JPH0716455B2 - リクライニング装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車両等の座席に備えられるリクライニング装置
に関する。

〔従来の技術〕

自動車等の座席においては、着座者が所望の着座姿勢を
とることができるように、シートバックの傾斜角度を調
整するリクライニング装置が備えられている。

従来このリクライニング装置は、例えばシートクッショ
ン側に固定されるベース部材に、シートバックが連結さ
れる回動アームを前後方向に回動可能に軸支し、この回
動アームに形成された係合部としてのセクタギヤに対応
してベース部材側にロック部材を備え、このロック部材
を操作レバーによって回動アームのセクタギヤに対し係
脱操作することによってシートバックの傾斜角度調整を
行なうように構成されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、このように構成されるリクライニング装置に
おいては、強度等の関係上セクタギヤのピッチ角は２°
に形成するのが限界であり、従ってシートバックは２°
ずつの粗いピッチの調整しか行えず、着座者の体形や好
みに合致した傾斜角に調整することは困難であった。

本発明は斯る点に鑑みてなされたもので、セクタギヤの
強度を損なうことなくセクタギヤのピッチ角以下の微細
な調整の行なえるリクライニング装置を提供することを
目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明のリクライニング装置は上述の目的を達成するた
めに、シートクッションに固定されるベースプレート
に、前後方向に回動自在に軸支され、シートバックが固
定される回動アームと、ベースプレートに、回動アーム
の軸支部と離隔した位置において枢着され、かつ回動ア
ームと係合され回動アームの回動に伴ってこれと同方向
に回動されるセクタギヤと、ベースプレートに設けら
れ、セクタギヤに噛合し回動アームをロックするロック
ギヤとを有し、回動アームの軸支部から回動アームとセ
クタギヤの係合部までの距離が、セクタギヤの枢着部か
ら回動アームのセクタギヤの係合部までの距離よりも大
に設定されて成るものである。

〔作用〕

上述の手段は次のように作用する。

通常の状態ではロックギヤがセクタギヤに噛合されてい
ることによって回動アームはロックされた状態にあり、
この状態からロックギヤをセクタギヤより抜脱させてロ
ック解除し回動アーム即ちシートバックを回動させる
と、これに伴ってセクタギヤも回動し、シートバックを
所望の角度に合わせた状態でロックアームをセクタギヤ
に噛合させることにより回動アームはその位置でロック
される。そしてこのリクライニング動作においては、回
動アームの軸支部から回動アームとセクタギヤの係合部
までの距離がセクタギヤの枢着部から回動アームとセク
タギヤの係合部までの距離より大と成されていることに
より、回動アームの回動角に対しセクタギヤが大きく回
動され、このためセクタギヤのピッチ角以下の微細なピ
ッチで回動アームのロックを行なえることになり、従っ
てシートバックの微調整が可能となるものである。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら本発明のリクライニング装置
の実施例について説明する。

第１図〜第３図は本発明の第１の実施例で、図中（１）
はリクライニング装置を全体として示し、（２）はこの
リクライニング装置（１）のベースプレートで、このベ
ースプレート（２）はその前後部に形成された取付孔
（3a）（3b）を介してシートクッションScの側部後端に
固定される。そしてこのベースプレート（２）の上部に
は軸（４）が突設され、この軸（４）には回動アーム
（５）が軸孔（5a）において前後方向に回動自在に軸支
されており、この回動アーム（５）の上半部に形成され
た取付孔（6a）（6b）を介してシートバックSbが連結固
定される。

また、ベースプレート（２）には、この回動アーム
（５）の軸支部より下方に離隔した位置においてセクタ
ギヤ（７）が軸孔（7a）において枢軸（８）によって回
動アーム（５）と同方向、即ち前後方向に回動自在に枢
着されている。

そしてこのセクタギヤ（７）の枢着部を挟んで回動アー
ムの軸支部と相反する側において回動アーム（５）とセ
クタギヤ（７）とが係合されている。即ち、セクタギヤ
（７）の中央部にはその回動方向と直交する方向に長い
係合孔（９）が形成され、この係合孔（９）に回動アー
ム（５）の下端部に突設された係合ピン（10）が挿通係
合されている。

本例では回動アーム（５）即ちシートバックSbがニュー
トラル位置にある状態においてこの回動アーム（５）と
セクタギヤ（７）の係合部が回動アーム（５）の軸支部
とセクタギヤ（７）の枢着部を結ぶ直線上に位置される
ように設定されており、またこの回動アーム（５）とセ
クタギヤ（７）の係合部と回動アーム（５）の軸支部間
の距離l₁と、同係合部とセクタギヤ（７）の枢着部間の
距離l₂との比は2:1となるように設定してある。

尚、この回動アーム（５）とセクタギヤ（７）の係合部
の構造を第４図の如く、セクタギヤ（７）の係合孔
（９）に鋼材製のスライダー（11）を嵌挿し、このスラ
イダー（11）に形成された軸孔（11a）に回動アーム
（５）の係合ピン（10）を回転可能程度に圧入する構成
とすると、回動アーム（５）とセクタギヤ（７）間の係
合ガタを防止できる。

また、ベースプレート（２）の下部には、セクタギヤ
（７）と対応してロック機構（12）が配設されている。
即ち、ベースプレート（２）の下部後端に突設された軸
ピン（13）にロックギヤ（14）が、上下方向即ちセクタ
ギヤ（７）に対し係脱される方向に回動自在に軸支され
ており、その遊端部には前方へ延長突出して係合部（14
a）が形成されている。また、このロックギヤ（14）の
前方においては、Ｌ字状の操作レバー（15）が、その屈
曲部においてベースプレート（２）に突設された軸ピン
（16）に軸支されており、この操作レバー（15）の一端
部にはピン（17）が突設され、このピン（17）がロック
ギヤ（14）の係合部（14a）の下側縁に当接係合してい
る。またこの操作レバー（15）の他端部には把手（18）
を取付けてある。

さらにこの操作レバー（15）の一端部と軸ピン（13）の
先端部との間にはコイルスプリング（19）が張架されて
おり、このコイルスプリング（19）の偏倚力によって操
作レバー（15）のピン（17）がロックギヤ（14）の係合
部（14a）の下側縁を押圧し、このためロックギヤ（1
4）は常時セクタギヤ（７）に噛合して回動アーム
（５）をロックし、また操作レバー（15）の把手（18）
をコイルスプリング（19）の偏倚力に抗して上方へ回動
操作することによりピン（17）によるロックギヤ（14）
の押圧が解除されてロックギヤ（14）は自重によって下
方へ回動してセクタギヤ（７）から抜脱され、ロックが
解除される如くなされる。

また、これらロック機構（12）及びセクタギヤ（７）を
外側から覆うようにして略三角形状の補強板（20）が軸
（４）及び軸ピン（13）（16）の先端部に固定され、ま
たこの補強板（20）の外側に突出される軸（４）の先端
部には渦巻ばね（21）が巻装され、その内端は軸（４）
の先端部に切込状に形成された係止部（4a）に、外端は
回動アーム（５）に固着された係止片（22）に夫々係止
されており、この渦巻ばね（21）の偏倚力によって回動
アーム（５）は常に前方へ回動付勢されている。

以上のように構成されるリクライニング装置（１）は、
通常の状態ではロックギヤ（14）がセクタギヤ（７）に
噛合し、これによって回動アーム（５）即ちシートバッ
クSbがロックされた状態にあり、この状態で操作レバー
（15）を操作してロックギヤ（14）をセクタギヤ（７）
から抜脱させてロックを解除すると、回動アーム（５）
は渦巻ばね（21）の偏倚力によって前方へ回動し、これ
に伴ってセクタギヤ（７）も回動される。そこで渦巻ば
ね（21）の偏倚力に抗してシートバックSbを背中で押圧
し、所望の傾斜角度に合わせた状態で操作レバー（15）
から手を離し、ロックギヤ（14）をセクタギヤ（７）に
噛合させると回動アーム（５）即ちシートバックSbはそ
の位置でロックされる。

そしてこのリクライニング動作においては、回動アーム
（５）の軸支部から回動アーム（５）とセクタギヤ
（７）の係合部までの距離l₁が、セクタギヤ（７）の枢
着部から回動アーム（５）とセクタギヤ（７）の係合部
までの距離l₂より大きいため、回動アーム（５）の回動
角に対しセクタギヤ（７）が大きく回動されることにな
り、従ってセクタギヤ（７）のピッチ角以下の微細なピ
ッチで回動アーム（５）のロックを行なえることにな
る。

この回動アーム（５）即ちシートバックSbの微調整の割
合は、シートバックSbの調整可能範囲の全般にわたって
均一ではなく、回動アーム（５）とセクタギヤ（７）の
係合部が回動アーム（５）の軸支部とセクタギヤ（７）
の枢着部を結ぶ直線上に位置された状態、即ちシートバ
ックSbのニュートラル位置付近において最も微細な調整
が行なわれる。

即ち、本例においては、回動アーム（５）の軸支部から
回動アーム（５）とセクタギヤ（７）の係合部までの距
離l₁と、セクタギヤ（７）の枢着部から回動アーム
（５）とセクタギヤ（７）の係合部までの距離l₂の比が
2:1であるため、シートバックSbのニュートラル位置付
近では回動アーム（５）の回動角に対し２倍の角度でセ
クタギヤ（７）が回動し、従ってセクタギヤ（７）のピ
ッチ角の1/2の角度で微調整が可能となることになり、
例えばセクタギヤ（７）のピッチ角が２°に形成されて
いるとすると、シートバックSbは１°ずつのピッチで微
調整を行なうことができる。そしてシートバックSbが前
傾又は後傾された状態では、回動アーム（５）がニュー
トラル位置から遠ざかるように回動するに伴って、セク
タギヤ（７）の係合孔（９）に対する回動アーム（５）
の係合ピン（10）の係合位置がセクタギヤ（７）の外周
方向へ移動することにより、回動アーム（５）の回動角
度に対しセクタギヤ（７）は、上述のニュートラル位置
ほどは大きく回動されないため、ニュートラル位置付近
に比べてシートバックSbの調整ピッチは粗くなることに
なる。

以上の如く本例のリクライニング装置（１）は、セクタ
ギヤ（７）のピッチ角を従来と変更することなくセクタ
ギヤ（７）のピッチ角以下の微調整が行なわれるので、
セクタギヤ（７）の強度を維持しながらシートバックSb
を着座者の好みに合った角度に正確に調整することがで
きる。

しかもこの調整においては、着座者が通常の着座姿勢を
とるニュートラル位置付近において最も微細なピッチで
調整が行なわれるので、着座者はより好適な着座姿勢を
とることができると共に、前傾又は後傾時には回動アー
ム（５）の回動に対するセクタギヤ（７）の回動量がニ
ュートラル位置よりは小となるので、セクタギヤ（７）
の作動角が過大とならず、従ってリクライニング装置全
体の大型化を妨げる効果をも有する。

また、第５図は本発明装置の第２の実施例を示すもの
で、回動アーム（５）を軸（４）に対し長手方向に移動
可能に支持すると共に回動アーム（５）とセクタギヤ
（７）とを枢着状に係合したものである。即ち、回動ア
ーム（５）の軸孔（5a）を、長手方向に長い長孔状に形
成し、この長孔状の軸孔（5a）において回動アーム
（５）を軸（４）に対し長手方向に移動可能に係合して
あり、またセクタギヤ（７）の係合孔（９）を丸孔状に
形成し、この係合孔（９）に回動アーム（５）の係合ピ
ン（10）を挿入係合することによって回動アーム（５）
とセクタギヤ（７）を枢着してある。

さらに第６図及び第７図は本発明装置の第３の実施例
で、ベースプレート（２）に対する回動アーム（５）の
軸支部と、回動アーム（５）とセクタギヤ（７）の係合
部の位置関係を上下逆にしたものである。即ち、軸
（４）をセクタギヤ（７）の枢着部より下方においてベ
ースプレート（２）の内面側に突設し、この軸（４）に
回動アーム（５）をその下端部に形成した軸孔（5a）に
おいて軸支すると共に、セクタギヤ（７）を上方に延長
してこの延長部（7b）に係合孔（９）を形成し、これに
ベースプレート（２）の上方において回動アーム（５）
に突設された係合ピン（10）を挿通係合して構成されて
いる。

尚、以上の第５図〜第７図の第２及び第３の実施例では
補強板（20）及び渦巻ばね（21）は省略してある。

これら第２及び第３の実施例においても、上述の第１の
実施例と同様にしてリクライニング動作時に回動アーム
（５）の回動に対しセクタギヤ（７）が大きく作動され
ることによりセクタギヤ（７）のピッチ角以下の微細な
調整を行なうことができるもので、設計あるいは製作上
の都合等によって以上の第１〜第３の実施例のうち何れ
か最適な構成のものを選択実施すればよい。

〔発明の効果〕

以上の如く本発明のリクライニング装置によれば、回動
アームの回動角に対しセクタギヤが大きく作動されるの
で、セクタギヤのピッチ角を変更することなくセクタギ
ヤのピッチ角以下の微調整を行なうことができ、従って
セクタギヤの強度を損なうことなくシートバックを着座
者の好みに略完全に合致した傾斜角度に正確に調整する
ことができる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のリクライニング装置の第１の実施例を
示す一部切欠いた側面図、第２図は同、分解斜視図、第
３図は同、動作状態の説明図、第４図は回動アームとセ
クタギヤの係合部の他例の分解斜視図、第５図は本発明
のリクライニング装置の第２の実施例を示す一部省略し
た側面図、第６図は本発明のリクライニング装置の第３
の実施例を示す一部省略した側面図、第７図はその分解
斜視図である。 図中、Scはシートクッション、Sbはシートバック、
（１）はリクライニング装置、（２）はベースプレー
ト、（５）は回動アーム、（７）はセクタギヤ、（９）
は係合孔、（10）は係合ピン、（14）はロックギヤであ
る。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シートクッション側に固定されるベースプ
   レートに、前後方向に回動自在に支持され、シートバッ
   クが固定される回動アームと、 上記ベースプレートに、上記回動アームの支持部と離隔
   した位置において枢着され、かつ上記回動アームと係合
   され上記回動アームの回動に伴って同方向に回動される
   セクタギヤと、 上記ベースプレートに設けられ、上記セクタギヤに噛合
   し上記回動アームをロックするロック部材とを有し、 上記回動アームの支持部から上記回動アームと上記セク
   タギヤの係合部までの距離が、上記セクタギヤの枢着部
   から上記回動アームと上記セクタギヤの係合部までの距
   離より大と成され、 上記シートバックのリクライニング動作において上記回
   動アームの回動角に対し上記セクタギヤが大きく作動さ
   れることにより上記セクタギヤのピッチ角以下の微調整
   が行えるようにしたことを特徴とするリクライニング装
   置。