の比は50%であった。また、この繊維は、
破断伸度が10%、引張り強度が0.8GPa、引張り
弾性率が6GPaであった。
【0033】(比較例1)実施例1で得た未延伸繊維を
室温で初期長さに対して100%冷延伸した後、140
℃に加熱した11個の加熱ボックス中で各段の熱延伸時
の変形速度を1分あたり5%とし、11段の延伸で総延
伸量500%に延伸する以外は、実施例1と同様にし
て、延伸繊維を得た。得られた繊維は、直径が40μm
で、繊維表面に水銀圧入法での測定による最小孔径0.
01μm、最大孔径0.03μm、平均孔径0.02μ
mの微細孔が、開孔率85%で存在し、繊維断面での電
子顕微鏡観察によると繊維断面全体に微細孔が分布し、
繊維断面積に対する微細孔総面積の比が95%であっ
た。また、この繊維は、破断伸度が10%、引張り強度
が0.0058GPa、引張り弾性率が0.058GP
aであった。
【0034】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン繊維は、繊維表
面に開孔した多数の微孔が存在し、本来の低比重に加え
多孔質であることから、軽量でありながら、高強度、高
弾性率を有する繊維であり、樹脂複合材料、セメント複
合材料等の複合材料の樹脂、セメント等の広範囲のマト
リックスとの接着性に優れた補強用繊維として極めて有
用なるものであり、また高い破断伸度を有することから
複合材料への瞬間的衝撃に対しても繊維の損傷が少な
く、補強用繊維としての機能維持性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレン繊維の例の拡大模式断
面図である。
【図2】本発明のポリプロピレン中空繊維の例の拡大模
式断面図である。
【符号の説明】
1 微孔 2 非多孔質部 3 中空部 r1 非多孔質部半径 r2 繊維半径 r3 中空部半径

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面に平均孔径0.05〜2μm、
    開孔率20〜90%の多数の微孔が存在し、5%以上の
    破断伸度、0.5GPa以上の引張り強度及び5GPa
    以上の引張り弾性率を有する繊維直径1〜500μmの
    高強度、高弾性率ポリプロピレン繊維。
  2. 【請求項2】 繊維断面において微孔が繊維表面から
    0.2〜5μmの表層領域に存在する請求項1記載の高
    強度、高弾性率ポリプロピレン繊維。
  3. 【請求項3】 繊維断面における繊維の全体に微孔が繊
    維断面積に対する微孔総断面積の比で3〜60%の範囲
    で存在する請求項1記載の高強度、高弾性率ポリプロピ
    レン繊維。
  4. 【請求項4】 メルトフローインデックス0.05〜3
    0、密度0.890g/cm3以上のアイソタクティク
    ポリプロピレンを溶融紡糸し、得られた未延伸繊維を熱
    処理した後、冷延伸を行い延伸量で1〜100%に延伸
    し、引き続き、熱延伸時の変形速度が1分あたり30%
    を超える1段以上の熱延伸を行い総延伸量で300%以
    上に延伸することを特徴とする高強度、高弾性率ポリプ
    ロピレン繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 冷延伸を行うことなく、各段での熱延伸
    時の変形速度が1分あたり30%を超える2段以上の熱
    延伸を行い総延伸量で300%以上に延伸する請求項4
    記載の高強度、高弾性率ポリプロピレン繊維の製造方
    法。
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