JP3529511B2 - シートのリクライニング装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、シートクッショ
ンに対する、シートバックの傾斜角度（リクライニング
角度）を任意に調整、設定可能とするシートのリクライ
ニング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば、シートバックをシートクッシ
ョンに対して前後方向に揺動可能に支持し、シートバッ
クの揺動および揺動規制のもとで、シートクッションに
対するシートバックの傾斜角度（リクライニング角度）
を任意に調整、設定可能とするシートのリクライニング
装置が、自動車その他の種々のシートに提供されてい
る。

【０００３】リクライニング装置は、たとえば、シート
クッションサイドに固定されるベースプレートと、シー
トバックサイドに固定される回動アームとを具備して構
成され、回動アームが、ベースプレートに対して前後方
向に回動可能に、ヒンジピンを介して連結、支持されて
いる。

【０００４】この種のリクライニング装置として、たと
えば、回動アームサイドに設けられたセクタギヤと、ロ
ックばね（偏倚手段）の偏倚力のもとでセクタギヤに噛
合（ロック）するベースプレートサイドのロックギヤと
の組み合わせを有する構成が知られている。このような
構成においては、セクタギヤとロックギヤとのロックに
より、ベースプレートに対する回動アームの回動が規制
されるとともに、操作レバーによるセクタギヤ、ロック
ギヤ間のロック解除操作により、回動アームの揺動規制
が解除可能となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】この種の公知のリクラ
イニング装置においては、一般に、ロックギヤの歯がセ
クタギヤの歯の有効範囲のごくわずかな範囲で噛合可能
に形成されるため、着座者の上体等からシートバックに
作用する負荷は、通常、セクタギヤ、ロックギヤの噛合
された歯間のみに集中して作用する。つまり、公知の構
成におけるセクタギヤ、ロックギヤ間のロックのもとで
の抵抗力、つまりはロックの確実性は、歯厚等に起因す
る各歯毎の剛性に依存されている。

【０００６】ここで、通常の着座状態において着座者の
上体等から作用する静的負荷はさほど大きくなく、セク
タギヤ、ロックギヤの剛性が比較的低くできるため、各
歯の歯厚も十分に小さくできる。このような、歯厚の小
さいセクタギヤ、ロックギヤによれば、隣接する歯間の
間隔、つまりは各歯のピッチが抑制できるため、シート
クッションに対するシートバックの設定角度のピッチ
（設定ピッチ）が十分に小さくでき、リクライニング角
度の微調整が容易に可能となる。

【０００７】ところで、自動車等のシートにおいては、
緊急時等での過大な動的負荷がシートバックに作用する
可能性があるため、セクタギヤ、ロックギヤの歯毎に多
大な剛性が要求される。そこで、このような過大な動的
負荷の作用されるリクライニング装置においては、通
常、セクタギヤ、ロックギヤの歯厚の増大化によって、
各歯毎に高い剛性を確保している。

【０００８】しかし、セクタギヤ、ロックギヤを歯厚化
すると、各歯のピッチの増大が避けられない。つまり、
各歯のピッチを大きくすれば、緊急時等での過大な動的
負荷に耐え得るだけの剛性を各歯に得ることでロックの
確実性が確保できる反面、リクライニング角度の設定ピ
ッチが大きくなるため、リクライニング角度の微調整が
困難になりやすい。

【０００９】このような、リクライニング角度の微調整
の困難なシートのリクライニング装置においては、着座
者の体形、好み等に適したリクライニング角度が容易に
得られないため、着座者の快適性、安全性等の低下を招
く虞れがある。

【００１０】この発明は、ロックの確実性の低下を伴う
ことなく、リクライニング角度の微調整を可能とするシ
ートのリクライニング装置の提供を目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明によれば、サポートギヤ、振子形ギヤの組
み合わせ、回動アームサイドのセクタギヤ、ベースプレ
ートサイドのロックギヤからなるメインロック機構に対
するサポートロック機構として、メインロック機構と共
に併設されている。

【００１２】サポートギヤは、セクタギヤの歯より大き
なピッチの歯を持つ扇状に形成され、回動アームに対し
て一体的に回動可能に設けられている。また、サポート
ギヤに噛合する振子形ギヤが、振子運動のもとでサポー
トギヤに噛合可能に、ベースプレートに対して枢着され
ている。

【００１３】そして、所定の振子慣性力に相当する力以
下の偏倚力を持つ偏倚手段によって、振子形ギヤがサポ
ートギヤからの離反方向に偏倚され、所定の振子慣性力
以上の力が振子形ギヤに作用したときにおける、偏倚手
段の偏倚力に抗した振子形ギヤの揺動により、サポート
ギヤ、振子形ギヤ間がロック可能となっている。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。

【００１５】図１、図２に示すように、この発明に係る
シートのリクライニング装置10は、シートクッションサ
イドに固定されるベースプレート12と、シートバックサ
イドに固定される回動アーム14とを具備し、回動アーム
が、ベースプレートに対して前後方向（図中左右方向）
に揺動自在に、ヒンジピン16を介して連結、支持されて
いる。

【００１６】なお、ヒンジピン16は、たとえば、挿通孔
18を介して挿着され、溶接等での固定によってベースプ
レート12に突設されるとともに、挿通孔20へのヒンジピ
ンの遊挿により、回動アーム14がヒンジピンを中心とし
て揺動可能に支持される。

【００１７】図１、図２を見るとわかるように、たとえ
ば、外歯車状の歯22a を周面に有するセクタギヤ22が、
回動アーム14と一体的に回動可能に設けられるととも
に、セクタギヤに噛合可能な対応する歯24a を持つロッ
クギヤ24が、セクタギヤの下方でベースプレート12に回
動自在に枢着されている。

【００１８】セクタギヤ22は、たとえば、ヒンジピン16
を中心とする扇形に、回動アーム14とは別体に形成さ
れ、後述する連結ピン26、27 および係止ピン30によっ
て、回動アームに固定されている。なお、セクタギヤの
歯22a は、着座姿勢での角度調整範囲（リクライニング
範囲）に相当する範囲にわたって形成されている。

【００１９】そして、ロックギヤ24が、枢支ピン32によ
ってベースプレート12に枢着され、回動アーム14の任意
の角度における、対応する歯部22a、24a 間の噛合のもと
でのセクタギヤ22、ロックギヤ間のロックによって、ベ
ースプレート12に対する回動アームの揺動を規制可能に
構成されている。

【００２０】ロックギヤ24は、たとえば、枢支ピン34を
中心として回動する操作レバー36に連動可能に連結さ
れ、対応方向への操作レバーの回動操作によって、セク
タギヤ22に対するロックギヤ24のロック、ロック解除が
規定可能となっている。

【００２１】この発明の実施の形態で例示するリクライ
ニング装置10においては、枢支ピン34を中心とした円弧
状の長孔38が、ガイド孔として操作レバー36に穿設され
るとともに、このガイド孔（長孔）に遊挿される係止ピ
ン40が、ベースプレート12に突設され、係止ピンに対す
るガイド孔の端縁の係合によって、操作レバーの回動範
囲が規定されている。

【００２２】そして、ロックギヤ24の位置を規定するカ
ム42が、操作レバー36に連動可能に設けられている。図
１、図２に示すように、カム42は、たとえば、ベースプ
レートの枢支ピン40によって回動自在に支持され、切り
溝44への係止片46の遊挿、係合によって、操作レバー3
6、カム間が連動可能に連結されている。

【００２３】このように、切り溝44への係止片46の遊挿
により操作レバー36、カム42間を連動可能に連結すれ
ば、切り溝内での係止片の移動により、操作レバーの回
動軌跡に対するカムの回動軌跡のずれが保障されるた
め、操作レバーに連動したカムの円滑な回動が容易に確
保できる。

【００２４】カム42は、カム面42a によってロックギヤ
24の背面24b を押圧可能に形成、配置され、カム面での
背面の押圧によって、ロックギヤをセクタギヤ22にロッ
クさせるように構成されている。

【００２５】ここで、この発明の実施の形態において
は、セクタギヤ22との噛合方向への偏倚力が、ロックば
ね48から、たとえば、操作レバー36、カム42を介してロ
ックギヤ24に付与されている。ロックギヤ24をセクタギ
ヤ22との噛合方向に偏倚させるロックばね48として、た
とえば、引張コイルばねが利用でき、このロックばね
は、操作レバー36の係止片36a と、リクライニング装置
10の構成部材を外方から覆うカバープレート50の係止片
50a との間に張設されている。

【００２６】なお、カバープレート50は、構成部材の取
り付け後、たとえば、ヒンジピン16、枢支ピン32、34 お
よび係止ピン40を利用して、ベースプレート12に対して
固定される。

【００２７】また、このようなリクライニング装置10に
おいては、シートバックを前方（図中左方）に偏倚する
ためのリターンばね52が、その偏倚力を回動アーム14に
付与可能に配設されている。図２に示すように、この種
のリターンばね52として、たとえば、渦巻きばねが利用
でき、この渦巻きばねは、ヒンジピン16の延出端16aへ
の一端52a の係止を伴う巻装、および、回動アーム14か
らの係止ピン30の延出端30a への他端52b の係止のもと
で、カバープレート50の外方に配設されている。

【００２８】このリクライニング装置10の初期状態を図
１に示す。このような初期状態においては、ロックギヤ
24が、ロックばね48の偏倚力のもとでセクタギヤ22との
ロック位置に保持され、セクタギヤ、ロックギヤ間のロ
ックにより、回動アーム14、つまりはシートバックの揺
動が規制されている。

【００２９】このような初期状態において、ロックばね
48の偏倚力に抗して操作レバー36を引き上げると、操作
レバーに連動してカム42が対応方向、つまりは時計方向
に回動し、カムの回動に伴う、カム面42a での背面24b
の押圧解除によって、図３に示すように、セクタギヤ2
2、ロックギヤ24間のロックが解除される。このロック
解除状態においては、回動アーム14がベースプレート12
に対してフリーとなるため、シートクッションに対する
シートバックの揺動、つまりはリクライニング角度の調
整が可能となる。

【００３０】そして、シートバックの任意のリクライニ
ング角度において、操作レバー36の操作力を解除すれ
ば、操作レバーがロックばね48の偏倚力のもとで初期位
置方向に戻されるとともに、これに伴うカム42の回動の
もとでの押圧により、セクタギヤ22、ロックギヤ24間が
再度ロックされる（図１参照）。

【００３１】ところで、上記のように、セクタギヤ22、
ロックギヤ24間のロックのもとでベースプレート12に対
する回動アーム14の揺動規制、つまりはシートバックの
リクライニング角度の設定を行う構成においては、セク
タギヤ、ロックギヤの歯22a、24a のピッチを小さくする
ことで、設定ピッチの減少、つまりはリクライニング角
度の微調整の可能なリクライニング装置10が得られる。
そして、通常の着座状態においてシートバックから入力
される負荷、つまりは通常の静的負荷はさほど大きくな
いため、歯のピッチの小さなセクタギヤ22、ロックギヤ
24間のロックのもとでも、着座者の上体からの負荷に抗
する抵抗力は得られる。

【００３２】しかし、セクタギヤ、ロックギヤの歯22a、
24a のピッチが小さいと、各歯の歯厚の減少により、各
歯毎の剛性が低下するため、緊急時等における過大の動
的負荷に抗するだけの剛性が各歯に十分に確保できな
い。

【００３３】そこで、この発明のシートのリクライニン
グ装置10においては、緊急時等での過大な動的負荷の作
用時のみにロック可能な別のロック機構が、上記のセク
タギヤ22、ロックギヤ24からなる、いわゆるメインロッ
ク機構に対するサポートロック機構として、メインロッ
ク機構と併せて設けられている。

【００３４】ここでいうサポートロック機構は、図１、
図２を見るとわかるように、たとえば、回動アーム14と
一体的に回動可能なサポートギヤ54と、ベースプレート
12に枢着された振子形ギヤ56との組み合わせを有して形
成されている。

【００３５】サポートギヤ54は、たとえば、セクタギヤ
22より小径の円弧上にセクタギヤより大きなピッチの歯
54a を持つ扇状に形成され、連結ピン26、27 によるセク
タギヤとの共締めによって、回動アーム14に固定されて
いる。

【００３６】また、振子形ギヤ56は、サポートギヤ54に
噛合する歯56a を有して形成され、たとえば、操作レバ
ー36の回動中心となる枢支ピン34によって、振子状に回
動自在、つまりは振子運動を可能に支持されている。そ
して、この発明においては、たとえば、後方からの衝撃
に起因する振子慣性力のもとでの振子運動の発生時、つ
まり、枢支ピン34を支点とした半時計方向への回動時に
のみサポートギヤ54とロックするように、振子形ギヤ56
は形成され、サポートギヤとのロックのもとで、後方、
つまりは時計方向への回動アーム14の回動を規制可能に
構成されている。

【００３７】ここで、この振子形ギヤ56は、所定の振子
慣性力に相当する力以下の偏倚力を持つ偏倚手段58によ
って、サポートギヤ54からの離反方向、つまりは枢支ピ
ン34を中心とした時計方向に偏倚されている。所定の振
子慣性力は、緊急時等におけるシート後方からの衝撃に
起因する過大な動的負荷の作用によって振子形ギヤ56に
発生する慣性力とされ、この慣性力の発生のもとでサポ
ートギヤ54との噛合方向への振子形ギヤの回動を保障可
能な程度に、偏倚手段58の偏倚力は設定されている。

【００３８】偏倚手段58として、たとえば、ベースプレ
ート12の係止端12a と振子形ギヤの下方延出片56b との
間に張設された引張コイルばねが利用できる。

【００３９】なお、図２の参照符号60は、振子形ギヤ5
6、操作レバー36間を特定間隔離反させるためのスペー
サであり、このスペーサは、枢支ピン34の回りへの巻装
によって配設される。

【００４０】たとえば、通常の静的負荷の作用時、つま
り、図１に示すリクライニング装置10の初期状態におい
ては、振子形ギヤ56が偏倚手段58の偏倚力のもとで、サ
ポートギヤ54からの離反位置に偏倚、保持されている。
なお、振子形ギヤ56の離反位置は、たとえば、係止ピン
40への係止のもとで規定される。

【００４１】そして、この初期状態において、たとえ
ば、緊急時等の衝撃に起因する過大な動的負荷が、F の
矢印で示すように後方（図中右方）から作用し、偏倚手
段58の偏倚力以上の振子慣性力が振子形ギヤ56に生じる
と、振子慣性力が偏倚手段の偏倚力に打ち勝つため、振
子形ギヤが偏倚手段の偏倚力に抗して反時計方向に回動
し、図４に示すように、サポートギヤ54にロックされ
る。

【００４２】このような、サポートギヤ54への振子形ギ
ヤ56のロック状態においては、後方への回動アーム14、
つまりはシートバックの回動がサポートギヤ、振子形ロ
ックギヤの歯54a、56a の剛性に依存されることになる。
しかし、この発明においては、サポートギヤの歯54a の
ピッチをセクタギヤ22より大きく設定しているため、サ
ポートギヤの歯および振子形ギヤの歯56a の剛性が、い
ずれも十分に増大化される。

【００４３】つまり、緊急時等での過大な動的負荷に抗
するだけの高い剛性がサポートギヤ、振子形ギヤの歯54
a、56a のいずれにも確保できる。そのため、緊急時等で
の過大な動的負荷がシートバックを経て回動アーム14に
作用しても、サポートギヤ、振子形ギヤの歯54a、56a の
破損、損傷等を招くことがなく、ベースプレートに対す
る回動アームの保持の確実性、つまりはロックの確実性
が十分に高く維持できる。

【００４４】そして、この発明においては、サポートギ
ヤ54、振子形ギヤ56からなるサポートロック機構によっ
て、緊急時等での過大な動的負荷を受けるため、メイン
ロック機構となるセクタギヤ、ロックギヤの歯22a、24a
への負荷の作用は十分に抑制される。つまり、メインロ
ック機構としてなるセクタギヤ、ロックギヤの歯部22a、
24a にさほど高い剛性は要求されない。

【００４５】そのため、セクタギヤ、ロックギヤの歯22
a、24a のピッチが十分に小さくでき、シートバックのリ
クライニング角度の微調整の可能なリクライニング装置
10が、ロックの確実性、安全性を損なうことなく容易に
確保できる。従って、着座者の体形、好み等に応じたシ
ートバックのリクライニング角度が容易に得られ、着座
者の快適性が向上される。

【００４６】そして、サポートギヤ54をセクタギヤ22と
一体的に設けるとともに、サポートギヤとロック可能な
振子形ギヤ56をベースプレート12の対応箇所に枢着すれ
ば足りるため、構成の複雑化を伴うことなく、ロックの
確実性、快適性等に優れたリクライニング装置10が容易
に提供できる。

【００４７】なお、後方からの過大な動的負荷は、回動
アーム14を時計方向に回動させるように作用するため、
負荷の作用時においては、振子形ギヤ56がサポートギヤ
54とのロック状態に保持される。そして、回動アーム14
に付与される負荷が軽減されると、振子形ギヤ56が偏倚
手段58の偏倚力のもとで偏倚されて、係合ピン40との係
合位置、つまりは初期位置に復帰される（図１参照）。

【００４８】また、この発明のシートのリクライニング
装置10の振子形ギヤ56は、操作レバー36に対しては連動
されないため、セクタギヤ22、ロックギヤ24からなるメ
インロック機構とは無関係なロックが得られる。つま
り、振子形ギヤ56での動的負荷の感知によって、サポー
トロック機構のロックが自動的に行われるため、着座者
の安全性が容易に確保できる。

【００４９】そして、操作レバー36によるメインロック
機構のロック、ロック解除が単独で行えるため、サポー
トロック機構がメインロック機構の操作性、確実性の妨
げとならない。

【００５０】ここで、この発明の実施の形態において
は、サポートギヤ54が、セクタギヤ22より小径の円弧上
に歯54a を有して形成されている。しかし、サポートギ
ヤの歯54a のピッチが、セクタギヤの歯22a のピッチよ
り大きく形成されれば足りるため、これに限定されず、
たとえば、サポートギヤの歯をセクタギヤの歯より大径
の円弧上に設けてもよい。

【００５１】しかしながら、サポートギヤの歯54a をセ
クタギヤの歯22a より小径の円弧上に設ければ、ロック
ギヤ24がセクタギヤ22に対して枢支ピン32の軸線方向に
ずれても、サポートギヤ54がセクタギヤへのロックギヤ
のロックの際の妨げとならないため、円滑かつ確実なロ
ックが保障できる。そして、ロックギヤ24の取り付け精
度をさほど高くすることなく、セクタギヤ22、ロックギ
ヤ間の確実なロックが得られるため、構成の簡素化およ
び作業性の向上がはかられる。

【００５２】ところで、図２に示すように、この発明の
実施の形態においては、サポートギヤ54がセクタギヤ22
と別体に形成され、連結ピン26、27 での共締めによっ
て、回動アーム14に一体的に固定されているが、これに
限定されず、たとえば、図５に示すように、サポートギ
ヤをセクタギヤと一体に成形してもよい。

【００５３】このような、セクタギヤ22へのサポートギ
ヤ54の一体成形は、たとえば、ファインブランキングプ
レスによる突き出し加工によって容易に行えるため、作
業の複雑化を招かない。そして、連結ピン26、27 によっ
て、セクタギヤ22を回動アーム14に固着すれば足りるた
め、サポートギヤとの共締めに比較して、その作業は容
易化される。

【００５４】つまり、サポートギヤ54をセクタギヤ22と
一体に成形すれば、作業の煩雑化を伴うことなく、部品
点数の削減でき、構成の簡素化および作業性の向上がは
かられる。

【００５５】なお、図２、図５を比較すればわかるよう
に、図５に示すこの実施の形態の変形例においては、サ
ポートギヤ54、セクタギヤ22を一体に成形する以外、図
２に示す構成と何等変わらないため、前記実施の形態と
同様の効果が十分に得られることはいうまでもない。そ
して、セクタギヤ22、ロックギヤ24からなるメインロッ
ク機構、および、サポートギヤ54、振子形ギヤ56からな
るサポートロック機構の動作は、いずれも前記実施の形
態と同一であるため、ここでの説明は省略する。

【００５６】この発明の実施の形態においては、自動車
等のシートのリクライニング装置として具体化している
が、これに限定されず、たとえば、電車、飛行機、船舶
等のシートやあんま、理髪用および家庭用等の各種シー
トのリクライニング装置に、この発明を応用してもよ
い。

【００５７】上述した発明の実施の形態は、この発明を
説明するためのものであり、この発明を何等限定するも
のでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施さ
れたものも全てこの発明に包含されることはいうまでも
ない。

【００５８】

【発明の効果】上記のように、この発明に係るシートの
リクライニング装置によれば、メインロック機構のセク
タギヤよりピッチの大きな歯を持つサポートギヤ、振子
形ギヤの組み合わせからなるサポートロック機構のロッ
クにより、緊急時等での過大な動的負荷の作用のもとで
のベースプレートに対する回動アームの回動を阻止する
ため、セクタギヤ、ロックギヤへの過大な負荷の作用が
十分に抑制される。

【００５９】そのため、セクタギヤ、ロックギヤの歯の
ピッチが十分に小さくでき、シートバックのリクライニ
ング角度の微調整の可能なリクライニング装置が、ロッ
クの確実性、安全性を損なうことなく容易に確保でき
る。従って、着座者の体形、好み等に応じたシートバッ
クのリクライニング角度が容易に得られ、着座者の快適
性が向上される。

【００６０】そして、サポートロック機構となるサポー
トギヤ、振子形ギヤの歯のピッチはメインロック機構の
セクタギヤ、ロックギヤに比較して大きいため、サポー
トギヤ、振子形ギヤの歯厚を大きくすることによって、
緊急時等での過大な動的負荷に抗するだけの高い剛性が
各歯に確保できる。そのため、緊急時等での過大な動的
負荷がシートバックを経て回動アームに作用しても、サ
ポートギヤ、振子形ギヤの歯の破損、損傷等を招くこと
がなく、ベースプレートに対する回動アームの保持の確
実性、つまりはロックの確実性が十分に高く維持でき
る。

【００６１】更に、サポートギヤおよびセクタギヤを回
動アームに一体的に回動可能に設けるとともに、振子形
ギヤをベースプレートの対応箇所に枢着すれば足りるた
め、構成の複雑化を伴うことなく、ロックの確実性、快
適性等に優れたリクライニング装置が容易に提供でき
る。

【００６２】また、サポートギヤの歯をセクタギヤより
小径の円弧上に設ければ、サポートギヤがセクタギヤへ
のロックギヤのロックの際の妨げとないらないため、円
滑かつ確実なロックが保障できる。そして、ロックギヤ
の取り付け精度をさほど高くすることなく、セクタギ
ヤ、ロックギヤ間の確実なロックが得られるため、構成
の簡素化および作業性の向上がはかられる。

【００６３】更に、サポートギヤをセクタギヤと一体に
成形すれば、作業の複雑化を伴うことなく、回動アーム
へのセクタギヤ、サポートギヤの固定作業が容易に行え
るため、作業の簡単化に加えた部品点数の削減により、
構成の簡素化および作業性の向上がはかられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】初期状態における、この発明に係るシートのリ
クライニング装置の概略正面図である。

【図２】シートのリクライニング装置の分解斜視図であ
る。

【図３】セクタギヤ、ロックギヤ（メインロック機構）
のロック解除時における、シートのリクライニング装置
の概略正面図である。

【図４】サポートギヤ、振子形ギヤ（サポートロック機
構）のロック時における、シートのリクライニング装置
の概略正面図である。

【図５】この発明の実施の形態の変形例における、シー
トのリクライニング装置の分解斜視図である。

【符号の説明】

10 シートのリクライニング装置 12 ベースプレート 14 回動アーム 16 ヒンジピン 22 セクタギヤ 24 ロックギヤ 36 操作レバー 54 サポートギヤ 56 振子形ギヤ 58 偏倚手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A47C 1/025 B60N 2/10

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートクッションサイドのベースプレー
   トと、シートバックサイドの回動アームとを具備し、回
   動アームと一体的に回動可能なセクタギヤに対するベー
   スプレートサイドのロックギヤのロック、ロック解除の
   もとで、シートクッションに対するシートバックの揺動
   角度を任意に調整、設定可能としたシートのリクライニ
   ング装置において、 セクタギヤの歯より大きなピッチの歯を持つ扇状のサポ
   ートギヤが、回動アームに対して一体的に回動可能に設
   けられるとともに、サポートギヤに噛合する振子形ギヤ
   が、振子運動のもとでサポートギヤに噛合可能に、ベー
   スプレートに対して枢着され、このサポートギヤ、振子
   形ギヤの組み合わせが、上記セクタギヤ、ロックギヤか
   らなるメインロック機構に対するサポートロック機構と
   して併設され、 所定の振子慣性力に相当する力以下の偏倚力を持つ偏倚
   手段によって、振子形ギヤがサポートギヤからの離反方
   向に偏倚され、所定の振子慣性力以上の力が振子形ギヤ
   に作用したときにおける、偏倚手段の偏倚力に抗した振
   子形ギヤの揺動により、サポートギヤ、振子形ギヤ間を
   ロック可能としたことを特徴とするシートのリクライニ
   ング装置。
2. 【請求項２】 シートクッションサイドのベースプレー
   トと、シートバックサイドの回動アームとを具備し、回
   動アームと一体的に回動可能なセクタギヤに対するベー
   スプレートサイドのロックギヤのロック、ロック解除の
   もとで、シートクッションに対するシートバックの揺動
   角度を任意に調整、設定可能としたシートのリクライニ
   ング装置において、 セクタギヤの歯より大きなピッチの歯をセクタギヤより
   小径の円弧上に持つ扇状のサポートギヤが、回動アーム
   に対して一体的に回動可能に設けられるとともに、サポ
   ートギヤに噛合する振子形ギヤが、振子運動のもとでサ
   ポートギヤに噛合可能に、ベースプレートに対して枢着
   され、このサポートギヤ、振子形ギヤの組み合わせが、
   上記セクタギヤ、ロックギヤからなるメインロック機構
   に対するサポートロック機構として併設され、 所定の振子慣性力に相当する力以下の偏倚力を持つ偏倚
   手段によって、振子形ギヤがサポートギヤからの離反方
   向に偏倚され、所定の振子慣性力以上の力がシートの後
   方から振子形ギヤに作用したときにおける、偏倚手段の
   偏倚力に抗した振子形ギヤの揺動により、サポートギ
   ヤ、振子形ギヤ間をロック可能としたことを特徴とする
   シートのリクライニング装置。
3. 【請求項３】 サポートギヤがセクタギヤと一体に成形
   され、回動アームへのセクタギヤの固定により、セクタ
   ギヤ、サポートギヤのいずれもが、回動アームに対して
   一体的に回動可能に設けられた請求項２記載のシートの
   リクライニング装置。