JPH07166104A - 粉体塗料用ポリエステル樹脂及び組成物 - Google Patents
粉体塗料用ポリエステル樹脂及び組成物Info
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- JPH07166104A JPH07166104A JP34370793A JP34370793A JPH07166104A JP H07166104 A JPH07166104 A JP H07166104A JP 34370793 A JP34370793 A JP 34370793A JP 34370793 A JP34370793 A JP 34370793A JP H07166104 A JPH07166104 A JP H07166104A
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- Japan
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- polyester resin
- acid
- powder coating
- resin
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 比較的低コストで、優れた耐候性を有する粉
体塗料用ポリエステル樹脂を提供する。 【構成】 促進耐候性試験において、300 時間経過後の
60度鏡面光沢度の光沢保持率が80%以上であるカルボキ
シル末端基リッチのポリエステル樹脂。具体的には、酸
成分としてイソフタル酸、アルコール成分としてネオペ
ンチルグリコールを主たる構成成分とし、酸価が 230〜
1000geq/106g、極限粘度が0.15〜0.40dl/gのポリエステ
ル樹脂。
体塗料用ポリエステル樹脂を提供する。 【構成】 促進耐候性試験において、300 時間経過後の
60度鏡面光沢度の光沢保持率が80%以上であるカルボキ
シル末端基リッチのポリエステル樹脂。具体的には、酸
成分としてイソフタル酸、アルコール成分としてネオペ
ンチルグリコールを主たる構成成分とし、酸価が 230〜
1000geq/106g、極限粘度が0.15〜0.40dl/gのポリエステ
ル樹脂。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性を有する粉体塗
料用ポリエステル樹脂及び組成物に関するものである。
料用ポリエステル樹脂及び組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、従来の溶剤型塗料と比較し
て、無公害塗料であること、塗装直後でも利用に供しう
ること、多層の重ね塗りが不要であること、比較的安価
であること、塗装時の余剰分を回収再利用することが可
能であること等の利点が認められ、家電製品等の塗料と
して近年急速に需要が拡大している。
て、無公害塗料であること、塗装直後でも利用に供しう
ること、多層の重ね塗りが不要であること、比較的安価
であること、塗装時の余剰分を回収再利用することが可
能であること等の利点が認められ、家電製品等の塗料と
して近年急速に需要が拡大している。
【0003】粉体塗料には、エポキシ系、エポキシ−ポ
リエステルハイブリッド系、アクリル系及びポリエステ
ル系のものが主に知られているが、なかでもポリエステ
ル系粉体塗料は、物性とコストのバランスのとれたいわ
ゆるコストパフォーマンスに最も優れた塗料として知ら
れている。
リエステルハイブリッド系、アクリル系及びポリエステ
ル系のものが主に知られているが、なかでもポリエステ
ル系粉体塗料は、物性とコストのバランスのとれたいわ
ゆるコストパフォーマンスに最も優れた塗料として知ら
れている。
【0004】粉体塗料用ポリエステル樹脂の場合、塗料
を製造する工程で、樹脂と硬化剤及び添加剤を混合して
溶融混練するので、硬化剤と反応しない温度において混
練できるものでなくてはならず、樹脂の融点は高々 150
℃とすることが必要となる。従来、粉体塗料用ポリエス
テル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートに第3
成分を共重合して融点を低下させたものが一般に使用さ
れている。そして、第3成分としては、ネオペンチルグ
リコールが一般に使用されている。(樹脂のガラス転移
温度が低いと樹脂がゴム状となって粉体塗料とならない
ので、ガラス転移温度を低下させない第3成分を用いる
必要があるが、ネオペンチルグリコールはこの目的に合
致している。)
を製造する工程で、樹脂と硬化剤及び添加剤を混合して
溶融混練するので、硬化剤と反応しない温度において混
練できるものでなくてはならず、樹脂の融点は高々 150
℃とすることが必要となる。従来、粉体塗料用ポリエス
テル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートに第3
成分を共重合して融点を低下させたものが一般に使用さ
れている。そして、第3成分としては、ネオペンチルグ
リコールが一般に使用されている。(樹脂のガラス転移
温度が低いと樹脂がゴム状となって粉体塗料とならない
ので、ガラス転移温度を低下させない第3成分を用いる
必要があるが、ネオペンチルグリコールはこの目的に合
致している。)
【0005】また、ネオペンチルグリコールを共重合し
たポリエチレンテレフタレートは、耐溶剤性や耐汚染性
が劣るため、この性能を補償するためさらに、第4成分
として、イソフタル酸を補助的に使用する場合もあっ
た。
たポリエチレンテレフタレートは、耐溶剤性や耐汚染性
が劣るため、この性能を補償するためさらに、第4成分
として、イソフタル酸を補助的に使用する場合もあっ
た。
【0006】しかし、従来のテレフタル酸、エチレング
リコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分
とするカルボキシル末端基リッチのポリエステル樹脂に
エポキシ系硬化剤を配合したポリエステル系粉体塗料
は、耐候性が十分でないという問題があった。すなわ
ち、促進耐候性試験において、最良のものでも 250時間
程度の経過時間で60度鏡面光沢度の光沢保持率が80%以
下となってしまうものであった。
リコール及びネオペンチルグリコールを主たる構成成分
とするカルボキシル末端基リッチのポリエステル樹脂に
エポキシ系硬化剤を配合したポリエステル系粉体塗料
は、耐候性が十分でないという問題があった。すなわ
ち、促進耐候性試験において、最良のものでも 250時間
程度の経過時間で60度鏡面光沢度の光沢保持率が80%以
下となってしまうものであった。
【0007】このため、耐候性が要求される用途には、
ヒドロキシル末端基リッチのポリエステル樹脂にブロッ
クドイソシアネート系硬化剤を配合したものが広く使用
されている。しかし、ブロックドイソシアネート系硬化
剤を配合した粉体塗料は、焼付け時にブロック剤が揮発
し、焼付け炉を汚染するなど、環境面で問題を残してい
た。
ヒドロキシル末端基リッチのポリエステル樹脂にブロッ
クドイソシアネート系硬化剤を配合したものが広く使用
されている。しかし、ブロックドイソシアネート系硬化
剤を配合した粉体塗料は、焼付け時にブロック剤が揮発
し、焼付け炉を汚染するなど、環境面で問題を残してい
た。
【0008】なお、酸成分としてイソフタル酸と1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸を主体とするものを用い
た、カルボキシル末端基リッチの粉体塗料用ポリエステ
ル樹脂が特開平2−284974号公報に開示されている。し
かし、この樹脂は、硬化剤としてトリグリシジルイソシ
アヌレートを使用する粉体塗料に適したものであり、ト
リグリシジルイソシアヌレートは、最近、変異原性等に
関し、衛生上の問題が指摘されており、この樹脂の使用
は好ましくないものである。
シクロヘキサンジカルボン酸を主体とするものを用い
た、カルボキシル末端基リッチの粉体塗料用ポリエステ
ル樹脂が特開平2−284974号公報に開示されている。し
かし、この樹脂は、硬化剤としてトリグリシジルイソシ
アヌレートを使用する粉体塗料に適したものであり、ト
リグリシジルイソシアヌレートは、最近、変異原性等に
関し、衛生上の問題が指摘されており、この樹脂の使用
は好ましくないものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、比較的低コ
ストで、実用上要求されるのに十分な耐候性を有する粉
体塗料用ポリエステル樹脂及び樹脂組成物を提供しよう
とするものである。
ストで、実用上要求されるのに十分な耐候性を有する粉
体塗料用ポリエステル樹脂及び樹脂組成物を提供しよう
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリエステ
ルの構成成分を適切に選定し、カルボキシル末端基リッ
チのポリエステルとすることにより従来の常識をはるか
に超える優れた耐候性を有する粉体塗料用ポリエステル
樹脂となることを見出し、本発明を完成した。
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリエステ
ルの構成成分を適切に選定し、カルボキシル末端基リッ
チのポリエステルとすることにより従来の常識をはるか
に超える優れた耐候性を有する粉体塗料用ポリエステル
樹脂となることを見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は下記の促進耐候性試験
において、300 時間経過後の60度鏡面光沢度の光沢保持
率が80%以上であるカルボキシル末端基リッチの粉体塗
料用ポリエステル樹脂を要旨とするものである。
において、300 時間経過後の60度鏡面光沢度の光沢保持
率が80%以上であるカルボキシル末端基リッチの粉体塗
料用ポリエステル樹脂を要旨とするものである。
【0012】促進耐候性試験 ポリエステル樹脂にエポキシ当量が 190g/eqのビスフェ
ノールAとエピクロルヒドリンとから得られたエポキシ
樹脂(硬化剤)をポリエステル樹脂の酸価に対応する官
能基量となるように加える。次いで、樹脂と硬化剤の合
計 100重量部に対して、2−ウンデシルイミダゾール
(硬化触媒) 0.2重量部、ポリブチルアクリレート(レ
ベリング剤)1重量部、ベンゾイン 0.5重量部及び粒径
0.25〜0.40μm のルチル型二酸化チタン50重量部を加え
て、ドライブレンドした後、 110℃で溶融混練し、冷
却、粉砕後、 145メッシュの金網で分級 (20〜105 μm)
して粉体塗料を得る。得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処
理鋼板上に、膜厚が50〜60μmになるように静電塗装し
て焼付けを行った試験片について、JIS K5400 に準じ、
高湿条件でサンシャインウエザーメーターによる促進試
験を行い、JIS K 5400に準じ、グロスメーターで塗膜の
60度鏡面光沢度を測定する。
ノールAとエピクロルヒドリンとから得られたエポキシ
樹脂(硬化剤)をポリエステル樹脂の酸価に対応する官
能基量となるように加える。次いで、樹脂と硬化剤の合
計 100重量部に対して、2−ウンデシルイミダゾール
(硬化触媒) 0.2重量部、ポリブチルアクリレート(レ
ベリング剤)1重量部、ベンゾイン 0.5重量部及び粒径
0.25〜0.40μm のルチル型二酸化チタン50重量部を加え
て、ドライブレンドした後、 110℃で溶融混練し、冷
却、粉砕後、 145メッシュの金網で分級 (20〜105 μm)
して粉体塗料を得る。得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処
理鋼板上に、膜厚が50〜60μmになるように静電塗装し
て焼付けを行った試験片について、JIS K5400 に準じ、
高湿条件でサンシャインウエザーメーターによる促進試
験を行い、JIS K 5400に準じ、グロスメーターで塗膜の
60度鏡面光沢度を測定する。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の粉体塗料用ポリエステル樹脂は、上記促進耐候性
試験において、300時間経過後の60度鏡面光沢度の光沢
保持率が80%以上という実用上要求される耐候性のレベ
ルを満足するものである。(これは、ブロックドイソシ
アネート系硬化剤を用いる汎用の粉体塗料用ポリエステ
ル樹脂と同等のレベルである。)
発明の粉体塗料用ポリエステル樹脂は、上記促進耐候性
試験において、300時間経過後の60度鏡面光沢度の光沢
保持率が80%以上という実用上要求される耐候性のレベ
ルを満足するものである。(これは、ブロックドイソシ
アネート系硬化剤を用いる汎用の粉体塗料用ポリエステ
ル樹脂と同等のレベルである。)
【0014】塗料は、基材の保護と装飾という主機能を
有しており、それを評価するには塗膜の光沢を選ぶのが
普通である。すなわち、耐候性の評価として、塗膜の劣
化の状態を数値で評価するには、その光沢保持率で評価
するのが妥当である。光沢保持率が80%以上であれば、
目視による塗膜の光沢低下が確認し難いが、80%未満に
なると、肉眼で見ても塗膜の光沢低下が確認できるよう
になる。
有しており、それを評価するには塗膜の光沢を選ぶのが
普通である。すなわち、耐候性の評価として、塗膜の劣
化の状態を数値で評価するには、その光沢保持率で評価
するのが妥当である。光沢保持率が80%以上であれば、
目視による塗膜の光沢低下が確認し難いが、80%未満に
なると、肉眼で見ても塗膜の光沢低下が確認できるよう
になる。
【0015】なお、サンシャインウエザーメーターによ
る促進耐候性試験は、紫外領域に豊富なエネルギーを有
し、可視、赤外とも太陽光線に近似しているカーボンア
ーク燈の光線を照射するので、おおむね屋外での曝露試
験と大差のない結果を与えることが知られている。
る促進耐候性試験は、紫外領域に豊富なエネルギーを有
し、可視、赤外とも太陽光線に近似しているカーボンア
ーク燈の光線を照射するので、おおむね屋外での曝露試
験と大差のない結果を与えることが知られている。
【0016】本発明のポリエステル樹脂は、ポリエステ
ルの構成成分を適切に選定し、カルボキシル末端基リッ
チのポリエステルとすることにより得られる。
ルの構成成分を適切に選定し、カルボキシル末端基リッ
チのポリエステルとすることにより得られる。
【0017】具体的には、酸成分としてイソフタル酸、
アルコール成分としてネオペンチルグリコールを主たる
構成成分とし、酸価が 230〜1000geq/106g、極限粘度が
0.15〜0.40dl/gとしたポリエステル樹脂が挙げられる。
アルコール成分としてネオペンチルグリコールを主たる
構成成分とし、酸価が 230〜1000geq/106g、極限粘度が
0.15〜0.40dl/gとしたポリエステル樹脂が挙げられる。
【0018】ポリエステル樹脂の酸成分としては、主と
してイソフタル酸が用いられるが、その割合は、通常70
モル%以上、好ましくは80モル%以上、最適には90モル
%以上とされる。
してイソフタル酸が用いられるが、その割合は、通常70
モル%以上、好ましくは80モル%以上、最適には90モル
%以上とされる。
【0019】イソフタル酸とともに、少量(30モル%以
下) の他のジカルボン酸を併用してもよい。そのような
ジカルボン酸としては、テレフタル酸等の芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。さら
に、ポリエステル樹脂をゲル化させない範囲で、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸等の三価以上
のカルボン酸を併用してもよい。
下) の他のジカルボン酸を併用してもよい。そのような
ジカルボン酸としては、テレフタル酸等の芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカ
ルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。さら
に、ポリエステル樹脂をゲル化させない範囲で、トリメ
リット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸等の三価以上
のカルボン酸を併用してもよい。
【0020】また、アルコール成分としては、主として
ネオペンチルグリコールが用いられるが、その割合は、
通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上、最適には
90モル%以上とされる。水酸基のβ位にある炭素原子に
水素原子が結合していない脂肪族ジオールを共重合した
ポリエステル樹脂は耐候性が良いという知見があり、そ
のような脂肪族ジオールとして、ネオペンチルグリコー
ルの他にも2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジ
オール等もあるが、樹脂の製造コストを考慮するとネオ
ペンチルグリコールが最適である。
ネオペンチルグリコールが用いられるが、その割合は、
通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上、最適には
90モル%以上とされる。水酸基のβ位にある炭素原子に
水素原子が結合していない脂肪族ジオールを共重合した
ポリエステル樹脂は耐候性が良いという知見があり、そ
のような脂肪族ジオールとして、ネオペンチルグリコー
ルの他にも2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジ
オール等もあるが、樹脂の製造コストを考慮するとネオ
ペンチルグリコールが最適である。
【0021】ネオペンチルグリコールとともに、少量
(30モル%以下) の他のジオールを併用してもよい。そ
のようなジオールとしては、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、
ビスフェノールA等が挙げられる。さらに、ポリエステ
ル樹脂をゲル化させない範囲で、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上の
アルコールを併用してもよい。
(30モル%以下) の他のジオールを併用してもよい。そ
のようなジオールとしては、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、
ビスフェノールA等が挙げられる。さらに、ポリエステ
ル樹脂をゲル化させない範囲で、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の三価以上の
アルコールを併用してもよい。
【0022】また、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプ
ロラクトン等のオキシカルボン酸を少量併用してもよ
い。
ロラクトン等のオキシカルボン酸を少量併用してもよ
い。
【0023】本発明のポリエステル樹脂は、上記のよう
な成分 (それらのエステル形成性誘導体を含む。) を原
料として、ポリエステル製造の常法によって調製するこ
とができる。
な成分 (それらのエステル形成性誘導体を含む。) を原
料として、ポリエステル製造の常法によって調製するこ
とができる。
【0024】ポリエステル樹脂は、酸価が 230〜1000ge
q/106g、極限粘度が0.15〜0.40dl/gとすることが望まし
い。
q/106g、極限粘度が0.15〜0.40dl/gとすることが望まし
い。
【0025】ポリエステル樹脂の酸価が230geq/106g 未
満であると、結果的に分子量が大きくなり、塗膜の表面
に大きな凹凸が生じて平滑性が低下する傾向にあり、10
00geq/106gを超えると塗膜の機械的強度が低下する傾向
にあるばかりか、エポキシ樹脂(硬化剤)の配合量を増
やす必要があるため、耐候性に問題が生じる。
満であると、結果的に分子量が大きくなり、塗膜の表面
に大きな凹凸が生じて平滑性が低下する傾向にあり、10
00geq/106gを超えると塗膜の機械的強度が低下する傾向
にあるばかりか、エポキシ樹脂(硬化剤)の配合量を増
やす必要があるため、耐候性に問題が生じる。
【0026】また、ポリエステル樹脂の極限粘度が0.15
dl/g未満の場合、組成物の耐ブロッキング性が悪くなる
場合があり、一方、0.40dl/gを超えると、粉砕性が悪く
なる場合がある。特に好ましいものは、極限粘度が0.20
〜0.35dl/gのものである。
dl/g未満の場合、組成物の耐ブロッキング性が悪くなる
場合があり、一方、0.40dl/gを超えると、粉砕性が悪く
なる場合がある。特に好ましいものは、極限粘度が0.20
〜0.35dl/gのものである。
【0027】さらに、粉体塗料に用いるため、それらの
軟化点は50〜150 ℃の範囲のものが好ましい。軟化点が
50℃未満であると、粉体化した樹脂が凝集して固化し易
く、耐ブロッキング性が劣る傾向があり、一方、150 ℃
を超えると混練温度を高くすることになり、塗料化時に
硬化剤との反応が進み、結果として塗膜の平滑性や機械
的強度が低下する傾向がある。
軟化点は50〜150 ℃の範囲のものが好ましい。軟化点が
50℃未満であると、粉体化した樹脂が凝集して固化し易
く、耐ブロッキング性が劣る傾向があり、一方、150 ℃
を超えると混練温度を高くすることになり、塗料化時に
硬化剤との反応が進み、結果として塗膜の平滑性や機械
的強度が低下する傾向がある。
【0028】本発明のポリエステル樹脂は、粉体塗料と
する場合、硬化剤としてエポキシ樹脂を配合して用いら
れる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピ
クロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂で、エポキ
シ当量が 180〜300g/eq のものが好ましく用いられる。
エポキシ当量が 300g/eqを超えるエポキシ樹脂を用いる
とその添加量を多くしなければならず、耐候性が悪くな
る。
する場合、硬化剤としてエポキシ樹脂を配合して用いら
れる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピ
クロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂で、エポキ
シ当量が 180〜300g/eq のものが好ましく用いられる。
エポキシ当量が 300g/eqを超えるエポキシ樹脂を用いる
とその添加量を多くしなければならず、耐候性が悪くな
る。
【0029】エポキシ樹脂の配合量は、ポリエステル樹
脂のカルボキシル基の量とほぼ当量となる量(0.8〜1.2
倍当量) とするのが適当である。
脂のカルボキシル基の量とほぼ当量となる量(0.8〜1.2
倍当量) とするのが適当である。
【0030】粉体塗料用樹脂組成物を調製するには、ポ
リエステル樹脂にエポキシ樹脂と、必要に応じてレベリ
ング剤、二酸化チタン、カーボンブラック等の顔料その
他の添加剤を配合し、ニーダー又はロールを用いて、70
〜150 ℃で混練する。
リエステル樹脂にエポキシ樹脂と、必要に応じてレベリ
ング剤、二酸化チタン、カーボンブラック等の顔料その
他の添加剤を配合し、ニーダー又はロールを用いて、70
〜150 ℃で混練する。
【0031】
【作用】本発明のポリエステル樹脂が優れた耐候性を示
す理由は明らかではないが、フリース転移として知られ
ているような光反応から類推すれば、特定の分子構造を
付与することによって、光によるポリマー骨格の劣化を
招かず、塗料としたときにも優れた耐候性を保持するも
のと推察される。なお、イソフタル酸成分とネオペンチ
ルグリコール成分とを主体とするカルボキシル末端基リ
ッチのポリエステル樹脂が優れた耐候性を示すのみなら
ず、粉体塗料用樹脂として物性的にもほぼ実用レベルに
あることは、従来の常識からは全く予測できないことで
あった。
す理由は明らかではないが、フリース転移として知られ
ているような光反応から類推すれば、特定の分子構造を
付与することによって、光によるポリマー骨格の劣化を
招かず、塗料としたときにも優れた耐候性を保持するも
のと推察される。なお、イソフタル酸成分とネオペンチ
ルグリコール成分とを主体とするカルボキシル末端基リ
ッチのポリエステル樹脂が優れた耐候性を示すのみなら
ず、粉体塗料用樹脂として物性的にもほぼ実用レベルに
あることは、従来の常識からは全く予測できないことで
あった。
【0032】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。なお、ポリエステル樹脂の特性値は次の方法で測
定した。 極限粘度 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し、温度20℃で測定した。 酸価 ジオキサンに溶解し、水酸化カリウムメタノール溶液で
滴定して求めた。 60度鏡面光沢度 JIS K 5400に準じて求めた。 耐衝撃性 JIS K 5400に準じ、直径 1/2インチ、1kgの球を使用し
て求めた。 促進耐候性 前述の促進耐候性試験により求めた。ただし、エポキシ
樹脂として東都化成社製YD-128(エポキシ当量 194g/eq
のビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから得られ
たエポキシ樹脂)、硬化触媒として四国化成社製キュア
ゾールC11Z、レベリング剤としてバスフ社製アクロナー
ル4F(50%エチルアセテート溶液の20℃における粘度が
40〜60ストークスのポリブチルアクリレート) 、ルチル
型二酸化チタンとして石原産業社製CR-90、サンシャイ
ンウエザーメーターとしてスガ試験機社製WEL-6XS-HC-B
・Ec型、グロスメーターとして村上色彩技術研究所製CM-
26D型を用いた。この際、サンシャインウエザーメータ
ーでの照射は、ブラックパネル温度を63℃に設定し、1
サイクルを 120分間とし、そのうちの18分間は水の霧を
吹き付けて、約78時間毎に塗膜の60度鏡面光沢度を測定
した。
する。なお、ポリエステル樹脂の特性値は次の方法で測
定した。 極限粘度 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒と
し、温度20℃で測定した。 酸価 ジオキサンに溶解し、水酸化カリウムメタノール溶液で
滴定して求めた。 60度鏡面光沢度 JIS K 5400に準じて求めた。 耐衝撃性 JIS K 5400に準じ、直径 1/2インチ、1kgの球を使用し
て求めた。 促進耐候性 前述の促進耐候性試験により求めた。ただし、エポキシ
樹脂として東都化成社製YD-128(エポキシ当量 194g/eq
のビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから得られ
たエポキシ樹脂)、硬化触媒として四国化成社製キュア
ゾールC11Z、レベリング剤としてバスフ社製アクロナー
ル4F(50%エチルアセテート溶液の20℃における粘度が
40〜60ストークスのポリブチルアクリレート) 、ルチル
型二酸化チタンとして石原産業社製CR-90、サンシャイ
ンウエザーメーターとしてスガ試験機社製WEL-6XS-HC-B
・Ec型、グロスメーターとして村上色彩技術研究所製CM-
26D型を用いた。この際、サンシャインウエザーメータ
ーでの照射は、ブラックパネル温度を63℃に設定し、1
サイクルを 120分間とし、そのうちの18分間は水の霧を
吹き付けて、約78時間毎に塗膜の60度鏡面光沢度を測定
した。
【0033】実施例1〜8、比較例1〜4 表1に示した原料化合物を表1に示した量(重量部)で
エステル化反応槽に仕込み、温度を 100℃から徐々に昇
温し、250 ℃で4時間エステル化反応を行った。得られ
たエステル化物を重縮合反応槽に移送した後、触媒とし
て三酸化アンチモン5.84重量部(2×10-4モル/酸成分
1モル)を添加し、0.5 トル以下に減圧し、280 ℃で3
時間重縮合反応を行い、極限粘度0.45dl/gのポリエステ
ルを得た。次いで、このポリエステルに表1の「解重
合」の欄に記載した化合物を表1に示した量(重量部)
で添加し、不活性雰囲気中、常圧下、250 ℃で2時間解
重合反応を行い、表1に示す特性値を有するポリエステ
ル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂に表1に示し
たエポキシ当量のエポキシ樹脂〔東都化成社製YD-128
(エポキシ当量 190g/eq)、同YD-134(エポキシ当量 2
50g/eq)同YD-011(エポキシ当量 475g/eq) 〕 、レベ
リング剤 (アクロナール4F)、ベンゾイン及びルチル型
二酸化チタン(CR-90) を添加し、FM10B 型ヘンシェルミ
キサー(三井三池製作所製)でドライブレンドした後、
PR-46 型コ・ニーダー(ブッス社製)を用い 110℃で溶
融混練し、冷却、粉砕、分級して粉体塗料を得、これを
用いて、促進耐候性試験用の試験片を得た(塗装後の焼
き付け条件は、 190℃×20分間とした。) 。この試験片
について、塗膜の60度鏡面光沢度及び耐衝撃性を測定す
るとともに、促進耐候性試験を行った。結果を表1及び
表2に示す。(表において、光沢保持率は、300 時間経
過後の値である。)なお、比較例3では、樹脂の粉砕が
困難で、試験に供し得る粉体塗料が得られなかった。
エステル化反応槽に仕込み、温度を 100℃から徐々に昇
温し、250 ℃で4時間エステル化反応を行った。得られ
たエステル化物を重縮合反応槽に移送した後、触媒とし
て三酸化アンチモン5.84重量部(2×10-4モル/酸成分
1モル)を添加し、0.5 トル以下に減圧し、280 ℃で3
時間重縮合反応を行い、極限粘度0.45dl/gのポリエステ
ルを得た。次いで、このポリエステルに表1の「解重
合」の欄に記載した化合物を表1に示した量(重量部)
で添加し、不活性雰囲気中、常圧下、250 ℃で2時間解
重合反応を行い、表1に示す特性値を有するポリエステ
ル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂に表1に示し
たエポキシ当量のエポキシ樹脂〔東都化成社製YD-128
(エポキシ当量 190g/eq)、同YD-134(エポキシ当量 2
50g/eq)同YD-011(エポキシ当量 475g/eq) 〕 、レベ
リング剤 (アクロナール4F)、ベンゾイン及びルチル型
二酸化チタン(CR-90) を添加し、FM10B 型ヘンシェルミ
キサー(三井三池製作所製)でドライブレンドした後、
PR-46 型コ・ニーダー(ブッス社製)を用い 110℃で溶
融混練し、冷却、粉砕、分級して粉体塗料を得、これを
用いて、促進耐候性試験用の試験片を得た(塗装後の焼
き付け条件は、 190℃×20分間とした。) 。この試験片
について、塗膜の60度鏡面光沢度及び耐衝撃性を測定す
るとともに、促進耐候性試験を行った。結果を表1及び
表2に示す。(表において、光沢保持率は、300 時間経
過後の値である。)なお、比較例3では、樹脂の粉砕が
困難で、試験に供し得る粉体塗料が得られなかった。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、比較的低コストで、優
れた耐候性を有する粉体塗料用ポリエステル樹脂が提供
される。
れた耐候性を有する粉体塗料用ポリエステル樹脂が提供
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 167/02 PLD
Claims (3)
- 【請求項1】 本文中に記載した促進耐候性試験におい
て、300 時間経過後の60度鏡面光沢度の光沢保持率が80
%以上であるカルボキシル末端基リッチの粉体塗料用ポ
リエステル樹脂。 - 【請求項2】 酸成分としてイソフタル酸、アルコール
成分としてネオペンチルグリコールを主たる構成成分と
するポリエステル樹脂であって、酸価が 230〜1000geq/
106g、極限粘度が0.15〜0.40dl/gである請求項1記載の
粉体塗料用ポリエステル樹脂。 - 【請求項3】 請求項1記載のポリエステル樹脂にエポ
キシ当量が 180〜300 g/eqのビスフェノールAとエピク
ロルヒドリンとから得られたエポキシ樹脂を配合した粉
体塗料用ポリエステル樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34370793A JPH07166104A (ja) | 1993-12-15 | 1993-12-15 | 粉体塗料用ポリエステル樹脂及び組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34370793A JPH07166104A (ja) | 1993-12-15 | 1993-12-15 | 粉体塗料用ポリエステル樹脂及び組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07166104A true JPH07166104A (ja) | 1995-06-27 |
Family
ID=18363632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34370793A Pending JPH07166104A (ja) | 1993-12-15 | 1993-12-15 | 粉体塗料用ポリエステル樹脂及び組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07166104A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009507127A (ja) * | 2005-09-07 | 2009-02-19 | エレメンティス スペシャルティーズ,インコーポレイテッド., | 顔料含有溶液性組成物の増粘に適した流動学的液体添加剤 |
-
1993
- 1993-12-15 JP JP34370793A patent/JPH07166104A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009507127A (ja) * | 2005-09-07 | 2009-02-19 | エレメンティス スペシャルティーズ,インコーポレイテッド., | 顔料含有溶液性組成物の増粘に適した流動学的液体添加剤 |
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