JPH0114207Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の座席に取り付けられるリクラ
イニング装置に関するもので、特に、前傾した座
席のシートバツクを後方に回動させると自動的に
シートバツクが中立位置に固定される中立位置復
帰機構を備えたリクライニング装置に関するもの
である。

一般に、自動車の座席に取り付けられたリクラ
イニング装置は、操作レバーを操作してシートバ
ツクの傾斜角度（リクライニング角度）を調整す
るようになつているが、特に２ドア自動車におい
ては後部座席への乗降を容易とするため、前部座
席にはシートバツクが前傾するリクライニング装
置が採用されている。ところが、この種のリクラ
イニング装置は前傾したシートバツクを後方に回
動させるとロツク機構が自動的に作動し、シート
バツクが最も後傾の少ない位置（ほぼ直立した位
置）に固定される。このため、前部座席の乗員は
極めて窮屈な姿勢で着座した後にシートバツクの
傾斜角度を再度調整しなければならない不都合が
あつた。

従来、上記の不都合を解消するものとして、シ
ートバツクの傾斜角度を記憶する機構、或いは、
中立位置復帰機構を有するリクライニング装置が
種々考案されている。ところが、従来の記憶機構
を有するリクライニング装置は、構成が複雑で高
価かつ大型となる欠点があつた。

また、従来の中立位置復帰機構を有するリクラ
イニング装置は、中立位置の設定が不安定で、シ
ートバツクが固定される位置およびロツク機構の
作動が不確実という欠点があつた。

本考案は上記従来の欠点を解消するためになさ
れたもので、構成が簡単で、しかも、中立位置へ
の復帰およびロツク機構の作動が確実な中立位置
復帰機構を有するリクライニング装置を提供する
ものである。

以下、本考案を図に示す実施例に基づいて詳細
に説明する。

始めにリクライニング装置の基本構成について
説明すると、１はシートクツシヨン側に固定され
るブラケツト、２はシートバツク側に固定される
ブラケツトで、ブラケツト１に固着された軸３に
よつてブラケツト１とブラケツト２とは互いに回
転可能に連結されている。４は外周に歯部４ａが
形成されたセクターギアで、セクターギアはリベ
ツト５ａ〜５ｄによつてブラケツト２に固定され
ている。６は前記セクターギア４の歯部４ａと噛
合する歯部６ａが形成されたロツクギアで、ロツ
クギア６はブラケツト１に固着された軸７を支点
に回転可能に配設されている。８はカム、９はカ
ム孔９ａを有するカムプレートで、カム８とカム
プレート９とはブラケツト１に固着された軸１０
を支点に一体に回転するよう取り付けられてい
る。１１は長孔１１ａが設けられた操作レバー
で、操作レバー１１が軸３を支点に回転可能に配
設されている。ここで、長孔１１ａには補強用の
サブブラケツト１２の長孔１２ａを経て突出した
カムプレート９のピン９ｂが遊嵌されており、ま
た、カムプレート９のカム孔９ａにはロツクギア
６の突部６ｂが遊嵌されている。従つて、操作レ
バー１１とサブプレート１２との間に張設された
バネ１３に抗し、操作レバー１１を第１図および
第２図の状態から時計方向に回転操作すると、カ
ム８およびカムプレート９が軸１０を支点に反時
計方向に回転し、また、ロツクギア６が軸７を支
点に反時計方向に回転し、ロツクギア６の歯部６
ａとセクターギア４の歯車４ａの噛合が解除され
る。つまり、操作レバー１１を操作すると、セク
ターギア４、ロツクギア６およびカム８、カムプ
レート９から成るロツク機構が作動し、歯車６ａ
との噛合が解除されてブラケツト１に対し軸３を
支点にブラケツト２が回転可能となり、リクライ
ニング角度を調整できる。１４はブラケツト２と
軸３との間に配設された渦巻バネで渦巻バネ１４
によつてブラケツト２が軸３を支点に反時計方向
に付勢され、ブラケツト２が固定されたシートバ
ツクが前傾方向に付勢されるよう設定されてい
る。

次に、中立位置復帰機構の構成について説明す
る。１５は円弧状に切り起したシールド部１５ａ
と腕状に延設されたガイド部１５ｂと備えたシー
ルド板で、シールド板１５はブラケツト１とセク
ターギア４との間に軸３を支点に回転可能に配設
されている。ここで、シールド部１５ａはセクタ
ーギア４の歯部４ａの端面を覆い、また、シール
ド部１５ａより折り曲げて延設された突部１５ｃ
はセクターギア４に弾性的に当接するように設定
されている。１５ｄは前記ガイド部１５ｂに設け
られたガイド孔で、ガイド孔１５ｄにはブラケツ
ト２に固着されたガイドピン１６が遊嵌されてお
り、ガイド孔１５ｄとピン１６とによつてブラケ
ツト２の回動に伴つてシールド板１５を一定の回
転間隔をもつて追従させるガイド手段が形成され
ている。１７はブラケツト２とガイド部１５ｂの
端部との間に配設されたスプリングで、スプリン
グ１７によつてシールド板１５は第１図および第
２図において軸３を支点に時計方向に付勢されて
いる。

従つて、上記のように構成したリクライニング
装置において、後部座席への乗降のため操作レバ
ー１１を操作してロツク機構を解除すると、渦巻
バネ１４によつてブラケツト２が軸３を支点に回
転し、シートバツクが前傾する。すると、シール
ド板１５がブラケツト２と共に軸３を支点に回転
し、シールド部１５ａが第４図に示すようにセク
ターギア４の歯部４ａとロツクギア６の歯部６ａ
の間に移動する。このため、シートバツクが前傾
した第４図の状態で操作レバー１１の操作を解除
すると、ロツクギア６の歯部６ａがシールド部１
５ａの外周面に圧接し、歯部４ａと歯部６ａとの
噛合によるロツク機構の作動が阻止される。次
に、後部座席への乗降を行なつた後にシートバツ
クを渦巻バネ１４に抗して後方に回転させると、
ブラケツト２が軸３を支点に回転するものの、ス
プリング１７に抗して歯部６ａとシールド部１５
ａとの間に作用する摩擦力によつてシールド板１
５の回転が阻止され、第５図に示すようにロツク
機構の作動が依然として阻止される。この状態
で、更にシートバツクを後方に回転すると、ガイ
ド孔１５ｄに遊嵌されたガイドピン１６が第５図
に二点鎖線で示す位置に移動する。すると、ブラ
ケツト２の後方への回転に伴なうガイドピン１６
の移動により、歯部６ａとシールド部１５ａとの
摩擦力に抗してシールド板１５が軸３を支点に時
計方向に回転し、歯部６ａが歯部４ａに噛合して
ロツク機構が作動し、ブラケツト２およびシート
バツクが中立位置に復帰固定される。なお、ロツ
ク機構が作動すると、スプリング１７によつて更
にシールド板１５が軸３を支点に時計方向に回転
し、初期の状態に復帰する。

また、シートバツクを中立位置に復帰固定した
状態で着座し、操作レバー１１によつてロツク機
構を操作することにより、シートバツクの傾斜角
度（リクライニング角度）を任意に調整すること
ができる。なお、シールド板１５がスプリング１
７によつて軸３を支点に時計方向に回転保持され
ているため、ロツクギア６がシールド板１５に干
渉することがなく、中立位置から前傾方向への調
整も可能である。

以上の説明から明らかなように、本考案のリク
ライニング装置は中立位置復帰機構の構成が簡単
で、しかも、中立位置への復帰およびロツク機構
の作動が確実であり、実用上の効果が優れてい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の実施例を示し、第１
図は正面図、第２図は一部を破断した正面図、第
３図はシールド板１５を示す図、第４図および第
５図は作動を説明する図である。 符号の説明、１，２……ブラケツト、３……
軸、４……セクターギア、６……ロツクキア、４
ａ，６ａ……歯部、１５……シールド板、１５ａ
……シールド部、１５ｂ……ガイド部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シートクツシヨン側に固定されるブラケツト
   と、シートバツク側に固定されるブラケツトとが
   互いに回転可能に軸支されており、一方のブラケ
   ツトにはロツクギアが操作可能に取付けられ、他
   方のブラケツトにはセクターギアが固着されてお
   り、ロツクギアとセクターギアとが噛合、或は噛
   合解除されるよう構成されたリクライニング装置
   において、 円弧状で前記セクターギアの歯部の一部を覆う
   シールド部と、シールド部より延設されたガイド
   部とから成るシールド板が前記両ブラケツトの枢
   軸に関し回転可能に配置されており、セクターギ
   アが固着されたブラケツトとシールド板との間に
   はスプリングが張設され、また、セクターギアが
   固着されたブラケツトとシールド板のガイド部と
   の間にはガイド孔とピンとから成るガイド手段が
   設けられており、シールド板が一定の回転間隔を
   もつてセクターギアの固着されたブラケツトの回
   動に追従して回動されるよう設定されており、か
   つ、シートバツク前傾時にシールド板のシールド
   部がロツクギアとセクターギアとの間に位置する
   よう構成されたことを特徴とする、リクライニン
   グ装置。